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政府参考人(西脇隆俊君) お答えいたします。
まず、北極海航路につきましては、
委員御
指摘のように、まず北極海の海氷が減少していること、それからスエズ運河経由と比較いたしまして航行距離を約六割に短縮できることのほか、海賊多発地帯を回避できるというようなことがございまして、欧州と東アジアを結ぶ新たな選択肢となる可能性があるというふうに認識しております。
北極海航路の利用件数及び輸送の貨物量でございますが、
平成二十二年以降急激な
増加傾向にございます。
我が国への輸送
動向につきましても、
平成二十四年の十二月にLNGが北九州に運ばれたほか、
平成二十五年におきましてもナフサ、LNGなど三件の輸送実績がございます。
一方、北極海航路の航行は依然として夏場の数か月に限られています。また、沿岸国であるロシアが航行の安全
確保や
海洋汚染防止の観点から砕氷船の同伴等の
規制を課しており、その運用実態にも留意する必要があるというふうに思っております。
今御
指摘のように、
国土交通省といたしましては、まず
平成二十四年八月に省内の関係部局をメンバーといたします北極海航路に関する省内検討会を
設置いたしまして、北極海航路の利活用の可能性、それから利活用に当たりましての
技術的、制度的、経済的な課題等につきまして調査検討を進めている
ところでございます。さらに、本年五月には、
海運事業者や荷主並びに関係行政機関が集まりまして、それぞれの持つ情報の共有を図ることを目的とする官民連携協議会を
設置しております。
引き続き、北極海航路の利活用の促進に関する調査を進めますとともに、官民連携協議会を通じまして積極的に関係者間での情報共有を図り、その得られた情報を分析することによりまして利活用に関する検討を更に進めてまいりたいと考えております。
なお、北極海を航行する
船舶の航行の安全、それから
海洋汚染の
防止のための
技術基準につきましては、現在、国連の専門機関でございます国際海事機関、IMOにおきまして、低温で氷に囲まれるという極海の特有の事情を勘案した追加的な
技術基準を定める極海コードというものの策定に向けて検討が進められておりますので、
国土交通省といたしましても、持続可能な北極海航路の利活用に向けまして、IMOの加盟国等と連携いたしまして極海コードの策定に積極的に貢献してまいりたいというふうに考えております。