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2014-05-15 第186回国会 参議院 外交防衛委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年五月十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      山口那津男君     河野 義博君  五月十五日     辞任         補欠選任      小野 次郎君     真山 勇一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         末松 信介君     理 事                 佐藤 正久君                 松山 政司君                 三木  亨君                 福山 哲郎君                 石川 博崇君     委 員                 宇都 隆史君                 岡田 直樹君                 小坂 憲次君                 島尻安伊子君                 牧野たかお君                 脇  雅史君                 北澤 俊美君                 白  眞勲君                 藤田 幸久君                 牧山ひろえ君                 河野 義博君               アントニオ猪木君                 小野 次郎君                 真山 勇一君                 中西 健治君                 井上 哲士君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君    内閣官房長官        内閣官房長官  世耕 弘成君    大臣政務官        外務大臣政務官  石原 宏高君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  小松 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       山崎 和之君        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣法制局第一        部長       近藤 正春君        内閣国際平和        協力本部事務局        長        高橋礼一郎君        法務大臣官房審        議官       萩本  修君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        香川 剛廣君        外務大臣官房審        議官       新美  潤君        外務大臣官房審        議官       金杉 憲治君        外務大臣官房審        議官       山上 信吾君        外務省経済局長  片上 慶一君        水産庁次長    香川 謙二君        水産庁漁政部長  柄澤  彰君        水産庁資源管理        部審議官     遠藤  久君        国土交通大臣官        房技術審議官   坂下 広朗君        国土交通省鉄道        局次長      土屋 知省君        国土交通省航空        局安全部長    島村  淳君        環境大臣官房審        議官       奥主 喜美君        防衛大臣官房長  黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       中島 明彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○南インド洋漁業協定締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付) ○二千四年の船舶バラスト水及び沈殿物規制  及び管理のための国際条約締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネー  ブ改正協定締結について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付) ○千九百七十九年九月二十八日に修正された千九  百六十八年十月八日にロカルノで署名された意  匠の国際分類を定めるロカルノ協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付  ) ○視聴覚的実演に関する北京条約締結について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、山口那津男君が委員辞任され、その補欠として河野義博君が選任されました。     ─────────────
  3. 末松信介

    委員長末松信介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  南インド洋漁業協定締結について承認を求めるの件外一件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎和之君外十八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 末松信介

    委員長末松信介君) 南インド洋漁業協定締結について承認を求めるの件及び二千四年の船舶バラスト水及び沈殿物規制及び管理のための国際条約締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 三木亨

    三木亨君 おはようございます。自由民主党の三木亨でございます。  まず最初に、私事になりますけれども、二年ぐらい前までよく釣りに行っておりまして、私のふるさとは徳島県というところで、鳴門の方によく船で釣りに行っておりました。鳴門の方には、伝統的な漁法タイカブラというのがございまして、簡単に言うとルアーの一種みたいなものですけれども、鉛の玉を付けてひもを付けて、それを上げ下ろしするだけでタイが引っかかるという、非常に簡単ではございますけれども非常に効果的な漁法で、男の人ばかりでなく女性も子供も簡単に釣れるということで、今、まあまあ人気漁法でございます。  こういった漁法で、船に乗って出かけるわけですが、どうも腕の方が悪いらしくて、大体坊主で帰ってまいります。私の場合はそういう状況でございますので、特に鳴門タイ乱獲によってタイが減ったということもなく、また、行きも帰りも船の重量も余り変わりませんのでバラスト水の問題もございませんが。ただ、非常に世界漁獲高の問題あるいは海洋環境の問題について重要な問題でございますので、私から、今日はこの二つ条約について質問させていただきたいと思います。  まず初めに、南インド洋漁業協定の方でございますけれども、まず初めに、国際的な公海漁業ルールについて、本協定との関係についてお聞きしたいと思います。  世界漁業資源というのは、今までの過度な漁獲あるいは乱獲によって、非常に魚種によっては枯渇やあるいは減少といった問題が生じております。FAO等によって指摘されてきたように、資源保存管理ということは非常に世界中海洋国にとって喫緊の課題でございますし、特に、昔から四海に囲まれ、漁業資源を非常に重要なたんぱく源として捉えてきた我々の国にとっては、これは、世界海洋資源保存管理ということは非常に大きな責務であるというふうに私も考えております。  現在の公海漁業というのは、国際社会において、すなわち、例えば国連海洋法条約やあるいは国連公海漁業協定のような法的な枠組み、あるいは地域的な漁業機関漁業協定の下でどのように規制されているような状況であるのか。そしてあわせて、今般締結しようとしている南インド洋漁業協定というものが、これまで作成されてきた同様の公海漁業規制するような国際条約と比較してどういった点が類似しており、あるいはどういった点で相違している点があるのかということ、こういう点についてまずお聞きしたいと思います。
  7. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  まず、国連海洋法条約でございます。  海洋法条約では、一定の魚類資源を捕獲する国が地域漁業管理機関を通じてその保存のために必要な措置について合意するよう努めること、公海生物資源を開発する国が漁業機関を設立するために協力すること、こういったことを義務付けています。また、この条約実施協定である国連公海漁業協定は、地域漁業管理機関を設立、運用するための統一的な基準等を定めております。  このような地域漁業管理機関として、個別の漁業関連条約により設立された多くの地域漁業機関などがあり、その下で対象水域における漁業資源保存管理措置がとられております。  南インド洋漁業協定も、ほかの漁業関連条約と同様、国連海洋法条約国連公海漁業協定規定する公海漁業に関する諸原則を踏まえて作成されたものであり、その内容は、科学的根拠に基づく保存管理措置の採択やその遵守を確保するための監視などに関する規定など、多くの点でほかの条約と共通しているところでございます。  他方、この協定は、南西インド洋アフリカ沿岸国の強い要請を受けて作成された経緯があります。このため、ほかの多くの漁業関連条約と比較して、開発途上国の特別な要請に関して詳細な規定、十三条でございますが、置かれている点が特徴的であると言えると考えております。
  8. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  多くの共通点がありつつ、また相違点もということ、ただ、地域的な状況というのはやはりそれぞれに存在するんだというふうに私も思います。  では、この南インド洋漁業協定というもののちょっと独自の問題についてお聞きしたいと思いますけれども、今回締結するこの公海漁業協定によって、例えば規制対象魚というのが指定されております。キンメダイという魚がございますけれども、これも規制対象魚というふうにされておりますけれども、例えばこのキンメダイ漁業は今この海域においてどういった現状になっているのか。つまり、主な漁業国やその漁獲高についてお伺いしたいということ。そしてまた、この海域漁業漁業資源現状から見まして、本協定意義というもの、どういった意義があるのか。そして、この協定締結することによってどういった役割を果たすことになるのかということ、これをお聞きしたいと思います。  そして、今、本協定というのは既に効力を生じているというふうに聞いておりますけれども、協定水域における主な漁業国参加、つまり、日本だけが頑張っても駄目ですし、ほかの数か国だけが頑張っても駄目、つまり、協定水域における漁業国参加していかないとどうしても実効性というのは得られないと思うんですけれども、この水域における主な漁業国参加状況というものについてお伺いしたいと思います。
  9. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  この協定対象水域における各国の具体的な漁業実態、これにつきましては、実は、本協定が発効して間もないことから、データが十分そろっていない状況でございます。今後、締約国会議等を通じてしかるべくデータ収集が行われることとなります。  この協定対象水域は、キンメダイなどの我が国公海底魚漁業にとって重要な漁場でございます。また、今後操業拡大可能性が想定され得るほとんど唯一とも言える水域であると考えております。  このため、我が国がこの協定締結することは、これまでの実績レベル操業、これを今後とも確保し、対象資源状況などに応じて操業機会拡大を図る上で極めて重要であると認識しています。その意味で、本協定は、この地域漁業資源を適切に保存管理し、我が国公海底魚漁業を安定的に継続、発展させる上で大きな意義を有するものであると考えております。  現在、協定対象水域において操業実績があるのは、我が国のほか、韓国クック諸島、オーストラリアなどであると承知しています。韓国以外はいずれも本協定締結済みでございます。韓国も、現在締結に向けた準備を進めているというふうに承知しております。  ちなみに、二〇一二年でこの対象地域における我が国キンメダイ漁獲量は二百九十五万トンということでございます。失礼いたしました、二百九十五トンでございます。大変失礼いたしました。
  10. 三木亨

    三木亨君 二百九十五トンですね。  ありがとうございます。  まだ周辺各国状況というのは分かっていないと。これからしっかりと調査をしていただいて、中にはきっちり数が取りにくい国もあるかと思うんですけれども、できるだけ状況を把握していただいて、我が国役割というものを果たしていっていただきたいと思います。  キンメダイ漁獲量を今聞こうと思ったんですけれども、先に言っていただいたので結構なんでございますけれども。釣ったことないので、キンメダイにこだわるわけではございませんけれども、日本漁獲量というのはほかの国と比べてどれくらいなのかというのを教えていただければと思うんですが、どんなものでしょうか。
  11. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど申し上げたように、この水域日本漁獲量というのは二〇一二年二百九十五トンですが、まだ協定発効間もない中、データ収集というのが十分できておりません。今委員指摘のとおり、これから御許可いただいてこの締約国メンバーになったときに、各国データ等も含めてきちっと収集してまいりたいと思います。
  12. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  ざくっと多分言って、恐らく上の方なんでしょうという印象はございますけれども、それぐらいで結構でございます。  続けて、他の国の実情が分からないということですけれども、本国の実情というのは分かると思います。  そういった意味において、二〇〇一年に行われた、本協定作成のために第一回の政府間交渉というものがあったそうでございますけれども、こちらの方には我が国の方は参加しなかったということでございます。そしてその後、政府間交渉参加するように、我が国が一回目は参加しなかったけれどもその後参加するようになったというのは、理由というものあるいはきっかけというものがありましたら教えていただきたいということと、あと、また、我が国で本協定水域規制対象魚種キンメダイのほかどれぐらい漁獲しているのか、そして今後、この協定締結することによってそれらの漁獲量がどれぐらいになるのか、見込まれているのかということ、これは水産庁になるのかな、お聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  13. 遠藤久

