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参考人(
藤井聡君) それでは、
京都大学の藤井がお話を申し上げたいと思います。
本日は、かような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。(
資料映写)
今日は、こちらに出ております「今、
デフレ脱却のために必要なのは、「戦略的・
財政政策」である」、こういう趣旨で二十分ほどお話し申し述べたいと思います。本日の私の発言は終始、
京都大学教授としての、一学者としての立場でお話し申し上げるということを申し添えまして、今からお話しさせていただきたいというふうに思います。
まず、この「戦略的・
財政政策」という言葉を使わせていただいた趣旨でございますが、例えば
経済政策を行うときに、
金融政策、
財政政策、それからいろんな
制度改変、こういったものが一般的な、どの国問わず一般的に理論的に考えられる
経済政策と、こう呼ばれるんですけれども、これをばらばらに遂行していては方向が定まらなくて
効果的な
経済政策ができないということでございますので、そこで必要になってくるのは
戦略性であります。
すなわち、様々な
経済政策というものをどうやって一本にまとめていくのか、計画的に推進していくのか、合理的に推進していくのかということが大事であるというのがこの戦略的という言葉の意味であって、そしてその中心に
財政政策というものがやはり
デフレ脱却の中には重要になってくると。そういう意味で、全てを束ねながら
財政政策を行っていくということが重要ではないかという意見を、今日は「戦略的・
財政政策」という言葉にのせてお話ししたいというふうに思います。
まず、
デフレ脱却を考える場合に、
デフレとは何かを理解しないといけないんですが、
デフレとは何かを理解する前に、
地震とは何かからお話をしたいと思います。
地震の定義には例えば二つほど考えられます。地面が揺れること、あるいは地下で岩盤が割れること、この二つ、どちらが正しいのかというと、一般的に我々、非
科学者であれば地面が揺れることが
地震だと思っているんですが、科学的に言いますと、
地震が起こるというのは、地面が揺れることではなくて地下で岩盤が割れることをいいます。これが科学的な
地震の定義であり、これが
地震の実態であります。これが
物理世界で、実態的な社会でこれが起こったことで、その結果として地面が揺れるんだということが科学的な
地震の定義であります。
この考え方で
デフレというものを考えるとどうなるかというと、
デフレといいますと、物価が下がる、
貨幣量が少なくなる、あるいは貨幣の速度が、巡りが悪くなる、速度が低下すると。それに加えて、
倒産、
失業、所得が減ると、そういうことがあるわけでありますけれども、
デフレという現象は全部この四つが
同時並行で進んでいるものではありますが、どれが科学的な実態的な現象なのかというと、実は一、二、三ではなくて、四番目の、
倒産、
失業が増えて所得が減るというのが
デフレ不況の正体なのだ、
デフレの正体とはまさにここにあるのだということをまず
地震の比喩から申し述べたいと思います。
そして、これが起こると
皆さんお金を使わなくなるので貨幣の巡りが悪くなる、巡りが悪くなると
一定期間の間で
市場の中で使われる
お金の
量自体が減って、最終的に物価が下がるというふうになります。当然ながら物価が下がると需要が減りますので、もう一度
倒産、
失業が増えるということにもなって、
スパイラルになるわけでありますが、実はこの四番、
倒産、
失業が増えるためには、物価が下がるだけで起こるのではなくて、例えばリーマン・
ショックがあったり、あるいは
バブルが崩壊したり、あるいは
地震が起こったり、その他もろもろの様々な原因によってこの四番が起こると。この四番が起こると、これを起点として、さながら地下で岩盤が割れることが起点となって地面が揺れるようにこの一、二、三というものが起こって、そして更に
地震よりも恐ろしいのは、これが
スパイラル状に悪くなっていくというのが
デフレの正体なのだということを申し述べたいと思います。
これを考えますと、必然的に
デフレ脱却のために必要なものはこの二つになってくるということになるわけであります。
倒産、
失業を減らし所得を上げることが
デフレ脱却において必要であるということが、これは理論的に、科学的に推測されるようになるわけであります。
そのために何が必要なのかということを考えますと、ここではAとB、申し述べておりますけれども、やはり
