○石破茂君 自由
民主党を代表して、
安倍総理の
施政方針演説に対し質問をいたします。(拍手)
第二次
安倍政権が発足してから一年余り、
総理の、
日本を取り戻すという強い
決意のもと、さまざまな分野において掲げた
政策は、確実にその成果を上げつつあります。
多数の議席を有する安定政権は、ともすれば、強引な政権運営というような批判にもさらされます。
総理の、この道しかないとの強い
決意のもと、より多くの
方々の御理解を得て
政策を確実に
実現させていくために、今まで以上に謙虚で丁寧な政権運営、
国会運営を心がけなければなりません。そのことを、我々自由
民主党は強く肝に銘じておるところであります。
野党の皆様方におかれましても、
国民的な広い視点に立ち、建設的な御
議論を賜りますよう、切にお願いを申し上げます。
昨年の
参議院選挙における
国民の審判により、六年ぶりに衆参のねじれ現象が解消されました。衆議院解散はあくまで
総理の専権事項ではありますが、次期
参議院選挙が行われる二年半後までは国政選挙がないと想定される中にあって、
政策の優先順位を明確にし、期間内に着実にこれを実行することが強く求められます。
選挙を意識する余り、人気取りのポピュリズムに堕するようなことがあっては断じてなりませんし、短期間に、あれもやろう、これもやろうなどという拙速も厳に戒めなければならないのであります。
国民から安定的な議席をいただき、時間的な猶予を与えられたというのは、まさしくそういうことなのであります。
経済成長と
財政再建を両立させるための好循環の
実現、そして
被災地の復興、
総理の示されたこの優先順位は、まさしく
国民が求めているものであり、一つ一つ着実に
政策目標を達成することで、いま一度、
政治と
国民との
信頼関係を取り戻していかなくてはなりません。
安倍政権はそれができる政権なのであり、そのために我々
自民党は引き続き全力を尽くしてまいります。
三月十一日で、あの
東日本大震災、大津波、
原発事故から三年を数えます。いまだ二十七万人を超える
被災地の
方々がことしの正月を避難先で迎えられたという
現実を我々は直視しなければなりません。
総理は、
就任以来、毎月一回
被災地を訪問するなど、
地域の
人々に寄り添う姿勢で、復興に向けて積極的に取り組んでこられました。
我が党としても、大島理森前副総裁を本部長とする
復興加速化本部が
政府に対して三度にわたる提言を行うなど、
政府・
与党と一体となった取り組みにより、農地や漁港の整備、災害公営住宅への入居など、復興が進みつつあります。
新たな局面を迎えた
被災地からは、市町村の担当者や現場の技術者、技能者等の人材不足、資材不足等へ
対応するための切実な要望が数多く寄せられております。このような声に確実に応え、一日も早く平穏な生活を取り戻していただけるよう、引き続き取り組んでまいる必要があります。
東京オリンピック・パラリンピックを、長く続いた
経済の低迷からの脱却と、大震災、大津波、
原発事故からの復興の輝かしい象徴としなくてはなりません。
世界じゅうの
方々が
日本を訪れる二〇二〇年には、東北が
日本をリードし、
日本が
世界をリードしている、そのような夢を
現実のものとしなければならないのであります。
残された六年余りで我々は何をなすべきか、いかなるスピード感を持ってこれに臨むか、改めて、
総理の
復興加速化に向けた具体的な
方針を承ります。
原子力災害を受けた
福島の復興
再生をさらに
加速させることは特に重要であります。長期避難者の
方々への手厚い
支援を行いつつ、今後の人生設計に明確な指針を示して選択肢を提示するとともに、事態の収束に向けて、国と事業者が一丸となって、汚染水・
廃炉・風評被害対策や
除染の
加速化に取り組むことが政権の責務です。お
考えを承ります。
安倍政権として、ことしの最優先
課題は、
経済の好循環の
実現であります。
大胆な
金融緩和、機動的な
財政政策、この成果には目覚ましいものがありました。論より証拠であり、野田前
総理が解散を表明した一昨年十一月十四日の日経平均株価は八千六百八十四円、現在は一万五千円前後までに上昇し、対ドル為替レートも、七十九円五十一銭であったものが、百円を超える水準にまで達しております。
