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2014-06-12 第186回国会 参議院 総務委員会 第27号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十六年六月十二日(木曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員
の
異動
六月十日
辞任
補欠選任
堂故 茂君 森
まさこ
君 六月十一日
辞任
補欠選任
森
まさこ
君 堂故 茂君 六月十二日
辞任
補欠選任
藤川
政人
君
中西
祐介
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
山本
香苗
君 理 事
二之湯
智君 丸川 珠代君 吉川 沙織君 若松
謙維君
渡辺美知太郎
君 委 員 井原 巧君 石井 正弘君 礒崎
陽輔君
小泉 昭男君
島田
三郎
君 関口 昌一君 柘植 芳文君 堂故 茂君
中西
祐介
君 石上 俊雄君 江崎 孝君 難波 奨二君 林 久美子君 藤末 健三君
片山虎之助
君 寺田
典城
君
吉良よし子
君 又市
征治
君 主濱 了君
事務局側
常任委員会専門
員 小野 哲君
参考人
早稲田大学大学
院法務研究科教
授
長谷部恭男
君
大阪大学大学院
高等司法研究科
教授
鈴木
秀美
君 ───────────── 本日の会議に付した
案件
○
放送法
及び
電波法
の一部を
改正
する
法律案
(内 閣提出、
衆議院送付
) ─────────────
山本香苗
1
○
委員長
(
山本香苗
君) ただいまから
総務委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日までに、
藤川政人
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
中西祐介
君が選任されました。 ─────────────
山本香苗
2
○
委員長
(
山本香苗
君)
放送法
及び
電波法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 本日は、本案の
審査
のため、二名の
参考人
から御
意見
を伺います。 本日御出席いただいております
参考人
は、
早稲田大学大学院法務研究科教授長谷部恭男
君及び
大阪大学大学院高等司法研究科教授鈴木秀美
さんでございます。 この際、
参考人
の
方々
に
委員会
を代表して
一言
御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用のところ、当
委員会
に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
参考人
の
皆様方
から忌憚のない御
意見
を拝聴いたしまして、今後の
委員会
の
審査
の
参考
にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で、
長谷部参考人
、
鈴木参考人
の順に御
意見
をお述べいただいた後に、
委員
からの御
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 また、
発言
の際は、挙手をしていただきまして、その都度、
委員長
の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。 なお、
参考人
、
質疑者共
に
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、まず
長谷部参考人
にお願いいたします。
長谷部恭男
3
○
参考人
(
長谷部恭男
君) 本日は、
意見陳述
の
機会
を与えていただきまして、どうもありがとうございます。 私、
平成
十九年の
放送法改正
に関しまして、その際の附則において、施行後五年を経過したときに見直し、そして
検討
を加えるべきだとされた問題につきまして
検討
を行いました
放送政策
に関する
調査研究会
のメンバーでございました。今回の
改正案
は、この
放送政策
に関する
調査研究会
での
検討
の結果、これを下敷きにしているところがございますので、その
経験
を踏まえながら若干の
事柄
につきまして
所見
を申し述べさせていただきます。 今回の
放送法
の一部
改正
でございますが、御案内のとおり、
NHK
による
放送番組等
、これを
インターネット等
を通じて利用、提供する
業務
に関する
事柄
、そして
NHK
の
協会国際衛星放送
に係る
手続
の
簡素化
、それらの
手続
の
整備
に関する
事柄
、そして
国内基幹放送事業者
の
経営基盤
の
強化
に関する
事柄
、そして
認定放送持ち株会社
の
認定
の
緩和
に関する
事項
、これを含んでございます。
放送事業
に関しましては、近年、いわゆる
規制
の
緩和
が進んでおりまして、なるべく業界の実情、実態に即した形で、したがいまして、各
事業者
の
自主性
、
自律性
を生かした
経営努力
が可能な
制度環境
を整えると、これを通じて
放送サービス
の
便益
、
効用
を全国の
視聴者
の
方々
に享受をしていただけるよう、それを目指すという
方向性
が取られております。もちろん、その際は、
放送
の
不偏不党
、そして
真実
及び
自律
の
保障
を
理念
とする
放送
による
表現
の自由の
確保
、さらには、
放送サービス
が健全な
民主主義
の発展に貢献するようにするという
放送法
の
基本理念
はしっかりと踏まえる必要があることはもちろんのことでございます。 今回の
部分改正案
におきまして、
NHK
の
業務
に関連するものは、主として、
放送サービス
の
便益
、
効用
を多様な形で
視聴者
の
方々
に享受していただくこと、そして、
手続
の
簡素化等
を通じて
自主性
、
自律性
の
確保
を
狙い
としていると申し上げることができると思います。
他方
、
基幹放送事業者
の
経営基盤
の
強化
、そして
認定持ち株会社
の
認定
の
緩和
に関するもの、これは、人口の減少に直面しまして
地域
の
経済
が低迷を続ける中で、
放送事業者
の
経営基盤
を
強化
し、
地域
の住民の
方々
の
日常生活
に必要な
情報
でありますとか
災害等
の緊急時に必要となる
情報
、これを引き続き安定的に提供することができるようにと、それを
狙い
としております。
一般論
として申し上げますと、
放送
に関する
法制
の
整備
に当たりましては、お互いに必ずしも整合させることが容易でない、
複数
の要請の
バランス
を取りながら
最適解
を探求するというかなり難しい
作業
が必要になります。
NHK
に関する
事柄
で申しますと、
受信料
を
財務基盤
とする
公共放送
というこの
NHK
の基本的な性格と、
NHK
の
放送
に関連する多様な
情報
を
インターネット
などを通じてなるべく簡便な形で多くの
視聴者
に利用していただくこの
目標
とは、誰の目から見ても常に一〇〇%ぴたりと
折り合い
が付くというわけのものではございません。さらに、何よりも
放送事業
の
自主性
、
自律性
の
確保
という極めて重要な価値、これを十分に勘案をする必要がございます。 このために、今回の
改正提案
におきましては、
インターネット
を通じた
NHK
の
情報提供等
の
業務
につきましては、まず
NHK自身
が
業務
の
実施基準
を定めまして、それを
総務大臣
の
認可
に係らしめ、さらに、
業務
の
実施状況
については定期的な評価を行い、それに基づく
業務
の改善の
努力
をすべきだと、その旨も定めておりまして、一方では
業務実施
の
自主性
、
柔軟性
を図るとともに、
他方
ではその
業務
の
透明性
、そして
適正性
の
確保
を図ると、そのための
措置
をとり得ることとしております。
他方
、
地域
に根差した
放送事業
の
多様性
及び
多元性
を
確保
しながら、同時に
持続可能性
のある形での
放送サービス
を安定的に可能とするように
経営基盤
の
強化
を目指すと。その際にも、やはり異なる
複数
の
方向性
を含む
政策目標
の間でどのように
バランス
を取るのか、どう
調整
を図るのかという、そういう考量が要求されます。そのために、ここにおきましても、
指定放送対象地域
に係る
基幹放送事業者
には、
収益性
の
向上
を図る
経営基盤強化計画
、これを自主的に作成をしてもらいまして、
総務大臣
の
認定
を受けることとしております。それによりまして、ここで言う
特定放送番組
の同一化に伴う
経営基盤
の
強化
と、そして他面での
放送内容
の
多様性
や
地域
での需要への対応、これもあくまで
放送事業者
の
自主性
、
自律性
を尊重しながら図っていく、これを目指しているところでございます。 今回提出されました
放送法
の一部
改正案
、以上申しましたとおり、
複数
の必ずしも簡単には
折り合い
の付かない
政策目標
、
バランス
を取りながら
調整
をし、全体として形を整えていくという、そういう
作業
の
結論
でございます。もちろん、それぞれの
提案
につきまして、これは必ずしも唯一の正解である、
最適解
であるという御納得までは得られないかもしれませんが、それなりの
検討
の
努力
をした結果であるということは申し上げることができるかと存じます。
最後
に、
一言
ですが、私は
学者
をしていることもございまして、
海外
で時々暮らしたり、
旅行
をしたりということがございますが、そういう折は可能な限りその地の
放送番組
などを見るようにして、
テレビ
が
研究対象
であるということでなるべく
テレビ等
を見るようにしておりますが、そういう乏しい
経験
から申し上げますと、
日本
の
放送番組
はやはり平均してみるとかなり手の掛かった質の高いものではないかというふうに
考え
ております。恐らく
テレビ
の
番組
の質の高さという点では、多分
イギリス
と並んで水準は高いのではないかと
考え
ております。先人の
努力
もありまして、そうした
放送サービス
を支える
制度環境
が形作られているところでございまして、こうした大事な遺産をなるべく損なわない形で、しかし変化する
社会経済状況
に合わせて次代に伝えていくということができればと
考え
ている次第でございます。 以上、非常に簡単ではございますが、私の
所見
を申し述べました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 以上でございます。
山本香苗
4
○
委員長
(
山本香苗
君) ありがとうございました。 次に、
鈴木参考人
にお願いいたします。
鈴木秀美
5
○
参考人
(
鈴木秀美
君)
大阪大学
の
鈴木秀美
でございます。 本日は、
意見
を述べる
機会
を与えていただき、ありがとうございます。 私は、これまで主として
表現
の自由に関わる問題、特に新聞や
放送
など
メディア
に関わる法的問題について
憲法学
の
観点
から
研究
をしてまいりました。私の
問題関心
は、
メディア
が
ジャーナリズム機能
を発揮するためには
法制度
がどうあるべきかという点にあります。 本日は、まず、私が
放送
の自由をどのように理解し、
日本
の
放送法制
の
特徴
とその
問題点
についてどのように
考え
ているかということをお話しさせていただいた上で、主な
改正事項
についての
意見
を述べさせていただきます。 まず、
放送
の自由についてです。
放送法制
の
基本原理
は、
民主主義社会
にとって不可欠な
表現
の自由の
確保
であり、知る
権利
の
保障
と言えます。
放送法
も
目的規定
の中で、「
放送
の
不偏不党
、
真実
及び
自律
を
保障
することによつて、
放送
による
表現
の自由を
確保
すること。」という原則を掲げております。 ただ、ここで難しいのは、
放送
、特に
地上テレビ
の場合、
チャンネル数
が少ないので、
放送事業者
の
表現
の自由さえ守っておけばおのずと
視聴者
の知る
権利
が
確保
されるとは限らないという面があるということです。だからこそ、
放送法
四条は、
放送事業者
に、
放送番組
の
