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和田政宗君 今、法制局
長官の答弁にありましたように、強い影響下の下、すなわち占領国の強い圧力の下、有無を言わせずに現行
憲法を制定されたというふうに取れるわけですけれども、GHQにより短期間に草案が作られまして、GHQに従わざるを得ない状況で制定されたわけですから、もう一度これ
日本人の手で作り直すというのは当たり前のことです。
昭和二十一年の帝国議会において、
憲法九条に
日本共産党が
反対したことは前々回の
質疑でも述べましたが、昭和二十二年には、
日本共産党員であり、著名なプロレタリア作家であった中野重治氏が雑誌「展望」に掲載した文章が検閲により削除を命じられましたが、これは直視をすべき内容です。
削除を命じられた文章がどういった内容かと申しますと、あれが議会に出た朝、あれというのは
憲法草案のことですが、それとも前の日だったか、あの下書きは
日本人が書いたものだと連合軍総司令部が発表して新聞に出た。
日本の
憲法を
日本人が作るのに、その下書きは
日本人が書いたのだと外国人からわざわざ断って発表してもらわねばならぬほど何と恥さらしの自国
政府を
日本国民が黙認していることだろう。そして、それをなぜ共産主義者がまず感じて、そして
国民に訴えるのだろうというものなんですけれども、共産党のプロレタリア作家もこの押し付け
憲法のことを恥ずかしいと思っていたわけです。ですので、押し付け
憲法に対する問題というのは、右と言われる
政党も左と言われる
政党も関係ないというふうに思っております。
いま一度、
日本人の手でしっかりと
考え抜かれた
憲法を作らなくてはなりません。その点でこの法案は、
憲法改正から自主
憲法制定に向けて様々な
手続が整うということから極めて重要な法案でありますので、しっかり成立をさせなくてはならないと
考えます。
次に、この
憲法審査会でも度々取り上げられている
政府による
憲法解釈の変更について聞きます。
まず、集団的自衛権についてですが、
日本においては、既に集団的自衛権が行使されていると捉えることができると思います。それは米軍に対する基地提供が集団的自衛権の行使に当たるというものですが、過去の
政府答弁でもそれを認めています。
まず、一九六〇年三月の国会での岸総理の答弁ですが、一切の集団的自衛権を持たない、こう
憲法上持たないということは私は言い過ぎだと、かように
考えています。他国に基地を貸して、そして自国のそれと協同して自国を守るというようなことは、当然従来集団的自衛権として解釈されている点でございまして、そういうものはもちろん
日本として持っていると答弁しています。そして、林
内閣法制局長官も、翌月にはっきり認めています。基地の提供あるいは経済援助というものは、
日本の
憲法上禁止されておるところではない。仮にこれを人が集団的自衛権と呼ぼうとも、そういうものは禁止されておらないというものなんですね。
すなわち、これらの答弁によりますと、基地提供により集団的自衛権を既に行使しているのではないでしょうか。もし行使に当たらないというのであれば、
憲法解釈を変更したということになりますが、
内閣法制局長官、どうでしょうか。