○木下智彦君
日本維新の会、木下智彦です。
私は、
日本維新の会を代表して、ただいま
議題に上がりました
政府提出の
電気事業法等の一部を
改正する
法律案について
質問を行います。(
拍手)
まず初めに、本日閣議決定された第四次
エネルギー基本計画について一言申し上げます。
今回の
電気事業法等の一部を
改正する
法律案を審議する上で、
政府が震災後の
エネルギー政策を再構築するための指針とするとうたうこの
エネルギー基本計画の内容を十分に踏まえた議論が展開されることは、必要不可欠です。
当初、昨年末には閣議決定がなされると言われていた
エネルギー基本計画は、年を越し、二月に行われた東京都知事選の時期での閣議決定は避けられ、その後も、与党内での調整に時間がかかり、本日まで閣議決定が先送りされてきました。
エネルギーをめぐる環境は、あの痛ましい災害に見舞われた三年前の
東日本大震災及び東京
電力福島第一
原子力発電所
事故を初めとして、国内外で大きく変化しました。それにより、
我が国の
エネルギー政策は大
規模な調整を求められる
事態に直面することとなったことで、それまで描いてきた
エネルギー戦略を白紙から見直したわけですから、議論に時間がかかったことについては、理解はできます。
しかしながら、
エネルギー基本計画と密接にかかわる今回の本
法案を、閣議決定と同日にこの本
会議場をもって審議をスタートさせるのは、余りに拙速だと言わざるを得ません。強く抗議をいたします。
今後、経済産業委員会を
中心に審議が展開されるものと思われますが、この
エネルギー基本計画も含め、ぜひとも、十分な審議時間を
確保し、熟議がなされることを要望いたします。
その上で、
政府が示すべき
エネルギー政策を念頭に置いて、今回の
質問をさせていただきます。
最初に、
政府の
考える
エネルギーの
ベストミックスについて
質問いたします。
今回の第四次
エネルギー基本計画には、
エネルギー政策の基本的視点として、
安定供給、
コスト低減、環境負荷低減、安全性の四項目が示され、各
エネルギー源の強みが生き、弱みが補完される、強靱で、現実的かつ多層的な
供給構造を実現するとうたっています。
しかしながら、各
エネルギー源の
ベストミックスについては、数字をもって示されておりません。これでは、幾ら、
エネルギー基本計画で
電力需要に対応した電源構成を分析しても、具体的な目標を定めたとは言えず、このままでは絵に描いた餅になりかねません。
本
法案では、
政府が掲げる
電力システム改革における
小売参入の
全面自由化が主な
目的となっており、今まで一部が
自由化されていた
発電部門も含め、新規
事業者の
参入機会をより促進するものと期待したいところではありますが、
政府が具体的な数値をもって示さない、もしくは示せないことで、
事業者が、将来性のある、いわば事業性の高い
発電方法が何であるのかを判断できず、高いリスクを感じて
参入を断念することもあり得ると
考えられ、その意味でも、早期の指針が示されるべきではないでしょうか。
そこで、
総理にお伺いします。
政府は、電源構成についての
ベストミックスの目標をできる限り早く決定するとしていますが、それはいつごろになるのか、検討の進捗状況もあわせて
お答えいただきたいと思います。
また、この
ベストミックスを
考える上で最大の論点となる、脱
原発依存のロードマップについて
質問します。
今回の
エネルギー基本計画には、冒頭、
原発依存を可能な限り低減する、東京
電力福島第一
原発の
事故で被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、
福島の復興
再生を全力でなし遂げるという
趣旨が書かれています。
原子力発電の位置づけについては、「優れた
安定供給性と効率性を有しており、運転
コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室
効果ガスの排出もないことから、安全性の
確保を大前提に、
エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要な
ベースロード電源」、
原子力発電の依存度については、「省
エネルギー・
再生可能エネルギーの
導入や
火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」と表記されています。
非常に抽象的な書き方ですが、
原子力発電の依存度を可能な限り低減させるためには、現実的に実行可能なロードマップを作成し、それをきちんと提示し、明確な目標を掲げることが重要だと
考えます。
また、ロードマップを示さないうちに各地の
原子力発電所を再稼働させるのは、幾ら
世界で最も厳しい水準の
規制基準をクリアしたといえど、全体的な計画ができていない状態で個別に判断することとなり、なし崩し的に、無計画な再稼働を容認してしまうことになるのです。
これでは、その先にあるべき理想的なロードマップの作成にまで大きな影響を与えてしまうことが
懸念されるのです。この状態では、再稼働については、多数の国民には理解していただけないのではないでしょうか。
政府は、
原子力発電の依存度低減のためのロードマップの作成に着手しているのか、作成しているのならいつ発表する
予定なのか、
安倍総理、
お答えください。
次に、
電気事業の
小売参入の
全面自由化についてお伺いします。
本
法案においては、現在、
地域独占の
一般電気事業者にしか認められていない、一般
家庭を初めとした全
需要家への
電気の
供給を
自由化することが
一つの
目的だと承知しておりますが、その際には、
現行の
一般電気事業者と
新規参入事業者が公正な条件のもとで
市場が
自由化されることが重要だと
考えます。
一方、本
法案において、
小売全面自由化後の
