○東徹君
日本維新の会・結いの党の東徹です。
会派を代表して、
地域における
医療及び
介護の総合的な
確保を
推進するための
関係法律の
整備等に関する
法律案について
質問させていただきます。
まず冒頭に、今回の
法案が、そもそも十九本のばらばらな
法案を一本にまとめたむちゃなものであるにもかかわらず、
衆議院厚生労働委員会において
与党によって強行採決されました。そのむちゃな
法案が五月二十一日の本
会議に出され、その際、議員に配られた文章に誤りがあったため、本
会議は混乱し流会となり、その後の
審議の予定は大幅に狂うことになりました。これは、十九本もの
法案を一本にして出すというむちゃな手法を使うからこのようなことになるのです。二度とこのような手法を使うことはしないと
安倍総理にはお約束をいただきたいです。
それでは、
質問に入らせていただきます。
まず、
人口減少と東京一極集中の是正について伺います。
我が国の総
人口は、現在の出生率の水準が続けば、五十年後には約八千七百万人という、現在の三分の二の規模まで減少すると推計されています。今後も、特に若年層の東京への一極集中が続けば、相対的に出生率の低い東京への
人口流入により、ますます少子化に拍車が掛かるとともに、
地方圏の
自治体では行政
サービスの提供
機能を失い、東京は超
高齢化により
医療・
介護難民があふれ、都市としての活力を失いかねません。
また、二〇四〇年までに
全国の
自治体の半数が将来的な消滅の危機にさらされるという将来推計の結果も公表されています。東京一極集中ではなく、東京から
地方へと人が流れる
仕組みをつくらなければなりません。
人口減少や東京一極集中の是正の
必要性について、どのように認識され、是正されようとするのか、
総理の御見解をお伺いいたします。
次に、
医療制度全体の適正化、効率化について伺います。
国と
地方の長期債務残高は、
平成二十六年度末時点で約一千十兆円に及び、対GDP比で二〇〇%を超えるという危機的な
状況に至ると見込まれています。その原因の一つである
医療や
介護など
社会保障給付費は、
高齢化の進展により、二〇二五年には約百五十兆円と、二〇一二年が約百十兆円であったことと比較すれば、十三年間で約四十兆円も増えると見込まれています。
全ては次
世代のために。財政
状況の厳しい我が国において、我々国
会議員は、次
世代に対する責任を果たすためにも、借金を先送りするのではなくて、将来にわたって持続可能な
社会保障制度を
構築しなければなりません。
そのために、
医療分野では、
病床の
機能分担による過剰供給
部分の抑制や市販類医薬品の保険外適用除外など、受益と
負担の均衡を図り、
医療制度全体の適正化、効率化を進めることが必要と考えますが、これをどのように進めていくのか、
総理の御見解を伺います。
医療分野における
規制改革について伺います。
政府の
規制改革会議では、客観的に判断して安全な治療法で、
医師と
患者が同意すれば混合診療の
対象とする
選択療養制度が提唱されました。この
選択療養制度は、いわゆる難病など困難な病気と闘う
患者の治療の選択肢を増やし、また
患者の経済的
負担の
軽減に資することから、一歩前進であると
評価できますが、一方で、これに反対する団体も多くあるように聞いています。
医療分野などの岩盤
規制に対して自らドリルとなると表明された
安倍総理に、
選択療養制度の
導入を含め、
医療分野における
規制改革に向けた御
決意を伺います。
短期集中特別訓練
事業に係る不正入札事案について伺います。
本件では、多数の
厚生労働省のOBや現役出向者が在籍する独立行政法人高齢・障害・求職者雇用
支援機構に対して、
厚生労働省の担当者による多数の不適切な行為が確認されております。
本件は、
厚生労働省、機構、中央職業
能力開発協会、この三者の間の身内意識が原因で生じたものと言えます。本件によって失われた
国民の信頼を回復するためには、このような身内意識を一掃する必要があり、独立行政法人
改革等に関する基本的な
方針を定めた昨年十二月二十四日閣議決定に基づき、この機構について独立行政法人として存続させる必要があるかを検証すべきであります。
過去には、
都道府県に
基金を造成し、
都道府県が
地域の
