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2014-03-25 第186回国会 衆議院 本会議 第10号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十六年三月二十五日(火曜日)
—————————————
平成
二十六年三月二十五日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
関税定率法
及び
関税暫定措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
国際開発協会
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) 健康・
医療戦略推進法案
(
内閣提出
)及び
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時二分
開議
伊吹文明
1
○
議長
(
伊吹文明
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
あべ俊子
2
○あべ
俊子
君
議案上程
に関する
緊急動議
を
提出
いたします。
内閣提出
、
関税定率法
及び
関税暫定措置法
の一部を
改正
する
法律案
、
国際開発協会
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、右両案を
一括議題
とし、
委員長
の
報告
を求め、その
審議
を進められることを望みます。
伊吹文明
3
○
議長
(
伊吹文明
君) あべ
俊子
君の
動議
に御
異議
はありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊吹文明
4
○
議長
(
伊吹文明
君) 御
異議
なしと認めます。
—————————————
関税定率法
及び
関税暫定措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
国際開発協会
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
伊吹文明
5
○
議長
(
伊吹文明
君) それでは、
関税定率法
及び
関税暫定措置法
の一部を
改正
する
法律案
、
国際開発協会
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、両案を一括して
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。
財務金融委員長林田彪
君。
—————————————
関税定率法
及び
関税暫定措置法
の一部を
改正
する
法律案
及び同
報告書
国際開発協会
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
及び同
報告書
〔
本号末尾
に掲載〕
—————————————
〔
林田彪
君
登壇
〕
林田彪
6
○
林田彪
君 ただいま
議題
となりました両
法律案
につきまして、
財務金融委員会
における
審査
の経過及び結果を御
報告
申し上げます。 まず、
関税定率法
及び
関税暫定措置法
の一部を
改正
する
法律案
は、最近における内外の
経済情勢等
に
対応
するため、
少額輸入貨物
に対する
簡易税率
の
適用対象額
の拡大及び
暫定関税率
の
適用期限
の
延長等
を行うものであります。 次に、
国際開発協会
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
は、
国際開発協会
の第十七次増資に伴い、同
協会
に対し、
政府
は、従来の
出資額
のほか、三千三百四十二億四千百四万円の
範囲
内において追加出資することができることとするものであります。 両案は、去る三月十八日当
委員会
に付託され、十九日
麻生財務大臣
から
提案理由
の
説明
を聴取し、本日、
質疑
を行い、
質疑
を終局いたしました。次いで、順次採決いたしましたところ、両案はいずれも
全会一致
をもって原案のとおり
可決
すべきものと決しました。 なお、両案に対しそれぞれ
附帯決議
が付されたことを申し添えます。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
—————————————
伊吹文明
7
○
議長
(
伊吹文明
君) ただいま
委員長
より
報告
のありました両案を一括して採決いたします。
委員長
の
報告
はいずれも
可決
であります。両案を
委員長報告
のとおり決するに御
異議
はありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊吹文明
8
○
議長
(
伊吹文明
君) 御
異議
なしと認めます。したがって、両案とも
委員長報告
のとおり
可決
をいたしました。
————◇—————
健康・
医療戦略推進法案
(
内閣提出
)及び
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
伊吹文明
9
○
議長
(
伊吹文明
君) この際、
内閣提出
、健康・
医療戦略推進法案
及び
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
国務大臣菅義
偉君。 〔
国務大臣菅義
偉君
登壇
〕
菅義偉
10
○
国務大臣
(
菅義
偉君) ただいま
議題
となりました健康・
医療戦略推進法案
について、その
趣旨
を御
説明
いたします。
国民
が健康な生活及び
長寿
を享受することのできる
社会
、すなわち
健康長寿社会
を
形成
するためには、先端的な
科学技術
や革新的な
医薬品等
を用いた
世界最高水準
の
医療
の
提供
に資する
医療分野
の
研究開発
とその
環境
の
整備
や
成果
の
普及
及び
健康長寿社会
の
形成
に資する新たな
産業活動
の
創出等
を総合的かつ
計画
的に
推進
し、これを通じて
我が国経済
の
成長
を図ることが重要となっております。 この
法律案
は、このような
観点
から、健康・
医療戦略推進本部
を
内閣
に
設置
するとともに、
政府
が健康・
医療戦略
を作成し、これを
推進
する等の
所要
の
措置
を講ずることを
目的
とするものであります。 次に、この
法律案
の
内容
について、その
概要
を御
説明
いたします。 第一に、
世界最高水準
の
医療
の
提供
に資する
医療分野
の
研究開発
とその
環境
の
整備
や
成果
の
普及
のほか、
健康長寿社会
の
形成
に資する新たな
産業活動
の
創出等
について、
基本理念
及び
国等
の責務を定めております。 第二に、
基本的施策
として、
研究開発
の
推進
及び
環境
の
整備
、
研究開発
の公正かつ適正な
実施
の
確保
、
研究開発成果
の
実用化
のための
審査体制
の
整備
、新
産業
の
創出
及び
海外展開
の促進、
教育
の
振興
、人材の
確保等
を
規定
いたしております。 第三に、
政府
は、
基本理念
にのっとり、
基本的施策
を踏まえ、健康・
医療戦略
を定めるものといたしております。 第四に、健康・
医療戦略
の
推進体制
として、
内閣
に健康・
医療戦略推進本部
を
設置
することとし、
内閣総理大臣
を
本部長
とするなど
組織
、
所掌事務等
を
規定
いたしております。 第五に、健康・
医療戦略推進本部
は、
政府
が講ずべき
医療分野
の
研究開発
並びにその
環境
の
整備
及び
成果
の
普及
に関する
施策
の集中的かつ
計画
的な
推進
を図るため、健康・
医療戦略
に即して、
医療分野研究開発推進計画
を作成するものとし、同
計画
は、
独立行政法人日本医療研究開発機構
が中核的な
役割
を担うよう作成するものといたしております。 以上のほか、
所要
の
規定
の
整備
を行うこととしております。 以上が、この
法律案
の
趣旨
でございます。 ただいま
議題
となりました
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
について、その
趣旨
を御
説明
いたします。 この
法律案
は、
医療分野
の
研究開発
における
基礎
から
実用化
までの一貫した
研究開発
を促進するために、健康・
医療戦略推進本部
が作成する
医療分野研究開発推進計画
に基づき、
研究機関
