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三原じゅん子君 ありがとうございます。
いろいろな主張をなさる研究者という方はたくさんいらっしゃいます。しかしながら、現時点では、これらの主張には科学的な根拠が乏しいとWHOも含め皆さん評価されているんだということが分かりました。
次に、このワクチンの効果の期間ということでありますけれども、このワクチンは開発されてからいまだ九年
程度のため、効果の持続期間が九年
程度しか効果がないのではないかというような誤解があるようでございます。つまり、実際に海外で販売されてから九年
程度しか経過していないので、確認されている効果は九年とされている、その年数がワクチン効果の持続期間だというような誤解だということであります。
しかし、これはあくまでも確認されているものです。開発時点では、効果の持続期間というのは推計されておりまして、抗体価の低減状況から二十年から三十年
程度は効果が持続するとみなされていたはずであります。新たに開発されたワクチンというのは全て同じなのではないでしょうか。効果の持続期間というのは推計でしかあり得ないと思うんです。そうしなければ、他国で二十年前、三十年前から接種しているワクチンが、それで日本では二十年後、三十年後の確定した効果というのが
実績として積めない限り、じゃ、販売されないのかということになってしまうのではないでしょうか。
そして、HPVワクチンと同時期に定期接種となりました小児肺炎球菌ワクチンあるいはHibワクチンも、じゃ、効果の持続期間、これ疑わなきゃならなくなってしまう、こういう結果になるのではないかということもありますので、こういったことも丁寧に丁寧に国民の皆様方に説明していくということが大変重要なのだと私は考えているところでございます。
私は、医薬品の安全性とか積極的勧奨の再開等々ということには、専門家による科学的な分析に基づく評価、
判断、こういうものが重要であると、ここに政治が何か介入すべきではないのではないかなと思っておりました。それは、国民の健康や命というものが政治家個人の思想信条によって左右されるべきではないと考えていたからであります。原発の安全性の評価とか再稼働の許可等々の話も、専門家の科学的見地による
判断に委ねるとしたことと私は非常に似ているのではないかなと、こんなふうに思っております。
しかしながら、今、世界中で科学的な検証結果が出て安全性が認められたにもかかわらず、なぜ日本ではなかなかこのことが、報告書も公表されてこないのかなというのが非常に不思議でなりません。
ワクチンは、社会防衛として多くの人々の命と健康を守るというものである。しかしながら、一方で、
一定程度どうしても発症してしまう副反応があります。ワクチンは、予防医療の中でも効果が確立された手段の
一つです。多くの国民に接種義務を課している以上、
一定程度不幸にして副反応を生じた人に対して国民みんなで助けるという考えで制度を構築していくのが、これやっているのが私はアメリカだと思うんです。この
委員会でも何度も言いました。米国では、ワクチン接種するたびに七十五セントを基金として積み立てて、副反応が生じた際には手厚い補償を行っているんです。また、仮にこの基金で救済された場合には、他の訴訟は一切放棄する必要がありますが、基金の補償は手厚いと聞いています。
しかしながら、我が国は、健康被害救済制度で補償を受けていても、医師や製薬メーカーに対して訴訟を起こすことができるなど、青天井の補償を求めることができてしまう。日本のような救済の間口が狭い仕組みでは、今回のように個別の事案がもととなって国のワクチンプログラム全体が止まってしまうというような新たな問題を引き起こしているのではないかなと、こんなふうに思っているところであります。
アメリカのように我が国も、例えば被接種者から百円
程度基金として積み立てて、不幸にして健康被害を生じてしまった場合は、厳密な精査をして健康被害を生じた人々を排除するというのではなくて、冒頭言いました、疑わしきは被害者の利益の考えで広く手厚い救済制度の構築を検討すべきだと考えております。基金であれば、財務省も何も言わないんじゃないかなと、こんなふうにも
思います。
ただ、現在の状況では、幾ら
厚労省が
審議会の結果を基にこのワクチンの安全性は問題ありませんとか、副反応の発症数はほかのワクチンと比較して問題がない
程度なんです、痛みは心身の反応によるものなんです、こういうふうに説明をしたとしても、保護者の懸念というのは払拭されずに、このワクチンがすぐに国民に受け入れられるようになるとは私は思えません。これでは、他国では十年後、二十年後に子宮頸
がんの罹
患者率あるいは死亡者数が半減している、こういう一方で、日本では相変わらず毎年一万人の女性が子宮頸
がんを発症し続けて二千七百名
程度の女性が亡くなり続けていくことになりかねない、このことを非常に危惧をいたしているところでございます。
是非とも、今回の問題を契機に、健康被害救済制度の見直しというものを御検討いただきたいと、このように思っているところでございます。
最後に、HPVワクチンの副反応問題は世界中で日本だけにしか起きていません。それは、日本では、今
お話ししたHPVワクチンの被害者救済の問題と医学的、科学的観点に関わる安全性や効果の問題を混同して一緒に
議論しているからではないかと、私はそのように考えております。被害者救済制度について我が国は不十分であるために今回もこういう問題をここまで大きくしてしまったのではないかなと、このように思っているところでございます。
一方、ワクチンの安全性と効果については、WHOもアメリカのCDCもフランスの医薬品安全局もイギリスのNHSも、日本発の副反応問題を基に再度データ解析を行って、ワクチンの安全性と効果にお墨付きを出しています。特に、WHOは、昨年の六月からもう三回にわたってこのワクチンの安全性に問題はないと、これは日本のために出しているという、本当に異例中の異例だと私は思っております。こういうステートメントを公表しているんです。世界中が、日本の
厚労省はどのような
判断をするのか、結論は出ているのに報告書をなぜ早く公表しないのか、こんな日本の動向を注意深く見守っているのではないかと思っております。
もう結論を出すときです。私は、
厚労省及び
審議会に対して、すぐに報告書を公表することを強く希望して、
質問を終わらせていただきます。