    政府参考人遠藤久君) お答え申し上げます。  我が国は、第一回政府間協議が開催されました二〇〇一年の二月、この時点におきましては、まだ南インド洋におきましては、マグロ類、これは違う漁業管理機関がございまして管理されておりますけれども、マグロ以外に漁業を行っていなかったということがございます。そのために第一回の政府間協議には参加しなかったということでございます。  しかしながら、二〇〇一年、その後、三月でございますけれども、我が国漁船当該水域におきましてキンメダイ等対象とした操業を行ったということがございましたものですから、第二回政府間協議から参加することにしましたということでございます。  近年、我が国漁船は、この協定水域におきまして、底引き網漁業によりましてキンメダイ、それから底はえ縄漁業、これによりましてメロという魚種対象としまして操業を行っております。  キンメダイにつきましては、先ほど外務省の方からも御発言がございましたけれども、年間三百トン、三百トンから一千数百トンくらい。それからメロにつきましては、多少少ないんでございますが、年間数トンとか数十トンくらいの漁獲が行われております。  それから、当該水域における資源管理の在り方につきましては、今後、この南インド洋漁業協定に基づく締約国会議におきまして検討されていくということになります。したがいまして、現時点において今後の漁獲量の見込みについてお答えすることは困難ではございますが、対象資源状況に応じた持続的な操業が可能となりますように農林水産省としては適切に対応してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  14. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  今、ちょっとメロの話出たので、この後にしようかと思ったんですが、先にこちらの方もお聞きしたいと思います。  こちらの協定では、今おっしゃっていただいたように、メロという魚、マゼランアイナメという正式名称あるそうでございますけれども。アイナメというと、我々、大体カサゴの仲間で、よく沿岸とかで捕れるんですが、これは、アイナメじゃなくてスズキ仲間という、アメリカなんかではシーバスと、そのまま普通にスズキと同じような名称で呼ばれているような魚らしいですけれども。我が国ではギンムツとかいう名前で、ただ、JAS法関係で今はギンムツメロを併記しないといけないというふうにも聞いております。  この魚なんですけれども、非常に脂の乗りも良くて、淡泊でしかも上品な味がするということで、いろんな料理、例えば日本ですと西京漬けとかあるいは普通の焼き物であるとか、あるいは洋風ですとムニエルにしてもおいしいということで、先進国でも非常に人気がある魚で、今、非常に世界中乱獲されているという、特に南氷洋に多い魚でございますけれども、これの保存管理ということが問題になっているというふうに聞いております。  我が国が既に締結しておりますこのメロがいるような海域漁業協定というと、漁業協定というか海洋資源保存管理に関する協定といいますと、南極生物資源保存条約というものがございます。  これは、今申しましたメロを含めて南極海の、南氷洋海洋資源保存管理を定める条約で、条約に従って漁獲された海産物、メロだけではなく、この条約に従ってその海域漁獲されたものだけでなくて、協定外水域漁獲されたものについても漁獲証明を発行しているというふうに聞いております。例えば、ここの水域で捕られたメロだけじゃなくて、他の水域でも捕られた南氷洋メロというものにも漁獲証明を発行しているということだと思います。  本協定が発効した後、協定に基づくメロを始めとする海洋資源保存管理と、並立する南極生物資源保存条約に基づく漁獲証明制度、これがどのような関係になるのかという、二つ関係をちょっとお聞かせいただければと思います。
  15. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、南極海洋生物資源保存に関する条約におきましては、その下で採択された保存管理措置におきまして、このメロの違法、無報告あるいは無規制漁業を排除するために漁獲証明制度を採用しております。  この条約委員会構成国は、自国に輸入されるメロに対し、その漁獲水域漁業水域内であるかにかかわらず輸出国に対し漁獲証明書の添付を求めなければならない、このようにされております。これに対しまして、この南インド洋漁業協定の下で行われる具体的な保存管理措置につきましては、今後、締約国会議で検討されることになっております。  したがって、我が国としましては、今後この協定の下でメロ保存管理措置が議論される際には、南極海洋生物資源保存に関する条約、これに基づいて行われる漁獲証明制度と整合的なものにしなければならない、このように考えております。是非、南極のこの条約との整合性を図るように、我が国としましてもこの締約国会議において努力をしていきたいと考えております。
  16. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  では、こちらの南インド洋漁業協定については次で最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、本漁業協定というのは、南インド洋マグロ以外の漁業資源管理するという協定というふうに私も認識しております。  世界の主要な漁場マグロ類やその他の魚種についての地域的な漁業協定あるいは地域的な漁業機関による規制がなされずに保存管理が急務である海域というのはなおこの世界の幾つかに残っているのかどうかと。つまり、我が国責任ある大国として地域的な漁業協定作成に参画していかなければいけない、我が国海洋国として果たさなければいけない責任が求められるような海域というのは世界にこのほかに存在するのかということ。また、今後の地域的な漁業協定作成方針というものも、その見通しというものを含めてお聞かせいただけたらというふうに考えております。  また、この問題に臨むために、我が国は、先ほど申しましたように、昔から海洋資源に頼ってきた国でございますので、海洋国家として果たすべき責任というのは非常に大きいと思います。この問題に臨む我が国方針というものについて、大臣の方から御所見がありましたらお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、マグロ類等ですが、高度回遊性資源であるということから、持続可能な利用のためには、地域ごと関係国が適切な保存管理枠組みをつくり、高度回遊性があることから全世界海洋管理する必要があります。このような認識の下に、全世界海洋をカバーする五つの地域漁業管理機関が設置されておりまして、我が国は、これ全ての機関加盟をしております。  これに対しまして、マグロ類以外の漁業資源に関しては、資源保存管理枠組み水域ごとに数多く存在し、世界のほとんどの主要な漁場について保存管理が行われています。このうち、我が国は、我が国操業実績があり、我が国遠洋漁業に影響を及ぼす七つの地域漁業管理機関参加をしてきております。ちなみに、我が国参加していない地域漁業機関、主なものとしまして、北東大西洋漁業委員会あるいは南太平洋公海漁業資源保存管理機関、こうしたものがありますが、この二つに関しましては、現在、我が国操業実績がないため加盟をしておりません。  いずれにしましても、我が国として、責任ある漁業国として、引き続き、漁業資源保存管理、そして持続可能な利用、こうしたものを確保する必要があると考えております。このため、関係国とも協力しつつ、今後とも、この分野におけるルール作り、しっかりと主導していきたいと考えております。
  18. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  本当に、今おっしゃっていただいたように、海洋資源保護漁業資源保護というのは我々人類にとって一番大きな問題だというふうに考えていますし、実際、昔は船が出ていって魚が捕れればいい、大漁だったらいいというような考え方だったけれども、それをある程度人間の方でコントロールしていかなきゃいけないというのは、世界の人口が増え、また魚探やあるいは船舶が発達して幾らでも魚が捕れるようになった現在というのは、深く考えていかなきゃいけない問題だなと思います。  また、いろんな海域、あるいはいろんな国で様々な漁業協定があるというのは、様々な魚の種類があって、例えば、先ほど大臣おっしゃっていただいたように、マグロであれば、非常に広い海域を回遊する魚でございますので非常に広い海域において協定を結ぶ必要があるし、あるいは、先ほど話題になりましたキンメであるとかアイナメであるとかマゼランアイナメであるとか、そういったものは根魚ですので、それほど移動するものではない、例えば海域を区切って規制していくことが必要だろうと思います。  そういったノウハウについては、先ほど私言いましたように、アメリカでは、このマゼランアイナメメロでさえシーバスという名前で一くくりにスズキ仲間にされてしまいますけれども、日本はちゃんと非常に細かく魚を区切って分類していますし、そういった魚の取扱いについては日本世界に冠たるもの、一日長じているものがあると思いますので、この漁業資源保護というところに関して日本が果たせる役割というものは非常に大きいと思いますので、大臣おっしゃっていただいたように、これからも世界漁業資源保護というものにリーダー的な役割を果たしていただくよう期待したいと思います。  じゃ、続きまして、船舶バラスト水管理条約についてお伺いしたいと思います。  まず、先日、岸田大臣の方から、このバラスト水管理条約について、船舶が積んでいるバラスト水による環境等への被害防止のための国際的な取組に貢献することになるという、こういった旨の趣旨説明をいただきましたけれども、その点について改めて具体的に御説明いただけたらと思いますので、よろしくお願いします。
  19. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) お答え申し上げます。  この条約は、バラスト水に含まれる水生生物や病原菌が本来の生息地でない場所に移入、繁殖することによる環境や人の健康への被害を防止することを目的とするものでございます。  船舶は国境を越えて移動する場合が多いことから、この目的を実現するための規制実効性を確保するためには、国際的に合意された規則を各国が統一的に適用することが重要となります。この条約の下では、船舶は、バラスト水に含まれる水生生物や病原菌が条約に定める基準以下になるよう処理した上でバラスト水を排出することが求められております。また、この条約では、船舶の旗国及び寄港国が検査監督を行うことについても定められております。  したがって、主要な海運国であります我が国がこの条約締結しますことは、船舶に起因する環境や人体等への被害の防止のための国際的な取組に貢献する観点から重要な意義を有すると考えております。
  20. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  日本海洋国家と言われますけれども、非常に世界の中でも有数の海洋国家である。その中で、本協定の周辺的な事情として、日本世界の海事においてどのような役割を果たしているのか、あるいは今までどれぐらいの貢献をしてきたのかということについて少しお聞きしたいと思います。  我が国は、貿易立国としての基盤を海洋に置いている海洋貿易国家というふうにも言えると思います。それゆえに、この条約に限らずに、海事分野における国際的な取組に貢献していくことに加えて、そうした取組を主導していくこと、これが我が国の国益にかなうことだというふうに私は考えております。  こうした観点から、海事分野の主要な国際機関であるIMOにおいてこれまで我が国が果たしてきた役割、つまり財政面やあるいは人的な面においてどのような貢献を果たしてきたのかということ、また、このIMOでの海事分野に関する国際的なルール策定においてどのようなリーダーシップを発揮してきたのか、こういった面についてお伺いしたいと。その上で、海事関係に関する我が国の今後の方針や重点的に取り組むべき課題について、大臣の方から御見解ありましたらお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
  21. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) お答え申し上げます。  我が国は、IMOの、国際海事機関の設立以来、継続してその活動に参加してまいりました。特に、各種条約を始めとしたルール策定においては、主要海運・造船国としての知見を生かして貢献をしてきておりまして、例えば、船底への有害な塗料の使用を規制する条約、あるいは国際海運において初めて温室効果ガス削減対策となる船舶汚染防止国際条約附属書の改正などにおきましても役割を果たしてまいりました。  財政面の貢献といたしましては、IMO加盟国として支払う分担金に加えまして、ソマリア海賊対策の一環としてジブチ行動指針信託基金への拠出などを通じまして、ソマリアや周辺国の海上保安能力の向上を支援する貢献を行ってきております。  人的貢献といたしましては、二〇一一年のIMO事務局長選挙におきまして、日本人であります関水康司氏を擁立いたしまして、当選をさせました。同氏は、IMOのトップとして指導力を発揮しておりまして、現在、IMOでは、同氏含めまして五名の邦人職員が活躍してございます。このように、ルール策定、財政面で貢献してきてまいっているところでございます。  以上です。
  22. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国世界有数の海運国であり、ただいま香川議官の方から答弁させていただきましたように、このIMO設立以来、条約作成ですとか基金への拠出、さらには人的貢献等を通じまして積極的にIMOの活動にも参加をし、貢献をしてきたと自負をしております。今後とも、これまで同様、我が国の知見、経験、技術、さらには人材、こういったものを十分に活用して、この海洋分野の国際的な課題の解決に努めていく所存です。  具体的には、IMOの場等において、海上安全ですとか海洋環境保護、こういったものに資する規制の策定等に関係国と連携して積極的に貢献をしていく、こうした努力を続けていきたいと考えております。
  23. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  時間も迫ってまいりましたので、最後、この条約の発効の見通し、つまり、この条約には発効要件というものが定められているそうでございますけれども、これについて御説明いただきたいと思います。  この条約の発効要件として、条約締結国が三十か国以上になることと、もう一つ、締約国の商船の船腹量が世界の商船船腹量の三五%相当になるという、この二つの要件が課されているというふうにお聞きしております。  現在、締約国数の方は満たされているけれども、船腹量の方はまだちょっと足りないということでございますけれども、先ほど大臣おっしゃっていただきましたように、日本世界に冠たる海運国でございますので、比較的商船の船腹量の方も多いと聞いております。一説には、日本参加した場合、締約国の商船船腹量が三二%を超えて発効目前になるだろうという見通しもなされているようでございますけれども、それを考えますと、我が国条約締結というのは非常にこの締約国にとっても意味があることだというふうに考えております。  その上で、我が国条約締結も含めて、今後この条約が発効していく見通しについて、外務省からの御見解をお聞かせいただければと思います。
  24. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) お答え申し上げます。  先生御指摘いただきましたように、三十か国の締結と、それから商船船腹量三五%以上となった場合にこの条約は発効することになっておりまして、本年の四月時点で、締約国数は三十八か国、それから商船船腹量の合計は三〇・三八%でございます。  我が国が本条約締結いたしますと、我が国の船腹量が一・七%ぐらいでございますので、三二%を超えることになりまして、発効要件の充足に近づくことになります。ほかに商船船腹量の大きいパナマ等、幾つかの国がもう既に準備を開始したというふうに承知しておりまして、このような状況を踏まえますと、本条約は今年中にも発効要件が満たされ、この三五%を超えますと、その後十二か月で効力を生ずることになっておりますので、二〇一五年、来年中にも発効する可能性があるというふうに考えております。
  25. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございました。  時間になりましたので、私の質問はおきたいと思います。ありがとうございました。
  26. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。  まず、法務省の方から、先日の答弁について再度御答弁願いたいと思います。
  27. 萩本修

    政府参考人(萩本修君) 本年三月二十五日の本委員会における私の答弁の誤りにつきまして、改めて訂正する機会をいただきましてありがとうございます。  まず、その誤りの点ですが、三月二十五日の答弁で、私は、朝鮮総連ビルの競売事件につきまして、不確実な記憶と思い込みにより、一回目の入札のときは一人しか入札をしなかったと申し上げ、その点が二回目の入札とは異なる旨の答弁をいたしましたが、実際には一回目の入札の参加者は四名であり、一回目の入札と二回目の入札のどちらも複数の入札参加者があったというのが正しい事実関係ですので、そのように訂正をさせていただきます。  その上で、白委員からは、この点に関連して、なぜ一回目の入札は最初からやり直したのに二回目の入札はやり直さなかったのかという御質問がございました。  そこで、この点について説明を補足させていただきたいと思います。  一回目の入札においては、執行裁判所が入札の手続に瑕疵はないと判断し、最高価買受申出人であった宗教法人に対する売却を許可する決定をし、この決定が確定しました。これにより、その宗教法人が買受人、すなわち売買契約の買主となることが確定し、他の入札参加者は手続から外れた状態になりました。ところが、この状態に至った後に、買受人が所定の期限までに代金を納付せず売却許可決定の効力が失われたため、改めて入札を最初からやり直す必要が生じたものです。  これに対し、二回目の入札においては、執行裁判所が入札の手続に瑕疵があったと判断し、最高価買受申出人とされたモンゴル国の法人に対する売却を不許可とする決定をし、この決定が確定しました。この段階では、いまだ買受人、すなわち売買契約の買主は確定していませんので、一般論として、執行裁判所としては、売却を不許可とした理由いかんにより、入札をやり直すこともあればそのまま手続を進めることもあるわけですが、今回は、改めて入札を最初からやり直す必要はないと判断し、開札から手続をやり直したものです。  一回目と二回目とで執行裁判所の処理に違いが生じたのは以上のような事情に基づくものでございます。  この度は、誤った答弁をしてしまった上に、その誤りを認識した以上、直ちに答弁の訂正を求めるとともにおわびを申し上げなければならないにもかかわらず、それを怠ってしまい、誠に申し訳ございませんでした。  本委員会の御審議に多大な御迷惑をお掛けしましたことにつきまして、委員長及び委員各位を始め関係者の皆様に重ねておわびを申し上げます。
  28. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、今日議題となっております船舶バラスト水規制管理条約につきまして御質問いたします。  この条約は、世界中で生じる船舶バラスト水による環境等への被害を防止していくことを目的としていますが、具体的にどういった被害例があるのか、お答えください。
  29. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) お答え申し上げます。  バラスト水から生じたと思われるそういう事例というのが報告されておりまして、例えば、我が国の例でいいますと、我が国からヒトデあるいはワカメが豪州の方にバラスト水によって運ばれて豪州で被害が生じているのではないかという例、あるいは、我が国の中の例でいいますとムラサキイガイ、いわゆるムール貝が地中海から運ばれてきているというような例が報告されております。
  30. 白眞勲

    ○白眞勲君 今の件につきましては、石原政務官が衆議院の条約審査でもムラサキイガイについての、バラスト水についての移入事例というのを答弁されているんですけれども、片や環境省は、十年前の答弁では、バラスト水のみを経路として我が国に移入したことが確実な海産生物は存在していないというふうにも答弁しているんですけれども、これは一体どういうことなんでしょうか、お答えください。
  31. 石原宏高

    大臣政務官(石原宏高君) これまで政府として、船舶によって我が国に移入されたと推定される外来種も存在しており、これにバラスト水が関わっていたということも考えられないわけではない旨答弁をしているところであります。したがって、外来種の移入にバラスト水が関わっている可能性は否定できないとの政府の従来の立場であります。  その立場に基づいて、四月十六日の衆議院外務委員会で、確証はいまだ得られておりませんけれども、バラスト水が原因の一つと考えられる外来種の移入事例について、ムラサキイガイというふうに答弁をさせていただきました。
  32. 白眞勲

    ○白眞勲君 環境省さん、今日いらっしゃっていますよね。環境省さんは、これ何か答弁だと、平成十八年三月十七日ですと、今私が申し上げたように、バラスト水のみではないというふうに言っている。でも、今は推定されると、こうなっている。この辺り、一体どっちがどうなんですか、これは。ちょっとちゃんと整理してお答えいただきたいと思うんですけど、政府として。
  33. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えいたします。  先生御指摘の点についてでございますけれども、環境省といたしましては、平成十六年に行いました調査に基づきまして答弁をさせていただいたものでございまして、そこにおきまして、バラスト水を唯一の経路として我が国に移入したことが確実な生物は確認されていないということは申し述べましたけれども、あわせて、バラスト水が原因で日本に移入した生物がいることを否定したものではありません。そういう可能性があるというふうなことを申し述べたものでございまして、そういう可能性がある以上、このようにバラスト水の対策としても行うことが必要があるというふうな認識でございます。
  34. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か言っていることが分からないんですよ。  要は、これを見ると、答弁を見ると、そのときの、平成十六年からバラスト水条約対応基礎調査という名称で御調査をされているんですね。その後の状況についてはどうなっているんですか。発見されているんですか発見されていないんですか。やっぱり推定のままなんですか。その辺どうなんですか。
  35. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) 環境省といたしましては、バラスト水条約対応基礎調査につきましては、平成十六年度、十七年度ということで調査を終えております。その中におきまして、ムラサキイガイ等につきましては、バラスト水のみによる原因であるということは確実ではないけれども、バラスト水が関わっている可能性があるというふうなことでございまして、それ以降の調査はしておりません。  ただ、このムラサキイガイ等が確認されましたのは一九三二年、神戸で初めて確認されてございますので、今の時点におきましてはなかなか、バラスト水だけなのか、あるいは船底に付着したものであったのかどうかというふうなことはもう確定できないという状況であります。  ただ、いずれにしましても、バラスト水による可能性があるというふうなことは否定できないことでございますので、今回のようなバラスト水条約に基づく対応というふうなことは必要なものであるというふうなことを考えているところでございます。
  36. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、だから確認してきているかどうかというのを聞いているんですね。  今、石原政務官はバラスト水等の原因と考えられると言っているわけですよ。ところが、今の話ですと、何か船底に付着していることも考えられる、千九百三十何年の話ですなんということになっちゃうとさっぱり分からない。  もう一回、ちょっとこれ、ちゃんと答弁してくれませんか。ここ重要なポイントだと僕思いますよ。
  37. 末松信介

    委員長末松信介君) 食い違いがあるのかないのか、そこを踏まえまして御答弁願います。
  38. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えさせていただきます。
  39. 末松信介

    委員長末松信介君) どうぞゆっくり御答弁いただきたいと思います。
  40. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) はい。  環境省で平成十六年、十七年度の二年間実施しましたバラスト水条約対応基礎調査の報告書の中におきまして、バラスト水を唯一の経路として我が国に移入したのが確実な生物は確認されていない、その一方におきまして、バラスト水も関わっている可能性は否定できないという調査結果をまとめたところでございます。そういうことでございます。  あくまでも、バラスト水は一つの可能性として、このような外来種の移入の原因としてあるということでございますので、そういうことから、考えられるためにこのような対応を検討する、バラスト水条約に基づく対応を検討するということかと思います。
  41. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは報告書に書いてあるんですか。ムラサキイガイが原因とされる可能性もあるということはこの報告書に書いてあるんですか、入っていないんですか。
  42. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) 調査におきましては、二十二種類の生物につきまして調査をしまして、それがバラスト水を含む船舶によって我が国に移入されたと推定されている種として考えられたところでございまして、その中にも、ムラサキイガイも対象の一つとして入っているところでございます。
  43. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、だからそれは、調査はしたけど確認できていない、だけど推定は推定のままなんですということなんですか。それで、だったらそれでそうだということを言っていただきたいのと、それともう一つは、何で平成十六年と十七年の二年しか調査しなかったんですか。私はそれがよく分からないんだけど。今年何年ですか。ちょっとその辺どうなんですか。何でそれで終わっちゃったんですか。
  44. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えいたします。  バラスト水によってムラサキイガイが導入されたかどうかというのは、あくまでも現段階での推定であることは事実でございます。  それ以降の調査につきましては、条約の批准の動きを見ながら対応するというようなことで、その後のはっきりした調査はしていないところではございますけれども、ただ、あくまでも、バラスト水による可能性があるというようなことはこれは明らかでございますので、そういうことを踏まえまして、バラスト水による対応というようなことが必要かというふうに考えているところでございます。
  45. 白眞勲

