○鈴木望君
日本維新の会の鈴木望です。
私は、
日本維新の会を代表して、
学校教育法及び
国立大学法人法の一部を
改正する
法律案について質問いたします。(
拍手)
教育は未来への
投資。長期的には
最大の成長戦略。これは、いつの時代でも真実でありますし、現在のような、何となく将来が右肩下がりになるのではないのかとの暗い予測が支配している時代にあって、希望であり、明るい将来予測につながるものであります。
しかし、幾ら
教育は未来への
投資といっても、
投資先がどうしようもない非効率なところであっては、
投資はできません。
今回の法
改正の対象である
大学の実態はどうでしょうか。
日本の
教育は、初等中等
教育の段階では世界のトップを走っております。
数学の共通テストで世界一位であるとか、誇らしいニュースを耳にしております。昨今は、この状態も揺らいでいるような感じも受けており、初等中等
教育の段階でも、見直すべきは見直し、学力レベルの維持向上に努力をしていかなければならないことは言うまでもありません。
一方で、日本の
高等教育はどうでしょうか。
大学は、若者のレジャーランドとか遊園地とか言われております。本当に勉強したい若者は、
大学に籍を置く傍ら、専門学校や各種試験の予備校に通っております。これは誇張でも何でもありません。私は、地方の
大学に籍を置いていたことがありますが、残念ながら、現在の
大学の実態であります。
他方で、世界の一流
大学に伍して学術
研究に覇を競うべき日本の先端
大学、
大学院の実態はどうでしょうか。
初等中等
教育の段階では世界のトップレベルにあるのに比して、残念ながら、
大学段階では、欧米の
大学に大きくおくれをとっている状況であります。日本の
大学の頂点に君臨する東京
大学ですら、世界の中ではトップ二十にも入っていないありさまであります。
さらに、アジアの
大学の台頭にも著しいものがあり、このままでは、日本の高等
教育研究機関は、世界から有能な若者を呼び集めるどころではなく、日本の若者からさえも、見限られて、海外の
大学を選択されてしまうような状況になりかねません。実態は、そうなりかかっております。大いに危機感を抱くべきであると私は思います。
ところが、当の
大学関係者の危機感が一番薄いのではないでしょうか。数々の
改革案が提示されても、何だかんだと理屈をつけて、さっぱり
改革が進まない。日本の
社会で最高レベルの有識者が集まっているにもかかわらず、今や、日本の
社会の中で、最も
改革が進まず、旧態依然のままになっているのは、
大学ではないでしょうか。
このような認識について、
文科大臣はどう認識しているか、現在の日本の
大学が世界の
大学の中で置かれている位置に関連して、
大臣の認識をお尋ねします。
私は、
大学において
改革が一向に進まない原因は、既得権を享受している人々、具体的には、
大学の
教授会が決定
権限を握っているからだと思っております。既得権が
改革を阻止しているのです。
大学における
権限と責任の
あり方を明確にし、責任をきちんととれる人が決定する。当然のことであります。
日本維新の会は、自立という概念を大切にしております。まずは、
大学という組織が
社会から求められている要請を自立的に解決していかなければなりません。自立して自己決定をできる
仕組みにすることが重要であります。
そこで
大臣にお尋ねしますが、今までの
大学のガバナンスの実態はどうであったか、今回の
法律改正によって、
大学のガバナンスはどう変わるのか。
従前は、
学長と
教授会の
関係は、
学長は、
教授会の中から選ばれ、
教授会という意思決定機関のいわば
議長のような
役割であったと認識をしておりますが、今回の法
改正で、どう変わるのでしょうか。
学長自体が執行機関となれば、一人では
大学経営全般をみずから担当することは当然無理ですから、誰かに
権限を委譲して、組織として
大学運営に当たることが重要であります。
その意味で、今後は、副
学長の
役割は飛躍的に重要になると考えますが、副
学長は、具体的にどう変わるのか。
一方で、副
学長も、一人では何もできないと考えます。
大学の構成員たる各教授や
教授会の助けをかりなければならないと思いますが、その意味で、副
学長と
教授会や各教授との
関係はどうなるのか、
大臣にお尋ねします。
ここまで
議論を進めてきますと、そもそも
教授会の
役割とは何かという問いに突き当たります。
大学は、世界史的には、中世の教会の修道院から発生したと言われております。その段階から、教師の集まりが、
学生に対する教授
内容、
研究課題、その他もろもろを自主的に決定してきた沿革があり、その伝統が
大学自治へとつながってきたと認識しております。
大学の
役割は、
研究と
教育であります。
教授会の
自治が、歴史的に、
研究と
教育に大きな
役割を果たしてきたことも事実であります。そのよき伝統は守らなければならない。
一方で、現在の
教授会は、一旦構成メンバーになると、その地位は、定年退職するまで安泰であります。極端な事例としては、論文もほとんど出さず
教授会にも出席しない、それでも地位は安泰といった事例まで仄聞いたします。
そのような、
教授会の主導で、本来有識者で良識の集まりであるはずの
大学が、医学部に見られるような徒弟
制度や学閥による身分差別、頑迷固陋の古い
