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小西洋之君 民主党・新緑風会の
小西洋之でございます。
本日は、
平成二十三年、二〇一一年十月に滋賀県大津市で生じました中学二年生の男子生徒のいじめ自死事件を契機に昨年
国会で立法されたいじめ防止
対策推進法、今日、
下村大臣の下で国の基本方針を十月に制定をいただきました、その法
制度全体のその
取組の
状況、
国会で立法させていただき、また
下村大臣の下でお作りいただいた国の基本方針、その
制度の趣旨、内容と現実、
学校の現場あるいは教育
委員会のその
取組、その乖離について
質問をさせていただきます。端的に申し上げれば、今なお残念ながら自殺が止まっていないということでございます。それを止める方策について議論をさせていただきたいと思います。
この法律でございますけれども、本
委員会の筆頭理事であります神本先生を始めとする民主党同僚議員のもの、私、民主党案について、それから後に民主、社民、
生活の三党案となりまして、自公案の与野党協議をさせていただきました。山谷先生、また
柴田先生共々、超党派で立法させていただいたものでございます。また、私、立法活動とともに、十月の基本方針の策定に当たりましては、立法を頑張らせていただいた
立場として、
文科省の皆さんに様々な助言などをさせていただきまして、結果、今
大臣のお手元に置いてくださっておりますけれども、法律と国の基本方針の逐条解説を出版もさせていただきました。全国の各
地域で、
大臣が作っていただいた、また
国会が立法した法
制度を正しくきちんと実行していただきたいという願いでございます。
本日、こうした
取組をずっと御一緒に頑張らさせていただいてまいりました、先ほど申し上げました大津市の自死事件の御遺族の方と、また、同じくお嬢様をいじめによる自死で失われたジェントルハート・プロジェクト、NPO法人でございますけれども、小森美登里様御夫妻を始めとするその法人の方々にお越しいただいております。
この法律でございますけれども、今申し上げました、かけがえのない、絶対失われてはいけない命がいじめによって失われてしまった、そしてそれだけではなくて、その残された遺族の方々が、残念ながら教育
委員会や
学校の不適切な隠蔽等の対応によるいわゆる二次被害で苦しめられた、この二点をもう解決する、二度と起こさないようにする、そうした思いで超党派で立法させていただいたものでございます。
内容について少しお時間をいただいて御
説明をさせていただきます。
ポンチ絵の資料をお配りさせていただいておりますけれども、この法律の目的でございますけれども、今までなぜ何十年にもわたって我が国でいじめが
学校で続いてきたのか。残念ながら、人間のコミュニティーである限りいじめというものはなくならないものであろうと、ただ、それがなかなか抑えられないできた。その中では、決してあってはならない自殺事件というものが繰り返されてきた。その根本的な問題、
学校や
地域にあるその構造的な問題を、立法によって、ある仕組み、様々な仕組みを講じることによって解決する、そうした立法でございました。
学校の中においての要になる仕組みが二つございます。右の
学校という欄を御覧いただきたいんですけれども、下のいじめ
対策委員会でございます。これは、もう全ての
学校でこの第二十二条の
委員会を義務的に設置をしていただくことになっております。つまり、
学校の中で生じたあるいは疑われたいじめというのは、個々の担任の教師が担当するのではなくて、全てチームで担当する。その個々の学級担任の方の中にはいじめについて理解が乏しい、あるいは対応能力が十分でないというようなことも過去の例、事件の中にはあったということでございまして、チームで対応するということでございます。やることは、いじめ
対策の三要素でございます。いじめを最大限に防止し、最大限に
早期発見し、起きてしまったときに適切に解決する、この三つをやり切るということでございます。
さらに、もう
一つの要の仕組みは、その上にございます
学校いじめ防止基本方針でございます。これは、いじめが起きにくい、いじめが起こさないような、そうした起こしにくいような学級、
学校に文化自体を、組織自体を変えていく。単に年に一度いじめは駄目だといったようなスローガンをみんなでやるのではなくて、全ての
学校教育活動を通じた体系的な、また
計画的な年間のいじめの防止プログラムというものを作っていただいて、そうした環境をつくっていくという、こうした
取組でございます。さらに、あってはならないことですけれども、自死事件のような重大事態が起きたときの適切な対応、そうしたものなどについても定めさせていただいているところでございます。
それで、まず、この二十二条の
学校のいじめ
対策委員会でございますけれども、実は私、この二十二条の条文を一言一句書かせていただいた、立法をやらせていただいた者なんですけれども、この二十二条のいじめ
