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2014-04-15 第186回国会 参議院 外交防衛委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年四月十五日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月十一日     辞任         補欠選任      井原  巧君     牧野たかお君      宮本 周司君     島尻安伊子君  四月十四日     辞任         補欠選任      島尻安伊子君     馬場 成志君      脇  雅史君     古賀友一郎君  四月十五日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     大野 泰正君      古賀友一郎君     中泉 松司君      馬場 成志君     堀井  巌君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         末松 信介君     理 事                 佐藤 正久君                 松山 政司君                 三木  亨君                 福山 哲郎君                 石川 博崇君     委 員                 宇都 隆史君                 大野 泰正君                 岡田 直樹君                 小坂 憲次君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 牧野たかお君                 北澤 俊美君                 白  眞勲君                 藤田 幸久君                 牧山ひろえ君                 山口那津男君                 中西 健治君                 井上 哲士君               アントニオ猪木君                 小野 次郎君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君    副大臣        内閣府副大臣   井上 信治君        外務大臣    岸  信夫君        経済産業大臣  赤羽 一嘉君    大臣政務官        外務大臣政務官  牧野たかお君        経済産業大臣政        務官       田中 良生君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  小松 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣官房原子力        規制組織等改革        推進室長     鎌形 浩史君        原子力委員会委        員長       岡  芳明君        警察庁警備局長  高橋 清孝君        外務大臣官房審        議官       山上 信吾君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   北野  充君        外務省中東アフ        リカ局長     上村  司君        文部科学大臣官        房審議官     山脇 良雄君        経済産業大臣官        房審議官     中西 宏典君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      高橋 泰三君        原子力規制委員        会原子力規制庁        次長       森本 英香君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房審議官  山本 哲也君    参考人        一般社団法人日        本原子力産業協        会理事長     服部 拓也君        特定営利活動        法人環境・持        続社会研究セ        ンター理事    田辺 有輝君        法政大学社会学        部教授      舩橋 晴俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○原子力平和的利用における協力のための日本  国政府アラブ首長国連邦政府との間の協定の  締結について承認を求めるの件(第百八十五回  国会内閣提出、第百八十六回国会衆議院送付) ○平和的目的のための原子力利用における協力  のための日本国政府トルコ共和国政府との間  の協定締結について承認を求めるの件(第百  八十五回国会内閣提出、第百八十六回国会衆議  院送付)     ─────────────
  2. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、宮本周司君、井原巧君及び脇雅史君が委員辞任され、その補欠として馬場成志君牧野たかお君及び古賀友一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 末松信介

    委員長末松信介君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力平和的利用における協力のための日本国政府アラブ首長国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件外一件の審査のため、本日の委員会一般社団法人日本原子力産業協会理事長服部拓也君、特定営利活動法人環境持続社会研究センター理事田辺有輝君及び法政大学社会学部教授舩橋晴俊君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 末松信介

    委員長末松信介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力平和的利用における協力のための日本国政府アラブ首長国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件外一件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 末松信介

    委員長末松信介君) 原子力平和的利用における協力のための日本国政府アラブ首長国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び平和的目的のための原子力利用における協力のための日本国政府トルコ共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 三木亨

    三木亨君 おはようございます。自由民主党の三木亨と申します。  本日は、二国間の原子力協定二つ協定について質問をさせていただきたいと思います。大変重要な協定だと思いますので、少し丁寧に、まず全般のことからお聞きいたしまして、それから各個別の協定の方についてお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、この原子力協定というものの意義についてですが、例えば原子力発電に使われる核物質であるとか、あるいはその発電所建設するための資材であるとか、あるいはその原子力発電を動かすための原子力技術、こういったものは原子力発電という観点においては平和利用として使われるわけですけれども、一転見方を変えますと、これは軍事転用も可能であるということで、非常にこれは慎重に扱いを要する事柄だと思います。  そういった意味で、この原子力協定というものの意義、一般的な原子力協定というものの持つ意義というものについてお尋ねしたいと思います。特にこれは目的としては、先に言ってしまいますと核の不拡散ということが目的になろうかと思います。こういったものをどういうふうに担保するのかという観点からこの原子力協定意義について、政府の方の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  9. 北野充

    政府参考人北野充君) お答え申し上げます。  今、原子力協定意義締結目的についての御質問をいただきました。  我が国原子力平和的利用におけます三つのS、すなわち不拡散保障措置セーフガードと言っておりますけれども、このS、原子力安全、セーフティーのS、核セキュリティーセキュリティーのS、この三つのSというものを重視をしておりまして、これらの分野における国際的な枠組み強化に取り組んでいるところでございます。  原子力協定は、我が国が幅広い分野におきまして原子力協力を行うに際しまして、平和利用、不拡散を法的に確保し、三つのSの強化に資する重要な枠組みとなっております。原子力関連資機材移転というのも協定に基づきます協力分野に含まれますけれども、移転に当たりましてはその平和的利用、不拡散が法的に確保される、そのような仕組みでございます。  今委員からも御指摘がありましたように、様々な分野の中でこの平和利用、そして不拡散確保ということが非常に重要でございまして、この原子力協定におきましてはそのための仕組みというものを様々設けております。  具体的に申し上げますと、協力は平和的非爆発目的に限って行われるということ。また、移転をされる原子力関連資機材がいかなる核爆発装置のためにも使用されないということを約束をするといった内容でございます。また、それを確保するための具体的な内容といたしまして、我が国相手国の双方において国際原子力機関との保障措置協定というもの、これを適用するといった仕組みもその中の重要な部分でございます。  以上でございます。
  10. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  まず、スタート地点を確認させていただいてからということだったので、御丁寧な御答弁ありがとうございました。  次に、我が国では、三・一一の東日本大震災に伴って福島第一原発事故という非常に痛ましい事故がございました。これを受けて、各国ではもう一度原発建設あるいは推進動きを見直そうという動きがあったやに聞いておりますけれども、結局、原発をやめていこうというふうな国はなかなか少数でございまして、その他の多くの国がやはり安定したエネルギー源として原子力発電所を求めているというような動きになっているかのように聞いております。  こういった国際社会動き原発に対する考え方、これから日本がまだまだ原子力協定、いろんな国と進めていくかもしれませんけれども、そういったものを考える前に、国際的な原子力発電に対する考え方、その各国エネルギー政策における原発位置付けを含めて、各国原子力発電所開発開発というか建設計画状況といったものをお聞かせ願えればと思います。
  11. 中西宏典

    政府参考人中西宏典君) お答え申し上げます。  今議員の方から御質問ございましたように、福島以降の動きということも含めまして、例えばでございますけれども、これは昨年の八月にIAEA、国際原子力機関の方が発表しましたレポートによりますと、今後の世界全体での原子力活用ということにつきまして報告を出しております。  その中では、足下の二〇一二年では世界で約四百三十基の原子力発電所があります。その設備容量といたしまして約三億七千三百万キロワットの設備があると、それが二〇三〇年までに大体二〇%から九〇%増加するというふうに予測をされてございます。これは、原子力発電所一基当たり大体設備容量百万キロワットというふうに換算いたしますと、大体二〇三〇年までに六十基から三百五十基程度の数が今後増えていくというふうに予想されているということに合致するということでございますし、地域別に見ますと、東アジア、東欧、中東南アジアといった地域を中心にいたしまして拡大するというふうに予測されてございます。  さらに、二つ目エネルギー政策の中における位置付けということでございます。  このエネルギー政策、国の根幹に関わるということで極めて大きな政策だというふうに言われておりますけれども、各国エネルギー安全保障経済性、さらには地球温暖化への取組といった問題、いろんな問題の視点を各国それぞれの事情を踏まえて判断しているというふうに考えてございまして、原発位置付け自身も様々なものだというふうに聞いてございますけれども、例えばということでございますと、イギリスでは、二〇〇八年に原子力を含む低炭素電源活用するということで、昨年、これを支援するエネルギー法というのができております。そういった意味で、例えば固定価格買取り制、債務保証制度、そういったものを原子力を含めた低炭素電源に対しての支援策を導入するということになりまして、原子力発電所では現在十一基の新設計画を持ってございます。  また、韓国でも今年の一月に国家エネルギー基本計画といったものを決めまして、現在の二六%の原子力への依存度を二九%まで高めるといったいろんな動きが出てきているということでございます。
  12. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  エネルギー政策観点から、また地球温暖化観点というものもございますので、そういった観点から原子力発電について非常に重要視して進められている国も結構あるということでございました。  一方で、先ほど申し上げました福島第一原発事故を契機に、我が国においてももちろんこの原子力発電所推進の是非について議論が闘わされているわけでございますし、先ほど私も申し上げましたように、国際社会においても様々な懸念であるとかあるいは様々な意見というものが示されているところでございます。  そういった中で、安倍政権になりまして、衆議院の方では幾つか答えられたというふうに聞いておりますけれども、参議院の方では予算委員会の方で一回やったのかな、これから日本が高い技術を持って世界原子力政策に寄与していく方針、つまり、これから進めていく原子力協定について日本がどのように国際的な協力を進めていくのか、この政府の基本的な方針、大枠の方針というものをお聞かせ願いたいと思います。  そしてあわせて、今回トルコUAE二つの国の二国間協定ということでございますけれども、そのほかにも五つ協定交渉中でございます。先ほど私がお聞きしました大きな基本方針に基づいて、今交渉中の五つ協定というものもどういった形で進めていくのか、そういったことをお聞かせ願えればと思います。
  13. 牧野たかお

    大臣政務官牧野たかお君) 三木委員の御質問にお答えします。  まず、政府基本的方針でありますけれども、我が国といたしましては、福島第一原発事故に関する経験教訓世界と共有することによって、世界原子力安全の向上貢献していくことが我が国責務であると考えております。その上で、二国間の原子力協力については、相手国事情や意向を踏まえつつ、世界最高水準安全性を有するものを提供していく考えであります。こうした観点に立って、各国それぞれのケースに応じて実施を判断していくことになります。  そして、現在交渉中の原子力協定でありますけれども、現在、インド、南アフリカ、ブラジル、メキシコ及びサウジアラビアとの間で原子力協定交渉中でありますが、これらの協定については、核不拡散観点相手国原子力政策、そして相手国日本への信頼と期待、さらには二国間関係などを総合的に勘案しながら、個別具体的に状況を検討しつつ交渉を進めていく方針であります。
  14. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  特に、今交渉中の中でもインドなんかは、自ら核実験を進めたりという軍事転用考えているような国でございますので、特に慎重に考える必要もあろうかと思います。まだこれは交渉中の話でございますので、今議題にのせるのはどうかと思いますので、今回は意見として述べさせていただきます。  では、全般のお話についてお聞きいたしましたので、これからは各個別の協定についてお伺いさせていただきたいと思います。  まず、UAEとの原子力協定についてお聞かせ願いたいと思いますけれども、UAEはこれから日本原子力協定を結んで原子力政策を進めようというふうな意図があるのかと思いますけれども、よく考えてみますと、UAEというのは世界的な産油国でございまして、世界でも有数石油を生産している国でございます。こういった国であれば、まあちょっと考えると、火力発電所で十分なんじゃないか、原子力発電所まで要らないんじゃないかというふうな気がいたしますけれども、なぜ、そういった石油が豊富に、ほかの国に売るほどある国が、原子力発電で、違うもので発電をさせていこうとしているのか、その背景というものをお伺いしたいと思います。  そしてまた、UAEにおいては、今後、どの程度建設計画が進められているのか、以前にあった原子力建設の中では悲しいことに日本ではなく韓国の方が選ばれてしまったというような経緯も聞いておりますけれども、我が国としてUAEに対してどのような国際協力を進めているのか、併せてお聞きしたいと思います。
  15. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、アラブ首長国連邦UAEは、世界有数産油国ガス生産国でございます。現在は発電の約九九%を天然ガス、それから約一%を石油に依存しております。しかしながら、今後の経済成長に伴う将来の電力不足への対処、あるいはエネルギー安全保障強化、こういう観点から、アラブ首長国連邦政府は今後再生可能エネルギー活用を図ることを国是としておりまして、二〇二〇年まで、国内電力需要、約四万メガワットを想定しておりますが、その二五%、約一万メガワット原子力発電から供給することを目指していると承知しております。  こういった中で、我が国との協力に対する先様UAE側からの期待UAE原子力発電所建設計画規模、今御指摘のありました現状の規模、それから我が国企業技術水準等を踏まえますと、今後、我が国企業が参入をして原子力関連資機材移転が行われる可能性がございます。したがいまして、両国間の原子力協定枠組みを整えていただくことが必要かと存じております。  以上でございます。
  16. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  聞くところによりますと、このUAEとの原子力協定でございますけれども、実は原子力協定交渉中に三・一一の東日本大震災、またそれに伴う福島第一原発事故が起こったというふうにお聞きしております。交渉中に起こった非常に大きな深刻な事故ということで、交渉に関してもいろいろと影響があったのではないかというふうに推測がされるわけですけれども、この事故について、その当時あるいは現在、UAEはどのような反応を示されたのでしょうか。また、我が国原子力技術事故を目の当たりに見たわけですけれども、その原子力技術についてどのようにUAEの方で評価されているのか。そしてまた、原発事故を踏まえて、この事故教訓を生かすといった意味で、今後、UAE原子力開発において我が国貢献できる意義というもの、つまりどういった貢献ができるのかということ、併せて三点、お聞きしたいと思います。
  17. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  東日本大震災を挟みましてUAEとの交渉が行われたわけでございますが、二〇一一年四月、東日本大震災後初のNPDI、軍縮・核不拡散イニシアチブ外相会合の際、これは、UAEはそのメンバーでございますけれども、UAE政府は他のメンバー国と共に原子力平和的利用の権利を確認しながら原子力安全を最高レベルに引き上げる必要性を提唱しております。その結果、UAE規制当局は、建設中の原発安全性を更に高めるべく、福島第一原発事故からの教訓安全性に関する審査内容に反映すべく取り組んでいるものと承知をしております。  UAE側からの期待でございますけれども、これは、福島第一原発事故後も累次にわたりまして、我が国技術力を含め、我が国との原子力協力に向けた期待を表明してきているところでございます。これに対しまして我が国としましては、福島第一原発事故経験教訓世界と共有することによりまして、世界原子力安全の向上貢献していくことが我が国責務であると累次にわたって大臣よりもお答え申し上げているとおりでございます。さきに申し上げましたこういうUAE側からの要望を踏まえつつ、世界最高水準安全性を有する技術を提供していく考えでございます。  なお、今回お諮りをしておりますUAEとの原子力協定締結されますれば、原子力平和的利用、不拡散が法的に確保されるほか、原子力安全の強化を始めとする協力を更に促進することが可能となると考えております。こうした協力の促進を通じまして、相手国における原発安全性確保に更に貢献をしていくことが可能となると思います。
  18. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  では、UAEから続きまして、次にトルコの方に移りたいと思います。日本トルコ原子力協定について、これからお伺いさせていただきたいと思います。  トルコは、聞くところによりますと、非常に古くから原子力開発の方を進めているというふうに聞いております。一九六八年から計画を進めてきたということでございますけれども、今に至ってもまだ進んでいないというか、これまでその開発計画がいろいろな理由で頓挫してきた事実があるということであります。  これは、なぜトルコはこれまで原子力開発技術が、原子力計画というものが進展してこなかったのか、このことを政府の方はどのようにお考えになられているのかということ、また今回、トルコと二国間協定締結することになりましたけれども、この締結に至った理由、つまり日本原子力技術とかノウハウといったものをトルコの方に差し出して協力させていただくというふうに政府が決断した理由というものをお聞かせ願いたいと思います。
  19. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、トルコでは、一九六〇年代からこれまで五度にわたりまして原子力発電開発計画計画、検討されてきております。  頓挫した理由でございますけれども、七〇年代、八〇年代におけます内政上の混乱、あるいは国際情勢の変化、それから、特に九〇年代後半からは経済危機を受けた建設計画凍結、こういったものがこれまでトルコ原子力発電開発計画が具体化してこなかった原因と分析をしております。  その後、二〇〇二年に、現エルドアン首相率います公正発展党単独政権を樹立をした後、安定した政治運営とともに経済の立て直しにも成功してきております。このエルドアン政権は、改めて原発導入を目指すこととなったということと理解しております。このような中で、日本企業は、トルコ原発導入計画に関心を示してきておりまして、トルコ側からも、特にここ最近のことでございますが、ハイレベルを含む様々な機会におきまして日本との原子力協力に関する期待が表明をされてきたところでございます。  こういったものを背景に、昨年五月の安倍総理トルコ訪問の際に、日本に対しまして、シノップ原発建設プロジェクトに関する排他的交渉権が付与されたところでございます。これを受けまして、トルコ政府日本企業との間でプロジェクト実施条件を定める商業契約締結するよう交渉が行われてまいりまして、これは昨年の十月に大筋合意に至っていると理解しております。
  20. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたように、内政混乱であるとか経済危機、あるいはその他様々な取り巻く国際環境から今まで頓挫してきたことがあるということでございましたけれども、現在においても、このトルコにおける原子力開発計画というのは国内においても様々な意見があるというふうにお聞きしております。  先ほどお聞きいたしました経済危機があったということにも関係あるのかと思いますが、資金の問題であるとかあるいは立地の問題がまだ解決に至っていないということもございますし、また、トルコというのは非常に日本と同じで地震国でございますので、特に一九九九年に起こった北西部の大きな地震、こういったものに対する非常に大きな懸念があるということで、国内からもそれを懸念して反対する声も上がっているというふうに聞いております。  ただ一方で、今回、建設計画されているシノップにおいては、この原子力発電所建設によって雇用の機会も上がるんじゃないか、あるいは政府からの様々な補助金といったものに対する期待も大きいように聞いております。  ただしかし、これはトルコに限らず、日本、全世界において言えることだと思いますけれども、原子力発電所建設において最も大事なものは地元の理解、地元の承諾だというふうに私は考えております。それはまた、原子力発電所というものが長期にわたって稼働するということを前提に造られるものでありますし、非常に大きな危険性を伴うということも一面言えるわけでございますので、地元の協力、地元の理解というものがなければ絶対に進めることができないと思います。  こういった点について、地元の理解を重要なファクターとして捉えて、日本政府としてもこれを受け止めなければいけないと思いますけれども、政府はこの点についてどのようにお考えになられているのかということをお伺いさせていただきたいと思います。
  21. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、これまでもトルコにおける原発建設に関する反対運動などに関する報道はございました。それは私どもも承知をしております。  他方、我が国政府関係者が先方のエネルギー天然資源省、原子力庁といったトルコ政府機関の責任ある幹部、あるいは国会議員等から受けている説明によりますと、シノップ原発建設予定地域の住民は原発建設をおおむね支持をしておられるということでありまして、反対運動は限定的であるという御説明を受けております。  御指摘のとおり、地元の皆様の御理解を得るということは、これはトルコ政府にとっても大変大事な避けて通れない課題でございまして、トルコ政府は、原発建設計画に関する国民の理解を得るために広報、説明などを行ってきているものと聞いております。  今後とも、そういう取組を是非進めていただくように我々も期待いたしますが、我が国としましては、トルコ政府から求められれば、我が国のこれまでの経験に基づいて助言を行うなど、可能な範囲で協力を是非していきたいと考えております。  なお、地元での特別の取組という御質問でございましたけれども、具体的には、トルコエネルギー天然資源省は、国民の御理解を得るためには、インターネット、パンフレットといった媒体によるもののみならず、立地予定地域におきましていわゆる情報センターという常設の施設を造りまして、地元の皆さんへの説明トルコ原子力発電所が必要な理由、こういったものを説明をされ、情報提供を行っておられると理解しております。
  22. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  しっかりと地元の同意、また御理解というものをいただくということは非常に重要だと思いますし、また、日本国内に限らず、これは全世界に対して行うべき義務だというふうにも私は感じますので、しっかりと進めていただきたいと思います。  では、最後になりますけれども、原子力協定の八条、恐らく今日、様々な委員から様々な意見、また質問があろうかと思いますが、私の方からは、前提として入口の質問をさせていただきたいと思います。トルコとの原子力協定について、本協定の適用を受ける核物質トルコにおける濃縮、再処理の禁止に関して、その規定ぶりについてこれから確認していきたいと思います。  実は、既に衆議院においてこの議論がされておりまして、外務大臣の方からも答弁されているところであるというふうにお聞きしておりますけれども、参議院の当委員会においても、非常に重要な条約の部分であろうかと思いますので、いま一度確認する必要があろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。  日本トルコ原子力協定の第八条に、本協定の適用を受ける核物質は、両国政府が書面により合意する限りにおいて、トルコの管轄内において濃縮し又は再処理ができるというふうに規定されています。これが八条でございます。  これまでの我が国締結してきたベトナムやあるいはヨルダンといった国との原子力協定においては、相手国における濃縮や再処理の規制について濃縮、再処理はされないというふうに全面的な否定で規定されていたところでございますけれども、今回トルコとの協定でほかと違う表現が用いられた、つまり両国政府の合意があればできるというふうな書き方がされた、この書きぶりとなった理由、これをまずお聞かせ願いたいと思います。  また、これは非常に重要な核不拡散ということを目的とした原子力協定において、ここの部分が破られてしまうと協定意味が半分なくなってしまうんではないかと思います。そういった意味において、今回のこの八条の規定によって、トルコの濃縮あるいは再処理に関して我が国政府がどのような考え方を持ってこれに臨んでいくのか、こういったことを外務省の方からお聞きしたいと思います。
  23. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 日・トルコ原子力協定第八条について御質問いただきましたが、こうした濃縮、再処理をめぐるこの規定につきましては、我が国としましては、一つは核不拡散観点から、また相手国が濃縮、再処理技術を既に有しているかどうかといった相手国事情、さらには相手国原子力政策、不拡散に対する取組、また我が国との間で想定される原子力協力の具体的対応、さらには国際的な議論、こうした点を考慮しながら総合的に検討していくことになるわけですが、このトルコとの交渉におきまして、我が国はまず基本的にトルコにおける濃縮、再処理、これは認めない、規制する、禁止する、こういった規定を設けるべく取り組む、こういった方針で臨んだ次第です。  そして、交渉を行いました際に、トルコ側からは、まずはトルコ自身がこれまで他の国と結んだ協定の書きぶりとの比較において、さらにはこの規定はトルコにおける濃縮、再処理のみを規制するものでありまして、日本における濃縮、再処理を何ら規制するものではありません。こういった内容であるからして、国内議論において、両国が合意しない限り濃縮、再処理をすることができないという否定的な文言を用いることについて議論があり、こうした否定的な表現について問題があるという指摘トルコ側がしてまいりました。その上で、文言上は、両国が合意する場合に限り濃縮、再処理できるという規定ぶりにしたい、このようにトルコ側は主張してきたところであります。  こうした交渉の経緯をたどったわけですが、我が国としましては、結果として、日本の同意を条件とすることによりまして、トルコにおける濃縮、再処理の禁止という実態は確保できるという判断をした上でこうした書きぶりとなった次第であります。そして、こういった規定に落ち着いたわけですが、基本的に我が国としましてはトルコの濃縮、再処理は認めないということ、これは三回にわたる正式な交渉協定においてトルコ代表団に正式に再三伝えてきているところでありますし、また我が国政府としましても、外務大臣としてこうした濃縮、再処理は認めることはない、これは正式に公表しているところでありますし、また政府のみならず立法府との関係においても、この問題につきまして、我が国として認めることは絶対にないということ、外務大臣として、国会の委員会等に再三出席をさせていただき、これを明らかにし、そしてそれを議事録にとどめさせていただいている、こういったことを行ってきた次第であります。  こうした対応とそして規定ぶりと併せ考えた上で、トルコの濃縮、再処理はあり得ないということを申し上げている次第でございます。
  24. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございました。  私のかみさんと同じ広島県の御出身の岸田大臣におかれましては、特にこの原子力平和利用ということに関して非常に熱い思い、強い思いを持っておられると思います。そういった思いに期待を寄せつつ、しっかりと対応していただけることをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  25. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  今日、四十分ほどの時間でございますが、まず、岸田外務大臣、広島での会議、お疲れさまでございました。先週も質問をさせていただきました。このNPDIの外相会議ということで、いろいろな成果があったと思いますが、このNPDIのNはもちろんニュークリアでございますが、ニュークリアの日本語訳はどういうふうにされますでしょうか。普通は、ニュークリアという英語は日本語で何ておっしゃっていますでしょうか。
  26. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のNPDIのNですが、これはニュークリアではなくして、ノンプロリファレーションのNでございます。
  27. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 改めて、では、ニュークリアという英語は普通日本語で何ておっしゃいますでしょうか。
  28. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 通常はニュークリアを訳する場合、原子力あるいは核、こういった言葉に訳することが多いのではないかと認識をしております。
  29. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 済みません、クイズでやったつもりはございませんで、まさに広島は非核といいますか、核兵器のない世界、あるいは核兵器の非人道性ということが中心で議論されて、今回の原子力協定というのは原子力平和利用、やはり原子力協定というのは、日本はいわゆる軍事的な非核という立場を取りつつ、原子力平和利用ということで外国にどう輸出をするかという意味で、私は今回の原子力協定の議論というのは非常に重要だと。ある意味では、日本はその使い分けといいますか、その両立の中で、いろいろな経緯がある中で今回の状況があるんだろうと。  そういう観点から、済みません、とんちでやったつもりじゃございません、日本語で言うところの核という訳語を使うケースと、それから原子力という同じ日本語で言うケースと両方、日本は両立しているわけですね。そういう意味で重要だろうと思って、そういう観点から今日は質問させていただきたいというふうに思います。  資料を配らせていただきましたが、昨年の十二月に、こちらの松山元外務大臣とフィンランドのオンカロというところを訪問してまいりました。オンカロというのは、昨年八月に小泉元総理が訪問されて、世界で初めての核廃棄物の最終処分場となる現場ということで、オンカロというと、何かマスコミ的にはトイレなきマンションとか、あるいは脱原発といったイメージを先行するんですが、オンカロそのものは原発推進の壮大な実験場所でございます。ただし、行ってみて感じたことは、この原子力という人類の最大の難関の一つに、ある意味じゃ、十万年にわたる合理的で戦略的なプロセスと徹底した情報開示、それから国民理解による自己完結的な取組を国全体でやっているというそのプロセス、私行きまして一番勉強になりました。そういう観点から、また、松山議員からも何かございましたらば、どこかでお話しいただきたいと思いますが、そういう観点からまず質問したいと思います。  まず、これは経産副大臣になると思いますけれども、この間申しましたプロセスですけれども、フィンランドにおきましては、原発の稼働や核廃棄物の処分場建設などの大きな方針に関しては、地元の住民、地元の議会、中央政府、それから国会、それから独立した規制機関という、いろいろな立場のステークホルダーが相互チェックを重層的に、しかも長い間、数十年掛けて認定プロセスをしております。また、研究の方でも、岩盤が固くて地震のない国でありますけれども、地震とか環境とか地球科学の調査、廃棄物の保管方法等、リスク管理も含めて、海外の専門家の協力を得て徹底的な調査を行っております。  私は、日本でも、こうした客観性と透明性を持ったプロセスというものを本当にしっかり構築するということが非常に重要ではないかということが今回行って一番学んだ点でございますが、それについて、赤羽副大臣でしょうか、答弁をいただきたいと思います。
  30. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 御質問どうもありがとうございます。  原子力行政に関しては、藤田委員指摘のように、その意思決定におきまして透明性、また客観的な合理性を高める努力も大変重要であるということ、我々もそう考えております。フィンランドの件もしっかりと研究もしている最中でございますし、これからも継続をしていきたいと、こう考えておりますが、我が国もそれなりの努力しておりますので、まず簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。  特に、三・一一、福島第一原発事故の反省を踏まえまして、一昨年九月に独立した原子力規制委員会が新たに設置をされたところでございます。また、御承知のように、昨年七月には原子力規制について抜本的な見直しが行われまして、これは常に新しい知見が規制に取り入れることができるバックフィットの制度も含めた世界で最も厳しい新規制基準が施行されているところでございます。また、原子力規制委員会におきましては、アメリカ、フランス、イギリスの規制のトップを務めた経験のある三人の方を国際アドバイザーとされて、新たな規制等についての御助言をいただいているところでもございます。  また、再起動についても、原子力規制委員会によって安全性が確認された原発につきましては再稼働を進めていくこととしておりますが、今後、原子力規制委員会によって安全性が確認された段階で、立地自治体等、関係者の理解と協力を得るために、事業者だけではなくて国としてもしっかりと前面に立って説明をしていく決意でございます。  また、最終処分につきましても、その最終処分地の選定ですとか調査区域の選定につきましては、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づきまして、自治体や住民の意見を聴取して、これを尊重するとともに、原子力委員会及び原子力規制委員会の専門的な意見も聞いた上で決定するという、そういう法律上の立て付けとなっております。  しかしながら、この処分制度を創設して以降十年間、処分地選定の調査に着手できないという状況も今現状があるわけでございまして、昨年五月から総合資源エネルギー調査会や最終処分関係閣僚会議におきまして抜本的な取組の見直し、検討を進めているところでございまして、今、中間取りまとめが、その取りまとめの今プロセス中でございますが、いずれにしても多様な立場の住民が参加する地域の合意形成の仕組みをしっかりとしたものを構築しようと考えているところでございます。
  31. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  今幾つか御指摘になった点は後でまた質問をしていきますけれども、これを統括的に束ねて上から下まで浸透するプロセスとチェックの体制がフィンランドと相当違っていると思いますので、是非その点を更に進めていただきたいというふうに思います。  それで、もう一つフィンランドでびっくりしたことは、規制機関が国民からの信頼が非常に高いということでございます。この写真の右上の松山議員と私の間の方がこの規制委員会のトップの方でございますけれども、とにかく原子力、これは推進機関の幹部の方にお会いしたところ、推進機関の幹部がこうおっしゃったんですが、国民の多くは原子力について十分理解しておらず感情レベルでの判断しかできないと、信頼のおける規制機関が原子力を安全と言い切って初めて国民も信用してくれるというふうに。信頼して、このオンカロというところでも、こういう最終処分場のこういう実験の建設が始まるということになっているわけであります。  日本原子力規制委員会は、先ほどおっしゃったような新しい衣替えを昨年して、言わば推進官庁の傘下にあった安全保安院が独立性の高い組織になったわけですが、まだそこまで、フィンランドほどは国民からの信頼が十分ではないかと思うんですけれども。  それで、これは是非、原子力規制委員会、今日は委員長がほかの委員会で出られないということでございますけれども、次長の方からですけれども、実際に原子力規制委員会をやっておられて、このシステムあるいは予算、あるいは行政や立法府からの支援など、どういうふうな支援が必要か、それから、安全性確保するために、どういう専門家を抱えて、あるいは生かそうとしておられるのか、規制委員会の立場からお答えをいただきたいと思います。
  32. 森本英香