達成すべき目標は、デフレ不況から完全に脱却し、
雇用や所得を
拡大させることであります。なぜ、
日本だけが長期にわたるデフレから脱却できなかったのか。生産年齢人口が減少していることも大きな要因の一つではありますが、それは多くの先進諸国においても見られる現象であります。
日本だけで起こっている現象は、名目
賃金の低下であります。一九九五年から二〇一〇年までの間、
アメリカの名目
賃金は一・七倍、ユーロ圏でも一・四倍になっておりますが、
日本の名目
賃金は、この間に一割下がっております。
賃金が下がれば購買力が落ちる、購買力が落ちれば
消費が減る、
消費が減れば結果的に過剰生産となり、在庫がふえ、価格が下がる、これをカバーするためにまた
賃金が下がり、
雇用が減る、そのような悪循環が起こっていたのではないでしょうか。
好循環を
実現するためには、この逆を実行しなければなりません。需要不足を解消しない限りデフレは脱却できないのであり、そのためには
賃金を上げなくてはならないのだと
考えております。景気がよくなったから
賃金を上げるのではなく、
賃金を上げなくては景気がよくならないのであります。
昨年、
経済に明るさが戻ってきたことには、大胆な
金融緩和によって長期金利が低下し、国債の消化が円滑となり、これが機動的な
財政出動とマッチングしたことが大きく寄与いたしております。統計を子細に見れば、
円安で輸出が増加したのでも、製造業の設備投資が増加したのでもないことがわかります。
第一、第二の矢によって生み出された時間的な余裕を何としても生かし、第三の矢である
経済成長政策を実効あらしめることが、決定的に重要であります。それは、
消費税率が
引き上げられてもなお
経済が失速しないことを
実現するものでなくてはならないのであります。
政府は、手品師でも魔法遣いでもございません。しかし、
政府としてできることは全てやり抜くという決然たる意思のもとで、これまであらゆる
政策を総動員してきましたし、これからもそうあらねばなりません。今後は、民間がこれに応えていただくことが必要であり、内部留保はそのためにこそ活用していただきたいのであります。
内部留保は
企業の業態により大きな違いがあり、特に中堅・
中小企業においては、経営が厳しくなったときの備えとして内部留保を厚くしているという事情のあることもあわせ
考え、
経済の好循環
実現に向けた
総理の
見解を承ります。
来年十月から
消費税を一〇%に
引き上げることを定めた税制抜本
改革法は、附則において、
経済状況を好転させることをその条件といたしております。
平成二十七年度の
予算編成のスケジュールを勘案すると、本年七月から九月期のGDPの伸び率が明らかになるのが十一月であることから、
引き上げの判断時期は十二月になるものと思われますが、この時期、その際重視すべき点、また、逆進性緩和の
あり方につき、
総理の
考え方を承ります。
法人実効税率を引き下げる環境づくりに正面から取り組むとの姿勢を政権が示すことは、成長戦略への強いコミットメントを市場や
企業に伝えるという大きな意味があります。
一方において、法人税を引き下げる際には、課税
ベースの
拡大や減価償却の厳格化が必要となりますが、課税
ベースの
拡大は、限界税率を
引き上げ、投資を抑制することともなり、デフレ脱却の阻害要因となることも指摘されております。
法人税率の引き下げは、新規の投資を行っていない
企業にもメリットが及ぶことを
考え合わせると、デフレで実質金利が高どまり、投資が抑制されている間は投資減税を先行させ、その間に、法人税
改革に向けた姿勢を鮮明にした上で、徹底した
議論を行い、確実に
改革につなげていくことが望ましいと
考えますが、
総理の御
所見を承ります。
総理は、成長戦略の中核として、全ての
女性が活躍できる
社会をつくることを挙げておられます。
経済の成長には、
労働力の増加、生産設備の増加、技術の向上が必要であり、そのためには、高い
能力を持つ
我が国の
女性の力が不可欠であります。
