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内閣総理大臣(
安倍晋三君) 仁比聡平
議員に
お答えをいたします。
消費税増税について
お尋ねがありました。
三本の矢の
効果もあって、
景気回復の裾野は着実に広がっており、今後、
景気回復の実感を全国津々浦々にお届けしていくため、経済の好循環を
実現していかなければなりません。
今年の春闘の回答
状況を見ると、給料アップ、賃上げの風が吹き始めたと感じています。今後も、経済の好循環
実現に向けて、中小企業・小
規模事業者で働く方々を含め、賃金上昇の動きが広がっていくことを強く期待しています。
一方で、今般の
消費税率の
引上げは、
社会保障制度をしっかりと次
世代に引き渡すとともに、国の
信認を
維持していくためのものであり、増収分は全額
社会保障の充実、
安定化に充てられます。こうした趣旨について
国民の皆様に丁寧に説明してまいります。
また、
消費税率の
引上げに当たっては、これに伴う
影響を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、経済政策パッケージを着実に実行してまいります。
所得の低い方には
影響を緩和するための簡素な
給付措置など、直接的な家計
支援策を講じるとともに、
政府一丸となって万全の転嫁対策を講じてまいります。
なお、
消費税率の一〇%の
引上げについては、
税制抜本改革法にのっとって、経済
状況等を総合的に勘案しながら本年中に適切に判断してまいります。
社会保障制度改革について
お尋ねがありました。
急速な少子高齢化の下、
世界に冠たる
社会保障制度をしっかりと次
世代に引き渡していくためには、
消費税の
引上げにより
安定財源を
確保しつつ、受益と
負担の均衡が取れた
制度へと不断の改革を進めていく必要があります。
年金額の
見直しは、本来の
給付水準に比べて高くなっていた特例
水準について、
段階的にその解消を図るもので、将来の年金額を
確保するためには必要な改革です。
七十歳から七十四歳の方々の医療保険の窓口
負担の
見直しは、新たに七十歳になる方々から二割
負担とするものであり、現在一割
負担の七十歳から七十四歳までの方々について二割
負担とするものではありません。また、新たに七十歳になる方々については、それまでの三割
負担から二割
負担になるので、
負担増とはなりません。
介護保険
制度の
見直しは、住み慣れた地域での暮らしを継続できる体制の
整備や、
所得の低い方々の保険料の軽減などの
制度の充実と
重点化を同時に行うものです。要
支援者への
給付や特別養護老人ホームへの入所を含め、必要な人には適切な
給付やサービスが提供される
制度としてまいります。
以上のことから、お年寄りいじめとの
指摘は全く当たらないと
考えます。
労働者派遣
制度の
見直し、非正規雇用労働者の現状について
お尋ねがありました。
労働者派遣法の改正案は、労働者派遣
事業を全て許可制とし、
事業の質の向上を図るとともに、派遣労働者のキャリアアップの
支援や雇用の安定を図り、派遣期間の設定を労使双方にとって分かりやすい
制度とする観点から行うものであります。正社員を希望する派遣労働者の方々には、このキャリアアップの
支援や正社員化を推進するための
措置を通じてしっかりと道が開かれるようにしてまいります。
また、今回の改正案による派遣期間制限の
見直しに伴い、派遣期間の上限等に違反して派遣労働者を受け入れた派遣先に課せられることとなる労働契約の申込義務は、労働契約の申込みを行ったとみなされる仕組みに改められるため、派遣労働者の保護は強化されると
考えています。さらに、非正規雇用労働者については、賃金が低い、能力開発の機会が乏しい、セーフティーネットが不十分といった
課題があることを踏まえ、キャリアアップ助成金の拡充などにより、雇用の安定や処遇の
改善を進めてまいります。
労働者派遣
制度の
見直し、最低賃金の
引上げについての
お尋ねがありました。
労働者派遣法の改正案は、ただいま申し上げたように、派遣労働者のキャリアアップ
支援や雇用の安定を図るなどの観点から必要なものと
考えています。もちろん、最低賃金の
引上げに取り組むほか、企業収益を賃金上昇の
実現につなげていくことも大変重要と
考えています。
最低賃金については、
平成二十五
年度において全国平均で対前
年度十五円の
引上げが行われたところでありますが、中小企業等の
支援も工夫しつつ、労使と丁寧に調整するなど、引き続き
引上げに向けて努力してまいります。
東日本大震災からの復興について
お尋ねがありました。
被災地における住まいや生活、なりわいの再建に向けて、
政府としては、被災者生活再建
支援金による
支援や、中小企業等グループ補助金等による
事業者の設備等の復旧を
支援してまいりました。また、復興大臣の下にタスクフォースを設置し、住宅再建や商店街等の再生に向けた加速化
