○田沼隆志君
日本維新の会の田沼隆志です。
ただいま
議題となりました、
政府提出、
地方教育行政の
組織及び
運営に関する
法律の一部を
改正する
法律案、略称
政府案、及び、
日本維新の会、
民主党共同
提出、
地方教育行政の
組織の
改革による
地方教育行政の適正な
運営の
確保に関する
法律案、略称野党案について、
日本維新の会を代表して、
法案に沿って
質問いたします。(
拍手)
私は、
日本再生のためには
教育委員会改革をどうしてもやらなければならないという信念の
もとに、衆議院議員になりました。このためになりました。
全国の大半の
教育委員会では、
審議が
形骸化しています。
私のライフワークである、国を愛する心を育む教科書採択も、そのプロセスは前例踏襲化している。改善したくても、
責任と
権限がよくわからず、
議会からも
首長からも、ほとんど何もできない。千葉市
議会議員であった私は、この現実に衝撃を受けました。
そして、
いじめや体罰を苦に若者がみずからの命を絶つという悲しい
事件が続出しました。それへの
対応も全くもって同じで、機動的対処ができないどころか、自殺と
いじめの因果関係は不明などと
責任逃れ、問題先送り、果ては隠蔽までありました。これが繰り返されてきた。
これはもう完全に
制度疲労です。このような
制度が続いていては、先人や子孫、亡くなった
子供たちや御遺族に申しわけない。その思いで
質問します。
問題の本質は、
責任と
権限の
所在が曖昧ということです。
この
制度設計がおかしいと、どうしても無
責任体質となる。
責任を
明確化し、それに伴う
権限を一体で付与し、きちんとそれを第三者が監視する、そういう統治機構に改めなくてはなりません。
しかし、さまざまな紆余曲折を経て
提出された
政府案は、何とも中途半端、曖昧です。
政府が宣伝するような
抜本改革とは、とて
もとても見えないんです。与党内で妥協に妥協を重ねた結果、
改革の
効果が極めて疑わしいものになってしまいました。大変残念です。恐らく、
総理や下村大臣、心ある与党の皆さんも、同感ではないでしょうか。
我が党は、決定できる、
責任のとれる統治機構を、結党以来
理念に掲げ、当初から
教育委員会廃止を掲げてきました。
独立した
行政委員会である
教育委員会を廃止し、
首長の
もとに
教育部局を移管させ、ガバナンスを明確にする。
責任を果たせないときは、選挙によって
首長を落とせる、つまり、
民意を示せる。この
責任の
明確化によってこそ、
現行制度の問題点を打破できると
考えるわけであります。
今回、多くの皆さんの御尽力の
もと、
民主党、
日本維新の会共同で、この要旨を踏まえた野党案を
提出できたことは、喜びであります。名づけるならば、
責任明確化法。
政府案と比べ、はるかに抜本的な
改革が
提案できていると感じます。
以下、
政府案と野党案を対比させつつ、
お尋ねいたします。
今回の
改正で最も大切なのは、
責任の
明確化です。
政府案では、
教育委員長と
教育長を統合し、
教育委員会の中での最高
責任者は、
教育長として
明確化されました。これは、前進だと
評価いたします。
しかし、
首長と
教育委員会との分断は残ったままです。ゆえに、両者が参加する
総合教育会議が新たに
設置されました。
しかし、これが曖昧です。
総合教育会議での最終決定権者がわかりません。
会議を主宰する
首長なのか、それとも
教育委員会の最高
責任者である
教育長なのか、ここの
規定がない。どちらが上位なのか、あるいは対等なのかが、わかりません。
最終決定権者について、
安倍総理、明確にお答えください。
ここが曖昧だと、
責任は
明確化できません。
例えば、
首長と
教育委員会との
協議が調わない場合、
首長は
大綱を
策定できないのでしょうか。また、
教育委員会が
同意していない
内容を
大綱に盛り込めるのでしょうか。これらの点が不明確なままでは、
教育行政に混乱を招き、住民がその
被害者となります。
大阪府と市では、
教育行政基本
条例が制定されています。これは、
首長が
教育委員会と
協議して
教育目標を決定する、
首長と委員会で意見が一致しない場合は、委員会の反対意見を付して、
首長の
教育目標を
議会に
提出するということで、
議論は尽くしますが、最終決定権者は
首長であることを明記しています。
大阪府では、この
条例案は、大阪
維新の会と公明党、自民党の賛成多数で可決をしております。
このように、最終決定権者を明確にすることが、
