○江崎孝君
質問の趣旨をよく理解されていない。
私は、憲法の解釈変更がする前は集団的自衛権行使できなかった。これは憲法に違反するから駄目だという大前提があったわけです。それを、解釈変更を一旦してしまえば、可能性として様々なところに、憲法の枠組みを取っ払うわけですから、これは大変なことですよ。(発言する者あり)いやいやいやいや、集団的自衛権の行使を、集団的自衛権の行使を容認するということですから、これは大変なことですよ。
パネル出してください。
今、個別の事例の話をしましたけれども、改めてもう一度
指摘しますと、中央公論の二〇一三年の七月号に田原総一朗さんとの対談で、
総理、こういうことを述べられている。公海上で、日本の船を警護するために、米艦船に対してミサイルが飛んできた。近くにいた日本のイージス艦がそれを察知した。撃ち落とす能力も持っていた。見過ごせば何百人もの米兵が死ぬ。さて、どうするか。当然撃ち落とすべきでしょうと多くの人が答えます。でも、それが集団的自衛権の行使そのものであり許されないと話せば、そうなんですかということになる。ちゃんと説明すれば分かってくれるんですよ、集団的行使やらなきゃいけないという、こういう論法だったんですね。これは書かれていますから。
しかし、これなんて、むちゃくちゃな議論の吹っかけ方なんですよ。この
パネルが安保法制懇の報告書の九番目の事例です。これに酷似しています。法制懇の図をそのまま
パネルにしました。我が国近隣で武力攻撃が発生をして、公海上でアメリカの艦船が攻撃されるという想定です。
実は、第二次世界大戦後、公海上で米艦船が攻撃を受けた事例は、一九六四年のトンキン湾事件だけなんです。しかし、これはニューヨーク・タイムズが、アメリカが自ら仕組んだ謀略と後日報道しています。つまり、米艦船は攻撃を戦後一度も受けたことがない。強大な軍事力を持つアメリカに対して攻撃を仕掛ける国などあり得ないのが現実なんです。そんなあり得ないことを事例を持ち出して集団的自衛権行使を声高に叫ぶ、これはまさしく、
国民を愚弄するにも程がありますよ、様々に示す具体例を詭弁としか言いようがない。
仮にですよ、仮に、
総理、
総理、仮に事例が現実のものとなった場合、アメリカの艦船が攻撃される
状況はもはや戦争ですよ。アメリカはすぐ報復をします。当然、日本の米軍基地や、自衛隊も、米軍の基地から出動していきます。その国を徹底してたたくはずです、そういうことをすれば。ですから、世界最強のアメリカに挑むのですから、当然、艦船にミサイルを撃ち込むその国は、自分がやられる前にやれることは全部する、全部実行に移す。アメリカの艦船どころか、米軍による報復の拠点となる在日米軍基地や自衛隊基地を同時攻撃する。これは別に私が言ったわけじゃありません。あらゆる軍事評論家がそう言っています。防衛
庁長官の官房長であった、あるいは防衛研究所所長も務められた柳澤協二さんも全く同じことを言っている。
そこで、日本は、現行法下で戦争に突入して、仮にこういう
状況になれば、ちょっとこれ、いろいろ
考えたんです。これ、めくったらこういうのが出てくるんです。
考えたんです。これ、ミサイルが飛んでくるんですよ。日本は、アメリカの艦船が攻撃を受けたということは、同時に日本も攻撃される可能性が非常に高い、現実的にはそういう
状況になります。そうすると、これは、日本は現行法下で戦争に突入できます。個別的自衛権で対応可能なんです。軍事の専門家に聞けば、これは誰でもそう言います。まさに、検討されていることは、これは詭弁としかしようがないんです。こんなことはあり得ないんですよ。
ただ、そうなったらどうなるか。沖縄を中心に、国内米軍基地に加えて、様々なところにミサイルが飛んできます。当然、原発へも飛んでくるでしょう。全て撃ち落とすことは不可能。これによって日本は壊滅的な状態、いえ、原発だけではなくて、この東京だって非常に危険な状態になるかもしれない。押し寄せる難民も来るでしょう。
安倍総理、あなたが想定したということは、つまりこういうことなんですよ。米艦船へのミサイル攻撃の事例というのは、そういう
状況を意味するわけです。仮に米艦船に攻撃をされたということは、こういう
状況を意味するんですよ。そうしたら、全て個別的自衛権で対応可能です。しかし、安保法制懇は、なぜそれを、日本への攻撃がなされていない
状況というのをわざわざあぶり出したんでしょうか。それは、どうしても集団的自衛権行使に結び付けたいからですよ。
状況としては個別的自衛権で対応可能なんだけれども、それを集団的自衛権にするためには、わざわざ、攻撃をされていない、日本は有事ではないということを前提にしなかったら集団的自衛権行使容認にならないからです。そうですよね。
仮に、
総理が言うように、勇ましく集団的自衛権を行使するぞと言ったとしますよ。まあまあ、勇ましく。米国と戦っているこの国に対して宣戦布告することになりますね、当然。そうすると、その近隣に、その国は直ちに日本攻撃を開始する。恐らくこういう
状況が、ミサイルを防護した瞬間にこういう
状況が起きる。
実は、事例はここまで説明しなければ意味がないんです。ここまで説明をして、あなたのように、撃ち落とさないでいいんですか、それだけで言ったって
国民を全くミスリードしているのと同じじゃないですか。ここまで、現実はここまで発展をするということを、集団的自衛権の行使容認はここまでやるんだということを改めてはっきり言わない限りは駄目なんです。これは意図的に隠しているとしか言えないじゃないですか。
安倍総理、改めて聞きますけれども、最後は自衛隊の皆さんの
パネルを出したかったんですけれども、ちょっと出してください、服務の宣誓があります。この中に、自衛隊の宣誓の特徴的な一文は、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、」というふうにあります。そして、その冒頭、「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、」というふうにあります。つまり、ここの前提が壊れてくる。集団的自衛権を容認し、行使するとなれば、命を懸ける前提が違ってくる。この宣誓を実は変更する必要があると思います。
集団的自衛権は他国のために戦うことでありますから、
安倍総理は、この宣誓に触れて、セルフイコール自衛隊、ナショナルイコール国防軍にしたいと言っている。二十五万の自衛隊員に対して、従来と全く違った任務を与えようとしている。集団的自衛権の行使とはそういうことです。
最後にお聞きしますけれども、この宣誓をして、そして集団的自衛権の行使容認というのは、先ほどの事例等あったとおり、極めて日本の国の国防の方向を変えることなんです。それを、最後に言いますけれども、本当に閣議決定で決定されるおつもりですか。そして、それも今
国会中までというふうに最近おっしゃっている。こんなむちゃくちゃな議論で、
国民を危険な防衛体制の中に、本当に大変な
状況までに送り込んでいいんですか。これは改めて自民党の皆さんにお聞きしたいと思う。本当に閣議決定で済ませるつもりなんですか、これを。本当にそうですか、もう一度お聞きします。