の能力を活用して行う
医療分野
の
研究開発
及びその
環境
の
整備
、
研究機関
における
医療分野
の
研究開発
及びその
環境
の
整備
の
助成等
の
業務
を行う
独立行政法人日本医療研究開発機構
を新たに設立するためのものであります。 次に、この
法律案
の
内容
について、その
概要
を御
説明
いたします。 第一に、本
独立行政法人
の
名称
、
目的
、
業務
の
範囲等
に関する事項を定めております。 第二に、本
独立行政法人
の役員として、
理事長
、
理事
及び
監事
を置くことといたしております。 第三に、本
独立行政法人
の
主務大臣等
について定めるほか、
理事長
及び
監事
の任命、
中期目標
の
策定等
に当たって、健康・
医療戦略推進本部
の
意見
を聞くことといたしております。 以上のほか、
所要
の
規定
の
整備
を行うことといたしております。 以上が、この
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
————◇—————
健康・
医療戦略推進法案
(
内閣提出
)及び
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
伊吹文明
11
○
議長
(
伊吹文明
君) ただいまの
国務大臣
の
趣旨
の
説明
に対し
質疑
の通告がありますので、順次これを許します。まず、
津村啓介
君。 〔
津村啓介
君
登壇
〕
津村啓介
12
○
津村啓介
君 民主党・
無所属クラブ
の
津村啓介
です。 私は、ただいま
議題
となりました健康・
医療戦略推進法案
及び
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
について
質問
をいたします。(
拍手
)
日本
は、
科学技術政策
において、
世界
で最も成功した
国家
の
一つ
であります。とりわけ、戦後の歩みは栄光に満ちています。
天然資源
に恵まれない
我が国
は、戦前から、
教育
と
科学技術
を未来への
投資
と位置づけ、国運をかけ、
官民
を挙げて積極的な
投資
を行ってまいりました。 一九九〇年代初頭、
バブル崩壊
と
冷戦終結
による旧
社会主義諸国
の低
賃金労働者
の
市場参入
により、
日本経済
が
デフレ体質
に大きく変容し、失われた二十年が始まると、早くも一九九五年には、
議員立法
で
科学技術基本法
を
国会
に
提出
、
全会一致
で成立させております。 以後、
政府
は、この
基本法
に基づき、五年に一度
科学技術基本計画
を策定し、
中長期ビジョン
を持って
科学技術政策
を
計画
的に遂行してきました。 二〇〇一年の
省庁再編
においては、
縦割り行政
の
弊害
を打破する
観点
から、
内閣
府に
総合科学技術会議
が
設置
をされ、
科学技術政策
の
司令塔
として、八月の
概算要求
に先立つ、
府省
間の
事前調整機能
も備えた
アクションプラン
を作成し、また、
基本計画
の
PDCAサイクル
の
管理
に当たっております。 二〇一〇
年度
からは、
総合科学技術会議
のイニシアチブのもとで、
科学技術研究費補助金
、いわゆる
科研費
の
基金化
が
実施
され、事実上の
予算
の
複数年度化
によって、
年度
末の無駄な
予算消化
や膨大な書類作成がなくなり、現場の
研究者
にとって、より使い勝手のよい、新しい
科学技術予算
のあり方を実現いたしました。
基金化
により、実質的な可
処分予算
が増加をし、
科学技術コミュニティー
に広く
普及
、定着しました。 そうした
取り組み
の
成果
は、さまざまな面で花開いております。 二十一世紀に入って以降、
ノーベル賞自然科学
三部門の
受賞者
は、
米国
の五十一人が断トツのトップですが、イギリスの十人に続き、
日本
は九人で、第三位であります。以下、フランス六人、ドイツ五人と続きます。また、
論文引用数
や
サイエンス誌
の
年間
十大ニュースなどでも、
日本
は
世界トップクラス
の
成果
を上げております。 毎年のように、
物理学賞
、医学・
生理学賞
、
化学賞
の全ての
分野
で数多くの
ノーベル賞受賞候補者
の名が挙がり、下馬評が取り沙汰される国は、
世界
でも数えるほどしかありません。
科学技術
に関する
世界最大級
の
国際会議
、
STSフォーラム
が毎年
日本
の京都で開催されているのも、
関係者
の御努力に加え、
日本
の
科学技術
に対する
海外
の信頼の大きさを示すものと言えます。
日本
は、今、厳しい
財政制約
を抱え、深刻な
少子高齢化
と
人口減少
に直面し、ともすれば悲観的な将来像を語る人もふえております。しかし、
科学技術
の力で、自国のみならず、
世界
の
課題解決
に大変大きな
貢献
をしていることに、私たちはもっと大きな自信を持ってよいと思います。 こうした
日本
の輝かしい成功は、
二つ
の
要因
によっております。
一つ
は、旧
科学技術
庁、そして現在の
総合科学技術会議
が、さまざまな
課題
を抱えながらも、一元的な
司令塔機能
を発揮してきたことであります。 現在、
山本一太科学技術政策担当大臣
が、さらに
司令塔機能
を
強化
すべく
内閣
府
設置法
の
改正案
を
提出
されていることは、この
観点
から、高く評価されるべきであります。 また、
安倍総理
の指示により、昨年から、
科学技術
、
知財
、
IT
、
海洋
、
宇宙
など、
内閣
府や
内閣官房
に乱立している、
本部
と称する数多くの
会議体
の
連携
を深め、
司令塔連携
・
調整会議
の開催により、
運用面
でも
司令塔機能
の
一元化
に努めておられることは、画期的なことであります。
二つ目
の
要因
は、
官民
を挙げての
巨額
の
研究開発投資
です。
政府
の
科学技術予算
は、過去十年の平均で
年間
約四・三兆円。
防衛費
約四・七兆円、
公共事業費
約五・七兆円に迫る
規模
であります。 一九九五年の
基本法成立
以降、失われた二十年と言われる
日本経済
の困難な
環境
の中で、少しずつではありますが、
科学技術予算
だけは一貫して増額を続けてきたことも、特筆すべきです。
歴代政権
の英断であります。 こうした
日本
の
科学技術政策
の輝かしい歴史とその特徴を踏まえつつ、以下、本
法案
について、
三つ
の
論点
を指摘いたします。
一つ目
の
ポイント
は、
総合科学技術会議
との
機能重複
の問題です。 一方で
内閣
府
設置法
の
改正
を行い、
総合科学技術会議
の
司令塔機能
を
強化
しようとしているにもかかわらず、
科学技術政策
の
一大分野
である健康・
医療分野
を別途このように切り出し、新しい
会議体
をつくるのは、いかにもちぐはぐではありませんか。 私は、昨年十一月二十一日、当衆議院本
会議
において、
国家戦略特区法案
の
賛成討論
を行い、この壇上から、
安倍総理
、頑張ってください、
成長戦略
をもっと進めてくださいとエールを送らせていただきました。また、
安倍内閣
の
政務
三役の皆さんがより強く
指導力
を発揮していただくために、
内閣官房
、
内閣
府の
機能見直し
、とりわけ
マネジメント
上の
工夫
を御提案いたしました。 具体的には、この四月から供用開始される合同庁舎八号館と本
府庁舎
を活用し、現在五、六カ所に
建物
が分散をしている
科学技術
、
IT
、
知財
、
海洋
、
宇宙
など
イノベーション政策
の
関連部局
を、物理的に
一つ
の
建物
に集約し、統合的な
運用
を進めること、そして
政務
三役が定例的に
会議
を持つことです。 兼務の多い
山本大臣
や
西村康稔内閣府副大臣
とは、
内閣委員会
でも、さらに敷衍して、具体的な
議論
をさせていただきました。最近では、自民党内でも、
内閣
府の
機能見直し
に向けて
議論
がスタートしたと仄聞しております。 ぜひ御注意いただきたいのは、
縦割り行政
の
弊害
をなくすという
橋本行革
の
理念
は間違っていない、
横串官庁
としての
内閣
府及び
内閣官房
の
役割
は他の
官庁
には担えないということであります。 単なる
スリム化
で
縦割り
に戻すのではなく、よりよい
マネジメント
と効果的な統廃合によって、
内閣
府の本来の意味での
機能強化
、
縦割り打破
を着実に進めていかなければなりません。その上で、
総合科学技術会議
に
屋上屋
を重ねる今回の新しい
会議体
が本当に必要不可欠なものなのか、きちんと
議論
をすべきであります。
菅長官
、本
法案
第一条が掲げる、
世界最高水準
の
医療
の
提供
に資する