    ○白眞勲君 昨日、私、ちゃんと質問通告しておるんですよ、これ。本当にちゃんと質問通告しましたよ。そのときに環境省さんが、もうここで言っちゃいますけれども、こうやってずっこけてくれると困っちゃうんですよ、私も。もっと先でずっこけさせようと思っていたら、ここで最初にずっこけちゃうと私困るんだけれども。  そもそも、昨日の環境省も何か、いや、バラスト水の調査はやっていませんけどと言ったんですよ。環境省の中でも意思統一ができていないんだなというのを、言いたくはないけど、こういう訳分からない答弁されちゃうと言いたくなっちゃうんですよ、この話。  これ、ちょっと問題ですよ。これ、どうなっているんですか。もう一回、ちゃんとした答弁してくださいよ。
  46. 末松信介

    委員長末松信介君) 環境大臣官房奥主議官。どうぞ、ごゆっくり答弁いただいて結構です。
  47. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えさせていただきます。  移入経路の一つとしてバラスト水が考えられるというようなことは、もうこれは確実というふうに考えております。ただ、ここで推定と申しましたのは、バラスト水のみによるのか、あるいは船底に付着したものであるのか、そういうような可能性があるというようなことでございまして、ただ、バラスト水も一つの可能性としてあるというようなことは確実でございますので、それに対する対応が必要であるというようなことでございます。  それで、環境省といたしましても、当然、平成十六年、十七年度に調査いたしまして、少なくともそのムラサキイガイ等を含めた二十二種につきましては、バラスト水を含む船舶による移入が原因であるというふうに考えているところでございますので、それを踏まえまして条約への対応等を考えていきたいというふうに考えているところでございます。
  48. 末松信介

    委員長末松信介君) 納得できないですか。  じゃ、白先生の方から、一番聞きたいところをもう一度、再度御質疑してください。
  49. 白眞勲

    ○白眞勲君 一番聞きたいところがいっぱい出てきちゃったんですけれども。  要は、調査ではムラサキイガイは、バラスト水からは直接調査したら出てこなかったということなんですか。バラスト水を調査したらムラサキイガイのそういう根っこは出てこなかったということだけれども、推定はできるんだ、だから確実なんですと言われちゃうと、さっぱり分からないんです、私、これ。  今言っていることはそうなんですよ。推定だけれども確実ですとおっしゃっているわけですよ。推定ですけど確実ですというのは、私の日本語の知識では、これ相反する話なんだな。  それもう一回、ちょっとお願いしますよ。
  50. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) 済みません。答弁が不十分で申し訳ございませんでした。  調査につきましては、文献調査等を行いまして、ムラサキイガイが一九三二年、神戸港で初めて確認されたと。どのようなことが原因でそういうことになったのかというようなことを、いろいろその文献、あるいは学識者のヒアリング等もしまして、これはやっぱり外国産、日本には元々いないものでございますので、外国から持ち込まれたものであろうと。  そうしたことの原因といたしましては、船舶というのが当然考えられたことでございました。ただ、船舶の船底に付着したものであるのか、あるいはバラスト水のみによるものであるかどうかにつきましては、そこはもう推測でございます。ただ、あくまでも外国から持ち込まれたというふうなことは確実でございまして、その手段としては、船舶付着かバラスト水によるものというようなことが考えられる、そこは確実であろうかということを答えたものでございます。  ただ、先生がおっしゃいましたように、バラスト水を取って、その中でムラサキイガイがあったかどうかというようなことの調査はしておりません。あくまで文献調査等を通じてのものでございます。
  51. 末松信介

    委員長末松信介君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  52. 末松信介

    委員長末松信介君) 速記を起こしてください。  もう一度、じゃ、白先生から御質問をいただきます。
  53. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、ちょっと環境省さん、大分何か混乱状況に陥っちゃっているんだけど、外務省さん、これ、環境省からどういう説明を受けて今こういう御答弁されたんですか。  つまり、調査をしたらムラサキイガイが出てきたんだと、そういうケースがございますというふうに言っているんですよ。ケースがございますということは、何かそういうものがあるからケースがございますですよね。これ、石原政務官はちゃんと答弁されていますよね、ケースがございますと。具体的にどういうケースがあったんですか、その根拠は何ですか、教えてください。
  54. 石原宏高

    大臣政務官(石原宏高君) 説明は、先ほど環境省の方からあった説明、現時点ではバラスト水のみでの、これは日本の場合ではございますが、それを経路として我が国に移入したことが確実な海産生物というものは確認されていないわけでありますけれども、しかし、船舶によって我が国に移入されたと推定されますところの外来種も存在しております。これにバラスト水が関わっているということも考えられないわけではございませんということの中で、ムラサキイガイなどもあるという報告を受けています。  それで、私は、済みません、答弁の中で、「これまで、バラスト水が原因と考えられる外来種の移入事例が報告されているところであります。ムラサキイガイとか、そんなケースがございます。」というふうに発言しているんですが、ちょっと舌足らずだったかもしれませんけれども、意味的には、バラスト水が原因の外来種の移入事例が報告されているというふうには言っていなくて、考えられるということで、可能性があるという形でお答えしていたんですけれども、ちょっとその意味が、もしこれが事例があるんだというふうにお聞きになってしまったとすれば、少し舌足らずな答弁だったのではないかというふうに考えます。
  55. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、答弁は確かに考えられるということをおっしゃっているんですよ、石原さん。ただ、「ケースがございます」と断定しているんですよ。ムラサキイガイと考えられる、ムラサキイガイとかそういうケースが移入事例としてありますと言っているわけです。だから、バラスト水が考えられるというところはそうなんですよ。ただ、ケースがあると考えられている以上は、具体的に何のケースでこういうお答えをされたんですかということを私聞いているんですよ。
  56. 石原宏高

    大臣政務官(石原宏高君) 済みません、私の「そんなケースがございます」のケースというのは、言い方が悪かったんですけれども、ムラサキイガイのほかにも、日本に入ってくるのはムラサキイガイなんですけれども、さっき言った、外に出ていくような形でワカメとかがあるという話で、ちょっとそのことも含めてケースと言ってしまったので、何というんですか、原因の外来種のケースがあるというふうな意味でこのケースがあるというふうに言ったのではないので、舌足らずで、このことはおわび申し上げたいと思います。
  57. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、これは政務官、そういう思いだったらそれはそれなんだけれども。  これ、議事録見ると、バラスト水が原因と考えられる外来種の移入事例が報告されておりますと言っているわけですよ。ムラサキイガイとかそんなケースでございますと言っているわけですよ。つまり、移入事例が報告されているとはっきり言っているわけなんですね。だから、その具体的な、いつどこで事例が報告されているのかを具体的にお答えいただきたいと私は言っているわけですよ。
  58. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えいたします。  ムラサキイガイにつきましては、被害といたしましては、一九五〇年以降でございますけれども、各地の内湾、岩礁域でマガキやヒジキなどの在来の生物を被覆して死滅させたり、在来の生物群を一変させたりしたということ、あるいは、広島県では大量発生によりカキ養殖場に対しまして被害を与えているというようなことも事例が報告されているところでございます。  また、工場等の取水施設への被害をもたらす種でありまして、発電所におきましてもそういう被害が報告されておりまして、除去費用に数億円を要するというようなことも報告されているというような被害事例が報告されてございます。
  59. 白眞勲

    ○白眞勲君 今日、私、これは補足で質問しているわけじゃなくて、これをメーンテーマとしてやっているわけですから、当然、この被害事例がどういうものがあってということは、私はイロハのイだと思いますよ、今日この委員会説明されるときに、当然これ聞かれるものだと。実際に私は、これ質問通告でちゃんと具体的なものを言ってくださいということを言っているにもかかわらず、こういう形でどんどん時間ばっかり過ぎていくと、もう本当、参っちゃうんですよ。  ちょっとこれ、外務省にお聞きします。福島の原発の事故の関係です。外国から、バラスト水の中に放射能が含まれているかどうか調べたというような報道もあるんですね。その辺、日本政府としては認識されていますか。
  60. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) 本条約におきまして規制対象となっておりますのは、水生生物あるいはコレラ菌や大腸菌などの菌類でございまして、放射能については、このバラスト水に関して規制対象になっていないというふうに認識しております。
  61. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の質問は、そういうバラスト水の中に放射能が入っているかどうかを調べるんだという報道があったんですけれども、その辺については認識されているかどうか、報道についてお聞きしているんです。
  62. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) 報道自体は認識しております。
  63. 白眞勲

    ○白眞勲君 今回、この処理装置で放射能というのは除去できるんでしょうか。
  64. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) 先ほども申し上げましたように、本条約規制に基づいて導入されます浄化装置、これについては、今申し上げましたように、水生生物あるいは菌類について浄化するという装置でございます。
  65. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、除去ができるのかできないのか。確認されていないなら確認されていないというふうにおっしゃっていただきたいと思います。
  66. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) 放射能については、除去するとか、そういうことにはなっておりません。
  67. 白眞勲

    ○白眞勲君 ここでちょっと外務大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、今までの議論を聞いていて、外務大臣、分かりましたか、話、内容。それをまずちょっとお聞きします。
  68. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今の質疑、やり取りの中で、円滑に答弁が進んでおりませんことを大変心からおわびを申し上げます。  その上で、まず、当初、白委員の方からは、御質問としまして、平成十八年三月十七日の政府参考人答弁と、そして本年四月十六日の石原政務官の答弁の矛盾について御質問がありました。  これにつきましては、先ほど来答弁させていただいておりますように、十八年三月十七日の答弁は、バラスト水のみで、これは日本の場合でございますが、それを経路として我が国に移入したことが確実な海産生物というものは確認されていないわけでありますけれども、その後、しかし、船舶によって我が国に移入されたと推定されますところの外来種も存在しており、これにバラスト水が関わっていたということも考えられないわけではございません、こういう答弁になっておりまして、後半の部分等を考えますときに、石原政務官としましては、表現に舌足らずの部分はあったというふうには本人答弁しておりましたが、この部分において整合しているという答弁をさせていただいたということでありました。  そして、その後、環境省の方から十六年の調査について答弁があり、そして、その後継続して行われていないという部分について御指摘があり、やり取りがあったというふうに認識をしております。  是非、この辺につきまして、今後しっかりと分かりやすい答弁を行うよう心掛けたいと存じます。
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 最初から私、外務大臣に聞いておけばよかったと思いましたよ。何かあっちこっちいろいろ聞いてみたけれども、もう一発でまとめてくれたわけじゃないですか。そういう答弁をしてもらいたいんですよね。  そういう中で、ちょっと今の原発の話で聞きたいと思うんですけれども、外務大臣に聞きたいんですけれども、原潜とか空母とか、深刻な放射能漏れ、あるいは原発の事故もそうかもしれないけれども、これ、海水に放射能が流出した場合のバラスト水の問題というのも今後提起できるのではないかというふうに思うんですね。これについて、外務大臣としてはどのように認識されておりますでしょうか。
  70. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、本条約対象には放射能は含まれていないという答弁、先ほど来答弁をさせていただいたとおりでございますが、ただ、この条約の議論とは別に、御指摘のように放射能について関心が高まる可能性はあると存じます。  我が国としましては、こうした部分も含めて、風評被害が広がらないように全力で取り組まなければならない立場でありますので、もし万が一そういった議論が起こったとしたならば、しっかりと科学的な見地から説明する必要も生じる可能性はあるとは認識をいたします。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 ポイントは、今、バラスト水の処理装置のメンテナンスを私は気になっているんですね。つまり、何でもそうなんです、例えば、何か消耗品という方が高く取ったりするんですよね、大体。私たちではプリンターなんかもそうでして、プリンターは安いんだけれどもインク代が高かったりするんです、べらぼうに取られちゃってにっちもさっちもいかないなんというのはよくあるわけなんですけれども。このメンテナンス代、この辺りはどういうふうに認識されているんですか。
  72. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) 装置自身につきましてもメンテナンスにつきましても経費が掛かるものでございまして、船舶会社等に負担が掛かることでございますけれども、その点は国内法で、優遇税制とかそういった点で手当てはしておりますし、きちっと対策が取られるように、確保できるような体制になっているというふうに認識しております。
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、処理装置を買うときはそういう認識をしていると聞いているんですけれども、当然、メンテナンスが発生しますよね。そのメンテナンスも手当てをしているんですか。
  74. 香川剛廣

    政府参考人香川剛廣君) お答え申し上げます。  メンテナンス自身については、特にそういう手当ては国内法的にされておりません。
  75. 坂下広朗

    政府参考人(坂下広朗君) メンテナンスについて御質問がございましたので、お答え申し上げます。  このバラスト水処理装置のメンテナンスでございますけれども、委員から御指摘ありました薬剤等の消耗品の補給が一つございます。また、フィルターの清掃等、日常的に船の上でやるメンテナンスもございますし、また装置自体、定期的に保守をしていく必要がございます。こういったコスト全てがこの装置を購入した後、船舶所有者が負担をしていくべき費用になってまいります。  薬剤について申し上げますと、代表的な例はカルキ、次亜塩素酸ナトリウムでございますけれども、具体的な取替えのための薬剤の価格、私、今手元には持ち合わせてはおりませんが、この薬剤の価格自身が非常に高価なものということではないというふうに認識しております。
  76. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、そういったこともトータルでこれから考えていただきたいと思います。  バラスト水をもっといっぱい聞きたかったんだけれども、ちょっと時間が限られちゃっているので、時間が残ったらまたちょっとやりたいというふうに思っております。  続きまして、南インド洋漁業協定についてお聞きしたいと思いますが、いわゆるIUU漁業、すなわちイリーガル、アンレポーテッド、アンレギュレーテッドと言われる漁業、すなわち違法、無報告、無規制操業する漁業について、この協定では、第六条第一項において、こういった操業をしている漁業に対しては防止措置等が規定されているということですけれども、具体的にこれ防止しようがないんじゃないですかねと思うんですね。この辺り、どうなんでしょうか。
  77. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、六条でこういったIUU漁業について、漁船について、防止し、抑止し、排除するための措置作成し、監視することと定められておりまして、これから締約国会議、この条約締約国会議で決められていくんですが、例えば、ここでいう措置として、操業船の登録制度の確立、これが挙げられるのではないかと思います。  具体的には、事前に登録した漁船のみ協定水域操業を認め、登録されていない非締約国船はIUU漁業に従事する漁船として扱われ得ることとするというのが一つ考えられますし、また、その措置を遵守しない非締約国漁船の情報、これをほかの地域漁業管理機関に通報して、その協定水域以外の港においても非締約国船の漁獲物の水揚げを認めないことを要請するとか、そういったことが考えられるのではないかというふうに思います。
  78. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非こういった、条約した方が損するような感じになってしまったらいけないと思いますので、その辺りをしっかりとこれは対応していってもらいたいなというふうに思うんですけれども。  これとちょっと関連しているんですけれども、最近、カツオですね、非常に不漁であるということを聞いておるんですけれども、実態はどうなんでしょうか。
  79. 遠藤久

    政府参考人遠藤久君) お答えいたします。  日本周辺のカツオにつきましては、最近、漁獲量が減っているというような報道がございます。ただ、これは、独立行政法人水産総合研究センターの情報によれば、太平洋の水温が低いということからこのような状況になっているというふうに聞いております。  一方、太平洋全体の漁獲量につきましては、このところ百五十万トン程度の漁獲が続いておりまして、二〇一二年では百六十五万トン、このうち日本が二十三万トン、インドネシアは約二十五万トン等々の漁獲がされているというふうになっております。
  80. 白眞勲

    ○白眞勲君 日本に来るカツオがもっと何か南の方で大量にどっさり捕られちゃっているから来なくなっちゃったんだというような話もあるんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
  81. 遠藤久