編集
に当たって、
政治
的に公平であること、
意見
の対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることを要求しています。この四条は
番組編集準則
と呼ばれています。
憲法学
では、
表現
の自由に対して
法律
によりこのような
内容規制
を課すことは許されないと
考え
られていますが、
放送
については例外的に許されるというのが通説でした。その
理由
とされてきたのは、
電波
の
有限希少性
と、
放送
には他の
メディア
には見られない強烈な
社会的影響力
があるということです。ところが、近年、
憲法学者
の中には、多
チャンネル化
などの
社会状況
の変化の中で
番組
に
政治
的公平を要求するのは
表現
の自由に対する
規制
として正当化できない、
憲法違反
だという
意見
も見られるようになりました。
視聴者
が成熟しつつある現在、公平、客観的であると標榜しながら、実際には偏った、又は主観的な
放送
がなされることの弊害の方が大きいという
理由
からです。多
チャンネル化
の
時代
に入った今、
内容
による淘汰は
視聴者
の手に委ね、
立法目的
が曖昧で、かつ
時代
遅れになった
内容規制
は、
違憲
としてもはや撤廃すべき段階に入ったと説く人もいます。 また、従来、
内容規制
を
合憲
としてきた
憲法学者
の多くは、
番組編集準則
が倫理的な
意味
を持つにとどまると
考え
てきました。私はこのような
考え方
を
倫理的規定説
と呼んでおり、私
自身
もこの
考え方
を支持しています。
倫理的規定説
によれば、
番組編集準則
は
放送事業者
による
自律
のためのガイドライン、言わば
行動指針
にすぎません。
倫理的規定説
は、
番組編集準則
を厳密な
意味
での
法規範
ではないと理解します。もし
番組編集準則
が
法規範
であるとすれば、
合憲
とは言えないと
考え
ている点では、さきに述べた
違憲説
と同じだとさえ言えます。
放送
に対する
国家権力
の
介入
の
余地
を最小化するためには、
番組編集準則
を
民間放送
との
関係
では
放送法
から削除すべきだという
指摘
もあります。二〇一〇年の
法改正
で、
放送概念
が、公衆によって直接受信されることを
目的
とする
電気通信
の送信とされ、
放送
と非
放送
の区別が不明確になったという問題があります。
番組編集準則
を
民放
に適用しないことにすれば、
放送規律
が
インターネット
による
動画配信サービス
にまで広がるという懸念もある程度まで払拭することができると思います。
憲法学
でこのような
議論
がなされているのは、もし
政府
、
総務省
が直接に個々の
番組内容
を例えば
政治的公平性
の
観点
から一般的に
監督
することになれば、そのような
監督
が
放送事業者
に及ぼす
萎縮的効果
が
民主的政治過程
の維持や
情報
の
多様化
といった
目標
を著しく損なうと
考え
られているからです。
番組内容
に関する
規律
は、
放送法
の
目的規定
にあるように
放送事業者
の
自律
に基づくべきで、
番組編集準則違反
に対して
電波法
の
無線局
の
運用停止
や
放送法
の
業務停止
などの
行政処分
を行うことは
憲法
上許されないということになります。 次に、
日本
の
放送法制
の
特徴
についてお話しいたします。
欧米先進国
では、
放送
に対する
政治
や
行政
の
介入
を回避するため、
行政機関
からは独立した
合議制
の
放送
のための
規制機関
が設置されています。そうすることで、
放送行政
の
政治的独立性
がより良く実現されると
考え
られてきたからです。ところが、
日本
では、
総務省
が
放送行政
を担当しており、
放送規律
の多くは
法律
よりも省令に委ねられています。
憲法学
の
観点
からは、ここにも大きな問題があります。
放送
の
国家
からの自由を
確保
するためには、
日本
でも
放送行政
の
担い手
を
独立行政委員会
にすべきだと前から
指摘
されてきたのはそのためです。
日本
でも、
放送法
と
電波法
が制定された際には
独立行政委員会
が設置されましたが、約二年で幕を閉じ、旧郵政省が
放送行政
の
担い手
になったという経緯もあります。私も、十年以上前には、
導入
のために克服すべき問題が多いとしても理論的には
独立行政委員会
の設置が望ましいと
指摘
したことがあるのですが、その後
考え
を変えております。 私が
研究対象
としている
ドイツ
の場合、
民間放送
について、
国家
からの
独立性
を
確保
された
規制機関
の下、
青少年保護
と
広告
についての詳細な
規律
が設けられ、違反すると
制裁金
を支払わなければなりません。
放送
における
意見多様性確保
のための
集中排除
の
規律
も厳格です。 これに対し
日本
では、
放送法
が
放送事業者
の
自律
の尊重という
制度趣旨
の下、
放送事業者
に
自主規制
を促す
制度
を採用してきました。
番組規律
は緩やかで、
青少年保護
と
広告
について、
放送法
ではなく、
放送事業者
が定める
番組基準
による
規律
に委ねられており、それがほとんど問題視されていないことも
欧米諸国
の
放送規律
とは大きく異なっています。そういう
意味
で、
日本
の
放送法制
は
世界
に
余り例
のない
仕組み
によっており、それを通じて
放送事業者
の
表現
の自由が守られてきたという面もあります。
放送法
については、いろいろなおきてを認識しつつも、その
根本的変革
より、既存の
法体系
をできる限り維持したまま、
運用
のレベルで
社会
に対応するという
日本法
の
典型事例
の
一つ
であり、
近代法
の
装い
を
和風
に着こなす
日本
の知恵をここにも見出すことができると
指摘
されています。
日本
には、
自主規制機関
として設立されました
放送倫理
・
番組向上機構
、
BPO
もあります。
放送法
に基づく厳格な
規制
をするためには、
規制機関
の
国家
からの
独立性確保
が必要になりますが、それよりも、
総務大臣
による
監督
の下、
番組内容規律
を
放送事業者
の
自主規制
に委ねるという、この
方向
を更に進めていく方が望ましいと思います。現行の
仕組み
を
合憲
と見るためには、
総務省
が
番組内容
を直接に
規制
しないことが必要になります。
BPO
で見解、勧告などの
結論
が出された
案件
については、
総務省
が重ねて
行政指導
を行うことは控えるという慣行の確立、これをすべきではないかと思っています。
放送法制
の今後の
在り方
を
検討
するに当たっては、
放送事業者
の
自律
を重視することで、
近代法
の
和風
の
着こなし
をしてきた
放送法制
の
仕組み
を、
欧米先進国
を
参考
に
独立規制機関
の
導入
という洋装に本格的に変えるより、
工夫
を加えて
国家権力
の
介入
の
余地
を最小化し、
和風
の
着こなし
を更に洗練された
装い
にすることを
考え
るべきではないでしょうか。 ここで、主たる
改正事項
について、私の
意見
を述べさせていただきます。 まず、
民放関係
です。
放送事業者
の
経営基盤強化計画
の
認定
に係る
制度
の創設についてですが、
ラジオ
の場合、
経営状況
の
悪化
を背景に、異なる
放送対象地域
において
放送番組
の同一化を可能にすることには、
放送
の
地域密着性
が低下するという
副作用
が懸念されていることは周知のとおりです。私も、
日本
の
放送法制
において、
民間放送
が
放送
における
地域性確保
に貢献してきたことを高く評価しているので、もし新しい
制度
が簡単に
テレビ
についても認められるとすれば、それには賛成できません。ただし、
ラジオ限定
ということでしたら、
災害放送
の
必要性
もありますから、新しい
制度
がたとえ
地域性
の低下という
副作用
を伴う
劇薬
であるとしても、そういう
劇薬
が必要になるほど
事業者
の
経営状況
が
悪化
しており、延命のためには仕方がないという現状があるということでしたら、これはやむを得ないと
考え
ます。
地域性確保
のための
代替措置
については、
表現
の自由に
配慮
するのでしたら具体的な
措置
を
法律
で義務付けるべきではありません。
経営
上可能な範囲で
放送事業者
の
創意工夫
に期待したいと思います。 なお、
指定放送対象地域
に係る
基幹放送事業者
は、
経営基盤強化計画
を作成し、
総務大臣
の
認定
を受けることができることとするとのことですが、
規制緩和
の名の下に
収益性
の
向上
を図る
方法
を
放送事業者
の
判断
に委ねることの反映として、
認定
についての
総務省
の
判断余地
が広がって
総務省
の
判断
次第になるという問題があるのではないかと思います。
運用
上の
自己抑制
を求めたいと思います。 次に、
認定放送持ち株会社
の
認定
の
要件緩和
についてです。
持ち株会社
による
株式引受け
を三分の一を超えて持てるようにすることで、
地方局
に任せずに
ホールディングス
が交渉に出ていくという希望が一部の
系列
から出ていると聞いております。
系列
により
考え方
も異なるそうですが、これが活用されますと、ただでさえ強まっている
キー局
の
地方局
に対する
影響力
がますます強くなるのではないでしょうか。その結果、
地方局
の
自社制作番組比率
が低下するなど、
放送
における
多様性
、
多元性
、
地域性
が脅かされるのではないかということを危惧します。 「
地方
の
時代
」
映像祭
、あるいは
ギャラクシー賞
などを通じて、
地方局
においてすばらしいドキュメンタリーが制作されているのを見てきました。株式会社として
収益
を上げることが大切なのは分かりますが、
民間放送
といえども
放送事業
には
公共性
があるのですから、
放送
の
多元性
、
多様性
、
地域性
を維持することも忘れないでいただきたいと思います。先ほどと同じく、病気の
悪化
を防ぐためとはいえ
副作用
のある強い薬と言えますから、その使い方について
ホールディングス
の側にも賢慮を求めたいと思います。 次に、
NHK関係
の
国際放送番組
の
国内放送事業者
への
提供業務
の
恒常化等
についてです。
日本国内
にも
日本
語は駄目でも
英語
は分かる
外国人
が暮らしており、また
外国人旅行者
も増加していることからすれば、この
改正
には賛成です。
英語
を解する
外国人限定
とはいえ、
日本
における多
文化共生
の促進にとってもプラスの
効果
があるでしょう。
NHK
の
国際放送
につきましては、国費が投入されているとはいえ、
政府広報
にならないよう、
BBC
をお手本に
報道機関
として
国際社会
で高い信頼を得られるような存在になってほしい、このように期待しております。
最後
に、
NHK
の
インターネット活用業務
の拡大についてです。
放送事業者
の
インターネット活用
は
時代
の趨勢であると思います。そういう
意味
で、どのような
サービス
を提供するかについて
NHK
の柔軟な
判断
を可能にしつつ、
放送法
に新たに定められる
認可基準
により
NHK
が
実施基準
を定め、
大臣
が
認可
を与えるという
方法
は
一つ
の
工夫
だと思います。 具体的な
運用
に当たって、
NHK
には
民業圧迫
にならないための慎重な
配慮
が必要になるでしょう。
認可
の権限を通じて具体的な
サービス
の
在り方
に
総務省
が口出しをするのは、
NHK
の
独立性
、
自主性
の
観点
から見て問題があります。
総務省
の側にも
NHK
の
独立性
や
自主性
への
配慮
を求めておきたいと思います。
イギリス
の
BBC
や
ドイツ
の
公共放送
は、
インターネット
を積極的に活用し、
同時配信
による
番組視聴
も現在は可能になっております。
NHK
が
番組
の
同時配信
も行うようにするためには、
受信料制度
の見直しが必要になるというのが衆目の一致するところだと思います。そのためには、今後、国民的にどのようなやり方をするのか
議論
していくことが必要になるでしょう。 以上、私の
意見
です。どうもありがとうございました。
山本香苗
6
○
委員長
(
山本香苗
