○伊藤祐
一郎君 それでは、私の方から意見を申し述べさせていただきたいと思います。
衆議院予算
委員会の
委員の皆様方、大変御苦労さまであります。
平成二十六年度予算に関しまして意見を述べさせていただく機会をいただきましたことに、まず御礼を申し上げます。
また、この
会議に先立ちまして、南さつま市の金峰町を訪問されたようであります。本県農業の実情を御視察いただきましたことに、重ねて感謝を申し上げたいと思います。
私の方からは、鹿児島県の財政構造ないしその若干のテーマについてのお話をさせていただきたいと思いますが、予算と絡みますので、当初予算の要点というのをお手元に差し上げていると思います。鹿児島県の
平成二十六年度の当初予算の要点ということでございますが、鹿児島県の財政構造について簡単にお話をさせていただきたいと思います。
この冊子、鹿児島県当初予算案の要点、お手元に差し上げているようでありますが、まず、おめくりいただきますと、その二ページ目に、予算の概要についての数字が並んでおります。
七千八百八十二億円の予算ということになりました。ここ六年間はプラス予算ということでございますが、皆さん方におわかりいただきたいのは、その歳入構造であります。実は、七千八百八十二億円の予算を打ちながら、県税はわずか千二百五十九億という数字がお認めいただけるのではないかと思いますが、県税がなかなか確保できない、そういう
地域でもあります。その分を、
地方交付税、実質的な
地方交付税、臨財債を含めまして三千二百八億という数字がございますが、それでカバーしながら、厳しい財政運営をしている、そういう状況でございます。
右の方に目を移していただきますならば、右の方の下の表をごらんいただきたいと思いますが、私は、今、知事に就任して十年目であります。私が就任しました
平成十六年、
財源不足額の上の方の数字、四百五十一億円の
財源不足がございました。それを必死になって
財源不足を解消しながら、今、予算運営をやっているところでありまして、幸いなことに、国の方の
地方財政対策も十分に配慮していただきましたので、
平成二十三年度からは収支バランスのとれた予算を打てるようになっております。大変厳しい財政状況の中で、歳出歳入両面にわたりまして徹底的な対応をずっとさせていただきました。多分、全国の知事の中で一番、ミスターコストカッターにふさわしい知事ではないかと私は自任をいたしております。
次のページをおあけいただきますと、五ページ目であります。それでは、歳出面でどういう形で構造変化をさせたかということであります。
平成十六年と
平成二十六年、その棒グラフで見ますと、例えば人件費、二千四十一億の人件費が、今現在では千七百五十三億まで縮まりました。人数にして千三百人程度の職員の削減を図っております。これで二百八十八億のマイナスであります。
ただ、一方、予期せぬ増がございました。扶助費もそんなに伸びないのではないかと思っていたのでありますが、四百七十七億が七百三十八億ということになりまして、プラス二百六十一億であります。
一方、普通建設事業、
公共事業を中心とした経費は、一般
財源ベースの数字でありますが、四百七十四億が、ずっと減ってまいりまして、マイナス二百八十四億の、百九十億という予算であります。これは独自に縮めたというよりも、国の方が
公共事業等々を急速に収縮させてまいりましたので、それに対応した数字にほとんどなっていると思います。
それから、一般政策経費も縮めて、六百九億が四百四十四億、百六十五億のマイナスであります。
そういうことで、人件費の減の分はほとんど扶助費が食ってしまった、一方、普通建設事業と一般政策経費をずっと縮めながら四百五十一億円の
財源不足を解消した、これが鹿児島県の財政構造の推移でありますし、よその県も多分同じような対応をされているのではないかと思います。
一番最後に、四十四ページで一言だけ御説明をさせていただきたいと思います。
四十四ページの円グラフをごらんいただきたいと思いますが、一般会計の予算が円グラフで
示してあります。何を説明したいかというと、ピンクのところ、自主
財源、依存
財源、自主
財源がわずか三割しかありません、二九・九%。そして、県税が、赤いところであります、見にくいのでありますが、千二百五十九億という数字であります。
下の方に目を落としていただきますと、歳出、目的別経費の
一つだけで御説明いたしますが、教育費、千八百三十四億。自主
財源、県税だけでは教育費も賄い切れない、そういう構造であります。ただ、この教育費の中にはいろいろなものがございますが、人件費だけでも千四百七十七億あります。したがって、人件費だけでも県税では賄い切れない。もとより、県費負担教職員制度がありますので、一般
財源ベースで見ると大体千二百億程度でありますから、これもやっと一般
財源ベースの金額を賄うか賄えないかぐらいの規模であります。
そういうことで、鹿児島県は、財政構造について極めて弱い状況の中で、今、県政運営をやらせていただいているところであります。南北六百キロ、二十八の有人離島を含めて、やはりいろいろな形での
災害もございますし、経費が増嵩する中での厳しい財政運営をせざるを得ないというところであります。
以下、本県の二十六年度予算に関連いたしまして、景気の動向等々、若干お話をさせていただきたいと思います。
私どもも、今の
アベノミクスによりまして景気が回復すること、大いに期待しているところであります。そして、県内経済についてでありますが、観光客が前年を上回って推移、公共投資が堅調に推移するなど、
地方として景気は緩やかに回復ということではないかと思いますが、もう
一つの鹿児島の経済の特徴が、有効求人倍率が低いことであります。〇・六八、全国で下から二番目、一番低いのは沖縄でありますので、何とか頑張っているのでありますが、有効求人倍率はなかなか上がってまいりません。それがやはりいろいろな制約要件になっている、雇用機会が少ないということではないかと思います。
