○有田芳生君 差し支えるとおっしゃるならば、こちらからお示しをしたいと思うんですけれども、私は昨年の五月三十一日、この
法務委員会でもこの
人種差別デモについて
質問をしました。そのとき、新大久保で続いていた在特会を中心とする
人たちのデモについて、その中身が、これ映像などでも見ていただいた議員の方もいらっしゃると思いますけれども、当時、新大久保のデモの中では、いい韓国人も悪い韓国人も皆殺せ、あるいは朝鮮人、毒飲め、首つれというようなプラカードを掲げ、そしてシュプレヒコールの中でもそういうことが繰り返されておりました。それに対して私は外務省の担当者に、これはもう差別じゃないですかと、日本が加入をしている
人種差別撤廃条約の規定に基づいてもおかしいんじゃないかという
質問をしましたけれども、頑としてお認めになろうとはしませんでした、差別だとは言いませんでした。
人種差別撤廃条約に基づく禁止し終了させる
内容じゃないですかと何度も何度も聞きましたけれども、差別とはお認めになりませんでした。
しかし、この京都地裁の一審判決ですけれども、そこの
人種差別撤廃条約の規定を引用しまして、そういう差別については禁止し終了させる
義務があるんだということを一審判決の中では書かれたんですよね。ですから、それが今後どう認定されていくのか。たしか七月八日に大阪高裁の判決は出るはずですので、それがまたどういう表現になっていくのかということを含めて注目をしたいと思うんですが、やはり判決の中で
人種差別撤廃条約の規定が明記されたというのは、これは非常に大きなこれまでの
裁判にない特徴だと私は理解しております。
そして、実はこの問題、何度も何度もなぜ取り上げるかといいますと、やはりオリンピック・パラリンピックを控えて、外国からも、日本に行ったら、例えばイギリスの大使館でも、日本に旅行する
人たちは注意しなさいよと、
人種差別的なデモなんかがあったら危ないからすぐにそこから立ち去りなさいという旅行者注意の喚起がホームページなんかでも堂々と掲げられてしまっている。非常に恥ずかしい状態をやはり克服しなければならないということと同時に、私は、まずこの問題の
基本というのは差別された
人たちの心の傷、そのことについてやはり私たち日本人は心を致さなければいけないというふうに思っているんです。
今紹介していただいた二〇〇九年十二月から二〇一〇年にかけての三回にわたる京都朝鮮第一初級学校の襲撃
事件について、これは父親、母親たちも傷つきましたけれども、子供たちもいまだ傷ついているんですよ。もう
事件から四年以上たちますけれども、夜尿が治らない、出てきたというような子供たちも含めて、とんでもない心の傷が、私たち、外から見ていると分からないんだけれども、やはりそういうことが続いている。それが京都の朝鮮学校だけではなくて、大阪鶴橋でも北海道でもやっていますし、名
古屋でも福岡でも、いろんなところでいまだ差別行為が行われていることを、それを聞いている
人たち、中国人も含めて、非常に心傷ついているという実態を私たちは知らなければいけないというふうに思います。
そこで、今日、皆様方に資料をお届けいたしました。公明新聞、今年の五月十九日付けの書評です。先ほど御紹介いただきました京都朝鮮学校襲撃
事件について、元毎日新聞の記者がルポを書きました。幾つもの書評が出ておりますけれども、この一橋大学の名誉教授の田中宏さんが書かれたこの書評が最も優れたものだと私は判断をしまして、皆さんにお届けをいたしました。赤線を引いておきました。子供たちの心、読み上げます、子供たちが
質問するというんです、朝鮮人って悪いことなん、朝鮮学校やからあかんのん。それで母親がこう言っております、近所のスーパーで娘にオンマと呼ばれたとき背中に冷たいものが走った、あるいは、こんだけやられても誰も守ってくれないのかな、そもそも私らに人権なんてないやないか。
これはまだまだこういう証言はあるんです。電車の中、バスの中で母国の言葉をしゃべっちゃいけないよということを親が子供に教えざるを得ないような
状況が続いている。さらに、あえて言えば、二〇〇二年、小泉訪朝によって北朝鮮が本当にひどい、非道な拉致問題を認めてきたときから、こういう事態が日本ではずっと続いているんですよね。
だから、この
人たち、朝鮮人だけではなく、中国人、フィリピン人、そしてブラジル人を含めとして、在日外国
人たちがひどい差別に本当に悩み、心傷ついているという、その現実を少しでもやはり変えていかなければいけないという思いで、この問題、更に前に解決のために進めていかなければならないと思っておりますが。
谷垣大臣、そういう実態、つまり被害者の立場に立って物事を考える、もっと立派な日本をつくっていくためにも、この問題、どう進めていけばいいのかということを、少し所感をお話しいただければ幸いです。