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
の
方々
の
意見陳述
は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
島田三郎
7
○
島田三郎
君 自由民主党の
島田三郎
でございます。 お二人の
参考人
、大変御多忙の中、本当に恐縮でございます。ありがとうございます。 まず、
国際放送
についてお伺いいたします。 昨今、自民党内では、
NHK
の
テレビ国際放送
を
充実強化
すべきであるとの
意見
が出ております。私も
NHKワールドTV
の
充実強化
は非常に重要なことだと
考え
ております。特に、
東京オリンピック
・パラリンピックに向けて今後
日本
に対する
世界
の
関心
が一層高まってくる
情勢
の中で、その
世界
の
関心
に応えるために、
BBC
やCNNでもなく、
NHKワールドTV
を通じて
日本
の正しい
情報
や魅力を
世界
に発信していくことが重要であると
考え
ております。また、昨今の
国際情勢
を
考え
てみますと、
日本
の主張も
海外
に積極的に
情報発信
をしていく必要もあると思っております。そのため、今後
NHKワールドTV
の果たす
役割
はますます大きくなっていくものと私は思っております。 そこで、
放送政策
に関する
調査研究会
での
議論
を踏まえて、
NHKワールドTV
をどのように
充実強化
していくべきか、また、今後どのような
役割
を担っていくべきか、
長谷部参考人
にお
考え
をお伺いいたします。
長谷部恭男
8
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうも御質問ありがとうございました。 先生が御
指摘
のとおり、
NHK
が今後
国際放送
において果たすべき
役割
、非常に大きなものがあると
考え
ております。ただ、
他方
で、
放送番組
というのは、何しろ向こう側に
視聴者
がおりまして、やはり
視聴者
の需要でありますとか要望に応えるような
番組
であるということがこれまた
他方
でとても重要でございます。 そうなりますと、つまり聴いている方がとても
関心
を持つ、見ている方、
視聴者
の
方々
がとても
関心
を持つもの、それから、とても視聴したいと思う
番組
をいかに作るのか、そして、そのための要するに財源、それをどうやって
確保
するのかということがこれまた大変重要な、むしろそれが一番重要なことではないかと思います。 それは、こんなことを言うとおまえは無責任だとお叱りを受けるかもしれませんが、
制度
をこうつくると面白い
番組
ができるという、そういう因果
関係
はなかなかできないものでございまして、かといって、従来型の
日本
に対する
関心
の
在り方
というのは一体どこにあるかというと、やはりとても
日本
らしい、例えばアニメが面白いとか、あるいは
時代
劇風のものという、いかにもジャパネスクといったものが
視聴者
の
関心
を引くということもあるんです。逆に、そういうものばかり作っておりますとかえって
日本
に対する特殊な見方を植え付けてしまうことにもなりかねないところがございまして、やはり
番組
作りについてもいろいろ
バランス
が必要なことだと思います。 なかなか適切な
方向性
、見出すことは難しいところかと思います。ここも、やはり
NHK
の基本的には
自主性
、
自律性
にまつところが大きいのではないかというふうに
考え
ております。 以上でございます。
島田三郎
9
○
島田三郎
君 次に、
放送
と通信の融合についてお伺いいたします。 今回の
放送法改正
案では、
NHK
が
インターネット
を活用して
放送番組
を提供する
業務
を更に拡大させる
改正
も盛り込まれております。やはり
インターネット
はこれだけ普及しておりますので、
放送事業者
のネットとの連携は今後必要不可欠であると私は思っております。 諸外国の動きを見ると、英国、
ドイツ
、フランスなどヨーロッパの主要な
公共放送
では
インターネット
での
同時配信
にも取り組んでいると聞いております。一方、
NHK
については、
テレビ
放送
の
同時配信
についてまでは認めることは今回の
制度
改正
でも見送られております。
NHK
も
ラジオ
や
国際放送
など
同時配信
を実施している例はあるようですが、
テレビ
放送
についてもそろそろ実施を
検討
するのが
時代
の流れではないかと私は思っております。この点について、
長谷部参考人
の御
意見
をお伺いしたいと思っております。
長谷部恭男
10
○
参考人
(
長谷部恭男
君) これまた非常に重要な御質問をありがとうございました。 私も、これは
鈴木参考人
も先ほどそうおっしゃっておられましたが、将来的な
方向性
といたしましては、
NHK
の
番組
あるいは
NHK
が保有する、作成する
情報
が
インターネット等
を通じまして国民の
方々
の利用に供されるという
方向性
、これは間違いなく進んでいくところであろうかと思います。 ただ、先生御
指摘
の、
海外
の
公共放送
とそして
日本
の
NHK
との間の
一つ
特徴
的な違いは、
海外
の
放送事業者
というのは基本的にソフトの
事業者
なんですね。
番組
を作ると。それは、どのようなハード、どのような経路を使って
視聴者
の
方々
に届けるかというのは、これは基本的には自由であると、
経営
判断
の問題であるということがございますので、なら、
インターネット
もその選択肢の
一つ
であるということになっておりますが、
NHK
の場合は御案内のとおりハード、ソフト一体型の
放送事業者
でございまして、基本は
放送
波、衛星も含めてですが、地上波、衛星波を使って
番組
を届けるということを基本に
NHK
という
制度
自体ができ上がっております。 そのことからして、では、それ以外、
インターネット
については一体どれだけのことができるのかということが逆に問題になってくるというところがございまして、
日本
特有の難しさがあるのかなと思っております。とはいえ、先生御
指摘
のような
方向性
自体は十分
検討
しなくちゃいけないところであると思いますので、今後も、私もその点どのような解決策があるのか
考え
ていこうというふうに
考え
ているところでございます。 どうもありがとうございました。
島田三郎
11
○
島田三郎
君 今、
長谷部参考人
の方から非常に難しい部分があるということをお伺いいたしまして、ちょっと私もこの後の質問どうしようかなと思っているんですが、実は
インターネット
を活用した
受信料
のことをちょっとお伺いしたいと思っているんです。 これからどんどん進んでいきますと、若い
方々
、従前でも
テレビ
離れというような話がございまして、スマートフォンなどの携帯端末のコンテンツの習慣がどんどん進んでいきます。そうなりますと、今の現在の
受信料制度
というものが形骸化していくものと私は思っています。外国においては、例えば
ドイツ
などでは、視聴端末の
多様化
を背景に、
テレビ
などの受信機の設置にかかわらず、税金のような形で世帯や
事業者
から徴収する
放送
負担金
制度
に移行したところもあります。 今後、長谷部先生の
考え方
をお伺いしたいのは、
放送
負担金の
仕組み
は、PCなどを含めた形で徴収する
仕組み
も
参考
になると思いますが、どのようにお
考え
になっておりますでしょうか。
長谷部恭男
12
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうもありがとうございました。これまた大変重要な御質問、論点でございます。
受信料
につきましては、
鈴木参考人
も御
指摘
のとおり、とても難しい問題が多々ございます。従来、いろいろな国で
受信料
あるいはそれに相当するような
法制度
、
公共放送
の財務を支える
制度
がございますが、それについて言われておりますのは、
日本
でそうしておりますように、基本的には
テレビ
の受信機器を設置をした人がその
公共放送
の
受信料
を負担をすると。今そういう
制度
は実は論理必然のものとはなかなか言い難い。 と申しますのも、
公共放送
の
番組
の提供の利益を得ているのは実は
テレビ
を見ている
方々
だけではないはずで、
社会
全体に広がっているはずだということも一方でございますし、
他方
では、先生御
指摘
のとおり、いろいろなルートを使って
公共放送
の
番組
を見るということもあり、また、
テレビ
の受信機を設置しているからといって必ず
公共放送
の
番組
も見るとも論理的には、これまた論理必然とは言えないということがございます。とはいえ、他の例えば税金で
公共放送
の財務を賄うとか、あるいは、みんなコマーシャル、
広告
料で賄ってしまう等々というものに比べますと、こういう
受信料
という
制度
というのはより悪くない
制度
であると、レッサーイーブルであるというふうに言われている、これは恐らくどの国でもそうなのではないかというふうに思います。 先生御
指摘
のとおり、
ドイツ
では最近、一種の税金という形で
公共放送
の財務を支えるという、そういう
判断
をなさったわけなんですが、これも
ドイツ
の場合は、従来はコマーシャルも含めてということもございまして、なかなか
日本
とは違った
公共放送
の財務の歴史を持っているところでございます。直ちに
日本
でこれが
参考
になるというふうには私
自身
は実は
考え
ていないところではございますが、将来、現在の
受信料
のままでいいというふうにはなかなか言えないところも出てくると思います。これまたいろいろな
制度
的な選択肢を
考え
ながら将来を
考え
ていかなくてはいけないところかなと
考え
ております。 以上でございます。
島田三郎
13
○
島田三郎
君 以上で終わります。ありがとうございました。
難波奨二
14
○難波奨二君 民主党の難波奨二でございます。 今日は、
参考人
の皆さん、大変ありがとうございました。 簡単な質問から行いたいと思いますけれども、先ほど
鈴木参考人
の方から、
番組
規制
とか
番組
編成の問題、
編集
の問題もあったわけですけど、私、常々不思議に思っているんですが、今
民放
の
番組
で深夜、これBSもそうでございますけれども、深夜になりますとショップチャンネルがございますよね。あれは、
鈴木参考人
、
番組
なんですか、
広告
、コマーシャルなのか、私、どうもこの線引きといいますか、不思議なんですよね。役所に聞いてもなかなか明快な答えが返ってこなくて。いつの
時代
からああいうショップチャンネルが増えて、
民放
としてはどういう
目的
、意図があって放映をされているのか、その辺を含めてちょっと知っておられることがあったら、この間の経過等もお教えいただいて、
参考人
のショップチャンネルに対するお
考え
をお聞きしたいと思います。
鈴木秀美
15
○
参考人
(
鈴木秀美
君) 御質問どうもありがとうございました。 今回の
改正
とは
関係
のないテーマかと思いますけれども、これに関しましては、前の
放送法改正
によりましてショップチャンネルの割合が多過ぎるのではないかという問題に
制度
的な対応はなされているかと思います。何のためにといえば、それは
収益
を上げるためにということだと思いまして。私は大学をいろいろと変わっておりまして、昔、金沢におりましたし、それから広島の大学に勤めていたこともございます。東京以上に
地方
のローカル局の場合にはいわゆるそういう物を売るための、まさにコマーシャルではなくて
番組
としてそういうものが
放送
されている、かなり多いなと、もう十年以上前になりますけれども、
地方
は多いなというふうに思っておりました。 そういう
意味
で、
放送
の
公共性
ということを
考え
ますと、たとえ
民間放送
でもそういうショップチャンネルが余りにも増えるのはやはりこれは良いことではないというふうに思いますので、そういう
意味
で、本来これは
放送事業者
が自ら決めていくべきことなので余り法的に
規制
するというのはよろしくないかと思いますけれども、何らかの
工夫
をして、余りにもそういう
番組
ばかりにならないように、そういう
制度