実情に応じて職業訓練
事業等を
実施した例もあることから、本件においても、
事業の
実施を
都道府県に委ねた上、この機構を廃止するなど抜本的な
改革を行うべきと考えますが、
総理の御見解をお伺いします。
医療法人の計算書類の公開について伺います。
日本維新の会は、
衆議院において、本
法案に関する修正案を提出いたしました。この中で、特に
医療法人については、他の法人
制度では当然の義務とされている貸借対照表や収支計算書等の計算書類の公告が義務付けられておらず、これが
医療法人徳洲会グループ事件の原因の一つではないでしょうか。
医療が多くの
国民負担により支えられていることから、納税者である
国民に必要な情報を提供するため、
医療法人の計算書類の公開を
早期に義務付けるべきではないでしょうか。
総理の御見解をお伺いします。
介護人材の
確保について伺います。
高齢化の進展に伴って、
介護需要はますます
増加していきます。団塊の
世代が七十五歳以上となる二〇二五年には、六十五歳以上の
高齢者がほぼ三分の一の三千六百五十七万人に及ぶと推計されております。この年、
介護職員は約二百四十万人程度、現在の一・五倍以上の
職員数が必要となると推計されています。少子化等により労働力
人口の減少が進んでいることから、何も手を打たなければ、現状でも不足している
介護人材の
確保は非常に困難な
状況が続くと予想されます。
今回の
法律改正では、現行
制度を一年延長するだけのものであり、
介護の仕事に夢や誇りを持てるようなものではありません。専門性の高い
介護の質を維持しながらも
介護の仕事に夢と誇りを持てるような
介護人材の
確保にどのように取り組むか、
厚生労働大臣の御見解を伺います。
次に、
医療事故に係る
調査の
仕組みについて
質問いたします。
今回の
法案では、
医療機関は、死亡又は死産など
一定の
医療事故が発生した場合、民間の第三者機関に報告し、この機関が
調査の上報告することとなっています。
調査の信頼性や
公平性を
確保するため、また、今後の
医療事故の
再発防止につなげるため、適切に情報提供を行うためには、この第三者機関が行う
調査に
一定程度
厚生労働省や
都道府県など行政機関が関わるべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、この
仕組みは、高度
急性期から
在宅医療・
介護まで、
一連の
サービスを
地域において
確保することとは全く違った観点のものであり、
医療現場や
患者、遺族への影響、司法との関係など、多くの論点が含まれております。せめてこの
仕組みぐらいは別個に
審議すべきと考えますが、いかがでしょうか。
厚生労働大臣の御見解を伺います。
厚生労働
委員会での
審議の進め方について伺います。
今回の
法案では、
都道府県による
地域医療構想の
策定や、
医療事故に関する
調査報告に関する
制度など、十分に
審議を行う必要のある内容が多数含まれております。しかしながら、
衆議院厚生労働委員会では、少し内容に踏み込んだ
質問に対して、
法律成立後にガイドラインで決めることになっているとの答弁が目立ちます。
委員会において
法律案を
審議する際に、細かな点まで全て決まっていないと
審議できないというものではありません。しかし、
法律を制定することによって形作られる新たな
仕組みが
国民に対してどのような影響を持つかといった
法案の基本的な内容については、十分に
審議を行い、その適正性や効率性などを検討しなければなりません。少なくとも、ガイドラインの案を示していただくなど
対応が必要と考えますが、この点について
厚生労働大臣の御見解を伺います。
先ほども述べましたが、本
法案には必ずしも一度に
審議する必要のない内容も含まれておりますが、一つ一つの中身を見れば、将来の
医療・
介護制度の方向性を決める極めて重要なものばかりであります。
与党の皆様におかれましても、何でも一本化して
審議するような手法をただ許すのではなく、
与党は単なる役所の追認機関とやゆされることのないよう、しっかりと
審議していただくことをお願い申し上げまして、
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