    政府参考人(森本英香君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、原子力規制委員会というのは東京電力福島第一発電所事故を踏まえて設置されたわけですけれども、規制委員会というよりも、規制行政そのものにまだ国民からの信頼回復は十分には得られていない、まだ信頼回復の途上にあるというふうに理解しております。  そういった意味で、原子力規制行政の信頼を回復するためには、あくまで科学によって、科学的、技術観点に立って、独立性、中立性、透明性を保って仕事を進めていくということが大事だと考えております。そのために、組織理念をつくりまして、この三点、独立性、中立性、透明性を確保するための理念を規制委員会の中で構築していく、徹底していくという努力を進めてございます。まだそれも途上でございますので、粘り強い努力が必要だと思っています。  こうした今の規制委員会状況を踏まえまして、まずはこういうふうにしたいと考えてございます。  国際原子力機関、IAEAでは、各国原子力規制に係る国の法制度や組織体制などについて総合的なレビューを行っています。総合的規制評価サービスと申し上げておりますが、IRRSと申し上げておりますが、これを受け入れまして、この日本の規制行政がどうかということをしっかり見ていただくと。また、その上で、例えば組織体制あるいは法制度、あるいは予算、体制、今、先ほど先生がおっしゃったようなことについてどうかということについても国際的な目で評価をしていただきたいというふうに考えております。  それにつきましては、先生からの御指摘もございましたが、内閣あるいは国会からの御支援も得て、そういった体制の強化というものを進めていきたいというふうに考えてございます。
  33. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 先ほどの後半の質問の専門性の件ですが、例えばアメリカの規制委員会の場合には元々海軍の専門家が相当入っていると。日本の場合に、いわゆる専門性のレベルについても、実はIAEAの方から数年前にちょっとレベルが違うんじゃないかという御指摘もありましたが、昨年以来の改編によって保安院の方がかなり移ってきていらっしゃいますけれども、その専門性の向上、あるいはそのための人材供給の方法等については何か動きがあったんでしょうか。
  34. 森本英香

    政府参考人(森本英香君) 失礼いたしました。  その点につきましては、今年の三月一日に、JNES、規制委員会の傘下の技術サポート機関でございますが、JNESを規制委員会に統合しまして内製化いたしました。それによって、人員としては約千人弱の体制になっております。JNESの職員につきましては、これは専門性を持って活動してきた研究あるいは専門家の集団でございますので、そういった能力も活用して進めていきたいと考えています。  また、現在、中途採用、新規採用を進めておりますけれども、電力事業者等で頑張られた方、ノーリターンを前提として採用しまして、そういった専門性も導入したいと考えています。  また、今年からでございますけれども、新規採用に当たって原子力専門の採用を追加いたしまして、原子力の勉強をしてきた方を採っていく、採用していくということも進めていきたいというふうに考えています。もちろん、今後、研修あるいはオン・ザ・ジョブ・トレーニングを含めた取組は進めていきたいというふうに考えてございます。
  35. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  それからもう一つ、フィンランドを訪問してびっくりしたことがあるんですが、この資料に載せております写真の下の二枚ですけれども、実はこれ、元々は電力会社が造ったオンカロを管理する事業会社の社長さんが右側の真ん中におりまして、それから左側は、私の左側がこの社長さん、自ら地下まで一緒に入っていただいたんですけれども、この方が、松山議員と聞いていて私びっくりしたのは、非常に透明性を大変熱心にやっていらっしゃると。こういうことをおっしゃったんですが、見学者に対して無理に説得をしようとするのではなくて現場そのままを見てもらう。これは、このオンカロだけじゃなくて原発そのものもですね。見てもらってその解釈は見た人に任せる方がいいと。いずれにしても原子力に反対する人はいるが、それらの人々の意見を謙虚に聞いて我々が安全について最善を尽くすことが重要であると。つまり、説得するんじゃなくて見てもらうということでございました。  こういう、何といいますか、本当に透明性を徹底する。ですから、何かいろんな委員会があって、何かやらせの人が来ていたんじゃないかなんて話もありましたけれども、そういうことではなくて、とにかく全部見てもらうことが、国民の支持が最大の武器なんだということもおっしゃっておられましたが、この点について、これは赤羽副大臣、お答えいただきたいと思います。
  36. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 私は、経済産業大臣ではありますけれども、同時に福島原子力災害の現地対策本部長でございまして、就任直後の昨年一月二日から、原則毎週二日、福島第一原発の被害地域に足を運んで仕事をさせていただいております。  この四月一日に田村市の都路地区というところが初めて避難指示解除ということで、いよいよ復興の加速という局面にはなりつつあるものの、やはり被害を受けられた住民の皆さん、地元の皆さんの原発政策そのものに対しての正しい御理解というのがどれほどまで得られていたのかなということ、これが一番のふるさと帰還のネックになっております。改めて、昨日もそういう評議会を、福島評議会をしてきたわけでございますが、事故の起こる前から、平時からこの福島第一原発の実態、また放射能の正しい怖さといったものを、そういう教育というか啓蒙をもっとするべきではなかったかということの御指摘もございました。  この四月から全国の小中高校に副読本として放射能に関する副教材を文科省が配付をさせていただきましたが、それだけでは十分ではなくて、平素からこの放射能のことについて正しい御理解を得られるということが、ちょっと直接の答弁になっていないかもしれませんが、そういったことを感じておるところでございます。  そうしたことを踏まえて、今回のエネルギー基本計画の中でも原子力施設立地地域の情報共有の在り方につきまして特段表記をさせていただいていますが、諸外国の例も参考にしながら、国がより積極的に関与し、住民を始めとする多様なステークホルダーとの丁寧な対話や情報共有のための取組強化等により、地域における情報共有の強化に向けて必要な措置を講ずるとさせていただいているところでございまして、この計画どおり、ありのままに、何か隠蔽ととかく言われがちなことを、これを反省をしながらしっかりした行政を進めていくように努力していきたいと、こう考えております。
  37. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 是非そういう方針で進めていただきたいと思いますが、要はその方針が末端の作業員の方、あるいは地域の出入りしている方等まで徹底する方式、チェック、そういった体制を併せて、その辺が私やっぱりヨーロッパはよくやっているなという感じがいたしますので、その辺の方法論まで含めて是非生かしていただきたいというふうに思います。  ところで、規制委員会がそういうわけで去年からいろいろやってきているんですが、若干気になりますのは、最近、規制委員会に対して何か結果的に圧力になっているのかなというような言動が気になっております。  これは、経済産業大臣の発言とか与党幹部の方が規制委員会の方にお会いになったというようなこと、現象的なこともさることながら、先週できましたエネルギー基本計画の改定もある意味では圧力とも取れる見方もあるのでお聞きしたいんですが、私、この間アメリカに参ったときに、アメリカのNRCの元委員長二人と会ってまいりました。一人はメザーブさんという、先ほどおっしゃった規制委員会の三人の国際アドバイザーの一人で、何回かお会いした方で、もう一人はヤツコさんという最近の委員長さんであります。  ヤツコさん、雑誌のインタビューでこういうこと言っているんですが、原子力をベースロード電源と位置付けると、ほかに解釈の余地がなく再稼働と感じてしまうと。それからもう一つ、選択肢があって初めて安全性を重視した判断ができる、選択肢がないと違うんだと言うんですね。それから、政府は、今回の計画を改定するに当たって、かつての規制基準で建設した現在の原発が全て新規制基準を満たさず、一つも再稼働できない状況があり得ることを想定しているのかと。  安全であることを前提に重要なベースロード電源として位置付けると、結局は原子力規制委員会が全ての原発の再稼働を不可とする余地がなくなってしまうのではないかという議論でございますが、これについて、赤羽さんですかね、お答えいただきたいと思います。
  38. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) この点の今の御指摘は、全くの私は杞憂というか、全く我々そういうことは考えておりません。何回も国会で答弁させていただいておりますが、今の日本原発につきましては、いかなる事情よりも安全性を最優先にすると。独立した原子力規制委員会によりまして、世界で最も厳しい新規制基準に適合すると認められない限り再稼働はないと。これはもう確固たる方針でございまして、このこととエネルギー基本計画云々という、ヤツコ元委員長、ちょっとヤツコさんの今回のこの発言、私は具体的には承知をしておりませんが、こうしたことは全く当たらないと、こう考えております。  一般的に、このベースロード電源というのは専門用語でございまして、低廉で安定的に発電することができて昼夜問わずに継続的に稼働できる電源のことということで、具体的には、我が国では、原子力だけではございませんで、石炭火力、一般水力、地熱がベースロード電源としているところでございます。そうしたベースロード電源とは何か、ミドル電源とは何かといったことの表記はされている箇所はありますが、このことと原発再稼働は全く連関するものではございません。
  39. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 それでは、念のため、この二十一ページに、「運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。」という部分を、これ、こういったものは多分英語作っていらっしゃると思いますから、ちょっと出していただいて、それを少し説明されたらいいと思いますね。このまま読むと、多分ヤツコさんの、英語で読むと、なってしまう可能性があると思いますので、それをやはりそういうことをおっしゃるのであるならば徹底をしていただきたいというふうに思います。  それから、時間の関係で、最終処分のことについてお話ししたいと思いますけれども、さっきちょっと赤羽副大臣おっしゃった中で、去年からとおっしゃったのは、今まで日本政府は基本的に再処理をした上で地層処分という基本方針で来たんですが、いわゆる直接処分の調査研究に着手したというのは、先ほどおっしゃった去年が初めてという理解でよろしいんでしょうか。
  40. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 最終処分につきましては、中長期的な対応を柔軟性の観点から検討しなければいけないということで、平成二十五年度より経産省及び文科省におきまして直接処分が我が国技術的に実現可能かを確認するための調査研究に着手したところでございます。  先ほど申し上げましたのは、総合資源エネルギー調査会というところで、処分制度を創設して十年間たってもなかなか処分地の選定、着手がままならないという状況の中で、我が省の中でどうあるべきかという、審議会で御議論を進めていただいているということでございます。
  41. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 いずれにしても、多分ちょっと今まで固まり過ぎてきたんじゃないかなという感じがしまして、フィンランドの場合には、御承知のとおり、使用済核燃料というのは再処理をしても高い放射線を出し続けるので、結局は最終処分場に隔離しなければいけないということですから、であるならば、やはり最終処分ということについては考えてこなければいけなかったと。  しかも、勉強してみましたところ、フィンランドがこういうふうに至った経緯というのは、OECDの、一九九五年ですが、その地層処分の環境的及び倫理的基礎という論文が出ておりまして、それによりますと、核廃棄物を生み出した者こそが責任を取るべきであり、未来世代に過度の負担を強いることのないような方法でこれらの物資を管理するために資源を提供すべきであると、これはOECDの一つ。もう一つのOECDの提案の考え方は、廃棄物管理の方法は、社会構造が遠い未来まで安定しているという想定や、技術は進歩し続けるという想定に基づくべきではないと。だから、安全状況を後世に残すよう目指すべきであると。  こういう考え方から直接処分ということを言っているわけですけれども、ですから、やっぱりこの直接処分についての検討をすべきだろうと思いますし、それと、基本的にこの直接処分と再処理による地層処分と経済的にどちらが合理性があるか、優位性があるかという比較の根拠を答えていただきたいと思います。
  42. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題は、今、藤田委員指摘のように、次世代に先送りできない国家的な課題であると、こういった認識は私たちも全く一緒でございますし、フィンランドを始めとする諸外国と同じく、我が国も長期にわたる人的管理によらない最終処分を目指すこととしております。  今御質問の直接処分についての経済性、コスト面でいきますと、これ、福島第一原発事故後の二〇一一年十二月に試算を行いました。これはキロワット・アワー当たり約一・〇円のコストとされておりまして、一方、核燃料サイクルにつきましては約一・四円のコストとしております。  こうしたコストの比較という意味では、直接処分の方が優位性も若干あります。加えて言うならば、核不拡散という観点からも、私たちも別にその点を否定するわけじゃございませんが、一方では、再処理によるガラス固化体の地層処分と比べまして、使用済燃料をそのまま容器、キャニスターに封入して地層処分を行うこととなるため、放射性物質の閉じ込める性能が劣ることはどうするのかといったことですとか、あと、天然ウラン並みになるまでの期間が、直接処分の場合は約十万年、再処理にするとそれが八千年、また高速炉に限ると約三百年ということになったり、この高レベル放射性廃棄物の減容とか有害化の低減といった様々な課題も検討しなければいけないというふうに認識をしております。  フィンランドはこういう決定をしておりますが、関係各国、まだまだ最終的な決着が付いていないところも多いわけでございまして、別にこれ否定するものではございませんので、日本もこの最終処分に向けてしっかりとした幅広い、また柔軟な議論、検討を行い、しかるべき方針を確立していきたいと、こう考えております。
  43. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今その減容化のようなお話されましたが、副大臣というか公明党さんは「もんじゅ」についてどうお考えなんですか。
  44. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 今回の公明党の公約も、今回のエネルギー基本計画の「もんじゅ」の部分と基本的に変わりはございません。  ちょっと読まさせていただいてよろしいですか。「もんじゅ」につきましては、廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点と位置付けまして、これまでの取組の反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行い、「もんじゅ」研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、そのため実施体制の再整備や新規制基準への対応など克服しなければならない課題について、これは国の責任の下、十分な対応を進めるということがエネルギー基本計画で、政府・与党の中での議論として合意をされてこうなったものでございます。  このことは公明党の公約と相反しているというふうな認識ではおりません。
  45. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 また、それは後でお聞きしたいと思いますが、時間の関係で、原子力規制委員会が高い基準だと言っているわけですが、一方、避難計画の策定は原子力の設置や稼働の条件となっていないわけですね。アメリカなんかでは、原子力事業者も防災計画の作成の主体として位置付けられているというふうに聞いております。今日は欠席でございますが、原子力規制委員会の田中委員長もこんなことをおっしゃっているようですが、避難計画策定は原発再稼働に不可欠であるというような発言をされておられると。  実際に再稼働を許可する立場にある原子力規制委員会がこの避難計画の策定を再稼働の条件とすることについてどのように考えているのか、これは規制委員会の方からお答えいただきたいと思います。
  46. 森本英香

    政府参考人(森本英香君) お答えいたします。  原子力規制委員会は、炉規制法に基づきまして規制基準を策定いたしまして、その規制基準との適合性、これを審査しているということでございます。したがいまして、再稼働そのものについて許可するという立場ではございませんので、それについてコメントすることは難しいかと承知してございます。  その上で、地域の防災計画あるいは避難計画というのは、その原子力発電所が稼働しているか否かにかかわらず策定すべきもので、それにつきましては地域の実情というものを踏まえて災害対策基本法に基づいて県や市町村が作成される、その際に自治体の防災会議において内容の検討をされると、こういうメカニズムになっております。  もちろん、国としてこれをバックアップすることは重要ということで、まず規制委員会原子力災害対策指針を作り、専門的、技術的事項を定めていくのが役割、また政府全体として原子力防災会議の下で自治体を支援していくということが役割でございます。そういった意味で、国がバックアップするということは、今の制度でも肝要かというふうに考えてございます。
  47. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 バックアップすることも可能だということと実際そうするかというのの違いと、それからやっぱり規制委員会の判断というものがかなりいろいろマスコミ等も含めて影響を与えているという、その部分についてはどうお考えかということと、規制委員会にそういう条件、つまり基準が再稼働そのものではないということは、ほかの規制機関、ほかの国と比較してどう違うんでしょうか、あるいは同じでしょうか。
  48. 森本英香

    政府参考人(森本英香君) 繰り返しになりますけれども、規制委員会の法律上の役割というのが、炉規制法に基づく規制基準の適合性でございまして、再稼働そのものの判断をするという立場でないことは御理解いただきたいというふうに考えております。  また、今先生御指摘の外国の状況でございますが、御指摘のように、アメリカの場合、アメリカではNRC、原子力規制委員会と、FEMA、連邦緊急事態管理庁が緊急時計画の基準を提示して、そして原子力発電所の最初の稼働を許可する際に、FEMAの評価に基づいて、規制委員会、NRCが事業者や自治体の緊急時計画審査するという制度になっているのは私ども承知してございます。一方、イギリスやフランスでは、オフサイトの緊急時計画については各自治体が作成することになっており、特に原子力発電所の稼働要件とはなっておらないということで、各国それぞれあるというふうに認識してございます。
  49. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 それで、その自治体の場合なんですが、日本の場合、今のところは都道府県や市町村が避難計画を策定することになっておりまして、国はあくまでも支援ということで、策定された計画審査することもないと。  昨年九月、国の方は支援を強化すると決定しているわけですが、その避難計画がちゃんと充実しているのかということに懸念があるわけです。実効性があるかどうかということは自治体自身もなかなか確認しても十分な信頼を得られないというふうに認識をしておりましたところ、先週十一日に国会内で、こういう避難計画の策定に心配する自治体の全国の首長さんたちが集まったそうですが、その中の意見として次のようなことが報道されております。  一つは、巨大な人口の避難策の見通しが付かず、県の広域避難計画も策定できていない、それから、国や県は情報伝達、情報提供の在り方を洗い直す必要がある、それから、物資供給体制を市町村に丸投げせず検討してほしい、それから、策定自体非常に難しいというような意見が相次いだと報道されているんですが、たまたまこの報道をされているのが私の茨城県。茨城県というのは、たまたま東海村から三十キロ圏内に百万人という一番人口密度が高いところでございますが、その辺の自治体の首長さんがこういうことをおっしゃっているんですが。  もう少し国が実質的に審査していく方法を導入すべきじゃないかと思いますけれども、これは内閣府の副大臣、お願いいたします。
  50. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) お答えいたします。  先ほどの規制委員会の答弁と若干重なるところもありますが、まず地域の防災計画や避難計画、これは例えばどの地区ごとに避難を行うのかといった避難の実施単位や、また避難先、避難経路などを定めるものであって、地域の様々な事情を踏まえて作成されることが適当と考えております。このため、県や市町村が作成することとなっており、各自治体の防災会議において内容の検討を行っております。そして、その実効性は訓練の実施とその結果を踏まえた計画や体制の継続的な充実強化により確保をしていくものであり、事前準備の段階から国は物心両面でしっかりと自治体を支えていく必要があると考えております。  また、御指摘のように、避難計画を策定する際に、対象人口が多く、避難先の調整などに苦労されている自治体があるということも承知をしております。  政府といたしましては、地域ごとに国のワーキングチームを設け、関係省庁挙げて自治体の取組への支援を行っており、原子力防災会議においても各地域の進捗状況を確認しております。避難計画ができていない地域に対しては、策定支援とそのフォローアップもしっかり進めてまいります。
  51. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 何か作文と丸投げという感じでございまして、先ほどアメリカとの比較で、FEMAがあってNRCがある、日本がないということの差は非常に大きいんだろうと思いますが、FEMAがないならば、せめて関係省庁ということじゃなくて、始まったときに、大臣がこの指揮系統において、その協議には全ての、例えば医師会から警察から何から入っていてぱっと動くぐらいの体制はマニュアルとして出ているぐらいのことをやっていただかないと、地方の首長さんたちはとてもとてもというのが先ほど紹介した現状だろうと思いますので、これを少し徹底をしていただきたいというふうに思います。  時間がないので次に行きます。  同じようなことですが、この資料の二ページ目を御覧いただきたいと思います。これは、昨年も岸田外務大臣にちょっとこれ示したことがあるんですが、実はIAEA、去年行ったときにびっくりしたんですが、IAEAに対する日本の省庁の窓口を列記した資料によりますと、このようにこんなにたくさんの日本の機関がIAEAを担当しているんです。  アメリカの、別にアメリカばかり言うわけじゃないんですけれども、例えばアメリカも、それはいろんな省庁があるけれども、エネルギー省と原子力規制委員会がこの窓口になってやっていると。来週のオバマ訪日を実はアメリカは国務省じゃなくてホワイトハウスがやっていたと同じようなことですけれども、やはり日本の場合も、例えばNSCがやるぐらいの、これ原子力の問題ですから、しかも、先ほど申しました核と原子力両方関わることですから、こういう何かまとまった政府の体制をつくる、原子力行政そのものですね、そういう時期に来ているのではないかと思いますけれども。  今日はお出になっておられますのは岸田大臣でありますし、IAEAはまさに外務省が窓口にもなっていらっしゃるものですから、少しそういう行政上の整理統合、有機化ということの必要性を感じるのですが、いかがでしょうか。
  52. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、原子力行政につきましては複数の省庁が関係している、これは事実でございます。その中で、御指摘のIAEAとの関係ですが、IAEAの事務に関しましては外務省が関係省庁と連携しつつウィーン代表部との連絡調整も含めて対応する、こうした外務省が連絡調整を行うという体制になっていると承知をしております。ですから、IAEAの事務あるいは対応につきましては、外務省、そういった立場にあると認識しておりますので、是非混乱が生じないようにしっかりと連絡調整をしなければならないと考えております。  外務大臣の立場としては、この御指摘の中でIAEAの部分につきまして申し上げさせていただきました。
  53. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 現場の連絡調整じゃなくて、基の方の連絡調整が必要だということを申し上げておきたいと思います。  時間の関係で、済みません、協定そのもので一つ。  トルコに関してですけれども、外務大臣トルコにおける地震等に対する安全確保に関して、衆議院委員会の方で、トルコの災害緊急事態管理庁とか国立地震モニタリングセンターとか、ボアジチ大学カンデリ地震観測研究所などの数値を基に安全確保ができたというふうにおっしゃっていますけれども、それは、そういうトルコの機関が言っているんですが、その数値に対する、あるいは検証に対する客観性、日本政府はどうやって確認をされたんでしょうか。
  54. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、日・トルコ原子力協定の中においては、国際的な原子力安全条約の義務に従って行動する、こうした条文を設けております。そして、第一義的には、原子力の安全確保につきましては相手国政府の責任において判断するということでありますが、トルコにおいての様々な調査、御指摘の調査等がありますが、そういった調査について改めて我が国として検証はしておりませんが、これはトルコ政府あるいは地震モニタリングセンターなど、これはしかるべき組織が行った調査だと認識をしております。  我が国としましては、我が国の持つ教訓あるいは経験、こうしたものをそうした様々なトルコの調査等も踏まえながらしっかりと共有していき、原子力安全に貢献していく立場だと認識をしております。  そして、トルコにつきましては地震国ではないかという指摘、再三いただいております。そういった点も勘案しまして、今回の日・トルコ原子力協定におきましては、協定発足後もしっかりと原子力安全に関する協議を定期的に行っていく、こうした規定も設けております。  是非こうした枠組みもしっかりと活用しながら、我が国としましてはしっかりと原子力安全に貢献していきたいと考えています。
  55. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間がなくなりました。  非核という核の部分と平和利用という部分、加えて福島原発経験があったというその反省、そういったものがしっかり体制としてできるような、作文はいろいろ、あるいは努力はされておりますが、それが徹底する部分についてのプロジェクトマネジメントをしっかり政府としてやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  56. 石川博崇

    ○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。  本日は、トルコ及びアラブ首長国連邦との原子力協定に関する質疑ということで、早速質問に入らせていただきたいと思います。  まず、トルコとの関係でございますが、トルコは二〇二三年までに国内電力需要の五%を原子力発電で賄う計画を立てておりまして、そのために八基の原子炉を建設予定でございます。アックユそれからシノップにそれぞれ四基ずつということで、このシノップの四基について、昨年、安倍総理が五月、十月とトルコを訪問され、日本企業に対する排他的交渉権が付与され、その後十月には大枠合意に至ったわけでございます。  今後この商業ベースの交渉も具体化していくと思いますが、私は、今後こうした形で日本企業トルコにおける原子力発電建設に関与していく上で最も重要になってくるのは、トルコ国内における人材育成であろうかというふうに思います。  今回の日・トルコ原子力協定には、その意味で、協力内容としまして、第二条の一項におきまして専門家及び研修生の交換についての規定がなされているところを、私はこの協定内容の部分として評価をしたいと思っております。人材育成という土台からしっかり日本として相手国に関与していくということは、両国間の関係を深めていく上でも大事なことでございます。  日本政府は、様々な、建設あるいは運転、管理、規制といった分野で、それぞれの所管官庁が有している、原子力国際協力センターや原子力安全基盤機構等の機構において海外の研修生を受け入れているというふうに思いますが、今後、トルコからのこうした研修生の受入れ、人材育成をどのように規模分野、体制を組んで行っていくのか、お伺いをしたいと思います。
  57. 北野充

    政府参考人北野充君) お答え申し上げます。  我が国各国原子力協力を行う際には、何回か御答弁させていただいておりますけれども、原子力平和利用における三つのS、すなわち、不拡散セーフガードのSでございます、それから安全、セーフティーのSでございます、それからセキュリティー、このS、この三つのSというものを重視をしておりまして、これらの分野における国際的な枠組み強化ということを取り組んでいるところでございます。  各国原子力協力を行う際にこの三つのSの推進を行うという際に、人材の育成といいますものは、今委員からも御指摘があるように、大変重要なものだというふうに考えております。これまで、我が国といたしまして、様々な分野各国協力をすることができるそのような技術、それからノウハウというものを有しておるところでございますので、例えばトルコ、それからUAE、またベトナム、ヨルダンなど、各国との間で人材育成というふうなことをこれまでやってきているところでございます。  核不拡散核セキュリティー分野、また放射線の利用技術、それから原子力発電所の安全規制、防災、それから安全審査など様々な分野で取り組んできてございますので、これからも、各国のニーズを十分踏まえながら、このような分野は重視していきたいと考えております。
  58. 石川博崇

    ○石川博崇君 今後、トルコとの人材育成協力について積極的にやりたいという意気込みの表明はあったんですけれども、具体的な説明がないわけですよね。是非、これは極めて重要な分野だと思っております。仮にも日本企業が今後関与していくトルコにおける原子力発電所においてヒューマンエラーに基づくような原子力事故があるようなことが決してないように、人材育成に徹底していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  その上で、安倍総理、昨年二度トルコを訪問され、またエルドアン首相も訪日され首脳会談を重ねてこられているわけですけれども、トルコもこの人材育成については大変高い関心を持っているというふうに認識をしております。特に総理との合意内容の中で、日本トルコの共同による科学技術大学を設立をするということが先方からの強い意向で示され、これに合意をされたところでございます。  この科学技術大学は、原子力分野の専門家育成も含むものと理解をしておりますので、是非この大学の設立を通じて人材育成にも寄与していただきたいというふうに思いますが、この設立に向けた今の準備状況を御説明いただけますでしょうか。
  59. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、昨年五月、安倍総理トルコを訪問された際に署名いたしました日本国とトルコ共和国の戦略的パートナーシップの構築に関する共同宣言、これにおきまして原子力分野を特記しまして、その原子力分野の専門家育成を含む科学技術に関する国際大学の設立に向けて協力を加速化することが明記されております。  これを受けまして、双方の有識者から成る検討委員会を設立をしておりまして、既に今まで二回、合同委員会の開催を行って、大学設立に向けた検討の具体化を進めております。また、本年一月、エルドアン首相が日本を訪日された際には、こういった動きを踏まえまして、大学に関する協力覚書も署名をしたところでございます。  今後、両国の検討委員会の議論を通じまして、可能な限り早期に、これは具体的な時期が明示されているわけではございませんけれども、できるだけ早く大学設置の準備に向けた提言を行っていただくように、引き続き検討をお願いしているところでございます。
  60. 石川博崇

    ○石川博崇君 トルコでは、アックユにおける原子力発電所開発が、二〇一九年に第一号機が稼働予定と、そしてシノップ原発については、二〇二三年、トルコ建国百周年のときでしょうか、このときに一号機が稼働予定というふうに伺っております。そういう意味でも、スケジュールとして是非この大学の準備を加速化していただくことが重要ではないかというふうに思っております。  ちなみに、これまで日本はベトナム、ヨルダンとも原子力協定締結をしておりまして、その中でも研修生の受入れという文言が盛り込まれているかと思いますが、このベトナム、ヨルダンとの研修生の協力状況、今現状はどうなっているか御説明いただけますでしょうか。
  61. 北野充

    政府参考人北野充君) お答え申し上げます。  まず、両国共に共通して行っていることとして、核不拡散核セキュリティー分野というのがございます。核セキュリティー、それから保障措置、計量管理制度、不拡散に関する国際的な枠組み、このような取組を行っておりますので、この取組、今御指摘いただきましたベトナム、ヨルダン、いずれとも行っているものでございます。  さらに、それぞれベトナム、ヨルダンと今申し上げた分野以外に行っている分野を申し上げますと、ベトナムにつきましては、放射線利用技術に関する研修、原子力発電所の安全規制、防災などについての講義、模擬安全審査原子力規制に関する研修、それから原子力発電所における運転管理研修、原子力発電実務者育成に関する研修などを行っております。ヨルダンにつきましては、福島事故を受けた対応及び緊急時の対策などに関する研修を行っておりまして、原子力安全分野というところに重視を置いているところでございます。
  62. 石川博崇

    ○石川博崇君 ベトナム、ヨルダンとも、締結した後研修生の受入れが進んでいるというお話でございますが、一点残念なのは、本日審議に上っておりますUAEとの原子力協定にはこの研修生の交換についての規定がありません、専門家の交換ということはあるんですけれども。  UAEにおいてもやはり、韓国が受注をしたという状況で、今、現時点では日本企業が直接原子力資機材の分野での協力関係というのはないわけでございますが、しかし、ア首連、アラブ首長国連邦においても人材育成というのは極めて重要だというふうに思っておりますし、今後も、アラブ首長国連邦は二〇二〇年までに国内電力需要の二五%を原子力発電で賄うことを目指すとされておりまして、更なる建設計画があるとも言われております。  今回、アラブ首長国連邦との間の協定で研修生の協力についてどうして盛り込まれなかったのか、是非御説明をいただきたいというふうに思いますし、また、我が国は、福島第一原発事故を踏まえれば、この教訓各国としっかり共有をしていく、そして原子力安全、あるいは不拡散、そして核セキュリティーといった、今御説明があった3Sの分野についてしっかりと各国に対して働きかけをしていくという毅然たる態度を今後の原子力協定交渉においても示していくべきではないかというふうに思っております。  このUAEに対する人材育成についてどのようにお考えか、御説明をお願い申し上げます。
  63. 北野充

