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高橋克法君 自由民主党の
高橋克法です。よろしくお願いします。
私の
地元であります栃木県の日光市、世界遺産であります二社一寺の敷地内にありましたカタクリの群落は、鹿の食害でなくなりました。日光を代表するシラネアオイ、きれいな花が咲きますが、このシラネアオイも同じ
状況です。
それから、アーバンディアと呼ばれる市街地に出没する鹿も最近増えてきました。日光
国立公園の中には一部、鹿防止柵で区切られた
地域がありますけれども、その防止柵の外側というのは、先ほど
大臣の北海道の
お話と同じなんですが、ササが根こそぎ食べられてしまって地面が露出をし、少しの雨で表土が流出して、ヒメマスが
生息する渓流が濁ってしまったり、中禅寺湖にも土砂が流れ込む、そういう
状況にあります。
さらに、先日の視察のときに、ササが食べ尽くされた結果かどうか分かりませんけれども、最近野鳥の声が聞こえなくなった。やはりそれは何らかの形で
生態系に
影響を与えているんだと推測をせざるを得ません。
また、平家落人の里と言われている日光市の栗山というところがありますが、ここは大変独居老人、それから高齢者世帯が多いところなんですが、ここは猿の楽園です、今。お訪ねをすると、庭で猿が遊んでいます。裏庭にも猿が遊んでいます。高齢者の方どうしているかというと、猿を追い払えませんから家の中でじっとしている。そういうような
状況にあるということも事実なんです。しかし、よくよく考えてみると、これら
鳥獣たちに罪はないんです。
かつて、日本では、人の住む集落があり、里山があり、奥山がありました。そして、我々日本人にとって奥山というのは、神々の住まうところ、それから私たちが死後に帰る神聖な場所である、そのような捉え方をされていましたし、人々は里山の恵みを、里山からまきや落ち葉や山菜やそういったものをいただく代わりに里山をきれいにして、そしてその結果、里山が奥山と人里の緩衝地帯として人と獣たちのすみ分けの機能を果たしていた、そのようにも思います。
もちろん、昔から農産物をめぐっては
人間と獣たちの衝突というのはあったんですけれども、まだ集落自体の力があったからその衝突は吸収ができていたというふうにも私は考えています。人が立ち入るのは里山まで、しかし奥山に入る必要もあるから、奥山に入るときには山の神々に礼儀を尽くして入るというルールもありました。今上映されている「WOOD JOB! 神去なあなあ日常」、確かこれはロケ地になったのは三重県だったと思いますが、その映画、私、最終、仕事が終わってから見てきましたが、杣人たち、つまり山で働く
方々は奥山に入るときには奥山の神々に手を合わせてから山に入られる、そういう日本人の精神性があったんだと思います。
その精神性の結果だと思うんですけれども、例えば、イギリスは日本と同じ島国ですけれど、イギリスでは産業革命の時代に
森林をほとんど伐採してしまいました。その結果、日本には百八十八種の哺乳類が
生息していて、そのうち日本の固有種は四十一種あります。イギリスには五十種の哺乳類しかいないんです。固有種はゼロです。植物についても、日本には五千五百種以上が生育していますが、イギリスは千六百種しかありません。そのようなことを念頭に置きながら、
生態系のバランスを考えた長期的な
保護管理というものと、差し迫った
被害を食い止めるための
対策の両方、これが必要であるという視点から質問をいたします。
鳥獣の
保護管理は、
個体数管理、
生息地
管理、
被害防除、これを一体的に進めることが重要とされています。このうち、
個体数管理や
被害防除などのための
鳥獣の
捕獲は公益を
目的としているんですが、実際にそれを担っているのは趣味としての
狩猟の免許
保持者の皆様です。そして、その対価についても、ほぼ無償で行われています。
しかし、現在の
鳥獣捕獲というのは、有害
鳥獣捕獲、さらには特定
計画に基づく
個体数の
調整というものが
主体となっていて、例えば
環境省による統計では、
平成二十三年度、鹿の
捕獲は、いわゆる趣味としての
狩猟によるものは十八万三千六百頭、
個体数調整などの公益的なものは二十三万一千九百頭となっています。つまり、公益を
目的とする
捕獲がもう半数以上を占めている。しかし、現在の
狩猟免許制度というのは、そもそも趣味としての
狩猟を規制するという前提に立っていますので、公益的な
捕獲を前提とした制度ではありません。
平成二十六年一月に
中央環境審議会から出された答申においては、一般免許と許可
捕獲のための免許区分、
狩猟免許とは別の
鳥獣保護管理を担う
専門家を認定する仕組みなど、
管理のための
捕獲等の
担い手として
鳥獣保護管理に携わる者に対する免許や資格の在り方等についても引き続き
検討が必要であると
指摘をされています。
狩猟免許制度に関する議論は今後の
捕獲等の
担い手の
確保に直結をしている問題ですから、早急に議論を進める必要があると思いますが、この点に関して、今後の方針をお伺いいたします。