    政府参考人遠藤久君) お答えいたします。  太平洋のカツオ・マグロ類保存管理を行う機関としましては、中西部太平洋まぐろ類保存委員会、これはWCPFCと言っております。そこの科学委員会は、カツオの資源状況につきましては、良好で漁獲状況も適正と評価しているところでございます。  しかしながら、近年、委員指摘のとおり、我が国沿岸域でのカツオ漁獲量は減少しているということから、二〇一一年の資源評価、カツオの資源評価におきましては、我が国の方からこのことを主張いたしまして、資源は良好ではあるけれども、赤道海域における高い漁獲資源の分布域を縮小させ、日本等の高緯度水域への回遊が減少している懸念が生じているというふうにされております。  カツオの資源評価につきましては今年も行われます。我が方としましては、こういった漁獲状況につきまして詳しく説明して、適切な資源評価をできるように対応したいというふうに思っておりますし、こういった状況を受けまして、昨年のWCPFCの年次会合におきましては、カツオ等の熱帯マグロ保存管理措置に関しまして、大型の巻き網の規制を強化すべきじゃないかという認識の下、我が国とそれから大洋州の島嶼国、これが共同提案をしまして、これをベースに議論が行われました。  その結果、カツオを含む小型魚を多く漁獲する巻き網の集魚装置、これ魚を集めるんですけれども、そういったものを使用した操業規制を強化すること、それから先進国の熱帯水域の大型巻き網漁船につきましては隻数を凍結すること、それから熱帯水域の大型巻き網漁船の過剰漁獲能力を削減する仕組みを先進国が今年の年次会合までに作成するというようなことを、そういった措置を採択したところでございます。  したがいまして、我が方としましては、WCPFCにおきまして今後ともカツオ・マグロ資源につきまして適切な保存管理措置が決定されますよう、引き続き努めてまいりたいと思っております。
  82. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、最初の質問では、何か日本近海の水温が低いからだとおっしゃっていて、もう一回聞くと、今度は巻き網云々かんぬんという話をするわけですね。一緒にこれ答えてくださいよ、そういうのは。私、そう思いますよ。やっぱり何か、海のせいにしないで、海水のせいにしないで、そういったものもあるんだということも最初から答えていただいた方が私はいいと思うんですよね。やっぱりしっかりやってもらいたいということをお願いしたいというふうに思うんですけれども。  それで、ちょっとどうしても気になるのは捕鯨の件なんですね。ICJに敗訴した件についてちょっとお聞きしたいと思います、外務省に。この裁判費用はお幾らだったんですか。
  83. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  本件裁判の関連費用、これは平成二十二年度から二十五年度の四年間でございますが、全体で約三億三千五百万円ということになってございます。
  84. 白眞勲

    ○白眞勲君 極めて残念ですよね。  これをもっとやっていきたいんですけれども、時間がどんどん過ぎていっちゃうので、ちょっとこの安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会について、今日、世耕長官もいらっしゃいますし、ちょっとお聞きしていきたいというふうに思います。  法制局長官にお聞きします。  今日の朝日新聞、五月十五日付け朝日新聞に、三月十七日の夕方に非公式ながら安保法制懇があったということなんですけれども、これ、法制局は出席していますか。
  85. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 私どもとしましては、三月十七日に同懇談会が開催されたとは承知しておりませんで、次長の出席の事実もございません。
  86. 白眞勲

    ○白眞勲君 今日にもこの安保法制懇の報告書が提出されるということなんですけれども、世耕長官、この三月十七日にこういった会合が開かれたということは、これどうなんですかね、前に我々のところの答弁では、これ福山委員の答弁では、第六回目が二月六日に開かれて以降は、各委員の間でそれぞれ詰めの議論を行っていただいているということで、集まったなんということは一言もそのときにも言っていないんですよね。ですから、これどういうことなんでしょうかね。ちょっとその辺の経緯について御説明願いたいと思います。
  87. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) あくまでも、集まったのは今年の二月四日ですかね、四日だと思いますが、第六回、集まられていると。その後はいろんな形で委員の間で連絡を取って詰めの議論を行っていただいているということだと思います。  私も、この三月十七日の会合というのは、残念ながら私自身も承知しておりません。ですけど、連絡を取り合って詰めの議論を行うというのは、何もこれ電話に限っているわけではありませんから、お会いになることもあるだろうというふうに思っております。
  88. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、世耕長官も知らないでこういった会合が確認されましたか、これは。今日、内閣官房の方にこれ確認されたんでしょうか、お答えください。
  89. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 私は、ちょっとこの十七日の件について御質問を私が受けるという認識がなかったものですから、確認はしておりません。
  90. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 今、副長官から答弁ありましたとおり、第六回以降に安保法制懇ということでは開催してございませんが、委員の間で詰めの議論を行っていたところでございます。  三月十七日、安保法制懇の委員の方が非公式に集まって報告書の内容について詰めの議論を行ったということは、私どもは承知しておりますけれども、この会合に事務方からは出席したというふうに承知しております。  それ以上の詳細については、お答えすることは差し控えたいと思います。
  91. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと語尾が分からなかったんですが、事務方としては出席したのかしていないのか、ちょっとそれだけお答えください。
  92. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 事務方は出席をしております。
  93. 白眞勲

    ○白眞勲君 内閣法制局長官は出なかったんですね、次長も出なかったんですね、三月十七日は。
  94. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 先ほど御答弁申し上げたとおり、次長の出席はございません。
  95. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、私、昨日かな、昨日の朝日新聞の朝刊には、この報告書の全文を入手したというふうにすっぱ抜かれているんですけれども、そうすると、今日、第七回の懇談会をやるということですよね、副長官。そうすると、昨日のうちにもう報告書が出ちゃっている。それで、今日第七回の、これどういう話合いをするんですか、今日は。
  96. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 昨日の報道がどういう経緯かというのは分かりませんし、その報道を、済みません、私も全文を朝日新聞読んでいるわけではありませんのであれですけれども、今日は、あくまでもやはり報告書を最終的に総理に手渡していただいて、最後の報告書の概要とかそういったことを御報告をいただく場だというふうに認識をしております。
  97. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、これ既にもう報告書はできていて、あとはタイミングを見て出そうとしていたのではないんだろうか。今、三月十七日に会合も開かれたと、事務方も出ていたというふうに言っているわけですよね。つまり、この第七回、今日これから開かれるであろう第七回の議論というのは、単なるアリバイづくりということにもなりかねないなと私は思っているんですけれども。  これ、佐藤委員もこの前、えっ、それで今日記者会見、いわゆる懇談会が、第七回目が開かれた途端、今度はもうすぐに記者会見開かれるんですかと。これ、余りにもちょっと出来レースなんじゃないんだろうか、私、そういうふうに思うんですよね。ちょっとこれは、国民を何かなめているんじゃないかなみたいなふうにも思うんですけれども、これ、どうなんですか、世耕長官
  98. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) あくまでも、この安保法制懇というのは有識者の御意見をいただく会なんですね。これをずっと今まで六回やってきて、そして今回、委員の間で報告書を取りまとめるに至ったので、それを今回、最終的に総理に報告をしていただくという形でありますから、きちっと順を追って進んでいるというふうに思っております。
  99. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務大臣にお聞きします。  この安保法制懇の報告書については事前に御存じでしたか。
  100. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 安保法制懇の最終報告書は、本日、七回目の会合が開かれて総理に正式に手渡されるわけですので、私は、事前に報告書の正本、拝見したことはございません。
  101. 白眞勲

    ○白眞勲君 今日、安保法制懇が開かれた後、四大臣会合が開かれるわけですよね。四大臣会合が開かれてといったって、こうやって委員会やっているわけですから、委員会が終わった途端、多分すぐに四大臣会合みたいになっちゃうと思うんですよ、私。そうすると、その内容も精査しないまま四大臣会合をやる、それでその後すぐに総理が記者会見するというのは、僕は余りにも性急だと思うんですよね。  報告書をいつ読むんですか。報告書って結構分厚いという話もあるんですよね。この報告書をいつ読むんだろうか。朝日新聞読んでいないと、昨日、分からないんじゃないかなというふうにも思うんですけれども、あるいは速読法でもあるんだったら別だけれども。大臣も、この国を大きく形を変えていこうじゃないかという、こういう内容を大臣ろくすっぽ読んでいませんで総理に上がっていくと、私はおかしいと思うんですけれども、外務大臣、どうですか、これ。
  102. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 安保法制懇の議論につきましては、まず、安倍総理は毎回出席をし、その議論に耳を傾けてこられました。そして、私も、この議論につきましては、安保法制懇に外務省から担当局長が毎回オブザーバーとして出席をしてきました。そして、その担当局長を通じまして概要については報告を受けてきました。  そして、今日、それに基づいて最終報告書が出されるわけですが、この最終報告書が出されて、いきなり政府の方針が確定されるわけではなくして、本日、今後の検討の進め方について基本的な方向性が示され、そして政府・与党で議論が開始されるという段取りであると承知をしております。  最終報告書が出たといっても、これをすぐ確定的に受け取り、そして政府の方針が決まるものではありません。是非、これからしっかりとした政府・与党の議論に私も貢献をしていきたいと考えております。
  103. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうはいっても、記者会見をなさるんですよ、今日。四大臣会合は、私、開くのであるならばもうちょっと慎重にやったっていいんじゃないんでしょうか。法制懇の資料が出てきた途端、四大臣、はい集まってください、これですといったら、ああ、こんなに分厚いんですかぐらいで終わりですよ、これは、普通は。今、御覧になっていないというふうにおっしゃっていたわけですよ。  ちょっと事務方に、武藤さん、ちょっと教えてください。三月十七日には総理は出ていたんですか。
  104. 武藤義哉

    政府参考人(武藤義哉君) 総理は出席しておりません。あくまで事務方でございます。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、今までの答弁によると、外務大臣は明確にまだ知らないわけで、その内容については、はっきりとしたものを全部読んでいるわけではないと今おっしゃったわけですから。総理は知っているかどうか分かりませんけれども、結局、総理一人でこういった大事なことを決めているということと私は同じだというふうに思うんですよね。  ですから、そういう中で、この第七回目の会合には、法制局長官、これ、次長は参加するんですか、今日のやつには。
  106. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) オブザーバーとして参加すると理解しております。
  107. 白眞勲

    ○白眞勲君 今まで、長官の私への答弁で、この報告書は法制局の意見を聞かないで作られているというものであるということははっきりとおっしゃっているわけですよね。片や、次長はずっと参加していたと、公式なところには。つまり、法制局がいたことによって逆にこの会議にお墨付きを与えたことにはならないんだろうかと私考えるんですよ。つまり、法制局もいたんだということは記録に残るんですよ。これ、議事録はないんですよ。議事録はないけれども、法制局はいたんだということになったら、その場にいながら、何か報道によりますと、憲法の解釈を変えるようなすごい議論が行われている中で、ずっといるんですよ、法制局が、次長がですよ。  何でこれ、何も言わなかったんですか。何かちょっと憲法違反じゃないですか、そんなことできませんよとか、何でそういうことは次長の口から意見を言わなかったんですか。
  108. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) これは、前回の当委員会で白先生の御質問に対して御答弁申し上げておりますとおり、この安保法制懇の運営でございますが、これを取り仕切っております内閣官房の方からの御要請がございますのでオブザーバーとして参加をしていると。ただ、意見を述べるとかそういう機会はないということでございます。
  109. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは、内閣官房ですか、内閣官房の方から意見を述べてはいけないということが言われたんですか、言われていないんですか、どっちですか。
  110. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 私はその場にいたことはございませんので、どういう御指示が具体的にあったのかということを全てつまびらかにしているわけではございませんけれども、意見を聞かれていないと。そういう立場ではなくて、オブザーバーとして聞いておれということだと理解いたしまして、そのように行動してきているというふうに解釈しております。
  111. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、聞いていろと、まあはっきりとは分かりませんがという、一応それを付けたとしても。おまえは席にいて聞いていろということになったら、聞いていながら、そこにいたということだけが事実として残ってしまうじゃありませんか。そうでしょう。  つまり、安保法制懇という私的なそれは懇談会なのかもしれませんよ。だけれども、憲法の解釈を変える変えないという大きな議論をしているときに、法制局の担当者がいて、そこにいてしゃべるなということになっているんだったらば、それはちょっとおかしいんじゃないですか。これは法制局長官、これ、何かちょっと、いたくないでしょう、そういうところに。どう思われますか、それをちょっとお聞きしたいんですけど。
  112. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 内閣法制局と申しましても、これは別に超然たる機関ではないわけでございまして、内閣の一部局でございます。内閣官房の方から御要請があり、それに従って行動しているということかと考えます。
  113. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) これは内閣官房の方から要請して、法制局には次長に出席をしてもらっています。我々の方からは、別に、出てしゃべるなとか、そういうことを言っているという事実もありません。  しかし一方で、この安保法制懇というのは、あくまでも総理が有識者の皆さんの御意見を聞かせていただくという場であります。だから、私も出席していますが、私も一回も発言をしたことはありません。そういう場であります。  法制局にはよくその議論を聞いておいていただいて、そして、今日報告書が手渡された後、政府としてどのように検討していくかということを、しっかり方針を、基本的方向性を示した後、法制局の意見をそこでじっくり聞いて、踏まえていって、そして政府としての対応を検討していくということでございますから、法制局はここからしっかりと意見を言ってもらうということになろうかと思います。
  114. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、そうはいっても、そこにいらっしゃって、それで意見を言うなということはないということであるならば、言ったっていいわけでしょう。言ったっていいのに言わなかったということですよね。そういうことじゃありませんか。  だから、それで、議事録がないんですよ、議事録が。そうすると、法制局は、そこにいたけれども、いたということになると、これは逆に言うと、外から見た場合にはお墨付きを与えたことになりませんかということになりはしないかということなんですよ。だから、それは幾ら世耕さんが首を横に振ったって、我々がどう思っているかですからね、それは。それを考えているんですよ、私は。  だから、法制局長官、これ、どう思われますか、まずそれを聞きましょう、それじゃ。
  115. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) これは、先ほどから申し上げておりますとおり、内閣法制局内閣の一部局でございまして、その職務というのは設置法に基づいて行うということでございまして、本件との関連においては、内閣法制局設置法第三条三でございますが、法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対して意見を述べることと。それで、総理大臣は度々国会で御答弁なさっておりますとおり、安保法制懇の報告書をまず受け取って、その上で内閣法制局の純粋に法律的な観点からの意見を聞くのだと、こうお述べになっているわけでございますから、その方針に従って行動をするというのはごく当然のことではないかと考える次第でございます。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 平成七年の十一月二十七日の参議院宗教特別委員会での当時の大出法制局長官の答弁で、ちょっと読みますけれども、「特に、国会等における議論の積み重ねを経て確立され定着しているような解釈については、政府がこれを基本的に変更することは困難であるということでございます。」というふうに答弁されています。  小松長官、ちょっとお聞きしたいんですけれども、今まで、集団的自衛権と憲法との関係については、もう以前、当委員会にもこんなに頭の体操の文書がありますというぐらいいっぱいあるわけですよ。さんざん議論されていますよね。つまり、これこそ国会等における議論の積み重ねを経て確立されて定着しているような私は解釈だと思うんですけれども、どう思われますか。
  117. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 国会において議論が積み重ねを経た重要な問題であるというのは議員の仰せのとおりだと思います。  そこで、度々私もこの国会で御答弁申し上げておりますように、これは大出法制局長官よりもかなり後であると思いますけれども、平成十六年に島聡衆議院議員から提出されている質問主意書がございまして、内閣の憲法解釈というものは変えられるものなのかという御質問があって、これに対して、ここで長々とまたそれをそのまま読み返すことはいたしませんけれども、国会における議論等が積み重なっているような重要な問題については、その点も十分に勘案して慎重に検討をした結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと、こう述べているわけでございまして、ただいまの御質問に対するお答えはそういうことになろうかと思います。
  118. 白眞勲

