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小川敏夫君
会社の取締役会の承認が大きな歯止めになっているというのは余りにも空論ですよ。だって、買い取る方は九割の
株式を持っている
支配株主ですよ。言わばオーナーですよ。ですから、オーナー自身が社長かもしれないし、まして、そこにいる
会社の取締役というのはオーナーに選ばれた人、もうほとんど使用人と同じじゃないですか。少なくとも九〇%の
支配株主のオーナーがいる、そのオーナーの
意思に逆らってオーナーのやろうとしていることを駄目だなんという、そんな勇気ある人は、いるかもしれませんけど、だけど、そこで大きな歯止めが掛かるなんというのはそれは常識的には
考えられないですよ。
それから、聞いてもいないのに答えましたけど、
少数株主の
保護のために
価格を
裁判所に決めてもらう
手続があるとか、差止め
請求ができるとかある。だけど、
裁判所に
価格の決定の申立てをしても、あるいは差止め
請求しても、それはどうぞおやりくださいと、それは、
手続は
手続だけど、
支配株主が決めた日に株は
移転しちゃうんでしょう、
代金をもらっていないのに。その後、裁判で決着が付いたらそのときに払ってもらいなさいと、こういう構造ですよね。
じゃ、
価格が不満だから、あるいは差止め
請求をやって、しかし株は行っちゃったと。何年か裁判やっている間に
支配株主が破産しちゃった、脱税で捕まっちゃった、あるいはどこかに逃げちゃった。様々な事情があって結局払ってもらえなかったら、取られ損じゃないですか。そういうリスクがあるから、強制的に買われちゃう人のその
立場というものを全く
考えない、むしろそういうリスクにさらすこと自体が問題なんじゃないですかと。
しかも、これは憲法上保障される財産権のはずなのに、買い取る方は、公益でも何でもない、公共の利益と言えるのかどうか。一私人の利益ですよ。そのために、強制的に
少数株主の財産である
株式を取り上げて、売買という形で取り上げても、しかしその売買
代金は払われないというリスクがある、そのリスクを生じないように講ずる手だてが余りにも不十分、これで私は欠陥法案じゃないんですかということをさんざん
指摘しているわけです。もうそれに対する答弁も大体想像されますけどね。ですから要らないです。
ですから、
大臣、どうでしょう、例えば、持っている
会社も、それからそれを買い取るところも信用がある大
企業の
会社で、社会的な
立場も十分気にする
会社で資力もあるという優良
会社を前提に描いていると私は問題を見誤ると思いますよ。そういうところでは多分問題は起きないでしょう。しかし、この
法律の
規定は全ての
会社に適用されるんですよ。ですから、しつこいようですけれども、本当に個人
会社でも適用されると。どんな場合だって、いろんなケースが
考えられると思うんですよね。
ですから、
谷垣大臣が九〇%でといって、
谷垣大臣が持ち逃げすると言っちゃ失礼だから、また例を変えますけど、Aさんが
支配株主で、Bさんがいると。この
少数株主のBさんはAさんから嫌われているはずですよ。だって、Aさんは
自分で持ちたいと言うのに、こっちで手放さないんだから。Aさんの言うことを聞かないわけでしょう。だから、Aさんとすれば大体余り面白くないと思っているはずなわけです。これ、今度はこの買取り
請求があるんだから、ああ、買取り
請求してやろうと。
代金の不満がある、ああだこうだやっているときに、これは
支配株主といったって、ほかにそれを超える借金を持っていたり、あるいは三年前ぐらいに大きな脱税していて、やった瞬間にすぐ捕まっちゃったとか、あるいは、お金はたくさんあるんだけど、このBだけはさんざん俺の言うこと聞かなかった、今度は懲らしめてやれといって逃げちゃうとか、いろんな場合があると思うんですよ。
ですから、そういう問題が起きないだろうという理想的なケースだけ描いているんじゃなくて、そうじゃなくて、やはり
法律の立法者としては、あらゆるケースに適用される
法律なんだから、あらゆるケースの中で、やはり
少数株主の利益が不当に侵害されることがないように、不当に損なわれることがないような手だてを十分に講じるのが私は立法者の責任だと思うんですよ。私はそれが足らないんじゃないかということを再三
指摘しておるんですけれども、どうでしょうか。そこを聞いて、ちょっと今日の質問は終わります。