    政府参考人北野充君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘ございますように、日本UAEとの原子力協定の下での協力分野に関する規定におきまして、御指摘のとおり、研修生という文言が特に明記をされていないということは委員指摘のとおりでございます。一方、協力分野として専門家の交換ということが規定をされておりまして、専門家に該当する者ということで読み込めるものであれば、UAEとの間でも研修生の受入れといったことを通ずる人材育成を行うことは可能でございます。  今御指摘いただいておりますように、人材の交流ということは、原子力協定におきます原子力協力の際の非常に重要な分野であるというふうに考えております。これまで各国と様々な原子力協定を結んできておりますけれども、その中で専門家の交換ということを規定をして人材の交流を行ってきている例は多々ございまして、その中でも、やはり専門家ということで観念することができるものにつきましては、研修生の交換というのもその中で読み込んで行うことができるというふうに考えてございます。  いずれにいたしましても、我が国として原子力分野における人材育成というのは非常に重要であるというふうに考えておりますので、UAEとの間でも、先方の要請を踏まえまして今後具体的な協力の在り方を検討していきたいというふうに考えております。
  64. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 委員の方から3Sの重要性について御指摘がありましたので、一言だけ付け加えさせていただきます。  御指摘のように、原子力平和利用における3S、不拡散のための保障措置と、原子力安全と、そして核セキュリティー、この三つ考え方の重要性、十分認識しておりますし、我が国としましても、様々な枠組みを通じましてこの3Sをしっかりと強化していく、こういった取組を行っております。  今回の原子力協定の中においても、平和利用あるいは不拡散、これを法的な枠組みにしっかりとはめ込むという内容になっているわけですし、また、原子力安全につきましても、国際的な原子力安全関連条約の義務に従って行動すると、こういった内容を盛り込んでいるということで、この3Sをしっかりと重視しながら内容を吟味してきた、こういったことであります。  是非、引き続きまして、この御指摘の3Sの重要性を念頭にしっかりと貢献していきたいと考えております。
  65. 石川博崇

    ○石川博崇君 私は、原子力協定日本各国と結んでいく最大の意義は何かといいますと、今まさに大臣がおっしゃっていただいた、各国に対して3S、セーフガードセキュリティー、そしてセーフティーといったこの保障措置原子力安全、核セキュリティーに関する、各国を重要な国際レジームに巻き込んでいく、この国際原子力協定を通じて、これをてこにして国際レジームにしっかりと巻き込んでいくという大きな意義があるのではないかというふうに思っております。  そういう意味で、トルコとの協定あるいはアラブ首長国連邦との協定でもこの3Sについての規定がなされているわけでございますが、衆議院でも若干懸念が示されている点があるのは、トルコとの今回の原子力協定の中で、原子力安全の確保につきましては、原子力安全関連条約というのは四つの条約がございます。この四つの条約の中で、トルコは現在、放射性廃棄物等安全条約を締結していない状況でございます。私の理解する限り、これまで日本原子力協定を結んだ国との間でこの四つの条約を締結していない国と原子力協定を結んだことは極めて少なかったのではないかというふうに思っております。  トルコは、この放射性廃棄物等安全条約の締結について国内手続中であるというふうに承知しておりますけれども、今後とも、トルコが一日も早くこの締結手続を加速するよう働きかけを継続していくべきではないかというふうに思いますが、外務省の見解を求めます。
  66. 北野充

    政府参考人北野充君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘いただきましたように、我が国として、各国原子力協力を行い、また原子力協定締結する際に相手国における原子力安全の取組の強化を求めていくということは、非常に大事なポイントであるというふうに考えておりまして、先ほど大臣からも御答弁あったとおりでございます。  その観点におきまして、関連の条約、これも今委員から御指摘がありましたように四つの条約がございますので、この四つの条約の実施をしっかりと求めていくということは、私どもとしてこれまでもやってきたし今後もやっていきたいということでございます。  トルコにつきましては、今委員からも御指摘ございましたように、放射性廃棄物等安全条約につきまして今国内で手続中ということで、いまだ締結まで至っておりませんけれども、これまでもこの協定交渉を通じてトルコ側に働きかけをしてきたところでございますし、また、今後も是非我々としてトルコ側にこれを求めていきたいというふうに考えてございます。
  67. 石川博崇

    ○石川博崇君 今、国会に提出されて承認手続中ということでございますが、仮にトルコ国内でこの放射性廃棄物等安全条約を締結しない状況原子力発電所建設作業が進められた場合、トルコにおける放射性廃棄物の安全性というのはどのように確保されるのか御説明いただけますでしょうか。
  68. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  まず、一般論で申し上げますと、使用済みの燃料あるいは放射性廃棄物の最終処分地の確保というのは、いかなる原子力発電所を有するいかなる国におきましても大変大きな課題であるということは私どもも認識をしております。  現状、トルコ計画されておりますシノップ原子力発電所における使用済核燃料及び放射性廃棄物の最終処分につきましては、これはトルコ政府が責任を負うということが今までの日・トルコ政府間の協議において確認をされているところでございます。かように、トルコ我が国の双方とも最終処分の重要性については深く認識をしておるところでございまして、我が国の最終処分地についても鋭意検討が行われているところでございまして、我が国としては、相手国から求められれば、これまでの経験に基づいて助言を行うなど、可能な範囲で協力をしていきたいと思っております。  具体的にトルコの中で今、最終処分地についての検討が結論を得たと、そういう状況にないということは事実でございます。  以上です。
  69. 石川博崇

    ○石川博崇君 今後、トルコが国内手続をどう進めるのか、あるいは最終処分についてどういう判断をしていくのか見守るということだというふうに思いますが、今回の日・トルコ原子力協定の第五条四項には、両国政府は、原子力事故に係る準備及び対応を含む原子力の安全を向上させるため、定期的に両国政府間で協議を行うことができるとされております。  こうした定期的な協議の場を通じても、しっかりと日本のこのセーフティーに関する考え方、あるいは条約の締結の重要性等を訴えていくべきだというふうに思いますけれども、この定期協議、具体的に協議を行う予定等はあるのでしょうか。
  70. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の二国間のこの定期協議ですが、トルコで地震が発生する可能性、あるいはトルコにおける具体的なプロジェクトが想定されたことなどを考慮しつつ、こうした定期的な二国間協議を行う規定を設けた次第であります。  是非、トルコとの原子力協定を進めるに当たりまして、しっかりと安全確保がされなければならないと考えておりますし、具体的な協議の方針につきましても検討していきたいと考えておりますが、御指摘の放射性廃棄物安全条約締結につきましても、トルコの国内手続が今後遅れるようなことがあれば、この定期協議の場をしっかりと活用してトルコ側に働きかけていきたいと考えております。  ただ、この具体的な協議の持ち方等については、今時点まだ検討中ということでありまして、是非、トルコ側の要望も踏まえつつ、具体的な協議の枠組み、その頻度ですとか参加メンバーですとか、こういったものをしっかりと決めていきたいと考えております。
  71. 石川博崇

    ○石川博崇君 是非この点はしっかり、今後ともトルコとの関係で日本のこのセーフティーに関する関心の高さということを示していっていただきたいというふうに思っております。  今るる、3Sのうちの一つ目のS、すなわちセーフティー、原子力安全についてお伺いをしてきたわけでございますが、続きまして二つ目のSでありますセキュリティーについてお伺いをしたいと思います。  先月、ハーグにおきまして核セキュリティ・サミットが開催され、国際社会でも核テロの脅威というものが極めて強く認識され、核セキュリティーの重要性に対する意識というものが高まっているところでございます。安倍総理も御出席いただいたところでございますが、今回の原子力協定におきましてもこの核セキュリティー確保については規定がございまして、核物質防護条約や核テロリズム防止条約に従って行動するということが求められているところでございます。我が国核物質防護条約については改正核物質防護条約に署名し、今、国会に提出されて批准作業が進んでいるところで、我が国も改正された核物質防護条約については締結に向かって進んでいるという状況ではありますが、同じくトルコ核物質防護条約には署名しているものの、改正核物質防護条約にはいまだ締結していない、国会の批准手続が終わっていないという状況でございます。  この理由について、まず御説明いただけますでしょうか。
  72. 北野充

    政府参考人北野充君) お答え申し上げます。  トルコにおきます核物質防護条約の改正の扱いでございますけれども、先ほど御答弁させていただきました放射性廃棄物等安全条約ともある意味で類似したところでございますけれども、国内での手続が進捗中ということでございまして、国会での審議を行っていて、委員会レベルでの承認は得られているけれども本会議の議案となっているという、そのような状況というふうに認識をしております。  したがいまして、これの締結に向けてトルコとして動いている、今そのような段階にあるということでございますけれども、一点補足をさせていただきますと、改正核物質防護条約におきまして、新たな防護の対象となっている国内の核物質、それから原子力施設に対する防護の措置ということにつきましては、この条約の求める措置というものを国内の法令で実施をするわけですけれども、トルコではその国内の法令の部分につきましては既に措置をとっているところでございまして、その意味で国内の実施についてはもうスタートをしているという状況でございます。
  73. 石川博崇

    ○石川博崇君 今御答弁ございましたとおり、改正核物質防護条約について求めているその防護措置の内容、IAEAの新しい勧告、Rev5というんでしょうか、ここで求めているものは、トルコは極めて厳格に管理しているということを御答弁いただいたというふうに理解をしております。  今後とも、改正核物質防護条約について、日本としてできる協力日本も今、国内体制整備中の部分もありますけれども、トルコまたUAEとしっかり協力関係を強固にしながら、日本にできる技術支援については提供していくことが重要だというふうに考えております。  残された時間短いので、最後一点だけ指摘させていただきたいのは、サウジアラビアとの原子力協定締結交渉でございます。3Sの三つ目のSに関わる部分でございますが、保障措置でございます。  昨年の十二月、サウジアラビアとの原子力協定締結に向けた交渉を開始することで合意したわけでございますが、御案内のとおり、サウジアラビアは、IAEAとの間で二〇〇九年に包括的保障措置協定締結したものの、追加議定書についてはいまだ締結していない状況にございます。この追加議定書のない国と原子力協定交渉を進めるということは極めて慎重であるべきではないかというふうにも思いますし、是非、サウジアラビアに対して今後交渉を進める中で、この追加議定書の締結についてしっかり働きかけていただきたいというふうに思いますが、この点、政府の見解を伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  74. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) IAEAの追加議定書を含むこの核不拡散に対する我が国の立場、考え方につきましては、サウジアラビアに対しまして十分説明をしてきました。そして、この原子力協定締結に際しまして、IAEA、この追加議定書締結、これ我が国としましては必要不可欠であると認識をしております。ですから、サウジアラビアには是非このIAEA追加議定書締結、これをしっかりと働きかけなければならないと認識をしております。  是非、引き続きまして働きかけを続けたいと考えます。
  75. 石川博崇

    ○石川博崇君 終わります。
  76. 中西健治

    中西健治君 みんなの党の中西健治です。  今日は、大切な、非常に私どもとしては問題が多いかなというふうに思っている原子力協定協定の審議ということでございます。まず、トルコ協定について一つお伺いしたいと思います。  トルコは言うまでもなく親日的な国として知られているわけでありますけれども、今回、原発建設されようとしている予定地でありますシノップ、シノップの市長は、原発建設反対を掲げて市長に当選をして、以来、原発建設に反対をずっとしているという状況であります。また、トルコの国民からは、日本の国会議員に対して英文の条約反対の要請書が届けられている、皆さんも受け取っているんじゃないかと思いますけれども。  そうした状況の中で原子力協定締結を進めることが両国の国民レベルでの親密性に影響を及ぼす懸念について、政府はどのように判断を行ったのでしょうか。
  77. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) こうした原子力協定を進めるに当たり、そして具体的な案件を進めるに当たりまして、日本トルコ両国間における国民の感情等にしっかりと配慮しなければならないという御指摘、それは当然のことだと認識をしております。  両国民、日本トルコ二つの国の国民、互いに強い親近感を有しております。先週のNPDI外相会議で来日しましたダーブトオール・トルコ外務大臣からも、こうした国民感情、大変親日的な国民感情について説明がありました。こういったものを大事にしなければならないということ、これは御指摘のとおりだと認識をしております。  シノップの市長が反対を表明した、こういった報道があったこと、これは当然承知しておりますが、その後、トルコ政府において様々な部局が説明、広報、努力を続け、シノップ原発開発地域では地域住民からおおむね支持が得られたという報告を聞いております。政府関係者あるいは国会議員からもそうした情報を得ているわけですが、何よりもトルコを代表するトルコ議会におきまして本年一月に日・トルコ原子力協定承認し、そしてトルコ側からは早期の協力締結が希望されています。先ほど御紹介させていただきましたダーブトオール外相からも、日本技術力、あるいは安全性に対する信頼、あるいは期待、こういったものが再三表明されているところであります。  是非、こうした動きもしっかりと確認しながら、両国間の国民間の感情ですとか関係ですとか、こういったものに悪影響が発生しないように、しっかりと丁寧に作業を進めていきたいと考えております。
  78. 中西健治

    中西健治君 親日的な国民感情、これは本当に大切にしなきゃいけないものだと思います。  別の観点からお伺いいたします。  トルコとの原子力協定交渉について、私自身かねてから問題意識を持っておりましたので、二年前の四月、二〇一二年の四月に、予算委員会の場で、当時の玄葉外務大臣に対して、他の地中海諸国の懸念を考慮に入れたのかと質問をいたしましたところ、玄葉大臣は、そういう懸念については認識をしていると、その上で総合的に判断と、こう答弁をされました。  今回、UAEも含めて協定締結するに当たり、周辺諸国の懸念についてはどういうプロセスで検証し判断したのか、改めてお伺いしたいと思います。
  79. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) こうしたトルコUAE、こういった国々の周辺国における評価ですとか反応、こういったものにつきましても当然考慮に入れ、そして総合的に判断するというのが基本的な態度であると認識をしております。  まずは、こうしたトルコあるいはUAE原子力協定締結することによりまして、こうした国々が原子力平和利用あるいは不拡散について法的な枠組みの中にしっかりと組み込まれるということ、さらには、国際的な原子力安全関連条約の義務をしっかり果たすということ、こういったことについても周辺国にしっかり理解してもらわなければならないわけですし、そして、この原子力協定とは別に具体的な案件が進むということになりましたら、そうした具体的な案件において安全性についてしっかりと説明をしていかなければならない、これが基本的な考え方だと思っています。  この周辺国に対する説明は、まずはトルコ及びUAE自身がしっかり説明責任を果たしていく努力をしていく、こういったことが重要だと考えております。こうした中で、我が国としましては、この地域原子力安全のためにしっかりと我が国教訓あるいは知見を生かしながら貢献をしていきたいと考えております。
  80. 中西健治

    中西健治君 周辺諸国の間では懸念を明示的に表明しているところもございますから、その懸念には応えていかなきゃいけないと思いますけれども、我が国教訓という言葉が外務大臣の方からありました。この教訓について今度はお伺いしていきたいと思います。  あの三・一一の原発事故の後、この原発の輸出をしようとする理屈として、原子力協定締結する理屈として、よく政府は、原発事故経験した国として、事故に関する知見と教訓国際社会と共有することによって国際的な原子力安全の強化貢献するということは、我が国が果たすべき責務とよく発言するわけでありますけれども、政府は、国会事故調が行った提言については検証、対応、行っているんでしょうか。
  81. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) 国会事故調の提言についてのお尋ねでございます。  国会事故調から政府に対していただいた提言につきましては、関係府省それぞれ対応しているところでございますが、国会法附則第十一項に基づきまして、当分の間、毎年政府の取組状況について国会に報告書を提出する、こういうこととされております。平成二十四年度の取組状況については、昨年六月十一日に国会に報告書を提出させていただいたところでございます。  現在、平成二十五年度の取組状況について関係府省とともにフォローアップ作業を行っているところでございまして、報告書の国会提出に向けて取りまとめ作業を進めてまいりたいと考えてございます。
  82. 中西健治

    中西健治君 当分の間国会に報告するということでありますけれども、この報告書、提言の中で肝となる部分というのは幾つかあるわけですけれども、そのうちの一つとして、福島の東電の原発事故の主因を津波に限定すべきではないと、こういうことが書かれているわけでございます。  政府として、この福島原発の全電源喪失の原因は津波によるものであり、地震によるものではないと確証があって今原子力協定を結ぶ方向にかじを切っているのでしょうか。そうした確証はあるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  83. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) まず、規制の立場からお答えいたします。  御指摘の東京電力福島第一原子力発電所事故につきましては、この原因分析につきまして、これまで国会の事故調、それから政府事故調、様々なところで事故の調査報告書がまとめられて、この事故の進展の基本的な考え方については整理がされているところだというふうに認識しております。  今御指摘ありました全交流電源喪失の直接的な原因につきましては、一つは、地震によりまして鉄塔が倒壊いたしましたことなどによりましてまず外部からの電源供給が停止したこと、それから二つ目には、想定をしておりました津波高さ、これを大幅に超える津波によりまして、非常用ディーゼル発電機とか配電盤などの電気設備の多くが水没、被水して機能を失ったこと、この二つの要因によりまして全ての交流電源が失われたものというふうに考えられておるところでございます。  それで、この福島事故につきましては、継続的に事故の分析を行っていく必要がございます。これは原子力規制委員会の重要な所掌事務の一つとして位置付けられているところでございますので、今御指摘のありました国会事故調で解明すべきとされている、これは幾つかの点が、たくさんございますので、こういったものに対しまして技術的に解明すべき観点から分析、検討するための検討会、これは専門家の方々に入っていただいた検討会でございますけれども、そういったものを設置して、今後とも議論をきちっと進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  84. 中西健治

    中西健治君 重要な部分について引き続き分析を行っていくということでありますけれども、やはりまだ原因がこれだという形では特定はされていないというのが現在の状況なのではないかと思います。そんな中で原発の輸出を行うということについて、道義的責任を果たせるのかどうか、こうしたことについていかがでしょうか。
  85. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、基本的な考え方として、福島第一原発経験した我が国としましては、その間の経験ですとか教訓、これは世界各国としっかり共有し、そして原子力平和利用につきまして安全をしっかりと確保する、こうしたことに貢献をしていくこと、これは我が国責務であると考えております。  しかしながら、それは、何よりも相手の国の原子力政策ですとか、あるいは原子力安全に対する期待ですとか、そして我が国技術に対する信頼性ですとか、こういったものを踏まえた、前提としたものでなければなりません。そうした際に、今回のトルコあるいはUAEからは、原子力政策を進めていこうとしておられる、そしてそのために、どうしても原子力の安全確保のためにしっかりとした技術が必要とされている、そして世界各国技術の中で是非日本協力してもらいたいという強い意向が示されております。  先週訪日したトルコのダーブトオール外相からも、我が国技術を信頼しているということで我が国に対する強い期待感が示されたわけでありますし、また、アラブ首長国連邦におきましても、本年二月のムハンマド・アブダビ皇太子の訪日に際しまして、我が国との原子力分野協力につきまして強い期待が示されています。  こうした事情もしっかりと踏まえた上で、我が国として原子力平和利用の安全にどう貢献していくのか、こうしたものをしっかりと考慮し、今回こうした原子力協定、まずは平和利用の大前提となりますこの協定締結に向けて今作業を進めているところであります。  今後とも、相手国の意向あるいは事情等もしっかり踏まえつつ最高水準の安全性を有する技術を提供していきたいと考えております。
  86. 中西健治

    中西健治君 相手国からの期待、これを答弁の中で多くの部分を割かれましたけれども、問題なのは、私は道義的責任ということを申し上げたのは、我が国としてどう考えるのか、我が国として抑制的でなければいけないのではないかということを私は申し上げたかったということでございます。  これについては、これ以上議論しても多分同じようなやり取りになってしまうかと思いますので、このトルコとの協定の中で、具体的に第八条、先ほども話がありましたけれども、両締結政府が書面による合意をすれば核物質を濃縮又は再処理することができると、こういった書きぶりになっているわけですが、外務大臣は今日の答弁でも認めるつもりはないということをおっしゃられました。そして、国会の議事録にとどめさせていただくと、こう累次発言をされているわけでありますけれども、他国との、トルコとの条約は、これが通ってしまえば文言は確定してしまいます。そして、我が国の政治状況というのは今後変わり得るということになるかと思います。  そんな中で、この国会で発言して議事録にとどめておくということが今後絶対ないということに対して必要十分であるとお考えになられるでしょうか。
  87. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども一度答弁させていただきましたが、我が国は今回の日・トルコ原子力協定の協議を行うに当たりまして、濃縮、再処理につきましてはトルコに認めることは全くないという方針でこの協議に臨んできました。  そして、協議の中で、先ほども申し上げました、トルコの他の国と結んだ協定の書きぶりとの比較ですとか、国内の議論の結果としましてお示しさせていただいているような表現ぶりになったわけですが、この表現によって我が国としては実態を確保できるという判断をし、同意をしたということであります。そして、我が国としては認めることがないということ、トルコ側に対して、正式な協定交渉の場においてトルコ側に再三伝えてきたところでありますし、そして、先ほど申し上げましたように、我が国としましても、政府として、外務大臣として認めることはないということを申し上げ、そして立法府との関係においても国会において答弁をし、議事録に残した次第であります。  そして、これで十分かという御質問でありますが、この点につきましては、政府としてのこの政策の継続性あるいはこの外交の継続性を考えた場合、もしこれに対して、これ、何か変更が生じるようなことがあれば、これは当然のことながらこの立法府、国会の厳しい批判にさらされることになるわけであります。  こうした様々な枠組み考えますときに、実態として、我が国トルコに対して濃縮、再処理を認めることはないということをしっかり確保できるものと我々は考えております。
  88. 中西健治

    中西健治君 大臣の御答弁はよく分かるんですけれども、やはり今後これをしっかりと担保するということが大変重要なんじゃないかなというふうに考えております。今後、日本の政治状況、政権交代等もあり得ないわけではありません。そうしたことも考えると、立法府として、例えばここの委員会で決議を行うですとか、そうしたことも考えなければいけないのかなというふうに私自身は思っているというところでございます。  最後の質問をさせていただきます。  原発関連資機材の輸出に対する我が国の安全規制体制について、高橋資源エネルギー庁電力ガス事業部長は、衆議院外務委員会において、今後の国内体制をどうするかにつきましては現在政府部内で鋭意検討をしているところ、検討を急ぎたいと答弁をされておりました。今、原発輸出について、国内で安全性をチェックする、検証するところが行政府の中にないという状況を受けての発言でありますけれども、今の検討状況はどうなっているでしょうか。
  89. 高橋泰三

    政府参考人高橋泰三君) お答え申し上げます。  御指摘原発輸出の安全確認の制度でございますけれども、これはOECDガイドラインを踏まえまして、原発関連輸出に公的輸出信用を供与する場合に、JBIC及び日本貿易保険からの照会に基づきまして当省が相手国の安全規制体制などの事実確認をするという手続でございます。独立した原子力規制委員会が設置された後の手続につきましては、その国内体制及び二〇一二年度改正されましたOECDの環境コモンアプローチを踏まえました諸外国の取組の実態に関する調査などを踏まえまして、現在、政府部内で検討しているところでございます。  先般、閣議決定をいたしましたエネルギー基本計画におきましても、「原発輸出を含む原子力技術を提供するに際し、公的金融を付与する場合には、原子力安全条約及びIAEA基準を参照した安全確保等に関する配慮の確認を行いつつ、事故経験教訓に基づき、安全性を高めた原子力技術と安全文化を共有していくことで、世界原子力安全の向上貢献する。」とされたところでございまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
  90. 中西健治

    中西健治君 一点短く確認したいと思いますけれども、まさか、輸出の促進を行っている経産省が安全確認も行おうとしていることではないということだけ確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
  91. 高橋泰三

    政府参考人高橋泰三君) 今後の政府部内の手続につきましては今検討中でございますので、改めて、検討状況に応じて取り組んでいきたいと考えております。
  92. 中西健治

    中西健治君 終わりますが、規制とそして推進というのが同じ官庁に入ってしまってはいけないというのが教訓なはずですから、経産省の中でそれが行われるということはないように言っておきたいと思います。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  93. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  本協定は、両国との間で進む原発輸出に必要なものであります。総理は施政方針演説でも、過酷な事故を体験した我が国としては、事故から得られる知見と教訓世界と共有することで世界原子力安全の向上原子力平和利用貢献していくと述べられました。外務大臣も同趣旨のことを答弁をされております。  しかし、福島第一原発事故教訓を言うならば、原発を輸出するという話に私はならないと思います。まず、福島教訓の一つは、原発安全性に懸念を示す住民の世論を安全神話を振りかざして抑え付けてきたということの誤りがあると思うんですね。  トルコのシノップ原発についても、今もありましたように、シノップの市長は反対を掲げて当選をされております。そして、現地の住民の皆さんから反対の署名なども私たち国会議員の元に届けられております。にもかかわらず、政府は、原発建設への現地住民の反対は一部にすぎず、おおむね支持を受けていると、こういう答弁を繰り返されておりますが、その根拠は一体何なんでしょうか。
  94. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) このシノップ原発計画につきましては御指摘建設反対の書面などが届いている、こういったことについては承知をしております。  他方、我が国政府関係者に対しましては、これまでエネルギー天然資源省あるいは原子力庁といったトルコ政府の責任ある立場の幹部から、あるいは国会議員等からも、このシノップ原発建設予定地域の住民の皆様方の意向については様々な報告、紹介がなされております。こうした様々な報告においては、おおむね支持を得ている、あるいは反対は限定的である、こうした情報が寄せられているところであります。  我が国としましては、そうした情報全体を判断して、このシノップ原発における現状を判断しているというところであります。今後とも、トルコ政府、国民の理解を得るために広報、説明の取組を続けていく方針であるということも承知をしております。こういったことも総合的に判断した結果でございます。
  95. 井上哲士

    井上哲士君 要するに、推進している政府関係者や国会議員の情報を聞いているというだけの話なんですね。  衆議院では、トルコ国内の世論について数字を承知しているかということについて、していないという答弁でありました。しかし、例えばトルコの大手世論調査、コンサルタント企業が行った二〇一三年四月の世論調査では、建設反対派は六三・四%という数字があります。福島第一原発事故直後は八〇%だったと。こういう数字も承知されずに、なぜおおむね支持などということが言えるのかと。  先ほどの答弁でも、シノップ市長が反対を掲げて当選したことは知っているという話ありましたが、では、市長は態度を変えられたんですか。結局、推進している関係者からの一方的な情報を聞いて言っているだけじゃないんですか。いかがですか。
  96. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  大臣からも答弁申し上げましたとおり、シノップ市長の現職市長は野党であります共和人民党の出身でございます。去る三月三十日のトルコ地方選挙におきまして、この現職市長が再選を果たされております。この選挙期間中、我々も選挙キャンペーンというのを子細にフォローしてまいりましたけれども、我々が承知する限り、このシノップ市長は選挙キャンペーン中には、与党であります公正発展党、AKPの汚職疑惑を強く批判する一方で、原発建設に反対の主張につきましては全く展開をされていないと我々は分析をしておりまして、少なくともシノップ原発建設計画はこの地方選挙の争点にならなかったと認識をしております。  今、一例をお挙げ申し上げましたけれども、我々もトルコのシノップ地域での世論調査についての数字については我々特に承知はしておりませんけれども、我々の判断の根拠は、先ほど大臣より申し上げたとおり、責任ある様々な立場の行政府関係者あるいは立法府関係者より得ている情報によっております。
  97. 井上哲士

    井上哲士君 選挙にはそれぞれ、その時々のいろんな争点があるわけでありますが、賛成に転じたという話ではないわけですね。  今、様々な情報をと言いましたけれども、結局、推進側からの話を基に住民の大宗が支持をされていると。世論調査等の数字などはこれは調べれば分かる話でありますから、私は、そういうことで一方的に言われるということは余りにも御都合主義だということ、これでは福島教訓を生かしたことにならないということをまず申し上げたいと思うんですね。  さらに、福島教訓を挙げるならば、規制機関と推進機関が明確に分離されていなかったと、国会事故調も、規制機関が推進側のとりこになっていたと、ここまで厳しく指摘をしたわけであります。  トルコでも、規制当局であるトルコ原子力庁が原子力や放射線の研究開発推進も担当しているわけで、これではやはり福島教訓からいっても安全が保障できないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  98. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、トルコにおけるこの原子力関連の政府の体制ですが、まず基本的には、原子力規制当局トルコ原子力庁、推進当局はエネルギー天然資源省であり、これはそれぞれ別組織として設置されていると考えております。  他方、トルコ原子力庁設置法を見ますと、原子力平和利用に関する基本的な政策あるいは方針、これを定めるという規定が設けられています。トルコ国内では、こういった点が分かりにくいのではないかという指摘も受けて、この原子力庁の独立性を一層高めるために、法整備、組織改編も含め更なる検討を行っているということを承知しております。  トルコとしても、こうした規制当局推進当局の峻別、しっかり心掛けているということであります。こうした対応についてもしっかりと考慮していきたいと考えております。
  99. 井上哲士

    井上哲士君 検討されているということですが、いつをめどに、どういうふうにこういう明確な分離がされるんでしょうか。
  100. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  私ども、いつまでにということについての情報は、今のところ、現時点ではいただいておりません。  他方で、大臣の今の答弁に若干付け加えさせていただきますと、トルコ原子力庁の規制当局としての任務としてはかなり明確なものが書かれている一方で、平和的利用に関する基本的な政策あるいは方針あるいは研究開発といったものが指定をされておりますので、この辺りを我々はトルコ政府との関係で、今までの交渉の関係で問題点を指摘し、向こうもそういう問題点を共有しているということでございます。
  101. 井上哲士

    井上哲士君 いつ、果たしてどのような機関になっていくのかというのは、全くまだ不透明であります。  さらに、福島事故教訓は、地震や津波に対する知見がまだまだ不十分であるということ、そして同時に、その中で意図的過小評価が行われてきたことだと思います。日本は地震大国でありまして、気象庁も、日本にはここで大きな地震が起きないと言える場所はないと明確にしております。ところが、電力会社と一体となった特定の研究者等によって活断層の過小評価が行われて、建設が行われてまいりました。  トルコ日本と同様に四つのプレートの境界にありまして、北アナトリア断層、東アナトリア断層という巨大活断層が存在をしております。衆議院外務大臣は、シノップ周辺では、一九九〇年以降、マグニチュード五以上の地震はないと、こういう答弁もありました。しかし、地震の安全性で、二十五年とかというスパンで議論をするというのは、これはおよそ通用しないということは常識のことだと思うんですね。トルコは、この半世紀だけでも一千人以上の死者が出た大地震が七回、九九年八月の北西部の地震は一万七千人の死者が出たわけでありまして、もう日本同様、ここで大きな地震がないとは言えないと、こういう地震大国なわけですね。  福島教訓を言うならば、こういうところでの原発建設などは到底あり得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
  102. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、トルコ国内全体を見た場合に過去大きな地震の経験があるということ、これは御指摘のとおりであります。  しかし、今回、トルコ首相府災害緊急事態管理庁、これはトルコ国内を地震の危険度により五つのカテゴリーに分類し、そして、シノップ地域のうち原子力発電所建設計画されている黒海沿岸、この地域におきましては危険度の低い方から数えて二番目に属しており、地震リスクは低い地域と承知をしております。そして、同じくこの災害緊急事態管理庁の資料によりますと、シノップ及びその周辺地域におきましては、一九〇〇年から今日までマグニチュード五以上の地震は発生していない、こうした評価になっております。  これは、日本との比較を申し上げますと、日本においては、気象庁のデータによりますと、二〇一三年だけでマグニチュード五以上の有感地震百十二回発生しているというのが日本の実情でございます。こうした日本の実情との比較においても、この地域における地震のリスクは低いという評価につながっていると考えております。  あわせて、津波につきましても、トルコの国立地震モニタリングセンターによりますと、シノップ地域に面する黒海沿岸で地震による津波が発生した記録がない、こうした報告がされております。  トルコ全体を見た場合に、地震の危険性を指摘する旨がありますが、今回対象となっている地域につきましては、ただいま申し上げましたような評価がされているところであります。  一義的には、原子力の安全につきましては、相手国政府の責任において判断する事項でありますが、我が国としましては、原子力の安全確保につきましてしっかり貢献していきたいと考えておりますし、何よりも、今回の原子力協定におきまして、定期的に、継続的に原子力安全につきまして協議を続ける、こういった規定を特に設けたわけでありますので、そういった枠組み活用しながらトルコ原子力安全に貢献をしていきたいと考えております。
  103. 井上哲士