    ○白眞勲君 この議論はまだ進めさせていただきたいと思います。  時間が来ましたので、大変恐縮でございますが、この辺りで締めさせてもらいますけれども、今日は国交省さんからも参考人の方々、申し訳ございませんでした。バラスト水関係でいえば、今、韓国のセウォル号がこのバラストの問題で、バラストと過積載の関係で大きな事故の原因にそれがあるのではないかと、その辺についてもありますけれども、安全性については、これは人ごとではないというふうに思いますので、是非御注意を申し上げて、今日はこれで終わりにします。
  119. 石川博崇

    ○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。時間もありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  まず、バラスト水規制管理条約についてお伺いをしたいと思います。  先ほど来、御質問等にもありましたとおり、このバラスト水管理規制をいかに行っていくのか、国際社会において長年の課題でございました。一九八〇年代後半から外来種の海洋生物等による被害が世界各地で多く報告されるようになったことを背景にIMOにおいて提起され、その後、こうした有害海洋生物の越境移動防止を最優先課題の一つと位置付けられて、海洋環境保護委員会を中心として長年にわたって議論が行われてきたわけでございます。その結果、時間は掛かったわけでございますが、二〇〇四年の二月にIMOの主催によってロンドンで開催された国際会議で採択をされたという経緯がございます。  日本は、言うまでもなく海洋国家でございます。主要な海運国として、IMOにおいても、設立以来、加盟国かつ理事国として海事関係における国際的な制度策定にリーダーシップを発揮していく、そういう立場にございます。また、海洋環境の分野におきましても積極的な役割を果たしていかなければならないというふうに思っております。  先ほどの質疑にもありましたとおり、我が国においてもムール貝の被害等によってカキの養殖に大きな影響が出ているという、我が国漁業、養殖をやっていらっしゃる方々にも大きな影響が出ているという中で、この議論に参加されてこられて、今回、締約国となる国会の審議が行われているというふうに認識をしておりますが。若干、私自身、これまでの経緯を学ばせていただいて思いますのは、今このタイミングで締約国になるという日本の対応が少し消極的と見られるおそれがあるのではないかというふうに感じております。  先ほど申しましたとおり、この協定バラスト水規制管理条約は二〇〇四年に採択をされているわけでございます。また、この課題自体は一九八〇年代からずっと続いてきた、日本はIMOでも議論をしてきた。にもかかわらず、今になってこの条約の締約国になろうというのは、主導的立場を積極的、能動的に果たさなければならない日本としていかがなものかというふうに思うわけでございます。  ともすると、うがった見方をすると、この条約が間もなく発効されるタイミングになっていると。発効されると、発効までに日本が入っていないと、船舶条約上の国際証書の発給を受けられなくて、締約国の港で抑留される等のおそれが高まるという、発効になると自国が不利益を被る、その直前になってようやくこの条約の締約国になろうというのは、日本の海事分野、あるいは海洋環境におけるルールメーキングのリーダーシップを発揮していかなければいけない、外交力を発揮しなければならない日本としての対応としていかがかというふうに思いますが、この点について外務省の認識を伺いたいと思います。
  120. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 当条約につきましては、委員、今御指摘になられましたように、二〇〇四年二月に作成されました。しかしながら、当時はこのバラスト水規制管理に関する技術の開発、十分に進んでいなかった。さらには、IMOにおいてこの規制実施の詳細を定めるガイドライン類の作成が進んでいなかった。こういったことから、各国によるこの条約締結、進んでおりませんでした。  また、このバラスト水処理装置の船舶への搭載期限に関する規則、これによりますと、その搭載期限、当初二〇〇九年とされていましたが、この条約発効自体が当初の想定より遅れたことによって、その期限をそのまま実施すること、これは非現実的なものになってしまいました。こういったことから、我が国は、国内の海運業界あるいは舶用工業会等の受入れ体制等、広範な検討を進めつつ、ただいま申し上げました搭載期限の問題について、IMOにおいて解決に向けた議論、これを主導してきた次第であります。  そして、ようやくこの期限の問題につきましては、二〇一三年十二月、IMOの総会決議によりこの搭載期限に一定の猶予期間が認められる、こういった形で解決が図られた次第であります。これが昨年の十二月ということでありました。また一方、国内法令の整備を含む我が国の国内実施体制についてもめどが立った、こういったことでありました。そして、今般、この条約締結について国会の承認をいただくお願いをしているということであります。  こういった経緯をたどっておりますので必ずしも受け身であったとは考えてはおりませんが、我が国としましては、主要な海運国であります、是非、海事関係の国際的なルールについては今後とも積極的に取り組んで貢献をしていきたいと考えております。
  121. 石川博崇

    ○石川博崇君 大臣、おっしゃることは分かります。しかし、私が申し上げたいのは、様々な課題は確かにありました。処理技術がなかなか進んでいない、あるいはガイドラインの策定もなかなか進んでいない。だからといって、じゃ、締約国にならずにそれを待ち続けていたということではなく、積極的に締約国になり、このガイドラインの策定に関する議論であったりとか、あるいは処理技術の促進に対しての技術面での、特に日本はこうした浄水分野、世界の中でも冠たる技術を持っているわけでございます。世界をそういう処理技術の分野でもリードしていく、そういう旗振り役を果たせたのではないかというふうに思っております。  先ほど大臣からありましたとおり、処理装置の設置期限についても、元々は、例えば二〇〇九年より前に建造された船舶については二〇一五年が設置期限になっておりまして、これが現実的ではなかったというお話でございましたけれども、それを現実的にする方向で本来は、もっと加盟国の例えば締約国数を増やしていくですとか船腹量を増やしていくですとか、そういった方向で日本がリーダーシップ、主導的、能動的に外交を展開すべきなのではなかったかなというふうに思っております。  今回は、そういったことに様々時間が掛かった結果、結局、我が国もこの条約締結に当たっては留保を付さざるを得ないという状況になっております。すなわち、処理装置の設置期限については、二〇一五年までに全ての船舶に対して処理装置を付けなければならないというのは、もう今の時点では確かに現実的ではございません。その観点から、IMO総会で決議された内容に従って対応するという留保を付しているわけでございますが、本来であれば、こういった留保を付さなくてもこの元々の条約で定められている設置期限に日本船舶についてもちゃんと処理装置が設置される等、そういったことも指導しておくべきなのではなかったかというふうに思っております。  国交省にお伺いしたいんですけれども、そういう意味で、処理装置の設置期限が今間に合わないということになっておるわけでございますが、そういった取組をこれまでいかに行ってきたのか。あるいは、今現状で、この条約加盟するに当たって日本船舶が、条約規制対象となる船舶については処理装置を設置しなければならないということになるわけですけれども、今現在、現段階で日本船舶はどの程度こうした処理装置が設置されているというふうに認識されているのか。また、設置されていない船舶については今後可及的速やかに設置していく必要があるわけでございますが、どういうスケジュールで設置されていくことが見込まれているのか。その点について御答弁をお願いいたします。
  122. 坂下広朗

    政府参考人(坂下広朗君) お答えいたします。  まず、この条約の実施体制の整備がどういうふうに進んできたかという点についてまず最初にお答えをいたします。  この条約、二〇〇四年に採択をされたわけでございますけれども、バラスト水の処理装置に要求されます技術基準、これは、条約の採択によって初めて国際的に確定するということになりました。したがいまして、このバラスト水処理装置を製造、販売していこうとするメーカーは、この基準の確定を待って、そこから製品の開発に掛かっていくということになりました。各メーカーは、この基準に適合する処理装置の開発を進め、製品化のめどを得て主管庁、各国の政府の承認をその上で取って、それで生産体制を整えてきたというのが現状でございます。  世界におけます処理設備の各国政府による承認の取得状況でございますけれども、二〇〇八年、条約ができ上がってから四年後でございますけれども、ここで初めて四型式が承認を得たというところからスタートしておりまして、現時点で六年が経過をして、世界で三十五社、四十一型式の処理設備が承認をされているという状況になっております。このうちの三十型式は二〇一一年から二〇一三年、ここ三年間承認をされたものになっておりまして、そういう意味で、近年になって国際的な供給体制が整って条約の実施体制が整ったという状況になったというわけでございます。  我が国がこの間どういうことをやってきたかという点については、我が国としても、処理設備の開発の支援でございますとか、あるいは条約が合理的に世界的に実施できるように猶予措置をどういうふうに設定すべきかということについては、先ほど外務大臣から御答弁がございましたけれども、外務省とともに世界各国にも提案をして、猶予措置の決議の策定について世界をリードして、現実的な実施体制を早く整備するということで努力をさせていただいた次第でございます。  もう一点、我が国におきますバラスト水処理装置の設置状況でございますけれども、この処理装置の設置義務の対象となります日本籍船は約三百四十隻ございます。このうち二十隻程度が既に処理装置を設置してございます。  国交省では、この条約の実施に先行しまして処理設備の予備的な承認を行っておりますけれども、現在、十社十一型式が承認済みでございます。このうち日本メーカーの処理設備は五社六型式というふうになってございます。この供給能力だけで年間二千台というふうになっておりまして、国内におきましても十分な供給体制というものは既に確保できております。  三百四十隻のうち二十隻がもう既に取り付けておりますので、これから約三百二十隻の日本籍船が、条約の発効後最初に到来する定期検査までの間にこの設備を取り付けていくということになりますが、最大五年間の猶予期間内で問題なく取付工事ができるような体制が整っておるという状況でございます。
  123. 石川博崇

    ○石川博崇君 三百四十隻中二十隻取り付けているということでございますけれども、まあ二十隻しか取り付けられていないということで、今回留保を付さざるを得ない状況で、五年以内に設置をしていただくということでございます。  本来、この条約、いずれ発効することはもう目に見えていたわけでございます、それはもう時間との勝負でして。それを日本として、先ほど、もう何度も繰り返しませんが、やっぱり海事分野あるいは海洋環境において積極的なリーダーシップを発揮する我が国が、この条約がもう発効することが目に見えている中で、処理技術の進展であったりですとか、あるいは各船主さんたちの御協力を得て設置を前もって進めていく、その中で各国の締約国数も増やしていく、船腹量も増やしていく、そういう働きかけをしていくべきだったのではないかという御指摘でございます。  その意味で、今後、是非、締約国となった暁には、我が国としてこの船舶バラスト水規制管理条約をより効果的、効率的に国際社会で展開していくようにしていく必要があると思いますが、まずは、発効を目指して、より船腹量を増やしていくということが重要でございます。  特に、今はまだ締約国になっていないパナマが締約するかどうかということが非常に注目されているわけでございますが、このパナマが締約するかどうかは日本にとっても非常に大きな影響がございます。日本の商船隊のうち約七割が便宜置籍船、パナマ船籍として運航されているわけでございまして、このパナマが実際に締約国にならなければ、日本の商船隊でパナマ船籍である商船隊は、実際問題、この条約上の国際証書の発給を受けられなくなって不利益を被るということになってまいります。  そういう意味で、このパナマが一日も早く条約締結するということを日本としてもしっかりと働きかけていただきたいと思いますし、また、このパナマが入ることになりますと、パナマは全世界の商船船腹量の二〇%を超える船隻を保有しておりますので、パナマが入った瞬間に発効するという、瞬間というか、入った後一年で発効するということになろうかと思いますから、その発効ももう差し迫った状況になるということでございます。是非、そのことも踏まえて、日本に最大限の指導力を発揮していただきたいというふうにお願いをさせていただきたいと思います。  時間もありませんので、続きまして南インド洋漁業協定についてお伺いをさせていただきたいと思います。  この南インド洋漁業協定につきましても、正直申しまして、先ほどのバラスト水規制管理条約と同じような感想を、御説明をお伺いしたときに抱きました。といいますのも、この南インド洋漁業協定につきましても、発効したのは二〇一二年の六月でございまして、第一回の締約国会合は二〇一三年の十月に既に開催をされております。先ほど、三木先生からの御質問に対する答弁でもありましたが、日本の漁船がこの南インド洋キンメダイ漁業を始めているのは、二〇〇九年から既に始めているんですよね。二〇〇九年から既にインド洋におきましてキンメダイ漁業を行っていて、かつ、この南インド洋漁業協定についての議論が国際社会で行われていることも日本政府は十分承知をしていたと思います。  さらに、発効後、第一回締約国会合、これはオブザーバーとしては参加しておりますけれども、これが行われているにもかかわらず、我が国は締約国でなく、この会合に正式なメンバーとしては参加できていない状況でございます。  それで、なぜ今になって日本としてこの南インド洋協定の締約国になる国会審議をしているのかというふうに問われると、うがった見方をすると、これもですけれども、来年二〇一五年三月に第二回の締約国会合が行われる予定になっておりまして、もしこの本協定加盟国、正式な加盟国になっていなければ、この第二回の締約国会合で決められると言われております保存管理措置等の議論に参加できないと。実際に不利益を被る可能性があるという直前になってようやくこの国会審議の手続を行っているということは、日本漁業に携わっている方々の利益、国民の経済的な利益に直結する課題であるにもかかわらず、また、こういう漁業大国日本として、本来はこの協定のそもそもの議論、それから発効に当たっての手続、あるいは第一回締約国会合から加盟国として本来堂々と参加しておくべきだったのではないかというふうに思うのですが、不利益を被るかもしれないその直前になって加盟国になっていくという在り方は、日本の外交の姿勢としてやはり能動的、主体的に行っていただきたいというふうに思いますが、この点、政府の御認識をお伺いしたいと思います。
  124. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 本協定、ただいま委員からも御指摘ありましたが、二〇〇六年に採択をされました。まず、この二〇〇六年時点で我が国協定対象水域において操業実績ほとんどないという状況にありました。そういった状況にありましたが、その後、二〇〇九年から本格的な操業我が国は開始をしたということでありました。そういったことから、協定発効後、二〇一三年十月の第一回締約国会議、これには我が国としましては、まずはオブザーバーということで参加したということであります。  第二回締約国会議、二〇一五年三月に行われることが確認をされていますが、今回、国会の承認をお願いしております。是非、承認をいただき、その上で、責任ある漁業国として漁業資源保存管理に係る国際秩序の維持発展にしっかりと貢献をしていきたいと考えております。  是非、この承認に向けての審議をよろしくお願いしたいと存じます。
  125. 石川博崇

    ○石川博崇君 大臣、今おっしゃったその二〇〇六年採択というのは、その当時には漁業を行った実績がなかったというのはそのとおりなんですけれども、この協定が採択されたのはたしか二〇〇六年なんですが、発効されたのは二〇一二年でございます。  この二〇一二年に発効された時点では、先ほども申し上げましたとおり、二〇〇九年以降、日本キンメダイをこの地域で捕っているわけでございまして、その二〇〇九年以降、できるだけ可及的速やかにこの条約加盟国となっているべきだったのではないかというのが私の指摘でございますし、また、第一回会合、二〇一三年にはオブザーバーでしか参加できていない、第二回の会合は、この漁業管理措置を決めるというその前段階になって、何かこう後から、このままでは日本が締め出されてしまうということを恐れて、不利益を恐れて入るような姿勢ではなく、積極的にこういった漁業分野あるいは海事分野あるいは海洋分野におけるルールメーキングに参加していこう、主導していこうという姿勢があるのであれば、当初から旗振り役として参加しておくべきだったのではないかということを、これはこの協定に限らず、様々な今後の国際社会における国際交渉において是非そういった外交姿勢を貫いていただきたいというお願いでございます。  その上で、今後、来年の三月に行われる締約国会合に向けて保存管理措置の実質的な議論が開始されてまいります。もしかしたら、もう締約国の間で水面下で様々な交渉行われているかもしれません。こういった中でどう日本が関わっていくのかというのが極めて重要でございます。日本は、様々な他の海域における知見あるいは漁業資源管理についての技術等も豊富な経験がございますので、是非積極的に貢献していただきたいというふうに思っておりますが。  協定に基づいて科学委員会というものが設置されて、この科学委員会対象海域における漁獲状況等を踏まえた議論、科学的な知見共有を行っていくというふうに認識しておりますが、この活動に対してどのように貢献していくことになるのか、これは農水省でしょうか、御説明をお願いいたします。
  126. 遠藤久

