○谷亮子君 ありがとうございました。
やはり、
法曹人口不足の
要因というのはいろいろと
考えられるところがあると思いますけれども、私も
法務委員会に所属をさせていただいておりますので、是非ともこの問題が
法曹界全体にとりましても良い方向へ進んでいただくことを望んでおりますし、
法曹人口の増大は
法曹界にとりましての喫緊の課題とも言われておりますので、正しい
施策が必要となってくると思っております。
そこで、一つ私が今回大変関心を持ちましたのが、日本の
法曹人口不足と日本の医師不足ということでございました。
現在、日本は医師不足とも言われておりまして、日本の医師界におけるこれまでの実情と現状を振り返ってみますと、これは一九七二年十一月、田中内閣の下で自民党文教部会が、最近の医療需要の増大に対処するため医師等医療関係者の長期養成
計画を発表し、国立
大学を中心として医科
大学の増設を推進することを
決定いたしました。昭和四十八年は三校、昭和四十九年は四校、昭和五十年度は四校、そして昭和五十一年度も四校の計十五校を新設されるなどして長期養成
計画が進められてまいりました。そして、十年後の一九八二年七月に臨時
行政調査会がまとめられました
行政改革に関する第三次答申(基本答申)の中で、特に医師については過剰を招かないよう合理的な医師養成
計画を樹立すると提言いたしました。これを受けまして、当時の鈴木善幸政権が一九八二年九月の閣議で医師抑制策を
決定いたしました。これを機に、一九七九年の琉球
大学の医学部設置以降、これは三十年以上にわたりまして一か所も医学部を新設されない
状況が続きました。
医師になるには、医学部を卒業し、医師国家
試験に合格することによりまして医籍に登録され、医師としてこれは活躍することができるわけですが、このように医師過剰を
懸念し医師抑制策を図ったことが、かえって一九八〇年代の医療現場の実情に基づくものではなかったとも言われておりまして、現在の
状況である医師不足につながったものとされているわけでございます。
そして、この医師不足の
影響は
国民の皆様の生活にも大変な
影響を及ぼすものとなってしまいました。これは二〇〇八年七月六日の日本経済新聞の朝刊にございましたけれども、全国各地の中核的な病院を対象に実施した調査を伝えているものがございました。この記事によりますと、回答した約五百五十病院の約六割が二〇〇三年から二〇〇七年の四
年間に医師が確保できないという
理由で診療体制を縮小していたということが分かったということ等々ございまして、最悪、医療難民を生み出すケースも
考えられるということでございました。
これから日本は少子高齢化を迎えると
考えられている中で、また人口
減少も
考えられている中で、当時は厚生労働省というわけではなく臨時
行政調査会として取りまとめられていた医師抑制策を、今度は厚生労働省と
文部科学省が
平成二十五年度概算要求に合わせ、既存の取組も含め、地域の医師確保のための取組二〇一二を連携して取りまとめられております。このように、医師抑制策は今となっては医師確保対策として変更されまして、このことは日本の医師界における喫緊の課題となってしまっている現状がございます。
こうしたことがやはり
法曹の世界で連鎖されることがないように、この数値の設定や抑制策ということは、これ一旦、
減少ですとか削減をしてしまいますと、今度増大するときにはその何倍、また何十倍もの努力が必要になるということをやはり医師界の流れを見て学び、そして学ぶだけではなく生かされなければならないと私は思っております。そして、日本は法治国家であります。また、法律によって日本の
国民の生活や
社会の秩序が守られているわけでございます。
そして、このようなことを踏まえた上で
法務省にお伺いいたしますけれども、
平成十三年の政府の
司法制度改革では、
国民生活の様々な場面における
法曹需要は量的に増大するとともに、質的にますます
多様化し高度化することが予想される。これらの諸
要因への対応のためにも、
法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとしていて、
司法試験合格者数を三千人
程度とこれは当初されておりました。
この取組で、一九九〇年以前は五百人
程度の
司法試験合格者だったのが、更に伸びまして、
平成二十年からは二千人
程度が安定した推移で
司法試験に合格されているという現状にございます。これは二つの私は捉え方があると思います。たった二千人という捉え方か、これだけの方が合格されていると、二つの捉え方がここでは私はあると思います。
そして、
法曹人口の質の向上を図ろうというお
考えから、また新たな御
意見も提言されているようでございます。
司法試験合格者数を
平成二十八年度までに千八百人から千五百人
程度にこれは
減少させようというお声もございまして、緊急提言としてまとめられまして、
谷垣法務大臣そして下村
文部科学大臣に申入れされたと報道でも出ておりました。
こうした
司法試験合格者数を
減少させることによって
法曹人口の質の向上を図ろうというお
考えも十分
理解できると思いますが、医師抑制策によって医師不足の問題が発生をしたように、
司法試験の
合格者を
減少させることによって、現在よりも
志願者そして
受験者が
減少をし、将来、
法曹人口不足につながるのではないかと
懸念されますが、
法務省としての御所見を伺いたいと思います。