    井上哲士君 マグニチュード五以上の地震の日本との比較がありましたが、日本日本全体の数字を言って、シノップはシノップ地域だけを比較するというのは、全くこれまた御都合主義でありまして、地震のおそれが低い方から二番目という話がありましたが、例えば、政府の地震調査研究推進本部は、県庁所在地ごとの今後三十年間に震度六弱以上の揺れに見舞われる確率というのを毎年発表しているんですね。二〇一〇年の発表でいいますと、福島市は〇・九%だったんです。ところが、二〇一一年にあれだけの地震が起きて、福島市も震度六弱の地震に見舞われました。阪神大震災もそうだったんですね。  ですから、地震の危険性が高いところはより安全をやらなくちゃいけませんけれども、これが今の知見で低いからといって何か安全みたいな話をするのは、これは全く教訓とも違うと思います。  そして、今、安全の確認は元々受入れ国側のということがお話がありました。そこで聞くんですが、トルコ原発輸出に伴って、建設予定地の活断層や地質などを調べる事業化調査は日本原電が受注をしているわけですが、これ、現地が安全対策の責任だといいながら、なぜこの活断層や地質の調査は日本が費用も負担をして行うのか、いかがでしょうか。
  104. 高橋泰三

    政府参考人高橋泰三君) 御指摘の事業につきましては、平成二十五年五月にトルコ政府からFS事業の協力を盛り込んだ政府間の合意ができまして、それを踏まえて実施をしているものでございます。
  105. 井上哲士

    井上哲士君 じゃなぜ現地の責任なのに日本がやるのか、今のではよく分かりませんが。  この事業は、企画競争入札ということで行われておりますが、その調査項目には、過去に同類ないし類似の事業について十分な実績を有しているという要件があります。結局、これを国内で有しているのは、ベトナムへの原発輸出に伴う調査を実施したことのある日本原電だけではないかという指摘もあるわけでありますが、結果的にも日本原電一者しか企画書を出さなかったと。今、大変厳しい状況にある日本原電を救うためではないかという指摘もありますが、なぜこういうやり方になったんでしょうか。
  106. 高橋泰三

    政府参考人高橋泰三君) お答え申し上げます。  御指摘トルコ原発でのFS事業でございますけれども、会計法等にのっとりまして、公募のプロセスで事業者を選定してございます。応募資格及び審査基準、いずれに照らしても日本原電に応募資格が限られているという事実ではございません。なお、日本原電につきましては、この公募の手続を経まして、その提案内容が事業目的に合致しているか、あるいは知見等の実績を有しているかということに照らして、外部有識者によって審査によって選定されたものでございます。  また、御指摘の関連分野における知見ということでございますけれども、審査基準によりましては、事業実績について、本事業の関連分野に関する知見を有しているか、当事業と同様若しくは類似の事業についての類似の実績を有しているかということでございまして、ここで言う類似の実績というのは、国内外を問わず、本事業で実施する予定であります例えば地震動の評価とか炉型評価等についての経験ということでございまして、日本原電だけに限られているものとは考えてございません。
  107. 井上哲士

    井上哲士君 この前のベトナムの場合も補助事業として行われましたけれども、日本原電だけが提案書を出して、その後二回随意契約を行っていると、こういうことになっておるわけですね。  そもそも、日本原電がこれをやることがふさわしいのかと。電力九社の電源開発が出資して設立された言わば推進勢力なわけですね。しかも、日本原電は、この事業の大半を三つの会社に再委託しておりますが、その一つにダイヤコンサルタントという会社があります。三菱重工のグループ会社なわけですね。ですから、造ろうとしている三菱重工の関係の企業がこの調査を行っていると。  日本原電が持っている原発である敦賀二号機が、敷地内に浦底断層という第一級の大断層があるというのに過小評価して造られました。この間、これが、この敦賀二号機の下に活断層があるという指摘がありまして、再調査も行われております。昨日も、原子力規制委員会の専門家調査会の評価会合でも、改めて全員が活断層は否定できないと、こういうことになっているわけですね。ところが日本原電は、こうした過去に何の反省もなく、活断層ではないということを言い続けているわけですね。この敦賀二号機も実は三菱重工が造っています。そして、この間の再調査も実はこのダイヤコンサルタントが二〇〇六年など行っているわけですね。  ですから、原発推進原発メーカーと一緒になって、明白な活断層をそうでないと位置付けている日本原電やダイヤコンサルタントがトルコ原発輸出のための安全の確認のためのこういう調査をするというのは私は全くふさわしくないと思いますけれども、外務大臣、こういう経過を考えても大丈夫とおっしゃるんでしょうか。
  108. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、ただいま御審議いただいているのは、日本トルコ原子力協定であります。  原子力協定は、我が国原子力安全に対する技術経験を提供する大前提として、平和利用あるいは核不拡散につきましてしっかりとした法的な枠組みを与える、そして原子力安全につきましても、国際原子力安全関連条約を遵守する、こういったものをしっかりと確認するための枠組みであります。  そして、こうした枠組みをしっかりと明らかにした上で具体的な我が国経験技術貢献ということになるわけでありますが、まずもって、相手国が様々な判断の下に原子力政策推進しようとしている、そして原子力の安全について高い技術を求めている、そして各国の比較の中で日本の高い技術を求めている、こういった要請について、日本としても原子力安全について経験技術を提供するということは、原子力安全に対する我が国の一つの責務ではないかと考えております。  そうした考えの下に、具体的な案件を進める場合に、具体的な業者の関わり等につきましては、しっかりと国民から理解され、そして信頼性の高い、透明性の高い、こうした取組を進めていくべきものであると考えています。
  109. 井上哲士

    井上哲士君 トルコ原発は総理自身がトップセールスで進めてきたものでありまして、結局、もうけのために安全をおろそかにするということになれば、新たな安全神話の輸出にほかならないということを申し上げまして、質問を終わります。
  110. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があればまた花も咲かせるということで、ちょうど今日はこちらへ来る途中にもう桜の花も散ってしまい、桜が一年、こんなにみんなに注目されてちやほやされて、花が散ってしまったら誰も振り向くこともないような、本当に何か人生というか、そんな中でまた桜の一言というか、一年待ってくれ、必ずまたきれいな花を咲かせて皆さんを楽しませてあげますよという。  そこで、今日は原子力に対する質問ですが、維新の会はこの度の原子力協定に反対の立場を取っています。また、党の方針は十年間で原発からフェードアウトするとも言っています。  一方、十三日の読売新聞にあるように、環境先進国のドイツでは、原発を減らした穴埋めとして石炭を利用する火力発電に回帰している、これによってCO2が削減できず、地球温暖化を進めるというジレンマにあるということです。  さて、この度、アラブ首長国連邦トルコと、イスラム諸国との原発協定で、私自身もイスラム世界とは大変関わりがありまして、かつての湾岸戦争の折にも、あちらでモハメド・フセインという名前をもらいまして、非常に両国とも深いつながりを私自身持っています。  将来、石油が枯渇したときのことを想定して、石油に代わる代替エネルギーとして原発を導入しているのかなと。私の考えでは、将来的に脱原発であり、日本の将来の、地震大国に限っていえば、いろんなエネルギーがありますが、その中でも地熱発電というのもいろいろ我々の仲間と研究をしたことがあります。  今回、探鉱及び採掘と、原料物質に当たって天然に存在するもの、探鉱及び採掘とある。これは、トルコ側からトリウムの探鉱及び採掘を含む協力の要請があったためである。政府としては、トルコ側のこの要請に対してどのようにお考えでしょうか。
  111. 北野充

    政府参考人北野充君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘いただきましたのは、トルコとの協定の第二条におきます協力分野についての御質問でございます。  原料物質であって天然に存在するものという形で文言が規定をされている形でございますけれども、これはトルコ側から、今御指摘にもありましたように、トルコで産出されるトリウムの探鉱及び採掘に関する協力というものが将来的に行われる可能性というものがこの協定の文言上排除されないようにしておきたいという要請があったことを踏まえて、両国で交渉の結果、合意されたものでございます。  このようなことでございますけれども、実際の協力につきましては、両国のニーズに応じて協議の上、決定をされていくということでございます。
  112. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、新しい原発技術について政府の見解をお尋ねします。  トリウムを活用した、原発技術の一つにトリウム、今質問にもう答えてもらったんですね、それは。質問が順番が違いましたが、とにかく、これからトリウムに関する新しいエネルギーを生み出すため、プルトニウムの削減につながるこのトリウム溶融塩炉ですか、第四世代に対する核廃棄物の保管期間の短縮や安全性エネルギー効率性、現在世界でも運用されている原子炉と比較にならないほど高いという、また、元電力中央研究所理事である工学博士の服部禎男先生が提唱する超小型原子炉など、検討に資するものと思います。  実用化にはしばらく時間が掛かるというような第四世代の新しい技術、この先生ともいろいろ前に電話でもお話をしたり、エネルギー関係に大変私も興味があって、風車であるとか水車であるとか、いろんなことをいろんな先生からも教わりましたが、今この技術がアメリカの方でも既に動き出しているということをお聞きしていますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。
  113. 中西宏典

    政府参考人中西宏典君) 今御指摘いただきました新しい世代の炉につきましてでございますけれども、例えばトリウム溶融塩炉あるいは小型の原子炉、そういったものを含めまして、安全性や核拡散抵抗性が高い、あるいは廃棄物の低減化、そういったものにつながっていきます優れた次世代の原子炉、いわゆる第四世代というふうに言われておりますけれども、これにつきましては、アメリカ、フランス、ロシア、中国、そういったものがメンバーになっております第四世代原子力システム国際フォーラムという活動がございます。そちらの枠組みにおきましても二〇〇二年からいろんな活動が進められておりまして、日本もこの活動に参加をしているという状況もございます。  先般取りまとめられましたエネルギー基本計画の中におきましても、廃棄物の減容化あるいは有害度の低減、そういったための技術開発、そういう目的のために、第四世代の原子炉の一つであります高速炉とか、アメリカやフランスなどとともに研究開発を今後とも進めていくということになっておりますし、新しい炉としての高温ガス炉、そういったものは安全性が高いということもありますので、そういった意味で安全の高度化というものに資する研究開発、これも国際協力の下に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
  114. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、放射線ホルミシス効果についてお伺いをしたいと思いますが、オーストリーという国の中にバドガスタインという、ヒトラーが金を掘るために洞窟を掘って、千八百メートルの洞窟があるんですが、そこは、金はそれほど出ませんでしたけど、後になってから大変そこのホルミシス効果が高いという、ラジウムでしょうか、ヨーロッパ中の今けがをした人あるいはがんの方とか、私も十年来ずっと、去年は行きませんでしたけど、そういうホルミシス効果について、多少の放射線は体にいいという話も聞いております。  その辺について、何か情報があればお聞かせください。
  115. 山脇良雄

    政府参考人(山脇良雄君) お答え申し上げます。  一般に、放射線ホルミシス効果というものは、微量の放射線によって生体に刺激作用、有益効果がもたらされる現象とされまして、例えば電力中央研究所におきましては、実験動物を用いた研究によりまして、微量の放射線による抗酸化機能が増強される、DNA損傷修復機能の増強、免疫機能の増強などの研究結果が報告されているところであります。  また、放射線医学総合研究所によりますと、この放射線ホルミシスを含み得る概念といたしまして、微量の放射線により生体の防御機能が増強される現象であります放射線適応応答というものがあって、それについての研究結果も報告されているという状況と聞いております。  ただ一方で、この現象は、遺伝的背景に大きく依存するとか、動物の系統の違い、人の個人差が認められることなども併せて報告されており、また、どの程度の線量で観察されるのかという共通性に乏しいというふうなことも言われております。  このように、個人差とか線量の観点から一般化できる段階ではありませんけれども、これらの低線量で見られる現象というものは放射線のリスクを考える上で、また微量の放射線の医学利用という観点からも重要な課題であろうというふうに思っております。  このような観点から、放射線医学総合研究所では、放射線リスクの低減化を目指した研究、放射線影響のメカニズムを明らかにする研究に取り組んでいるところでございますので、引き続きこのような研究を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  116. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 原発事故が起きたときの責任問題、これも先ほど質問に出たと思いますが、トルコとの関係におきまして、先ほど申し上げたイラクの湾岸戦争の折にオザール大統領が日本に来ていて、そのときに直接チャーター便を出してくれという、そんな関係で、大使館とも長い付き合いをしていました。  かつて、私の先輩であるユセフ・トルコという人が日本におりましたが、多分知っている人は余りいないと思いますけれども、大変ユニークなレフェリーさんで、去年亡くなりまして、その人の関係も含めまして、エルトゥールル号の、昔そんな話も聞いて、大変トルコには興味を持っておりました。  今回も、いろいろテロの問題、あるいは地震国であります。そういう質問も先ほども一部されましたので重複はしませんが、非常にかつてレスリングの強い国でもあったものですから、これからトルコのまた留学生を募集したいなと思っていますが。  その辺で、大変私は質問からずれてしまって皆さんが答えるのは大変だと思いますけれども、今後の、仮に原発事故が起きたときに原子力事業者が法的責任を取ることになっているが、日本企業に責任が及ぶことはありませんかということをお聞きしたいと思います。
  117. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  まず一般論でございますが、原子力発電施設におきまして万が一事故が起こった際の責任につきましては、これは企業の契約内容あるいはその施設が所在する国の原子力損害賠償に関する国内法などに照らして判断されることになります。  具体論でトルコに限って、今御質問トルコに限って申し上げますと、原子力損害に関するパリ条約をトルコ締結をしております。この条約におきましては、施設の運営者であります原子力事業者への責任集中が基本原則でございます。この規定を踏まえて、現在トルコ政府原子力損害賠償に関する法案を整備しているところでございます。  したがいまして、仮に本当に万一、トルコにおきまして原子力発電所において万が一原子力事故が起こった場合の責任につきましても、いわゆる原子力事業者である事業会社がこの責任を負うことになります。日本企業が損害賠償責任を負うことにはならないと承知をしております。  先生御指摘のとおり、歴史的にも大変長く緊密な友好国でありますトルコ原子力平和利用に関しましては、私どもも、福島の第一原発を通じて得ました我が国経験教訓を共有することを含めまして、誠実に協力をしていくことが必要だと考えております。
  118. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、原発安全性をチェックする国際機関の役割についてです。  世界各国原発安全性をチェックする国際機関はどのように機能しているのか、IAEAはどのような役割を果たしているのか、またどのような課題を抱えているのか、それについて質問をさせていただきます。
  119. 北野充

    政府参考人北野充君) お答え申し上げます。  累次御議論がございますように、原発安全性確保ということにつきましては、一義的には各国政府の責任において取り組むべき事項ということになってございますけれども、このような各国による取組を全体として高いレベルのものにしていくということで国際機関が果たす役割は非常に大きいと思っておりまして、その中でも国際原子力機関、IAEAが重要な役割を果たしております。IAEAは、原子力安全の分野におきましては、例えば安全基準の策定であるだとか安全評価ミッションを派遣をするだとか、原子力安全の関連の条約を策定をするといったことに取り組んできております。  原子力安全の面におきましては、福島第一原発事故というのも非常に大きな課題を提起したわけでございまして、IAEAはこの事故を契機といたしまして国際的な原子力安全の強化ということに努めておりまして、二〇一一年九月、IAEA総会において原子力安全に関する行動計画というものを策定をしておりまして、具体的には先ほど申し上げました安全基準を強化すること、あるいは安全評価ミッションを拡充をすること、規制機関の有効性を強化すること、それから原子力安全関連条約を強化する、このような取組を進めているところでございます。
  120. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 世界原発建設の見通しについてお尋ねしますが、今後、八十億とも九十億とも言われる人口の増加、エネルギー需要が必要ですが、残念ながら多くの国が原発以外の技術を見出していない。したがって、新しいエネルギーを示すのは日本の使命だと考えますが、政府はこの世界原発建設の見通しについてどのように考えているか、見解をお聞かせください。
  121. 中西宏典

    政府参考人中西宏典君) お答え申し上げます。  これは二〇一三年八月に発表されました国際原子力機構、IAEAが取りまとめたレポートによりますと、現時点、二〇一二年で大体三億七千三百万キロワットの原子力発電所世界にございます。それが二〇三〇年までに大体二〇%から九〇%増加するというふうな予想がなされてございます。  それの市場規模につきましては、設備容量百万キロワットの原発一基で大体建設費用五千億円というふうに仮定いたしますと、年間一・五兆から九・五兆円の市場の方になるというふうに見越しておりまして、地域的には東アジア、東欧、中東南アジアといった地域において大きな伸びが予想されてございます。
  122. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 原発安全性日本の責任についてお尋ねをいたしますけれども。  これまでスリーマイル、チェルノブイリ、福島、深刻な原発事故がありました。その中で、アメリカ、ソ連、日本という原発先進国ですら原発事故が防げなかったということで、管理技術が劣る輸出先の国の事故がないと言い切れるかどうか。これらの事故を踏まえて、どのようにこれから輸出していくか。もう先ほども何遍かお話がありましたが、改めてその点についてお聞かせください。
  123. 岸信夫

    ○副大臣(岸信夫君) 先ほど政府参考人からも一部答弁ありましたけれども、改めて申し上げたいと思います。  原子力発電の導入につきましては、一義的には相手国政府の責任において判断する事項でございます。政府としては、安全性原子力安全の重要性を十分認識しておりまして、福島第一原発経験教訓を生かしまして、相手国において高い水準の原子力安全が実現されるよう協力をしていきたいと考えておるところでございます。  この原子力安全に対します国際的な関心の高まりを踏まえまして、最近我が国締結をいたしました原子力協定におきましては、原子力安全関連条約に関する規定を設けるとともに、協力分野として原子力の安全についても規定をしているところであります。政府として、このような規定の実施を通じて、今後とも相手国における原子力発電施設の安全性確保貢献をしていきたいと考えておるわけでございます。  また、我が国企業は、我が国における世界最高レベルの安全水準となります新規制基準の策定を踏まえまして、事故経験教訓を生かして技術の発展をさせております。他の先進国の安全基準の下でも原子力の設計認証を得てきています。それゆえ、各国から高い評価も期待も得ている、示されているところと、こういうふうに考えております。
  124. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 質問を終わります。ありがとうございます。
  125. 小野次郎

    ○小野次郎君 結いの党の小野次郎です。  前回の当委員会において、警察庁に対して昨年一月発生のアルジェリアにおける邦人人質殺害事件についてお尋ねしました。その件については理事会で預かりということになりまして、私から改めて質問させていただきます。  できるだけ丁寧にお答えいただきたいと思いますが、この事件について、事件の捜査状況及び両国当局間の捜査協力状況について警察庁にお伺いしたいと思います。
  126. 高橋清孝

    政府参考人高橋清孝君) お答えいたします。  在アルジェリア邦人に対するテロ事件につきましては、十名の邦人が殺害されましたことを受けて、刑法の国外犯規定を適用し、現在、神奈川県警において所要の捜査を推進しております。  具体的には、十名の御遺体が日本に到着した直後に検視、解剖を実施いたしましたし、生存者や会社関係者の方からの事情聴取も行っております。また、アルジェリア当局との捜査協力、関係国との情報交換等を実施してきたところであります。  他方、アルジェリア側におきましては、アルジェリア首相が昨年一月に行いました記者会見において、三名のテロリストを拘束した旨発言していますように、アルジェリア当局が本件事件の一部被疑者を拘束した上で所要の刑事手続を進めておりますけれども、本件事件に関する刑事裁判はいまだ始まっておらず、犯罪事実の特定もこれから行われる予定であること、それから、先般、アルジェリア当局より我が方に対して、司法解剖の結果等を含め、我が方がこれまで捜査してきた事項に関する具体的な情報提供の要請がなされ、我が方としてもこれに対する回答の準備を進めていることなど、アルジェリア当局において事件の真相解明に向けた捜査をまさに推進している最中であるというふうに承知しております。  警察としましては、本件事件については、邦人多数が殺害されたという事案の重大性に加え、刑法の国外犯規定が適用される事件であることから、当事国としての自覚をしっかり持った上で、アルジェリアを始めとする関係国と緊密な連携を確保しつつ、引き続き、事件の真相解明を図ってまいりたいというふうに考えております。
  127. 小野次郎

    ○小野次郎君 警察当局には私から改めてお願いをいたします。  まず、国民感情として、これだけ多くの日本人の方が人質になり殺害されたという事件のことを我々は忘れてはいけないわけでありまして、過去においても、様々なテロ事件で、なかなか捜査のめどが立たないなと思っていても、後でほかの国で捜査が進んで、我が国で集めた捜査資料が有効に使われたケースもたくさんあるわけですから、是非、警察当局には、この事件の捜査あるいは捜査協力を、なおざりというか、おざなりに済ませるのではなくて、風化させることなく、責任の追及に全力を挙げて取り組んでいただくよう私からお願いさせていただきます。  それでは、今日の質問に入りますが、まず集団的自衛権に関する問題ですけれども。  これは外務省にお尋ねすることになると思いますが、集団的自衛権の問題、これは頭の体操と考えていただいた方がいいかもしれませんが。というのは、明らかにマイナス要因というのは誰も分かっているわけですね。それは我が国が紛争に巻き込まれる危険というのが増えるんじゃないか、マイナス要因は顕著です。じゃ、プラスの要因というのは、当然それ以上に我々にとってメリットがなければ議論をする意味がないわけですが、メリットは二つあると私は思っています。  一つは、言うまでもなく、我が国が攻撃された場合に対する撃退する撃退力が、我が国単独でやる場合よりも他国と共に撃退することができれば撃退する力が増大するということであります。しかし、最もこの集団的自衛権に頼るというか、信頼するプラスというのは、この撃退する力が増えるということよりも、そういった集団的自衛権の、我が国が行使容認をするという、受け入れるということによって抑止力を増大させるということにあるんじゃないかと思うんです。  これ、前回もこの視点でお聞きしているんですが、この抑止力の増大、元々我が国は戦争を放棄して専守防衛を掲げているわけですから、何かあったときの撃退力の方を考えるよりは、まず、抑止力が増大するという視点において集団的自衛権の行使容認ということが、メリットがあるのであれば議論する価値はあるのではないかと私は思っておりますけれども。  そうだとすれば、一般理論で集団的自衛権について論ずるときには、いつも、事があってからでも、ある国から要請があって我が国がそれを受け入れて集団的自衛権の行使を行うことがあるんだという一般理論の説明がありますけれども、我が国にとって、この議論をする際には、抑止力の増加、増大ということが一番の目的だとすれば、どうしてもこの他国というのは、あらかじめどこの国が日本と集団的自衛権のお互いに行使をする関係になっているかというのを明らかにしておかなければ第三国に対して抑止力の増大にならないんじゃないかと思うんですけれども。  私の考え方からすれば、これ、他国というのは条約等によって内外に対して事前に明らかにしておく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、この点についての御認識をお伺いしたいと思います。
  128. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、委員指摘のように、この抑止力の観点、これは大変重要な観点だと認識をしています。あらゆる事態、あらゆる可能性について考え、そしてしっかりと守りを固めていく、準備をしていく、こういったことは抑止力につながるわけですし、結果としてそのような事態を引き起こしにくくする、こういった効果もあると考えます。  そして、国際法上、一般的には、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利、集団的自衛権とはこのように解されているわけですが、その中にありますこの自国と密接な関係にある外国については、一般に外部からの武力攻撃に対し共通の危険として対処しようとする共通の関心があることから、この集団的自衛権の行使について要請又は同意を行う国を指すものと考えられています。  その意味において、この当該外国は必ずしもあらかじめ特定される性質のものではなく、また、条約関係にあること、これは必ずしも必要でないと考えられます。国際法上、一般的にはそのように考えられます。  ただ、我が国がどうするかということにつきましては、御案内のとおり、今、安保法制懇、有識者会議で議論が行われ、この最終的な報告を待ち、そして、その上で政府・与党で議論を行い、方針を決めるということでありますので、この議論はこれからまた引き続き行われた上で政府方針が決まるものと承知をしております。
  129. 小野次郎

    ○小野次郎君 そういった過程で私ども国会議員にも議論をする場は与えられると思いますけれども、是非政府で検討する際にも、そもそも何でこの集団的自衛権の検討をするかといったら、やはり抑止力の増大ということが主な目的だとすれば、是非、この一般理論では事が起きた後でも要請や同意ということでできるとなっているけれども、我が国について考えるときには、是非事前に明らかにしておかなければ抑止力の増大にならないんじゃないかという視点についても検討していただくことをお願いしておきます。  次に、同じやっぱり集団的自衛権に関する問題ですけれども、この集団的自衛権を考える際に、集団的自衛権発動の要件というものとそれから発動する際の実力行使の範囲というのは区別して考えることができるかどうかということをお伺いしたいと思うんですね。  集団的自衛権の対象となる他国に対する攻撃が行われる場所、地理的範囲というものと、我が国が、じゃ、発動して実力行使に出る地理的範囲とは、別個に考えることが可能じゃないかと私は思っています。例えば、我が国が集団的自衛権行使として実力行使できるのは憲法上の制約から我が国の領域及び公海上に限られるとするように、その発動の要件になる行為については、もっと遠くで起きたことについて集団的自衛権の発動ということが考えられるとしても、我が国がリアクションを取る、行動を取ることができるのは憲法上の制約から我が国領域若しくは最大限公海上に限られるんだと、そういう要件と実力行使の範囲とを分けるということは考え方として可能なんでしょうか。
  130. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) お答えいたします。  集団的自衛権と憲法との関係につきましては、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、安全保障環境が一層厳しさを増す中で、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにいかにすべきかという観点から検討が行われておりますので、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えております。  懇談会におきましては、個別的又は集団的自衛権を行使する自衛隊の部隊の活動の場所に地理的な限定を設けるということは適切でないといった議論が例えば行われているとは承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、これを参考に政府としての基本的方向性をお示しし、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談をしながら対応を検討した後、仮に憲法解釈の変更を行うこととなる場合には、閣議決定を行い、国会で御議論をいただくということを考えてございます。
  131. 小野次郎

    ○小野次郎君 質問の趣旨は、限定的な集団的自衛権の行使容認という話も出ているようですけれども、あるいは反対に限定的ということはあり得ないんだということを言っている方もおられますけれども、その発動の要件になるときのエリアというか範囲とそれから我が国が実力行使をする範囲とを分けて考えることが可能ですかという質問なんです。
  132. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) 我が国としての集団的自衛権ということでございますので、これについては、今申し上げましたように、あくまで今安保法制懇の方で議論をしていただいているところでございますので、政府として、それについてどうこうということではなく、懇談会からの報告書を待って考えていくということにしたいと思ってございます。
  133. 小野次郎

    ○小野次郎君 どうするかと聞いているんじゃないですよ。何か、法制懇って何なんですか。それ、役所じゃないんでしょう、だって。何か懇談会で話して出てきたら、じゃ、そのとおり政府は受け入れるんですか。  政府は、だから、いずれにしても、懇談会からどういう意見が出てくるにしたって、政府としての考え方を整理しなきゃいけないと思うんだけれども、考え方の整理として、集団的自衛権の発動の要件というものと我が国が実力行使をできる範囲というのを分けて考えることが可能なんですかと聞いているんです。
  134. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) 政府としては、懇談会からの報告書が出された後に、そのものということではなく、これを参考に政府として基本的方向性を示し、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談をしながら対応を考えていくということでございますので、やはりその懇談会からの報告を待ちたいと思っております。
  135. 小野次郎

    ○小野次郎君 私の視点もよく検討に入れていただきたいと思います。  三つ目の問いは、これは法制局長官だと思いますが、いわゆる自衛権発動の三要件のうち、我が国に対する急迫不正の侵害というのは武力による威嚇も含まれるんじゃないかと思うんです。そうだとすると、この危険度というんでしょうかね、そういった判断の概念としては、他国に対する攻撃であっても、我が国の独立と平和にとって重大な侵害行為に当たる場合には、自国に対する威嚇と同様に捉えて自衛権を発動するということもあり得るんじゃないかと思うんですが、御見解をお伺いします。
  136. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 何度もこの場でも申し上げておりますけれども、従来からの政府の申し上げておりますことは、憲法第九条の文言を一見すると武力の行使をあらゆる場合に禁止しているかのように見えるけれども、いわゆる自衛権発動の三要件を充足する場合には例外的に武力の行使を行うことも許容されるということでございます。  そこで、今御質問はこの三要件の第一要件でございますが、これは我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したことであるというのが従来から政府が申し上げていることでございます。  そこで、武力による威嚇でございますが、この武力による威嚇とは何かということにつきましては、例えば、私の手元にございますのは、平成十四年五月二十四日、金田誠一衆議院議員の提出の質問主意書に対するお答えとして以下のように述べております。「憲法第九条第一項の「武力による威嚇」とは、現実にはまだ武力を行使しないが、自国の主張、要求を入れなければ武力を行使するとの意思、態度を示すことにより、相手国を威嚇することをいうと考える。」、以上でございます。  そこで、我が国に対する武力攻撃が発生したということでございますが、これも従来から政府が繰り返し述べていることでございますけれども、武力攻撃というのは、我が国の領土、領空、領海に対する組織的、計画的な武力の行使の着手がなされているということを意味するということでございまして、そのように考えますれば、一般に武力攻撃の発生と武力による威嚇を同一に評価することはできないというふうに考える次第でございます。  なお、特定の事例が我が国に対する武力攻撃に該当するかどうかについては、政府が従来から繰り返し申し述べておりますのは、個別の状況に応じて判断すべきものであり、あらかじめ定型的、類型的にお答えすることは困難である。  以上でございます。
  137. 小野次郎