対策委員会というのは、先ほど申し上げました三つの、防止と
早期発見、事案対処、それを条文で実効的に行うという条件を付けさせていただいておりますけれども、こうした
対策委員会の在り方、趣旨を踏まえたときに、もう論理必然的に、こういう要件でこういう機能を発揮していただかなければいけない、こういう組織をつくっていただいてこういう活動をしていただかなければならないということがもう法的な義務として実は定まっていることでございます。
具体的には、この
学校の
対策委員会というものは、いわゆる教頭先生やあるいは生徒
指導担当といったような一部の限られた管理職的な方々だけの組織ではなくて、生徒、
子供たちにとって一番身近な学級担任あるいは教科担任、音楽の先生ですとかそうした教科担任の方々が必ず参加をしていただく。そういう方々が参加していただくことによって初めて
学校全体の組織になり、かつ
子供たちから見て、この
学校の教
職員がもう総力を挙げていじめに向かっている、さらにこの組織というのは、
子供たちから見て安心、信頼の、必ずいじめを止めて助け出してくれるという、そういう確信を持った組織でなければいけませんので、そうしたときに、一部の先生ではなくて自分のクラス担任が今年は
対策委員会にいると、次の年になったら隣の学級担任の先生がなっているというような、
子供たちから見てもう本当に
学校の先生たち全てがいじめを許さないと、そしていじめから
子供たちを救うんだと、そうした意思、存在あるいは行動への信頼を持つと、そうした機能が求められているところでございます。
さらに、このいじめ
対策委員会に全ての学級担任、また音楽の先生などの教科担任の方が入っていただくことは、
下村大臣のお作りいただいています国の基本方針、それをまさに実現するためにも死活的な意味を有しているところでございます。
それはどういうことかといいますと、このいじめというものは全ての教
職員が組織的に対応しなければいけないわけでございますけれども、先ほど御紹介申し上げました大津市の自死事件の、尾木直樹先生などが作られました第三者
委員会の報告書を私も拝読をさせていただいて立法の参考にさせていただいたんでございますけれども、それを読んでおりますと、今日御遺族の方がいらっしゃる前で私も本当につらい思いでございますけれども、そこに書かれてありましたことは、その当時の学級担任の先生はいじめだと思ってはいなかったと、悪ふざけだと思っていたと。ところが、その周りの同僚の先生方は、何人かの方は、あれはいじめだと思っていたという先生方がいらっしゃったわけでございます。
すなわち、問題が二点あるわけでございます。
一つは、いじめについての残念ながら対処能力が十分でない先生がいらっしゃること。もう
一つは、その担任以外の別の先生が
学校内で起きたいじめに気付いていても、どうやら
学校の中には、自分の担当クラスでないクラスの中の問題についてはなかなか口出しができないという、いわゆる縦割りのような問題があるということでございまして、そうしたものを排除する豊かな同僚性、
学校の教
職員が一丸となって
子供たちを徹底的に守る、そうした同僚性を皆さんで培っていただく。そのためには、全ての
学校の先生が、みんながいきなり入るわけではございません、何らかのキャリアパスのタイミングでこのいじめ
対策の
委員会に入っていただいて、いじめの本質の理解、あと、いじめの対応のスキルまた豊かな同僚性の培い、そうしたものをしていただく必要があるという、そうした立法でございます。
今申し上げましたこの第二十二条の組織の在り方につきまして、昨年の十月、
下村大臣がお作りいただきましたいじめの国の基本方針というものがございます。ちょっと資料がたくさんで申し訳ございませんけれども、資料一と下に書いたものを御覧いただけますでしょうか。資料一の右下の方でございます。これが二十二条の条文の解説なんですけれども、このページを一ページおめくりいただきまして、今度は左下の文章を御覧いただきたいんですけれども、二重線を引かせていただいております。ここに、二十二条のメンバーとして、学級担任という言葉を
大臣の基本方針によって入れてくださっているところでございます。
ただ、ここからが問題なんですけれども、今申し上げましたように、学級担任はもう法律の解釈として、条文を書かせていただいた私の立法意思として絶対入っていただかなければいけないんですけれども、実は各
学校でつくられている
委員会組織を見ると、学級担任の皆さんが入っていない例が実は今多々あるということでございます。
必ず
委員会組織に学級担任や教科担任が入っていただくように、次のページをおめくりいただきますと資料二というものが出てまいるんでございますけれども、申し訳ございません、
大臣、上から三枚目でございます。
この資料でございますけれども、これは、
大臣の下のこの国の基本方針を作るに当たって