アベノミクス、順調に景気回復はしていただきたいと思うのでありますが、若干時間を要するのかなとも思っています。
ただ、鹿児島の場合には、年金生活者の方が多いし、非正規職員が多いので、波及効果がずれますと、やはりどうしても、その三%の増、それから物価水準が若干上がってまいりますと、その分相対的に所得が少なくなりますから、その方々がどういう形で生活を順調にやっていただくのかどうか、その点はいささかの心配がございます。
ことしの予算で、特筆してまず皆様方にお願いないしは感謝申し上げなければいけないのは、実は奄美の予算であります。
奄美群島振興交付金というのを二十一億三千万円確保していただきました。奄美は、非常に鹿児島から遠く離れて条件不利性というのがどうしてもあるわけでありますが、農産物の輸送のコスト軽減、航空運賃等の低減、そういう自由な裁量のお金として、
日本復帰六十周年記念を迎えた奄美群島に対しまして一定の配慮をしていただきました。ここにいらっしゃいます
先生にも大変お願いしたわけでありますが、そういうようなお金をいただいたこと、奄美は奄美でこれから自立的に一生懸命頑張りたいと思いますが、この場をかりて厚く御礼を申し上げたいと思います。
それから、鹿児島県の施策の
展開の中で
一つお話をさせていただきたいのは、
アベノミクスもございますので、ことしの予算は、成長と安心と改革という形で、表題を出していただきました。成長、安心、改革の予算であります。従来、単に
活力と言っていたのでありますが、やはり
日本経済、この低迷から脱却して、成長していただきたいということもありまして、成長ということを表題に置いております。
そのために、産業振興方策ないし
公共事業の予算等々について、経済対策、雇用対策として、補正と合わせますと約一千億程度、九百七十五億円の予算を計上させていただいている、そういう状況にございます。
それから、鹿児島県といたしまして、もう
一つ、先ほどの経済の状況に関連して申し上げますと、国におきましては、中期財政
計画に基づきましていろいろな政策をこれから講じられると思います。そして、またその中で、
地方財政対策についても一定の御配慮をいただけるのではないかと思いますが、私どもの関心がありますのは、特に
地方交付税の歳出特別枠の話であります。ことしは、一兆五千億のうち三千億が減額されましたが、一方、振りかえることによってほぼ同じぐらいの金額をいただきました。
なぜそういうことを申し上げているかといいますと、
地方財政
計画というのがございまして、歳出の特別枠をいかに確保するかによって、鹿児島県の実は交付税の額が見事に変わってまいります。大体、
地方財政
計画に一兆円計上すると、鹿児島県の交付税が百億増加いたします。
したがいまして、この一兆五千億程度積んでいただきましたから、大体、交付税の増が百三十から百四十億ぐらいではないでしょうか。それを原資にして、先ほど申し上げましたような四百五十一の
財源不足の解消ないしはいろいろな経済政策をやっているわけでありますので、時流に応じて流れを見ながら整備するにしろ、
地方の財政構造はそういう形になっていること、鹿児島はぎりぎりにおいて歳入歳出を合わせていますが、それは歳出特別枠があって初めて交付税を百億ないし百五十億確保できて、それで財政運営をしているということは、ぜひとも御理解いただければありがたいと思います。
そうしませんと、同じような県が大体二、三十ぐらいあると思いますが、鹿児島は
地方財政がもちませんので、国、
地方の財政構造の中で、やはり
地方に対しましては大変厳しいところが多うございますので、そういう
意味で、今後とも御配慮をお願いしたいと思います。
それから、もう一点だけお話をさせていただきますが、鹿児島県は、ここにきょうも
公共事業関係、建設業関係の方も来ておられますが、
社会資本の整備はいまだに大変おくれておりますので、必死になっていろいろな事業をやっているところであります。
よその府県と比べますと、この
公共事業、公的資本形成の割合がどうしても本県は高うございます。東京等、大都市では、
公共事業を絞ってもそんなに経済に波及効果はございませんが、公的資本形成が高い本県において、公共投資は依然として大きな経済効果が見込まれます。
就任したときには、
平成十六年は、大体、
GDP、県内総生産において七%程度、就業の数においても一〇%程度ではなかったかと思いますが、今はもう見事に、多分、従事者数で八%ぐらいまで落ちているでしょうか。それから、県内経済計算においても、県民所得においても、非常に効果がマイナスの方向に動いていますので、もうそろそろ限界ではないかということであります。
公的資本形成をこれ以上縮めますと、必要な
社会資本の整備ができない、維持補修ができないということもございまして、そういう
意味で、ぜひとも今後、
公共事業について、ヨーロッパ諸国の公的資本形成の対
GDP比率も、大体、
日本の方が低くなっていますので、もう一度その点を精査していただいて、必要な事業は必要な形でやる。
特に、いろいろやり残した事業に余りにも時間がかかります。ミッシングリンクなんかは全体で六兆ぐらいでしょうか。それでも、鹿児島県の例えば西回りの高速自動車道、今の水準でいきますと、あと十二年ぐらいかかります。あと十二年ほど同じぐらいの公共投資ができるかというと、甚だ心配でもありますので、ぜひ何らかの機会に、そういうミッシングリンク等々、必要な
社会資本の整備は一括してもうぱっと整備するような、そういう施策を講じていただければと思います。そうしないと、一気にそこまで解決できないと思うものですから。主要な
高速道路等々がいつまでもつながらないというのはもうそろそろ限界かなということで、その点もよろしくお願いしたいと思います。
私のもらっている時間が大体もう来ているようでもありますので、私からの陳述は、この程度にさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)