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公述人(岡田達文君) ただいま御紹介いただきましたJAいずもの岡田でございます。
今日は、
農林水産委員の
先生方には、JAいずも管内、現地を視察していただきました。ありがとうございました。
JAいずもにおける
飼料用米の
取組について
報告をさせていただきます。
二ページ目のところでございます。まず、JAいずもの位置図でございますけれども、県東部に位置をしております。中国山地を源とする斐伊川、神戸川の集積地、
出雲平野を中心としたところにございます。転作率は、平野部で四八%、
山間地や中
山間地で三七%となっております。当
地域は水田地帯であって水稲の単作地帯であるということから、
飼料用米なら天候に左右されず既存の機械が利用できる点に着目し、
取組を進めてまいりました。
三ページ目のところでございます。
出雲市には、JAいずもと斐川町の二JAがございます。JAいずも管内、人口は十四万六千人余り、正組合員一万三千人ほどでありまして、准組合員五万三千人、合わせて六万六千名が組合員であるということでございます。
出雲市の世帯数、JA管内五万一千世帯くらいあるわけですけれども、このことから見ても、ほとんどの人が、かなりの人がJAいずもの組合員であるというふうに思っているところでございます。
四ページ目のところ、JAいずもの
事業概況のところを出させていただいております。JAいずもの
事業概況、
平成二十五年度、
農業の
生産額、
平成二十年来初めて、のところで八十一億円というところになりました。
平成八年に合併した頃には百億という取扱額もあったわけでありますけれども、今、ああして転作も進む中、あるいは米の下落、あるいは、先ほど話がございますように、デラウエア、これ最高では三十億くらいございましたけれども、今は半分の十五億程度しかないというようなことで、非常に苦慮をしているという
状況でございます。
五番目のところでございますけれども、JAいずもの主要農産物というのは、ここのページに書いてございますけれども、JAいずもを五つのブロックに分けております。ここで
事業運営を行っております。そのブロックごとに営農センターを設置し、
地域の特性に合った営農指導活動を行っております。平野部では、水稲、ソバに加えて、菌床シイタケ、ブロッコリー、青ネギ、アスパラというのをやっておりますし、国引き神話、大社を中心とするところ、ここで加温デラウエアというものを作っているところでございます。
六ページ目のところ、JAいずもの水田営農面積
状況というところでございますけれども、JAいずも管内の水田経営面積は四千七百二十七ヘクタールございます。御覧のとおり、
農業法人、特定
農業団体、協業経営型の任意組合、
作業受託・共同利用型の組合、認定
農業者、中核
農家、あるいは水田の
担い手と位置付けております。その
担い手の
農地の集積面積は二千四百七ヘクタールで、
担い手の集積率五〇・九%となっているところでございます。
七ページ目のところに、
飼料用米の普及
拡大の
目的と
意義についてでございますけれども、
生産者は、
生産資材や農機具がそのまま使えるということ、また水田
機能が維持できること、国の
支援により経営的にも主食用米並みになっている、また堆肥等を利用することによって耕畜
連携、循環型
農業、稲わらの
生産の
推進にもなります。畜産側にとっては、ほとんどが輸入飼料であることを考えれば、安全な国産穀物飼料が
確保できることによって大きなメリットがあります。
飼料用米を利用することで、今まで海外に払っていた飼料代が
地元に落ちることになります。本県の全家畜の一割を代替することとしても、八億から十億円程度がこの収益になるというふうに思っております。この経済
効果は非常に大きいものがございます。消費者側にとっても、
地元の農畜産物の安全、安心の
確保につながるということでございます。
次のページでございますけれども、JAいずもでの
取組の始まりというところでございますけれども、JAいずもにおける
取組ですが、管内の
飼料用米の
取組は、
平成十九年の試験栽培十アールから
取組を開始しております。当時の狙いとしては、転作面積増加に伴う耕作放棄地の解消が
課題でありましたが、乾田化できない圃場や、麦作等の別途機械投資が必要な品目が、こういうことによって、栽培が困難な
生産者が既存の機械で
生産できる、転作できるという可能な品目として、飼料の高騰
対策も考慮してこの
飼料用米の
取組をしたところでございます。
次のところでございます。
平成二十年には国の
農業政策の方針に追随し、県と
連携して管内で六・六ヘクタールの栽培に着手をいたしました。養鶏
農家への
最初は玄米という格好で給餌を
実施し、栽培の実証や流通方法、
生産コストの削減を模索をいたしました。
平成二十一年度において、養鶏部会の要望に応じて、国の水田等有効
活用促進交付金の
支援を受けて
飼料用米生産を強力に
推進いたしました。その結果、養鶏
農家の十万羽に対して、一〇%程度のもみ米配合という、必要な六十ヘクタールの作付面積に至りました。
平成二十二年度においては、国の戸別所得補償モデル
事業の
効果もあって大幅に面積が
拡大し、前年の三倍となりました。
平成二十三年には、戸別所得補償
制度が本格
実施され、二十一年度より栽培面積が五倍まで
拡大をしたところでございます。また、本年度、二十六年度では、三百五十ヘクタールの作付けが予定をされているところでございます。
次のページのところでございますけれども、この
飼料用米の
支援対策というものもしております。品代が安いわけでありまして、JAいずも管内では、今も転作作物助成の基金をつくっております。以前あったように、
地域共補償
制度というのを今も存続をしております。
生産者の方から拠出されるもの一億五千万円、
