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政府参考人(
上村進君) 非常に
法律上のちょっとテクニカルなタームでございますので、なかなか御
説明は難しいところがございますけれども、まず非申請型
義務付けについて申し上げたいと思います。
こうした申請をするということにつきましては、名前の示すとおり、申請権を前提としない
処分を求めるということですので、例えば
法令違反を発見した場合これを是正すると、こうした
処分が想定されるわけでございますけれども、こうした
処分をする権限というのは一般に個別の
法律、作用法等で権限を
行政庁に付与されまして、
行政庁がその
処分を行うに当たって必要な
手続を行っていくと。例えば、
法律に基づき考慮すべき要素がございますので、そうした
情報を収集するとか必要な
調査を行うとか、それから
処分対象者に対する聴聞を行うと、こうした
手続を行った上で行使をするということになるわけでございます。
この非申請型
義務付けというのは、御承知のように
行政事件訴訟法にあるわけでございますけれども、
裁判の場合は、そういう意味では
行政の部外の立場から争訟
手続を行っているという点がございます。
行政の内部にこれを導入するということになりますと、それとは違いまして、今私がちょっとるる申し上げました個別法に基づく権限、これの行使、これを行使をする主体、それと争訟、この
手続が導入された場合の争訟を行う主体というのが同一になってしまうということがあるわけでございます。そこである意味二重化してしまうということがございまして、混乱を招くおそれがあるのではないかと。したがいまして、この
見直しの
手続として導入することは適切ではないのではないかと考えたところでございます。
他方、
法令違反を是正するための申出の
手続ということは非常に重要な話でございますので、これは先ほど私が言いましたのは、慎重な事後
手続として位置付けるのではなくて、職権発動の端緒とすると、こういう
観点から、
行政手続法の
処分等の求め、こちらの方でこれを定めることとしたというのが
検討の
経緯でございます。
それから、ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、次に御
指摘の差止めでございますけれども、これも基本的には今申し上げた考え方と同様になるわけでございますけれども、仮に
行政に対して、
行政の内部にこうした差止め
手続というのを導入した場合には、これはまさに個別法に基づいて現に
処分を行っている主体、
行政庁等と、他方でこの争訟によってこれを見直そうとする、そういうプロセスが同時並行するわけでございますので、主体が同じになってしまうと。そういうことで、先ほどと同じような混乱を招くおそれがありますので、これも適当ではないのではないかと考えておるところでございます。
それから
最後に、仮の
義務付けとそれから仮の差止めについて御
指摘がございましたが、これはちょっと一括して申し上げたいと思いますけれども、こうした仮の
義務付け、仮の差止めということにつきましては、こういった特段の
制度を設けなくとも、迅速な
救済が必要であると、こういうふうに
行政庁が認めた場合は、これは権限を持っているのはその
行政庁でございますから、自ら
法令の範囲内で柔軟に必要な措置を行うことができるわけでございます。
さらに、
裁判の場合は、一般に言って
審理に長期間要しますので、こうした仮の
手続というのを設けておくという実益はあろうかと思いますけれども、こちらの方の、
行政不服審査法というのは
趣旨からしまして簡易迅速な
手続でございますので、短期間で
結論を出すと、こういう想定になってございますので、こうした
制度を導入する意義は乏しいのではないかなと考えているところでございます。
それからもう
一つでございますが、仮にこうした仮の
義務付けないし仮の差止めというのを
制度化することになりますと、これはもうきっちりした争訟
手続になりますので、そのための
審理が必要になってございます。したがいまして、これは、不服
審査を申し立てる、これを扱う
審理と併行してと申しますか、別途の
審理が必要となってくることになりますので、そうした結果といたしまして、本案
審理の遅延、それを招くおそれもあるわけでございます。そうしたことを考えますと、こうした
審理を新たに導入するというよりは、むしろ本案
審理を迅速に終結させて早く
国民の
権利救済、
権利利益の
救済を図るということの方が本来の姿ではないかと考えておりまして、こうしたことにつきましては
改正法案上
規定していないと、こういうことでございます。