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参考人(
田中大輔君) 東京都
中野区長の
田中大輔でございます。
今日は、
中野区で取り組んでおります
地域支え合い
ネットワークの
取組、この
取組が今回の
消費者安全法の
改正に関わって
内容とされております
一つ、
消費者安全確保地域協議会の
設置、この
内容とかなり
関連が深いというふうに思われるところから、私からは、この
中野区の
地域支え合い
ネットワークの
取組、この
取組と、この
消費者安全確保地域協議会との
関連性であるとか、適切な
関連性を持たせるようにしていただきたい、あるいは私どもも
関連性を持たせていきたいといったようなことから今日の
お話をさせていただければと考えております。
資料の方ございますので、まず一
ページを御覧いただきたいと思います。概略であります。
中野区の
高齢化率、
人口等について。
高齢化の割合は二〇・七%ですから、
日本全国とほぼ、平均的な
数字ということになります。
中野区で特徴的なのは、
平均世帯人員、これが一・六六人という大変少ない
状況ということが特徴的かと思います。このうち七十歳以上を含む
世帯が三万七千五百五十二
世帯、
高齢者のみの
世帯を見ますと二万六千
世帯、
単身世帯が一万八千四百七十九
世帯、こういった
状況になっています。
ここに
孤独死という数が出ていますけれども、独り暮らしの方が
孤独死の形で亡くなっている
件数というのが、二十四年の警視庁の
統計なんですけれども、
中野区内で三百人
孤独死をされるというような
状況であります。つまり、
高齢期になっていろんな
意味で支えを必要とする方が実際に一人で暮らしていられるんだなということが切実にこういう
数字から表れているというふうに思っております。
地域の中、歩いておりましても、
高齢者の方で
認知症の症状が見られるかというような方が終日歩いておられるというようなことであるとか、あるいは、明らかに
介護保険等のサービスを適用されるべきであるというふうに思われる方が何の適用もなく
生活をしていらっしゃるというようなことをしばしば見かけるというようなことがあります。
そういう中で、やはりそうした独り暮らしの
高齢者の方、あるいは
高齢者だけの
世帯の方たちを支える仕組みとして、近隣、
地域社会の目で見守って支え合っていくという、そういう仕組みをつくっていくことが極めて重要ではないかというようなことから、
地域支えあい推進条例というのを作ってそうした
取組を、特に地縁
団体、町会、自治会の
皆様とともに進めてきているということであります。
ちょっとこの
資料の六番の方に飛んでいただければと思いますけれども、この
法案の
関連になりますので、
中野区におけるそうした
高齢者の方たちをターゲットにしたようないわゆる特殊詐欺等の
状況と
対応ということについてこの
ページでは報告をさせていただいています。
中野区の
中野警察、野方警察、二警察署の管内におきます特殊詐欺の
状況、二十五年度は九十七件で、
被害総額が四億九千五百万円に上ります。一件当たり五百万円くらいの
被害額ですので、大変
被害が大きい、
件数も大変多いというふうに認識をしております。
こうした
状況の中で、
中野区では、例えば
民生・
児童委員の方たちが警察署と
連携をして振り込め詐欺防止アドバイザー活動というようなことをやっていただいたり、それから、
行政の方になりますけれども、ラッピングバス、こうしたラッピングバスを運行したり、それから、庁有車にもこういった表示ステッカー類を付けながら啓発を行ったり、横断幕、あるいは
高齢者の方への啓発グッズを
民生委員の方たちが直接訪問した際にいろいろと配付をさせていただいたりと、こういったような
取組を行っております。
こういった
対応を行っている
中野区側の
行政側の
体制としては、
消費生活センター、所長が一名、
職員が二名、そして非常勤
職員、こちらが専門
相談員ということになりますけれども、五人と、こういった形で活動をしております。
こうした
高齢者を対象とする特殊詐欺あるいは
消費者犯罪
被害というものの特徴は、やはり
高齢者の方の
認知の衰えであるとか孤独であるとか、それから寂しさからくる不安感といったようなことに大変
関連をしているということから、こうした方たちの孤立、孤独を防ぐ
取組、支え合いというようなことが大事だということと、それからもう
一つは、やはり
消費者問題という側面からのアプローチだけでは絶対に済まないということで、
福祉やあるいは様々な
地域のコミュニティーとしての関わり、そういったもの全体の中に
消費者問題という視点がしっかりと組み込まれているということが大事なのではないかと考えております。
具体的な
中野区の
地域支えあい活動のイメージ図ということで、二番のペーパーに戻らさせていただきます。
中野区では、こうした
地域支え合いの活動をやっていただこうと思ったときに、
中野区で一番最初に壁になったのは何かというと、町会、自治会の方も、どこに独り暮らしの