    ○小野次郎君 しかし、法律の一般的な概念では、急迫不正の侵害というのは、まさに銃を構えて撃つ姿勢を取る、若しくは横に向けてバンと撃つ、空撃ちするというのは当然もう侵害やっていますよね。どうしてならないんですかね、この場合は。もう一遍、法制局長官、お願いします。
  138. 小松一郎

    政府特別補佐人(小松一郎君) 総理も私も繰り返し申し述べておりますことは、現時点における憲法九条に関する政府の解釈は従前どおりであるということでございます。  私が今申し上げているのは、従来、いわゆる自衛権行使の三要件の第一要件、急迫不正の侵害があることということはどういうことを意味するかというと、我が国に対する武力攻撃が発生したことをいうというふうに政府は解釈してきており、それが現時点での政府の解釈であるということを申し上げている次第でございます。
  139. 小野次郎

    ○小野次郎君 お聞きになって分かるとおり、まだまだ個別的自衛権についてもうすぐにも必要な議論が私は山ほどあるような気がします。  この問題についても、誰が聞いたって、日本に向けて発射した、それが外れたと、外れたら、じゃ、それは侵害がなかったって、まだないんだというふうになるかといったら、なるんだと思うんですよ、私は。あるいは、日本海にわざと、日本海でも太平洋でもいいんですけれども、日本に向けたと見えるようにして撃ってきたと、だけど、それは領海の外におっこちたと、だから侵害がまだないんだってならないと思いますよ。なると思いますよ、私は。  だから、そういうことがならないという解釈でやってきたと言うんだったら、もう今日、明日の問題として、私は、個別的自衛権の今までの解釈、運用が今までどおりでよかったのかということを議論すべきだということを指摘しておきたいと思います。  一問、原子力協定についてお聞きしますが、戦争とか武力紛争とか治安悪化に対して、この原子力協定締結先国、トルコとア首連ですけれども、原発施設が武力攻撃や破壊活動、不法占拠のターゲットにされる危険が高いんじゃないかと思いますけれども、御認識をお伺いします。
  140. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 我が国原子力協定枠組みを整備するかどうかということに当たりましては、不拡散観点ですとか、相手国原子力政策ですとか、相手国日本への信頼や期待、二国間関係状況に加えて、相手国の政治情勢あるいは治安情勢、これもしっかり勘案した上で、こうしたものを総合的に勘案して検討していくということになると思っています。ですから、今回のトルコあるいはUAEとのこの協定締結におきましても、今申し上げましたように、この相手国の政治情勢あるいは治安情勢、これをしっかりと勘案をした上でこの協議を進めてきた次第であります。  トルコにおきましても、この治安、総じて安定していると認識をしております。また、このUAEにおきましても治安状況等は良好であると認識をしております。こうした認識に基づいて総合的な判断を加えた次第であります。
  141. 小野次郎

    ○小野次郎君 手短に局長に聞きますけれども、大臣は総じて安定していると言いましたけれども、トルコの国内の争乱状態、反政府活動なんか落ち着いたんですか。あるいは、トルコといえば、もう昔からアルメニアテロ、ASALAの活動はちょっと余り活発じゃありませんが、アルメニアテロの要因というのがありますし、今度クルドの関係もありますよね。さらには、今隣のシリアでああいう状態になっていて、シリアとの越境越しに飛んできたり、何かおっこちたりしているじゃないですか、ニュースで。そういうことを考えても、トルコは安全な国だ、今年、来年じゃなくて、四、五十年についてそう言い切れるんですか。局長、もう一遍お伺いします。
  142. 上村司

    政府参考人上村司君) お答え申し上げます。  私どもが、ある国の治安情勢を、あるいはカントリーリスクと申しましょうか、それを判断する際、現状をまずベースにこれ分析せざるを得ないということは御理解をいただけると思います。  その観点から申し上げますと、今先生御指摘のとおり、トルコにおけます幾つかの指標が私どもの手元にございます。まず、一般犯罪件数でございますけれども、これにつきましては、一番新しい数字が二〇〇六年、トルコ警察庁の数字でございます。トルコの一般犯罪件数は、人口十万人当たりの件数で約千百件ということで、日本よりやや少ないぐらいの状況。  それから、御指摘のございましたテロ情勢、一つ例を挙げますと、クルド、これは、北イラクに主たる拠点がありますPKKによるテロというのは、トルコにとりまして過去大変大きな問題の一つでございましたけれども、現在は和平プロセスが進みつつございます。したがいまして、このクルドとの関係での情勢は安定に向かっているということが言えるかと思います。  また、アルメニアを含めまして極左過激派組織によるテロ、これももちろん一部あることはございます。一番新しいので昨年の二月にトルコの米国大使館が狙われた事件がございましたけれども、これは自爆テロでございました。残念ながら大使館職員、現地の職員が一名死亡しておりますけれども、これを除きますと、トルコでの極左テロ情勢につきましても最近は安定していると、こういう状況でございます。  また、大規模抗議活動、昨年の春以降、イスタンブールの市の開発をめぐりましてございましたけれども、これも鎮静化をしているという、こういう状況でございます。  また、一番最近の情勢でございますが、昨月末のトルコ地方選挙におきまして、これは五年に一度の地方選挙でありますが、与党の公正発展党、これが五年前よりも得票を伸ばして四五%の得票を得ております。  こういう状況をまずベースに考えまして、トルコというものは総体的に安定をしていると、こういうふうに判断している次第でございます。
  143. 小野次郎

    ○小野次郎君 終わります。
  144. 末松信介

    委員長末松信介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後一時九分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  145. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、岡田直樹君、馬場成志君及び古賀友一郎君が委員辞任され、その補欠として大野泰正君、堀井巌君及び中泉松司君が選任されました。     ─────────────
  146. 末松信介

    委員長末松信介君) 休憩前に引き続き、原子力平和的利用における協力のための日本国政府アラブ首長国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び平和的目的のための原子力利用における協力のための日本国政府トルコ共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  本日は、参考人として、一般社団法人日本原子力産業協会理事長服部拓也君、特定営利活動法人環境持続社会研究センター理事田辺有輝君及び法政大学社会学部教授舩橋晴俊君に御出席をいただいております。  この際、参考人の先生方に、本委員会を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。  本日は、大変御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。  先生方から忌憚のない御意見を頂戴いたしまして、今後の審査の参考にさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございます。  議事の進め方について申し上げます。  まず、服部参考人田辺参考人、舩橋参考人の順にお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  参考人質疑者とも発言は着席のままで結構でございます。  また、各委員質疑時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお願いをいたします。  それでは、まず服部参考人にお願いいたします。服部参考人
  147. 服部拓也

    参考人服部拓也君) ありがとうございます。原子力産業協会の理事長を務めております服部でございます。よろしくお願いいたします。  お手元に原子力産業の国際展開という資料をお配りしておりますが、この資料の説明に入る前に、少しお話をさせていただきたいと思います。  私自身は、前職は東京電力に勤務しておりまして、三十六年間、一貫して原子力の部門を担務しておりました。二〇〇〇年から二〇〇二年の二年間、福島第一原子力発電所の所長も務めております。そういう点から、今回の福島第一原子力発電所事故は、直接的な原因は地震あるいは津波ということでありますけれども、このような事態を予測できなかったといいますか、この点につきまして十分対応ができなかったということにつきまして、痛恨の極みで、誠にざんきに堪えないというふうに考えているところでございます。三年を経た今なお十四万人近くの地域の住民の皆様方がふるさとを離れ、困難な避難生活を余儀なくされていることにつきまして、大変申し訳なく思っている次第でございます。  私どもが今やるべきことは、第一に、福島の再生、復興を進めて一日も早く住民の皆様が帰還できるような環境づくりに努めること、第二に、汚染水の処理や廃炉をやり切ることであります。これはこれから先三十年、四十年、長きにわたることでありますけれども、国内のみならず国際的な協力も得ながらやり遂げたいというふうに考えております。第三は、事故教訓世界原子力界の皆さんと共有をいたしまして、世界原子力施設の安全性向上に努めることだというふうに考えておりまして、この三点を中心にこれからもやっていきたいと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  それでは、お手元の資料に基づきましてお話を申し上げたいと思います。  一枚おめくりいただきますと、福島原子力発電所事故後の世界動きについて大きく二つ挙げております。一つは安全性向上二つ原子力政策についてでありますが、安全性向上につきましては、世界全体を見渡しますと、運転継続を前提として既存炉の安全性向上について確認をするというような作業が行われました。  IAEAにおきましては原子力安全行動計画というものを策定して、加盟国が現在対応中でありますし、現在、今年中にまとめられます包括安全評価報告書というものを取りまとめ中でありまして、これは各国協力を得ながら日本国もこれに協力をしているところでございます。  EU内でいいますと、二年前に大分話題になりましたが、ストレステストというものをやって安全性の確認をして、しかるべき必要な対策を打っているというところでございますし、米国あるいはロシア、中国、韓国というのは、独自に自国内のプラントの安全性の確認を行っていると。これらの状況につきましては、IAEA等の場で相互に情報を共有しながら、足りないところ、学ぶべきところ等々を世界各国で協調しながらやっているところでございます。  原子力政策につきましては、先進国、新興国及び新規導入国というふうに今分けておりますけれども、米国、フランス、英国など、それから新興国のロシア、中国、インドなど、それから、これから新しく原子力を入れようとしているUAE、ベトナム、トルコ、サウジアラビア、ヨルダン、ポーランドなど、これは引き続き原子力推進していこうという政策を維持しているところでございます。  ただし、一部の国は脱原子力政策を決定いたしまして、その代表的なところはドイツでありイタリアであり、オーストリアあるいはスイス等であるところでございます。  一枚めくっていただきますと、そういう中で、日本に対する世界期待ということをちょっと整理しておりますが、二つ挙げております。一つは福島事故対応につきまして、それから二つ目は、新規導入国を中心に日本経験技術力についての期待であります。  まず、福島事故関連でありますけれども、事故関連情報を世界にできるだけ提供してほしいということと、事故を収束させる。現在、事故の当初の非常にクリティカルな状況はもう脱しましたけれども、除染の問題であるとか汚染水の処理の問題であるとか廃炉の問題、それから除染により発生した廃棄物の処分問題等々、幾つかの課題がありますので、これらをきっちりやることが期待されていると。  それから、先ほども申し上げましたが、教訓世界と共有して安全確保に資するように、とりわけ今回の問題は、今回の福島は外部事象ということでありますので、テロ対策も含めまして、地震や津波や洪水や竜巻や火山や山火事や、あるいは地すべり等々、外部事象ということを中心に安全対策が強化されているところであります。  それから、新規導入国を中心に、日本経験技術力期待をしているところが大いにあります。  これはある意味では日本の強みと言えるところでありますが、一点目が、高品質、高信頼度の機器の供給能力、いわゆるサプライチェーンが日本は確立されているということであります。日本の物づくり力に大いに期待をしていると。  それから二つ目が、耐震設計に代表されるような高度の設計管理技術ということであります。これは、コンピューターを使いまして、よく3DCADというのが話題になりますけれども、それだけではなくて、一部のメーカーにおきましては6Dという、六つのいろんな情報を一つのコンピューターの中に全部詰め込んで、そこからあらゆる情報が引き出せるというようなシステムも作り上げているところであります。  それから三つ目が、恐らく世界で最も期待されている部分でありますけれども、建設プロジェクトの管理能力であります。オンタイム・オンバジェットというような言い方をするんですけれども、設計のプロジェクトの管理、これが時間が掛かってしまいますと、その分建設コストが大変上がってまいります。したがって、建設工期内にいかに高品質のプロジェクトを仕上げるかというのが最大の課題と言っていいと思いますが、この点について日本世界に誇り得る技術力を持っていると思っております。  それから、非常にきめ細かな運転、保守、予防、保全、あるいは高経年化対策等の運転・保守技術の支援であります。  そのほかに新規導入国の方からは、人材の育成だとか法規制の整備だとかあるいはPAなど、いわゆる基盤整備の支援が期待されております。  それから、次のページに行きまして、それでは、日本が国際的に原子力技術を展開していくということの意義でありますけれども、ここも二つを整理しておりまして、一つは世界への貢献ということでありまして、エネルギーの需要はこれから先も大きく伸びることが予測されております。とりわけ、電力の需要は一次エネルギーの需要の増大よりもはるかに高い伸びを示すというふうに考えられておりまして、そういう観点から、エネルギーの安定供給という観点でこれに資するということ。それから、原子力安全性向上、とりわけ福島経験を生かした原子力安全性向上。それから、核不拡散体制の維持強化、これは、日本が唯一の被爆国としてこれまで核平和利用を追求してまいりまして、この実績というのは高く評価されておりまして、この点についても大いに貢献できると。それから、温室効果ガスを排出しない原子力ということで地球温暖化対策への貢献期待できる。それから、地域の持続的発展と安定に寄与、これは、エネルギー問題を起因といたしまして、地域エネルギーの獲得競争というようなことが起こって、それが結果として地域の不安定の要因にもなり得るということでございまして、そういう観点から、エネルギーの安定供給というものがしっかりできれば地域の安定にも貢献できるというふうに考えております。  それから、我が国としての意義でございますけれども、海外展開というものが行われますと技術力の維持向上に資するというふうに考えておりまして、現状の我が国原子力は人材の確保、育成というのが一つの大きな課題になっております。原子力がこれからどういうふうに展開していくかによらず、優秀な人材を原子力産業界あるいは原子力界に投入していくということは非常に重要な課題でありまして、そういう観点から海外展開というのは大いに期待できると思っています。  それから、国内産業の発展という観点で、今の、現政権が挙げておられます成長戦略、あるいは雇用の確保、あるいは産業の空洞化というようなことに対しても、国内産業がしっかり海外展開に寄与できれば、こういうものがそのまま産業の発展にもつながっていくというふうに考えております。  それから、今回のエネルギー基本計画の中でも、安全性が確認されたプラントについては再稼働を進めていくということが、大きな方針が示されましたけれども、そういう既存炉の安全運転という観点、あるいは福島の廃炉、それから、いずれ今の運転しているプラントも廃炉ということになりますので、こういうものをしっかりやっていくためにも人材が必要であります。そういう観点から、技術力確保し、人材を維持していくということが極めて重要かと考えております。  一枚めくっていただきまして、産業界の海外案件への取組につきまして、基本的な考え方を含めて少しお話をさせていただきます。  まず、基本的な考え方といたしまして、これは日本国の基本的な方針でありますが、3S、核不拡散原子力安全、核セキュリティー確保ということがまず大前提であります。  それから二つ目が、これまでは機器の単体の輸出というのが幾つか例がありますけれども、プラントの輸出といいますか、トータルのシステムとしての輸出というのはこれまでまだ実績がありません。そういう点から、システムの輸出、ハードとソフト、それを一つのパッケージといたしまして、ソフトといいますと、例えば運転管理だとかあるいは安全対策だとか等々、いわゆるハード面とソフト面がセットで初めて安全確保というのができるものですから、そういうものをパッケージとして提供していくということ。  それから、産業界も、メーカー、電力、ゼネコン等々がございますけれども、これらが一体となってオールジャパンとしてこれに取り組んでいくということを基本的な考え方としております。  その具体的な例といたしまして、例えばベトナムでありますけれども、ベトナムにつきましては、相手国からの要請によりまして、人材育成、法整備、あるいはパブリックアクセプタンスというようなところの基盤整備の支援を行っているところであります。これまで、研修生の受入れだとか専門家の派遣、セミナーの実施、あるいはベトナムの要人の受入れで現地を見ていただくというような機会を設けたりをしております。  また、フィージビリティースタディーというのも相手国の要請に応じて実施しておりますけれども、それらの実施の主体でありますけれども、産業界の方でも体制を整備いたしまして、国際協力センター、ジックと呼んでおりますが、JICC、並びにJINEDと言われる原子力国際開発株式会社というものを設立いたしまして、より海外との窓口を一本化して対応しやすいようにしておるところでございます。  これらの海外案件を具体化するに当たって、国に対してこれまで幾度となく要望をしてまいりました。一つは、国のリーダーシップということでありまして、これは競合する諸国と比較いたしまして、日本国全体として国のリーダーシップが必ずしも十分じゃないというふうに考えておりまして、これは今相当程度やっていただいておりますが、フランス、韓国、ロシア等々、競合する国々と競合していくためにはこれがどうしても必要だと思っておりますし、あわせまして、今回の話題になっております二国間の協力協定、あるいは損害賠償の条約、CSCと言われるもの等を通じた健全な環境整備というものをやっていただく必要があるというふうに思っておりまして、これらをお願いしながら、産業界は産業界として最大限の努力をしているところでございます。  その次のページとその次のページに、参考の一、参考の二といたしまして、UAE原子力開発計画トルコ原子力開発計画について簡単に述べております。  詳細の説明は省きますけれども、UAEにつきましては既に韓国が二〇〇九年に受注いたしまして、それで今プラントを建設中であります。現計画では四基の計画で、二基が正式に着工して、二基が許認可に直接対応しないような部分については既に工事が始まっております。日本に対しましては、そういうふうに韓国が受注をしておりますけれども、日本技術力に引き続き強い関心を持っておられまして、度々日本国に訪問されて、施設を訪問されたり、あるいは日本で開催する会議に出席されたりしているところでございます。  次のトルコにつきましては、昨年五月に日本が第二のプロジェクトの優先交渉権を得まして、日仏のコンソーシアムでこれに対応するように今準備を進めているところであります。先行するプロジェクトはロシアでありまして、ロシアが非常にトルコに対して有利な条件で契約の提示をいたしまして、条件提示をいたしまして、ロシアがこれを受注したという実績がございます。  駆け足で申し上げましたが、私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
  148. 末松信介

    委員長末松信介君) 服部参考人、ありがとうございました。  次に、田辺参考人にお願いいたします。田辺参考人
  149. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) 「環境持続社会研究センター、JACSESの田辺と申します。  本日、私の発表、五点の観点から述べさせていただきます。一点目は、トルコ・シノップ原発建設の問題、それから二点目といたしまして、この原子力協定自体の問題、それから三点目といたしまして、国税を使った海外の原発建設支援の問題、そして四点目は、JBIC、NEXI、国際協力銀行や貿易保険などの支援の際の安全確認の体制の問題、それから、成長戦略としての原発輸出といった問題を述べさせていただきます。  まず、一点目のトルコ・シノップ原発建設の問題ですが、これは午前中の議論でも様々出されておりましたが、大きく四点に分けさせていただきました。  一の一ですが、まずトルコ原発のリスクとして大きなものは地震国であるという点です。仮にこの原子炉そのものが耐震性の高いものであったとしても、その周辺インフラが寸断される可能性が極めて高いということが言えると思います。福島事故でも送電線が倒壊して電源が喪失しました。これまでトルコの様々な地震でも、そういったインフラが寸断されるという事態が各地で起こっているということがあります。  それから、シノップ市長自体が反対しているということですが、市長が反対している中で果たして適切な住民避難計画ができるのか。それから、仮に、ずっと運転中も反対の市長が出たときに、事故が起こったときに住民避難をきちっと実施できるのかどうかという点については極めて懸念が残るという点です。  それから、一の二ですが、これも既に委員の方で出されておりますが、推進と規制の分離ができていないという点です。  政府の回答からは検討中である、この規制と推進の分離ですね、検討中であるということですが、トルコ、民主化に逆行している状況もあります。そのような中で、果たして、政府の政治的な意思とは仮に異なる技術的、科学的な決定がこの規制当局ができるかどうかという点については極めて疑念が残るというところであります。  過去、このトルコ原子力庁がチェルノブイリ事故の放射能の状況をきちっと公開してこなかったことであるとか、それから、二〇〇七年にイズミールのスクラップ工場で起こった放射性廃棄物の不法投棄問題に対してきちっと対処してこなかったという問題は、トルコの市民の側から強く懸念が示されているところです。  一の三といたしまして、現地では森林伐採が最近になって大規模に行われています。聞くところによると、環境アセスメントというのはなされていないというふうに聞いています。非常にこれ、住民の方々、もう既にこういった伐採が行われていることにショックを受けています。  同時に、仮にこれからJBICやNEXIがこういった事業を支援する際には、環境ガイドラインというものがあるんですが、このような環境アセスメントをきちっとやらないで森林伐採をしているというような実態は環境ガイドラインに違反する可能性もあるということをコメントさせていただければと思います。  それから、下の写真ですが、現地は非常に美しい海が広がる漁村であるとともに観光地であるということで、付近にも自然保護地域が存在するということであります。  それから、一の四ですが、これは最大の私、問題だというふうに考えておりますが、まず最近のトルコ状況、民主化と逆行する状況が多々見られるということです。  昨年六月に、イスタンブールの公園撤去問題を発端として民主化デモが発生しました。大量の逮捕者、それから負傷者も出ております。最近では政権の大規模汚職問題が発覚いたしまして、これを批判を抑えるために政府がインターネットのツイッターやユーチューブを閉鎖するというような事態になっていまして、表現の自由が極めて制限されているというふうな状況に至っています。このような中で、先ほど申した健全な規制体制というのがつくれるかどうかというのが、非常に困難ではないかというふうに思っております。  また、トルコにおける原発反対運動でありますが、各種世論調査、いろんな世論調査を見てみましても、福島事故後、トルコ国民の六割から八割が反対しているというようなデータもあります。  それから、現地では繰り返しデモが起こっておりまして、今年の一月にはイスタンブールの日本領事館前でデモが発生しまして、日本領事館にシノップの今のきれいな土というのをプレゼントしたということを聞きました。  それから、現地から、シノップの住民の団体からの要請書やトルコのNGOの連合体からの要請書が国会議員の皆様に配られているということであります。  幾つか現地の写真をお見せしたいと思いますが、次のページの写真なんかは、福島のことを強く意識されていたり、トルコ日本の友好ということで非常に親日的に、平和裏にこういったデモも行われているということです。次の写真、六ページ目の写真ですが、イスタンブールでは日本領事館前で日本語の垂れ幕なんかも掲げられております。  二点目に、トルコ原子力協定の問題でありますが、既に、八条の問題ということで、両国の書面同意があれば濃縮、再処理が可能という規定がいろいろと問題になっております。  これ、情報公開の問題として二点あると思っていまして、そもそもこのトルコ側に許可しない旨を伝達した記録が公開されていない問題、それから、仮に将来、政権が替わって核政策が変更になった場合に、政府のみでその書面同意が行われてしまった場合に、果たしてそれを事前に国民が知ることができるのかというところが不明という問題があります。核政策が変わった例といたしましては、インドに対する核政策、これまで日本はNPTきちっと守っていこうという方向性でしたが、原子力協定交渉を進めているという実態もありますので、核政策というのは常に一定ではないというふうには考えております。  結局、この政府間の合意の規定が原子力外交のブラックボックス化を助長してしまっているというふうに言えると思います。  それから、三点目でありますが、本来はこれは企業が行うべき調査だと私は考えておりますが、国が税金を使って様々な海外原子力建設支援というのを行っています。  ベトナムに対しては三年度分ありまして、全て日本原電に委託されています。合わせて二十九億円余りということです。それから、トルコに対してはシノップ原発の地層調査ということで、昨年度の予算で十一・三億と書いてありますが、十一・二億の間違いです。訂正させていただきます。今年度、二十六年度の予算でも同様の予算が計上されており、調査サイトは私どもは不明というふうになっています。  このトルコ・シノップの地層調査の問題ですが、既に報道等であるように、日本原電のみが応募できる状況になっているのではないかということが指摘されています。それから、委託先選定の妥当性として、原子力規制委員会が活断層と認定している敦賀原発直下の断層を活断層ではないとずっと言い続けている会社ですし、それから、保有する原発三基とも再稼働のめどは立っていない中で二期連続赤字、それから、他の電力会社の債務保証なしでは銀行から融資を得られない状況というところの経営基盤になっているところに委託をし続けているということです。それから、調査内容そのものも黒塗り状態ということで、果たして、ベトナムの調査も含めまして、これだけの税金を使ってどのような調査が行っているかということを国民は知ることができないという状況があります。  それから四点目といたしましては、トルコなんかでは、二兆円規模プロジェクトなわけですから、当然、JBICやNEXIの支援がなければなかなか成り立たないような状況になっています。仮にJBICが融資するということになった場合は、一兆円規模の公的資金が使われる可能性もあるというふうに思っております。  これまで、福島事故以前は、JBICやNEXIが支援する際に原子力安全保安院が安全確認作業を行っていましたが、事故後、保安院が解体されましたので、かつ規制庁がこのような輸出には関与しないということを言っているので、今現在は宙ぶらりん状態ということになっています。推進と規制の分離ということが不可欠であるわけですが、経産省は自ら安全確認を行う方向で制度を検討しているという報道もされています。加えて、これまで確認事項としていたのは機器の品質や相手国の制度といったところの確認のみでした。実際にシビアアクシデント対策とか、それから住民避難計画等の確認はされていませんでした。このような点も含めて、きちっと確認体制をつくることができるかどうかというのが非常に重要ではないかと思います。  最後に、この原子力輸出というのは成長戦略になるのかどうかという観点からお話しさせていただきたいと思います。  八ページ目の下の図は、これは日本の人口ピラミッドに非常に似たような状況でありますが、世界原子力発電所の運転年数を並べたものでして、上が古いものです。矢印のところが四十年です。つまり、これから十年、二十年にごっそりとこれまでの運転基数が削減される可能性が高いということです。仮に現状レベルの新増設であれば、半減ぐらいは行くんではないかというふうに見ています。  実際の運転状況でありますが、既に二〇〇二年に原子炉基数はピークを迎えておりまして、発電実績も二〇〇六年にピークを迎えております。今後、大量廃炉時代というふうになるわけですが、非常に原子力産業自体が規模自体は低下せざるを得ないんではないかというふうに考えております。  他方、IAEAは二〇三〇年に設備容量を二五%から一〇〇%増というような見込みを出していまして、資源エネルギー庁もこのデータをいろんな場面で引用しています。このようなIAEA予測が妥当性があるのかどうかというところはきちっと検証する必要があるというふうに思います。  五の四ですが、日本原子力産業協会は、計画中百基というふうに述べています。この百基の中身を見てみますと、日本の八基を始め、実現可能性に疑問のあるものが約十五基あります。  それから、日本企業の参入が困難であるという、これは幾つかの要因がありますが、まず、中国、ロシア、韓国を始めとして、自国企業が優先されるだろう案件というものがありますし、それから、核不拡散の問題から日本の参入が極めて難しいだろうと思われるもの、それから、既に優先交渉権、既に他国の企業が決定している案件というものがありまして、最後のトルコの二基は四基の間違いでありますが、これら合わせますと六十六基ということになりますので、仮に新興国で少し建設スピードが上がったとしても、日本企業にとっては果たして成長産業なのかどうか、衰退産業ではないのかと。そうすると、その延命策というのは果たして成長戦略になるのかどうかという点に関しても、極めて疑わしいものであるというふうに思っております。  以上です。
  150. 末松信介

