○大野元裕君
民主党・新緑風会、大野元裕でございます。
ただいま
議題になりました三案に対し、
会派を代表し、反対の
立場から
討論をさせていただきます。
これら三案は、前
国会において、
国民規模の反対が巻き起こりながらも、真摯な審議を尽くすことなく、
担当大臣の答弁が二転三転して迷走する中、
委員会の途中で審議を打ち切り、議事録によれば採決されたかも定かでないままに本
会議にかけられ、数の力の横暴により強行採決されたあの特定秘密保護法案に関連して、特定秘密の扱いを
国会として独自に決定するものであるとされています。
国家に重大な機密があり、あるいは情報提供者を保護し、情報を交換する国との
信頼関係を維持するために守るべき秘密があり、それを保護する措置が必要であることについては言をまちません。その一方で、昨年の特定秘密保護法という悪法に対し
民主党が
提出した五本の対案に示されているとおり、本来国家が保有する情報とは
国民に帰属するものであり、それでもなお秘匿しなければならないのであるから、
国会における監視機能や第三者
委員会の
設置を通じ、
国民の
皆様に
信頼いただける
制度的な担保を図らなければならないと主張してまいりました。
ところが、今回の法案及び規則、規程は、
政府の
国民無視の横暴を後押しするものであり、国権の最高機関としての
国会が自らその役割を放棄するものにほかなりません。横暴を重ねる安倍政権の罪は大きいと思料しますが、これに加担し、
国民主権をないがしろにするのみならず、
議員活動を妨害するような
議員立法を
提出した
自民党並びに
公明党の
議員の
皆さんは、その
責任を自覚するべきであるとまず申し上げたいと
思います。
これら三案は、
議員立法として
全会一致で本来は審議されるべきものであります。ところが、議院運営
委員会における採決により強行に審議に付されました。のみならず、
国会の実質閉会日の二日前という、審議時間がまともに確保できないときに駆け込みで
提出をされました。与党の
皆さんは、特定秘密保護法に対する
国民の懸念に応え、確固たる
制度的担保を示すことで
国民の負託に応えるという
国会議員の最低限の役割を
理解されていないようで、十分な審議など必要ないとお考えになっておられるようだと私は
思いました。
そもそも、特定秘密保護法に対する
制度的担保は、同法案審議の際にセットで行われるべきものでありましたが、これを先送りした上に、会期末になって
提出した背景には何があるのでしょうか。
政府の第三者機関は
法律として
提出し、
国民の前で審議する意思などないという表明でしょうか。あるいは、
政府の第三者機関と
国会の監視機関という二つの
法律を同一の
国会で審議をすると、再び
国民の関心を惹起してしまうので、なるべく目立たないうちに採決してしまおうという
政府・与党共謀のこそくな考えが背景にあるのでしょうか。我々
国会議員は、
国民の負託を受けて選出されています。このように
国民の
皆様の懸念を呼ぶ
法律だからこそ、正々堂々と時間を掛けて審議するべきではなかったのでしょうか。
この法案の中身は、一言で言えば、屋上屋を重ねた茶番劇の舞台を用意するためのものにほかなりません。現在でも
国会は、国政
調査権に基づき、院、
委員会等の決議に基づき、
政府に情報の提供を求め、それがかなわない場合には
国会法百四条の定めにより疎明する立て付けになっています。今回の法案では、両院にそれぞれ
審査会を
設置しながらも、結局は疎明、声明で足りるとしています。
その一方で、
国会は、審議のための保全の措置を講じ、あるいは院内の
発言であっても懲罰の対象とするなど、自らに制約を課しています。つまりは、現在でも要求できる秘密の
提出を特定秘密だけに絞った上で、これを
審査可能にはするものの、保全措置、懲罰措置を我々が講じても、結局は判断権は
政府にあり、これまでの開示、
提出要求のプロセスに茶番劇を行う舞台を付け加えた、それだけの内容にすぎません。
