○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。
ただいま
議題となりました
地方教育行政法
改正案に関して、みんなの党を代表して
質問をいたします。
安倍内閣は、
教育再生を政権の最重要
課題の
一つと位置付け、様々な
改革に取り組んでおられます。それらに対しては、賛同できるものも異を唱えたいものもありますが、その実行力は評価するところであります。
第一次
安倍内閣では、
教育基本法の
改正を成し遂げました。第二次
安倍内閣では、
教育再生実行
会議で
議論を積み上げ、
いじめ対策や道徳
教育の教科化、そして、ただいま
議論しております
教育委員会制度の
改革を進めております。また、今後は、高校
日本史の必修化や六三三の学制
見直しも検討すると伺っております。
改革には理念と
目的が重要です。そこで、初めに、
安倍内閣における
教育改革の理念と
目的はどのようなものか、改めてお伺いいたします。
次に、幾つか具体的な問題について見解をただします。
下村
文部科学大臣は、過日、高校
日本史必修化の検討を表明されました。
日本人として自国の歴史、伝統
文化をしっかり習得することは、アイデンティティーの確立につながり、これこそが真の国際人となる条件だと考えます。神奈川県では、私が知事を務めていたときに、
教育委員会と
連携して、全国で初めて高校
日本史必修化を
実現いたしました。したがって、
安倍内閣の
方針にはエールを送りたいと思いますが、私は、自らの経験から、近現代史については
日本史と世界史を統合すべきと考えております。
我が国が、幕末、明治維新以降、厳しい国際情勢の中で必死にもがき続けて近代国家をつくり上げてきた歴史は、
日本史と世界史の動きが複雑に絡み合い、分けることは困難であります。そして、この近現代史の習得なくしては
日本の未来を考えることはできません。
そこで、高校段階においては、
日本史と世界史を併せた近現代史という科目を新たに設け、必修化するという学習指導要領
改正を目指すべきと考えますが、
安倍総理の見解を伺います。
次に、土曜日の
教育活動についてお伺いいたします。
自由民主党は、さきの
衆議院議員
選挙の公約で土曜日授業の
実現を打ち出し、それを受けて
下村大臣も
改革の検討を表明されました。メディアでは
学校週六日制の復活とも報じられ、ゆとり
教育に対する
反省から、学力向上を目指す
改革として多くの
国民から期待や賛同の声が上がりました。
しかし、私がさきの文教科学
委員会で
下村大臣の見解をただしたところ、この
改革は
学校週六日制による土曜日授業を再開するものではなく、
学校週五日制を維持した上で、
地域の
教育委員会主導によって、自然体験や
スポーツも含めた様々な学習を
地域の方々と協働で行う土曜日学習の充実を推進するとの答弁でありました。しかし、この答弁は、多くの
国民が抱いている脱ゆとり
教育や学力向上への期待とは
方向性が異なるように思われます。
そこで、
安倍総理に改めて確認をいたします。
学校週六日制による土曜日授業の復活によって学力の向上を目指すのか、それとも、
学校週五日制のままで
地域社会との
連携による土曜日学習の充実によって人間力の向上を目指すのか、どちらの
方針なのか、
政府の見解をお答えください。
それでは、
政府提案の
地方教育行政法の
改正案について
質問をいたします。
これまで
日本の公
教育は、文部科学省の指導の下に、
地方自治体の
教育委員会が実施してきたわけでありますが、かねてより、
教育の
政治的中立性や指導力の
確保、審議の
形骸化などの様々な
課題が指摘されてきたところであります。
そのような中で、大津市の
いじめ自殺
事件に端を発し、
地方教育行政における
責任体制の確立、迅速な
危機管理体制の
構築、
首長と
教育委員会の
連携などの
必要性が改めて
議論されるようになりました。こうした
議論に応え、今般、
政府が
地方教育行政の新しいモデルを提案したことは評価をいたします。
しかしながら、これを国が、つまり文部科学省が全国一律の
制度として
地方に押し付けるというやり方は間違っています。
地方分権
改革を進めるという時代の要請の中で、
地方行政
制度の在り方についても、
地方自治体の自主
決定権、選択権を最大限尊重すべきだと考えます。
これまでも、全国知事会、全国市長会を始めとする
地方六団体からは、
教育委員会制度の
改革について数多くの要望が出されております。例えば、全国市長会と全国町村会はこう訴えています。公立
学校施設
整備を始め、
地方行政全般に
責任を持つ
地方公共団体の
首長が、一体的に
教育行政に意向を反映させることができるようにするため、必置規制を緩和し、
地方公共団体における
教育行政の実施について、
教育委員会を設置して行うか、
首長の
責任の下で行うか、選択可能な
制度とするよう強く要望する。
また、
総理の諮問機関である第二十八次
地方制度調査会は、次のように答申しております。
教育委員会を必置する
理由として、
教育における
政治的中立性の
確保や
地域住民の意向の反映等の
必要性が掲げられているが、
地域住民の意向の反映はむしろ公選の長の方がより適切になし得ると考えられる。このため、
地方公共団体の判断により
教育委員会を設置して
教育に関する
事務を行うこととするか、
教育委員会を設置せずその
事務を
首長が行うこととするかを選択できることとすることが適当である。
さらに、内閣府の規制
改革・民間開放推進
会議も同様に、
教育委員会の必置規制を撤廃し、
首長の
責任の下で
教育行政を行うことを自治体の選択に委ねるべきだと提言をいたしました。
このように、
地方行政推進の
当事者である
地方六団体や
政府の審
議会が、
教育委員会制度について、
教育委員会を存続させる、あるいは廃止をして
首長に
地方教育行政を委ねるのかについては、あくまでも
地方の自主性や選択権を尊重すべきと訴えているのです。
そもそも、人口僅か千人にも満たない小さな自治体から一千万人を超える巨大な自治体まで存在するにもかかわらず、十把一からげに全国一律の
制度で縛ろうとすることには無理があります。
それぞれの自治体は、人口、人材、経済力、そして歴史、
文化、風土までも多種多様であります。その
地域の特性を生かした
地域の
教育文化に合う
制度を、
首長、
議会、
地域住民が
議論し、判断し、そして導入することが民主主義や
地方自治の推進につながります。
そこで、まず
下村大臣にお伺いします。
今国会においても、
衆議院の方で、
教育委員会を廃止した上で、
首長が
教育長を
任命して
教育行政を行い、
議会において
選挙された
委員から成る
教育監査
委員会がそれを監督するという
法案が提出されました。この
法案は、
地方の要望にもかなう有力な選択肢であるとも考えられますが、この
法案のどこに問題があるのか、なぜ
政府・与党として受け入れ難いのか、見解を求めます。
さて、私
たちみんなの党は、かねてより
地方分権を推進する立場から選択制を主張し、第百八十回国会では、
地方教育行政改革の推進に関する
法律案を提出いたしました。今回の
政府案に対しても、文教科学
委員会にて選択制を
実現するための修正案を提出する予定でありますので、多くの皆様に御賛同をお願いいたします。
最後に、
安倍総理に伺います。
地方分権と規制
改革は時代の大きな要請であります。にもかかわらず、
当事者である
地方の声を無視し、国が決めた
制度を一方的に押し付けるという中央集権的発想では、
地方の自主性や特色を生かした活力ある
教育改革は到底なし得ません。
そこで、私
たちみんなの党が提案する
改革案、つまり、
教育委員会の必置規制を外し、
地方自治体が自らの
責任の下に
地方教育行政の
改革の在り方を選択するという案について
総理の見解を求め、
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