需要家保護のための
経過措置として
一定期間料金規制を継続し、
競争が不十分な中で
電気料金の
自由化を実施することによって
電気料金が結果的に引き上がることがないようにするとなっていますが、果たして、この状態で
小売の
全面自由化と言っていいのでしょうか。
また、これが
自由化のための
経過措置であるとした場合、その
経過措置の解除については実際に
競争が進展しているか確認した上で行うとなっているが、このような、価格が一定の状態で、何をもって
競争が行われると言うのでしょうか。また、どのようになったときが解除のタイミングとお
考えなのでしょうか。
茂木大臣、具体的なケースをもって、明確な御
答弁をお願いします。
また、本
法案において、
現行の
地域独占を行っている
一般電気事業者は、
発電事業、
送配電事業、
小売電気事業の三事業を兼業することとなり、
現行の体制と同様な状態です。この状態でありながら、
送配電事業にかかわる事業は、
電気の
安定供給を
維持することを
目的に
総括原価方式を
維持することになるとされており、その送配電にかかわる託送料を
小売電気事業者から収受し、
小売電気事業者は
需要家から収受することとなっています。
しかし、既存の独占的な
一般電気事業者の
法的分離も視野に入れたとしても、実質的にこの三事業が切り離されない
現行の
一般電気事業者が
発電事業と
送配電事業を行った場合、果たして、送配電にかかわる
コストを
発電にかかわる
コストと明確に区別して公正に総括原価として算出して、
新規参入も含めた
小売事業者に請求すると言えるのでしょうか。実際には
発電にかかわる
コストとすべきものを意図的に配送電
コストと見せたとしても、第三者が正確に判断することはできるのでしょうか。
これが恣意的に行われれば、ほかの
発電事業者の価格
競争力を奪うおそれがあり、自由な
市場の形成を阻害する要因となり得るのです。
政府として、これらに対する防止策を講ずるべきと
考えますが、具体的な対策があるのか、
茂木大臣にお聞きします。
次に、スマートメーターの
導入についてお聞きいたします。
電力システム改革を
推進するためのインフラとして、
政府は、本
法案とは別ではありますが、二〇二〇年代の早期に全世帯、全工場にスマートメーターを
導入する、これを目標に掲げております。それが実現すれば、
電力を使用する約八千万の企業や
家庭でスマートメーターによる自動検針が可能になり、三十分単位の
電力使用量に合わせた柔軟な
料金設定などが実現する
可能性があり、
需要家は、
電気を選べる自由を獲得し、大きな
メリットとなります。
昨年九月、経産省により開催されたスマートメーター
制度検討会で、同デバイスの
導入状況が
報告されました。それによると、契約
電力が五百キロワット以上の特別高圧・高圧大口の利用者に対しては、その八割で設置が完了していて自動検針を実施済みですが、一方で、
電力使用量の少ない高圧小口や低圧の利用者には、二%しか設置されていません。
沖縄を除く九
地域で
導入が完了するのは、今から十年はかかり、二〇二三から二六年とされており、
政府の目標である二〇二〇年代の早期からは、若干おくれる状況にあると言われています。
政府が掲げる目標に対して、
電力会社の対応が追いついていないのが現状なのです。
電気の
小売料金の
全面自由化を実現するためには、スマートメーターの早期全面
導入は不可欠です。しかし、現在、この規格、仕様、さらには
導入までさえも主導的に行っているのは、
地域独占状態にある
現行の
電気事業者です。
本来、
電気を売る
電気事業者が、
電気をより多く、高い値段で売ろうとするのは、悲しいかな、当然の道理です。これらの
電気事業者が、
電気を少なく、安く使用することを
目的とするスマートメーターを本気で早期に開発
導入することを期待すること
自体が間違っていると言わざるを得ないのです。
この状態を解決するには、
現行の
地域独占状態の
電気事業者に開発
導入を委ねるのではなく、早期に規格をオープン化して、広く一般の知恵を活用したさまざまなサービスや新たな事業が生み出されることを期待すべきと
考えますが、
茂木大臣、
政府のお
考えについてお聞かせください。
続いて、
電力会社の一般担保つき社債についてお伺いします。
電力会社による社債は、
発電所などの
電力事業の全資産を担保にした、一般担保つき社債と呼ばれ、基本的には、通常の融資や
電力会社が起こした
事故による被害者への賠償金などよりも優先して返済される
仕組みとなっています。
東京
電力は、
平成二十六年一月の新・総合特別事業計画において、一般担保つき社債の取り扱いについては、今後新規に契約される融資に関しては、できるだけ早く一般担保つき社債形式によらないこととすること、一般担保総量が毎年度継続的に減少していく運用とすることという
方針が示されましたが、一般担保つき社債がゼロにならない限り、
新規参入事業者と公正な条件で自由
競争がなされるとは言えません。
現在、企業としての体力が衰える各
電力会社が安定的に
電力供給を行えるための
措置であることには一定の理解が示せたとしても、このように、被害者救済にも優先し、
電力自由化も妨げる
仕組みとして、一体、いつまで、既存の独占的
電気事業者にのみこの一般担保つき社債の起債を認めるつもりなのですか。
茂木大臣、
政府の御見解をお聞かせください。
本
法案の
目的でもある
電力システム改革は、
我が国の
電気事業のあり方を根底から大きく変えるものであり、関連する既得権益化したさまざまな力からの抵抗は、すさまじいものであります。
この力に打ちかち、
我が国の全ての国民が豊かな生活を享受できることを切に願い、私の
質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