研究開発等
により、
健康長寿社会
の
形成
に資するとの
目的
は、崇高であり、すばらしいものです。しかし、なぜ、この
司令塔
が
総合科学技術会議
ではだめなのか、せっかく一方で
一元化
しようとしている
司令塔
をなぜまた分割し、多元化されるのか、お答えください。 また、なぜ、本
法案
を
所掌
するのが、
科学技術政策
及び
知財
、
IT
、
宇宙
、
海洋
など
イノベーション関連政策全般
を現に
担当
され、大きな
成果
を上げられている
山本大臣
ではなく、ただでさえ御多忙な
菅長官
なのか、お伺いいたします。
山本大臣
にも
お尋ね
します。 なぜ、
山本大臣
は、この
法案
の御
担当
に手を挙げられなかったのでしょうか。
大臣肝いり
の
司令塔連携
・
調整会議
には、この新
組織
も参加させますか。
司令塔機能
の
強化
及び
一元化
にかける
大臣
の意気込みを確認させてください。
二つ目
の
ポイント
は、
予算
です。
法案
では、
内閣総理大臣
を
本部長
とする健康・
医療戦略推進本部
において、
推進計画
を決定し、省庁横断的な
総合調整
を行った上で、新たに
創設
される
独法
に
財源
を
措置
するとなっています。 その額は、
文部科学
、
厚生労働
、
経済産業各省
から千二百億円を集約すると聞いておりますが、
三省
からの
財源措置
を
各省縦割り
でなく
一体
的に
運用
するためにどのような
工夫
をされるのか、
総合調整
とは何を指すのか、
総合科学技術会議
が現に行っている
アクションプラン
との
関係
を含め、何が新しいのか、具体的にお聞かせください。 また、
ライフイノベーション
の一翼を担う農林水産省がコミットしていないのも不思議です。
林大臣
に経緯と
所見
をお伺いいたします。
成長戦略
が
玉不足
、
岩盤規制
にドリルの刃が立たないので、実際には、新鮮味の乏しい新たな
会議体
と
独法
を新設し、
組織いじり
で
成長戦略
のメニューを
一つ
ふやしたことにしようとする
政権
の
アリバイづくり
の思惑に
産業界
や
経済産業省
が一枚かんだだけだと酷評する向きもあります。 新しい
組織
が
出口志向
に偏り、
基礎科学
の
予算削減
につながることはないか、
菅長官
の御
見解
をお聞かせください。
三つ目
の
論点
は、
本家
である
米国NIH
との大き過ぎる違いであります。
安倍総理
は、一月の
施政方針演説
で、
日本版NIH
を
創設
します、
医療分野
の
研究開発
の
司令塔
ですと明言されました。 しかし、今回の新しい
独法
は、
予算規模
が二十分の一以下であることや、陣容の薄さ、
機能
の少なさなど、どこを見ても
米国
の
NIH
とは桁違いであり、
日本版NIH
の名はふさわしくありません。最近では、
政府
の
法案説明資料
からも
NIH
の文字が消えたように思いますが、
日本版NIH
の
創設
は諦めたのでしょうか。お伺いいたします。 最後に、私から、新しい
組織
の果たすべき
機能
として、二点提案させていただきます。
一つ
は、
本家
の
NIH
が有する
情報公開
と
情報共有
、
リスクアセスメント
の
体制
を
日本
でも
整備
すべきという点です。
巨額
の
研究開発投資
を続けていくためには、
国民
による
理解
とチェックが必要です。これら
科学技術コミュニケーション
を新しい
独法
が担うべきとの
考え方
について、
菅長官
の御
見解
を伺います。
二つ目
は、
健康長寿社会
の実現に際し、多様な生き方が認められる
社会
を築くことの
重要性
です。 例えば、今、与野党で
議論
が活発になりつつある
尊厳死
の問題について、
政府
のコミットが見えません。いかがお
考え
ですか。 その他、
先端医療技術
に関する法的、倫理的、
社会
的な
課題
について対話の
仕組み
をつくることが必要と
考え
ます。御
所見
をお聞かせください。
科学技術政策
は、超党派で取り組むべきテーマです。輝かしい
日本
の
科学技術
を将来にわたる
日本国民
の財産として守り、
強化
し、
世界
と人類への
貢献
を続けていくことは、
我が国日本
の誇りであります。 本
法案
の
審議
をきっかけとした、本
会議
及び
委員会
での有意義な
議論
により、
日本
の
科学技術政策
にまた
一つ
新しい希望が加わることを期待して、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣菅義
偉君
登壇
〕
菅義偉
13
○
国務大臣
(
菅義
偉君)
司令塔
としての
総合科学技術会議
との
関係
について
お尋ね
がありました。
世界
に先駆けて超
高齢化社会
を迎える
我が国
にとって、
医療分野
の
研究開発
を
戦略
的に
推進
することは、極めて重要な
課題
であります。その一層の
充実強化
を図る必要があるというふうに
考え
ております。 このため、特に健康・
医療分野
について、
内閣
に
司令塔
となる健康・
医療戦略推進本部
を新たに
設置
するとともに、同
本部
の
戦略
に基づいて、
基礎
から
実用化
までの
切れ目
のない
研究管理
・
支援
の実務を担う
独立行政法人日本医療研究開発機構
を設立することによって、
本部
と
機構
とが
一体
となって、
医療分野
の
研究開発
を
戦略
的に
推進
することといたしました。 いずれにしても、健康・
医療戦略推進本部
と
総合科学技術会議
が
相互
に密接に
連携協力
を図りつつ、
科学技術
・
イノベーション政策
の
推進
に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。 本
法案
の
所掌
が私である
理由
について
お尋ね
がありました。
医療分野
の新たな
研究開発
や
医療
の
国際展開等
を
推進
するための
体制
の
構築
は、
文部科学省
、
厚生労働省
、そして
経済産業省
など
各省
にまたがっており、これら
関係
府省
が
一体
となって
戦略
的に取り組む必要があることから、
内閣
の
調整役
を担う
内閣官房
を統括する立場であります私みずからが
担当
することとしたものであります。 引き続き、
府省横断
型の強力な
実施体制
の
構築
に向けて取り組んでまいります。
三省
から成る
財源措置
を
各省縦割り
でなく
一体
的に
運用
するための
工夫
について
お尋ね
がありました。
総合科学技術会議
は、
科学技術
・
イノベーション政策全般
に係る
基本
的な
方針
を定めることとしており、その
方針
とも
整合性
を図りながら、健康・
医療戦略推進本部
は、
医療分野
の
研究開発
に関して
医療分野研究開発推進計画
を作成し、これにのっとって、
本部
が総合的な
予算
の
要求配分調整
を
実施
することで、
各省
間の
施策
の統一、
連携
を図ることといたしております。 具体的には、
本部
がまとめた
方針
に基づいて
各省
が
医療分野
の
研究開発関連予算
の
要求
を行うなど、
予算要求
の
段階
から、
関係各省
と具体的な
内容
について
調整
をして、
一体
的な
予算要求
を行うことといたしております。 あわせて、こうした
予算
を
日本医療研究開発機構
に
基本
的に集約をして、
基礎
から
実用化
までの
切れ目
のない
支援
を行うなど、
本部
と
機構
が
一体
となって、
医療分野
の
研究開発
を
戦略
的、総合的に
推進
してまいります。
基礎科学
の
予算削減
につながることがないか、
政府
の
考え
について
お尋ね
がありました。 今般、
機構
に集約するのは、国がトップダウンで
戦略
的に行う、
医療分野
の
研究開発
に係る
予算
であります。 一方、将来における学術的な新知見や
イノベーション
の芽を絶え間なく育んでいくためには、
研究者
の自由な発想に基づくボトムアップ型の
基礎研究
も重要と承知しております。
文部科学省
の
科学研究費助成事業
についても、必要な
予算
の
確保
を図っているところであります。 新たに
創設
する
医療分野
の
研究開発体制
の
名称
の
政府
の
考え方
について
お尋ね
がありました。 今般御
審議
をお願いしている二
法案
の
閣議決定
により、健康・
医療戦略推進本部
と
日本医療研究開発機構
という
名称
を定めたため、
日本版NIH
という呼称は用いなくなったのであります。
日本版NIH
の
創設
は諦めたのかという
お尋ね
でありましたが、私が取りまとめた骨子に基づいて、昨年の六月に
閣議決定
をした
日本再興戦略