    政府参考人遠藤久君) お答え申し上げます。  我が国は、科学的根拠に基づきまして国際的な漁業資源の持続的利用を行っていくということが重要と考えております。この認識の下に、様々な地域漁業管理機関の科学委員会に対しまして、科学的なデータを提供するだけではなくて、我が国から科学者を出席させまして資源評価等に関する議論に積極的に参加しているところでございます。  この南インド洋漁業協定の科学委員会におきましても、締約国となれば、我が国の科学者を出席させ、積極的に議論に参加することを通じて協定水域資源管理に貢献してまいりたいと考えております。
  127. 石川博崇

    ○石川博崇君 この科学委員会で実質的に様々なデータ等管理することになると思いますので、是非ともお願いしたいと思いますし、また、もう一つ、日本としてこうした、今後、保存管理措置の交渉に当たって使えるツールは最大限使っていただきたいというふうに思います。  特にこの南インド洋漁業協定につきましては、他の協定よりも増して開発途上国に対する支援の項目、第十三条が規定をされております。我が国は、一九七三年以来、水産無償資金協力のスキームを通じた、こうした漁業国、水産業の振興、資源管理のための協力を行ってきておりますが、ここ数年、この水産無償、総額として減少傾向にありました。昨年度は若干伸ばしていただいたようでございますが、こうした水産無償のスキームを使い、この保存管理措置の交渉にも資するような、日本の、取るべきものは取り守るべきものは守っていくというツールの一つとして活用していただきたいと思いますが、この点、いかがでございましょうか。
  128. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 開発途上国に対する水産分野の支援、これは水産資源の持続的利用、また我が国開発途上国との間の友好関係の構築、こういった観点から大変重要だと認識をしております。このため、我が国は、一九七三年以来継続して水産無償資金協力、これを実施しておりますが、開発途上国の水産分野における支援ニーズ、これは引き続き高いものがあると認識をしています。昨平成二十五年度については約三十七億円と、近年では最も多い協力を実施しているところであります。  ODAの戦略的活用の観点から、この無償資金協力に期待される役割は大変大きいと考えております。是非必要な予算を確保し、着実に水産分野におけるこの案件形成、進めていきたいと考えております。
  129. 石川博崇

    ○石川博崇君 時間が来ましたので終わります。  ありがとうございました。
  130. 小野次郎

    小野次郎君 日本維新の会・結いの党の小野次郎でございます。  今日は、まずバラスト水関係条約の方から御質問させていただきます。  まず、バラストという言葉も、私も余りこの条約がかかるまではよく知らなかったぐらいですけれども、このバラスト水というのが船舶の運航安全に果たす機能について、国土交通省の方から御説明いただきたいと思います。
  131. 坂下広朗

    政府参考人(坂下広朗君) お答えいたします。  バラスト水につきましては、おもしとして船のタンクに入れる海水のことをバラスト水というふうに申します。委員からは、船舶の安全運航上のバラスト水役割とは何かという御質問をいただきました。  このバラスト水役割でございますけれども、一つ目は、バラスト水を船の中に取り入れることで船の重心を下げて転覆しにくくすると、こういう機能がございます。また、もう一つの機能でございますけれども、船が貨物を荷揚げいたしますと、非常に軽くなりまして、プロペラが水面上に出るまで船体が浮き上がってしまいます。プロペラが上に出ておりますと次の積み地に航行するにも非常に不自由でございますので、おもしとしてこの水を船に取り入れて、船を少し沈めて、プロペラがちゃんと水面の中に入るようにして積み地に向かう航行を容易にするというような役割もございます。この二つ役割バラスト水役割ということになります。
  132. 小野次郎

    小野次郎君 大変重要な役割を果たすものだということが分かりました。  さっき同僚議員が最後にちょっと触れていたので、通告はしていませんが、もし分かれば分かる範囲でお答えいただきたいのは、あのセウォル号の事件ですけれども、過積載の問題が報道では毎日のように言われているんですけれども、この船がバランスを失った原因の中にこのバラスト水の処理というか管理が問題として含まれていた可能性も排除されないということなんでしょうか。
  133. 坂下広朗

    政府参考人(坂下広朗君) ただいま御質問のございました韓国におけるフェリー、セウォル号の転覆事故でございますけれども、現在、事故の原因については韓国政府においてその究明が進められているというところかと思います。そういう意味で、何が原因であったのかというところについては必ずしも現時点ではつまびらかにされていないというところかと思います。ただ、新聞報道によりますと、過積載と、それからおもしとして入れていたバラスト水を排出していたのではないかという報道があるということは私どもも承知しております。  船舶の安全でございますけれども、先ほど申し上げました船舶が転覆しにくいように確保するということでございますが、これ、船の安全確保の大変重要な要素の一つでございます。船舶が転覆しないようにするために一定の安全基準が大体設けられておるところでございまして、それによって、積荷の量でございますとか、あるいは船の重心の位置と船に働く浮力の関係をきちんと整理をして、船が転覆しにくいという状態を確保することになってございます。  当然、荷物を許される限界よりたくさん積みますと重心が上がる、これは転覆しやすくなる要因の一つでございますし、また、おもしとして搭載するバラスト水というのは、そういうものに対して船の重心を下げるという効果を持っておりますので、それを排出してしまうということは、これまた船の重心を上に上げてしまう、両方とも船が転覆しやすくなる方向の行為であるということは一般的に申し上げることができようかと思います。
  134. 小野次郎

    小野次郎君 重大な事故であり、また調査中ですから、余りこれ以上推測で議論を続けることは慎みたいと思いますが、よく分かりました。  それでは、今度は環境省にお伺いしますけれども、このバラスト水の問題で、港湾、港ですかね、停泊地周辺の海洋環境あるいは経済社会に与える影響について、もう一度実例を挙げて御説明いただきたいと思います。
  135. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えさせていただきます。  我が国におきまして、バラスト水が原因の一つと考えられている外来生物の代表的な被害といたしましては、地中海原産のムラサキイガイによる事例がございます。ムラサキイガイは一九三二年に神戸港で初めて生息が確認され、現在ではほぼ全国に分布を拡大しております。岩などに密集して固着するために、マガキなどの在来生物と生息場所をめぐって競合し、在来生物を駆逐するなどの被害が発生しておるところでございます。また、発電所などの取水施設に付着いたしまして施設の稼働率低下を引き起こす等の問題やカキ養殖への被害が発生しており、防除に多額の費用が発生しているという状況にございます。  一方で、我が国から海外に移入されたと考えられている生物による被害の事例もございます。代表的なものといたしましては、日本や朝鮮半島など北アジア原産のワカメがありまして、一九八〇年代にニュージーランドやオーストラリアへバラスト水などによって運ばれたと考えられておりまして、カキなどの養殖籠に付着いたしまして収量の低下を引き起こすなどの漁業への被害を及ぼしている事例が報告されているところでございます。
  136. 小野次郎

    小野次郎君 ムール貝も昔は何か日本にはなかったということですけど、どこかで僕は国産のムール貝の料理を食べたことがあるので、食べられるようになったという面もあるのかなと思っていますが。  もっと深刻な話はないのでしょうかね。今のワカメの話とムール貝の話は分かりましたけれども、何か種の保全などにとって致命的な影響が出ている事例というのはあるのでしょうか。
  137. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、一九五〇年代以降、ムラサキイガイによる被害というものが報告されてございます。生態系の関係からいいますと、各地の内湾、岩礁域で、これは漁業被害とも関連いたしますけれども、マガキやヒジキなどの在来、つまり元から日本にある生物の上に被覆して死滅させまして、在来のその地域におきます生物群相を一変させてしまうというふうなこともございますし、先ほど申し上げましたように、漁業被害におきましても、カキ養殖業に対しましてこれは多大な被害を与えていると。また、工場等の取水施設等への汚損被害をもたらすものでありまして、発電所一基当たりの除去費用に数億円を要するというようなことも報告されているところでございます。
  138. 小野次郎

    小野次郎君 それでは、水産庁にお伺いしますけど、最近テレビなんかでも紹介されていますけど、ホンビノスガイというんですか、水産庁、来られていますよね、何か江戸前のネタになってきている、使われるようになってきているとまで言われているんですけれども、このホンビノスガイの生息範囲、あるいは近年における我が国での漁獲量というか水揚げというのか、どれぐらいの量になっているのか。これが果たしてバラスト水を経由しての外来種の日本への持込みということなのか、その関連性について御認識をお伺いしたいと思います。
  139. 遠藤久

    政府参考人遠藤久君) お答え申し上げます。  ホンビノスガイでございますけれども、我が国周辺水域全体における生息域、それから漁獲量、これについては残念ながら把握しておりません。ただし、千葉県の東京湾の漁場、これがありますけれども、平成二十一年以降、毎年約五百トンから約八百トンの漁獲量があるというふうに聞いております。また、青森県では太平洋側の漁場漁獲されているというふうに聞いておりますが、漁獲量は把握されていないとのことでございます。  それから、ホンビノスガイの侵入経路につきましては、バラスト水に紛れて侵入したという説とか食用目的に持ち込まれて捨てられたという説があるというふうに聞いておりますけれども、明らかになっていないというふうに承知しております。
  140. 小野次郎

    小野次郎君 分かりました。  次に、これは環境省になるのか国交省になるのか分かりませんが、このバラスト水の衛生基準というんでしょうか、環境基準について教えていただきたいのと、もう一つは、それをどういう仕組みというかからくりで実際に実現していくのか、適用していくその仕組みについても御説明いただきたいと思います。
  141. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えいたします。  バラスト水の排出基準につきまして私の方から御説明させていただきます。  船舶バラスト水規制管理条約におきましては、一定規模以上の船舶から排出されるバラスト水におきまして、プランクトンなど水中に生息する生物でありますとか大腸菌などの病原菌に対しまして排出基準を設けるというようなこととしているところでございます。また、そのバラスト水排出基準を満たすために、船舶バラスト水処理装置を積載することというふうにしております。これらの措置によりまして、バラスト水を介しました生物や病原菌の移動を防ぐよう環境省としてもしっかり対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  142. 坂下広朗

    政府参考人(坂下広朗君) 委員から、排出基準と、環境基準とそれからその適用の方法をどうするのかという二点、御質問ございまして、排出基準につきましては、環境基準につきましては今環境省の方からお答えを差し上げたところでございます。また、適用方法、すなわち規制の方法でございますけれども、このバラスト水中の生物を殺滅する処理設備の設置を義務付けをいたしますとともに、未処理のバラスト水の排出を禁止するというのが大きな規制の中身になってございます。  また、この処理設備がバラスト水中の生物を先ほど環境省から御説明をした排出基準未満まで殺滅する能力を持っているのかどうか、あるいは船舶にこの処理設備が適切に設置されているのかどうかといったような点について、国において確認を行ってその実効性を担保するという方法で規制を行うことにしております。
  143. 小野次郎

    小野次郎君 今日、私は外務省に本条約に対する我が国の留保の内容と趣旨というのをお伺いをするつもりでおりましたけど、同僚議員が同じ趣旨の質問をもうされましたので省略させていただきます。  それでは次に、自衛隊法九十五条の武器等防護のための武器使用についてお伺いいたします。  これは防衛省にまずお伺いしますが、この九十五条の武器使用というのは我が国の領域外又は外国領域内にある場合にも武器使用が認められる趣旨なのか、お伺いしたいと思います。
  144. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。  今委員指摘の自衛隊法第九十五条の規定によります武器の使用につきましては、自衛隊の武器等という我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を破壊、奪取しようとする行為からこれらを防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為でありまして、それが我が国領域外で行われたといたしましても憲法第九条第一項で禁止された武力の行使に当たらないというのが従来政府が申し上げているところでございます。
  145. 小野次郎

    小野次郎君 確認のためにお伺いしますけど、何かあの条文を読むと、この武器を、管理しなさい、守りなさいと言われた武器に対してそれを守るためにも読めるんですけど、私が聞きたいのは、そうすると、自衛官が職務上自ら持っている小型武器みたいなもの、あるいは、当然なんですね、海上自衛隊や航空自衛隊の場合は乗ったりする飛行機や艦船ももちろん武器になるわけですけれども、そういうふうに自分が乗っているというものとか自分が持っているというものもこの守るべき武器であり、また武器使用によって守るべき武器として考えることができるということですか。
  146. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。  武器を使用できるのは、職務上武器等の警護に当たる自衛官に限られているところでありますけれども、その職務上の警護対象である武器につきましては、今先生が御指摘のような、例えば乗っている護衛艦とかそういうものも含まれるところでございます。
  147. 小野次郎

    小野次郎君 通常はあり得ないかもしれませんが、例えば船とか大きいものになれば、自分の担当は機関の方で、別に武器等の警護をするという任務とは言えないような職務の方もいると思うんですけれども、そういう方も含めて、自らが乗っているもの、自らが持っているものというのは当然警護すべき責任があるという前提で理解していいんですか。
  148. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。  今委員は、例えば護衛艦ということで御指摘いただきましたけれども、例えば護衛艦というような場合には、乗員全てがその警護に当たるわけではございませんで、警護するべき自衛官として指定された者がいるということでございます。一部の自衛官がその警護の任務に指定されるというふうに御理解いただければというふうに思います。
  149. 小野次郎

    小野次郎君 一つ前の質問で、また疑問が出てきたんですが、そうすると、例えば小銃とか機関銃とかを持っているという、一人の兵士として持っているという状態のそのものを奪われそうなときというのはこの対象になるんですか。
  150. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) 状況によりますけれども、そのような形で武器等の警護の任務が付与されることも理論的にはあり得るところでございます。
  151. 小野次郎

    小野次郎君 そうすると、あらかじめ任務が付与されていないと、通常は、逆に言うと適用されないということですか。
  152. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) あらかじめ武器等の警護任務を与えられた自衛官が九十五条の武器使用ができるというふうに御理解いただければと思います。
  153. 小野次郎

    小野次郎君 ありがとうございます。  それでは、次の質問に入りますが、この武器使用というのは、さっき憲法九条にも反しないんだとおっしゃられましたけれども、つまり、相手が国又は国に準ずる組織であっても憲法上の問題はないと理解してよろしいということですね。
  154. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) 御指摘のとおりの御理解で結構でございます。
  155. 小野次郎

    小野次郎君 では、次の質問に移りますけれども、これは内閣府にまずお伺いしたいと思いますが、PKO法の二十四条の武器使用ですけれども、自己保存のための自然権的権利というふうに理解されている、そして相手が国などであっても憲法上の問題はないという説明をされていますけれども、一方で、駆け付け警護については、任務に対する妨害を排除するための武器使用であって、これは憲法九条が禁ずる武力行使に該当するおそれがあるというふうに区別して説明されているんですけれども、一方は問題ないんだ、一方は問題になるおそれがあるんだということで区別されている理由をお伺いしたいと思います。
  156. 高橋礼一郎

    政府参考人高橋礼一郎君) PKOに派遣された自衛官自身の生命又は身体の危険が存在しない場合に、当該自衛官の所在地から離れた場所に駆け付けて国連PKOの文民要員等を防護するというようなことや、あるいはPKOの任務に対する妨害を排除するために武器を使用するというようなことは、言わば自己保存のための自然権的権利というべきものの範囲を超えるものであって、このような武器使用を国又は国に準ずる組織に対して行った場合には憲法第九条の禁じる武力の行使に当たるおそれがあるという指摘がされております。  他方、例えば仮に相手方が単なる犯罪集団であることが明白な場合等、これに対する武器使用が国際紛争を解決する手段としての武力の行使に当たるおそれがない状況を前提にできる場合には、憲法上はそのような武器使用が許容される余地はあるということでございますが、どのような場合にそうしたことが許容されるかについては十分な検討が必要であると考えております。
  157. 小野次郎

    小野次郎君 今局長おっしゃった駄目な例の前段の方は、だけど最初から武器使用を前提にするんじゃなくて、例えば難民キャンプに、お世話するというかいろんな意味で支援に入った、その後に脅威が生じた、危険が生じた、実際に攻撃を受けたという場合には、自分の管理の下にあるというふうに認定されれば武器使用によって守るべきものというふうに考えることができるわけですよね。
  158. 高橋礼一郎