制度を一番残している組織体となっております。
既得権の塊である
教授会が、
社会の変化に
大学を合わせることを拒否し、若手の自由な
研究意欲の頭を押さえ、自浄作用が全くきかない組織と化しているのであります。
教授会の本来の
役割とは何か、それを今回の法
改正ではどのようにしようとしているのか、
教授会は
大学の意思決定機関ではないのか、
文科大臣にお尋ねします。
次に、
学長の
あり方についてお尋ねします。
学長は、民間の会社でいえば社長に相当し、みずから
大学を
運営していかなければなりません。
現在のように
大学がふえた状況では、
大学といっても千差万別。世界の一流
大学と伍して日本の学術
研究を引っ張っていく
役割の
大学もあれば、地域の特徴を生かす
役割を担い、特徴を発揮して地域に貢献する
大学もあります。
大学の果たすべき
役割、これから生きていく道筋も千差万別であります。
学長には、そのような自分の
大学の
特性を十分に認識してもらい、従来のような金太郎あめ的な
大学運営でない
大学運営をしてもらう必要があります。
そのためには、
学長の資質が従来より飛躍的に問われる必要があります。
学長はどう
選考されるのか、
学長選考会議では
学長選考の
基準を定めるとしているが、具体的にどのような
基準が定められるのか、
大臣にお尋ねします。
次に、
経営協議会についてお尋ねします。
国立
大学を
国立大学法人化する際に、
法律で、
大学法人には
経営協議会を設けることとされたところであります。
今回の
改正では、
経営協議会の学外の有識者の数を、総数の二分の一以上から、過半数とされたわけであります。
民間の知恵を学外の有識者から取り入れることは、至極真っ当で、自然なことと思います。それがなぜ機能しなかったのか。その理由は、単に、外部の有識者の割合が過半数でなく同数でもよしとする
規定に原因があったとは思われません。
従来でも、
法律上は、二分の一を超えて多くの割合を外部の有識者に充てることができたにもかかわらず、なぜ多くの
大学法人でそうしなかったのか。この原因究明なしに根本的な解決はないと考えます。
そこで、
経営協議会を設置することとした当初の目的がどのような理由で達成できなかったのか、そして、何ゆえに今回の
改正が必要になったのかを
大臣にお尋ねします。
先ほど、
大学の沿革から、
大学の
自治、
教授会の
自治について言及させていただきました。
教授会が自主的に学問や
研究の自由を守ることで、学問の自由が守られ、結果として学術
研究の進歩に貢献したことは、きちんと認識されなければならないと思います。
その意味で、今回の
改正での懸念
事項を質問したいと思います。
今回の
改正では、
学長の
リーダーシップを強化することを目的にしておりますが、一方で、
学長の暴走をとめる手だてはあるのか、
文科大臣にお尋ねします。
大学の
改革では、
大学の
あり方が若手
研究者の自由な能力の発揮を妨げているという問題も指摘せざるを得ません。
日本の
大学では、一度教授というポストにつくと、定年になるまで身分安泰ということになります。このようなことは、同じ公務員の身分でも特異ではないでしょうか。
一般の公務員も、よほどのことがない限り不
利益処分はされませんが、職務怠慢等の理由で、課長等のライン職から、参事や官房付、部付などのスタッフ職に配置転換されることは、よくあることであります。
ところが、
大学では、教授は、どこまで行っても教授であります。そのような
制度が、教授自体の向上意欲をそぎ、能力のある者の登用が著しく制限されていることにつながっている、そう断じざるを得ません。
STAP細胞の問題がことし前半の
最大の話題の一つとなっておりますが、この問題の背景には、若手
研究者の身分の不安定、有期雇用なるがゆえの、与えられた期間内で成果をどうしても出さなければならない、いわば
制度上の焦りがあるのではないかと疑念を抱いております。そのしわ寄せは、若手や小保方氏のような女性
研究者に来ているのではないでしょうか。
とかく腰かけ的に見られがちで、本人の意思とは無
関係に差別されがちな若手や女性
研究者の活用について、森
大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。お尋ねいたします。
私は、教授職も、欧米と同様に、十年なら十年、五年なら五年の有期とし、その間の
研究や
教育の実績を評価し、教授の入れかえもどんどんすべきと思います。そうすれば、
教授会は活性化し、結果として
大学改革も進むと考えますが、
文科大臣、いかがでしょうか。
最後に、今回の
大学改革は、大
改革とはほど遠い
改革であると評価せざるを得ません。しかしながら、実態に即して
改正すれば効果を発揮するだろうと思われる
改革が俎上にのせられております。その意味で、現実に効果を発揮できればと思うところでありますが、効果を発揮できなければ、すぐにでも次の
大学改革を断行すべきであります。時代は待っていてくれません。
その意味で、附則第二条の検討
規定では何を想定し、何を検討しようと考えているのか、
文科大臣にお尋ねをしまして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣下村博文君
登壇〕