財政政策、
金融政策というものを一体的に推進することで
国内産業に仕事をつくっていくということであります。これが、政府がそういう
国内産業の働けるような仕事をつくることができれば、
倒産、
失業が減って所得が上がるという結果が生まれて当然
デフレ脱却にできるということでありますが、それだけではなくて、雇用、
中小企業、
地域産業、こういったものを直接保護したり、あるいは支援をすることを通して
倒産、
失業が減っていったり所得が上がるということもあると。保護だけではなくて支援もしていくと、当然そういう
デフレ脱却の、もう地下で岩盤が割れる
そのもの、
患部そのものを治療していくことができるようになるということを申し述べたいと思います。
しばしばこういうAとBという
政策は
カンフル剤だと呼ばれるんですが、私はこの言い方は間違いであると。場合によっては間違いの場合があると言った方が正確かもしれませんが、
デフレ脱却のためにこのAとB、
財政・
金融政策といろいろな雇用、
中小企業、
地域産業保護・
支援政策を行うというのは、
カンフル剤ではなくて点滴なのだということを申し述べたいと思います。
この違いは何か。
カンフル剤というのは、打つ前の
状況にその薬が切れたら戻るということであります。これではやっても意味がない。しかし、点滴というものは、病気のときに打てば、適切に打てば、病気の体が
健康体になってそれ以後点滴を打つ必要がなくなるということであります。例えば三本打つことが必要であるならば、三本打てばもう四本目も五本目も不要になると、これが点滴というものであります。ところが、三本打たないといけないときに一本とか二本しか打たなかったら、これは意味がない。病気に、元へ戻ってしまうということでありますから、こういう
財政・
金融政策と
保護政策、
支援政策というものは
カンフル剤ではなくて点滴なのだという御理解を持っていただきたいということを一学者として持ってございます。
以上の
理論的背景に基づきますと
デフレ脱却の方法はどうなるかというプロセスをお話ししたいと思います。
まず、目的は、
倒産、
失業を減らし所得を上げるということでありますが、そのためには、
実体経済、物やサービスが売り買いされているそういう
経済が
活性化すれば
失業、
倒産が減って所得が上がるということになります。
実体経済を
活性化していく、いろんな人がいろんな物を買うということになればこれは
皆さんに仕事が回っていくということでありますが、ここの
実体経済がぐるぐると回るためには、やはり
金融市場から
マネーが供給されないといけないと。言わば
経済というものを人体として考えるのならば、言わば銀行というのは心臓のような役割を果たしているということで、
お金というものをぐるぐる回すときに銀行というものは重要な役割を担うということであります。
銀行に預けられた
お金を誰かが借りて、ここで書いておりますように、民間が借りてそれを
市場で使えば、そして
実体経済が
活性化していってみんなに仕事が回るということになるのですが、
デフレの場合は残念ながらみんな稼いだ
お金を貯金してしまって、
内部留保にしてしまったりして余り使わないということになります。この絵でいきますと、これが小さくなると。そして、
金融市場から
実体経済に
お金がなかなか流れなくなって、逆に
実体経済の
お金を
金融市場が吸い上げるというような
状況になっていきます。これはどういうことかというと、
実体経済で稼いだ金をもう一回使うのではなくてずっと貯金に回してしまうという
内部留保が増えるということであります。
こういう格好で、
実体経済から
金融市場に血流が逆流するように
マネーの流れが逆流してしまうのだというのが、これが
デフレ病の一つの重要な症状なのであります。この
状況が続く限りにおいて、
実体経済は当然
活性化せず、
倒産、
失業が減ったり所得が上がるということはなくなっていって
デフレが悪化するということになりますから、重要なのは
金融市場にある
マネーをどうやって
実体経済に回すかということであります。
ここで、
民間市場の方にそれを、
お金を使ってもらえればいいんですが、これはトートロジーになりますけれども、
デフレですからこれができないわけであります。これが
デフレ病の厄介なところでありますので、そこの
市場とは関係のない行動を取れる人がこれを行わなければならない。それは誰かというと、やはり
中央政府を中心とした政府であります。政府が
お金を
金融市場で借りてしっかりと
実体経済の中で
お金を使っていくということがあれば、
実体経済から