的な対応は必要であるし、今のところそのために一定程度の対応は既にされているかというふうに思っております。
難波奨二
16
○難波奨二君 ありがとうございました。 引き続き
鈴木参考人
にお伺いしますけれども、
自主規制
の
一つ
として
BPO
があるわけでございますが、これの
運用
というのは実効性が今伴っているとお思いかどうか。
問題点
等あれば、教えていただきたいと思います。
鈴木秀美
17
○
参考人
(
鈴木秀美
君) 御質問ありがとうございました。 私は、こういう
自主規制
の
仕組み
につきまして、
ドイツ
の
制度
などと比較して、
放送
及び活字
メディア
についてもいろいろと日頃
考え
ております。それから、私
自身
、二年か三年の短い間でしたけれども、
BPO
の青少年
委員会
の
委員
を実際させていただいたことがございます。
自主規制
ですので、いわゆる拘束力が、たとえ
意見
とか勧告が出されても拘束力がございませんから、見る見る何かそれの
効果
が上がるというようなことはなかなか難しいのではないかと思いますが、根気よく取り組んでいく以外に
方法
はないというふうに
考え
ております。 例えば、青少年
委員会
ですと、いわゆるバラエティーの中で、子供がいじめのまねをするような罰ゲームですか、そういうのがよくタレントさんたちの間でなされるわけですけれども、タレントさんたちはそれ覚悟してやっているわけですが、それが学校などで子供たちにまねされてしまうという問題がありまして、私がその
委員
をしていた頃にもそういうことについて、
民間放送
のある
番組
に向けて
意見
が
BPO
から出された、青少年
委員会
から出されたことがありました。 ただ、その
番組
のそういう罰ゲームはなくなっても、それと似たような罰ゲームがまた別の
番組
とかあるいは継続
番組
で出てきたりしまして、特に
青少年保護
というのは線引きが非常に難しい問題でもありますので、
BPO
が
意見
を言って、そのときには少し、何というんでしょう、控えられても、また同じようなことが繰り返されているというようなことはやはりあるのではないかと思います。 ただ、
ドイツ
にも報道評議会といいまして、これは活字
メディア
の
自主規制
のための組織なのですけれども、牙のないライオンだというふうにやゆをされたりしておりまして、活字
メディア
による名誉毀損とかプライバシー侵害について読者から苦情が出た場合に、報道評議会から注意その他一定の制裁を科すことができるのですけれども、最悪の場合には、その評議会から出た警告文、この部分でプライバシー侵害とか名誉毀損があったというその文章を必ず紙面に載せるという、それを約束して報道評議会に加盟しているはずなのですが、その掲載義務を無視する新聞社なども出てきたりして、拘束力のない組織ですから無視されても非難する以外には
方法
がないわけですね。 これが
自主規制
のジレンマでして、しかし、
報道機関
のことでございますから、それを例えば公的な機関が、たとえそれが
独立性
のある
委員会
でも活字
メディア
に対してそこまでするのはやはり
表現
の自由との
関係
では問題ですし、
放送
の場合には活字
メディア
とは違ってもう少し強い
規制
があってもいいかなと思いますけれども、私の先ほどの
意見
にもありましたように、もし強制力のある
規制
をする場合には、その
規制機関
にはいわゆる普通の
行政
とは
独立性
、中立性のある、そういう組織が必要になるというふうに私は
考え
ております。
難波奨二
18
○難波奨二君 ありがとうございました。
長谷部参考人
に
最後
お伺いいたしますが、これも
法律
に
関係
ないことで大変恐縮でございますけれども。 今回の一連の
NHK
の会長あるいは
経営
委員
のメンバーの騒動がございましたけれども、これをちょっと見ておられまして、どういう
問題点
がその中にはあったと、やっぱりこういうこともこの改善で
考え
ていかなくちゃならないよねと、そのような、ちょっとなかなかお答えしにくい質問ではありますけれども、少し御見識、お伺いしたいと思います。
長谷部恭男
19
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうもありがとうございました。 これは
公共放送
の
経営
委員会
でございますね。この
経営
委員会
というのは、お互いに反対の
方向
を向いた二つの任務というのを持って、これは
BBC
にもやはり似たような
NHK
の
経営
委員会
に当たるボードがございますけれども、つまり、一方では、
政府
からの圧力が直接に
公共放送
に及ばないようにする、ある種のバッファーですね、防波堤としての
役割
も果たさないといけないと、
他方
で、
公共放送
がきちんと仕事をして、
業務
の
適正性
、公正性が図られるようにきちんと
監督
をすると、両方のなかなか両立させることの難しい任務を同時に果たさないといけないということでございます。 ですから、そういう
意味
では、こういった難しい仕事ができる方というのは世の中にもそうそう多くはないだろうと私は思います。数少ない人材の中で、しかもさほど報酬が高くないという、そういう仕事をしてくださいというのは、やはり人材を選択するという
意味
でもなかなか難しいことがあるというのは、それはそのとおりだろうと思います。
他方
で、先生御
指摘
の
問題点
というのは、やはりいろいろな
意味
で、あるいは少なくとも若干の
意味
では偏りがあるのではないかという、そういう御
指摘
なのかなと、あるいは御懸念なのかなと思いますが、これまた
一般論
になってしまって恐縮ですが、例えば赤組と白組がいるというときに、赤組からも批判され、白組からも批判されるというのであれば、それはある程度
バランス
が取れているということかもしれませんが、赤組からは批判されて、白組からは頑張れと言われているようですと、そうでもないのかなということもございますので、そこはやはり、外側の人はいろいろ批判をされる、中にいる
方々
はそれを受け止めてなるべく
バランス
を取るように
方向性
を
考え
ていただくと、そういうことではないかなというふうに
考え
ております。 以上でございます。
難波奨二
20
○難波奨二君 ありがとうございました。終わります。
若松謙維
21
○若松
謙維君
公明党の若松謙維です。
長谷部参考人
、
鈴木参考人
、大変御苦労さまです。 私から、まず
長谷部参考人
に、いわゆる
指定放送対象地域
について御質問いたします。 私の住まいが福島県郡山市でして、福島は今、福島
テレビ
、福島
放送
、福島中央
テレビ
と、たしか三社あったと思うんですけれども、そういう中、結局、
地方
のやはり
放送
経営
、事業が厳しいというのは、東京一極集中、これにも大きな原因があると思うんですね。 そういう中、今回、
経営基盤強化計画
、これ作るのはいいと思うんですが、これ全ての
放送事業者
がやらなくちゃならない話になると思うんですけれども、そういう中、各
地方
に行きますと幾つかあるということで、やはり競合
関係
もあるし、かつ
経営
も厳しいということは、やはり
地方
にとって
テレビ
というのは非常に大事な
公共放送
ですので、何というんですかね、競争しながらも
経営
が厳しいということは、どういう
方向性
を、例えば、今後、
総務大臣
がこの
強化
計画を
認定
するにしても、やっぱり
一つ
の見方というか
判断
基準が必要だと思うんですけど、どうあるべきだと思いますか。
長谷部恭男
22
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうもありがとうございます。 御
指摘
のとおり非常に難しい問題でございまして、ただ、今回の
改正案
が想定をしておりますのは、先生御
指摘
のとおり、なかなか
経営
環境が厳しくなっていると、その中で
放送事業者
同士で視聴率も含めましていろいろ競争していかなくてはいけないと。ですから、なかなか苦しいところの中で公共的な
業務
も果たさなくてはいけないという中にあって、ただ、これはもう
政府
なり
行政
官庁なりが、あなたのところはちょっと苦しそうだからこういうことをしたらどうですかという、そういうことを言うような種類の問題で私はないというふうに
考え
ております。 ですから、今回の
提案
もそうです。あくまで
放送事業者
の側が、例えば隣の県の
放送事業者
とのパートナーシップというものでお互い見付けてきて、パートナーになる方、
放送事業者
見付けてきて、かつ、お互いの間で仲よく話がまとまるというようであれば、その上で、さらに自主的にどんな
経営
の
強化
をするのか、かつ、
経営
の
強化
をしつつもそれぞれの
地域
の
放送
需要に対してはちゃんと応えるような、そういう
番組
の制作なり提供なりをするのかと、そういう計画をまずは
放送事業者
の方で作ってくださいと。これで大体問題はないでありましょうということを
総務大臣
の方でお認めになるようでしたらその
認定
をしましょうと、そういう段階を踏むことになっております。 ですから、あらかじめこういうものが物差しでなくてはならないということを最初から決めていくという、そういう性質のものでは恐らくないのではないかなというふうに
考え
ております。
若松謙維
23
○若松
謙維君
今、
長谷部参考人
のお話聞きながら、この
強化
計画ですか、これ策定することによって、
経営
的な課題、例えば
経営
の継続性という問題があると、そのときいろいろと知恵を出して、さっきの広域連携とかそういうことをしっかりやりなさいという、そういうことだと思うので、私もそう思います。頭の整理できましたので、ありがとうございます。 その上で、引き続き
長谷部参考人
に、先ほど、
日本
の
放送
ですか、
イギリス
に近いと。私も、もう二十数年前ですが、
イギリス
に四年おりました。そのときには
民放
二社と
BBC
系二社、四つしかないので、はっきり言って、特に
BBC
って大変お堅い
番組
ですから、もう
テレビ
見ても何か敬遠してしまい、そこでビデオ屋さんに行くという、そういう構図だったんですけれども、
日本
の
NHK
と
民放
の数も含めて
バランス
というのは、先ほど質は高いというお話ですけれども、
民放
と
NHK
の
バランス
という
観点
からはどう評価されていますか。
長谷部恭男
24
○
参考人
(
長谷部恭男
君) 確かに、
イギリス
と
日本
はそうそう簡単に比較ができないところがございますが、私ちょっとぼんやりと認識をしておりますところでは、
イギリス
全体のGNPというのは南関東のGNPと大体同じぐらいだろうと思います。 したがいまして、
経済
規模がそもそも違います。ですから、そういう
経済
規模でございますので、その
社会
によって、
受信料
をそこから徴収をして
番組
を作っていくということでございますけれども、作ることのできる
番組
の財務的な基盤になる
経済
規模が相当違いますので、そういう
意味
では、
日本
に比べますと
イギリス
の方がチャンネルの数が少ない、
BBC
は地上波二つ、
民間放送
についてはITVとチャンネル4であるというのはまあまあそれほどおかしくないといいますか、不思議ではない数ではないかというふうに
考え
ております。
若松謙維
25
○若松
謙維君
それでは、
鈴木参考人
にお尋ねしますが、先ほど
テレビ
ショップの質問がありました。 私も、いわゆるこの
放送
に関して、
放送法
、あと今、何ですか、
NHK
で、フェイスブックですか、やり取りしながら、ネットナビゲーターですか、という
番組
もありますし、私は、
放送法
、
電気通信
事業法、これをどう理解したかということで、
放送法
は瞬間的ないわゆる
情報
を提供すると、
電気通信
事業法の方はデータベース化できるというんですか、オンデマンド化できるというんですか、というふうに理解しているんですけれども、で、そこをつなぐ
電波法
があると。 ところが、御存じのように、今クロスしていますよね。そうすると、現在の、質問がちょっと難しいかもしれないのですが、
放送法
と
電気通信
事業法と
電波法
、この三法ですか、これを統合というか何というか、再編成というか、そんなことが今の
時代
には必要ではないかという疑問、問題意識があるんですけれども、それについてどういうふうにお