に
医療分野
の
研究開発
の
司令塔機能
の
創設
について定め、その
内容
を着実にこの二
法案
に盛り込んで今
国会
に
提出
をしているものでありますので、当初の構想と変わるものではありません。 いわゆる
科学技術コミュニケーション
について
お尋ね
がありました。 健康・
医療戦略推進法
では、第十五条において、
基本施策
として、
教育
の
振興等
を
規定
しており、その中では、国は、
国民
の
理解
と
関心
を深めるべく、
教育
及び学習の
振興
、
広報活動
の
充実
などの
必要施策
を講ずるものといたしております。 これを踏まえて、新たに
設置
される
独立行政法人日本医療研究開発機構
においても、その
業務
の
実施
に当たり、
国民
の
理解
と
関心
を深めるために、
広報活動
の
展開等
の
具体的取り組み
について、必要な
対応
を図っていきたいと
考え
ております。
先端医療技術
に関する
課題
への
対応
の
仕組み
について
お尋ね
がありました。
先端医療技術
に関する倫理的、
社会的課題
については、これまでも
政府
として、
国民
の
理解
を得ながら、個別の
課題
に応じて、必要な
施策
を講じてきました。 今後も、
先端医療技術
の
推進
に際しては、必要に応じて
国民
への
情報提供
や
公開
の場での
議論等
を経て
対応
するとともに、
日本医療研究開発機構
においても、
関係各省
と
連携
をして、
国民
の
理解
を得ながら
研究
を
推進
してまいりたいと
考え
ております。 また、
尊厳死
の問題に関しては、人生の
最終段階
では
患者本人
の
意思決定
を
基本
とした
医療
が重要であると
考え
ております。
国民
からの
意見
や
検討会
の
議論
を踏まえて、
終末期医療
の
決定プロセス
に関するガイドラインを策定し、その
普及
に努めているところであります。 以上です。(
拍手
) 〔
国務大臣山本一太
君
登壇
〕
山本一太
14
○
国務大臣
(
山本一太
君)
津村議員
から、
総合科学技術会議
の
司令塔機能強化等
についての
お尋ね
がありました。
我が国
の
科学技術
・
イノベーション政策
の
司令塔
である
総合科学技術会議
の
機能強化
のため、
府省横断
型の
研究開発等
を
推進
する
戦略的イノベーション創造プログラム
(SIP)に係る
予算
を初めて
内閣
府に計上するとともに、同
プログラム
を
実施
するため、
内閣
府
設置法
の一部
改正法案
を今
国会
に
提出
しているところでございます。 また、昨年来、私のもとで、所管する各
司令塔
を集め、
相互
の
連携調整
を
推進
するための
会議
を開催しており、
内閣官房
健康・
医療戦略室
は、オブザーバーとして参加をいただいております。 今後とも、
司令塔
間の
連携強化
に努めてまいります。 なお、本
法案
については、
内閣官房長官
のもとで
検討
が行われてきており、
総合科学技術会議
を
担当
する私としては、必要な
連携
と
協力
に努めてきたところでございます。
津村議員
の御激励を受けまして、
連携強化
についてはしっかりと今後とも頑張ってまいりたいと
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣
林芳正君
登壇
〕
林芳正
15
○
国務大臣
(林芳正君)
津村議員
の御
質問
にお答えいたします。 健康・
医療戦略推進本部
への参加についての
お尋ね
がありました。
独立行政法人日本医療研究開発機構
におきましては、
医療分野
の
研究開発
、その
環境
整備
などを行うこととしていると承知しており、農林水産省は、この
機構
に対して
予算
措置
等は講じておりません。 一方、
医療
面だけでなく、食にかかわる健康
分野
を扱う健康・
医療戦略推進本部
については、私自身も、昨年八月に同
本部
が
設置
されて以降、全ての会合に参画をしているところでございます。 農林水産省では、
総合科学技術会議
が進める
戦略的イノベーション創造プログラム
に参画しまして、食品の持つ
機能
性の解明に関する
研究
などに取り組んでいるところであり、農業や食品
産業
など、食の
観点
から、
本部
における
推進計画
の策定に積極的に関与していきたいと
考え
ております。(
拍手
)
—————————————
伊吹文明
16
○
議長
(
伊吹文明
君) 次の
質疑
者、浦野靖人君。 〔浦野靖人君
登壇
〕
浦野靖人
17
○浦野靖人君
日本
維新の会の浦野靖人です。
日本
維新の会を代表し、ただいま
議題
となりました健康・
医療戦略推進法案
、
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
について
質問
をいたします。(
拍手
) 一昨年、京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞に関してノーベル生理学・医学賞を受賞いたしました。この偉大な
研究
成果
は、
我が国
発の革新的な技術として、今後の臨床
研究
等を通じ、病気で苦しむ患者の新たな治療法や新薬の開発につながることが大いに期待されています。
安倍総理
は、ことしの一月二十四日の
施政方針演説
で、
日本版NIH
を
創設
します、
医療分野
の
研究開発
の
司令塔
です、難病など不治の病に対し、
官民
一体
で
基礎研究
から
実用化
まで一貫して
取り組み
、革新的な治療法、医薬品、
医療
機器を
世界
に先駆けて生み出してまいりますと発言されました。iPS細胞に続き、
我が国
発の革新的な技術の
創出
に向けた積極的な
取り組み
姿勢がうかがえます。 両
法律案
は、この発言を具現化するものとして、また、昨年六月に策定した健康・
医療戦略
の
目的
に即した
医療分野
の
研究開発
を促進することで
健康長寿社会
と経済
成長
の実現を図るものとして
国会
に
提出
されたと受けとめております。
日本
維新の会といたしましても、そのような
基本
的な方向性は高く評価できるものと
考え
ております。 ただ、このような目標の達成に向けた
政府
の
取り組み
は、果たして十分と言えるのか、懸念を抱く声も聞かれるところであります。 以下、そのような
観点
からお伺いします。
我が国
においては、欧米主要国に比べて、医薬品、
医療
機器等の
研究開発
がなかなか進まない状況があります。これは、リスクを避ける風土が土台にあることに加えて、臨床
研究
や治験
実施体制
の
整備
のおくれ、薬事承認
審査体制
のおくれなどに起因すると言われております。さらに、
研究開発
の拠点が分散しているため、
研究開発
の
戦略
の共有や資源の集約ができていないことも
課題
とされています。 このような
課題
を克服するには、
司令塔
的
役割
を担う機関の
創設
、
研究開発
拠点の
整備
が必要であると
考え
ます。 今回、
日本医療研究開発機構
が
創設
されることにより、
研究開発
の拠点
整備
はどのように進み、医薬品、
医療
機器等の国際競争力はどのように
強化
されるのか、オール・ジャパンとしての
取り組み
にかける
政府
の
考え
を改めてお聞かせください。 また、このような
取り組み
により生み出された
研究
の
成果
を早期に
実用化
に結びつけていくことが必要であると
考え
ております。 昨年の臨時
国会
で薬事法等の一部を
改正
する
法律
が成立し、医薬品、
医療
機器等の安全かつ迅速な
提供
の
確保
を図るための
所要
の
措置
が講じられました。これにより、薬事承認
審査
に係る期間の短縮が図られると期待されています。 しかし、いまだ解決すべき
課題
は残されております。 欧米の主要国では、創薬、
医療
機器開発等の
基礎研究
を
実用化
していく
段階
で、ベンチャー企業が大きな
役割
を果たしています。これに対し、
我が国
においては、リスクマネーの供給や人材の不足を初め、ベンチャー企業の育つ
環境
は十分でないと指摘されています。
研究
成果
の
実用化
の鍵となるベンチャー企業の
支援
、育成等に対する
政府
の
基本
認識と具体的な
取り組み
について、お聞かせください。
政府
レベルで
研究開発
の拠点
整備
や
環境
整備
を進め、
研究開発
にすぐれた企業等を誘致する国際間の競争が激化しています。
我が国
においても、能力の高い企業や
研究者
の流出を防ぎながら、共同
研究
等により、
海外
のすぐれた知識を
戦略
的かつ積極的に取り入れていく必要があります。そのような
取り組み