金融市場に血流が、
お金の流れが逆流しているのを逆にまた元どおりの正しい方向に流していくということができるようになってまいります。
このときに、ただただ
実体経済を
活性化するために
お金さえ使えば良いのかというと、決してそうではなくて、どうせ
お金を使うのならば適切に
お金を使っていくということが必要であると。そして、今
デフレのためにこの
お金を、
財政政策を取るのならば、そもそも雇用とか
中小企業とか
地域産業が疲弊しているというのが
デフレの正体だったわけでありますから、その患部に直接に、まあ赤チンを塗ったり、何か薬を塗ったりするように、直接そこに
財政政策を投入していくというような対策を取ることが極めて効率的な
デフレ脱却政策になるのではないかと。同じ一兆円を使うんだったら適切に
お金を使うべきなのだというのがこの「戦略的・
財政政策」と私が申し上げたいポイントであります。これが要するにBというものであります。
さらに、この
金融市場の
お金をどんどんどんどん
実体経済に流していくと、そのうち
金融市場の
お金が枯渇してきます。そうするといろいろな、クラウディングアウトとか金利の上昇とかいろいろな不具合が起こってまいりますので、その不具合を最小化する意味でも、きちんと
日本銀行が、
中央銀行が
金融市場に
マネーを供給していけば、この
お金が、
金融市場が枯渇していくということもなくなってまいります。
そして、このAの
財政・
金融政策、
日本の場合でいいますとアベノミクスと呼ばれておりますけれども、これが第一、第二の矢というものになるわけであります。そういう格好で、このAとB、
財政・
金融政策と、いろいろな
保護政策、
支援政策を行うことで、日銀、
金融市場、
実体経済、そして国民、
企業ということで、
お金が正しい方向に流れていくという
状況が出てくるわけであります。
ここで補足的なお話を、補足的に申し上げたいと思いますが、この
金融政策は実は民間の需要と消費を刺激するというふうな
効果を持っております。
例えば、一般に言われておりますのは、
期待インフレ率が上昇していったり、あるいは
金融政策をやることで期待が上がったり、あるいは
資産効果といって株式が上がって、それで
企業の価値が上がって、資産の価値が上がって、それで
投資がしやすくなったり、あるいは円安が進んで
輸出企業がもうかっていくようになるというような
効果があるということも考えられるんですが、実際に考えてみますと、
期待インフレ率を上昇させるためにはずっと驚かせ続けなければならないということで、これは驚かせて、それがしばらくばあっと緩和して
期待インフレ率が上がっても、それを、最初は驚くかもしれませんけれども、ずっと続けているうちにそれで慣れてしまうとそういう
効果がなくなってしまうと。こういうのを一般に何と言うかというと、
カンフル剤と呼ばれるのではないかなと考えられるわけであります。
資産効果の方は、
上場企業にとっては当然ながら
株式市場が上がっていって
企業価値が上がっていくということがいいわけでありますけれども、ほとんどの
上場企業でない
中小企業に関しては直接的な
効果が必ずしもあるわけではないという点を我々理解しなければなりませんし、
為替効果に至っては、
輸出企業はもうかるかもしれないですけれども、例えば
エネルギーを、何かの都合によって
エネルギーの油とかガスをたくさん購入しないといけないような国家、そういう
状況においては
原油価格とか
ガス価格が上がることを意味しますから、かえって円安になることで
貿易赤字が悪化するということもありますし、例えば
日本の
状況ではまさにそういう
状況にありますから、何と昨年の
貿易赤字は一昨年よりも更に更に拡大してしまっていて、トータルとしては
経常収支はまだ黒字ではあるんですけれども、
経常収支も悪化しているというのが実態の客観的事実でございますから、そういうこともありますので、余りにこの
金融政策による
民需拡大効果というものを期待し過ぎるのは
危険性を一部はらむ、一部というか結構はらむものではないかという危惧を当然ながら学者も
政策担当者も持たなければならないということは理論的に当然考えられるわけであります。
ところが、じゃ、民間が借りて
お金を使うというこの消費・
投資、
民間消費・
投資が
活性化されることはないのかというと、決してそんなことはございません。
実体経済が
活性化すれば、放っておいてもみんな金を使うようになります。すなわち、
実体経済の
活性化によって、この民間が借りて
お金を使うという部分が大きくなります。そうなると、
金融市場から
