○宇都隆史君 ありがとうございました。
要は、専守防衛という、これを掲げることによって大きくは三つの制約が出てくると思うんですね。今、
大臣が非常に詳しく御答弁いただきましたけれども、簡素にまとめるとすると、
一つ目は、攻撃を受けなければ我が方から武力の行使をすることはしない、それから範囲に関しては、今おっしゃったように、他国の領土、領域の中というところまでは憲法が認められるとは解釈できない、三つ目は、そういう受動的な防衛力
整備をするわけですから、より攻撃的な、あるいは他国を侵略するような、そういう兵器については持たないような必要最小限度の防衛力
整備にとどめる、この三つの制約が出てくるんでしょうけど、私は、今の軍事力の趨勢、それからこういう高度な
状況になってくると、いいかげんこの専守防衛というのも限界が出てきているのではないかなと思います。
それが、今、集団的自衛権の話の中の四類型の中等でも出てきている例えば弾道ミサイルだと思うんですね。かつては、そういう数分間で自分たちの判断をして対応を迫られるような兵器というのはなかなかなかったかもしれませんけれども、現在はもうそれが、例えば、北朝鮮においては
日本をくまなくその射程に入れるようなノドンというミサイルが、専門家の言うところでは約四百発ぐらいはもう実戦配備されているのではないかというような話もあるわけですよね。これに対してどう対応していくのかといったときに、ここの専守防衛という考え方、もちろん我が方から先に手を出すわけではないと、我々は最後まで軍事的な行動というのは抑圧的に行動していくんだというスタンスは私は間違っていないと思います、こういう戦略守勢という考え方はですね。
ただ、それによって
現場の行動を縛り付けていくことによって、本当に我が国の存続、独立、国民の生命、財産が守り切れるんだろうかということは、これはちょっと真剣に
政治としては捉えていくべきなんだと思います。
よって、今回の
大綱、
中期防においても、決定的に欠落している
部分と私が認識しているのは、例えばミサイルの保有、我々がですね、保有できるのかどうなのか、それをどう考えるのかということなんかは全く議論なされていませんし、また、これは長らく国会でもタブー視されてなかなか議論が進んでいない核抑止について一体本当にどう考えるんだ、こういう
部分ですね。核三原則、作らず、持たず、持ち込ませずというのを我々は掲げながら、いざとなったときにアメリカの核抑止の傘の下にいて守ってもらう。果たしてそれで実効性を担保できるんだろうかという議論等は真剣にやっていくべきではないかと思います。
一問目のまとめでちょっとお話ししたいんですけど、これからまた集団的自衛権の解釈変更の問題、様々に議論を加速化していくとは思うんですけれども、国会答弁の中でも、総理は、集団的自衛権を認めたからといって常にこの行使をするわけではない、しなければならないというわけではない、あくまでこれは権利である、その権利を実行するかどうかというのは時の極めて高度な
政治判断であり、
政治の意思であるというようなことを答弁されていると私は認識しているんですけれども、そうであれば、まさにこの打撃力、攻撃力というのは全く一緒なんですね。
ミサイルを持ったからといって、それがすなわち相手に対する侵略につながるか。そうではない。相手はそれをもって脅威と感じるかもしれませんけれども、脅威というのはイコール報復
能力なんですよね。報復
能力というのは、イコールこれは抑止力です。これは当たり前の話じゃないですか、国際
社会でも、そしてこの防衛の
分野では。その当たり前のことを真っ当に議論できるような
政治の体制に、国内の、国会の環境にやっぱりしていかないと、私はいつまでたっても机上の空論、イデオロギッシュな防衛論議に終始してしまうのではないか、そういう不安を感じております。
というところで、一点目の脅威の認識と今回
防衛大綱に掲げられた専守防衛の整合性についてという質問は終わって、次の質問に移りたいと思います。
二つ目に、
産業力、技術力、これの中長期的な研究開発をどう考えるかという話です。
これは、私、同じく
予算委員会集中審議の中で、今後考えていくべき課題だという話をさせていただきました。戦略の中には、今回、
外務省、
防衛省に関わることだけではなくて、例えば国土インフラの話、国交省、あるいは通信
情報関係、総務省ですね、あるいは科学技術推進、文科省であったり経産省に関わるような話も網羅されているわけですけれども、じゃ、これを一体どうやってこの省庁間の
協力体制を担保していくのかという話は非常に重要なんだと思います。
先日も、ちょうど二人目に発言をされた参考人の白石参考人の方から、
産業力、技術力の中長期的な研究開発は国として取り組むべきであると。特に、例えばという具体例を出していただいたのが、
情報通信、ロボティクス、ナノテクノロジー、ブレーン・マシン・インターフェース、地理空間
情報、こういったのがこれから非常に軍事
分野として重要になっていくだろうと。これは、他国に先駆けて我が国としても独自開発、研究というのを進めていかなければならないという話を意見として陳述されたわけですけれども。これ、今具体的にこれ見ただけでも、
防衛省単体ではとてもできるような話ではないわけですね。経産省、文科省、国交省、総務省、それぞれに
協力をしてもらわなければならない話になると思うんですが。
防衛大臣に改めて伺います。この他省庁との連携、それから財政負担、
予算の負担ですね、今後、これをどういうふうに一体、国としての動きとして、取り組むべき課題として具現化させていったらいいんだろうか、
大臣の所見をお伺いいたします。