とともに、国内企業がおくれをとっている原因を分析し、
研究開発
能力を高めていくことは、必要不可欠であります。 今後の
研究開発
拠点の
整備
では、
我が国
の
産業
構造を踏まえ、高度な物づくり技術を有する国内の中小企業等が率先して参入するような
措置
を講じていくべきと
考え
ますが、
政府
の
見解
をお伺いいたします。
医療分野
の
研究
費については、これまで、
文部科学
、
厚生労働
、経済
産業
などの
各省
に分散されていました。今回、
各省
に計上されていた
医療分野
の
研究開発関連予算
を
一元化
するとともに、
司令塔機能
の発揮に必要な
予算
を
確保
し、
戦略
的、重点的な
予算
配分を行うこととしております。 このような、省庁の
縦割り
の
弊害
を排し、一括して
管理
することによって効率的に
研究
費を配分することは、高く評価いたします。 他方で、
医療分野
の
研究開発関連予算
を一括して
管理
し、個別の
研究
テーマの選定、
研究
の進捗
管理
、事後評価などの
業務
を行う
日本医療研究開発機構
は、大変大きな影響力を持つこととなります。 言うまでもなく、
医療
は、
国民
の生命と健康に深くかかわる
分野
であります。その
範囲
は、主要な疾患別の領域から見ても、がん、難病、認知症、感染症、生活習慣病、精神疾患など、広
範囲
にわたります。また、医薬品、
医療
機器等に関連する
分野
は多数に及びます。 このような特徴のある
医療分野
では、
研究
費の配分、すなわち
研究
の領域やテーマの選定が、将来の患者の治療や生活に影響を与える可能性は大であります。今後、大きな影響力を持つこととなる
日本医療研究開発機構
において、
研究
テーマの選定等に当たっては、これまで以上に公平性、公正性が
確保
されなければなりません。
研究
テーマ等は誰がどのように決めるのか、公平性、公正性を
確保
するための
体制
、手続等はどうなっているのか、お伺いをいたします。 また、
研究
費の効率的、重点的な配分等を目指す余り、
実用化
に近い
研究
ばかりに目を奪われ、
基礎研究
がおろそかになるのではないかとの懸念も聞かれます。
基礎研究
分野
の
研究
費を減らすことはないのか、
基礎研究
の
重要性
をどのように認識しているのか、改めて
政府
の
見解
をお伺いいたします。
日本医療研究開発機構
の対象経費、すなわち、
機構
が所管する
研究
費の総額は、
平成
二十六
年度
予算
で一千二百億円に上ると承知しています。厳しい財政状況の中で、前
年度
と比較すると約二割増しになっていることは、評価いたします。 確かに、
予算
をふやすことが直ちに
研究開発
の
成果
につながるものではありません。しかし、
研究開発
に係る
予算
をしっかり
確保
していくことは、
研究者
の開発意欲を引き上げるばかりではなく、国としての
施策
への
取り組み
姿勢を内外に示すことにつながります。継続的な
予算
の
確保
に向けた
政府
の
考え
をお聞かせください。
医療分野
の
研究開発
の能力を高めていくには、
研究者
の育成も欠かせない事柄です。最先端の
医療
技術を担う人材の育成、独創的ですぐれた
研究者
の養成等について、
政府
の
取り組み
状況をお伺いいたします。 また、すぐれた
研究者
ほど他の
研究機関
に引き抜かれるということが想定されます。 近年、
政府
レベルで
研究開発
に係る
環境
整備
を進める国がふえ、競争が激化してきています。優秀な
研究者
ほど
海外
からの引き合いも多いと聞きます。優秀な
研究者
の国外への流出そのものも問題ですが、
研究
費の取り扱いや知的財産の帰属の問題も生じます。 そのような
研究者
の流動化の問題に対する
政府
の
取り組み
をお聞かせ願います。
医療分野
の
研究開発
力を高めていくには、効率的、効果的に情報の収集、分析、活用を行うことが必要不可欠です。 しかし、
我が国
において、
医療
情報の収集、蓄積は図られてきているものの、これらに関する情報を開示し、共有し、活用する状況にはほど遠い状況にあるのではないかとの指摘もなされています。他方で、遺伝子を含む
医療
情報の活用に当たっては、収集方法やセキュリティーに問題があるとの
意見
も聞かれます。
研究
目的
での
医療
情報の第三者
提供
に関して、
政府
の現状認識、今後の
取り組み
方針
についてお伺いをいたします。
医療分野
の
研究開発
が進み、最先端の
医療
技術等が実際の
医療
の現場で使用され、
世界最高水準
の
医療
を
国民
が受けられるようになることが期待されています。 しかし、最先端の
医療
技術や高価な医薬品を全ての
国民
が同じように受けられるようになれば、現在の
医療
保険制度の枠組みの中では、負担の限界を超えてしまうおそれがあります。
日本
維新の会は、真の弱者を徹底的に
支援
することを
社会
保障の
基本
としております。そして、
医療
保険について、現行の公的保険の
範囲
を見直し、混合診療の完全解禁を訴えてきました。 今回の
医療分野
の
研究開発
の促進にあわせ、最先端の
医療
技術等の保険適用の
仕組み
を見直す必要があると
考え
ますが、
政府
の
見解
をお伺いいたします。
研究
費の不正使用や
研究
上の不正行為が少なからず発生しています。
研究
にかかわる不正事案は、
我が国
の
研究
に対する信頼を揺るがし、
科学技術
の進歩を大きく阻害するものと
考え
ます。
研究機関
における不正防止のための
管理
体制
の
構築
が必要と思いますが、
政府
の
取り組み
状況についてお伺いいたします。 また、ノバルティスファーマ株式会社が販売する降圧剤バルサルタンに係る臨床
研究
について、不正が疑われる事案が問題となりました。
政府
においては、再発防止に向けた
検討
を行っていると承知をしております。 新聞報道では、
日本
学術
会議
の分科会において、
研究
不正の監視や防止をする
機能
を
日本医療研究開発機構
に持たせるよう求めることを含めた提言をまとめたとしています。また、大
規模
な臨床試験では、
官民
でプールした資金をもとに、
研究者
を公募、
審査
する公的制度を確立すべきと明記したと報じられています。 これらも踏まえ、
政府
としての再発防止策の
検討
状況、臨床
研究
に対する信頼回復に向けた
取り組み
内容
等についてお伺いをいたします。 今回、
独立行政法人日本医療研究開発機構
を新たに
創設
することとしております。 一方で、
安倍内閣
は、
独立行政法人
改革に取り組む
方針
を示しています。新たに
独立行政法人
を
創設
することに対しては、
厚生労働省
所管の
二つ
の
独立行政法人
を統合することで、法人の数をふやさないと
説明
をしています。この点については、単なる数合わせと批判されても仕方がないのではないかと思われます。 新たに
独立行政法人
を
創設
するのであれば、その必然性をしっかり明示すべきと
考え
ます。単なる数合わせとならない
独立行政法人
改革に挑む
政府
の
考え
を、改めて確認させてください。 今回の両
法律案
が、
健康長寿社会
と経済
成長
の実現を図るものとなることを期待しながら、
関係
する省庁が複数にまたがることから、
委員会
で幅広く
充実
した
審査
を
確保
することを含め、しっかりと検証していくことが必要であることを申し上げ、私の
質問
を終わります。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣
田村憲久君
登壇
〕
田村憲久
18
○
国務大臣
(田村憲久君) 浦野議員から、三問御
質問
をいただきました。 まず、
研究
目的
での
医療
情報の活用等についての
お尋ね
がございました。
医療分野
の情報の取り扱いについては、個人情報保護法や各種指針等に定めているように、第三者
提供
を行う場合には、原則として
患者本人
の同意を得ることとするなど、個人情報の保護に十分留意する必要があるというふうに
考え
ております。 一方で、
研究開発
の促進のために
医療
情報の利活用を
推進
していくことも重要だと
考え
ており、今後とも、必要なルールの
整備
を行うなど、
関係
省庁と密に
連携
を図りつつ、
医療分野
の情報化に取り組んでまいります。 次に、最先端の
医療
技術に対する保険適用についての
お尋ね
がございました。
我が国
の
医療
保険制度においては、必要かつ適切な
医療
は
基本
的に保険診療で
確保
するという
国民
皆保険の
理念
を
基本
として、安全性、有効性等が確認された
医療
