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小川敏夫君 とにかく、
改正案ですから、どういう
改正案を説明するか、どういう
議論をするかはこれは議会が決めることでして、提案する
法務省の方で、これは必要ないからなどといって省かれちゃこれは困るわけですので、今回、軽微だから、あるいは問題がなかろうと判断したといっても、改正する項目ぐらいは載っていないと、これは何の手掛かりもなくなってしまうわけです。
我々も
法務省という役所を信頼していますから、改正はこういった内容ですといって七つしか書いていなければ、七つだったかな、六つだったかな、まあとにかく、書いてあることしか、書いてあることが改正点だなと思って、そのほかに改正点があるということは説明受けなければ、なかなかすぐには分からないわけですから、やはりこれは、私は、言わば
法務省という役所から国会そのものが愚弄されたのではないかと、このように思っております。
もうゆゆしき事態だというふうに思っておりますが、
大臣が知らないところでなされたことでしょうから
大臣の監督責任は別としまして、
大臣に責任が直接あるとは思いませんけれ
ども、こうしたことは絶対に繰り返されないように、私は心していただきたいというふうに思っております。
じゃ今度、会社法の中身に入りますけれ
ども、私、法案の中身の話じゃないんだけれ
ども、キャッシュアウトという
言葉自体がどうも好きじゃないんですよね。だって、キャッシュって現金でしょう、アウトって出ていくことですよね。これ現金が出ていく、英語を直訳すれば現金支払か現金出ていくというのが何で支配株主の売渡し請求を
意味するのか、全然結び付かない。何か横文字で言われるとすばらしい
制度じゃないかと勘違いしてしまうようなところがあるんですけれ
ども、私は、キャッシュアウトで、キャッシュアウトが行われているからといっても、英語が言わばこの
法改正の中身を直接
意味するものじゃないし、しかも、使っているキャッシュアウトという
言葉の中には、この会社法の中で様々なやり方がある、言わば手法がある
幾つものことを含んでおるんでして、何か支配株主の株式売渡し請求でキャッシュアウトで、キャッシュアウトだから、もうやられていることで、だから、もうやられていることをそのまま明文化、簡略化したものだというと、どうも何か
言葉でごまかされているような気がするんですね。だから、私は、そのキャッシュアウトという
言葉は何か実態にそぐわないし、どうも
問題点を紛らかすかのような
言葉だとちょっと感じております。まあ、これは別に法律の論争じゃありませんから。
それで、
大臣は今説明の中で、今までもう行われていることだと。それを言わば定型化して要件を課してというような趣旨でございました。今まで行われていることだということでありますけれ
ども、これまでの話ですと、
一つは株式交換、もう
一つは全株取得条項付株式ですか、この種類株式を使う方法だと思うんですね。
株式交換というのは、ただ、会社が吸収合併と同じようなこととして、法人間から吸収されたんじゃなくて、ある会社の完全子会社になるという限定された場合だけであります。しかし、全株取得条項付株式の場合には、確かにおっしゃられるように幅広く使われている部分があります。
ただ、私はそれについて、まず言いたいことが二つあるんです。まず
一つは、全株取得条項付株式という種類株式の
制度を作ったのは、一〇〇%減資による
企業再生の手続をスムーズに進めるためだということがこの全株取得条項付種類株式の創設だったというふうに思うわけです。
一〇〇%の減資ということは、これは株式は無価値ということですよ、一〇〇%減資されちゃうということは株式がゼロになるということですよ。無価値の株式だったら、その株式を売った人、取られた人の代金を保護するという必要性は実質上ないですよね。だから、一〇〇%減資というものを想定して、それをやりやすくするためにつくった
制度だから、株式を取られちゃう人の代金を保護するという
制度は本来必要ないものだから、そういう保護
制度がなかったんだなというのはそれはそれで納得できると。
ところが、実際には、そういう目的で創設した全株取得条項付種類株式の
制度なんだけど、そういう
制度ができたら、つまり、そういう
制度をつくったときに、これは一〇〇%減資を行うときだけできる
制度だよという法律の限定もしていないし、民事再生手続に入った場合にだけできるんだよという限定もしていないんで、言わば無限定にそういうことができる法律の規定になっておったわけです。
ですから、そういう、立法趣旨としては一〇〇%減資のそうした手続を集団的にスムーズに行わせるという目的で作った法律なんだけど、しかし、実際の法律の体裁はあらゆる場合にできるという無限定の体裁になっているから、事実上の運用として、減資に限らず、株式を会社がまとめたいという場合に、つまり、価値ある株式についても強制的に買い取れるという仕組みに運用されるようになってしまったわけです。私はこれが今の実態だと思うんです。
であれば、本来違う使い方に使われているんである、本来の使い方なら無価値の株式を集めるという趣旨だったものが、今度は価値ある株式が会社に買い取られてしまうという
制度に変わったんであれば、やはり株式を取られてしまう人の保護の
在り方をどういうふうに
考えるかというのが私は本筋だと思うんですよ。
ところが、そういう本筋の
議論を忘れて、本来の無価値の株式を集めるという
制度が価値ある株式も集めるということに使われてしまっている。使われてしまっているという事実があるから、そういう事実があるんだから、今回もそのままこういう規定でいいでしょうということになっているわけでして、私は非常に、今行われているんですから、行われていることをそのまま法律にしただけですと、同じような形をより明確に法律にしただけですと言われても、とても納得がいかないんで、やはり初めにこの全株取得条項付種類株式の
制度を導入したのは、一〇〇%の減資をスムーズに進めるためだと、無価値の株式を集団的に集めるための手続だと、だから株式を取られる人の代金の保護の規定はなかったんだと。しかし、そうじゃないんであれば、やはり、株式を取られる人、強制的に買われてしまう人の保護の規定は必要だということで
検討するのが私は筋だと思うんですよ。
ですから、私は、
大臣が、今でも行われていることを同じようにスライドして規定したのがこの支配株主による少数株主への株式売渡し請求だと言われると納得がいかないんです。どうでしょうか、そうしたことについての
大臣のお
考えは。