措置を打ち出してまいりました。さらに、復興
事業については、現場の
実情に柔軟に
対応できるように、復興交付金を創設し、その運用の
改善を図ってまいりました。
今後とも、現場の声にきめ細やかに
対応し、被災地の復興に全力を尽くしてまいります。
福島の被災者への
支援について
お尋ねがありました。
福島の再生については、
政府として、昨年末に、早期帰還
支援と新生活
支援の両面で福島を支えるという方針を打ち出したところです。この方針を踏まえて、線量
水準に応じた防護
措置を具体化、強化し、帰還に伴う放射線による健康
影響への不安に応えていくとともに、引き続き必要な県民健康管理調査を継続していきます。
同時に、帰還する住民の方々の生活を支え、働く場を
確保することを目指し、賠償や福島再生加速化交付金等の
支援策も拡充していきます。あわせて、帰還困難区域を始めとした地域については、新しい生活を始めるために必要な追加賠償を行うとともに、復興拠点を
整備していきます。
こうした
取組により、
原発事故の避難者への
支援を充実してまいります。
原発の再
稼働について
お尋ねがありました。
エネルギー政策については、
国民生活や
経済活動に支障がないよう、責任ある
エネルギー政策を
構築することが何より重要です。
原発については、福島の事故の教訓を踏まえ、安全を
確保することが大前提です。その前提の下、独立した原子力規制委員会が
世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な
審査を行い、これに適合すると認められない限り再
稼働はありません。
その上で、徹底した省
エネルギー社会の
実現と
再生可能エネルギーの
最大限の
導入を進め、
原発依存度は可能な限り低減するというのが基本方針であります。しかしながら、電力供給における海外からの化石燃料への依存度が第一次石油ショック当時よりも高くなっているという現実を
考えると、そう簡単に
原発はもうやめたというわけにはいきません。
川内
原発の再
稼働について
お尋ねがありました。
再
稼働に当たっては地元の理解を得ることが重要であり、地域の防災・避難計画は、地域の
状況に精通した自治体が策定するものであり、住民の安全、安心を高めるためにも継続的に
改善、充実を図っていくべきものであります。できないという後ろ向きの発想ではなく、どうすれば地元の理解を得られる、より良いものにできるかが重要であります。
国としても、これを全面的に
支援しているところであり、その進捗
状況などについて原子力防災
会議において確認する方針です。また、万が一の事故の場合には、自衛隊の車両、船舶の活用を始め、住民の避難への
対応に総力を挙げて取り組んでまいります。
入院患者やお年寄りなど要援護者の方々の避難については、無理な避難をせず屋内退避できるよう、病院や福祉施設の建物に換気用エアフィルターなどを設置する放射線防護対策を
財政支援しているほか、
原発事故時に避難先や輸送手段などを
確保できるよう、県、市町村、病院、福祉施設の関係者が、県外も含めて避難先や輸送手段を国の協力も受けつつ調整できるネットワーク組織を設置すべく
支援しているところです。
政府を挙げて自治体を力強く支え、地域の防災・避難計画の充実に向けてしっかりと取り組んでいます。
国営諫早干拓
事業と有明海の漁業被害について
お尋ねがありました。
諫早干拓
事業をめぐっては、国は、開門義務と開門禁止義務の事実上相反する二つの義務を負っており、いずれか一方の立場に立つことはできない
状況にあります。この問題の解決に向けては関係者による話合いが重要と
考えており、
政府としては、関係者に対して粘り強く話合いを呼びかけ、接点を探る努力を続けてまいります。
また、今期の有明海においては赤潮によるノリの被害が発生していると承知しており、
政府としても関係各県と協力して情報収集に努めてまいります。
名護市長選挙の結果の受け止めと普天間飛行場の移設に向けた
取組について
お尋ねがありました。
住宅や学校に囲まれ、住宅地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない、これは安倍
内閣の基本的な
考え方であり、
政府と地元の皆様の共通の認識であると思います。
選挙の結果については真摯に受け止めたいと思いますが、
地方自治体の首長選挙であり、
政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
政府としては、普天間飛行場の移設について引き続き丁寧に説明し、その危険性を除去し、基地
負担を軽減するための
取組について地元の皆様の御理解を求めながら、できることは全て行うとの姿勢で返還に向けて全力で取り組んでまいります。
残余の
質問につきましては、原子力規制委員会委員長から
答弁させます。(
拍手)
〔
政府特別補佐人田中俊一君
登壇、
拍手〕