考え
でしょうか。
鈴木秀美
26
○
参考人
(
鈴木秀美
君) 御質問どうもありがとうございました。 いわゆる
放送
と通信の融合に
法制度
がどのように対応すべきなのかという、そういうテーマではないかと思います。 それにつきましては、二〇一〇年に
放送法
、
電波法
、その他かなり大きな
改正
がなされまして、それまで特に
放送
に関しては有線に限定の
法律
とか幾つかありましたものを大きな
放送法
一本に取りまとめたというのが二〇一〇年
改正
だったと思うのですけれども、その際、もっと大きく全部まとめてしまおうという、そのような案もあったかと、
情報
通信法構想とたしか呼ばれていたと思うのですけれども、なかなかこれ
一つ
にまとめるのは多分非常に手間暇の掛かる
作業
だと思います。 そういう
意味
で、
一つ
に完全にまとめようといたしましても、それによって本当に、それが何か大きな
効用
をもたらすかどうかに関しては私は疑問を持っておりまして、そういう
意味
で、しばらく二〇一〇年
改正
のこの
仕組み
の中で、
放送
と通信の、特に
インターネット
の普及の様子をしばらく見た方がよいのではないかと。すぐに
一つ
にまとめるというようなことが必要だというふうには私は
考え
ておりません。
若松謙維
27
○若松
謙維君
了解しました。 あと、先ほど
放送
は
政府広報
になっちゃいけないと。でも、さっき和食とかビジット・ジャパンですね、どんどんPRしてもらいたいわけですよ、国策として。そういう面の
日本
広報というんですか、
日本
を広報するという
意味
ではどんどんやるべきじゃないかと思うんですけれども、
鈴木参考人
、いかがでしょうか。
鈴木秀美
28
○
参考人
(
鈴木秀美
君)
国際放送
についてですね。
若松謙維
29
○若松
謙維君
そうです、
国際放送
です。
鈴木秀美
30
○
参考人
(
鈴木秀美
君)
国際放送
で
世界
でも高い信頼を得ているのは
BBC
だと思います。その
BBC
が
国際放送
としての信頼を得ているのは、いわゆる
政府
からも一定程度の
独立性
というのを守られていて、その
意味
で、誰かの
意見
ではなくあくまで
BBC
が報道すべきだと選んだことを報道しているという、そういう
意味
で
情報
の信頼性があるというふうに
考え
られているからです。 もしも
日本
の
国際放送
が、
NHK
として報道しているのではなくて、
日本
のいわゆる
政府
の立場を伝えているだけにすぎないとすれば、先ほど
長谷部参考人
から
視聴者
が何を見たいかというのが大事だという御
指摘
もございました。
日本
の
政府
の立場なら別に
国際放送
を見なくても新聞報道とかそういうのでも分かるから、そういう
意味
で
国際放送
、いわゆる魅力というか信頼性が低くなってしまっては元も子もございませんので、そういう
意味
で、
日本
の魅力、例えば先ほど
長谷部参考人
も御
指摘
のアニメとか、あとカワイイとか、私、
ドイツ
やフランスなどでいわゆるコスプレというんですか、若い人たちが盛んにしていたり、あるいは漫画のことを隣の見知らぬ青年から質問されたりしたというようなこともございまして、
日本
の魅力を
世界
に伝えることももちろん大事だと思うのですけれども、そういう宣伝の
メディア
だというふうに思われるようになっては、それは本末転倒だと
考え
ております。
若松謙維
31
○若松
謙維君
ありがとうございました。
寺田典城
32
○寺田
典城
君 寺田でございます。よろしくお願いします。 長谷部先生、
鈴木
先生、大変勉強になりました。 それで、両
参考人
にお聞きしたいと思うんですが、
放送法
にはおきてというものがあるわけで、それを良識的に守るというような形になるんですが、
一つ
は、大きい
意味
でいうと知る
権利
というような形でどのように
情報
を
確保
するかということになるんですが、私、今心配しているのは、先ほどもちょっと出たんですが、
NHK
の籾井会長ですね、あの人の性格というのは、右向けと言うと右向けという。これは、右向けと言われると、消防庁だとか警察だとかそれから自衛隊だとかというのは右向け右というのはやるんですよ。そういう性格に見えるんです。ですから、そういう人がトップになって良識が守られるかというのをちょっと心配しているんですが、両先生の御
意見
を。人事を見ても右向けスタイルなんです、あの人は。それをちょっとお聞きしてから本論に入りたいと思います。ごめんなさい、ひとつ教えてください。
長谷部恭男
33
○
参考人
(
長谷部恭男
君) 大変難しい御質問ありがとうございました。 私
自身
は籾井会長と例えば面と向かってお話もしたこともございませんし、また、遠くからいろいろなニュース、報道を経て間接的に
情報
を得ているというだけでございますので、お人柄も含めましてあれこれということを直接申し上げることはなかなか難しいですけれども、ただ、先生が御
指摘
のような御懸念、御批判が世間にあるということはそれは恐らく事実であろうと思いますし、
公共放送
の会長たるもの、そういう批判をなるべく受けないように行動をしていくべき、言動にはもちろん気を付けるべきものであるというふうに私は
考え
ております。 以上でございます。
寺田典城
34
○寺田
典城
君 どうも。
鈴木参考人
にもお願いします。
鈴木秀美
35
○
参考人
(
鈴木秀美
君) 御質問ありがとうございます。 最近、私、ある月刊誌に、
放送
の
政治的公平性
を強く要求すると、かえってそれは批判するなと言っているのと同じだというふうな話を書きまして、そのきっかけになったのは多分、籾井会長が公平性を個々の
番組
でやるべきだというような
発言
をしたという報道がなされ、その後、
発言
の修正をされたというふうに伺っているんですけれども、それがそのような原稿を依頼された
一つ
のきっかけだったのではないかと思います。
一般論
として、
NHK
において確かに会長は
番組
の最終責任者ではあるのですけれども、実際に
番組
を作っているのは現場の人たちなわけでして、そういう
意味
で、よほどのことがない限り、会長どころか局長クラスの人たちでさえ
番組
作りに口を出すというのは普通はないことのはずですし、
番組
作りの基本方針を
放送法
の本来の要求以上に会長として示すということなどは本来はあってはいけないことではないかというふうに思っております。そういう
意味
で、現場を萎縮させるような
発言
は本来会長は控えるべきでして、むしろ会長としては、現場の
自律
、内部的自由、
放送
人の内部的自由ということを私たちは言うんですけれども、内部的自由というのは、たとえ
経営
者との
関係
でも
放送
を作る人の良心を守っていかなければいけないという
考え方
でございます。 本来、会長の責任は、そういう現場の
自律
とか
放送
人の内部的自由を対外的な圧力から守っていく、もしも圧力が外から掛かったら自分が矢面に立って防いでいくというのが会長の本来の
役割
だというふうに
考え
ておりますので、是非、今の籾井会長にも私のこういう
考え
に耳を傾けていただけたらと思っております。
寺田典城
36
○寺田
典城
君 本当に無理な御質問して、済みませんでした。今後はそのような質問は余りしないようにします。 それで、
認定放送持ち株会社
の
認定
の要件の
緩和
ということになっているんですが、十二
地域
特例というような形で。現実問題として、
キー局
がほとんど八割
番組
編成しておって、
地方
の場合は、あと二割が
地方
で作っているとか一割作っているとか、そういう程度なんですね。で、
地方
自治体なんかはよく、
地方
番組
をもっと強力にお願いしたいということで公共団体も応援したりなんかしているんですが、何というんですか、ここまで、マス
メディア
集中排除
規制
というのは
総務省
は持つ必要はあるのかなと思うんです。もっと
規制緩和
した方がいいんじゃないのかなと思うんですがね。 多チャンネルの方がやはり
視聴者
にとっては非常に幸せなことですから、そういう点ではどうお
考え
になりますか。
鈴木参考人
の方からお聞きしたいと思います。私は八分までしか時間ありませんので、もう三分しかありません。一分ぐらいで答えてください。
鈴木秀美
37
○
参考人
(
鈴木秀美
君) はい。
規制緩和
というのは、
放送事業者
の
経営
面では非常に良いところがあると思うんですけれども、うっかり
規制
を
緩和
しますと、
多元性
、
多様性
、
地域性
という
放送法制
が今まで目指してきたことにマイナスになってしまうというおそれがあるわけですね。そういう
意味
で、
放送事業者
に自由を与えるということが必ずしも知る
権利
にとってプラスになるとは限らない、だからそこが一番の
放送法制
の難しいところでございまして、そういう
意味
では、現状をよく確かめ、
経営
状態その他、そういったことをよく把握された上で、両方の要請、
規制緩和
の要請とそれからいわゆる
放送
の
公共性
と呼ばれるものを低下させないための
配慮
と、この辺を全て総合的に考慮をして、今回このような
改正提案
が出されたものというふうに理解しております。
寺田典城
38
○寺田
典城
君
放送
と通信の融合だとかいろいろあるんですけれども、その中で、これ、
NHK
が
国際放送
もっと力を入れていきますというような形で、CATV
事業者
への提供もしますということで、恒常的な
業務
、任務にするということなんですが、
NHK
は、JIBという
NHK
の子会社にそれを全部、
番組
を制作させているわけなんですよ。それが果たして適正であるのかないのか、競争の原理はどこで働くのか、選択肢は何があるのか、その辺を
長谷部参考人
からお聞きしたいと思います。
長谷部恭男
39
○
参考人
(
長谷部恭男
君) 先生御
指摘
の点はこれまた非常に難しい問題でございまして、これはとても商売になりそうであると、ですので、いろいろな方がどんどん参入をして、お互い競争して切磋琢磨したいというそういう
業務
でございますと、先生のおっしゃるようなお
考え
でうまくいきそうなんですが、この
国際放送
、特に外国に向けて
日本
で制作をした
番組
を売り出していこうということは、なかなかそう簡単には
収益
上がりそうなというそういうものでもございませんので、まずはそこは
NHK
がある種イニシアティブを取ってもらいたい。 ただ、
NHK自身
がそれにどれだけ関与するのかということになりますと、何しろ基本は国民が
受信料
を払って
番組
を作ってそれを国民に還元をするという話のはずでございますので、果たして外国向けの
番組
について
NHK
は直接ということで本当にいいのかどうか、そこもなかなか難しい問題がありそうだというふうに
考え
ております。
寺田典城
40
○寺田
典城
君 どうもありがとうございました。 はい、右向け右。
渡辺美知太郎
41
○
渡辺美知太郎
君 みんなの党の
渡辺美知太郎
です。 今日は、
長谷部参考人
、
鈴木参考人
、本当にありがとうございます。 まず、
長谷部参考人
に伺いたいことがあります。
島田
先生もおっしゃっていましたが、
国際放送
についてですが、私は
総務委員会
で何度も何度も
国際放送
についてちょっと質問させていただいたことがありまして、例えばこの
国際放送
、
NHK
のワールドTV、たしか交付金が大体、税金が二十四億円ぐらいであると。それに対して、例えばほかの
欧米諸国
、かつての
BBC
、今税金が多分十倍ぐらい多かったような気がいたします。 この予算規模について、
NHKワールドTV
の二十四億という金額がほかの国に比べて少ないことは明らかであるんですが、これについてどういった
方向
でいった方がいいのか。例えば、
NHK
は
NHK
で、この金額で、限られた予算で、逆に税金余り使わないで優れた作品を作った方がいいのか。それとも、例えば
BBC
みたいに、ある一定時期まではある程度の予算を投入して、時期が来たら完全に交付金をなくした方がいいのか。そういったことがもしありましたら、伺いたいと思います。
長谷部恭男
42
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうもありがとうございました。 これは、ある程度までは、何といいますか、経路依存性のある問題でございます。これは、先ほど
