○谷亮子君 ありがとうございました。
実際には、ただいま御
説明いただきましたように、救済につながるという
観点からそのようにされたのだということが分かりました。私といたしましては、親
会社がグループ
企業全体のガバナンスの向上への自主努力に対して信頼が高ければ多重代表訴訟の
制度は実効性を持たない
制度となると思いますので、これはそうなることを個人的には望ましいというふうに感じているところでございます。
そして次に、また伺ってまいりたいんですけれども、
改正案であります第二百五条二項
関係と二百四十四条第三項
関係について伺いたいというふうに思っております。
現行法第二百四条第二項では、募集株式が譲渡制限株式である場合には、募集株式の割当てを受ける者及びその者に割り当てる募集株式の数の決定は、
株主総会の決議、これは
取締役会設置
会社にあっては
取締役会の決議によらなければならないものといたしております。
株主の個性が問題となる
会社の譲渡制限株式ですので、株式総会の承認を要することで規律するものでございまして、実質的には譲渡制限株式の譲渡の承認の規律を譲渡制限株式の募集に際しても及ぼそうとする
趣旨に基づく規定であるということでございます。
これに対しまして現行法第二百五条は、募集株式を引き受けようとする者がいわゆる総数引受契約を締結する場合には、募集株式の申込み及びその割当てについて定める現行法、二百三条及び二百四条の規定を適用しないものとこれはしております。総数引受契約というもの、本来は、引受先と
会社との間で発行する株式の全部をこれは引き受ける契約でございまして、既に引受先が決定をしていて出資金の払込みが確実である場合、総数引受契約を締結することにより手続をこれは省略することが可能になるという規定であります。これにより、スケジュールを大幅に短縮でき、形式的で瑣末な書類を多数作成して送付する等のコストがこれは省けることにもなるわけでございます。そして、募集割当て手続が
取締役会決議あるいは
株主総会決議になくても、これは代表
取締役の決定で割当て先が決定できるということになるわけでございます。
今回の
改正法の二百五条二項では、募集株式を引き受けようとする者が総数引受契約を締結する場合にあって、当該募集株式が譲渡制限株式であるときは、
株式会社には事前に
株主総会の特別決議、これは
取締役会設置
会社にあっては
取締役会の決議によって当該契約の承認を受けなければならないとされており、ただし、定款に別段の定めのある場合にはこの限りではないとして、二百四条の二項と同じ規律を及ぼすようにこれは
改正をされております。
また、第二百四十四条第三項の規定でも、募集新株予約権が譲渡制限新株予約権である場合、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数引受契約を締結する場合においては、第二百五条の二項と同様の規律がこれは設けられております。
この
改正は、今回の
会社法制の見直しに関する要綱の中では、これはその他のところに分類されておりまして、これはある意味実務上は大変でまた重要な
改正であったというふうに私は感じているんですけれども、なぜこのような二つの規定が今まで設けられずに今回の
改正になったのかということをお聞かせいただきたいと思います。