○石川
博崇君
我が国は、海洋国家として
国際社会における海事
分野でリーダーシップを発揮すべき立ち位置にあるというふうに
考えております。そういう意味でも、今、海洋権益をめぐって、
中国との間の様々な問題、あるいは韓国との間で
解決していかなければならない
課題等もございます。この海上交通における相互
理解というものをしっかりと深めていくことが中長期的なこの
地域の利益に直結するのではないかというふうに思っておりますので、是非積極的に御検討をいただきたいというふうに思います。
その上で、
我が国国内の内航船、内航海運の航行の安全というものを
考えた場合、一番懸念されておりますのが船員に従事される方々の人員の減少問題、それから高齢化の問題でございます。
日本の産業に不可欠な資材、これは旅客船ではなく内航海運の話でございますが、不可欠な資材である石油製品であるとか、あるいは鉄鋼、セメントなど、こうした産業の基礎資材の輸送は
日本においては内航海運によって支えていただいている。
日本は内航海運大国と言ってもいいのだというふうに思います。一年間に
日本の内航海運が輸送する物量というのは、これは
日本が島国であるということもありますが、EU全体の内航海運の物流量を上回る量を輸送しておりますし、また
日本国内の貨物輸送の全体の七割をこの内航海運が担っていただいております。
しかしながら、その内航海運に従事される船員の方々の数というのは、昭和四十九年にピークの二十七・八万人でございましたけれども、直近の平成二十二年には六・九万人と劇的に減少し、四分の一になっているというふうに伺っております。しかも、人員の減少に加えて、今この内航海運に従事されている方々の高齢者の方々の割合、中高年齢者と言っていいかと思いますが、五十歳以上の方々の割合が半分以上という現状を踏まえて、将来的にこの人員がきちっと維持管理できるのか、これは
日本の
経済安全保障にとっても極めて重要な
課題だというふうに思っております。
優秀な若い人材を確保していく。当然、技能の習得には様々な業種、職種の方々が必要でございますけれども、技能の習得には時間及び経験も必要になってまいります。安全航行を確保するという上でもしっかりとこれ取り組んでいかなければならない問題であります。
また、
安全保障の観点からいいましても、やはり大規模災害、あの東北、東
日本大震災の折に物資の輸送を多く担っていただいた内航海運業者の方々の
協力というのは極めて重大なものがございました。当時、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、外国船籍の中には
日本の港湾に入港を取りやめた事例も多く確認されているわけでございますが、そういったときにあっても
日本国船籍そして
日本人船員の方々の献身的な
努力によって東
日本、東北に対して物資の輸送を行っていただいたという観点からも、しっかり
日本人船員を育成していくこと、若い人材を確保していくということが、いざ災害時あるいは有事にあっても極めて重要な
課題だというふうに思っております。第二次大戦の様々な分析を行う学者の中にも、第二次大戦の敗戦の大きな要因の一つとして、ロジスティックの特に根幹に当たる海上補給作戦が破綻したということを分析する有識者も多くおります。
様々な観点から、こうした国内の内航海運の人材育成に是非総力を挙げて御
努力いただきたいというふうに思いますけれども、国土交通省、こうした海運安全管理を担う人材を含めた船員の確保、さらには、これを確保するためには当然待遇の
改善ということも重要な
課題でございます。若い方々、船に乗ると、例えば携帯電話が通じないとか、そういうデジタルデバイドの問題もあったりします。こうしたことも含めて取り組んでいただく必要があろうかと思いますが、いかがでしょうか。