文科省に置かれた協議会で、今日お越しの大津市の御遺族と、あとジェントルハートの小森美登里様が連名で出された意見書、意見書というのは、この二十二条の組織に全ての学級担任や教科担任が必ず参加して、そしてその先生方のキャリアパスの中で必ず参加を経験するようにしてほしいという意見書でございます。それについて、その協議会座長の見解でございます。これは、こうした内容は基本方針の中にかなりかみ砕いて入っていると思うんだけれども、現状の記載ではなかなかまだ不十分であると。したがって、次でございますけれども、
文科省の方でこうした趣旨が各
学校や
地域での
取組で実現されるようにしっかりと
説明をしてほしい。それに対して、
文科省の事務方が各種の
説明会等で
説明をしていただくというふうになっております。つまり、法律の条件であり、また
大臣の下の協議会の結論としても、必ず学級担任などの先生が入っていただくということでございます。
ここから具体例を、入らせていただきたいんですけれども、三つ目の資料でございます。この表のチャートになっているいじめ防止等のための基本的な方針の策定以降のいじめの存在が報道等されている自殺事件の例という表を御覧いただけますでしょうか。こちらのものでございます。これは、今申し上げました昨年の十月に策定されました
文科省の国の基本方針、その策定以後に私が調べまして全国の報道等でいじめの存在が
指摘等されている自殺事件についてまとめたものでございます。
一つ目は、山形県の例でございますけれども、中学一年生の女子生徒が始業式の当日に新幹線に飛び込んではねられたということでございます。これは全校アンケートがなされておりまして、十三人が、直接いじめを見聞きしたという
子供たちが回答し、かつ、いじめがあるというようなうわさを含めると、全校生徒の四分の一以上、百名以上が回答したということでございます。下の鹿児島県の例でございますけれども、これは、幸い命は助かったんですけれども、集合住宅の四階から飛び降りて重傷を負ったという例でございまして、御本人がもう限界であると、また、いじめがあったと訴えをなさっているという例でございます。
この二つなんでございますけれども、実は法律で設置が義務付けられております
学校のいじめ
対策委員会、これが設置されていないということでございます。議会調査室と、あと私の事務局で直接現地の教育
委員会等に確認をさせていただきました。
ちょっと詳細を十分申し上げる時間はないんでございますけれども、この山形県の例でございますけれども、多くの教
職員はいじめだとは気付かなかったんだけれども女子生徒が孤独でいることは気付いていたと。しかも、この女子生徒は担任の先生には相談をしていたわけでございます。つまり、
学校のいじめ
対策委員会があれば、こうした教
職員、あの子がおかしいんじゃないかという教
職員からの通報や、あるいは担任の先生からの直接の通報によって、組織的な対処でこの子の自殺を防ぐための最大限の
取組が、少なくとも
取組は絶対にできていたということでございます。鹿児島の件も、
学校の担任には相談していたんだけれども、それが生かされていなかったという点でございます。
今の二つは
対策委員会が設置されていなかった例なんでございますけれども、その下の二つを御覧いただけますでしょうか。これは、実はそれぞれ両方とも自殺事件なんですけれども、
対策委員会は設置されていたんでございます。設置されていたんですけれども、先ほど申し上げました
対策委員会の実際の構成員がごく一部の、いわゆる
学校の管理職的な方々だけで構成をされておりまして、いわゆる学級担任や教科担任という方々は入っていなかった。つまり、
学校全体を挙げた
取組、もっと言えば、
子供たちから見て、いじめの防止に効果的ではない、かつ、
子供たちから見ていじめの
早期発見のための安心、信頼の確信の相談窓口にたり得ていたのかというと、非常に疑問がある、そうした組織形態であったということでございます。
つまり、申し上げたいことは、法律を作らせていただき、また、
大臣の下で立派な基本方針を作っていただきました。ただ、残念ながら、まだ各
地域でこうした現状が続いているところでございます。
そこで、
下村大臣に伺わさせていただきます。
法律の規定のとおり、そして
大臣の基本方針でも学級担任ということを書いてくださっております。そして、先ほどの基本方針の二十二条のところにあるんですけれども、仮に既存の
学校管理部会あるいは生徒
指導部会といった管理職的な方々を中心とする組織を活用する場合であっても、それを実効的に行うように機能させる限りでなければ法律の要件を満たさないというふうなことも基本方針にちゃんと書いていただいていることでございます。
大臣の御見解として、第二十二条の
学校の
対策委員会に学級担任、教科担任の方がしっかり入っていただいて、かつ、それぞれの先生方がキャリアパスのどこかでこの
委員会に参画をしていくと、そうした運用でなければいけないというお考えだということを答弁を
お願いいたします。