○井上英孝君
日本維新の会の井上英孝でございます。
私は、
日本維新の会を代表し、ただいま
議題となりました
地方自治法の一部を
改正する
法律案について、
安倍総理大臣と
新藤総務大臣に質問をいたします。(
拍手)
本案の国会提出を受けまして、我が党が本部を置く大阪では、大阪都構想を進めるに当たり、大
都市地域特別区
設置法に基づく特別区の
設置を目指すのか、あるいは、今回の
地方自治法改正案による
改革を目指すのか、熱を帯びた
議論がなされているところであります。
いずれにせよ、結党以来、
都市政策を最重要課題の一つとして取り組んでまいりました我が党といたしましては、よりよい仕組みとなりますよう、引き続き力を尽くしてまいる所存であります。
本案により、住民自治の充実と二重
行政の解消について、実際にその
推進が図られるかどうか、非常に重要なポイントであると認識しており、大阪の現状も踏まえながら、
指定都市制度の
見直しを中心に質問をしてまいります。
初めに、
指定都市制度の
見直しについてお伺いいたします。
指定都市制度に係る今回の
見直しは、昭和三十一年の
地方自治法改正により
指定都市が
創設されて以来、約半世紀ぶりの
改正です。今までほとんど手がつけられることのなかった
指定都市制度を見直すこと自体は、大いに評価をいたします。ただ、その
内容については疑問の残るものとなっており、以下の
事項について質問をいたします。
まず、
総合区についてですが、
改正案によると、
指定都市の選択により、これまでの
行政区にかえて
総合区の
設置が可能となり、
総合区の
事務は
条例で定めるとされています。
住民自治の充実の観点から考えれば、住民の生活に直結する
事務については、できる限り住民の近くで行われるべきと考えます。
総合区はどのレベルの
事務を担うことになるのか、また、
条例で定めれば
中核市レベルの
事務を担うことも可能になるのかについて、新藤大臣にお伺いいたします。
また、区の
役割を拡充するためというのであれば、現在の
指定都市の区ではその範囲が狭過ぎるため、場合によっては合区が前提になるのではないかと思いますが、この点について、どのような見解をお持ちであるのか。また、
総合区の規模についても法定すべきではないかと考えますが、この点についても、あわせて新藤大臣の見解をお伺いいたします。
次に、
総合区長についてお伺いいたします。
総合区長は、
事務の執行について
当該指定都市を代表する者とされているにもかかわらず、区域のまちづくりを
推進する
事務など
本案に掲げられた
事務を執行するに当たり、「
法律若しくはこれに基づく政令又は
条例により
市長が執行することとされたものを除く」とされており、実際に
総合区長が執行可能な
事務は限定的になるのではないかと危惧しております。
「
事務の執行について
当該指定都市を代表する」と法定するのであれば、
総合区長の
事務の範囲は、より具体的かつ広範囲に法定すべきであると考えます。
さらに、
総合区長には、当該
総合区の職員の任免権、
市長に対し、
総合区に係る歳入歳出予算についての
意見を述べることができるなど、これまでの
行政区の区長よりも強い権限が与えられることになっていますが、結果的には、
指定都市の規則で定める主要な職員の任免については
市長の同意が必要であることや、
総合区の予算については単に
意見を述べることにとどまることなど、完全な人事権や予算編成権は認められておらず、
都市内分権を進めるには不十分な
内容となっていると考えます。
これら
総合区長への権限移譲に関してどのような認識をお持ちか、新藤大臣の御見解をお伺いいたします。
また、
本案における
総合区長は、特別職であり、一般的な他の職員と異なるとはいえ、役人であることに変わりはありません。
総合区長が
地域の
事務を
総合的に責任を持って担うためにも、
地域の声に耳を傾け、それぞれの
地域の実情に応じたサービスの充実を図るためにも、民主的正当性、つまり、公選制が不可欠であると考えます。
海外の例を見れば、アメリカ・ニューヨーク州マンハッタンなど五つの区も、
自治体ではなく
行政区の位置づけですが、区長は公選されています。フランス・パリの二十の区も、
行政区でありますが、議会を有し、区長は議会から選ばれる仕組みとなっております。
我が国においても、昭和三十一年の政令市
制度の
創設時に廃止されましたが、昭和二十二年の
地方自治法制定と同時に
創設された特別市
制度では、
行政区に公選区長を置くことになっておりました。
我々は、政治主導で真のニア・イズ・ベターを実現するため、完全な人事権や予算編成権を区長に認めるには、公選区長でなければならないと考えます。
総理にお伺いいたします。
本案において区長公選制を選択できる仕組みを導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、
地方制度調査会の第三十次
答申では、「新たな区の位置付けを踏まえ、区を単位とする住民自治の機能を強化すべきである。区単位の議会の活動を
推進するため、市議会内に区選出市議
会議員を構成員とし、一又は複数の区を単位とする常任
委員会を置き、区長の権限に関する
事務の
調査や区に係る議案、請願等の
審査を行うこととすべきである」とされていました。
にもかかわらず、それを踏まえて作成されたはずの
本案には、常任
委員会の必置
規定が置かれていません。
我が党は、本来であれば、
総合区長は公選とし、完全な人事権や予算編成権を付与して、そのチェック機能としての議会を
総合区に
設置すべきであると考えております。
よって、少なくとも
本案においては、区常任
委員会を必置するとすることにより、区において選出された、
地域や住民に密着した議員による民主的統制を図るべきであると考えます。