責任の
明確化には絶対に必要です。それが
政府案では曖昧である。
首長と
教育委員会との
協議が調わない場合、誰が、どのような手続で決定を下すのでしょうか。また、
教育委員会が
同意していない
内容を
大綱に盛り込めるのか。
安倍総理に
お尋ねいたします。
対して、野党案は、
教育委員会を廃止し、
首長の
もとに
教育長並びに
教育部局全体が置かれ、
教育長は
首長の指揮監督の
もとで
事務をつかさどると、極めてシンプルで、明確であります。このように設計した狙いについて、
提出者に
お尋ねをいたします。
政府案と野党案の最大の違いは、
執行機関が、
教育委員会のままなのか、それとも
首長に移るかという点です。
ここでどうしても触れておきたいのが、滋賀県大津市での
いじめ自殺
事件の御遺族からいただいた手紙です。下村大臣の
もとにも届いていると思います。それにはるる、
現行教育委員会制度の問題点が実体験に基づき述べられていました。
教育委員会の暴走を誰も抑止できない、
制度疲労が極限まで来ている、
教育行政に
民意が反映されない
現行制度は危険だ、
教育委員会を訴えたいと何度も思ったけれども、法
制度上、訴訟当事者は
首長なんです、だからそれはできない、矛盾を痛感したという切々とした訴えがあり、最後には、
執行機関が
教育委員会のままの与党案では極めて不十分というふうに結論づけております。私も、全く同じ思いであります。
そこで、下村大臣に
お尋ねします。
御遺族のこの手紙、その
内容をどう受けとめられたでしょうか。
政府案はその思いに十分応えられるとお
考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。
また、野党案
提出者にも、同じく、この手紙の
内容についての御所感を
お尋ねいたします。
政府案でもう一つ大きな欠陥を感じるのは、
教育長の解職
規定です。
責任を
明確化するならば、当然、果たせないときには
責任をとらせて、ある意味、首にする、その
規定が不可欠です。
政府案では、
教育長の地位、
権限は強大化する。大津市の
事件をめぐる隠蔽等の問題を見ても、
教育長を、住民の負託を受けた
首長による民主的統制の下に置くということが必須であります。
政府案では、罷免については第七条に
規定されていますけれども、これは、今の
教育委員に対する
規定と変更はないんですね。だから、極めて限定的にしか罷免できないんです。ほぼ無理と思っています。
しかしながら、
首長が
教育長を自由に、制限なく解職できるようにしないと、もし
教育長が
首長の
教育方針に従わなくなった場合は、どうなるのでしょうか。
教育行政が混乱して、
子供たち、保護者、市民が
被害をこうむることになるのではないでしょうか。
さきの議員の方で、
首長の暴走を懸念している方もいましたけれども、逆に、もし
教育長が暴走したら、
首長が
教育長を解職することができなくて誰が
責任をとれるのでしょうか。
教育長の解職
規定をもっと踏み込んだものとすべきではないでしょうか。
安倍総理の
見解を伺います。
関連して、やはり中途半端、いかにも妥協の産物に見えるのが、三年という
教育長の
任期であります。
首長の
任期は四年なのに、一度選び直す
機会をつくるという狙いのようでございますけれども、そのような中途半端なら、罷免
規定を初めからきちんと
強化しておいて、四年間やってもらった方がいいんじゃないでしょうか。
首長任期と同じ四年でなく、例えば半分の二年という区切りをそろえるでもなくて、三年という長さの
理由が、よくわからない。どうにも、小手先のテクニックというか、妥協の産物そのものに見えます。
なぜ、
教育長の
任期を中途半端な三年と定めたのか、先ほどの下村大臣の答弁でもよくわかりませんでした。改めて
安倍総理に
お尋ねいたします。
また、三年という中途半端な
任期でいくなら、せめて例外として、任命した
首長の残り
任期を超えないように
規定すべきと
考えます。なぜなら、次の
首長が来たときに、次の
教育長を選任できるように担保すべきだからであります。これについても、
安倍総理の
見解を伺います。
対して、野党案では、
首長を
教育行政の最終
責任者と
明確化し、
教育長に対しては、第七条において、「
地方公共団体の長は、
任期中においてもこれを解職することができる。」と、罷免
規定も明確であります。また、その
任期についても、シンプルに、
首長と同じ四年とされております。その狙いについて、