    政府参考人高橋礼一郎君) 今委員指摘の自分の管理の下にある者というのは、自衛隊が実際に活動していますその場所、同じ場所にいて、さらにその身体の安全を守るために自衛隊の指示に従うことができるという立場でございますので、いわゆる駆け付け警護、離れた場所で危害を受けるあるいは脅威を受けている者について、その場所に赴いて警護をするというケースとは違うというのが従来の理解かと思います。
  159. 小野次郎

    小野次郎君 それでは、次の質問に移りますけれども、今、後段の方で、任務に対する妨害を排除するためにする武器使用については憲法九条が禁じる武力行使に該当するおそれがあるという点についてですけれども。これは法制局長官にお伺いしますけれども、そうすると、これは確認ですけど、自己保存のための自然権的権利でもないし、憲法が容認するいわゆる自衛権行使の要件にも当てはまらないと、そういう理解でよろしいですか。
  160. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 本日、防衛省の政府参考人、それからまたPKO事務局長から累次御答弁を申し上げておりますとおり、自衛隊による武器の使用の全てが憲法第九条の禁止する武力の行使に当たるわけではないと。これは、平成三年九月二十七日の国際平和特別委員会の理事会に提出されました武器の使用と武力の行使との関係についてという政府統一見解で明らかにされているところでございます。これは前回も御答弁申し上げました。  そのように、自衛隊による武器の使用の全てが憲法第九条が禁止する武力の行使に当たるわけではなくて、武力の行使に当たらない武器の使用があるということでございまして、これは、典型的には、PKO法第二十四条に基づきPKOに派遣された自衛官等に認められている武器の使用と。これは、自ら及び自らの、自己の管理の下にある者の生命、身体等を守るためのいわゆる自己保存のための自然権的権利と、こういうものでございます。  それから、自衛隊法九十五条に基づきます武器の使用も、極めて受動的な武器の使用ということで、こういうものに当たるということを言っているわけでございます。  その上で、政府は従来から、いわゆる駆け付け警護における武器使用につきましては次のとおりの説明をしてきております。  すなわち、PKO法第二十四条に定める自己保存のための自然権的権利としての武器使用や、自衛隊法第九十五条に定める武器防護のための武器使用のような受動的なものとは言えないにもかかわらず、国又は国に準ずる組織に対して武器使用を行うということは、憲法第九条の禁ずる武力の行使に当たるおそれがあるという、そういう問題があると、こういうことを述べてきているわけでございます。  それから、これも従来から繰り返し述べているところでございますが、最後に高橋PKO事務局長から御答弁の後段部分でございますが、従来から政府が述べておりますことは、武器使用の相手方が単なる犯罪者集団であることが明確な場合などは、その武器使用が武力行使に当たるおそれがないわけでございまして、そういうことが確保されるような枠組みと申しますか仕組みと申しますか、そういうものが仮に設定することができる場合には、駆け付け警護、いわゆる駆け付け警護における武器使用であっても憲法上許容されるということを述べているわけでございます。
  161. 小野次郎

    小野次郎君 一点確認したいのは、今長官おっしゃった中で、一方でPKO法二十四条のように自己保存のための自然権的権利というのがあると。それから九十五条の、自衛隊法の方は、極めて受動的な行為であるということと比べて、この任務に対する妨害排除のための武器使用というのは、これらとも違うし、そしてその後、僕がもう一遍確認したいのは、いわゆる本来というか本筋で議論しようとしている憲法が容認する自衛権行使の要件というような問題でもないということですね、これは。
  162. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) これも、やや込み入っているところがございますので申し訳ないんでございますけれども、自衛権というのは本来国際法上の概念でございまして、憲法自体にこの自衛権のことを記している、定めておる明示の、明文の規定があるわけではございません。  そこで、まずPKOのような活動における武器の使用と申しますと、本来、PKOという活動自体が、本来であればその派遣された国、国際法上は領域国という言葉で呼んでおりますけれども、本来、しっかりした政府であればその領域国が自らの治安を維持する、自国の治安を維持するということで果たすべき、治安担当当局のやるべきことでございます。それはその国の警察権の行使ということでございます。  PKO活動のようなものは、基本的にはそのような、国際法上はそのような、本来は領域国の治安当局がやるべきことを代替して日本の自衛隊が派遣される場合にはやるということでございまして、本来、そこに武器の使用というものを伴ったとしても、これは、したがいまして警察比例の原則というような内在的な制約が掛かっておりますので、本来そういう武力の行使に関わるというような問題はないであろうということがまず前提としてございまして、ただ、我が国は憲法九条という極めて厳格な憲法を持っておりますものですから、いやが上にもそういう問題が起こらないようにするために、武器の使用は、PKO法二十四条で定められておりますような自己保存のためにしようがなくやるんだという場合であるとか、それから武器等防護のために自衛隊法に基づいて、九十五条に基づいて行う武器使用のように極めて受動的に行う、前者、二十四条の方も極めて受動的でございます。  そういうようなものでない、いわゆる駆け付け警護のような武器使用については、自ら危険に接近すると申しますか、そういう側面があるので、いやが上にもそういう憲法の規定の趣旨に反しないように、武器使用の相手方が国家又は国家に準ずる組織に当たらないということを確保する必要があるであろうと。そのために適切な仕組みを設けることができるとすれば、それは憲法上の問題はないであろうと。  ただ、今まで答弁しておりますのは、どのような仕組みを設ければそういうことが確保できるのかと、つまり武器使用の相手方……
  163. 末松信介

    委員長末松信介君) 長官質疑時間が過ぎておりますので簡潔にお願いいたします。
  164. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) はい。  相手方が国家又は国家に準ずる組織に当たらないかということを確保するということは、よく熟慮する必要があるであろうということを政府は述べてきているということでございます。
  165. 小野次郎

    小野次郎君 今後の自衛権に関する議論の参考になるかと思いまして、今日は武器使用について御質問させていただきました。  ありがとうございました。
  166. 末松信介

    委員長末松信介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  167. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、小野次郎君が委員辞任され、その補欠として真山勇一君が選任されました。     ─────────────
  168. 末松信介

    委員長末松信介君) 休憩前に引き続き、南インド洋漁業協定締結について承認を求めるの件及び二千四年の船舶バラスト水及び沈殿物規制及び管理のための国際条約締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  169. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。午後の質疑もよろしくお願いいたします。  本日議題となっております両協定につきましては、午前中の質疑で私の疑問と思っているところもクリアになっておりますので、今回の質疑では外交に関わる諸懸案事項について、特に今日しか聞けない、これから起こることについてもちょっと聞いていきたいというふうに思っております。  これから起こること、もう間もなく安保法制懇から政府に報告書が提出されるということだろうというふうに思っておりますが、これは内閣官房にお伺いしますけれども、政府、与党との協議の方向性、協議のための基本的方向性を示すというようなことですけれども、野党に対しては、この報告書等について何か示すお考えはあるんでしょうか。
  170. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) ただいま御指摘がございましたように、本日、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会第七回会合がこれから開かれる予定でございます。本日の会合におきましては、懇談会の委員の方々から安倍総理に対して報告書が提出される予定となっております。報告書につきましては、懇談会終了後、全ての国会議員の方々に配付させていただく予定でございます。  また、内容につきましては、首相官邸のウエブサイト、これに安保法制懇のこれまでの議論等も御紹介しておりますけれども、そこにも掲載させていただこうというふうに考えております。
  171. 中西健治

    ○中西健治君 配付していただけるというのは有り難いことだとは思いますけれども、説明を国会に対して政府が行う、そういう機会を設ける予定はないんでしょうか。
  172. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 本日、報告書が総理に提出をされまして、それをもちまして報告書の内容が確定するということになります。  その上で、政府といたしましては、報告書の内容を含めて、安全保障の法的基盤の再構築に関する問題について今後とも国会の場での御議論をさせていただき、その中で国会の先生方に対しても丁寧に御説明及び御質問にお答えしていきたいというふうに考えております。
  173. 中西健治

    ○中西健治君 報道では、韓国でですけれども、国家安全保障局、NSCの参事官が先週韓国を非公式に訪問して、韓国の外交部や国防部などの関係者と会談して安保法制懇の報告書の内容を説明したとの報道がされております。  菅官房長官は、十三日午後の記者会見で、事前説明を行った事実は一切ないと報告を受けていると事実関係を否定してはおりますけれども、再度この事実関係について確認したいと思います。
  174. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 国家安全保障局におきましては、世界各国のカウンターパートとの間で平素から意思疎通を行っておりまして、そのような観点から、先週、担当の参事官が韓国を訪問しております。  しかし、その会合の中、韓国側とのやり取りの中で安保法制懇の報告書についての事前の説明を行ったという事実は一切ございません。
  175. 中西健治

    ○中西健治君 報告書が出て、基本的方向性というのがまたそれからすぐ出るということなんですが、政府のどなたか、安倍総理は法制懇に出席していたということですが、安倍総理以外の政府のどなたかが事前に報告書を見ていたということはないということでしょうか。
  176. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 本日の安保法制懇におきまして報告書が提出され、安倍総理はその時点で報告書の内容を確認されるということになっております。  これまで、安保法制懇、今日七回でございますが、六回の会合が行われてまいりました。安倍総理もその会合に、これまで六回の会合に出席をしております。また、政府の関係者も会合には出席をしておりますが、その中で委員の方々の議論をなさる内容を注意深く耳を傾けさせていただきました。  第六回の会合、安保法制懇、今年二月四日に開かれております。その後に委員の方々の間で詰めの議論を行われておりまして、その間の議論の状況については、事務方としてお支えする中で、総理に対して、こういう議論が行われているということは御報告をしてまいりました。  以上がこれまでの次第でございまして、今日の第七回会合で提出された時点であくまでも確定ということでございます。
  177. 中西健治

    ○中西健治君 確認ですけれども、第七回の安保法制懇、今日行われるかの法制懇の報告書というのは、政府はどなたも見ていないということでよろしいということですね。
  178. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 今申し上げたとおりでございまして、第六回以降、委員の方々の間で報告書の作成作業がございました。それを政府の方では事務的にお支えするという立場でございました。そういう中で今日報告書が提出されるということでございまして、あくまでも報告書が今日総理に手渡されたときに内容は確定するというふうなことだと認識しております。
  179. 中西健治

    ○中西健治君 内容が確定するしないという、それはそれで一つの答えかもしれませんけれども、では、総理はまだ見ていないということですか。
  180. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、これまで、議論の内容につきましては総理に事務当局よりも御報告をしてきたところでございます。  一方、その報告書につきましては法制懇の委員の方々の責任で作られておりまして、それが総理に提出されるまでは、これは私どもとして、報告書を見たという、そこで確定するものでございますので、そういう意味におきまして、先ほどから、その時点で確定すると、その時点までは報告書というものは形としてできていないわけでございますので、そういうことを申し上げているわけでございます。
  181. 中西健治

    ○中西健治君 何かちょっと、報告書は形としてはできていないということですけど、実質的にはできていて、その内容は、実質的な内容は、固まったものについて総理及び政府の方々はもう御覧になっているんですよね。
  182. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 繰り返しになりますので短く答弁させていただきますが、今日報告書が提出されるまでの間、委員の方々の議論につきましては、お支えする立場から我々把握していた部分については総理に報告はしております。  報告書の内容それ自体につきましては、先ほどから繰り返しておりますので、同じ答弁となってしまうので差し控えさせていただきます。
  183. 中西健治

    ○中西健治君 言い方を変えた方がいいかもしれません。  確定していないということであれば、確定する前の段階の途中経過というのは総理はずっと御覧になっていたということでよろしいでしょうか。
  184. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 経過につきましては、先ほどから御答弁しているとおりでございまして、六回までの会合には総理も出席されておりますし、それ以降の委員の方々のやり取りにつきましては、事務的に我々が承知していることにつきましては報告をしております。
  185. 中西健治

    ○中西健治君 ちょっと同じ、ここで平行線の議論が続いちゃっています。  これまで、総理、六回出ていられたわけですけれども、意見を聞く立場だということだったと思いますが、これまで総理及び外務省の担当者も出ていたということでありますが、外務省の担当者、意見を開陳するということは、コメントをするということはあったんでしょうか。
  186. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 安保法制懇はあくまでも委嘱をされている委員の先生方の間で議論を行うことが主眼でございますけれども、御質問があった場合等につきましては、政府側の出席者も発言をしたことはあったということは事実としてございます。
  187. 中西健治

    ○中西健治君 総理を含めて政府側の方が発言をしたということはあったということでしょう。ということは、いろいろとコメントを政府側もしたということなんだろうというふうに思いますが。  じゃ、今日はこの報告書出された後、NSCが開かれるということですが、何時から何時まで開かれるんでしょうか。
  188. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 本日午後、第七回の懇談会開かれまして、その後直ちに国家安全保障会議の四大臣会合を開催する予定でございます。終了後できるだけ速やかに開催するという予定でございますけれども、具体的な時間につきましては、安保法制懇の所要時間等ございますので、確定した時間を今申し上げる具体的な数字を持っているわけではございません。
  189. 中西健治

    ○中西健治君 いや、総理の記者会見も予定されているわけですから、その前にNSCは終わっていなきゃいけないということだと思いますので、何時から何時ぐらいというおおよそのめどは当然あると思いますが、それはどうなっているんですか。
  190. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 本日の段取りといたしましては、この後、本日午後、第七回の懇談会開催されます。また、総理は夕刻記者会見をされる予定でございますので、御指摘のとおり、その間に四大臣会合を開く予定でございますけれども、という段取りになっております。
  191. 中西健治

    ○中西健治君 一国の総理の予定が余り決まっていないということではきっとないと思いますけれども、二時頃から第七回の法制懇が開かれて、夕刻、まあ分かりません、六時頃から記者会見開かれるのであれば、NSCも開催時間というのはそんなには長くないだろうというふうに思います。  外務大臣にお伺いしたいと思います。  午前中の質疑でも、報告書は御覧になっていないということでありました。今日の午後初めてNSCで報告書を御覧になって、そして集団的自衛権の行使などの検討に関する政府の基本的方向性を僅か一、二時間で取りまとめるということになるかと思いますけれども、集団的自衛権の行使を容認する解釈変更を行うとすれば大変重要なことということになりますが、今後大きな役割を果たしていく外務大臣として、このNSC、僅かな時間で行われて、そして方向性を出していくと、審議の仕方についての方向性ということだというふうには承知していますけれども、これぐらいの時間でいい、十分だというふうにお考えでしょうか。
  192. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のように、私は現時点で報告書そのものを見たという事実はございません。そして、安保法制懇の議論、総理は毎回出席し耳を傾けてこられましたが、私の立場としては、外務省の担当局長が毎回オブザーバーとして出席をさせていただきました。その担当局長から安保法制懇の議論につきましては逐次詳細に報告を受けてきたというのが現状でございます。その上で、今日、安保法制懇の最終報告書が出され、そしてNSC四大臣会合が開かれ、そして総理から基本的方向性が示されるということですが、基本的方向性、要は、今後の検討の進め方についての考え方を示すという内容のものだと承知をしております。  いずれにしましても、議論そのものについては、報告書が出されてこれから政府と与党の中で議論が開始されるということであります。そういった基本的方向性の中身でありますので、先ほど内閣官房から答弁させていただいたような段取りで進めていくことになると考えております。
  193. 中西健治