鈴木参考人
も御
指摘
のとおり、
BBC
については一種、国際的なグローバルなブランドとしてもう確立をしております。これは
一つ
は、やはり第二次大戦中の
BBC
の
国際放送
の
在り方
というのが、必ずしも
イギリス
にとって有利でない
情報
、戦争の結果等について
イギリス
や連合国側にとって有利でない
情報
であってもやはり正確にそれを報道するという、そういう歴史や
経験
を踏まえた上でそういうブランドを要するに確立をして、それで
世界
各国でやはりあの
BBC
の
放送
を聞きたいと需要が拡大をしてきたという、長年にわたる歴史と
経験
の結果としての蓄積がございます。 その状態を前提といたしますと、やはり国費を投入してということもそれなりに合理性があると思うのですけれども、
他方
で、これまた
鈴木参考人
がおっしゃっていた点ですけれども、これ国費を投入してということは、やはり外側から見たときにその
政府
の希望するような、望んでいるような
番組
あるいは報道
内容
になったりはしないのかという、そういう懸念を持たれかねないところがございますので、必ずしも国費を増大させることがいろいろな
意味
で良い結果になる、直接につながるというわけではないのかなというふうに
考え
ております。
渡辺美知太郎
43
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございます。 まあ
BBC
は確かに歴史がありますし、
ドイツ
の例えばドイチェ・ベレなんかもたしかそれなりに予算を取っていると思うんですが、そういったヨーロッパ、アメリカの
国際放送
に比べると、やっぱり
NHK
はまた違う性質を持ったものであるから、今の段階ではそんなに予算規模のことは
考え
なくてもいいということでしょうか。
長谷部恭男
44
○
参考人
(
長谷部恭男
君) 確かに違うところはいろいろございます。
イギリス
人というのは、やはり
世界
各国植民地を持っていろいろなところでコロニーをつくって生活をしておりますし、
ドイツ
人も
イギリス
人ほどではございませんが、やはり
世界
各国それぞれいろいろなところで
ドイツ
人住んでいるというところがございます。それに比べますと、
日本
はそれなりに
経済
発展はしているとはいえ、どれほどの需要があるかという点におきますと、そこはある程度、程度の差はあるというふうに
考え
ているところでございます。
渡辺美知太郎
45
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございます。 引き続きちょっと質問したいんですけれども、先ほど長谷部先生、
日本
の
テレビ
は質の高いものが多いとおっしゃっていました。ちょっとこれは先生の御専門ではないのかもしれないのですが、私は以前にこの
委員会
でも質問したんですが、
日本
の
テレビ
番組
の輸出額というのが韓国に比べるとたしか三分の一程度しかない、金額だと六十億ぐらいだったと思うんですが、もしこの
テレビ
番組
の輸出戦略について何かお
考え
がありましたら是非ともお願いします。
長谷部恭男
46
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうもありがとうございます。 やはり国内で、とても、要するに国内の需要にきめ細かく手を掛けて応えている
番組
作りをしているということは、必ずしも
海外
の市場にアピールをする
番組
になっているということにはならないということだろうと思います。 というのは、
イギリス
の場合は、何しろ
英語
圏というのは
世界
各国広がっておりまして膨大な人口があります。それに対しまして、
日本
は、やはり
日本
語を主にしゃべっている
社会
というのはまずは
日本
だけでございまして、やはり
日本
の
視聴者
に対する需要に応える、きめ細かく作るというと、そこはやはり
和風
の
日本
テイストのいかにも
日本
という
番組
になりますので、それを
海外
の市場に向けてどうやってアピールしていくのかというのは、それはやはり
イギリス
に比べますと一
工夫
も二
工夫
も必要になってくるのかなというふうに
考え
ております。
渡辺美知太郎
47
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございます。 続きまして
鈴木
先生に伺いたいんですけれども、先ほどおっしゃっていました
番組内容
の質の保証と申しますか
規制
と申しますか、先生がおっしゃった芸人の方が子供のいじめを誘発するような、確かに眉をひそめる
番組
があることは私も承知をしております。 しかし一方で、私、ちょっと幼児教育をやっていたものですから、子供というのは本当にもういたずらの天才なんですね。もう大人が思い付かないようなことをして大人を困らせると、そういったことに関しては彼らは天才的だと思うんですが、例えばいじめを防ぐために
規制
を掛けていっても、まず
一つ
は切りがないんじゃないかという懸念がございますし、あと、余り厳しくし過ぎてしまうと今度は
テレビ
の
番組
の創造性をストップしてしまうんではないかと、そういったちょっとある種ジレンマのようなものがあると思うんですが、そういった
観点
からだと先生はどのようなお
考え
をお持ちか、ちょっともしあれば教えてください。
鈴木秀美
48
○
参考人
(
鈴木秀美
君) 御質問ありがとうございました。 私、
放送
の中身に関しましては
放送事業者
の
自主性
、
自律性
に基本委ねていくべきだというふうに
考え
ておりますし、特に
民間放送
の
事業者
に関しましては、まあ
NHK
は少し違うとは思うのですけれども、先ほど私の
意見
の中で、
民間放送
との
関係
では、もはや
番組編集準則
は
法律
の中に書かなくても自ら作っている
番組基準
で十分ではないかという
意見
があるというふうに、そういう
意見
があるというふうにお話をしたのですけれども、実は私も二〇〇〇年頃に出した本の中で
民間放送
に関してはもうそういう
方向
に行ってよいのではないかというふうに述べておりまして、そういうことからしますと、私は、現在の
日本
において
民間放送
の
番組
の中身にいわゆる法的な
規制
を掛けて、その
規制
に違反したから何らかの制裁をするというような、そういうことは控えるべきではないかというふうに
考え
ております。そういう
意味
で、
自主規制
の
BPO
に期待したいと。 実際、先ほどは青少年
委員会
の自分の
経験
だけをお話ししましたけれども、二〇〇七年につくられました
放送
の倫理検証
委員会
の方はかなり強い権限も持っておりまして、ここの活動は
放送事業者
からは非常に重視されていますというか、
影響力
というか、
効果
を私は上げているし、時に
効果
が効き過ぎているのではないかと思うことさえあるほどでして、そういう
意味
で、この
自主規制
の
仕組み
に更に
工夫
を重ねていくことが
放送事業者
の
表現
の自由を守っていく上では大事なことではないかと思っております。
渡辺美知太郎
49
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございます。 あと、もし時間があればちょっとこれも聞きたいんですけれども、先生が第三者機関による事後的チェック体制の
整備
ということをおっしゃっていまして、ただ、
国家
に代わって第三者機関がしっかりチェックをするというお
考え
であると思うんですが、なかなかこれ人選という
意味
では結構難しいというところもあると思うんですね。つまり、同じ価値観の方が選ばれた場合に、例えば厳格な方が集まった場合にちょっとつまらない
番組
が多くなるんじゃないかとか、あるいは、かなりカジュアルな方が多くなった場合、かなり質が低下するんじゃないかとか、あるいは逆にいろんな
方向
の価値観の方を合わせた場合に第三者機関の中でもう神学論争みたいになっちゃって全然機能しないんじゃないかと、そういった問題があると思うんですが、もし強力な第三者機関を設置する場合にそういった人選はどのようにすれば割と公平なチェックができるのか、ちょっとその辺り、もしお
考え
があればお尋ねしたいんですけれども。
鈴木秀美
50
○
参考人
(
鈴木秀美
君) ありがとうございます。 私
自身
としましては、そのような
独立性
のある機関であっても、
法律
に基づいて設置されて
番組
の中身を
監督
、チェックするということになりますと、これはたとえ
制度
的に
独立性
をつくっても、その人選の
関係
で
政治
的な
影響力
が間接的に行使されることもありますし、御
指摘
のとおり、誰がその
委員
をやるのかとか、あるいは事務局は誰が担当するのかということも含めて、実際にきちんと
独立性
、中立性のある
監督
機関の
運用
ができるかということには懸念を持っていますので、私
自身
としてはそのような
方向
の
制度
改革は反対だと思っております。 例えばアメリカとかあるいは
ドイツ
など、そういう
監督
機関の人選が一定程度
バランス
が取れているのは、きちんと二大政党制が確立されている中で、政党などの
影響力
も
バランス
が取れるように、そこに
工夫
が凝らされているし、それを支える
社会
の実態もあるからなんですね。そういうことが果たして
日本
で今、仮に似たような
制度
をつくったとして、うまく
バランス
の取れた
運用
ができるかどうかについて私はかなり大きな危惧を抱いているため、このような
制度
改革はプラスの
効果
は現実には低いのではないかというふうに
考え
ているところです。
渡辺美知太郎
51
○
渡辺美知太郎
君 ありがとうございます。
吉良よし子
52
○
吉良よし子
君
日本
共産党の
吉良よし子
です。
参考人
の皆様、今日はありがとうございます。よろしくお願いします。 本
改正案
では、
地域
経済
の低迷などに起因して
経営
悪化
していると認められる
放送事業者
に
経営基盤強化計画
を作らせ、コスト削減につながるとして異なる
放送対象地域
においても同一
番組
を
放送
することなどを認めるとしています。 そもそも、
放送
による
表現
の自由をできるだけ多くの者に享受、享有されるよう、
放送
の対象
地域
については、文化的一体性や生活圏としての一体性が持てるようにとの
配慮
はなされてきたと思います。だから、
放送事業者
においても、その
理念
を生かすために、
地域
に密着した
番組
作りのために日々
努力
されており、私は、そうした
地域
の
放送事業者
を応援し、ローカル
番組
比率が
向上
するような手だてこそ必要と
考え
ますが、ここで長谷部、
鈴木
両
参考人
にお伺いします。 ローカル局の維持発展、
放送
における
地域性
の
確保
のために必要な方策とはどのようなものとお
考え
か、お聞かせください。
長谷部恭男
53
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうもありがとうございました。 先生御
指摘
のとおり、
地域
密着型の
放送サービス
というのは大変重要でございます。
地域
の
日常生活
のためにも、あるいは災害時等の緊急時においてももちろん重要でございます。その
観点
から申しますと、実は今回のこの
経営基盤
強化
というのは、主として念頭に置いているのはやはり
ラジオ
局のことなんですが、
ラジオ
局というのは
テレビ
局に比べますと実はローカルの
番組
制作比率は比較的高いというふうに言われておりまして、それは恐らく事実だろうと思います。ですので、これはなぜなのかといったら、
ラジオ
の聴取の形態と
テレビ
の視聴の形態、どういう
情報
を取ろうとしているのか、あるいは何を望んでいるのかというのは、やはり
ラジオ
と
テレビ
では恐らく違うところがあるだろうと思います。 ですので、私の
考え方
ですと、少なくとも
ラジオ
に関する限りでは、やはりそれぞれの
放送事業者
の自主的な
判断
あるいは制作の方針というものを尊重するということが、むしろ先生がおっしゃるような
地域
の利益に貢献するような
番組
作りにつながってくるだろうと。そういう
意味
でも、やはり
地域
の