    委員長末松信介君) 田辺参考人、ありがとうございました。  次に、舩橋参考人にお願いいたします。舩橋参考人
  151. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) 法政大学の舩橋でございます。  私は、一九八九年以来、青森県の核燃料サイクル施設の調査を続けてまいりました。これまでに三冊、研究書を公刊しております。青森で大きな事故が起こらないかということをずっと心配しておったんですが、それがほかならぬ福島で起こってしまったということで非常な衝撃を覚え、その後、全力を挙げて福島の現地の様子、そして、なぜこの事故が起こってしまったのか、どうやったら二度とこういう事故を起こさないで日本社会を再建できるのかということに、若い人たちとともに研究に取り組んでまいりました。  今日、申し上げたい点が大きくは(1)から(4)でございますが、まず最初に申し上げたいのは、この問題を考えるのに、原発輸出問題について考慮するべき論点として、私たちは大局的、原則的視点が必要だと思います。どういう意味で大局的、原則的視点が必要かというと、(1)のところに書いたんですけれども、諸外国へ原発輸出問題を考える際には、少なくとも次のA、B、Cの視点は持っている必要があろうかと思います。  まずAの視点ですが、海外諸国に原発を輸出するのが是か非かという問題は、日本国内で原発を続けるのが是か非かどうか、またその判断はどういう根拠に基づくものなのかということと切り離せないと思います。日本自身がエネルギー政策原子力政策をこれからどうするのかということと原発輸出問題は切り離せないということであります。  第二に、Bの視点ですが、日本原子力政策は、その基本方針を定めている原子力基本法第二条において、平和、安全、民主、自主、公開の理念を提示しています。原子力に関わる個々の政策判断は、これらの規範的原則あるいは理念に立脚しなければなりません。それに矛盾していないかどうかということをその都度検証する必要があろうかと思います。  そして、Cとして、これからのエネルギー政策は、福島原発事故の反省を踏まえ、原発事故の歴史的意義考えた上で立案されるべきだと思います。世界史の中で四大原子力の惨害、非常な大きな悲惨な被害を惨害といえば、それを列挙するとすれば、誰でも広島の原爆、長崎の原爆、チェルノブイリ原発事故福島原発事故を挙げると思います。四大惨害のうち三つまでも日本において発生している、これは偶然ではないというふうに考えます。  このような悲惨な悲劇が日本で繰り返し起こった根拠を分析しなければなりません。それが大局的視点を持つということです。社会学的に分析するのであれば、日本社会政策決定の在り方の欠陥、それは公論の軽視、閉鎖性、密室性ということ、そして個人の主体性の未熟、個人が自分の責任で意見表明をせず集団に埋没、従属してしまっているということ、そういう傾向が根深く見られること、道理性や合理性に対する鈍感さといった要因の影響を指摘したい。これは非常に乱暴な議論に聞こえるかもしれませんが、四大原子力惨害のうち三つ日本で起こったということを根本的に反省しないと、私たちは正しい政策選択ができないのではないかと思います。  第二に、現時点での政府エネルギー政策を総合的に評価する必要があります。政府の総合的なエネルギー政策原発輸出問題は絡み合っているわけであります。  四月十一日にエネルギー基本計画、全七十八ページが閣議決定されたことにより、現在の政府の姿勢は、日本国内で原発を継続し、海外諸国にも原発を輸出する方針であるということが明確にされました。エネルギー基本計画の中に原発輸出が位置付けられていますが、そうなりますと、エネルギー基本計画方針が妥当かどうかをまず検証する必要がございます。  翌日、四月十二日に、市民シンクタンクとしての原子力市民委員会が「原発ゼロ社会への道 市民がつくる脱原子力政策大綱」、全二百三十八ページを発表いたしました。この原子力市民委員会は、様々な分野の専門家や市民団体の代表者が入り、私が座長を担当しておりますが、この一年間、何十回という会合を開き、かつ全国十六か所で意見交換会を開き、この総合的な政策提案をまとめたわけであります。  この政策大綱は、取り上げているテーマの包括性、アプローチの学問的総合性、すなわち理工系だけではなくて人文学、社会科学系の専門知識を総動員しております。そして、作成方法における公論の反映、各地で何回も何回も意見交換をしております。そういう点で前例のないものであると自負しております。この政策大綱に立脚して問題点を指摘したいと思います。  是非、議員の方々におかれましては、政府エネルギー基本計画と私たち市民が作った脱原子力政策大綱、この二つ政策文書を比較し、どちらが説得力があるのか、どちらが包括的に問題を検討しているのか、どちらが総合的、学際的アプローチを取っているのかということを是非批判的に検討していただきたいと思います。  二枚目に参りますが、それでは、原発を復帰させる、回帰し、原発を継続する政策、これがエネルギー基本計画に出ているわけですけれども、そしてその一環として原発輸出政策が主張されているわけですが、その内容的な難点について述べたいと思います。  まず一番言いたいことは、原発には安全性が欠如しているということです。過酷事故が発生した場合、破滅的な被害、国の存亡に関わる被害、被害の上限が確定できない、そういう巨大な被害を発生させてしまいます。既に福島第一原発事故経済的被害は今の時点で十三兆円を超えておりまして、これがどこまで伸びていくか分からない状態ですね。  それに対して、技術的対策を追加すれば問題を防げるんじゃないかという御意見があろうかと思うんですが、過酷事故について、どんなに技術的対策を追加してもリスクをゼロにすることはできない。現在、新規制基準という言葉が使われていて安全基準という言葉が使われていないのは、そういう意味があるわけですね。規制基準を守っていれば安全が達成されると言い切れない、どんなに技術的対策を追加しても、過酷事故リスクをゼロにすることはできないということです。  私は、この二月の下旬に一週間ほどドイツに参りまして、ドイツの様々な立場の方、市民団体も研究者も、それから行政各省にも、いろんな方、自治体にも会ってお話を聞いてきました。一様におっしゃることは、まさか日本でああいう事故が起こるとは思わなかったと。それで、自分は日本事故を起こす前は原子力安全性技術によってコントロール可能、危険はコントロール可能だと思っていたと。しかし、日本事故を見て完全に考えを変えたと。どんなに技術的対策をやってもコントロールできないリスクが残っている、それが原子力技術だと。しかも、その確率は少ないとしても、一旦発生してしまえば国の存亡に関わる被害を起こしてしまうと。だから、ドイツはもう原発をやめたんだと。こういう意見を各地で聞いたわけであります。その点で、私たちは安全性とか危険性についてもう一度深く考え直す必要があります。  新規制基準は、それを守れば安全が確保される基準ではありませんし、世界最高水準には程遠いのです。世界最高水準ではないということの意味は、私たちの脱原子力政策大綱の百六十ページに詳しく説明してあります。過酷事故対策については、欧州加圧水型原子炉、EPRにその構想がありますが、それに比べても、新規制基準は四つの点で劣っております。時間がないので内容はここでは紹介いたしませんが、是非百六十三ページを御覧いただきたいと思います。  そして、安全性について言えば、原発輸出に関して述べますと、日本側の安全確認体制が構築されていません。これは非常に無責任なことです。もしも日本が輸出した原発で過酷事故が現地で発生したらどうするんでしょうか。例えば、トルコは地震多発国であります。そのようなことが起こりましたら、輸出先の国民に対しても取り返しの付かない被害がありますし、私たちの後の世代にも大変な重荷を背負わせることになります。  そして二番目には、各種の放射性廃棄物問題を解決できていないということであります。私は、日本学術会議の高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会委員としまして、二〇一二年九月に原子力委員会に学術会議が回答をするその文書の作成に参加いたしました。その間いろいろ学んだのですが、とりわけ高レベル放射性廃棄物については少なくとも十万年間の安全を確保すべきであるが、その方法は見付かっていないと。  危険性の押し付け合いで、地域間、世代間の不公平をもたらす。紛争の種になります。学術会議もできるだけ良い回答を考えようと努力しましたが、総量管理、暫定保管、多段階の意思決定を提案しておりますが、これは最終解決ではないのですね。  ですから、日本が輸出した原発の放射性廃棄物をどうするのでしょうか。日本が引き取るのでしょうか。日本が引き取るのでなければ、諸外国に超長期の危険性と解決できない難問を押し付けることになります。この問題を取り上げないでこの輸出問題を議論することはできないと思います。  それから三番目に、原発には経済的合理性が欠如しています。平常時における発電コストが、設備投資コストも含めれば火力発電などに対して劣っていると。事故が起これば更にその採算は悪化します。このことは私ども市民委員会の中で、大島先生とか吉岡先生が長年の研究に基づいて実証的な論証をしております。ということは、仮に原発を輸出して他の外国で発電ができるようにしたとしても、それは諸外国民に割高の電力を使うことを強いるということになるのです。  より詳細に検討すれば原発の難点は非常に多数ございまして、「原発をやめる100の理由」という本がドイツでは出ておりまして、日本にもそれが翻訳されておりますが、是非その点を虚心坦懐に御検討いただければと思います。  総じて、原発の国内操業も海外への原発輸出も、受益が過大に評価され、受苦が過小評価されている。市民の常識から見れば、非常に偏った見解になっている。なぜそのような偏りが生じるのか。これは、原子力ムラという言葉がありますが、原子力複合体というふうに学術的には言えると思うんですが、その原子力複合体の内部からの判断が余りにも重く、偏重されている。  私どもの本で、二百十六ページの図の六の一がございますので、もしよろしければその二百十六ページの図を是非御覧いただきたいと思います。この図は、一つの事業システムを内側から見た場合と外側から見た場合とで、いかに物事の見え方が違うかということを図示する試みでもあります。  事業システムとして、例えば原子力発電システムを考えた場合、それを内部主体から見れば、メリットがすごく大きくて、デメリット、受苦は非常に少ないと、しかもそれは受忍限度より小さい受苦で大した受苦ではない、メリットはすごく大きいと、こういうふうに見えるわけですね。ところが、その事業システムの外側から見る、あるいは底辺にいる立場から見れば、メリットは大したことはないのに受苦は非常に大きいと、それは受忍限度をはるかに超えていると。  ここに原子力論争をめぐって大きく世論の対立が生ずる根源的な構造があると思います。現在の原発輸出論というのは余りにも内部の視点に偏っていて、放射性廃棄物問題を始め、事故の危険性を始め、そういう深刻な受苦の可能性に対して目をつぶっているのではないかと、そういう疑問を持つわけであります。  それから四番目に、原発回帰と原発輸出の手続面の難点を申し上げたいと思います。  原発回帰を主張するエネルギー基本計画は、民主的な手続を無視していると言わざるを得ません。  国民世論は脱原発を望んでいます。福島原発震災以後、各種世論調査では、原発をやめるべきが一貫した多数意見で、大体七割を超えておりまして、それは、二〇一一年から一四年にかけて年々じわじわとそのやめるべきという意見は増えているんですね。  それから二番目に、政権与党の公約違反ではないかという疑問を指摘いたします。二〇一二年十二月の衆議院選挙で、自民党は原発依存度の低下、公明党は脱原発を掲げていられたと思います。それと、今再びエネルギー基本計画原発を復帰させるということは、矛盾しているのではないでしょうか。  それから第三に、パブリックコメントも無視されています。今回の原子力基本計画については、約一万九千通のパブリックコメントの意見分布があるはずなんですが、それが示されていない。数量的に、約一万九千通のパブリックコメントのうちどれだけが原発の回復を望んでおり、どれだけが反対しているのか、その数量的な公表がされていないわけですね。これはパブコメの多数意見原発回帰に反対だから、だから出したくないとしか考えられません。  原子力基本法の公開と民主はどこに行ったのでしょうか。公聴会もされていないし、被災者や立地自治体や専門家からの聞き取りもしていません。こういう民主的でない手続で強引にエネルギー基本計画を決定しても、それは全く国民に対して説得力を持っておりません。  加えて、原発輸出の方針も民主的な手続を無視しています。  原発輸出は日本国内の民意に反すると思います。例えば、時事通信の二〇一三年六月の世論調査では、安倍政権が海外への原発輸出を推進していることについて、支持しないが五八・三%、支持するは二四・〇%で、二倍以上で反対が多い。こういう世論調査があるわけであります。  さらに、原発輸出は輸出先民意も無視しています。例えば、トルコでは、先ほどの御紹介にもありましたように、原発建設が世論の多数を占めていなくて、反対が世論の多数ということです。IPSOS社の福島原発事故に対する世界市民の反応調査によれば、八〇%のトルコ国民は原子力反対を表明していると。民主ということは、日本の中だけが民主ということではなくて、お付き合いのある諸外国の民主主義も尊重しなきゃいけない、そういうふうに考えられます。  それから、原発輸出に関係する調査活動について非常に不透明です。これは公開の原則を否定しています。今御紹介ありましたけれども、トルコ、ベトナムの原発事業化調査を日本原電が総額三十九億円余りで受注しているが、公開された報告書は黒塗りだらけで、適正な調査なのか、必要な調査なのかちっとも分からない。大変疑問があるわけです。  ということで、元々の私たちの出発点である民主とか公開とか、そういう原則に立ち返ってみると、余りにもそれと矛盾する事態をもって今強引に原発輸出が進められていると言わざるを得ません。  まとめを言いますと、一、福島原発事故にもかかわらず、原発回帰と原発輸出を推進しようとする経産省主導の政府政策は民意と懸け離れていると言わざるを得ません。  第二に、原発輸出政策は、過酷事故可能性、高レベル放射性廃棄物という点だけから見ても、諸外国の国民に危険負担を押し付けるものであり、日本と当該諸国民の真の友好関係と利益を損ない、将来、それらの負担をめぐる紛争のおそれを伴います。  第三に、原発輸出は、社会的利益を犠牲にしながら特定の業界利益の追求に政府が便宜を図っているという性格が強いのではないでしょうか。  第四に、日本及び諸外国の経済的発展やエネルギー問題の解決のためには、省エネルギー投資や再生可能エネルギーの投資を優先するべきであって、この面での政策技術開発日本世界をリードしていくべきであろうと。  そういう意味で、今回の原発輸出問題については原点に立ち戻って取りやめるべきではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  152. 末松信介

    委員長末松信介君) 舩橋先生、ありがとうございました。  以上で参考人意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  153. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。  三人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。時間も十五分と限られておりますので、早速先生方に質問をしたいんですが。  やはり、この原子力政策というのは、単に経済的な効果であったりとか外交的な成果であったりとか、それだけでやっぱり論議をしては非常にいけない政策だと思います。しかしながら、なぜそれが表に出過ぎるのかということを考えると、原発政策というのは非常に安保政策と似通ったところがあるなと。ある意味、それを議論すること、あるいはその政策を踏むデメリットの部分を議論することを非常に政府あるいは推進側がナーバスになって、表の中に、透明性のある議論、冷静な議論、どちらがどういうふうにメリット、デメリットがあるのかというのがなかなか議論されてこなかった。そこは大きくやはり反省をしなければならないなというのを三人の先生方の御意見を聞きながら自分で思った次第です。  その上で、それぞれの先生方に一つ一つ御質問させていただきたいんですが、まず服部参考人に。  元東電の方でお働きになったということで、また福島第一原発所長として二年間御勤務なされたその見地から、原発安全性推進をする上でのメリットというのをるる御紹介いただいたわけなんですが、しかしながら、服部先生の今回のお話の中で、世界に比してのいろんな日本原発安全性であったりいろんなことを述べられたんですが、逆に世界に比して我が国原発のデメリット、弱点、ウイークポイント、そういうところが述べられていなかったように感じます。特に3Sの確保というところで、ページにすると五ページですかね、核不拡散原子力安全、核セキュリティー確保、これが日本の基本的な考え方だとおっしゃいましたけれども、本当にセキュリティーというところは大丈夫なんだろうか、我々はそこを真剣に考えてきたんだろうかというところは私は少し疑問符が付くところであります。  国に対する要望というところに関しても、国のリーダーシップであったり健全な環境整備をするべきだというお話はなされましたけれども、現に我が国に残っている核の燃料棒であったり、あるいは施設ですね、これをどうやってセキュリティー守っていくのかという議論というのは全く進んでいないように感じるんですが、そこに関しての服部参考人の御意見をお聞きしたいと思います。
  154. 服部拓也

    参考人服部拓也君) ありがとうございます。  まず、日本原子力技術でありますけれども、先ほど私の方から優れた点を中心にというお話を申し上げました。  私見でありますけれども、日本の中でこれまで閉じた形で、ある意味で閉じた形で日本の中の原子力のビジネスというのは行われてきたこともあって、グローバル化という観点で海外に比べて遅れているというふうなところはあろうかと思います。  そのものの技術、例えば安全規制についても、それぞれについてはそれほどの劣ったところはないんですけれども、一つの例示が、今回の福島事故の直接的な原因であったシビアアクシデント対策について国際的な基準に比べてみると、そういうものが規制の要求事項としてなっていなかったというようなところについては、これは日本の規制の状況が遅れているというふうに指摘されていたところであります。これは、IAEAのIRRSというような、規制をレビューするようなそういうミッションがありまして、そこで指摘をされておったんですけれども、それが必ずしもその後フォローアップされていなかったというところに表れているところかというふうに思っています。  ということで、一言で言えば、グローバル化という視点で見たときに、日本技術がよく言われるガラパゴス化と言われているような、そういうふうな傾向があったように思います。あと、具体的に個別のもので余り今思い付かないんですけれども、今そんなところかというふうに思っています。  それから、二つ目の御質問でありますセキュリティーの問題でありますけれども、これにつきましては、先生御指摘のとおり、これは基本的にこの3Sというものが大事であるということを二〇〇八年のサミットの場で日本から提唱したわけでありますけれども、これは日本がある意味世界の標準から比べると少し劣っていると。日本が余りにも平和であるがために、例えば発電所の防御といいますかそういうようなところで、諸外国においては武器を持ったそういう警備員が常駐をしているとか、いろいろ、どのような脅威を想定すべきかというようなところについて、この辺については情報が余り公開されない、セキュリティーに関係するところは公開されないところでありますけれども、そういうところについて日本日本事情が余りにも強く出過ぎているというようなところがあろうかと思います。  したがって、この辺については、これから世界の標準にできるだけ追い付くべく、核セキュリティ・サミットというのがこれまで二回行われましたけれども、こういうような場で世界のベストプラクティスというものを学んで日本にフィードバックする、そういうようなことがこれから行われていくというふうに認識をしております。
  155. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 ありがとうございました。  服部参考人、今おっしゃったのは本当にそのとおりなんですけれども、やはり推進をする側あるいは運用してきた側として、国に対して国際標準化から随分遅れた、少しと言いましたけれども、少しどころではないと思うんですね。対テロ対策であったり、やはり事故が起こったときのことをしっかりと考えた対応、こういうのに関してはやはりもっと強く、もっと可及的速やかに国に強く要請もしながら、これはもちろん東電だけで、民間だけでできることではないわけですから、それは求めていく姿勢というのは必要であって、私、そこのところはやはり少し弱い、そこが外から見たときに原子力村と言われるような批判を浴びる部分ではないのかなということは思っております。  次に、田辺参考人に是非お聞きしたいんですが、田辺参考人の御意見では、トルコ、それから今回のイスタンブール等もお話ししていましたか、ベトナムの話等も一緒にされていましたけれども、要は、適切にちゃんと管理をしていけるんだろうか、あるいは国のやり取り、あるいは向こうでの原発推進に関して透明性がちゃんと確保できるんだろうか、民衆がそれをしっかりと許容できる政治的な体制もあるんだろうか、そういうお話をいただきました。  それで、原発を輸出するには問題だというお話、それに関して非常に同調する面があります。しかしながら、同時に、現行としてもう日本の中に原子力プラントというのがあるわけですよね。長年にわたってこれを運用してきた実績もあり、私は、そこで、例えばこの適正の管理の仕方、それから国民との透明性の確保の、ある意味政治の在り方、それから燃料の最終処理に向けてのアプローチの仕方、あるいは廃炉の仕方、こういうのに関しては、システム構築をしたり、継続してやっぱり日本がそれを研究、推進していく責任と義務があるんではないかなと私は感じてしまう面があります。  もちろん、トルコが今の体制で、先生がおっしゃったような問題点があるんであろうという前提で話をすれば、その上で日本が輸出をしないという決定もこれは政策決定としてはありだとは思います。しかしながら、恐らくトルコは、日本からの輸入を断念せざるを得ないような状況になれば、どこからかやはりそれを輸入して運用するんでしょう。そのときに、日本から輸出をしなくて、我々の造ったプラントでないものを使用し、それで事故を起こすのであれば、我々は関係ないと考えるのはやはり私は国際的な道義にまたこれも反するのではないかなと思う立場なんです。  そこで、先生が考え日本としての国際社会における原子力運用、あるいは政策の道義的な義務をどう考えるのかという御意見をいただけたらと思います。
  156. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) まず、日本が支援しなかった場合に、果たしてプロジェクトが、ほかの国が入って結果的にそれが安全性の低いものになってしまうんではないかというお話がありましたが、私はそれは必ずしもイコールではないというふうに思っていまして、例えば、リトアニアなんかは国民投票で原発建設しないということを決定していますし、チェコなんかは、つい先日、この原発経済性という観点から彼らは見直して入札を取りやめるというような決定をしていますので、これは、日本が離れたイコール、じゃ、ロシアなり中国、韓国なりがすぐに入ってくるのかどうかというのは、それはその国の事情というか、いろんなケース・バイ・ケースなんだろうというふうに思っていまして、そういう観点からすると、道義的責任ということに関しては、必ずしも、じゃ、日本がこれを輸出しなかったからといって、その輸出しない道義的責任というのは別に発生しないんではないかと。それは、トルコ側できちんと民主的に原発政策エネルギー政策どうするかということをしっかり考えればいい話なんじゃないかというふうに思っております。
  157. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 まさに、田辺先生今おっしゃったところだと思うんですね。最終的にはトルコの、受入れ側の方が、この協定ができたからといって我々が輸出をしなければならない義務が発生するわけではなくて、トルコの皆さんがやはり自分たちの未来のことを考えてどういう政策選択をしていくか。これは国の方向性を考えて、受入れ側の国が、造る側の国がやっぱり真剣に考えることだろうと思いますし、先ほど輸出しない道義云々もありましたけど、若干私がお聞きしたのは、廃炉に向けてのプロセスであったり、それから最終処理に向けてのプロセスというのはどこの国もまだ見えていないところがあるわけですから、そこに対しての研究開発、これをやっぱり進めていき、人類がいつかはこの原発から卒業する可能性があるとしても、そこまで現存としてあるわけですから、それを卒業できるプロセスを一緒になって考えていく、構築していくのも日本としては国際的な義務があるのではないかなと、私はそのように感じました。ありがとうございます。  最後、舩橋参考人にお聞きしたいんですけれども、全般的に、この原発輸出というのが非常に国民に理解を得られない、非常に道義に反するという全般的な御意見に関して非常に同調する面もあります。特に、最初にお話をされた原発輸出政策と国内の原発政策、これが分離してはならない、これはもう全くそこは同意するところでありまして、国内で原発ゼロという政策をうたっておきながら、輸出をし、そのプラントを輸出するなんということは決してあってはならないと、このように思います。その上で、今回、新しいエネルギー政策を自民党が出したわけですけれども、まだまだ不十分であるという御意見で、厳しい御意見をいただいたことに関して感謝を申し上げます。  ただ一点、先生に、おっしゃられたところに反論する部分は一点だけありまして、原爆を落とされたのも国民性の一部であるかのようなちょっと御表現がありましたので、やはりそこはちょっと、原子力爆弾というこの戦争の惨禍の部分と、ある意味不可避であったこの災害によっての部分というのは分けるべきなんだろうというふうに私は感じました。  その上で、質問が一点ございます。  ちょっと今、田辺参考人にもお話をしたのと若干かぶる面はあるんですが、実際に約五十基程度の国内にあるこの原発施設というのはやはり現存しているわけですね。仮に、ここで国内の原発政策もゼロにしよう、それから輸出についても今後はしないようにしようという政策判断をしたとしても、この原発リスクというのは残っているわけですね、実際、冷却中の燃料棒等もあるわけですから。  このリスクコントロールという意味で、先ほど一番最初に服部参考人にもしたんですが、結局、テロであったり何かが起こったときの事故処理であったり等のリスクというのはこれを全部処理し切るまでは残るわけなんですけど、これはやはり、仮にです、国内の原発政策を止めた、輸出を止めたとしても、可及的速やかにその手当てはしていくべきではないか、警護も含めてですね、と私は考えるんですが、どのようにお考えですか。
  158. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) お答えしたいと思います。  まず、ちょっとその前に原爆のことについて申し上げたいんですが、原爆というのはアメリカが落としているわけですけれども、昭和十九年の段階で、日本の首脳部あるいは軍部の首脳部はこの戦争は勝てないと、負けるとみんな認識していたと思うんですね。このまま続けていっても負けるだろうと。しかし、それをやめようという決断ができない、決定ができないわけですね。本心ではこれは無理だと、どこかでやめなきゃいけないと思っているけれども、やめられない。その構造と、この原子力は無理だ、特に核燃サイクルは無理だとみんな思っているのに、非常に多くの人が思っているのにやめられない、すごく似ているんですね。  ですから、そこはまさにこの意思決定問題のかなり真剣な討論、いろんな角度から議論しなきゃいけない問題で、私の言い方がちょっと単純過ぎたかもしれませんが、そういうことも含めて私は、日本社会の責任ある意思決定、特に指導性を発揮すべき政治家が負の遺産をどういうふうに解決していくかという、じり貧を避けつつどか貧になってしまうという、そういう意思決定の欠点の問題として私は提起したいと思います。  その上で、今御質問のありました、仮に原子力発電依存度を減らしていく、あるいはなるべく早くやめるとした場合に、実は問題山積なんですね。それで、まず福島第一原発事故処理が終わっていないわけです、この汚染水問題が続いているわけです。ですから、よく日本原子力技術の関係者のお話聞きますと、日本技術は高いんだとおっしゃるんですけれども、三年たっても汚染水がコントロールできなくてなぜ高いと言えるんですかと、それはちょっとおごりというか錯覚じゃないんですかというふうに申し上げざるを得ないんですね。  それで、まず福島第一原発の汚染のコントロールをしなきゃいけないし、廃炉廃棄物も出ますし、高レベル放射性廃棄物も出ますし、いろいろなものをうまく撤退していかなきゃいけない。そのためには、専門技術研究だとか人材の育成だとか、システマティックにちゃんと対応していかなきゃいけないんですね。そのことを私たちは第四章、第五章で、私たちの市民委員会の立場は原発はやめましょうという立場です、そのときにどうやったら混乱がなく、被害が少なく、国民負担をミニマムにしながらうまく撤退できるのかと、それを非常に提案しておりますので、今の御質問の趣旨は誠に問題意識として共鳴いたします。  以上でございます。
  159. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 終わります。
  160. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 福山でございます。座らせていただきます。  今日は参考人の皆様におかれましては、お忙しい中、本当に大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。心からお礼を申し上げます。  御案内かどうか分かりませんが、私は三・一一の事故のときには内閣官房副長官として事故の対応に当たらせていただきました。原発政策についてはもういろいろな思いがありますし、その後、民主党政権で三〇年代原発ゼロをまとめさせていただいたときも、いろんな御批判をいただきながら、それは両方から批判をいただくわけです、原発をなくしたいという人から見れば二〇三〇年代ゼロなんというのは甘いと言われますし、原発推進若しくは維持をしていきたい方向から言えば、そんなむちゃなことをして、民主党はだから現実離れをしているんだという批判を浴びながら、何とかまとめました。  ところが、我々の力不足で政権交代という形になり、今回、エネルギー基本計画ができたことに対して、当時、事故の直後には原発に依存しない社会というふうに言われていた自民党さんも公明党さんも、逆に今度はベース電源という位置付けの中でエネルギー基本計画をまとめられました。私自身としては非常に残念に思っておりますし、日本の方向としては私はいまだにゼロを目指すべきだと思っております。  そんな中でこの輸出の問題が、輸出というか原子力協定の問題が出てまいりまして、非常に今私も悩みながら質疑をしています。それはなぜかと言えば、我々の政権のときに、一定、原子力協定についての審議を野党の皆さんにお願いをした経緯があるからでございます。その政策の継続性と、そして今置かれている状況とを考えた上で、本当に我々も、本当に政治家一人一人が悩まなければいけないというふうに問題意識を持っているということを、まず自らの今の考えていることを申し述べた後、参考人の皆さんに御質問させていただきたいと思います。  まず、服部参考人にお伺いをいたします。  服部参考人から御覧をいただいた状況は多分ここのペーパーに出ているとおりだと思います。若干私がちょっと違和感を覚えましたのは、いわゆる電力供給のメリットということについては強調されているんですが、先ほどの宇都委員とも若干重なるかもしれませんが、電力の供給としてのメリットはよく分かるんですが、例えば、トルコでの使用済核燃料の問題がいまだに決定されていない問題だとか、政変のリスク、また事故のときの損害賠償のリスクというのは、実はこれは民間企業として海外に出ていくときに民間企業自身がリスクとして背負うことになります。  例えば、政変が起こっていわゆる再処理等をやるというような形で政策変更がされたときに、日本は今認めていないわけですから、そのときに出ていっている民間企業としてのリスクをどう考えておられるのか。それから、事故の損害賠償に関して言えば、一般的にはトルコの事業体だというのが日本政府説明でございますが、実際、アメリカのカリフォルニアでは、三菱重工が供給した部品に対する水漏れ事故に対して非常に大きな損害賠償請求が行われています。  民間企業として、先ほど申し上げましたように、電力供給側のメリットを強調されることは理解をいたしますが、一方で、今私が申し上げたようなリスクについてどのように評価をされているのかということについてお答えをいただければ有り難いなと思います。  私は、実は悩んでいるのは、民間企業が民民の契約の中で自らのビジネスに応じて動かれることに対して政府がシャットダウンすることについては実は余りよしとしない立場です、私は。ただ、原発というのは武器輸出と同様で非常に神経質なものだから、これをどう扱うかというところが非常に難しいと思っています。例えば、自動車を輸出する民民の契約のところで政府が何らかの制限を加えたりするというのに関して言うと、私は非常に抵抗があります。  ただ、この問題は、原発の問題は非常に難しいので、そこについて民間で、なおかつ、どちらかというと今ポジティブに表現をされた服部参考人にまず御意見をいただければと思います。
  161. 服部拓也