    ○中西健治君 私が思うに、ちょっとこの報告書が出されて、今後の検討の方向性ということ、検討のやり方ということにしても、やはりちょっと性急に過ぎるのではないかなというふうに思うわけであります。引き続き、この件は国会で皆さんが取り上げていくと思いますけれども、私自身も注意深く見ていきたいというふうに思います。  それでは、話題を変えまして、日韓関係、お伺いしたいと思います。  あした東京で日韓局長会議が行われるということでありますけれども、慰安婦問題や元徴用工の問題も話し合われることになるのではないかというふうに考えております。韓国政府は、慰安婦問題で何らかの進展がない限り日韓の首脳会談を行わないという立場を取り続けているかと思います。中国も、靖国参拝や尖閣諸島について注文を付けて、それが解決されない限りは首脳会談を行わないという立場を堅持しているようでありますが、先方の注文を聞かなければ首脳は会わないという、こうした態度が続くとすれば、幾ら我が国政府が努力しても、先方が考えることを変えることでしか解決できないということになってしまいますが、何らかの打開策というものについて政府は今どのような考えを持っていらっしゃるのか、聞かせていただきたいと思います。
  194. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日韓の局長級協議、本日開催する予定になっております。この日韓の間の協議ですが、双方の関心事を取り上げて協議を行うということになっておりますので、御指摘のように、徴用工問題を始め様々な議題が取り上げられることになると想定をしています。  中国との間においては、様々な難しい局面があり、個別の問題があります。是非、難しい問題は存在いたしますが、こういった問題があるからこそ、前提条件付けることなく率直に話し合うことが重要だと我々は訴え続けております。──失礼。済みません、中国でなく韓国であります。韓国との間には様々な問題があります。韓国との間には難しい問題があるからこそ議論をするべきだと申し上げております。  こうした局長級協議を始め様々なレベルでの対話、様々な分野における議論、こういったことを積み上げることによって是非高い政治のレベルでの対話につなげていきたいと考えております。韓国側にもこういった我々の姿勢、しっかり受け止めてもらいたいと思っております。そういった意味で、今回、日韓の局長級協議を行う意味はあると我々は感じております。  是非、未来志向の日韓関係を実現するために、こうした努力は続けていかなければならないと認識をしております。
  195. 中西健治

    ○中西健治君 対話がなければ何も始まらないというふうに思いますので、今日の局長会議でも何らかの進展があることを私自身は願っております。  質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  196. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  南インド洋漁業協定船舶バラスト水国際条約、いずれも必要なものであり、賛成であります。  漁業協定に関連して聞きます。  午前中の質疑にもありましたが、初ガツオの季節でありますけれども、非常にカツオの不漁が重大な問題になっております。特に深刻な高知県などは、県の振興課によりますと、県内主要港の四月までの水揚げ量が十九トンで、例年の十四分の一というふうに言われております。  まず、現状と原因を水産庁はどのように把握をされているでしょうか。
  197. 遠藤久

    政府参考人遠藤久君) お答えいたします。  都道府県等からの情報によれば、やはり委員指摘のとおり、本年、高知県、和歌山県を始めとする我が国沿岸での引き縄釣り等によるカツオの漁獲状況が極めて低迷しているということでございます。  本年のこのような現象に関しまして言いますと、その原因としては、独立行政法人水産総合研究センター国際水産資源研究所、ここは、日本南部沖合域を十九度以下の冷水が広く覆っていること、これがカツオの北上を妨げているという可能性が高いというふうにしております。  最近、千葉県の方では量が戻っているような報道もございますけれども、農林水産省としましては、引き続き、海水温の状況、それからカツオの漁獲状況を注視してまいりたいと思っております。
  198. 井上哲士

    ○井上哲士君 今年のこの極端な不漁は水温の問題だというお話でありましたが、同時に、専門家は遠洋での漁獲量増加の影響に注目をしておりますし、中長期的にはこの影響ということをしっかり見ていかなくてはいけないと思っております。  赤道付近で漁獲量が増えて個体数が減ったら、餌を取るため日本近海まで北上するカツオも減ると、こういう警鐘も鳴らされているわけでありますが、こういう赤道付近の漁獲量の急増などの中長期的な影響をどう認識をして、どういうような対応をしてこられたんでしょうか。
  199. 遠藤久

    政府参考人遠藤久君) お答え申し上げます。  午前中の議論でも簡単に御説明申し上げましたけれども、中西部太平洋におきますカツオの漁獲量、これは、一九八〇年くらいには約五十万トンくらいだったんですが、一九九〇年には八十四万トン、二〇〇〇年には百十四万トン、最新の情報で、二〇一二年には百六十五万トンと急増しております。このほとんどが熱帯水域の大型の巻き網によるものということと認識しております。一方で、中西部太平洋まぐろ類委員会、これWCPFCというんですけれども、ここの科学委員会は、中西部太平洋のカツオ資源、これは、状態はまだ良好であって漁獲状況も適正な水準にあるというふうに評価しております。  しかしながら、近年、委員指摘のとおり、我が国沿岸域でのカツオの漁獲量、これは減少傾向にありまして、前回資源評価が行われました二〇一一年には、我が国の方から主張をしまして、資源は良好であるけれども、赤道海域における高い漁獲資源の分布水域を縮小させて、日本等の高緯度水域への回遊が減少している懸念が生じているというふうなところとされております。  これを受けまして、昨年のWCPFCの年次会合、ここにおきまして我が国から、カツオ・マグロ資源管理強化、この必要性を強く主張しまして、大型巻き網漁船につきまして、小型の魚を多く漁獲する巻き網の集魚装置を用いた操業の制限強化、それから先進国の巻き網漁船の隻数凍結、それから大型巻き網漁船の過剰漁獲能力を削減する仕組みを先進国が本年の年次会合までに作成することということが決定されました。  農林水産省としましては、WCPFCにおいて今後ともカツオ・マグロ資源について適切な保存管理措置が決定されるよう、引き続き努力してまいりたいと思います。
  200. 井上哲士

    ○井上哲士君 今回、南インド洋漁業協定締結が提案をされているわけでありますが、こういう中西部の太平洋地域も含めて、しっかり中長期的な影響を見据えた漁獲規制ルールが必要だと思いますが、この点、外務省としてはどのように取り組んでこられたんでしょうか。
  201. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) カツオなどのマグロ類資源については、高度の回遊性を有するということで、全世界海洋をカバーする五つの地域漁業管理機関全てに我が国加盟をし、関係国と協力して適切な資源管理措置がとられるよう努力をしてきました。  引き続きまして、責任ある海洋国として、こうした海洋ルール作り、しっかりとリードしていかなければならないと考えております。  先ほど水産庁からありましたように、中西部太平洋におけるカツオ資源につきましては様々な努力をしているわけでありますが、外務省としましても、是非、水産庁と緊密に連携しながら、適切な保存管理措置が決定されるようにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
  202. 井上哲士

    ○井上哲士君 安心してカツオのたたき等を食べられるように、また漁業者の営漁などを守る上でも適切な対応を求めたいと思います。  続いて、今日発表される安保法制懇の報告等の問題についてお聞きをいたします。  今日午後、報告書が出されて、その後、今ありましたように、NSCの四閣僚会合を経て総理が会見で基本的な方向性を発表する、そして与党間協議が行われるというふうに言われておりますが、既にマスコミでは報告の要旨も掲載をされております。  それで、午前中も議論になっていたんですが、二月に開かれて以降全く法制懇が開かれずに今日報告書が出されるということでありますが、実は三月十七日に集まっていたということも、事務方も出ていたということも午前中認められました。  報道では、この場所に報告書の原案が出されたようでありますけれども、報告書の文案というのはこのときに初めて示されたと、そういうことでよろしいでしょうか。
  203. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) お答え申し上げます。  安保法制懇第六回会合が本年二月四日に行われておりますけれども、それ以降、懇談会の委員の方々の間で詰めの議論が行われて、取りまとめが行われておりました。その中で、今御指摘の三月十七日に、これ非公式な会合でございますけれども、開かれたということがございました。  二月四日以降の委員の方々の間での詰めの議論の過程で今日発表されます報告書は文書が作られていったわけでございますけれども、これはあくまでも委員の方々の間での作業が主軸でございまして、何月何日に初めて委員の方々の間で文書が作成されたというような事実関係につきましては、政府として全部把握しているわけではございません。今日発表されます報告書を準備するために二月から約三か月あったわけでございますけれども、その過程の間で、委員の先生方の間で順次完成に近づくための作業が行われたものというふうに認識しております。
  204. 井上哲士

    ○井上哲士君 今朝の報道では、この十七日の会合に報告書の原案が会議前に配られて、秘密保持のためにメモだけ取って、会議中は回収して議論をしたと、こういうふうに言われておるわけでありますが、普通、報告書というのは、やはり一定の量ありましたらまず一定の原文が出てくるものだと思うんですが、そういうものが出たと、そしてこういうような会議だったということで間違いないんでしょうかね。
  205. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 報告書のこの詰めの作業につきましては、北岡座長代理を中心に委員の方々の間で連絡が取られまして、その中で作成を行ってきたものでございます。  政府としましては、座長代理の御指示等をいただきながら必要な支援を行ってきたところでございますけれども、その過程で文書をどういう具体的な形で委員相互間で議論なされたか、ないしは物理的な交換をされたかということにつきましては、私ども全て承知しているわけでございませんので、委員間の非公式なやり取りの中で形成されていったという御説明以上のことは差し控えさせていただきたいと思います。
  206. 井上哲士

    ○井上哲士君 これまでも、二月の第六回以降どういう議論がされてきたのかといえば、委員間での詰めの議論はしていたということしか言わなかったわけですね。ところが、三月十七日に非公式の会合をやっていて、そこには事務局も出ていたと言われたわけですよ。何でこういう経過を明らかにしなかったんですかね。いかがですか。
  207. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 御指摘のとおり、三月十七日に非公式な会合がございましたが、委員の先生方の間では、非常に報告書を作る作業というのは膨大なものでございますので、いろいろなやり取りがあったというふうに承知をしております。  一方におきまして、二月四日の会合、これは、通常の公式会合と同様、その内容につきましてはホームページ等で紹介がなされておりますけれども、その後、報告書を詰める作業がなされております。  まさに、その報告書が今日総理に提出された後、完成をして世の中に提示をされるということになりますので、これまでの間の委員の先生方の作業というのは、今日の報告書の内容をもって世の中に御説明がなされるという位置付けであるというふうに認識しております。
  208. 井上哲士

    ○井上哲士君 実に不透明なんですね。  今日の朝日の記事では、ある委員の発言として、世間は我々が熟議したと思うだろうが全くそうではないと、こういうことも紹介をされておりました。(発言する者あり)違うと言うのなら、ちゃんと経過を明らかにしていただきたいんですよ。  そして、今日午後のNSCで、四閣僚会合で基本的方向性を確認するということでありますが、この基本的方向性というものの法的性格というのはどういうものなんでしょうか。誰に対して出されて、どのような拘束力があるんですか。
  209. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 今日、四大臣会合が法制懇談会の後開催されまして、その後、記者会見において、安倍総理から政府としての今後の検討の進め方についての基本的方向性をお示しする予定というふうに承知をしております。  今回の報告書の提出を受けて、安保法制の法的整備の再構築に関し政府がどのような検討を行っていくかという今後の検討の進め方についての基本的方向性をお示しするということでございまして、これは、今御指摘ございましたような法的なものというものではございません。政府の検討に当たっての方向性をお示しするということを総理が述べられるというものになるというふうに承知をしております。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後、与党間での協議、それから国会での御審議等を通じて、政府の立場及びこれをめぐる諸問題の背景等については的確に御説明をさせていただきたいというふうに考えております。
  210. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、報道では、これは与党協議の方向性として示すものだと言われておりますが、今の答弁でいいますと、これが政府としてのいろんな検討の方向性として政府を縛るものになるんですか。
  211. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) ただいま御答弁申し上げたとおりでございまして、今日総理が示される基本的方向性というのは、今後の政府としての検討の進め方についての基本的方向性を御説明するということでございます。これは総理が表明される方針でございますので、当然、政府はそれに従って作業を進めていくということになると思います。
  212. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは、総理が表明されるのか、それとも四大臣会合で確認ないしは決定をするものになるんですかね。
  213. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 四大臣会合におきましては、本日の報告書を受けての議論、それから、今申し上げました基本的方向性についても関係閣僚間で議論がなされるというふうに承知をしております。その上で、総理が総理としてのお立場で基本的な方向性を記者会見において説明されるという段取りになっております。
  214. 井上哲士

    ○井上哲士君 この四大臣会合には外務、防衛両大臣が出られるわけでありますが、つまり、今の話でいいますと、四大臣会合で決めるわけではないが、そこに諮って、総理が方針として示すということでよろしいんでしょうかね。
  215. 山崎和之

    政府参考人山崎和之君) 国家安全保障会議は、内閣総理大臣が議長となり、関係閣僚がその時々の議題について御審議をされるということでございまして、本日の会議も同様の位置付けとして行われます。その中で基本的方向性についても御議論がなされ、議長である総理がそれを取りまとめをなさるということだと思います。そういう手続を経た上で総理は記者会見においてお立場を表明されると、こういう段取りでございます。
  216. 井上哲士

    ○井上哲士君 防衛大臣もこのNSC四大臣会議参加されるわけでありますが、そこで確認されるのはこういう今言われたようなことだと、法的性格は、そういう認識で参加をされるということでよろしいですか。
  217. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今、内閣官房の方から報告があったとおりだと思っています。
  218. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、やっぱり報告書の作り方から、出される基本的方向性というもの、全体としてどうもよく分からないわけですね。  それに加えて、この法制懇の座長代理である北岡さんは、これは四月二十一日の東京新聞のインタビューでありますが、憲法は最高規範ではなくて、上には道徳律や自然法がある、憲法だけでは何もできず、重要なのは行政法だと、こういう発言をされておりまして、憲法の最高規範性についてこういう発言をされている。  これは一般論でお聞きしますが、両大臣はこの憲法の最高規範性について、憲法よりも行政法が重要だと、こういう認識をされているのかどうか、それぞれからお聞きしたいと思います。
  219. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日本国憲法九十八条一項には、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と定めております。これは、まさに日本国憲法の最高法規性を定めているものであると私は理解をしております。
  220. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 外務大臣が今答弁されましたように、日本国憲法九十八条一項におきまして、日本国憲法は我が国の最高法規であると認識をしております。
  221. 井上哲士

    ○井上哲士君 当然の御認識だと思うんですね。お二人の認識とも明らかに違うことを座長代理が発言をされて、そして、そういう認識の方がまとめるのがこの報告書なわけでありまして、実際、報道されているもの、もう今から決まるものでは、これまでの従来の憲法九条の解釈を根底から覆すような中身になっておりまして、積み重ねられた様々な憲法解釈を一内閣が覆すのが許されるのかということが問われると思いますし、この懇談会自身が、この解釈変更に反対する意見を述べた者は誰もいなかったと政府も答弁書で認めるような、まあ言わば初めに結論ありきのような中身になっております。  私は、国の在り方の根幹に関わるような議論がこういうものの報告を踏まえて行われるようなことは間違いだということを最後指摘をいたしまして、時間なので、終わります。
  222. 末松信介

    委員長末松信介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  防衛大臣、御退席いただいて結構でございます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、南インド洋漁業協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  223. 末松信介

    委員長末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、二千四年の船舶バラスト水及び沈殿物規制及び管理のための国際条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  224. 末松信介

    委員長末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  226. 末松信介

    委員長末松信介君) 次に、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定締結について承認を求めるの件、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定締結について承認を求めるの件及び視聴覚的実演に関する北京条約締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  227. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま議題となりました意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、平成十一年七月にジュネーブで開催された国際会議において採択されたものであります。  この協定は、複数の国に対する意匠の保護のための出願を出願人が一括して行うことを可能とするため、意匠の国際出願及び国際登録に関する手続等について定めるものであります。  我が国がこの協定締結することは、意匠の保護を国際的に促進するとの見地から重要であります。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、昭和四十三年十月にロカルノで開催された国際会議において採択されたものであります。  この協定は、締約国が採用する意匠の国際分類、その修正及び追加の手続等について定めるものであります。  我が国がこの協定締結することは、我が国として意匠の国際分類の修正及び追加の手続に関与するとの見地から重要であります。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、視聴覚的実演に関する北京条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成二十四年六月に北京で開催された世界知的所有権機関視聴覚的実演保護に関する外交会議において採択されたものであります。  この条約は、視聴覚的実演に関し、人格権並びに複製権及び譲渡権等の財産的権利を実演家に付与するとともに、これらの権利の行使に関する法的な保護及び救済等について定めるものであります。  我が国がこの条約締結することは、視聴覚的実演に関する実演家保護の国際的な取組に資するとの見地から重要であります。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  228. 末松信介

    委員長末松信介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十五分散会