○
荒井広幸君 新党
改革の
荒井でございます。
命を救う、健康をつくるという目的のためにこうした
法案が出ましたこと、そしてまた、官房
長官が取りまとめとなって実行力があるものをつくっていこうということで歓迎をいたします。
〔
委員長退席、理事芝博一君着席〕
私は、民主党政権時代に
医療イノベーション推進室というのがございましたが、そのときの反省を踏まえ、また福島県のこの大変な被害がありましたので、高度な
医療技術を集積するということの一環でBNCTという、まだ開発途上ですが治療方法、こういったものを導入することになりました。これらの事例を基に、ちょっと今回のこの戦略と
機構の件についてお尋ねをしたいと思っております。
民主党政権下において、
医療分野の
研究開発体制の必要性を民主党も認識されまして、これは高く
評価しますが、二十三年一月に
内閣官房に
医療イノベーション推進室が
設置されたわけです。このトップには中村祐輔先生、ヒトゲノムの世界的第一人者でありますし、同時にがんペプチドワクチンも推し進めていらっしゃる、東京
大学、当時は医科学
研究所の教授でありました。今日は自民党の松下新平筆頭理事もおりますが、一緒にも何度かお会いしたりして御
意見を伺ったことがございました。
中村先生はその就任当時、我が国は
大学などの
研究水準は世界的に見ても高いが、その
成果を
実用化に結び付ける国家戦略がない。その背景には省庁間の縦割りがある。
基礎研究は文部科学省、臨床、治療、治験は
厚生労働省、産業化は
経済産業省とばらばらになっていて、
実用化までに霞が関の谷間がある。これを解消して十数年先を見据えた国家全体の統一した計画を作る必要があると認識したからであるとおっしゃっていたんですが、残念ながら一年を経ずしてお辞めになりました。
辞任の理由をどのように言っていたかといいますと、新聞等を拝借すれば、
医療イノベーション推進室は司令塔のはずなのに、実際にできることは
各省に
政策の助言をするぐらいで、
予算の権限もなく、
予算権限を有する
各省庁が自らの
方針を主張するのみで、今までの縦割り
構造は変わらなかった、こうおっしゃって
辞任されております。
私は解釈しておりますが、政治への不信により
日本での
研究開発に見切りを付けて、あるいは抗議してアメリカに渡ったんだと、こういうふうに理解をするんです。
平成二十四年二月八日、
予算委員会で私はこの点を指摘しておりました。それだけに、冒頭申し上げましたように歓迎を、官房
長官、いたします、今回。問題は
中身、実行力だと思うんですね。
同時に、二十三年十二月七日の決算
委員会で私は、福島県に世界最先端のがん治療拠点を構築するため、再発・進行がんを治療できるホウ素中性子捕捉療法、BNCTというふうに略称で呼ぶんだそうでございますが、エネルギーの低い中性子とホウ素化合物の反応を利用して治療する放射線がん治療の一種だそうでございます。これを福島県に基金を国がつくらせまして、その福島県の基金から出すということで、何と六十八億円の事業なんですね。福島県の復興と
医療機器産業の振興に寄与するもの、うち四十三億円が補助金ですから、持ち出しは二十数億と、こういうことになりますが、いずれしてもこれは大変な数字なんですよ。
当時、BNCT、これについては様々な御
意見がありまして、国内では京大、筑波大において臨床
研究段階にあり、国立がんセンターにおいては昨年になりましたが導入され、治験が始められていると聞いております。私はその前にも言っておりますけれ
ども、これは二十三年十二月に決算
委員会で私が指摘していることを繰り返しているんですが、東京
大学では実用性が乏しいということで
基礎研究段階に引き戻っているんですね。アメリカでは
有効性がまだ十分ではないのではないかと言われている、こういう段階での
決定だったんです。
私はこれについて全く知りませんでしたから、
厚生労働省に聞いたら、全く分からないと言うんです。えっ、こんなに多額だし、福島県につくるというのに知らない。文部科学省、知らない。どうしたか。これは
経済産業省なんですと言うんです。私はびっくりしました。人間の命に関わるのに
厚生労働省は知らない、
研究なのに
文科省は知らない、こういうことでありましたから、
経済産業省がまあ
実用化のそういう
医療器具という扱いでやったんだろうと、こういうことではありますけれ
ども、今後この戦略と
機構ができるということによって、こうした知らないなんというのは少なくとも役所同士でないということでよろしいですか。