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参考人(
小林光俊君) 私は、
全国専修学校各種学校総
連合会の
会長を仰せ付かっております
小林と申します。このような
機会を設けていただいたことを本当に心から感謝を申し上げます。
それでは、これからちょっと説明をさせていただきますが、私は三点の
資料をお出しさせていただいております。まず、この専修学校
制度の概要というところから説明させていただこうかと、こういうふうに思っております。
専修学校
制度ということに関しましては、大変多様な教育を専修学校自身がしているということで、一般の
方々も非常に分かりにくい、そしてまた、今、専修学校の
状況というのはここ十五年から二十年ほどの間で大きく変わってきているということでございます。
それはどういうふうに変わってきているかというと、一つは、以前は例えば専修学校というのは高等課程、高等課程というのは中学校卒業以上の方を教育する教育機関、そして
専門課程というのは言わば高校卒業生以上の方を教育する機関、それから一般課程というのはこれ学歴無用で教育をする、この
三つの
制度になっておるということでございます。そして、
専門学校の中で一番量的に多いのは真ん中の言わば
専門課程でございまして、
専門課程というのは言わば高校卒業以上の方を教育するということでございます。専修学校全体では三千二百校ありますが、そこで学んでいただいている学生さんは六十六万人、現在ですね。そして、その中の
専門学校と言われている
専門課程のあるところは二千八百十一校ということで、実際問題八七%を占めておると、こういうことでございます。
そして、どういうふうに変わってきたかといいますと、一般的には、今まで
専門学校へ行く人は大学へ入れない人が
専門学校へ行くんではないかというふうに思われていたケースが多いわけでありますが、現状では、特に大都市ではむしろ大卒社会人の方の
学び直しの
人たちが圧倒的に多くなってきている、特に近年そういうことが言えるということであります。これは後ほど私
どもの学校の説明等で詳しくさせていただこうと、こういうふうに思っております。
そして、今、
職業教育を取り巻く
環境ということでいえば、大変高度なある
意味では
職業実践の教育をするということに国際社会も含めてなってきているということでありまして、そして、私
どもの
専門学校では、
専門士及び高度
専門士という言わば国内で通用する称号が与えられるということになっております。国際社会では、今グローバルな社会ということで、一般的にはヨーロッパなどでは
職業教育を受ける教育機関はポリテクニクスと言っておりますけれ
ども、例えばポリテクニクスでもディグリーを出すというふうになっております。プロフェッショナルディグリーのバチェラー及びマスターを出すという
制度になっております。日本の
職業教育機関はまだそこまで行っていないわけであります。ここは、言わば国際社会から見れば
制度的に遅れているところだと、こういうことでございます。
そこで、
専門学校では、八分野に分かれてそれぞれの分野ごとに言わば
専門的な教育をしている。その次のページでございますが、この八分野、まず工業課程ではこういった情報処理とかコンピューターグラフィックス、あるいは自動車整備、こういったことを主に教育をしている。それから農業でございます。農業、農園、そしてバイオテクノロジー関係。そして医療分野であります。言わば、看護師あるいは歯科衛生士、あるいは理学療法士、作業療法士とか、はり、きゅう、マッサージ、こういった医療
専門職であります。それから衛生分野でありますが、衛生分野は調理師とか、あるいは美容、理容というような分野であります。そしてさらには教育・社会福祉でありますが、これは、保育とか幼児教育とか、あるいは社会福祉あるいは介護福祉あるいは精神保健福祉など、こういう福祉分野の
専門職であります。それからその次には商業実務であります。商業実務は、簿記、経理とか、あるいは中には観光・ホテル業、あるいは流通ビジネスと、こういった分野であります。それから服飾・家政。これはファッションデザインとか、洋裁とか和裁、手芸などですね。それから文化・教養ということでいえば、これはデザインの、特にインテリアデザインや、あるいは中には文化・教養ということでありますから外国語とか、あるいは
法律行政とかスポーツとか、いろんな分野が含まれている。
そういう
意味でいえば、専修学校
制度というのは本当に多様な、必要な教育をやる、必要な
職業教育をやっている教育機関であるということの御認識を持っていただければと、こういうふうに思っております。
そして、次のページでございますけれ
ども、
専門学校学生に占める
就職者の
割合という、これ全国
平均で出しているわけでありますが、御存じのように、大学、短大よりも非常に高い
就職率を示しているということでございます。大体八〇%ぐらいの
就職率はキープをしているということでございます。
そして、
専門学校卒業生の産業別
就業状況の説明でありますけれ
ども、ここに書いてありますのは、見ていただいて、大学、短大、高等
専門学校等との比較ということで書かせていただいております。この青い
部分が
専門学校の卒業生が就労しているということであります。特に今、第三次産業、特にサービス産業が非常に多いということであります。医療、福祉、介護、あるいはホテル、観光、今インバウンド
政策な
どもありますが、そういった分野、すなわち成長産業への高度人材育成ということにシフトされているところが多いということであります。
そして、その次のページ、私立専修学校における社会人の在学生の推移ということでございますが、ここでデータが出ておりますが、専修学校というのは、言わば、先ほど言いましたように、多様な教育ということで附帯
事業という、附帯教育ということもあります。そういうことを入れますと、社会人、ほとんどこれ大卒社会人が多いんですけれ
ども、約十一万人が在学をしていると。今、この分野がだんだんだんだん高くなっているということでございます。それが大きな変わってきている点ということでございます。
今、一般的に言われていることは、大学卒業生の約三〇%が言わば
