○小川勝也君 様々新聞報道がありますが、私がなぜ声を荒げるか。いろいろな立場の方がおられます。消費者には期待感、外食産業の関係者についても、いろいろなメニューを開発したり、キャンペーンやフェアの可能性が広がる、おおむね歓迎であります。松阪牛の産地では、コメントが朝日新聞に出ています。和牛ブランド松阪牛の産地、三重県松阪市では、「何も怖くない」、こう書いてある。では、
影響を最も受ける北海道ではどういう見出しになっているのか。「畜産の未来 描けない」、こうなっている。
この特殊事情については、予算
委員会でも林
大臣にわざわざクイズを出して御確認をいただきました。
豪州産の
牛肉の
関税が下がって最も
影響を受けるのは、北海道産を
中心とするホルスタイン種の肉であります。このホルスタイン種のいわゆる肥育は、酪農地帯においては欠かせないグループの一種であります。すなわち、酪農の収入は、いわゆる牛乳を搾って、販売価格がメーンであります。その副収入として、雌と同じ割合で生まれていた雄の販売、そして搾乳の終わった母牛の販売、このことによって経営が成り立っているわけであります。
昨今の事情は、いわゆる乳価、補給金単価のこともありますけれ
ども、実際大変な苦労が
現場では行われておりました。その主原因は、アベノミクスによる円安です。いわゆるエネルギー、灯油が高い、ガソリンも軽油も高い、電気料金も上がる、そして何よりも餌が高い。これが大変な
状況で、何とか酪農家の方はしのいできました。徳永
委員からも再三
指摘があったとおり、いわゆる消費税が上がる駆け込み投資の中でも牛舎の建築が一件もなかった。酪農に未来はあるのかないのか、いわゆるところの投資意欲が減退をし、酪農家にあっては息子を継がせていいのかよくないのかという
流れの中にあって、ぎりぎりの努力をしていた農家にこのメッセージが伝わったんです。
今、本当に苦しい中、
野村委員長は一番御案内ですけれ
ども、いわゆる子牛の価格が少し高い、このことを心のよりどころに苦しい経営をしていました。当然のことながら、これだけの
関税を数年にかけて緩やかに引き下げていくということでありますので、
国内対策を十二分にやっていただくのは、これは
当たり前のことです。だから今、私は
対策をしっかりやれなんということは言うつもりない。しかし、経営というのは銭、金だけでやっている話じゃないんですよ。どれだけの筆舌に尽くし難い
歴史が北海道の酪農を支えてきたのかということを少しでも分かってもらいたくて、いろんなことを申し上げてきました。
私のふるさとは、現在、人口三千人台の小さな町です。開拓者の先人の苦労を忍ぶ、いわゆる町民の文集があります。私も寄稿させていただきました。私の町の文集の名前は「凍裂のひびき」というタイトルです。これは、しばれる、裂ける。これはどういうことかといいますと、冬、余りにも外気温が低下し過ぎると、木がパキーン、パキーン、余りにもしばれると木が割れるんです、裂けるんです。木の専門家である長官、聞いたことあるかどうか分かりません、私も聞いたことありません。しかし、私の祖父の世代は、そういったところに開拓に入って、木を切り、抜根をし、少しずつ畑地を増やしていく、そして草地を増やしていく中に現在の畑作や酪農があるわけです。
御案内のとおり、国策で酪農家を募りました。そして、様々な
条件を国が提示をして、いわゆる原野に入植をしてください、ここで牛を飼ってください、日本国民にも牛乳を提供してくださいという国策で、少ない頭数と少ない草地
面積からたくさんの
方々が戦前戦後入植をした。しかし、今頑張っておられる方は、私の言葉で言うと、数々の数次のトーナメントを勝ち残ったごく僅かな
方々が今酪農をしているんです。オーストラリアと比べちゃ駄目なんですよ、こんなのは、経営規模は。
私たちは、農業改革も否定はいたしません。府県の小さな兼業農家がまさに産業として農業を背負っていけるとは思わないからです。ですから、様々な法案の審議にも積極的に参加をして、府県でも本州でも少しは主業的な農家が頑張って経営をできるようにしていくしかないなと思っている。しかし、北海道はもう規模拡大が進んでいる。これ以上戸数が減るとコミュニティーが危ないんですよ。だから、北海道の農家は減らしちゃ駄目なんだということを、私も徳永
委員も
横山政
務官も紙さんも訴えてきました。
でも、今回、
EPAで多分いいこともあると思いますよ。自動車のこと、あるいは外食産業ですばらしい
豪州産ビーフのメニューができて消費者が喜んでいただく、それは結構なことです。しかし、なぜこんなに北海道ばかりがこんな苦しい目に遭わなきゃいけないのか。日本の中で最も効率的な経営ができるのが北海道だということで、北海道の畑作も立派な畑作になったじゃありませんか。酪農もしっかりとたくさんの頭数を飼養していただいて、日本の中ではいわゆる経営効率のいい酪農になっているじゃありませんか。しかし、なぜそんなに北海道の酪農家を落胆させるようなことばかり
政府はしなきゃならないのか。
北海道の酪農家の方に、林
大臣が何かメッセージがあるとすれば、今この場でお伝えをいただきたいと思います。