出雲市さんから頂戴をする一千万円、JAが拠出する一千万円。一億七千万円で、いろいろなところで
支援をしているところでございます。ここにも書いてございますように、
飼料用米の団地でやっていくと、一ヘクタール、反当七千円を出しますよと。あるいは、これはA、Bとありまして、中
山間地はなかなか一ヘクタールがまとまらないならば、五反くらいのところでやれば反当五千円出しますよというようなところでやったり、あるいは
飼料用米の数量払い、我々は
平成二十三年度から、余りにも
飼料用米が安いものでありまして、キロ当たり十三円を
交付をしているところでございます。
また、もう
一つの基金として、JAいずも管内、
農業FFF
事業という補助
事業をしております。これは、
出雲市さんから七千万円、JAいずもから七千万円を拠出していって一億四千万円を、農産振興に四千五百万円、特産振興に四千五百万円、畜産振興に四千万円、それから多様な
担い手への
支援として一千万円、この一億四千万円、補助金ベースというところでいろんな
農業の補助を打っているところであります。
この中に、FFF
事業で
飼料用米を使っていただける方に、今度は実需者側の方に
飼料用米一トン当たり六千円を出しておりますし、WCS、ホールクロップサイレージ、これも
推進をしているところでありまして、これも一本当たり五百円、酪
農家に使っていただければ一本当たり五百円を補助をしているということでございますし、また、WCSは
生産者側にも補填をしております。WCSを作っている側に一本八百円というものを拠出しながらやっているところでございます。
十一ページのところに、本県のこの仕組みでは、保管、流通をJAグループが担っております。
飼料用米は全て
カントリーエレベーターで集約保管を行っています。実需者の要望に応じたフレコン出荷への
対応、あるいは主食用米との隔離保管を行うためのライン改修を行いました。
また、五月からは麦の集荷もあり、カントリーから排出する必要に迫られていることから、また主食用米とのコンタミ防止をするために、管内三か所の
カントリーエレベーターを市、国の補助金を利用して改修を行いました。十二ページのところに三か所の要項は書いてございます。三か所で最大乾もみ重量二千四百トンの貯蔵が可能となっております。県内でも最大となっております。
次のページ、十三ページのところに、この流通
体制では
生産者、利用者に保管等の
負担を掛けない仕組みにしております。また、
生産者も利用者とマッチングに困らないという点があり、県下全体での
取組が可能となっているところでございます。
課題の面でございますけれども、十四ページ、
飼料用米が
出雲地域の活性化に果たす役割は非常に大きいものがあります。
飼料用米は、飼料自給率の
向上、
地域資源の循環、安全、安心な農畜産物の提供、
地域農業の維持発展、
地域にお金が落ちる仕組みづくりとして非常に重要な戦略作物です。しかしながら、今後この
飼料用米を安定的に
生産するためには幾つかの
課題があります。
一つは、長期的に安定した
販売先の
確保ということであります。これは全国に四百五十万トンの可能なものがあるというふうに言われておりますけれども、これがどこにあるのかということもまだ不明でありますし、これを運んでいくときの品代が余りにも安いわけでありまして、これを、運賃辺りをどうしていくのかというようなところの問題がございます。作っても売れなくてはどうしようもありません。そのためには、安定した販売価格を形成していくために、流通コスト、価格の低減
支援、あるいは
飼料用米の品代
支援が必要になるんじゃないかというふうに思っております。
また、利用
拡大では、配合飼料等、今日も御覧いただきましたけれども、養鶏
農家のところへは飼料会社へもみ米を持っていって完全飼料ができているわけでありますけれども、肥育
農家のところはまだこれを自家配という格好でやっているということですから、この方式もこれから
改善がなされれば更なる利用者の
拡大も考えられるというふうに思っております。
二番目として、保管
施設の
整備でございます。面積
拡大を図る上で
飼料用米を保管する
施設整備も必要になってきます。
三番目、
飼料用米の
拡大定着では、水田
活用の直接
支払交付金の長期安定化、今日、視察していただいた低コスト
生産技術の多収
技術の確立の普及だと思っております。この
飼料用米の
取組は食料自給率
向上、
環境保全に貢献していることを消費者の皆さん方にも理解していただいて、支持を得られるようにしていきたいというふうに思っているところであります。
生産調整の
方向性について、非常に我々は不安視をしております。
生産調整の
見直し等の報道によって、末端では、五年後を目途に、行政による配分に頼らずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ、
生産者や各団体が中心となって円滑に需要に応じた
生産が行われるよう各般の環境
整備を求めるとしていますが、食糧法において、国は我が国の主食である米の需給と価格の安定を図るとされていることから、引き続き国は米の需給と価格の安定に向けた
対応に責任を持って取り組むべきであるというふうに考えるところでございます。
規制改革会議より五月十四日に発表された
農業改革に向けた提言は、JAが協同組合として、利用者、
農業者の自主的な結集、運営により、利用者である組合員に最大の奉仕をする民間の組織であることは歴史的経過からも分かっておるところでございます。JAの経営
事業や
地域の実態と懸け離れた内容になっているというふうに我々は思っているところでございます。
見直しに当たっては、中
山間地域の実態、実情等を配慮いただき、
農業者、
農業団体、
地域住民の
意見を十分に踏まえて
検討していただくようにお願いをいたします。
ありがとうございました。