実体経済の方に
お金がどんどん流れていくようになりますから、そうなると
財政政策は不要になります。
ということで、今やった
治療行為は全部要らなくなります。全部要らなくなって、日銀、
金融市場、
実体経済、そして国民、
企業ということで、
お金が正しい方向に流れていくのであって、これこそが今
デフレ脱却のために必要な政府がなすべきことなのだというふうに私は理論的に考えているわけでございます。これは私は理論的に確信している流れでございます。
以上は
一般論でございますが、
日本経済の
状況はどうかというと、
デフレであることは
皆さん共有認識になってまいりましたが、快方に向かっているということも
共有認識になっています。例えば、
倒産数は減っていますし、
失業率も下がりました。そして、物価の方も徐々に上がってきているので、確かに
デフレは緩和しつつあることは間違いないですが、残念ながら完治には程遠いという
状況であります。
例えば、
実質GDPは、年末の
状況では二、三%上昇するのではないかと多くの人々が年始の
状況では
皆さん予想していたのですけれども、
駆け込み需要があるにもかかわらず、結果を見てみると、蓋を開けると一%しか上昇していないということであって、快方には向かっているんですが、完治からは程遠いということが考えられるわけであり、更に恐ろしいことに、
労働者の平均の給与、すなわち
現金給与総額というものは、九〇年の
調査開始以降
最低水準の記録を更新してしまったのが昨年でございます。
ということで、このデータを見た上で、もう
デフレは
脱却したんだということは誰も言うことができないはずだということを一学者として心の底から確信している
状況でございます。そんな中で、更に増税が行われ、しかも
補正予算が削減されるという
ショックがあるわけでございますから、これはひどい肺炎から治りかけたのに
町内マラソン大会に出なあかんというような最悪な
状況にあるのではないかということを私は一人で夜中、心配しているわけでございます。
ということで登場するのが、
日本経済危機仮説でございます。これは当然ながら一学者の単なる仮説であって、事実かどうかは皆様に御判断いただきたいところでありますが、この仮説を思っている理由は四つでございます。一、二、三、四。
一、四月以降、増税による消費、
投資の低減、これは
皆さん御案内のとおり。
二番目、この増税に加えて、
補正予算が削減されます。それによって内需が、
政府関係の内需が十一兆円程度削減するのではないかということが予期されています。
この計算はこうなっています。
補正予算が十兆円から五・五兆円に削減し、四・五兆円減ります。当初予算は一応一・八兆円
プラスになるんですけれども、しかしながら増税で八兆円が、内需が削られてしまうということも危惧されます。これを全部勘案すると
プラス・マイナス十一兆円の崖ができる。これは言わば
アメリカ経済の
財政の崖なんという言葉に倣って言いますと、
日本版財政の崖、十一兆円の崖ができ上がるのではないかということが危惧されますし、
駆け込み需要があり、それが四月以降の需要を前借りしているのだとしたら、それも二兆円前借りしていたらここに四兆円の崖が例えばできてきますから、これが一番、①の
効果でありますけど、それを考えると四月一日以降とんでもない崖ができ上がるということは理論的に予期されるわけであります。
さらに、三番目として、ヨーロッパ、
アメリカ、
中国経済が非常に不安定化していて、さらに来年度中とかにリーマン・
ショック・パートツーみたいなものが起こらないとも限らないわけであります。例えば、FRBの金融引締めを行っておりますので、これが
アメリカの株安をもたらし、
日本の株を安くするという
可能性も危惧されます。中国のシャドーバンク問題というものもあります。さらに、
ユーロ危機というものもあって、世界は非常に
火種だらけでありますので、非常に危機的な
状況にあって、これが
日本経済にダメージを与えることも危惧されます。
しかも、財出が少ない中、
金融緩和ばかりやり過ぎると、
日本銀行から
金融緩和、ここに
マネーがたまって
実体経済の方に
お金が流れていかないと、
金融経済だけがもう肥大化していきます。そうなったときに起こるのは、一般的に
ミンスキー先生等々が言っているのは
バブルというものであります。そして、
バブルというものは定義上、必ずはじけるものでございますから、このまま何も
内需拡大策が取られないまま
金融緩和が続けられていくと、そのうち
マネーが滞留して
バブルと、そしてその
バブルの崩壊の危機が増進してしまうと。これは