を保険適用しております。 その上で、現在、保険が適用されていないものの、将来的な保険収載を目指す高度な
医療
等については、安全性、有効性を確認する一定のルールのもとで、保険外併用療養費制度として、保険診療との併用を認めております。
厚生労働省
といたしましては、
国民
皆保険を守るため、いわゆる混合診療を全面的に解禁すべきでないと
考え
ております。 また、費用のかかる高度な
医療
技術が増加することによる
医療
保険財政への影響等に関しては、新しい
医療
技術の費用対効果の評価のあり方について、現在、中央
社会
保険
医療
協議会において
議論
を行っているところでございます。 次に、臨床
研究
に係る再発防止策の
検討
状況や、信頼回復に向けた
取り組み
についての
お尋ね
がございました。
厚生労働省
においては、ノバルティスファーマ株式会社が販売する高血圧症治療薬に関する臨床
研究
事案を受け、昨年八月に
検討会
を立ち上げ、再発防止策や信頼回復について
議論
し、十月に中間取りまとめを行いました。 現在、この中間取りまとめを踏まえ、臨床
研究
に関する倫理指針の見直しを行っており、この中で、倫理
審査
委員会
の
機能強化
や、データ改ざん防止
体制
の
構築
など、
研究
の質の
確保
の
観点
からも
検討
を行っております。 また、中間取りまとめの中で、臨床
研究
の信頼回復のための法制度の必要性についても
検討
するよう指摘があったことから、
海外
での規制状況なども十分に調査した上で、本年秋を目途に
検討
を行うべく、
検討会
の立ち上げに向けた準備を進めております。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣菅義
偉君
登壇
〕
菅義偉
19
○
国務大臣
(
菅義
偉君)
医療分野
の
研究開発
に関する
政府
の
取り組み
について
お尋ね
がありました。
国民
が健康な生活及び
長寿
を享受することのできる
社会
を
形成
するためには、
医療分野
の
研究開発
を
戦略
的に
推進
し、
世界最高水準
の
医療
を実現するとともに、健康、
医療
に係る
産業
を育成していくことが極めて重要であると
考え
ています。 このため、総理を
本部長
とする健康・
医療戦略推進本部
のもとに、
日本医療研究開発機構
が、すぐれた実績を有する
我が国
の大学、
研究機関
等で行う
研究開発
に対し、
基礎
から
実用化
まで
切れ目
のない
支援
を行うこととしており、これによって、革新的な医薬品が
世界
に先駆けて
実用化
をされて、
我が国
の
医療
関連
産業
の国際競争力の向上に寄与するものと
考え
ております。
日本医療研究開発機構
における
研究
テーマの選定に係る
体制
、手続等について
お尋ね
がありました。 がんや難病など、どの
研究
領域に重点的に配分を行うか等の資源配分の
基本
的な
方針
については、
内閣
に置かれる健康・
医療戦略推進本部
が有識者の
意見
も聞きながら決定するものとされております。 その
方針
を踏まえて、個別の
研究
費については、
日本医療研究開発機構
において、
本部
が作成する
医療分野研究開発推進計画
に基づいて、同
機構
に置かれる
研究
マネジメント
に秀でた
プログラム
ディレクターのもとで、専門家の評価も得ながら、具体の
研究
テーマ等を決定し、配分していく
考え
であります。 継続的な
医療分野
の
研究開発関連予算
の
確保
に向けた
政府
の
考え
について
お尋ね
がありました。
平成
二十六
年度
予算
において、
機構
への集約対象となる
予算
として、御指摘の約一千二百億円のほかに、
医療分野
の
研究開発
関連の
調整
費百七十五億円を加え、対前
年度
比約四割増の約一千四百億円を
確保
するなど、
施策
の
充実強化
に努めてまいります。 今後とも、
医療分野
の
研究開発
を着実に
推進
するために、引き続き、必要な
予算
の
確保
に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 最先端の
医療
技術を担う人材の育成や、独創的ですぐれた
研究者
の養成等について
お尋ね
がありました。
医療分野
の
研究開発
力を高めるために、大学の医学部、大学院を一貫した
研究
医の育成や、多
分野
連携
、産学
連携
によるメディカル
イノベーション
推進
人材育成に取り組む大学への
支援
を行っているところであります。こうした
取り組み
を通じて、引き続き、
医療分野
の人材育成に積極的に取り組んでまいります。
研究者
の流動化の問題について、
政府
の
取り組み
について
お尋ね
がありました。
世界
的にすぐれた人材の獲得競争が激化する中、第一線級の
研究者
の多くは国や機関を超えた移動が常識となっており、
我が国
としても、独創的な
研究
成果
を生み出す、
世界
第一級の人材の
確保
に努めることが重要であると
考え
ています。
政府
として、
安倍総理
が施政
方針
の中で掲げるように、
我が国
を
世界
で最も
イノベーション
に適した国とするために、
イノベーション
創出
の基盤となる人材育成や
基礎研究
の
推進
、新たな
研究開発
法人制度の
創設
による
研究者
の処遇改善など
世界
最高の
研究
環境
の
整備
、国際的な頭脳循環ネットワークを
形成
するための優秀な外国人
研究者
の受け入れ促進等によって、
世界
じゅうから超一流の
研究者
を獲得するための
取り組み
に、しっかりと
対応
してまいります。
独立行政法人
改革について
お尋ね
がありました。
我が国
が
医療分野
の
研究開発
を
戦略
的に
推進
していくためには、専門的知見を有する
組織
により、大学、
研究機関
に対して、
基礎
から
実用化
まで
切れ目
のない
支援
を
一体
的に行う必要があり、そのため、
医療分野
の
研究開発
に特化した
独立行政法人
を新たに設立し、質の高い
支援
体制
を
構築
するものとしております。
独立行政法人
改革は、制度本来の
趣旨
にのっとって、政策
実施
機能
の向上と官の
スリム化
を図るために、制度と
組織
の両面にわたり抜本的な見直しを行うこととしており、今
国会
に関連の
法案
を
提出
することといたしております。 この改革による
組織
の見直しについては、単なる数合わせではなくて、真に法人の政策
実施
機能
の
強化
に資する統廃合等を
実施
することといたしております。 医薬基盤
研究
所と国立健康・栄養
研究
所の統合も、両法人が有する医薬品と食品、栄養に関する専門性の融合が図られ、生活習慣病
分野
の
研究
の促進が期待できることから、
実施
をすることといたしております。 以上です。(
拍手
) 〔
国務大臣
茂木敏充君
登壇
〕
茂木敏充
20
○
国務大臣
(茂木敏充君) 浦野議員にお答えをいたします。 私には、二問です。 最初に、医薬品、
医療
機器の
研究開発成果
の
実用化
を担うベンチャー企業の
支援
、育成についてでありますが、
医薬品等
の
研究開発
において、
基礎研究
から
実用化
に至るまでには、
研究開発成果
が効率的に事業化につながらない、いわゆる死の谷が存在すると言われております。これに対し、
米国
等では、ベンチャー企業が
基礎研究
を
実用化
につなぐ重要な
役割
を果たしていることは、議員御指摘のとおりであります。 これに対し、
我が国
では、ベンチャー企業に対する資金供給が十分ではなく、結果として、ベンチャー企業がリスクの高い
研究開発
に積極的に取り組めていないのが現状であります。 このため、これまでも
産業
革新
機構
や中小企業基盤
整備
機構
を通じてリスクマネー供給を行ってきたところでありますが、さらに、医薬品や
医療
機器を含めた健康・
医療分野
における資金面での
支援
を
強化
する
観点
から、二十五
年度
の補正
予算
において、
産業
革新
機構
及び中小企業基盤
整備
機構
に対して、それぞれ、二百億円、十億円の、追加的な出資を手当てしたところであります。 これらの
措置
を通じて、医薬品や
医療
機器等の
分野
におけるベンチャー企業への資金供給を促し、
研究
成果
の
実用化
を実現してまいります。 次に、高度な物づくり技術を有する中小企業等の活用についてでありますが、議員御指摘のとおり、
医療分野
の
研究開発
に、高度な物づくり技術を持つ
我が国
中小企業、小
規模
事業者の力を活用することは、極めて重要であります。 この
観点
から、
経済産業省
では、
平成
二十
年度
から三