民主党はこれに対して、特定秘密のみならず全ての秘密を対象として
審査会での審議を行い、
国会法百四条を改正した上で一定の判断権を
国会に与えるという法案を
衆議院に
提出し、否決されました。これは、
制度を通じて
国民の
信頼を得るという冒頭申し上げた目的ゆえに必要な措置と信じてのことであります。
特定秘密法は、
政府の
政府による
政府のための
法律でありますが、今回の法案は、
議員立法であるにもかかわらず、
国会の
国民に対する
責任を果たすというよりは、
国会が
政府に土下座し、
政府の横暴を手助けするものにほかなりません。
しかも、
審査会に対して、さらに、この根源的な問題があるにもかかわらず、それとともに
提出された
参議院規則、規程は大きな問題を抱えています。
衆議院の規則、規程は、海外の事例も出張等を通じて検討され、半年にわたり議論されてきたものと
理解しますが、本院の規則、規程が議院運営
委員会に示されたのは今週になってからであり、余りに唐突でした。これに加えて、与党の数の横暴でこの規則、規程が審議に付されても、我々は、この規則、規程の
重要性に鑑み、
発議者からしっかりとした答弁が得られるということを前提に審議に応じました。
しかしながら、
発議者の答弁は余りに不十分で、規程、規則そのものの中身がなく、かつひどいものであることが判明をいたしました。規則、規程の中身を問うても、議院運営
委員会で御審議いただきたいとの答弁が繰り返されました。
発議者は、最高水準の保全措置を講ずるとしながらも、
予算、技術面、人的措置、いずれも事務局と相談した形跡すらなく、規則、規程と呼ぶには余りにお粗末で、
発議者の
責任を果たすことすらできなかったと言わざるを得ません。
しかも、その上で、厳格に運用されてきた懲罰の在り方をないがしろにする
発言があり、さらには、国の安全保障のためだから
国会と民主主義はないがしろにされても構わない、こういった
趣旨の
発言まで出る有様でした。
さらには、特定秘密を知り得ることになる
審査会所属
議員の秘書は適性評価の対象から漏れており、例えば
議員の
皆さん、秘書を介して
審査会に連絡をしたり、質問の準備の作業を手伝うだけでも厳しい刑事罰を伴う情報漏えい、あるいは教唆、共謀、こういったものに該当し、処罰される可能性があるのです。
これらの規程、規則は、
参議院事務局のみならず、法執行機関との相談すらやはり経ていませんでした。
発議者がしどろもどろのまま、委員からは、要するにこれは
衆議院規則のカーボンコピーですねという、こういう
発言すら飛び出しました。
議員の
皆さん、疑いがあるだけで懲罰にかかり、
議員の
資格を奪われてよいんですか。
議員の
皆さん、この開いた口が塞がらない
制度上の不備によって、
皆さん自身や
皆さんの秘書が特定秘密保護法の最初の処罰の対象になり、逮捕されてもよろしいんでしょうか。
安倍政権の
政策は目先だけで中身のないものが多いです。しかし、与党までも、このような中身のないアリバイづくりの手法を見習う必要は毛頭ないんです。この規則、規程は、
参議院の運営を定め、もって
国民の
皆様に院が十全に機能するということを示すものであります。
政府が特定秘密を
提出するための第一要件となる重要なものであるんです。
だからこそ、本来は、
発議者におかれましては本規則、規程を取り下げて、議運でしっかり議論をした上で、特定秘密保護法の実施に間に合わせるよう、野党とも
建設的な議論を行うよう我々は求めてまいりました。ところが、前
国会に引き続き、今回もまた、憲政史上に汚点を残す強行採決が行われたのです。
改めて、歴史的な汚点に更に加担することがなきよう、与党、野党、全ての
皆様に是非とも熟慮をいただき、この法案に反対をいただきますようお願いをして、私の
討論とさせていただきます。
ありがとうございました。(
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