日本で起こるとも限らなくて、この
日本の
金融緩和が、
アメリカで起こったり諸外国で起こるということすらこの
グローバル化時代には起こる
可能性すらあります。この四番の確率は一番とか二番の確率よりは低いわけではありますけれども、こういうリスクがあるということは、
政策担当者、そして学者は当然ながら心の中にとどめておくべきであると私は確信しているわけであります。だから、今こそ徹底的な
財政出動を行って内需を拡大していくことが必要ではないかと考えるんですが。
次が最終のスライドでございますが、しつこいようですが、どうせ
財政政策をやるんだったら、きちんと
デフレから
脱却できるように適切な、うまい
お金の使い方をするべきだというふうに私は考えます。そのときに考えている対策は、一応この五つほど考えてまいりました。
これ、一例でございますけれども、例えば、元々
デフレというものは
中小企業が疲弊していることで起こっているというのが原因でありますから、
中小企業対策ですね。これは、
中小企業融資とか
投資ファンドというものを異次元のレベルで数兆円規模で例えばつくって、これで徹底的に
投資をしていくと。そうすることで
中小企業の
倒産をどんどん防いでいったり、収益を上げていったりとかということも対策一として考えられますし、あるいは、どうせ
お金を使うんだったら、将来の成長に役立つような
エネルギーインフラとか
ITインフラとか
貿易インフラとか
運輸インフラとかを造っていったり、あるいは人的な、あるいは知識的な将来の成長の
起爆剤であります教育とか
研究開発の
投資をしていったりというものに
お金を使っていったり。当然ながら、このときに
外国企業を優遇しては意味がなくて、
国内企業に発注していくことで
デフレという病気が治療されていくというのは先ほどの定義上自明であります。
対策三というのは、将来の成長の阻害要因の除去のための
投資、これはややこしいことを申し上げていますけど、例えば
地震が来ると十年後のGDPがそれこそ五十兆とか六十兆とか低下しているかもしれませんけど、ここで防災
投資、強靱化
投資というものをやっておけば十年後のGDPの低下というものを最小限に食い止めることができるということが考えられるとすると、これは立派な成長戦略
そのものだということが言えるというふうに思います。したがって、例えば防災
投資、強靱化
投資、老朽化対策というのは将来のマイナス成長を小さくするという
プラス成長、マイナス掛けるマイナスは
プラスでございますから、そういう
効果があるだろうというのが対策三であります。
以上の対策一、二、三は政府がやるべきこととして今申し述べたわけでありますけど、こういった
投資を民間がやりやすくするような対策というものをやっていくというのが対策四であります。
投資減税、
投資補助、そのための制度の見直し、規制緩和等々が考えられるでしょう。そして、この公共事業の単価の適正化というのは、建設
企業において建設産業自身の
投資を拡大していくための対策としてここに書かせていただいておりますけれども、そういうものをやることで建設供給能力が向上して、それを通して更に公共
投資というものが進むことでこの対策二というものがどんどん進んでいくということも考えられるということも考えられます。
対策五でありますけれども、この一、二、三、四、いろいろなこういう対策、考えられますけれども、こういうものを万一阻害するような検討が実際に進められているとするのならば、例えば過当競争の促進とか、あるいは過剰な雇用の流動化
政策の促進とかそういうものが進められては、元々この一、二、三、四を通して
倒産とか
失業とか所得の低減を防ごうという対策をしているときに過当競争とか過剰な雇用流動化なんていうものをやってしまうと元のもくあみになってしまいますから、そういうものがあるのかどうかということを確認したり、確認してあったとするならば見直しをしていくということも重要になってくるのではないかなというふうに思います。
こうした戦略的な
財政政策、これを、ここでアベノミクスという言葉を使うのならば、第一の矢、第二の矢、第三の矢をしっかりと毛利さんのように一本にまとめて、そして折れないようにしてまとめてコーディネートして、しっかりと
財政、金融、成長戦略というものをコーディネートしながら戦略的に
政策を行っていくということが今なすべき
経済政策なのではないかなと思います。
付録に関しては、いろいろとデータがございますが、また御質問をいただいたときに必要に応じてお話しいたしたいと思います。
ありがとうございました。