年間
、全国三十カ所の産学
連携
の
研究開発
拠点を
整備
していく中で、中小企業、小
規模
事業者も参加する形での
医療分野
の
研究開発
拠点についても、大阪大学における最先端
医療
イノベーション
センターを初め、十四カ所で
整備
をしてまいりました。 これに加え、福島
振興
の
観点
から、福島県内に医薬品、
医療
機器等の
研究開発
拠点を
整備
すべく、
取り組み
を進めております。 また、
医療
機関と
連携
した中小企業、小
規模
事業者による
医療
機器開発に対する
支援
を
実施
しております。 本事業は、
日本医療研究開発機構
発足後に同
機構
に引き継がれる予定であり、物づくり中小企業等も参加した
医療
機器
分野
等の
研究開発
拠点の
整備
にもつながっていくものと
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣山本一太
君
登壇
〕
山本一太
21
○
国務大臣
(
山本一太
君) 浦野議員から、
基礎研究
の
重要性
の認識についての
お尋ね
がありました。
基礎研究
は、人類の新たな知の資産を
創出
するとともに、
世界
共通の
課題
を克服する鍵となるものであり、独創的で多様な
基礎研究
の
推進
は、
世界
で最も
イノベーション
に適した国づくりに不可欠なものであると認識しております。 このため、
科学技術
イノベーション
総合
戦略
においても、
イノベーション
の担い手の活躍の場となる大学や
研究機関
において独創的で多様な
世界
トップレベルの
基礎研究
の
推進
を国として一層
強化
することが必要であるとするなど、
基礎研究
の
推進
を図ることとしています。
基礎研究
分野
の
研究
費については、
所要
経費の
確保
に努めるとともに、競争的資金の使い勝手の改善や制度の再
構築
に取り組むこととしております。
研究
不正の防止のための
管理
体制
の
構築
についての
お尋ね
がありました。 科学
研究
は、
研究者
が高い倫理のもと公正に行うべきものであることから、不正が行われた場合は、その責任は、一義的には
研究者
が負うべきものだと
考え
ております。 一方、不正の再発防止や原因の究明等の
観点
から、例えば、
研究機関
内にコンプライアンス
推進
担当
責任者を配置し、責任の
範囲
を明確化するなど、不正が生じないようなガバナンス
体制
を
強化
することも重要と
考え
ております。
政府
においては、これまで、
総合科学技術会議
が示した
方針
に基づき、
関係各省
において不正防止の指針を
整備
するなど
対応
してきたところですが、今後は、各
府省
に対し、
研究機関
における
組織
的な
取り組み
を
強化
するなど、不正防止に向けた
対応
を促してまいります。(
拍手
)
—————————————
伊吹文明
22
○
議長
(
伊吹文明
君) それでは、浜地雅一君。 〔浜地雅一君
登壇
〕
浜地雅一
23
○浜地雅一君 公明党の浜地雅一です。 公明党を代表し、ただいま
議題
となりました、健康・
医療戦略推進法案
、及び
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
、いわゆる
日本版NIH
法案
について、菅官房長官に
質問
をいたします。(
拍手
) まず、この
法案
の必要性についてお聞きいたします。
日本
の健康・
医療分野
の
研究開発
の
司令塔機能
を果たす
日本版NIH
構想の発表以来、その動向が注目されてまいりました。 実は、私の父親も、加齢黄斑変性と腎臓疾患による透析治療に苦しんでおりまして、
日本
の
医療
研究
がスピード感を持って
推進
されることを望む
国民
の一人でもあります。 これまで
厚生労働省
を初め
文部科学省
、
経済産業省
など
各省
でばらばらだった
予算
を一本化し、
医療
産業
の競争力
強化
に取り組むことが狙いである
日本版NIH
の実現によって、
医療分野
における
基礎研究
から医薬品、
医療
技術の
実用化
まで、
切れ目
のない
支援
が可能になると期待をされております。 これまで、
日本
の
研究開発
は、
基礎研究
は文科省、人を対象とした臨床試験、治験は厚労省、医薬品をつくるための製造過程は経産省と、各工程における所管が
縦割り
になっており、効果的な
予算
配分ができなかった。この点が改善されることを、まず、高く評価したいと思います。
我が国
は、iPS細胞の
研究
の
成果
を発表した山中伸弥京都大学教授がノーベル賞を受賞したように、
基礎研究
の
分野
では、
世界
でもトップレベルであります。 しかし、それを具体化するための臨床・
実用化
分野
では、
世界
におくれをとっているのが現状です。つまり、創薬や
医療
機器の安全性、有効性を調べる臨床応用には、この
基礎研究
の
成果
が十分に生かされていない。
各省
に分散する
研究開発
を集約して、効率よく進める
環境
をつくり、
研究
成果
を早期の新薬開発や
医療
機器の
実用化
につなげることが強く求められています。 以上の点を踏まえ、今までの
我が国
の
医療
研究
のやり方のどこに問題があったのか、また、
日本版NIH
ができれば、今後どのように改善されるのか、お答えください。 次に、
日本版NIH
を
日本
独自のものとして具体的にどのように育てていくのか、
日本
版の意義を伺います。 よく比較に出されるアメリカの
NIH
は、百年を超える歴史と伝統のある
世界
有数の医学、生物学の
研究
拠点です。そこには疾患別に二十七の
研究
施設が
設置
され、約六千人の
研究者
を抱える、
年間
予算
も三兆円に上る大
組織
です。
日本
がこれから予定する
規模
と比べると、
予算
や従事する人の数には格段の差があると言われています。 しかし、私は、
日本
とアメリカでは
国民
性や
社会
構造が異なることから、一概にこの批判は当たらないと
考え
ております。むしろ、
国民
皆保険制度を有する
我が国
においては、
国民
が
医療
サービスを安価で受けられる
環境
があるため、アメリカ等に比べ、開発された
医療
技術の需要は格段に高く、十分にその発展性の余地があると
考え
ております。 アメリカ以外に目を向けても、アジアでは、中国を初め、シンガポールや台湾、韓国などが台頭し、
医療
研究
分野
は激しい競争にさらされております。 しかし、
世界
最速のスピードで超
高齢化社会
を迎える
我が国
こそが、
世界
の先頭に立ってこの
分野
を
推進
すべきです。 例えば、高齢化に伴い
我が国
の認知症患者の割合は急増しており、最新の統計では、罹患者が四百万人以上いるとの数字が出ております。予備群を含めると、その数は、さらに大きくふえます。仮に認知症患者が一割減れば、将来的な
医療
・介護費用は
年間
五千億円削減できるとの試算があり、健康寿命が延びることで、労働人口の増加にもつながります。 また、
日本
人の死亡原因の一位であるがんや、これから積極的に保険適用の対象が拡大される難病対策も、
我が国
が先頭に立って取り組むべき大きなテーマです。 そこで、
我が国
独自の
NIH
の具体的な姿をどのように
考え
るか、アメリカなどとはどのように違うのか、具体的なイメージを提示してください。 次に、
研究者
の自由な発意による
研究
の
成果
を
戦略
的に集約する方法について
お尋ね
いたします。
各省
ばらばらの
予算
を一本化し、
医療
産業
の競争力
強化
に取り組むことが今回の改革の眼目ですが、一方で、新しい
独立行政法人
が一元的に
管理
する
予算
からは、文科省の
基礎研究
分野
である科学
研究
費補助金が除かれております。
基礎研究
は
研究者
の自由な発意によるボトムアップ型の提案が大切であるとの
説明
は
理解
できますが、ボトムアップ型の自由な発意による
基礎研究
と、トップダウンで
戦略
的、統一的に
予算
管理
をしていくことは、一見矛盾するようにも感じます。
戦略
的、統一的に
医療分野
を発展させるためには、
基礎研究
分野
の
予算
管理
権限も新しい
独立行政法人
に移行させるべきではないかとの指摘もございます。 そこで、なぜ文科省に科学
研究
費補助金の
管理
権限を留保したのか、その
理由
をお示しいただくとともに、
研究者
が自由に発掘したシーズ、つまり
研究
の種を、どのようにして
戦略
的、統一的なシームレス、つまり集約化、
実用化
に移行させるのか、そのためのスキームをお示しください。
日本版NIH
の成功の鍵は、人材の
確保
である。これが最重要
課題