放送事業者
の
自主性
、
自律性
をなるべく尊重していくという、そういう
方向性
が必要なのではないかというふうに
考え
ております。
鈴木秀美
54
○
参考人
(
鈴木秀美
君) 御質問ありがとうございました。 外国の例ですと、
地域性
を保つために例えば
地方
番組
割合などを定めるというような
方法
もあるかと思いますが、このような
方法
を取るためには、先ほどお話ししたきちんとした
独立性
のある
監督
機関の下というのが条件になりますので、
日本
の今の
仕組み
でそういう中身に関わるような
制度
を
法律
で義務付けるのは難しいのではないかというふうに思います。 そして、現在既に
ラジオ
局が存在しているわけでして、その数をまず減らさないということが大事だというふうに
考え
られているので、今回、特例としての異なる
地域
でも
番組
を同じにしていいという、そういう対策が
考え
られたと思っております。一度こういう
メディア
の集中というのは進んでしまうと、もう後戻しをするのは非常に難しいんですね。減ってしまった
ラジオ
局、あるいは減ってしまった新聞社、そういう数を政策的に戻そうとしてもそれはなかなかできません。そういう
意味
で、
多様性
、
多元性
、
地域性
を少なくとも現状のまま守ろうとすれば、数を減らさない
工夫
をするということが非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。 これはもうあくまで私のアイデアですけれども、例えば、今の
受信料
は
NHK
のためというふうに位置付けられていますけれども、
放送
制度
全体のためのそれを支える資金なのだ、財源なのだというふうに捉えれば、そういう
地域
の局に対してその
受信料
の中から何かそれを支えるような
仕組み
をつくるというのも
一つ
かなと思いますし、例えば、先ほど
地方
で優れたドキュメンタリーがたくさん作られているという話をしましたが、その財源を使って、ドキュメンタリーの制作には一定の、それこそ
審査
委員
みたいなものは必要かと思いますけれども、ドキュメンタリー制作には助成をするとか、あと、私、昔、郵政省の
時代
に
放送政策
の
研究
会のメンバーだったことがあるのですが、そのときは、ネットワーク全体で
地方
を支えるという発想をしたらどうかということを個人的には
考え
たことがございまして、
テレビ
ですと、いわゆる
複数
のネットワークがある中で
地方局
を
キー局
が支えていくというようなことも
一つ
の
方法
として、まさに
経営
のことですので
法律
で義務付けるということは難しいとはいえ、中身に関わらないように
工夫
をすることでそういう政策をしていくこともできるのではないかなと
考え
ております。
吉良よし子
55
○
吉良よし子
君 ありがとうございます。 では、
長谷部参考人
に伺います。 マスコミ
集中排除
原則というのは、戦前の反省に立って、一人の者が所有したり又は支配したりすることができる基幹
放送
局の数を制限することで、
放送
による
表現
の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするものだと
考え
ますが、ローカル局の
経営
悪化
に伴い
番組
制作機能が低下したり、また東京
キー局
への集中がこれからも進んでいけば、一ローカル局の存続という問題にとどまらず、先ほどの話にもあったネットワーク全体、
民放
系列
のネットワーク全体の力を弱めることになり、その原則を根底から揺るがす危険もあるのではないかと
考え
ますが、この点はいかがお
考え
でしょうか。
長谷部恭男
56
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうもありがとうございます。 マス
メディア
集中排除
原則、特に
放送
に関する
複数
の
放送
局の支配に関しては制約を設けると、非常に重要な原則でございまして、それが
鈴木参考人
も御
指摘
の
放送
の
多様性
、そして
多元性
を
確保
することにつながっていく非常に重要な原則でございます。 ただ、私、冒頭の
所見
で申し上げましたとおり、
放送
に関する
法制度
をつくっていくときには、
一つ
の原則だけを貫徹をするということはなかなか難しいところがございます。と申しますのも、やはり
放送事業
も一種の企業体でございますので、やはり
経営
が成り立たないことには
サービス
も維持ができないということがございます。 したがいまして、これはどちらかを一〇〇%というよりは、どちらかというと衰退をしていく傾向のある
地域
におきまして、いかにして既存の、これまた
鈴木参考人
がおっしゃっていましたけれども、既存の
放送
局の数をなるべく減らさないようにしていくと。そのことが、少なくとも中長期的に見たときには、その
地域
に密着した
放送サービス
の
確保
、持続性につながっていくという、そういう
考え方
で今回の
提案
がなされているというふうな、そういうことで御理解をいただければというふうに
考え
ております。
吉良よし子
57
○
吉良よし子
君
最後
になると思いますけれども、また
長谷部参考人
に伺います。 先ほども、
ラジオ
では特に大規模災害時に大きな
役割
を果たしているということのお話がありました。一方、
放送
ネットワーク強靱化に関する
検討
会の中間取りまとめの中では、AM
ラジオ
の送信アンテナの老朽化とともに、AM
ラジオ
が使用している中波の特性上、海岸や河川敷などに送信所が置かれていることから、その脆弱性というものが
指摘
されております。ところが、その送信アンテナの更新には多額の費用が掛かるため計画すら立てることが困難だというお話もありましたけれども、今度の法案では
経営基盤
の
強化
というものは掲げられていますが、このことだけでこうした老朽化対策などについても対応できるものなのかどうかという点、お答えをお願いします。
長谷部恭男
58
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうも御
指摘
ありがとうございます。 御
指摘
のとおりでございまして、特にマスターアンテナの大きな災害に対する脆弱性というのは非常に重要な論点でございますが、実は今回のこの
経営基盤
強化
を通じまして、
複数
の
放送対象地域
を対象とする
一つ
のマスターアンテナを新規に創設をすると、造り上げるということも、これまたそうしなさいというふうに
政府
や
総務省
が言うわけではございませんで、あくまで
地域
の
放送事業者
の間のパートナーシップでそういう計画を立てることも可能になるということでございますが、これも先生御
指摘
の問題に対する解決策の、実質的な解決の
一つ
にはなり得るのではないかというふうに
考え
ております。
吉良よし子
59
○
吉良よし子
君 ありがとうございました。終わります。
又市征治
60
○又市
征治
君 社民党の又市です。 今日は、両先生、本当にありがとうございました。大変勉強になりました。 私まで回ってきますと、この法案などでほとんどダブってくる質問ばかりなんで、大体お聞きしたように思うんですが、ダブらない格好で幾つかお聞きをしたいと思います。 まず長谷部先生にお伺いしますが、事前に長谷部先生と法政大学の杉田先生の対談、若干読ませていただきました。
放送法
の一部
改正案
とは直接に
関係
はないんですけれども、その中で先生の御
発言
で、
日本
の
法制
は内閣がイデオロギー的に極端な人事を行うことを想定していません、内閣がその気になれば独裁に近い状態もつくれないことはないとおっしゃっておるわけですが、もちろん先生がそのことを是認されているわけではないことはもう言うまでもありませんけれども、この独裁に近い状態がつくられないための
放送
の責務というものは一体全体どのようなものだというふうにお
考え
なのか、まずお伺いさせてください。
長谷部恭男
61
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうもありがとうございました。 こういう独裁といいますか、あえて
英語
を使いますとティラニーということになりますけれども、そういう
方向
に向けて民主
政治
が漂流していかないようにするというのは、何よりも大事なのはやはり世論の態度だろうと思います。そして、世論を形成する上におきましてマス
メディア
というものが非常に重要な
役割
を果たしていく、これも御案内のとおりでございます。 ですので、これにつきましてはいろいろな
メディア
がいろいろな構えで世論の形成に対して貢献をしていくことになりますが、
放送事業
の場合につきましては、これはまた
鈴木参考人
冒頭の
所見
で御
指摘
のとおり、
番組
放送
準則に則した公平性、そして論点の多角的な解明と、その基本的な原則に沿った
番組
作りに従った特に報道
番組
の提供というものが非常に重要ではないかというふうに
考え
ております。
又市征治
62
○又市
征治
君 ありがとうございます。 もう一点、今回の
放送法
の
改正
によって今後
テレビ
放送
とネットとの
関係
が密接になっていくということだろうと思うんですが、その際、
NHK
は
公共放送
としてどのような
役割
を果たすべきだというふうにお
考え
でしょうか。
長谷部恭男
63
○
参考人
(
長谷部恭男
君) これは、そういう御質問、前にも承ったように記憶をしておりますけれども、やはり
放送
と
インターネット
を典型例とするような通信との融合というのは、これからも進んでいくことはあっても後退していくことはないだろうと思います。そして、何しろコンテンツの制作という
意味
では
放送事業者
は非常に大きな力を持っておりますので、ネットを通じたそういった非常に豊富で
内容
の優れたコンテンツの提供というものは、今後
放送事業者
はどんどん行っていくことになるのではないかと思います。 ただ、
NHK
に関しましては、これはまた先ほども若干触れましたけれども、
日本
の
NHK
というのはハード、ソフト一体型の公共
放送事業
体という非常に特殊な
経営
形態を取っていることから、そのことから、やはり
受信料
を使った
番組
の制作とその提供というものが果たして
インターネット
を中心とした通信としてどれだけ提供ができるのか、この点についてやはり特殊な
配慮
が必要になってくるということがございます。 その点も含めて
考え
た上で、やはり基本的な
方向性
としては、
NHK
も
インターネット
を中心とした通信網を通じて豊富な
情報
を提供していくべきであるというふうに
考え
ております。
又市征治
64
○又市
征治
君 ありがとうございました。 そこで、
鈴木
先生に二問ばかりお伺いをしたいと思うんですが。 まず初めに、大変
ドイツ
の問題もお詳しいようでございますので、
ドイツ
の連邦
憲法
裁判所が、
公共放送
である第二
ドイツ
テレビ
の内部
監督
機関のメンバー構成について、
政治
からの影響が大きいとして
違憲
判決を下したことに関連して、先生は新聞に、
日本
でも
公共放送
への
介入
がよりしにくくなるような法なり
制度
とその
運用
の
在り方
を見直すべきではないかというようなコメントをお寄せになったと思うんですけれども、大変これは大きなテーマだろうと思うんですが、この問題について、先生としては、一定のお
考え
なりイメージというのをお持ちであれば、これについて御
意見
をお聞かせいただきたいと思います。
鈴木秀美
65
○
参考人
(
鈴木秀美
君) ありがとうございました。
ドイツ
の場合は、
大臣
が
公共放送
を
監督
するというよりも内部に
監督
機関を置いて、そこが
合議制
になっております。
ドイツ
では
憲法
判例が
放送
制度
を戦後つくってきたと言われるほどにたくさんの
憲法
判例がありまして、その中で
憲法
裁判所が重視していますのが、組織を
国家
から独立させて
政治
や
行政
の口出しができにくくするという、そこがすごく重視されております。 ところが、その内部
監督
機関の
委員
の中に、これは、第二
ドイツ
テレビ
は全国
放送
でして、連邦
政府
や州
政府
の代表、それから政党の代表なども一部含まれていて、多過ぎるのが
憲法違反