なぜ、第三十次
答申に沿うことなく、区常任
委員会を必置としないことになってしまったのか、新藤大臣にその理由をお伺いいたします。
次に、
指定都市都道府県調整会議についてお伺いいたします。
我が党は、広域
自治体と
基礎自治体との
役割を明確に分けることにより二重
行政の完全な解消を目指しておりますが、
本案におきましては、二重
行政の解消を
目的として、
指定都市と
都道府県の
協議の場として設けるものであり、これまで
指定都市や道府県が実際に
設置してきた連絡調整の場を法定化するものである点については、一定の評価を与えるべきと考えます。
しかしながら、
本案では、新しい裁定等の仕組みとして、
総務大臣が、
指定都市都道府県勧告調整委員の
意見を求めた上で、必要な
勧告を行うこととなっており、そもそも、日常的に
地域の実情を把握する立場にない
総務大臣の
勧告がどの程度の実効性を持つのか、疑問であります。また、
総務大臣の
勧告に従わなければならないとする法的な拘束力がないため、必ずしも解決につながらないのではないかという懸念も残ります。
さらに、
会議の構成員として、
市長と知事を基本に、議会の
選挙で選出された議会の代表者も加えることができるとされていますが、議会を代表して入るのであれば、調整
会議で決議されたことは、その後の議会審議において一定の拘束力を与える仕組みが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
これらの点についてどのような認識をお持ちであるのか、新藤大臣の御見解をお伺いいたします。
中核市制度と
特例市制度の統合についてお伺いいたします。
本案は、第三十次
答申を踏まえ、
中核市の
指定の要件を
人口三十万人以上から
人口二十万人に引き下げ、
特例市の
規定を削除することとし、現在の
特例市を保健所の
設置を条件に新たな
中核市とし、さらなる
事務の移譲が可能となる仕組みとしています。
この点については評価するところではありますが、第三十次
答申では、「今後、
都道府県から
中核市・
特例市に移譲すべき
事務としては、例えば児童相談所の
事務などが考えられる」としており、保健所や児童相談所の
事務など
都道府県等の
事務を新たに引き継ぐ場合においては、
業務の専門性の維持が大きな課題となっております。
そこで、
特例市から新
中核市への移行がスムーズに進むように、
都道府県や既に
事務を行っている市からの人事交流等の人材支援を積極的に行うことなどの準備が必要になると考えますが、国としてどのように対応していくのか、新藤大臣の御見解をお伺いいたします。
新たな
広域連携制度として
創設することとしている
連携協約制度及び
事務の代替執行
制度についてお伺いいたします。
まず、
連携協約制度は、第三十次
答申による、
地方公共団体間における柔軟な
連携を可能とする仕組みを
制度化したものですが、各
地方公共団体間において、現在既に、産業振興、災害対応などの各分野で、
協定の
締結等による
連携が図られております。それにもかかわらず、今回、あえて
地方自治法上の
制度として導入した理由を、
安倍総理にお伺いいたします。
また、同
制度には、
自治紛争処理委員による
処理方策の提示という、ほかの
制度にはない
紛争解決の仕組みも用意されています。
どのような効果を期待して、
連携協約制度にのみこのような仕組みを設けることにしたのか、また、提示を受けた
地方公共団体は応じる義務が生じるのか、新藤大臣にお伺いいたします。
次に、
事務の代替執行
制度の
創設についてお伺いいたします。
同
制度は、第三十次
答申において、「
地方中枢拠点都市や定住自立圏の中心市等の一定以上の
人口規模のある
都市から相当の距離があるような
地域については、
基礎自治体間の
広域連携だけにより課題を解決することは難しいものと考えられる。今後は、このような
地域において
基礎自治体が
提供すべき
行政サービス等に関して、
都道府県が
地域の実情に応じて補完的な
役割をより柔軟に果たすことも必要である」とされたことを踏まえて、
本案に盛り込まれた
制度であります。
しかしながら、
答申では
都道府県による補完とされていたにもかかわらず、それを踏まえて作成されたはずの
本案には、
事務の代替執行は、
普通地方公共団体が、他の
普通地方公共団体の求めに応じて、他の
普通地方公共団体の名により代替執行を行うとの
規定となっており、
市町村の
事務の
都道府県の補完にとどまらず、
市町村間による代替執行になると考えられます。
法案作成までにどのような検討が行われ、このような
規定が
創設されることとなったのか、新藤大臣にお伺いいたします。
また、
事務の代替執行は、他の
地方公共団体の名によりという部分を除けば、
事務の委託に近いものであり、現行の
事務の共同
処理の延長線上の
制度と考えられますが、期待される
都道府県の補完機能がこれまで以上に機能するか否かについてどのように認識されているのか、新藤大臣にお伺いいたします。
最後に。
都市政策は、
日本の国のあり方を左右する極めて重要なテーマです。
その意味で、約半世紀ぶりに
指定都市制度を見直そうとする姿勢には大いに共鳴いたしますが、大阪都構想を
推進する我が党からすれば、その
内容については、不十分であり、このままでは、現
制度下で既に公募区長制や区への権限移譲というのを進めている大阪の
改革を超えることができないのではないかと考えています。
よりよい
都市政策を生み出していくためにも、与野党の壁を越えて、
日本維新の会の
意見に真摯に耳を傾けていただくことを
総理にお願いして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