であると言っても過言ではないと思っております。
司令塔
部分の健康・
医療
推進
本部
には
医療
関連の有識者を集めた専門調査会を置き、専門的見地から助言を行うことが予定されております。 しかし、実際のオペレーションの現場において適切な監督、助言が行われることが重要ではないでしょうか。現場で監督、助言を行う
プログラム
ディレクターや
プログラム
オフィサーの存在が大きいと私は思います。 したがって、実際の現場においては、
医療分野
の専門家に限らず、例えば、特許や
IT
関連、起業化の方法を知る多様な人材を集めることが大切ではないでしょうか。
医療分野
以外の有能な経験者を採用すべきと
考え
ますが、その予定があるのか、お伺いをいたします。 理化学
研究
所がイギリスのネイチャー誌に発表したSTAP細胞の論文に疑義が生じてしまいました。期待が大きかっただけに、仮に不正が事実であれば、大変に残念に思います。
研究
の公正性を担保すること、これが重要であり、不正を厳しく監視する必要があると
考え
ますが、新しい
独立行政法人
においては、チェック
体制
、監視
体制
をどのように
考え
ているのか、お答えください。 安倍
政権
では、健康・
医療分野
の
推進
を
日本再興戦略
の目玉の
一つ
として位置づけられました。
海外
では、新しい
医療
技術は、大学などから出て、それをベンチャー企業が
投資
、
実用化
し、企業が販売するというパターンになっており、十分な資金供給
環境
が整っております。 しかし、
日本
では、
実用化
を担うベンチャー企業が十分に
成長
していないのが実情です。また、製薬会社等の企業も、
実用化
には莫大な資金と時間がかかることなどから、リスクを恐れて、なかなかこの
分野
に大量の資金を思い切って
投資
ができない。結果、
日本
発の
基礎研究
の
成果
は、
海外
製薬メーカーが
実用化
し、
日本
に逆輸入されているというのが今の現状です。医薬品及び
医療
機器は輸入超過の状態にあり、その額は、
年間
二兆円にも上っております。 そこで、
NIH
を使って、どう医薬品、
医療
機器
分野
を
成長
産業
としていくのか、
成長戦略
の
観点
から捉えた
NIH
の意義や、有効な
投資
市場を育てる方策をどう
考え
るのか、お答えください。 最後に、
国民
の健康・
医療
政策を最重要
課題
としてこれまで取り組んできた公明党の一員として、
日本
の健康・
医療分野
の英知が
世界
を牽引し、真の
成長
産業
に発展することで、その恩恵を受ける患者の皆様が安心して生活できる
環境
が早期に
整備
されるよう、切に願います。 また、介護まで含めた健康・
医療分野
に従事する人々が自信を持って
業務
に邁進できる
日本
を目指すことを決意し、私の
質問
を終わります。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣菅義
偉君
登壇
〕
菅義偉
24
○
国務大臣
(
菅義
偉君)
我が国
の
医療分野
の
研究開発
の
課題
と
対応
について
お尋ね
がありました。 これまで
我が国
が
実施
する
医療分野
の
研究開発
は、
各省
及びその所管する
独立行政法人
等においてそれぞれが
支援
をしているために、
基礎
から
実用化
までの
切れ目
のない
支援
が十分にできておらず、すぐれた
基礎研究
のシーズが必ずしも
実用化
に結びついていないとの問題が指摘をされてきたところであります。 このため、
内閣
に、
司令塔
となる健康・
医療戦略
本部
を設けるとともに、そのもとに、国が
研究
費の配分
機能
等を集約する
日本医療研究開発機構
を
設置
することとしたものであります。これによって、
基礎
から
実用化
まで
切れ目
のない
研究
支援
が可能となるなど、
医療分野
の
研究開発
が
戦略
的に
推進
されることができるというふうに
考え
ております。
日本医療研究開発機構
の
組織
及び
機能
と
米国
の
NIH
との違いについて
お尋ね
がありました。
米国
の国立衛生
研究
所は、
研究
領域ごとに分権化された二十七の独立した
研究
所等で構成をされ、各
研究
所がみずから
研究開発
を
実施
するとともに、
研究
費の配分等を行っているというふうに認識をいたしております。 一方、
我が国
における
研究開発
推進体制
を
考え
るに当たっては、
我が国
の実情も十分勘案したものとする必要があります。
日本医療研究開発機構
は、
米国
とは異なり、
医療
の
研究
領域間の
連携
を十分に図ることで
一体
的な運営を行う
組織
として、また、自前の
研究
所を持たず、
研究
費の配分、
研究管理
・
支援
等に特化した法人としたものであります。
文部科学省
の
科学研究費助成事業
について
日本医療研究開発機構
へ集約しなかった
理由
、及び
基礎研究
の
成果
を
機構
へ移行するスキームについて
お尋ね
がありました。
日本医療研究開発機構
が集約して配分する
予算
は、国が定めた
戦略
に基づくトップダウンの
研究
を行うために、
研究者
や
研究機関
に配分される
研究
費等に係るものであります。 一方、将来にわたる
科学技術
的新知見や
イノベーション
の芽を絶え間なく育んでいくためには、
文部科学省
の
科学研究費助成事業
のような、
研究者
の自由な発想に基づくボトムアップ型の
基礎研究
も重要であるために、
機構
への集約の対象とせず、引き続き
日本
学術
振興
会を通じて配分することといたしました。 なお、
科学研究費助成事業
の
成果
のうち、すぐれたものについては、
日本
学術
振興
会等から
機構
に円滑に移行して、
実用化
に向けた
支援
につなげていくことにいたしております。
日本医療研究開発機構
における
医療分野
以外の有能な経験者の
確保
に向けた
政府
の
考え
について
お尋ね
がありました。 御指摘のとおり、
基礎研究
の
成果
を
実用化
につなげるためには、知的財産の
管理
や
成果
の
実用化
等に関して専門的な知見を有する多様な人材を
確保
することが極めて重要だと
考え
ています。 このため、来年四月の設立に向けて、
日本医療研究開発機構
において
医療分野
以外の専門的な知見を有する人材が
確保
することができるよう、今後、しっかり努めてまいります。
日本医療研究開発機構
における
研究
不正のチェック
機能
に関する
政府
の
考え方
について
お尋ね
がありました。 革新的な
医療
技術の
実用化
等に向けた
取り組み
を進めていくために、
研究
不正により
我が国
の
研究
の信頼性が低下するような事態は看過できないというふうに
考え
ております。
各省
と
連携
をして、その
対応
にしっかり取り組んでまいります。 御指摘の
日本医療研究開発機構
においても、みずからが配分する
研究
費により
実施
される
研究
に対して、専門の部署を置き、公正かつ適正な
実施
の
確保
を図ってまいりたいと
考え
ております。 また、こうした
取り組み
を通じて、蓄積されるノウハウを
政府
全体の不正防止策にも活用できるのではないかと
考え
ております。
医療分野
の
研究開発
に関する
政府
の
取り組み
について
お尋ね
がありました。 医薬品、
医療
機器を含む
医療分野
の
研究開発
については、健康・
医療戦略推進本部
のもとに、この
医療
研究開発
機構
が、専門的な知見を有する者による
基礎
から
実用化
までの
切れ目
のない
支援
を行うこととしており、
基礎研究
の
成果
をいち早く
実用化
につなげる
体制
整備
を進めることによって、革新的な医薬品を
世界
に先駆け開発し、
提供
することを目指してまいります。 これらの
成果
をいち早く
世界
に輸出し、
世界
で拡大するこのマーケットを獲得することで、
我が国
の
医療
関連
産業
の
成長
等に寄与するものと
考え
ています。 以上です。(
拍手
)
伊吹文明
25
○
議長
(
伊吹文明
君) 以上をもって、本日予定されておりました
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
伊吹文明
26
○
議長
(
伊吹文明
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時十七分散会
————◇—————
出席
国務大臣
財務
大臣
麻生 太郎君
厚生労働
大臣
田村 憲久君 農林水産
大臣
林 芳正君 経済
産業
大臣
茂木 敏充君
国務大臣
菅 義偉君
国務大臣
山本 一太君