だと今回判決が出ました。
政治
の
影響力
を少なくとも三分の一以下に人数で制限すべきだというのが多数
意見
でございまして、三分の一でも多過ぎるという少数
意見
も八人中一人付いていたほどでございます。 そのようなことを横目に見つつ、
日本
の場合、今回
NHK
の
制度
を変えてはどうかとか、そういう
提案
も昨今なされているというふうに思いますけれども、私は、今の段階では
制度
を多少変えても、先ほどの
長谷部参考人
の新聞の
発言
ではありませんが、
法制度
というのはそんな極端な使われ方をするということを想定せずにつくられているんですね。特に
放送
とか教育とか文化に関わる分野の場合、良識のある人が良識のある使い方をするだろうと、そういうことを前提に
制度
設計がなされております。とすると、使う人のまさに良識、それが求められるわけでして、その
経営
委員
の人を選ぶ段階とか、そういうときに極端な人選をしないということが何よりも大事になってくるというふうに
考え
ます。 そういう
意味
で、新聞のコメントでは
制度
と
運用
と言っているのですけれども、現時点では
運用
の仕方がまずいということをもっとはっきり野党の皆さんが批判され、より、もう既にされているとは思うんですけど、批判すること。さらに、やはり市民の声、先ほど
長谷部参考人
が世論が大事とおっしゃいました。
視聴者
がはっきりとそういうことに対する批判の態度を示していくということ、その繰り返しがこの
制度
の
運用
の
在り方
を改善していくというふうに
考え
ているところです。
又市征治
66
○又市
征治
君 大変どうもありがとうございます。 それじゃ、時間が余りありませんので、もう一問だけ簡潔にお願いしたいんですが、資料によれば、
ドイツ
の
公共放送
では、
インターネット
関連
業務
は必須
業務
として位置付けられて、
同時配信
も無料で行われているようですけれども、この
公共放送
をめぐる環境も
ドイツ
と
日本
とでは大分違うんでしょうけれども、
ドイツ
における
公共放送
の
インターネット活用
状況から
日本
が
ドイツ
から学ぶとすればどういうことがあるか、簡潔にお答えいただければと思います。
鈴木秀美
67
○
参考人
(
鈴木秀美
君) 御質問ありがとうございます。
ドイツ
では、先ほどお話しした
憲法
判例の中で
公共放送
が
社会
にとって非常に重要なものだと位置付けられておりまして、そのような
公共放送
が
放送
と通信の融合に対応するために、二〇一三年度から
放送
負担金という、
テレビ
を持つか持たないかに
関係
なく、先ほど長谷部先生の
発言
の中に、
社会
の中で生きていれば
テレビ
を見ていなくても
公共放送
の恩恵を必ず大なり小なり被っているはずだと、こういう
理由
から、全ての世帯それから
事業者
に対して
放送
負担金が課せられることになりました。そういう
制度
改革を受けて
インターネット
同時再送信というのが始まったというふうに認識しております。 果たして
日本
でこれが
社会
に受け入れられるかどうかというところが問題だと思います。
ドイツ
でも反対する人たちがおりまして、例えば、これは
憲法違反
だといって、見ないのに負担金を払うのは不平等だというような主張をし、
憲法
裁判を実際にし始めた人もおりまして、今のところ
結論
ははっきり出ていないのですけれども、ただ、これは少数だというふうに聞いています。
日本
ですと、もしも仮に
日本
が
ドイツ
のようにすると、
テレビ
をそもそも見ていないのに負担金なんてとんでもないという声は
ドイツ
以上に大きくなるというふうに私は思っておりまして、この辺、どういう
制度
設計をするかはまさに世論を見つつ先生方にお
考え
いただきたいというふうに思います。
又市征治
68
○又市
征治
君 どうもありがとうございました。終わります。
主濱了
69
○主濱了君 生活の党の主濱了であります。 本日は、貴重な御
意見
賜り、誠にありがとうございます。私からも感謝申し上げます。 早速質問をいたします。 先ほど吉良
委員
からも質問あったわけですが、マス
メディア
集中排除
原則について
長谷部恭男
参考人
にまずお伺いしたいと思います。 本法案の
提案
理由
の中で、実は新藤
総務大臣
から、
地域
の
経済
の低迷等により、既存の株主が
放送事業者
の株式を保有し続けることができない事態が発生していることを踏まえ、
認定放送持ち株会社
の下で
放送事業者
の議決権保有が可能な範囲を拡大することとしておりますと、こういったような説明がありました。
地方
の
放送
局を守るためにはこの
認定放送持ち株会社
の下で
放送事業者
の議決権保有が可能な範囲を拡大すること、今の時点では前向きに
検討
しなければならないのかなというふうに思っているところであります。 一方、先ほどもありましたけれども、少数の者により
複数
の
基幹放送事業者
が支配されることを防ぎ、多くの者、要するに国民だと思いますけれども、この国民が
表現
の自由を享受できるようにするため、
複数
の基幹
事業者
に対する出資を制限しているマス
メディア
集中排除
原則があるわけであります。 流れを見ますと、
平成
十九年に行われました
認定放送持ち株会社
制度
の創設、そしてこの度の
認定放送持ち株会社
の
認定
の要件の
緩和
と、マス
メディア
集中排除
原則が私には緩められてきていると、こういうふうに受け取っております。 そこで伺うわけですが、今後、この
放送
関係
の政策におきまして、マス
メディア
集中排除
原則が守られる
方向
に向かうのか、逆に更に
緩和
する
方向
に向かうのか、是非ともこれは先生のお
考え
を伺いたいと思いますし、あわせて、そうしなければならない、あるいはそうならなければならない背景あるいは
理由
についても併せてお伺いをいたしたいと思います。
長谷部恭男
70
○
参考人
(
長谷部恭男
君) 御質問ありがとうございました。 マス
メディア
集中排除
原則は
認定放送持ち株会社
制度
の
関係
で
緩和
の
方向
の
改正
であるということは、これは御
指摘
のとおりでございます。 ただ、
一つ
申し上げられますのは、今までの現行
制度
の下でも実は子会社化をすることはできたわけですね。ところが、
他方
で、その他の基本的なマス
メディア
集中排除
原則は残っておりますので、三分の一を超えるところ、それから二分の一までは行かないというところまでの議決権の保有が、これができないと。言ってみれば、全体の
制度
の整合性から見ると若干穴が空いているところがあったと、そこを何とかした方がいいのではないかというそういう性格も持っているものでございます。 したがいまして、過剰に
制度
を緩めているというわけでは私はないのではないのかというのが
一つ
ございますのと、それから、先生御
指摘
のとおり、
地域
の
経済
、なかなか低迷をしているところがございまして、したがいまして、今までのローカルの
放送事業者
の株主の方が株を手放したいと、その
放送事業者
以外の方が主になりますけれども、というときに、じゃ、ほかに引き受けてくれる人がその
地域
にいるのかということになります。それを見付けてくるのがなかなか難しいということがございますので、そこは助けてくれる人を別に見付けてこなくてはいけないという、そういうところもございます。 そういうわけで、確かにマス
メディア
集中排除
原則からすると
緩和
の
方向
ではございますけれども、今回のような
改正提案
がなされているという、そういうことでございます。
主濱了
71
○主濱了君 非常に、どちらの
方向
に向かうかというのも、私どもこれから
考え
ていかなければいけない問題だというふうに思います。 では、続いて、厳しい
経営
環境と、こういう
観点
でまた
長谷部恭男
参考人
に伺いたいと思います。
長谷部参考人
は、
放送政策
に関する
調査研究会
の座長を務められております。第二次取りまとめにおいて、
総務省
に
検討
会ができたわけでありますけれども、この開催の背景には、
広告
市場の縮小の環境の変化への対応の
必要性
があると、こういったような状況、それから、
民間放送
を取り巻く厳しい
経営
環境の中、
経営状況
の
悪化
に対し、より早い段階で適切な対処を行うことができるような
制度
、これを
検討
する必要があると、こういうふうにしているわけであります。 厳しい
経営
環境ということになりますと、一般的には、
日本
全体としては確かにGDP、これはもう五百兆、
平成
九年から五十兆も下がっているわけでありますし、それから可処分所得も下がっております。あるいは、
地方
経済
全体を見ればこれはもう明らかなわけであります。ただ、最近は、アベノミクスの
効果
による
経済
指標が改善してきているという宣伝も一方ではなされているんです。最近の新聞見ても、GDP、一—三月期の年率が六・七%上方修正、こういったような宣伝もなされていると。 こういうことで、実は
政府
の対応を見てみますと、どうも都合よく、例えば消費税なんかのときは、随分
経済
は良くなっていますよ、それから、例えば今回のようなものについては、
地方
経済
は厳しいですよ、こういうふうな使い分けがうまくなされているんじゃないかなと、こういう気がしてならないんですよ。 ついては、座長として、
地方
の
放送
局の現実の
経営
環境の厳しさについてどのように認識をされているのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
長谷部恭男
72
○
参考人
(
長谷部恭男
君) どうも御質問ありがとうございました。 先生御
指摘
の
調査研究会
におきまして、民間
放送事業者
の一社当たりの売上高の推移に関しましても、これはここ二、三年ということではございませんで、かなり長期的、中長期にわたる傾向を分析をいたします。その結果、やはり中長期的に見ますと、特に
ラジオ
単営局、そしてあるいはFM単営局につきましては、売上高、中長期的に低落傾向にあるということ自体はなかなか否定のし難いところでございまして、これに対する
制度
的な対応、何らか必要ではないのかと、今そういう
方向性
になっているということでございます。 それから、
他方
、今までの先生方からの御質問の中にもございましたが、
放送
という事業は言わばグローバルなマーケットにおきましてもある種の競争をしているところでございます。そのために、
日本
という市場自体が場合によっては縮小をしているというところで、果たしてマス
メディア
集中排除
という形で分断をしていく、
経営
的に分断をしていくということになりますと、場合によってはこれが各個撃破されてしまうと、何か要するにグローバルな
メディア
企業によってという、そういう危険性も実は少なくとも可能性としては想定をせざるを得ないところがございます。 例えば、先ほど
イギリス
の例が出ましたけれども、
イギリス
のITVは実は以前は各ローカル局の連合体という形態を取っておりましたが、現在は事実上一社に統合されております。これは、やはりグローバルなマーケットにおきまして、どうやって競争する体力、
経営
体力を付けるのかという
観点
から、ある
意味
ではマス
メディア
集中排除
原則、ラジカルな形で犠牲にしているところがあるということでございます。
日本
の今回の
放送法
の部分
改正
につきましては、それほどラジカルなものではございません。障子に空いた穴を埋めているという、どちらかというとそちらの方に近いものかと思いますけれども、そういう視点がないわけでもないという、そういうことでございます。
主濱了
73
○主濱了君 実は
鈴木参考人
にも質問を用意していたんですけれども、時間の都合でかなわなくなりまして、申し訳ございませんです。 以上で終わります。
山本香苗
74
○
委員長
(
山本香苗
君)
参考人
に対する
質疑
はこの程度といたします。
参考人
のお二方には、長時間にわたりまして大変貴重な御
意見
を賜りまして、本当にありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして心より厚く御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会