高齢者が住んでいるか分からない、
高齢者のみの
世帯の方あるいは障害者の方がどこに住んでいらっしゃるのか分からないというようなことで、活動したくても始められないというようなことがありました。
そうしたことから、
中野区では、見守り
対象者名簿を配付できるような
規定を、
個人情報の
保護とか、あるいはその違反者に対する罰則も含めて、そうした
内容を
定めた
地域支えあい推進条例という条例を作って、その見守り
対象者名簿を提供しながら見守り活動をしていただくという活動を行っております。
見守り
対象者名簿に、二番目の左の楕円の中に入っております見守り
対象者名簿、これを、町会、自治会、御希望される町会、自治会ですね、と、それから
民生・
児童委員、それから警察署、消防署が共有をいたします。そして、すこやか
福祉センターと書いてありますのは、これは
地域の見守り、支え合いを担当いたします区の
組織であります。このすこやか
福祉センターとこれらの機関、
関係者の皆さんが
連携をして、要
支援者の方に対して、異変の発見、通報、あるいは訪問活動、あるいは日常
生活支援といったようなことを町会、自治会の方たちを中心に行っていただくというようなこと、それから、孤立している
高齢者を
地域参加に促していくというような働きかけを行っていただくというようなことを行っていただく一方で、異変を発見したり、あるいは通報するべきことがあった場合にはすこやか
福祉センターに通報をしていただいて、直ちに
職員がその場に赴いて必要な
対応を行う、包括的にサービス適用を行う、こういったような仕組みになっております。
関係機関としてここに書いてあります子ども家庭
支援センター、それから
消費生活センター、児童
相談所なども随時こうした
ネットワークの中で
情報交換をしながら活動をしていただいているという
状況でございます。
次の
ページを見ていただきたいと思います。
見守り
対象者名簿の概要ということで書いてあります。名簿の
対象者及び登載方法、これは
個人情報との
関係でどういう取扱いをするかということで工夫をした
内容になっております。七十歳以上の単身者は名簿に登載をいたします。それから、七十五歳以上の方のみの
世帯の方たち、これも名簿に登載をいたします。ただし、載せてほしくないというふうに自ら不同意を宣言された方については名簿登載をいたしません。それから、この不同意の方についても、
民生・
児童委員や警察・消防署には
情報は提供をしております。
守秘義務があるからということですね。
それから、身体障害者手帳、それから精神障害者保健
福祉手帳、愛の手帳、これらの障害のある方たちについては、載せてほしいというふうに、自ら載せてほしいというふうに希望された方、自ら同意された方を掲載をさせていただいております。そのほか、御本人が名簿登載を申し出た方について名簿登載して、この場合には、お子さんも含めて
地域で見守り、支え合いを行うということでの名簿登載を行っております。
そうした形で名簿を
活用して、見守り、支え合い活動を行っていただいている
団体数、
中野区には百十の町会、自治会がございますが、このうち二十六年、今年の八月に提供を予定している
団体も含めますと七十四
団体、およそ七割くらいの
団体がこうした活動を始めていただいていると、こういったような
内容になっております。
名簿の登載率なんですが、
高齢者の方で六〇%、障害者の方は希望する方しか掲載できませんので、一五%と低い登載率にとどまっております。
そして、この支え合い活動を推進していくための
会議のイメージというのが、次に書いてございます区民活動センター圏域の
会議、十五か所の区民活動センター、これは中学校区域とほぼ一致するぐらいと思っていただいていいと思います。それから、すこやか
福祉センター、四か所の圏域での
会議、それから
中野区全域での
会議というふうに、支え合いの仕組み全体を三層に分けて分担をしながら、こうした
地域支え合い活動の
情報共有でありますとか、活動の
内容についての統一化というかレベルアップなどについても進めているという
状況です。
五番の方を見ていただきますと、支え合い活動を推進するための
会議体の
状況ということで、十五か所の
会議が三十五回、四か所の
会議が四回、全域の
会議が三回と、こういった形で各層で
情報交換を行ったり、ノウハウを共有しながら活動を行っているという実態を知っていただくことができるかというふうに思っております。
六枚目、
先ほどお話ししましたけれども、こうした形で、特殊詐欺等の
被害が
高齢者をターゲットとしているというようなことから、この
地域支え合い活動の中に、こうした
消費者安全の視点というものをこれからより強固に組み込んでいくということが必要であると思っておりますし、
消費者行政部門のノウハウというものをより積極的に関わりを持っていただくような
体制づくりということが今後必要となってくるかというふうに考えておりまして、今回の法
改正についても大変時宜を得た歓迎するべき
改正になろうかと、こんなふうに考えております。
以上でございます。