就職できないと言われております。そしてまた、入社されて三年以内に
離職する人が三〇%あると言われております。そうすると、要するに大卒三年間で約六〇%の人がもう一回再
就職をしなきゃいけないということになります。その再
就職をきちっと受け持って、
職業教育をきちっとして、労働転換をしているのが言わば
専門学校の役割だということの御認識を持っていただけたら有り難いと、こういうふうに思います。
そして、
職業実践
専門課程という課程が今年の四月から新たに文部科学
大臣認定によってスタートするという
制度を文部科学省でつくっていただきました。これは、企業と密接な連携をすることによって実践的な
職業教育の質を確保する、そういう組織的な取組をする
専門学校を文部科学
大臣が直接認定をすると、こういう
制度であります。大きく
職業教育というものが高等教育としてきちっと位置付けられるという
方向性が出てきたと、こういう認識でございます。
そして、これは、この課程に今年の四月からということでありまして、既に今三月でございまして、今年の認定では、二千八百十一校ある中で四百七十二校が取りあえずは認定を受けるということが今確定しております。これは
専門学校の中では一七%になるということであります。特に二年課程以上では二〇%になると、こういうことでございます。
そして、この課程の認定要件がここに書いてありますが、二年制以上であるということ。そして、千七百時間以上の授業を実施をしているということ。特に、演習、実習を中心として企業と連携をするということ。そして、組織的に、企業の、あるいは産業界はイノベーションにおいて進化して変わっていきますね、そういった変わっていく知識、技術を常に教育カリキュラムに反映できるように、言わば教育課程の編成
委員会というものをきちっとつくるということが義務付けられております。そこには産業界の第一線の
方々にきちっと入っていただくということ。そして
二つ目には、それの教育がいかに評価されたかということをちゃんと客観的な評価をする学校関係者評価
委員会というものをつくると。ここにも企業の
方々が入っていただいてきちっと評価をすると、こういう
制度であります。
これは非常に大きく日本のこれからの
職業教育を変えていくんではないかと、こういうふうに思って期待をしているところであります。
次に、私
どもの学校のケースを簡単に説明させていただきます。
この白い
資料であります。これ、高田馬場にあります日本福祉教育
専門学校という学校でありますが、ここにありますように、それぞれの言わば介護や社会福祉士等の
専門職を養成している学校ということであります。入学者は大体四百人超というところであります。そして通信教育もやっております。通信教育が五百人。合わせると大体千人弱の教育をやっている教育機関ということであります。
そこで、三ページ目に国家
資格の
取得状況というページがございます。
ここで見ていただきますと、例えば社会福祉士、これは全国
平均が、二十二年度二八・一%、二十三年度二六・三%、二十四年度一八・八%とあります。私
どもの学科のケースでありますが、それぞれ学科によって合格率は違うわけでありますが、高いところは、例えば社会福祉士、これは大卒生が中心のコースですが、二十二年度では九六・一%、それから二十四年度ではそれでも七三・二%。一般の大学、例えば社会福祉学科の卒業生がこの国家試験を受けるわけでありますが、その
平均が例えば二十四年度は一八・八%、非常に低いわけでありますが、これが私
どもの
専門学校では、高いところでは七三・八%。ほぼ三倍の合格率を示しているということであります。精神保健福祉士、そして言語聴覚士、それぞれ出ておりますので、
参考に見ていただきたい。
いずれにしても、全国
平均より大幅に
専門学校の教育というのは言わば合格率が高いということが言えるかと、こういうふうに思います。
それから、
就職状況、ほとんど九〇%以上の
就職を示しているということであります。
この社会福祉士が一時低いのは、合格の発表が遅いために、合格というのは国家試験の発表が遅いんですね。それが決まってから
就職するということで、捉える時点によって若干低いところがありますが、しかし、ほとんど八〇%から九〇%あるいは一〇〇%の
就職率だということでございます。これが私
どもの学校のケース。
それから最後に、こういう
資料がありますね、これは
離職者訓練
制度を
活用した調査データということでございます。
これは、見ていただいたら有り難いわけでありますが、すなわち介護人材の緊急
雇用対策ということで、言わば
教育訓練制度を
導入をしていただいたということでありますね。
離職者の訓練修了生の
職業能力の評価の必要性ということで、私
ども、私
どもというより、これ、介護福祉士養成施設協会でまとめた過去二年間の調査データの概要でございます。
この
制度によって、介護福祉士の人材確保を目的としたものでありますけれ
ども、これによって、一般的には
雇用の創出に大変寄与しているということが第一点。二番目には転職希望者に対する成長産業への人材移動がきちっとできているということ、それから介護人材の
雇用確保につながっているということ。そして四番目には人材の有効
活用に有効に寄与している、すなわち
キャリアチェンジ、
キャリアアップに寄与しているということがこの
資料を見ていただければお分かりのとおりということでございます。
そして、今、まさに高等教育の場では、世界各国共通で学生の半数以上が学術教育ではなく高度な
職業教育を求めているという
状況でございます。そんな中で、言わば、これから我が国ではFTAやTPPへの参加ということも進められている中で、グローバル
対応とか地域の活性化そして少子高齢化
対策、以上全て重要な
課題に共通するのは、まさに国際競争力や国の活性化の源泉になるのは人材育成が基本であります。
全国、各県各地に存在するそういう専修学校、各
種学校の社会的資源の再評価や有効
活用をすることは、国民全体が活性化する再チャレンジ社会の言わば創造につながると、こういうふうに思うわけであります。そんな
意味でも、是非こういった
制度で、
学び直し支援という中で学ぶ学生の
支援をお願いをしたいというのが私
ども全専各連の願いであります。
どうもありがとうございました。