    参考人服部拓也君) ありがとうございます。  今先生の御指摘のように、原子力というビジネスは単なる民民のビジネスを超えた部分があるのは御承知のとおりでございまして、その一番代表的なのは核不拡散に関わるところでありまして、そういうところが国際的な規範、政府というよりももう国際的な縛りがあるというところがあります。  そんな中で、一私企業が海外に出ていくという場合には、当然のことながら、今御指摘のようなカントリーリスクといいますか、そういうものを考慮に入れた上で出ていくという判断をしているというふうに考えております。  海外のとりわけ新興国の課題というのは幾つもあるんですけれども、その最大の課題の一つが今御指摘政府の安定性といいますか、政治の安定性というのが挙げられるところの一つであると思います。そのほかにファイナンスの問題だとか、それから人材も含めたいわゆるインフラの整備が十分ではないようなところなどなどありまして、それらを総合的に考えて私企業としてそういう判断をしていると。私企業もそれ以外のビジネスでいろいろ海外の経験をしておりますから、そういうものを踏まえて、原子力の特殊性を考慮に入れた上で、それで最終的にそういう海外展開というものを決定しているといいますか、判断をしているというふうに理解をしております。
  162. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 潔く総合的に考えてカントリーリスクを踏まえてとおっしゃることが、実はそのリスク評価が本当に正当で合理的なのかという議論に僕はなってくるんだと思います。  それはなぜかというと、今回の原発事故のときも、結果として今汚染水対策について国がお金を出すようになりました。結果として、民間企業が自らの体力以上のもののリスクを背負うようになれば、国が一定の今回も対応をしなければいけなくなりましたし、我々も原子力賠償機構をつくる中で何とか賠償金の確保ということをしました。今の、現状の本当にそのリスクの判断が合理的かどうかということについて、逆に、ある意味、今のお話を承ると、少し積極的な分だけその分については見ないようにしているというふうに印象を受けることもあるので、そこについては若干の懸念をまず表しておきたいと思います。  田辺参考人にお伺いをします。  先ほど宇都委員の他の国が出ていくのではないかということに対して、チェコの例とかいろんな例を出されました。しかし、国際社会は非常に冷徹でございまして、例えばロシアなどは軍艦をある程度供給するというのとセットで例えば原発を出すんだとか、例えば日本原発を出さないという話になったときには、今度は韓国とかロシアは極端な話でいえばダンピング競争をしてまでも取りに行くような可能性も出てきて、そこで、それぞれの国が本当に原発のリスクというのみで判断をするとは限らない中での総合的に日本原発をどう考えるかって、すごく僕は重要だと思っております。  先ほどの田辺参考人のお話は一定僕は理解をするつもりですが、しかしそれだけでは済まされない部分もあるなというふうに考えていまして、例えば中国、ロシア、韓国がそこに乗じて入っていく、そのときにどの程度のリスクを、そこに比べれば日本はまだ真面目だ、勤勉だ、長年の能力がある、そう言われるところに対してのなかなか際立った反論ができない部分もあります。ましてや、安全や不拡散の問題の担保が要ると言われると、実はダブルであながち否定をできない部分があるので、そこについてもう一度御答弁を、重なって恐縮ですが、いただけませんでしょうか。
  163. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) ちょっと私うまく理解しているかどうか自信が今ないんですが、私の理解では、ロシアなり中国なり韓国日本が引いたときに入って、日本よりも安全性の低いものが入ってしまうんじゃないかということだと思うんですけれども、私は原子力産業界の者ではないので、日本が本当に安全性が高くてロシアが低いかというと、そこは分からないところです。  高いというふうに言われているので、仮にそういう高いということだったとしても、じゃ、果たしてそのロシアと日本企業技術力の差でどのぐらい差があって、このプラントを造ったときに、先ほど私が申し上げた事故のリスクというのは、プラントが幾ら耐震性の高いものであったとしても、その総合力、つまり周辺インフラ、それから、その国の人材も含めて総合力で結局事故が起こるかどうかというのは決まるわけですから、事故がどれぐらいの、何でしょう、過酷なものになるかどうかというのは決まってくるので、仮に、じゃ、その日本とロシアの間で技術力の差があったとして、その差がどのぐらい過酷事故に対して影響を与えるかどうかという点から考えると、私自身としてはそこは分からないということですね。
  164. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今、田辺先生、分からないと言われたのは非常に私は誠実な答弁だと思っていて、具体的な指標なり評価なりの基準があるのかと外務省や経産省に聞いても、実はそこは余りないんですね。  ただ、原発のいわゆる使用済核燃料のリスクや事故のリスクを考えたときには、実は日本がいいのか、ロシア、中国がいいのか悪いのかというよりか、もう少し上の次元で考えないと、結果として原発が導入されることによって使用済核燃料のリスクは、今は各国の自己完結という形に条約上なっていますが、将来的には恐らくそれをどういうふうに国際的に管理しなければいけないのかというような時代が必ず出てくると思うんですね。そのときに、どういう形の評価をしていくのかというのが僕は一つの課題だと思っていて、今、田辺参考人が分からないとおっしゃった、つまり分からないままでこの原発の輸出をどう判断するのかというのも僕は難しい課題だと思っております。  舩橋参考人にもお伺いしたいと思います。  意思決定の在り方として、社会学的に、政策決定の日本の在り方の特殊性や個人の主体性の未熟さ、道理性、合理性に対する鈍感さという厳しい御指摘をいただきました。  私は、そのエネ環会議を官邸でやっていたときに、意図的に時の文書に原発推進と反原発の不毛な二項対立の議論を超えた議論をするために客観的な数字を国民の皆さんに提示をして、その中で判断をしていただこうということで、例のコスト検証を初めて実は経産省の枠を取ってやり、舩橋参考人からお話があった大島先生にも入っていただきましたし、さらには国民対話ということで、メリット、デメリットを提示をしながら全国で国民の対話をして、実は脱原発が圧倒的に多かったというのが現実です。  しかし、今、このエネルギー基本計画、新しいものの中でいうと、元の状況に意思決定の仕方としては逆戻りをしたような状況があって、なかなか実は日本は決めたことを引き返すということに対してできにくい意思決定の仕組みになっています。先生の御批判は僕は一定理解をしますが、これをどう乗り越えたらこの国では仕組みとしてできるのか。別に先生の言われていることに対して僕は批判をするつもりではないんですが、実は我々も意思決定の仕方として非常に悩んでおります。  すぐに二項対立の議論になり、あっちはこうだ、あっちはこうだと言って、レッテルを貼って物事を判断しようとすると。そういった限りでいうと、実は両方の間に合意形成のプラットホームができ上がらないんですね。一定の共有した議論ができ上がらないんです。それが実は、これから先、この原発だけではありません、TPPにしても、例えば集団的自衛権にしても、いろんな場合でこういう状況日本で起こってくるというのは、国民の間に分断がどんどん広がるということで、私は実は非常に懸念をしております。  そういった意味で、舩橋参考人の問題提起について、若干、この国で、じゃ一体どうしたらいいんだということの御示唆があれば、お答えをいただければ有り難いと思います。
  165. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) とても大事な質問をいただいたと思います。  まず、二〇一二年の夏にエネルギー政策を根本的に考え直すためのいろんな新しい試みをなさいました。パブリックコメントもありましたし、選択肢を示して討論型世論調査もやりました。あのプロセスを、私は社会学者としては非常に高く評価しています。本来、政策決定はああいうふうにあるべきなんですね。  そもそも、政策決定に際して、いい政策、合理的な政策決定するためには、複数の政策選択肢を示し、それぞれどういうメリットとデメリットがあるか、それを公表する、そのメリット、デメリットについては科学的な研究をちゃんとやる、総合判断は国民の総意を仰ぐと。  そういう点からいうと、二〇一二年の夏の一連の政策プロセスは、単にエネルギー政策の改革の選択の問題だけじゃなくて、日本の政治システムでどういうふうにもっといい政策をつくっていくかということに非常に貴重な一石を投じたというふうに高く評価しております。是非、そういう方式を引き続きエネルギー政策でもやっていただきたいし、ほかのいろんな政策領域でも是非やっていただきたいというふうに思うんですね。そこが第一のコメントです。  あと二点、ちょっと手短に申しますと、日本の場合、問題は政策判断の前提となる事実認識についての共有がなかなかできていない。そこは、事実認識というのは、利害関係でゆがめちゃいけないんです。事実なんだから、科学的に調べてこれが事実ですねと。そこから共有して、次に考えると。その事実認識の場と、政策判断なり利害調整の場が無反省にごちゃ混ぜになっちゃっていることが多過ぎるんですね。そこのところをもっと切り離した方がいいということ。これ第二点。  それから第三点は、その点から見ますと、諸外国の国会の政策形成能力の高さというのは、専門調査会、委員会というようなものをすごくたくさんつくっているわけです。今回国会が国会事故調をつくったのを私は非常に高く評価していまして、画期的なとてもいいことだと思っているんですね。そういうことを継続的にやっていただきたいし、それからほかの問題でもやっていただきたい。  ドイツとかフランスとかイギリスとか、アメリカもそうなんですが、国会の政策形成能力が非常に高い。それを何で支えているかというと、国会の下に専門家と国会議員が一緒に勉強する専門調査会がたくさんあるわけですね。国会議員の方々がとても忙しいことはよく分かるんです。それだけに、国会の下に専門調査会をもっとたくさんつくってほしい。そうしないと、政府、行政組織主導型の政策になってしまう。だけど、行政組織の審議会というのは行政組織の失敗を批判できないんですね。  ですから、国会の下に是非専門調査会をつくるということが日本政策形成能力をアップする非常に大事な要点であると。是非お考えいただきたいと思います。
  166. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もっと議論したいことはたくさんありますが、時間ですのでこれで終わります。  ありがとうございました。
  167. 石川博崇

    ○石川博崇君 石川でございます。  今日は、三人の参考人の先生方、大変貴重な御意見を賜りまして、心より感謝を申し上げたいというふうに思います。座らせていただきます。  私からは、三人の先生方への質問、最初にそれぞれ投げさせていただいて、御回答いただきたいというふうに思っております。  まず、舩橋参考人にお伺いをしたいと思います。  舩橋先生から、大変厳しい、また貴重な御意見、大変重く受け止めるべきだというふうに思っております。私ども公明党としましても、脱原発依存、そして将来的には原発ゼロを目指すということを掲げて、そしてこの方針あるいは政策については現在も変更ない中で、今回、エネルギー基本計画の議論の中で、このエネルギー基本計画、基本的には長期的な、日本政府としてずっと永続的に掲げる方針というよりは、五年あるいは十年という短期的なものという位置付けで議論に臨んでまいりました。  そういう中で、特に私どもがこだわりましたのは、代替エネルギーとしての再生可能エネルギーにつきまして、やはり数値目標をきちんと明確にすべきであるということをこだわり、最終的に二〇%を更に上回るものということが盛り込まれたことは、私どもとしても評価しているところでございます。  この代替エネルギーをしっかり今後増やしていくこと、数値目標を掲げてこれについて伸ばしていくことというのが極めて大事であり、また併せて省エネを進めていくということが極めて重要であろうかというふうに思っておりまして、この点について舩橋参考人に御意見賜ることができれば有り難いというふうに思っております。  それから、続きまして田辺参考人から御意見をいただきたいのは、先生からの御指摘のありましたJBIC、NEXI支援の際の安全確認体制の問題について、もう少し深くお伺いをしたいと思います。  これは、私どもとしても大変重視しているところでございまして、原発事故の前は融資を行う前に原子力安全・保安院が安全確認作業を行っていたけれども、規制庁が設置されてから、ここをどの官庁が担うかということが今不明確な状況にございます。  これは何としても早く設置する必要があるかと思っておりますが、今、これを規制庁が担うのか経産省が担うのか、ここについても明確な答弁が政府から出てきていない状況にあります。規制庁からすると、原発輸出というある意味推進の一プロセスである安全確認を規制側が担うというのはおかしいという考え方がある一方で、他方で、原発輸出という推進事業を、歯止めになる安全確認をやはり規制官庁である規制庁が担うべきではないかというふうな意見もありまして、私はどちらかというと後者の意見でございます。  この点について、具体的にどういうふうにこの安全確認体制を取っていけばいいかということについての田辺先生の御意見を賜りたいというふうに思っております。  それから、服部参考人にお伺いしたいのは、服部参考人から人材育成についてのお話がございました。私も午前中の質疑で取り上げさせていただいたんですけれども、これからある意味原子力発電所を初めて建設していく国々にとって、人材をきちんと育成し、育て、また各国との情報交換を密にしていくこと、運営管理、そしてまた規制といった分野についての人材を育成していくことが非常に重要であるというふうに思っております。  これまで日本も、御説明のあったとおり、ベトナム、ヨルダンからの研修生の受入れを行ってきて、今後もUAEとかトルコからの受入れも進めていく方向でございますが、これまでの経験に照らして、日本の行ってきた人材育成、もし抱えている課題とか、あるいは更に拡充をしていかなければいけない人材育成分野、そして、今後、UAEトルコという、ある意味で語学面でもなかなか現地との直接コミュニケーションが受入れ側として難しい面もあろうかと思いますけれども、そういうところとの人材育成交流を進めていく上で御知見あるいはお考えがあれば教えていただきたいというふうに思います。  もう一点服部参考人にお伺いをしたいと思っておりますのは、核セキュリティー観点で、IAEAから最新の勧告でありますRev5が出て、これに対する対応を日本は様々取っているところでございますが、まだこのRev5に全て日本として完全に対応できる状況ではないというふうに認識をしております。特に、核関連物質に対するアクセスを行う人の確認をどういうふうに行っていくのかについて引き続き政府部内で検討中というふうに認識しておりますけれども、この点についての御意見があれば併せて教えていただけますでしょうか。
  168. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) 代替エネルギー、特に再生可能エネルギーを重視すべきだという御判断、誠に共感いたします。誠にそのとおりだと思うのですね。  それで、これから本当の成長産業分野って何なんだ、雇用吸収力が出てくるのはどの分野だといったときに、この再生可能エネルギーとIT技術の連結の分野世界のテクノロジーのイノベーションの言わば覇権を争うのはまさにそこなのじゃないかという予測を私はしております。  ですから、先ほど諸外国との競合の中で原子力技術の云々というような話もございましたが、ちょっとそれは私から見るとアナクロニズムで、これからの二十一世紀の技術革新や雇用吸収力のフロンティアは再生可能エネルギーと情報技術の交差するところにあるんじゃないかと。その点で、より高い目標数値を設定しようという努力をされたことに敬意を表したいと思っております。  その場合に、再生可能エネルギーの良さは地域に根差した再生可能エネルギー事業の可能性がすごくあること。デンマークだとかドイツを見ますと、地域格差の是正に非常に役に立つわけですね。つまり、日本では過疎化の問題、地域格差の問題、ずっと悩んでいるわけです。もちろん、再生可能エネルギーがオールマイティーということではないと思うんですが、それをうまくやっていけば、地域格差を是正し、地方に力を付けるという非常に有力なもので、それで、技術から見ると日本はもう負けないと思うんです、技術力については。  問題は、社会制度、政策枠組みだと思うんですね。だから、ドイツと日本では再生可能エネルギーの普及率が大きく差が付いていますが、それはテクノロジーの差ではなくて、技術者の、エンジニアの能力の差ではなくて、政策的誘導枠組みの適否の差だというふうに、私は社会計画論を専門講義でやっておりますので、そういうふうに考えております。  その際、是非、コミュニティーベース、地域に根差した再生可能エネルギーをやっていただきたい。例えば、二〇一二年に青森に風車が二百二台ありましたが、そのうち百九十四台までは全部外の資本、悪く言えば植民地型開発になっちゃっている。だから、青森自身の人々と青森自身の資本で再生可能エネルギーをやれば、非常に中に受益が還元して、そんなに核燃、核燃ってしがみつかなくてもいいんですよ。  ですから、是非、再生可能エネルギー地域に根差した小さなものを大事にするということでやっていただければ有り難いと思います。  以上です。
  169. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) JBIC、NEXIの安全確認をどこが担うべきかという御質問でしたが、人材面ということで考えれば、恐らくおっしゃるとおり、規制庁に今いらっしゃる人材というのがこの安全確認を行う能力があるというふうには言えると思います。  ただ、私は、規制庁の方から直接しっかりと、なぜ規制庁がこの件を断ったかということは報道ベースでしか把握しておりませんので、果たしてどのようにすれば独立性を担保しながら規制庁が変われるのかどうかというところをきちっと議論した上で、規制庁が担うべきなのか、それとも規制庁ダッシュをつくるべきなのかということを考えていただけたらなというふうには思っております。
  170. 服部拓也

    参考人服部拓也君) 二つ質問をいただきました。  一点目の人材育成のところでございますけれども、これから原子力を始めようとする国々の人材育成というものも国によって随分状況が違うんですね。その辺で、相手国のニーズといいますか、その辺を十分踏まえた上で対応していく必要があろうというふうに思っております。  育成すべき人材の対象といたしましては、いわゆる国でエネルギー政策を担うような行政官の人たちですね、それから規制当局の人たち、それから運転管理をするような電力の人たち、それからベースとなる、これは相手国の産業の成熟度合いにもよりますけれども、いわゆるメーカーというのに相当するような人たち、それから現場で実際に工事をするような人たち、いろんなレベルの人たちがいます。  そういう人たちをどういうタイミングでどれだけの人数を育てていくべきかということについては、これは相手国とよく相談をしていく必要がありますが、基本的なロードマップといいますか、それについては、IAEAの方からマイルストーンドキュメントという、十五年ぐらいにわたって、そのフェーズが三つぐらいに分かれておりまして、それぞれについてどのぐらいの人が要るというようなことが標準的なものが示されております。そこで学習すべきといいますか身に付けるべき技術力、どういうものを身に付けるべきかというふうなこともドキュメント化されておりますので、そういうものを参考にしながら進めていくということが重要かと思います。  いずれにいたしましても、日本国が勝手に考えるんじゃなくて、相手国のニーズに応じた形でやるのが最も重要なポイントだというふうに思っております。  その点で、国内でそれでどういう課題があるかといいますと、そういう相手国の皆さんを育てる、そういうシステマティックな体制がまだまだ十分確立していないと思います。日本国におきましては、これまで五十年にわたってもう一生懸命造ってきた、五十七基も造ってきたんですけれども、そのプロセスそのものが人材育成のプロセスだったんですね。それは、そういうことを考えなくても、そういう場があったものですから、そういう場で教育できたので、改めて相手国の人たちを育てる場合にはどういうやり方でやるのが最も効率的で効果的なのかということをもう一度、日本国でこれまで蓄積された人材育成のシステムというものをもう一度そういうふうに再整理する必要があると思いますが、今はそういうその過程にあるというふうに考えております。  それから、国内の人材につきまして、そういうところに関わる皆さん方のやはり語学力の問題というのが大きな問題であります。これは、国際機関で働くような原子力関係の人たちをもっともっと育てる必要があると思いますし、そういう意味で、今まさにそういうものを再構築している途上にあるというふうに思っておりますので、この辺につきましては、民間でできる部分と、国で御支援いただく部分と、あるいはそれと大学等々もありますので、そういうところとうまく連携をして、産官学がいかにうまく連携をしてやっていくかというのが重要かと思っております。  それから、二つ目核セキュリティーのところでありますけれども、御承知のように、INFCIRCの二二五のレビジョン5というのが最新のものでございまして、そういうものに合致するためには、その働く人の個人情報にアクセスするといいますか、そういうものを管理するような仕組みが必要だと思っています。  これは、先ほど別のところでお答えしましたが、グローバルなスタンダードからいいますと、もうそういうものが基本になっておりますので、そういう方向で、これからいろいろな障害といいますか難しい問題があろうかと思いますけれども、原子力の特殊性ということを鑑みると、そういうものをやはり日本国としてもやっていく必要があるというふうに思っております。  その点で、セキュリティーの問題と、もう一つは安全の問題というのはかなり重なっているところがあるんです。安全の問題は、できるだけ公開しようという、そういう要請があると。一方、セキュリティーは、公開できる部分とできない部分があると。それをどういうふうにマッチングさせるかというのが大きな課題でありまして、人の情報につきましてはまさにそこに関わってくるところでありますので、その辺をうまく考えながらやっていただく必要があるというふうに考えております。  以上であります。
  171. 石川博崇

    ○石川博崇君 大変ありがとうございました。以上で終わらせていただきます。
  172. 中西健治

    中西健治君 みんなの党の中西健治です。  参考人の方々、今日は本当にどうもありがとうございました。座らせて質問の方をさせていただきます。  お話しになられた順に、それぞれ少しずつお伺いしていきたいというふうに思います。  まず、服部参考人にお伺いいたします。  業界の事情というのは理解するところではありますけれども、服部参考人の方から、国に対する要望というところで、国のリーダーシップというのを掲げられました。国のリーダーシップというのは、三・一一の前にも、例えば韓国の李明博そのときの大統領はUAEにもう直接何度も何度も電話してこれで韓国が案件取ったんだと、だから日本もやってくれ、こんなことを言っていたと思います。  事故の前にそういうのは分かるというふうに思うんですが、事故を踏まえて、事故の後もやはり国が前面に立ってどんどん売り込んでくれということであれば、それは少しどうかなというふうにも思ったりいたします。日本原子力技術に対して期待が高いのであれば、それは待ちの姿勢というか、こっちからどんどん国を挙げて売り込んでいくということでは今はないのではないかなというふうに思ったりもいたしますが、そこら辺、変わらなくていいのかということについて御意見をいただきたいと思います。
  173. 服部拓也

    参考人服部拓也君) 大変重要な御質問をいただいたと思っております。  私どもがこれまで申し上げております国のリーダーシップというのは、いわゆるトップセールスといいますか、国のトップが先陣を切っていろんな場面で出ていっていただくということを要望してまいりました。現状を申し上げますと、かなりの部分、総理あるいは大臣が直接いろんな場面に出ていっていただいてそういう局面の打開が図られているというふうに思っておりますので、これは大いにやっていただいているところと思います。  あとは、これは相手国計画を順調に進めるためには、原子力だけではなくて、その他のいろんな案件もある意味のセットでやっていただくような必要があるような場面があります。例えばインフラの整備だとか、それから、直接あれですが、例えば教育問題のところでいろんな提案をするとか、様々な提案をパッケージで国レベルとしてまとめて提案をするというようなこと、その国のプレゼンスといいますか、そういうものを示していくことが、相手国とのそのビジネスだけではなくて、長い意味での関係の構築という面では重要だと思っておりますので、これは引き続いて、国が直接出ていっていただくところはあれですけれども、トータルとしての日本の提案みたいなものがより魅力的なものになるようなことが必要かというふうに思っておりまして、それでここに書かせていただいた次第であります。  それで、先ほど来申し上げておりますけれども、日本国が一方的に私どものあれを押し付けるのではなくて、一番大事なのは、やはり相手国のニーズがどこにあるのかということが一番大事なところだと思っておりますので、待ちという表現もありますけれども、よくよくその辺をお聞きしながら提案をしていきたいというふうに考えているところであります。
  174. 中西健治

    中西健治君 相手国のニーズということでありましたが、服部参考人のお話の中で、アックユのプロジェクトについてはロシアがトルコにとって有利な条件で契約を取ったというお話がありました。この条件の内容について御存じであればそれを教えていただきたいのと、それが妥当だと考えるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  175. 服部拓也

    参考人服部拓也君) ロシアはOECDに加盟をしていないところでありますので、OECDの方で例えば融資だとかそういうところについてもガイドラインというのがございますけれども、そういうことを考えずに、考慮しないで、極めて有利な条件で融資の提案ができるとか、あるいは、ここに、資料の七ページ目のところに書きましたけれども、BOOという、その物を建てて、それでその発電所を所有して、それでオペレートする、ビルド・オウン・オペレート、そういうふうな、リスクがトルコ側に及ばないで全部ロシア側がしょってやりますよというようなこと。あるいは、そこで供給された燃料の使用済燃料を引き取りますよとか、様々な条件を提示して、その結果がこの契約に至っているというふうに評価をしておりますので、日本国はなかなかそういう点でそれと同じレベルでできないところがある意味では歯がゆいところでありますので、日本日本国の強みを相手国に提示をするということが必要かというふうに思っております。
  176. 中西健治

    中西健治君 どうもありがとうございます。  この使用済核燃料を引き取るという契約内容については、それはどうかなというふうに私自身はちょっと思っているということでございます。  続きまして、田辺参考人にお伺いしたいと思います。  トルコ事情等、大変お詳しいというふうに思っておりますけれども、今回のシノップにつきましては、トルコの中でも地震が少ないところなんですよ、だから大丈夫ですよと、こんなような説明をよく政府側から受けるということでありますけれども、その説明について説得力があるか、納得性があるか、まずこれをお伺いしたいと思います。
  177. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) 資料の中で、資源エネルギー庁の方が一九〇〇年以降にこの地域で大きい地震は起こっていないということなんですが、地震を考えるときに、その百年、たった百年で考えるというのがまずおかしいというふうに思っていまして、東日本大震災は千年レベルの大震災があったわけですから、もう少しきちっとデータを突き詰めていく必要があるのかなというふうには思っております。
  178. 中西健治

    中西健治君 そうなんじゃないかと私自身も思います。  あと、トルコについては民主化の逆行が今起きているんではないかという御指摘もありました。このトルコだけではなくて、二年前にもヨルダンとの間で日本原子力協定結んだかと思います。ヨルダン、その後シリアの情勢が不安定になって難民が流入するというような状況に今なっているわけでありますけれども、この中東・アラブ地域周辺、ここら辺についてテロのリスクということもあるかと思います。そして、政治のリスクもあると思います。  全般的にこの原発を輸出するということについてどうお考えになられるか、教えていただきたいと思います。
  179. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) トルコは過去五十年の間で軍事クーデターが三回起こっています。このような国の中で、果たして長期的に管理が必要な高レベル放射性廃棄物をきちっと管理していけるかどうかというのは極めて疑わしいと。  それから、UAEに関して、これまで余りUAEのことは取り上げられていませんが、ホルムズ海峡の対面なんですよね、UAEは。なので、ここは極めて軍事的に重要な地域でありますし、また中東全般にわたってテロの脅威というのはありますので、UAEに関してはこの地理的な安全保障リスクというのはきちっと考えていかなければいけないというふうには思っております。
  180. 中西健治

    中西健治君 ヨルダンについてもできればコメントいただきたいと思うんですが、二年前にやはりこの条約が国会にかかったときに、今の状況を、シリアの状況は少なくとも政府は予見できていなかっただろうと思うんです。そんな中で結んでしまって、今状況が変わってきているということがあるかと思います。  ここら辺についての御見解をいただければと思います。
  181. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) ヨルダンにつきましては、まず、これは昨年十月にロシア企業が優先交渉権を得まして、日本は負けたわけですが、ただ、この場所が結局シリアに当初は近い、国境に近いところであったということ、それから首都から極めて近い地域にあったということで、再度その場所を変えようということで検討をしているというふうに理解しています。ですので、やはりシリアの問題等々を含めて様々な課題というのがヨルダンにはあるというふうに理解しています。
  182. 中西健治

    中西健治君 ありがとうございます。  続きまして、舩橋参考人にお伺いしたいと思います。  原発の輸出と国内の原発政策というのは、これは整合性を取るべきである、こういう御意見、これはもう本当にごもっともだと思います。そんな中で、国内の原発に関しては世界最高の安全水準というのには程遠いということだろうと私自身も思いますけれども、曲がりなりにも新規制基準というのがあって厳しく審査をしているという状況だと思うんですけれども、国外に輸出をする原発についてはそうしたことがなされていないと。  ここら辺の整合性が取られていないことについてどれぐらい問題と思われるかということと、今後どうしていく、原発全部やめてしまえということも一つですけれども、今すぐのところでいうと、この原発の輸出についてどう安全性確保していくべきなのかということについてお伺いしたいと思います。
  183. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) これは非常に大局的な歴史状況の認識が必要だと思うんですね。それで、短期的で小さい利益云々ということではなくて、世界全体がエネルギー政策についてどういう方向に進むのが望ましいのか、そこで日本の見識をどういう形で示すのかという問題があると思います。  私どもは、この一年間あらゆる学問分野の人で議論をしてきたわけですが、脱原子力ということが人類社会にとって本当は望ましいと、長期的には。そうであるならば、秩序ある撤退を国際的に進めていくべきであって、そのためのリーダーシップを日本が取るといいと。そこには単に省エネだとか再生可能エネルギー技術革新や投資の促進だけではなくて、原子力規制の国際規制をもっときちんとして、国際的にも、もっと日本経験を、すごく苦い経験を踏まえて、もっと厳しい国際規制を作っていく、その国際規制を厳しく進めていく、そうしながら撤退をしていくという、そこに日本のリーダーシップを発揮していくべきだと思うんですよ。  先ほどの議論で、もし日本原発輸出をやめたときに、じゃ、ほかのもしかしたら日本より技術があやふやな国が輸出してしまって、それでその輸出先にとってはどちらが好ましいのか、まずいんじゃないかという疑問があるというような議論もありましたけれども、それに対しては、日本は輸出はしない、だけど国際的な原発安全規制についてはきちんと発言をすると。輸出はしないけれど世界各国に対して厳しい規制基準を提唱すると。なぜなら、汚染は全部世界を回りますから。日本の汚染で国際非難をもう何回も浴びているわけで。  だから、日本原発はやめていく、しかし規制についてはコミットしていく、そういう意味世界にリーダーシップを発揮して、むちゃな原発をめぐる商取引、輸出、輸入ということに対しては警鐘を鳴らしていくと、そういう役割取得をするのがいいんじゃないかと思います。
  184. 中西健治

    中西健治君 確認ですけれども、日本が、輸出をするにしてもしないにしてもだと思うんですが、国際基準をしっかり作ることによってどこの国が輸出する原発についても安全性は担保されるようにしなきゃいけない、それが担保できないんだったらそれは輸出できない、そういうふうにすればよい、それにリーダーシップを日本は発揮するべきだ、こういうお考えだということでよろしいでしょうか。
  185. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) はい。  その際、日本の中の安全基準論に私たちは大変不十分さと不満を持っています。それで、なぜもっと多様な慎重な視点に立つ技術者や専門家を動員してくれないのか。私は是非お願いしたいんですが、このメンバー、ここに入っているメンバー、四十人が書いていますけど、一緒に議論をしたのは六十人を超えるんですね。しかも、それは理科系だけじゃなくて、人文科学系、倫理学だとか宗教学だとか社会学だとか、経済学だとか政治学だとか、ほぼ全部入っています。こういう総合的な議論を、なぜ政府はこういう議論の場を設定できないのか。それから、理工系についても、学説の対立、意見の相違というのがあるのは当たり前なんです。その様々な意見を持った理工系の研究者を一堂に会してちゃんと規制基準の議論をしてほしいんです。  そこら辺で議論の場の設定の仕方に私は失敗していると思うんですね。日本の中にはすごく優秀な人が大勢いるんですが、その人たちの潜在的力をうまく政府が結集することに失敗している。特に、エネルギー政策というのは総合政策ですから、経済産業省の枠の中でやるべきではない。内閣府でやるべきで、あらゆる領域につながるわけですから内閣府でやるべきで、そこにあらゆる分野から関わっていく。今、経済産業省の主導権が強過ぎてそれがいろんな弊害を生んでいるんじゃないかと思います。
  186. 中西健治

    中西健治君 どうもありがとうございました。質問を終わります。  ありがとうございました。
  187. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。今日は、三人の参考人、急なお願いだったと思いますが、大変ありがとうございます。  まず、舩橋参考人にお伺いいたします。  先ほどドイツに行かれたときのお話をされて、日本事故が起きたのを見て、どんな技術があっても避けられないということをドイツの皆さんが感じたというお話がありました。  実は去年、ドイツの連邦参議院議長がこの参議院に来られたときに、歓迎の晩さん会で御一緒した際に、ドイツが脱原発を決めたのはやはりチェルノブイリの影響が大きかったんですかと聞きますと、それも大きいけれども、比較的遅れた工業国のロシアではなくて日本のような国で事故が起きたのを見て、我々はやはり事故は避けられないんだと思ったということを言われました。ですから、本当にドイツの中で共通の認識ができているんだなということを改めて感じたわけですが、その土台になったのはやはり倫理委員会の報告だと思うんですね。  我々、国内で、政治の場でこの原発問題を議論するときに、この倫理という切り口というのはなかなか日本では出てこないわけです。今の多分いろんなところを動員するということの関係もあると思うんですが、こういう言わば倫理というような切り口も含めて、ドイツがああいう議論をしたことと日本の政治と比較をされてどのような課題が、輸出問題も含めてあるかということをまずお願いしたいと思います。
  188. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) 私たちは、やはり倫理の問題は非常に重要だと思いまして、原子力市民委員会政策を体系的につくる場合に、どういう倫理的原則が大事なのかを改めて議論しようということで議論を整理いたしました。それで今回は、序章の十六ページとか十七ページとかに書いてあるわけですね。それで、特に十七ページで私たちは、社会的道理性ということを考えないと適切な政策にならないだろうということを申し上げているわけです。  とかく技術中心の問題は経済的効率性だとか利潤だとかそちらに議論は偏っちゃうんですが、安全性は言うまでもないんですけれども、公平性、特に地域の間の公平性、それから世代の間の公平性、それから発言や決定に関する公正さ、そういうことを重視しなきゃいけないと。一貫して市民の立場からすればそういう倫理的原則が大事だと。  特に、今日の議論でまだ余り議論をされていないことは、放射線被曝の問題の深刻さをどう考えるかということがどうも日本政策決定中枢ではぼやっとしか捉えられていないんじゃないかという疑問を持つわけです。  私はドイツに行ったときに、今回非常に発見いたしましたのは、ラインスベルク原発を見学しました。それから、ラインスベルク原発を所管しているブランデンブルク州の行政当局にも会ってお話を聞いたんですが、ドイツでは倫理ということとか安全とか健康とか非常に神経質で、被曝労働を計測するために作業員に全部線量計二本付けさせていると。一本は事業者がその情報を管理する。もう一本は、その線量計については事業者には封印されていて、行政がダイレクトにその情報を得てやると。だから、つまり必ずダブルチェックしていると。それがドイツでの安全性とか被曝を避けるというときの倫理的な発想からすると当然の原則であると。いや、日本はそういうことはやっていませんと言ったら、えっと驚かれたんですね。  ですから、いろんな意味の倫理的文脈はあるんですが、被曝労働を最小化するという側面からも是非国会でいろいろお考えいただきたいというふうに思います。
  189. 井上哲士