提出者に
お尋ねいたします。
次に、
チェック機能について
お尋ねします。
どちらの
法案も、
責任明確化、
首長権限の
強化をうたう以上、それを
評価、監視する機能が一体で
整備されなければなりません。
野党案は、より明確に、
首長への
権限と
責任を一元化しておりますけれども、
教育行政への
チェック機能についてはどうでしょうか。
教育監査委員会を
設置し、また、
首長が定める
教育振興の
方針を
議会が議決するという重層的なチェック
体制のようでありますけれども、それぞれの狙いについて、
提出者に
お尋ねをいたします。
対して、
政府案は、
チェック機能が見当たりません。
教育委員会に対し、
教育長は
執行状況を報告する義務があるとのことですけれども、
現行制度は既にほとんど近似した状態であり、この程度で
教育委員による
チェック機能が本当に高められるのか、極めて疑問であります。
そもそも、
教育委員も、
教育長とともに
教育委員会の決定について共同
責任を負う立場ですから、第三者的なチェックができるはずがないのではないでしょうか。
政府案では、
教育行政への
チェック機能をどう
強化するのかがわかりません。
安倍総理の御
見解をお伺いいたします。
次に、緊急事態への対処でございます。
政府案では、
総合教育会議という
会議体で、しかも、非常勤メンバーが多数なのに、緊急
措置を
協議するとなっています。
これは、
会議体ですから、迅速性に欠けるのではないでしょうか。日常的に情報に接している部署でなければ、非常事態への迅速な対処は不可能ではないでしょうか。
安倍総理に
お尋ねいたします。
対して、野党案では、緊急事態への対処はどのように想定しているのか、
提出者にお伺いいたします。
次に、指導
行政について
お尋ねいたします。
現行教育委員会制度の中で最も問題なことの一つは、
責任が曖昧な指導
行政です。端的には、大阪市立桜宮高校体罰
事件の事例が示しております。
市の
教育委員会の指導主事が、生徒への聞き取り調査を校長に求めたんですね。ですが、校長は、声を荒げて拒否したんです。このときに、指導主事よりも校長先生の方が先輩だったこともありまして、指導主事は引き下がってしまったんですね。
つまり、指導
行政の問題とは、このときの二人のやりとりは一体何だったのかということです。職務命令なのか、指導なのか、それとも助言なのか、どちらが
責任者なのかがはっきりしないんです。
この問題性については、全国一律の問題でありまして、
平成十年の中教審の答申「今後の
地方教育行政の在り方について」という中でも、同じ問題が
指摘されております。しかし、
政府案では、このことは全く触れられておりません。
安倍総理に、この問題についての
見解をお伺いいたします。
対して、野党案では、
学校の主体的
運営を配慮というふうにありますけれども、その狙いについて、
提出者に
お尋ねをいたします。
最後に、改めて
お尋ねいたします。
安倍総理は、熱心に
教育再生実行会議にも参加、主導されておりました。その第四回定例会にて、
首長がこういう
教育をしたいと有権者に問い、
同意を得ても
実行できないというのはおかしいのではないかというのが素朴な疑問ですというふうに
総理は発言をされておられます。
今回の
政府案は、その疑問に十分応えていると
考えるでしょうか。私には、どうしても、
安倍総理の思いに沿っているとは思えません。
政府案は、
首長の
関与が弱過ぎる。
責任明確化とはとても言えない。ここまで妥協してしまって、本当に戦後レジームの脱却は果たせるのでしょうか。
総理の素直な思いをお聞かせください。
また、
日本維新の会の
法案提出者は、
首長経験者が複数おられます。この点についての
見解を伺います。
以上、
教育再生を願う余り、
政府案の妥協的部分には厳しい
指摘も重なってしまいましたけれども、批判を目的とはしておりません。
我が
日本維新の会は、是々非々路線の
もと、正しい
改革はどんどん政権を牽引するということを使命としています。
教育委員会改革が必要な点では一致をしており、やり方に違いがあるだけであります。我々は、必要な修正
協議にも応じます。
多くの与野党がともに合意できる、そして、党利党略を超えられる、真に
日本の戦後
教育を
抜本改革できる、そのような
改革となることを心から祈念し、私の
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