    井上哲士君 ありがとうございました。  先ほどの御意見の中で、日本の新しい基準のことについて触れられました。盛んに総理などは世界一厳しい基準でということを言われるわけですが、実は劣っているんだという四つの点を言われました。  お時間がなかったようなので、その点についてもう少し詳しくお話しいただけますでしょうか。
  190. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) 恐縮ですが、百六十五ページを御覧いただけますでしょうか。これは、私どもの六十名の中の十五名ぐらいが技術者です、元メーカーの技術者も大勢います、その方たちに非常に精査していただきました。  それで、百六十三ページですね、済みません、百六十三ページの表の四の三ということを見ていただくと一目瞭然なんですが、ヨーロッパの欧州加圧水型原子炉、EPRの安全設備の条件と今の日本の新規制基準がどう違うかというと、例えば安全上重要な系統設備の多重性ということについて、EPRは独立四系統を要求していると。日本の新規制基準は独立二系統です。  それから、EPRではコアキャッチャーを要求しているんですね、原子炉圧力容器外に流出した溶融炉心を格納容器内に貯留する設備、これは設置しなきゃいけない。新規制基準にはその要求はありません。  それから、EPRでは格納容器熱除去設備の設置も要求しています。新規制基準においては、日本はやっていません。  それから、頑健な原子炉格納容器ということで、EPRでは大型商用航空機衝突に耐え、設計圧力を高めた二重構造の格納容器の設置を要求しています。こういうことは日本ではやっていません。  非常に具体的に日本の新規制基準はヨーロッパと比べても明確に劣っているもので、これを世界最高水準だとおっしゃるのは非常な錯覚、あるいは無知、あるいは言葉は悪いですけれども、うそをついている。だから、よろしくないです。そういう言葉は政府の関係の方に使っていただきたくないですね。
  191. 井上哲士

    井上哲士君 ありがとうございました。  今の表の上になおかつEPR水準の安全対策を備えたとしても、その有効性の実証は十分になされておらず、過酷事故による放射線災害リスクがあることに変わりはないと書いてあることも大変重要だなと思って見ておりました。  次に、田辺参考人にお聞きしますが、今日の午前中の質疑でも、トルコ国内の世論をどう見るのかという点で、政府は、向こうの関係者などからも話も聞いておおむね支持をされていると、こう言われるわけですね。しかしながら、いろんな世論調査もありますし、私どものところにもいろんな署名等も届いております。  トルコ自身の今の政治状況とか、ツイッターなどが規制されているとか、いろいろな状況から見ましたら、必ずしもそういう世論が目に見える状況にない部分はあろうかと思うんですが、そういうおおむね支持をしているというような状況にあるのかどうなのか、具体的ないろんな接触の中で、情報などを教えていただきたいと思います。
  192. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) 私も午前中の議論は聞かせていただきました、インターネットで。  おおむねという言葉は適切でないというふうに思っていまして、これは世論調査などで六割から八割の方が反対しているということが一つありますし、それから現地の市長が反対を掲げて勝っているということ、それから現地で繰り返しデモが起こっていること、要請書なんかも、我々と現地の間で地元住民の方の要請書を集めたんですね。人口四万人のシノップの町なんですが、一週間で三千件の署名を集めてくださったんです。これは、もっと続ければもっと集まるとは思うんですが、極めて速いスピードでそのような署名が集まったということから考えれば、おおむねということは不適切だろうというふうに考えております。
  193. 井上哲士

    井上哲士君 ありがとうございます。  最初の御意見の中で、果たしてこの原発というのが成長産業なんだろうかという問題提起があり、そして現実でいうと、言わば国際的には設置、稼働などは頭打ち、むしろ下がっているというふうな提起がありました。一方で、推進する皆さんはどんどんどんどんこれからも増えていくんだという議論をされるわけですが、どこにその見方の違いがあるのかなという点、いかがでしょうか。
  194. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) まず一つは、計画がたくさん、近年になって計画自体が数が増えていることは、そのとおりなんです。問題は、その計画がどこまで現実に建設それから運転に至るかどうかということと、それから、そこの中でどこまで日本企業がそこに関われるのかどうかという点で先ほどの発言をさせていただいたんですが、計画の中で実現するものもあるだろうというところは、新興国のエネルギー需要を考えれば今後増えていくということは多少増える可能性はありますが、その中で、果たしてじゃ日本企業がどれだけ受注できるのか。その計画の多くが結局ロシア、中国、韓国なわけですから、日本国内で建設ができない限り、なかなか日本企業にとっての市場というのは厳しいんだろうなというふうには考えております。
  195. 井上哲士

    井上哲士君 ありがとうございました。  服部参考人にお聞きいたします。  日本の規制基準が三・一一前後でどう変わったのかということで、先ほど来も議論もありましたが、シビアアクシデントマネジメントができていなかったということは、これは共通認識だと思うんですね。私も、三・一一以降いろんな質問をする機会もありましたが、なぜ日本でシビアアクシデントマネジメントが規制事項になってこなかったのかと。当時の保安院の院長にも質問しましたけれども、結局、世界的にはチェルノブイリやスリーマイルアイランド事故以降規制事項になったのに日本がやらなかった、言わば原子力業界におもんぱかったという趣旨の答弁でありましたし、それから、国会事故調自身も、結局規制機関がそういう推進勢力のとりこになっていたと、こういうことを言ったわけですね。  ですから、先ほど議論になったようなシビアアクシデントマネジメントが規制事項になっていなかったというのは、明らかにやはり電力業界の要求が大きな要因だったと私は思うんです。そのことが結局、目先のいろんなそれに対する対策などを軽減することによって、大変大きなこういう被害をつくってしまったということが起きたと思うんですが、そのことへの反省というのが今の再稼働などの電力業界の対応を見ていますと私には余り感じられないんですが、その点はどうお考えでしょうか。
  196. 服部拓也

    参考人服部拓也君) これも大変重要な御質問だというふうに認識をしておりまして、日本の規制基準というのはどちらかといえば決定論的な考え方に基づいて、それで規制というのが行われてきたんです。ところが、世界の趨勢は、とりわけアメリカで一九七五年にWASH一四〇〇という確率論的な評価をするようなレポートが出て、自来、いろんな事象を確率論的に評価をして、どれだけのリスクがあるかということを評価をして必要な対策を講じると、そういう流れになってきたわけです。  そういうものを受けて、日本国においても、いわゆる設計基準事象というか設計基準事項を超えたもの、エリアにもまだ残余のリスクがあるという認識はしておって、そういうものに対して何も対応をしないということは、これは安全確保という観点からは好ましくないという考え方に基づいて、電力は自主的にこの点について取り組んできたのが一九八〇年代の半ばであります。  それからいろんな議論があって、最終的にこれを規制の要求とはしないで電力の自主的な対応にするということが判断をされたのがたしか九二年だったと思いますけれども、そこに至った過程では様々な訴訟だとか裁判だとかいろいろなことがありましたので、そういうものとの関係において、なかなかこれを規制の要求事項とするということの難しさというのがそういう観点からあったというふうに聞いておりますけれども、いずれにいたしましても、規制の要求であろうとなかろうとこれをやるというのは、これは電力の、電力といいますか事業者の責任であります。  だから、規制の要求がここまでだからそれで十分だということでは決してなくて、規制の要求を超えてでもそれを自主的にやるという必要があって、今まさにそういう議論が積極的にやられておりまして、確率論的な安全評価をした上で必要な対策を取っていく、それが規制の要求であろうとなかろうと。それで、リスクというものから正面から向き合って、原子力をやるからには必ずリスクというものがあるんだと。そのリスクが許容できるようなレベルなのかどうかということについての議論をもっと深める。いわゆる安全目標の議論、これを同時並行的に深めながらこれを必要な対策を取っていく、自主的に対策を取っていくと。これが電力が求められている、電力というか事業者が求められていることだというふうに思っておりまして、そういうことで今努力をしているところでございます。  したがいまして、この辺につきまして改めて国民の皆様方に十分説明する責任があるというふうに思っております。
  197. 井上哲士

    井上哲士君 ありがとうございました。時間ですので終わります。
  198. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。済みません、これが挨拶なものですから。  ちょうど今朝の新聞ですかね、小泉元総理と細川元総理が、脱原発を目指す一般社団法人自然エネルギー推進会議を設立、再生可能エネルギー普及の研究に加え、今秋の福島県知事選などで脱原発候補を支援する。これは政治のあれになってしまいますけど。  一つは、お聞きしたいことが、原発推進していく中でアメリカとの関係はどういうふうになっているのか。  それと、私自身もいろんな、昔から、レスラーなのに何でおまえそんなことやっているのといういつも昔は批判を受けましたけど、いろんな、地熱発電であったり、水車、風車、あるいはソーラーもいろいろ投資もしたりしたものですから多少知識を持っています。その中で、さっき午前中も質問させてもらったんですが、この原発の先に、これが全てじゃないと思いますので、その先に来るエネルギーというのは、先ほどちょっと質問させてもらった小型化原子炉というそういう、服部先生という方が研究されているようですけど、その辺についてどのようなお考えをお持ちか、ちょっとお聞かせ願えればと思います。
  199. 末松信介

    委員長末松信介君) 服部先生から、じゃあ。
  200. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 はい、お願いします。
  201. 服部拓也

    参考人服部拓也君) 米国との関係でございますけれども、米国は、そもそも日本原子力、とりわけ軽水炉の技術につきましては米国から輸入したのが一九六〇年代の後半から七〇年代にかけてでありまして、それをきっかけとして米国との関係がずっと構築されてきたわけであります。その中で、米国の中では、スリーマイルアイランドのあの事故があって、かなり三十年間ぐらいのギャップがあったおかげで、結果として原子力産業というのが衰退したような経緯があります。それを今再構築するような動きがあります。  一方で、米国内では、規制を含めた安全に対する取組が大変功を奏して、今非常に原子力が好調な状況にあります。そんな中で今アメリカで起こっていることは、シェールガスが出てきて、競争力が今非常に厳しい状況にあってというような状況で、今アメリカの原子力は、一方で順調ではありますけれども、一方で競争力という観点で厳しい環境に置かれているというところであります。  そういう中で、日本期待しているところはどういうところかといいますと、一つは、一番大きなところは、核不拡散あるいは核セキュリティー分野日本世界のリーダーシップを取って、これからもこの分野貢献をしてほしいということが第一点目であります。それからもう一つは、アメリカも原子力をやめたというわけじゃございませんし、アメリカも、国内あるいは海外のビジネスということもありまして、原子力技術日本でしっかり維持しておいてほしいという強い要請があります。そんなところから、日本に対する期待というのは核不拡散分野とそれから技術力というところがあろうかと思います。  さて、そういう中で、アメリカが今どういうところを取り組んでいるかといいますと、アメリカが技術力の維持の一つの方策として、これまで大型炉を追求してきたばかりなんですけれども、それを中小型炉も大いにこれからも可能性があるんじゃないかということで、これは学界あるいは産業界も含めてです、あるいは政府もそれを積極的に支援をして中小型炉の開発を進めているところであります。  これはいろんなタイプがありますので、ガス炉であったり高速炉のようなものがありますし、あるいは軽水炉のようなタイプもありますし、それはそれぞれ今メーカーが提案をして、国の予算をもらって開発に積極的に取り組んでいるというところでございます。
  202. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 原発事故における生命への影響についてというのはどちらの先生がいいでしょうかね。  チェルノブイリの問題も、二十九年前になりますか、これは非常に、ある意味では初めての原発事故福島が参考にしているという話も聞いていますが。その辺の、ただ、一般で余り報道されない問題として、非常にあそこで起きている奇形の動物だとか、インターネットで流されている情報がどの程度正確なのか分かりませんが、本当に四本の角の牛が出てきたとか、そういうようなことが余り一般には言われていませんけれども、イノシシなんかも背丈より大きなイノシシの写真が送られてきましたけれども。  この辺は、ほとんど政府関係は余り触れないですけれども、どういう、何か出しちゃいけないとか、国会の中のルールもありますので、その辺はもうちょっと公開してもいいんではないかなと思いますが。
  203. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) 実は私は二〇一一年の十一月にチェルノブイリ原発の見学に福島の方々と行ってまいりました。そのミュージアムも見ましたけれども、それは本当にもう衝撃的だと思います。  それで、問題は、チェルノブイリ事故教訓日本は酌み取ることに失敗したんですね。当時、日本原子力関係者は報告書を出していますが、あのような事故日本では起こり得ないと、炉型が違うと。それが、歴史は結局それは錯覚だったということを証明しているわけですね。ですから、チェルノブイリ事故教訓を酌み取るという作業は今も続かなきゃいけないと思います。  ただ、非常にこれは慎重にやらなくちゃいけないと思うんですね。いろんな報告が膨大に出ています、チェルノブイリ、現地につきまして。それから、私どもの法政大学の研究室でも本を翻訳したんですが、健康被害というのは決して甲状腺のがんの問題だけではなくて、全身的にいろんな症状が出ているというレポートはたくさんありまして、それについては医学論争が非常に続いているわけですね。ですから、そこは非常に慎重に、是非チェルノブイリ事故の被害のフォローアップと、それから日本でも福島事故の被害のフォローアップを非常に慎重にフォローしていく必要があろうかと思うんですね。  それで、この問題については研究者の間でも意見がすごく分立しています。非常に慎重に考えなきゃいけないということと、百ミリシーベルト以下は平気だというようなことを言っているような人もいるんですが、私が思うのは、チェルノブイリの教訓を酌み取る、あるいは放射線の健康影響をちゃんと認識するというときに、日本では異なる学説を持った研究者が一堂に会して落ち着いて議論する場がないんですよ。議論の場が分立しちゃっているんですね。そこでそれぞれ、それを応援するいろんな立場の人がいらっしゃって、そこを何とか冷静に議論する科学的な検討の場をつくらなきゃいけないんじゃないかと、そこがまず基本だと思います。  それと、チェルノブイリと福島の被害は、どこの面が同じでどこが違うのか。過剰に投影するのはちょっと危ないんですけれども、そうかといって過剰に楽観視するのも良くないので。特に、福島でも健康管理の調査をやっているんですが、その健康管理の調査を本当に厳正に厳密に、プライバシーを守りながら市民の目線を入れて取り組むべきで、行政主導でやった場合のバイアスがあると思うんですね。それは、対策費用を低く抑えたい、だから被害を小さく見せたいという、そういうバイアスをどうしても行政は持ちがちなので、そこから独立してちゃんと健康問題を客観的に精査していく、そういう場をつくることが非常に大事なのかと思います。
  204. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 田辺参考人でしょうか、福島原発事故の後三年以上がたった、いまだにまだ故郷に帰れない人たちとか。一つは、思い切った政府考え方として集団移住ということも考えた、提案したこともありますけど、県民の皆さんの心にそれはそぐわないということもあるかもしれませんが、現実はしっかり見ないといけないと思うんですね。  そういう中で、汚染水を相変わらず海に放流すると、こういう現状であるという中で、先ほど説明もありました、午前中の。そういうような非常に我々が聞いてもおかしいなということが今まかり通って、我々を通じてまた選挙民が聞くわけですけど。その辺の本当に間違いない情報というのが、しっかり我々が把握しておかなきゃいけないと思うんですが、まだまだ勉強しなきゃいけませんが。  その辺について、先ほど、地震大国でもある、いろんなこの原発にはそぐわない部分があるかもしれませんけど、その辺についての見解をお願いします。
  205. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) 先ほど、トルコの情報公開の余り徹底していない状況とか、それから民主的な意思決定がきちんとなされていない状況というのを御紹介させていただきました。  福島状況福島事故を振り返ってみて、やはりこの点、極めて重要だというふうに思っていまして、原子力協定自体は、これが通ったからといってすぐに原発を輸出しますというわけではないんですね。これからいろんな調査をして、それから日本の公的資金を付ける手続があるかもしれません。そういったときに、果たしてきちっと情報公開がなされているかどうか、それから民主的な参加がなされているかどうかということをきちっと確認した上でなければ、こういった日本の公的資金を使うべきではないというふうに考えております。
  206. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 皆さん、政治家もそうですが、選挙民抱えていますから、その辺のことも気遣いながらやらなきゃいけないというのも承知はしておりますが。私自身こんなキャラクターなんで、本当に私のネットも毎日見ておりますと、素直なそのままの声を聞いて、そこで歪曲されることもなくいろんな意見を聞いて、それが一番やっぱり一番民主主義の根底にある、国民の声をという。  だから、この情報も、政府考え方、これから、それはそれで、理解というよりは、しかしこれはもうちょっと真っ正面から立ち向かって、先ほど舩橋先生のおっしゃられているような、それをきちっと理解をしてもらった上で、福島県民を、被害を受けた人たちをだましていくような感じのことじゃなくて、正確なことは正確にちゃんと伝えなけりゃいけないと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  207. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) ちょっと猪木先生の御発言に関連して一言。  先ほど福島県民の避難の方策とか今後の生活再建のことに御言及あったんですが、私は三つの選択肢を総合的に政策を取らなきゃいけないんじゃないかと思っているんです。今の政府政策は、割合、早期帰還を加速するというところに傾いちゃっていて、実は、ずっと地域を細かく、特に若いお母さん方、子供を抱えている方を見れば、とても怖くてそんなに帰れないと。むしろ避難した先で生活再建をしていくという政策が余りにも欠如しちゃっているんですね。  ですから、帰還の政策もあるけれども、移住の政策とそれともう一つ私が非常に大事だと思っていますのは、「超長期待避、将来帰還」という第三の道が必要だと思っています。今、福島の自治体は全て自分たちの自治体を潰したくない、市町村どこも存続していきたい、やがては帰っていきたいと。ただ、その帰っていきたい時間が三年、五年、十年ではない。二十年、三十年、五十年、場合によっては百年。超長期待避して、その間にコミュニティーを維持して、三十年後、五十年後にもふるさとに帰っていくんだという、そういう思いを持っている人は大勢いらっしゃると私は思っています。それを政策的に第三の道として保障するべきだと思います。  だから、帰還をうまくやっていくという政策もあるけど、移住をきちんとやる政策、それから「超長期待避、将来帰還」。そのためには二重住民登録というような抜本的な政策をやらないとこの問題は打開できない。今日の本題ではありませんが、福島の再建については政策的に議論することがたくさんあって、適切な政策パッケージが今欠如していると思います。
  208. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 終わります。  ありがとうございます、どうも。
  209. 小野次郎

    ○小野次郎君 結いの党の小野次郎です。座って質問を続けさせていただきます。  最初に、服部参考人にお伺いします。  先ほども、原発輸出についてはトップセールスが世界的には行われているし必要なんだというお話がありましたけれども、このトップセールスというのは総理だとか、日本でいえば総理、外国でいえば大統領とかが自ら赴いてその国に売り込みをするということだと思うんですが、この三・一一の、二〇一一年の大震災、原発事故の前の日本政府、それからその後の民主党政権、そして今の自民党政権、このトップセールスに対する姿勢についてはどんな変化があったと服部さんは認識されていますか。
  210. 服部拓也

    参考人服部拓也君) 私自身も、海外の展開ということが話題になりましたのはごく最近でありますので、民主党政権とそれから現政権というふうに考えていいと思いますけれども、私は民主党政権の時代もトップセールスというのはかなり積極的にやっていただいたというふうに理解をしております。  さらに、現政権であれば更に積極的にということでありますが、そのときに、トップセールスをサポートする、何といいますか国全体としてのまとまりといいますか、その部分については民主党政権時代よりも今の政権時代の方がより強くなっているんではないかなというように理解をしておりますけれども、その辺について、それはある意味ではセットでそれが成り立つんではないかと思いますが、今の現状で私は決して満足しているというわけではなくて、日本全体としてのまとまりをもう一段高めてもらう必要があるというふうに考えておる次第であります。
  211. 小野次郎

    ○小野次郎君 今、国全体としての支援体制とおっしゃったのは、例えば公的信用の付与というか公的資金の活用と、そういう省庁が、トップセールスで政治家が行くだけではなくて、省庁のバックアップが自民党政権になってから活発になってきたということなんでしょうか。
  212. 服部拓也

    参考人服部拓也君) はい、そのように理解をしております。  これは、省庁またがって、いろんな省庁が、この輸出ということを具体的に進めるためにはいろんな省庁の協力といいますか連携が必要な部分がありますので、そういうところをより強めていただく必要があるんじゃないかなというふうに思っている次第であります。
  213. 小野次郎

    ○小野次郎君 経産省のそういう姿勢というのについては、この一、二年改善されているとお考えですか。
  214. 服部拓也

    参考人服部拓也君) 経産省につきましてはそれ以前から積極的にやっていただいていたというふうに思っております。例えば、先ほど来話題になっております損害賠償の条約、CSCというような部分、これもある意味ではセットでありますので、あるいはODAの活用であるとかなどなど、様々な分野でのものを、そういう案件をどのように戦略的に、情報共有しながら戦略的に進めていくかというところが重要なポイントだというふうに理解をしております。
  215. 小野次郎

    ○小野次郎君 次は田辺参考人にお伺いしようと思いますが。  実は私自身、じくじたる思いをした経験があるんですね。それは、二〇一一年の三月三十日だったと思うんですが、この参議院に、どこの国だったか、原子力協定がかかったんです。そのとき私はみんなの党にいたんですけれども、元の同僚議員もいますけれども、そのときは三・一一の直後でしたから、原子力協定について特段の認識なく、賛成しちゃったんですね。後で様々な方の、学者の意見もあり、また福島の方のその後の状況をつぶさに見る中で、やっぱり国内で良くないと思っているものを海外に持っていくというのはおかしいじゃないかという話を私自身もしたし、党内で議論になって、今二つの党に分かれましたけれども、この二つの党はどちらも原子力協定には否定的な立場を取るようになったんです。  結局、私は、どんなにいろんな話を聞いてみても疑問が晴れないのは、先ほども服部参考人もおっしゃったんだけれども、海外へ売り込むというのは原発事故の後のような気がするんですね、主に。その前はそういうことはなくて。つまり、国内で新増設が行き詰まっている、行き止まっているというか売れなくなっていることの裏返しの兆候なんじゃないのかという疑問と、もう一つは、国内で国民の多くが、すぐにゼロにするという意見はあるけれども、それが多数とは言いませんが、限りなくゼロに向けていくべきだという意見がやっぱり国内の多くの国民の思いだと思いますので、そういうものを海外にこれから造り始めて、四十年、五十年、海外に移転していこうということについて、やっぱり倫理的な何か相反性というか矛盾したことをやろうとしているんじゃないかという思いがあるんですが、その二点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  216. 田辺有輝

    参考人田辺有輝君) まず、おっしゃるとおり、国内で今後縮小していくものを海外で拡大するという点には、これはそもそもギャップというかつじつまが合わない部分があるというふうに思っています。  先ほど民主党政権以来という話がありましたが、この海外への原発輸出というのは私は二〇〇〇年代前半からこれは続いているというふうに思っていまして、そこからかなり政治的に掛け声が出てきたと。これはアメリカの方針転換が物すごく強いと思います。アメリカが国内で原発を造ることが難しくなってきたので、何とかして日本企業協力を得ながらアメリカ国内でも高めたいと。なので、これ、一つは経済問題なんですが、もう一つは外交問題というふうに考える必要があるかなというふうに思っていまして、ここの部分で非常に難しいのかなというふうには思っております。
  217. 小野次郎

    ○小野次郎君 舩橋参考人にお伺いしますが、先生は社会学の専攻だということなので、私なりの問題意識をぶつけてみたいと思うんですけれども。  実は、国会事故調もこの原発事故の調査報告の中でとりこの理論というのを挙げていますね。これは経済学の概念かもしれませんが、私は元々が警察出身なものですから、規制する側と規制される側についてはとりこの理論が当たるかもしれないけれども、原発と国民の関係というのは、犯罪学の用語で言うストックホルム症候群と似たものがあるのかなという気がするんですね。絶対的に自由がなくなって、籠の鳥にされている国民にしてみると、いつかそれを受け入れてしまって、大丈夫なんだ、いいものなんだと思ってしまわないととてもじゃないけれども生きていけないということがあって、規制と規制される側はとりこの理論、そして国民と原発の間はストックホルム症候群で、何かぬるま湯になっちゃっているような感じがするんです。  そこで、お伺いしますけれども、今トップセールスの話も出ましたけど、やはり規制するところと推進するところが一つの政府で同じ方をトップとして動いているということが、この原発の問題について誰かがおっしゃっていましたけど、負の遺産をどこでカットできるかって、カットできないですよね、まさに進めている人が、規制している人と同じ人がトップになっているわけですから。その問題点というのはやっぱりあるんじゃないのかなということについて御認識を伺いたいのと、もう一つは、今度、規制する役所と規制される業者というんですかね、業界が一対一対応になっていて、駄目なら競争によって別の方が競争に勝つ、ルール守らないあるいは品質を高めようとしないところは駄目になっていくという関係でなくて、一個しかないものだから、要するに、甘えん坊の一人っ子を育てているようなもので、どんなに寝っ転がっていても勉強しなくても、その子しかいないからその子を大事にしていくみたいな、そういう関係になっているような気がするんです。  ですから、ちょっと最初にまず切りますと、一つは、規制と推進が一個の統率の下になっているという仕組みではこういう問題についてうまく対処できないんじゃないかという一つ質問と、もう一つは、育てている子が一人しかいない、推進している人が一つしかいないものだから、規制するのとされるのとが一対一対応になっていると、緊張関係というのか、あるべき本来のコントロールが利かなくなるんじゃないかという問題点と、二つちょっとお伺いしたいと思います。
  218. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) まず、規制する側と事業を推進する側が一体になっちゃっているとか近過ぎるというのは、誠におっしゃるとおりで、それはよろしくないですね。規制する側と推進する側がある距離を持って、緊張感があって初めて規制というのはうまくいくので。ですから、今までの福島原発震災に至る道を振り返ってみると、日本の場合は、特にアメリカなんかから比べると、推進する側の組織と規制する側の組織が近過ぎちゃって、そこが独立性がない、分離していない。そこがやっぱりとりこになったという国会事故調の御指摘なんかは、つぼをついていると思います。それが一つですね。  それから、二番目の御質問ですが、政府としていろんな産業を育成したいという場合に、育成していこうという行政組織とその対象となる産業分野があるときに、どうも日本原子力というのは非常に特殊な、言わば過剰保護、過剰育成、過剰予算投入ということがあり過ぎたんじゃないかと。もう少し普通の産業並みに扱えばいいのになと。  それで、本来自由主義であり、市場メカニズムをベースに日本の生産と消費がなされている中で、原子力関連が異常に保護されている、異常に制度的枠組みで守られちゃっていて、そのことと、経済産業省が原子力業界のいろんな組織と深くくっついちゃっているという。もう少し当たり前の産業の一つとしてやってほしいと。だから、過保護という言い方がいいのか、癒着という言い方もあるかもしれませんが、行政組織と民間企業との距離感の取り方で、余りにもお互いに深く関わり過ぎちゃっていて、もっと冷静に距離を取って当たり前の産業としてやってほしいなというふうに思うんですね。  ですから、そのことをちょっと、済みません、三点目の展開をすれば、先ほども申しましたが、エネルギー政策というのは産業政策だけではないわけです。国民生活全般に係るし、地域政策にも係るし、健康問題も係るし、安全問題も係ってくると。それを経済産業省が主導権を握る形でエネルギー基本計画を作っちゃうという、この在り方がすごく民意からずれるエネルギー基本計画を作っちゃっていると。だから、本来はエネルギー計画というのは総合政策だから、そこをもう少し違う体制にしないと、非常に、特定の業界と距離感を失ってしまった経産省が主導して非常に国民から離れたものを作っちゃっている、この構造が変わらない。だから、規制と推進が癒着してきてしまったということとの延長でまたこの基本計画も作られているんじゃないかという判断を私はしております。
  219. 小野次郎

    ○小野次郎君 最後に一問しますけれども、それは、そういったどうしても原子力産業というのは関係になりがちなときに、それに光を当てる、新しい空気を入れることができるのは、国民の目というものだと思うんですね。だから、そこにやはり情報開示というか、情報が自由に分かるようになっていなきゃいけないし、もっと大きな言い方をすれば、民主的な社会になっているかどうかということだと思うんですね。  だから、日本国についてもそうですけれども、これから輸出、まあ輸出でしょうね、原子力協定というんだから輸出の結果になるんでしょうけれども、トルコとか何かでツイッターが制約されているとかいう話を聞くと、そういうところでは、そういうどうしても国策でやろうとしていることについて、それに対して光を当てる、空気を入れることができるのは国民の目なのに、その国民の目が見えなくなっていたり、あるいは国民の声が届かなくなっているという社会では、そういったチェック、最後のチェックが利かなくなるんじゃないかと思うんですが。  もう一度、情報の自由化、あるいは民主的な社会であることというのがこの原子力の問題については私は大変重要だと思うんですが、先生の御意見をお伺いしたいと思います。
  220. 舩橋晴俊

    参考人(舩橋晴俊君) おっしゃるとおりで、まさに日本は国民主権ですから、国民の総意の下に政治はなされなくてはいけない。そのときに、やはり国会の役割がもっともっと重視されてよいのだろうと思うんです。  それで、先ほども申しましたけれども、こう言うと失礼かもしれませんが、日本の国会の政策形成能力は、先進諸国の中で比較して見ると劣っていると思います。それは個人の能力の問題ではなくて、組織構造の欠点があると思うんです。  ほかの先進国では、軒並み、専門調査会を下に付けている。国会が専門家を集めて、政府の審議会とは別に独自の政策研究、政策検討をし、そこに議員の皆さんも入って熱心に議論をしている。そういう場が日本は余りにも貧弱なんです。ですから、国民の目線に立って、国民の総意で政策形成するときに、国会の政策形成能力を是非高めていただきたいんですね。  そのときに、例えばパブリックコメントを経産省の方でやって、一万九千通も集まっているけど、それちっとも内容を公開しない。そういうことをなぜ国会は公開しろと言ってくれないのか。  それから、例えば政府事故調と国会事故調では福島原発事故の解釈が違っているわけです。国会事故調では、地震によって既に破壊が始まっているという可能性指摘しているんですね。ところが、正しい原因解明ができなければ正しい対策もできないのに、原因解明が中途半端になっています。本来であれば、国会事故調を再開、あるいは第二次国会事故調をつくって原子力政策の検証をしていく。汚染水問題でもそうですね。  ですから、私は国会議員の方は個々に見ればすごく熱心な方が大勢いらっしゃると思うんですが、余りにも個人的には忙し過ぎて、政策の勉強をする時間がなさ過ぎる。それを補うためには、組織構造的に国会の下に専門調査会のようなのをたくさんつくって、国会が専門家を結集して、政府に対して対等にもっと議論できるような。何でも政府の役人のレクチャーを付けてやられたのではまずいんだろうと。  その点を是非、今御質問のあった民衆の総意に基づいて政策をつくるための大きな手掛かりとしてお考えいただきたいと思います。
  221. 小野次郎

    ○小野次郎君 ありがとうございました。終わります。
  222. 末松信介

    委員長末松信介君) 参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  この際、一言御礼申し上げます。  参考人の先生方には、長時間にわたりまして大変有益な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。分かりやすく、しっかりまとまった資料も頂戴しまして、レジュメも頂戴しまして、委員一同、心より感謝を申し上げます。  特に、三人の先生方からは、これという心の非常にこもった頭に残るキーワードがたくさんございましたので、今後委員会の参考に供していきたいと思っております。  本当に、長時間お付き合いをいただきまして、ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会