これ以上の少子化を食いとめるためにも、
女性にとって仕事と子育てを両立できる環境をつくっていくことが必要です。二〇一七年末までに保育所などの定員を約四十万人分ふやして待機児童を解消すること、三年間の育児休業取得を
実現することなどは、その意味から大きな意義を持つものです。
同時に、
女性の
社会進出を阻んでいるのは、
日本社会特有の長時間
労働も大きな要因であることを指摘しなくてはなりません。
女性は、出産、育児と長時間
労働との間で厳しい選択を迫られているのが現状です。三年間休職することで
労働市場での
女性の地位が下がりかねないことに不安を感じている
女性がいることも、また事実であります。
男性が家事に携わる時間が長いほど第二子以降が生まれるとの諸
外国の統計もあります。これまで生産に費やしてきた時間を
消費に回すことは、生産と
消費の不均衡の是正にも寄与しますし、
消費の
拡大にもつながります。独身の男女が出会う時間をふやすことで、未婚率の減少も期待されます。
男女ともに、長時間
労働を改め、新たなライフスタイルを構築すべく、従来我々が持っていた価値観から脱却するための強力な施策が必要なのではないでしょうか。
総理の御
見解を承ります。
成長戦略を推進していく上で、また、
経済の好循環と所得の
拡大、
財政健全化を
実現するためにも、エネルギーの安定供給体制の確保は不可欠であります。
現在、
日本国内全ての
原発が停止し、火力発電所などで代替をしておりますが、これらにかかる化石
燃料費として、年間約三・六兆円、一日に換算して約百億円の国富が海外に流出をいたしております。
昨年の貿易統計が過去最大の十一・四兆円の赤字となったのも、
円安とともに、原油などの輸入額が急増したことが大きな要因となっております。
今後、
円安が進めば、この額はさらに膨らみ、生産コスト増となって輸出に対する
円安効果を減殺するばかりか、輸入物価の上昇等により、国内産業と
消費の大きな圧迫要因になるおそれがあります。
これを放置すれば、
総理が成長の大きなエンジンの一つと位置づける
賃上げも困難となりかねません。
賃上げどころか、さらなるコスト
削減、リストラを迫られかねないのであります。
現在、
日本のエネルギー自給率は六%であります。あの一九七三年のオイルショック当時のエネルギー自給率は八・二%。あの当時よりもエネルギー自給率が低いという事実を、我々はもっと深刻に
考えるべきであります。
今、停電という事態が生じないのは、一にかかって現場の努力によるものであり、中東で何かが起こったとき、老朽化した火力発電所の運転に支障が生じたときに、改めて事態の深刻さに気づくのでは遅いのであります。
我が党も、
再生可能エネルギーの比率を高め、
原発の依存度を可能な限り引き下げることを
公約といたしております。しかし、現状においてなお不安定かつ高コストの
再生エネルギーの比率を上げていくためには、それを可能とする
経済力が必要なのであります。
それを生み出すためにも、最高度の安全性が確認された
原発を稼働させ、その
経済力をもって
再生可能エネルギーのコストを下げ、安定性を向上させるべきなのだと
考えますが、そこへ至る具体的な道筋を明確に示すことが必要であります。
原発がとまっていることは安全であることとイコールではなく、その事実を踏まえれば、
原発ゼロというのは、スローガンではあっても、
政策ではありません。さればこそ、使用済み核燃料最終処分の
あり方についても、
方針を明らかにしなければなりません。
我が国の国際競争力を低下させることなく、
国民生活を支える、
責任ある
エネルギー政策を構築すること、あわせて、今後の
原子力エネルギーの
あり方について国際的なルールを制定するために
我が国が先導的な役割を果たすことも、
我が国が
国際社会に対して果たすべき責務であると
考えます。
今後の
エネルギー政策について、
総理の御
所見をできる限り具体的にお示しください。
TPPについては、日米両国が交渉の早期妥結を目指す
方針で一致し、鋭意
協議を行っていると承知しております。
両国の意見にはまだ隔たりがあると
認識しておりますが、我々が
国民に
約束し、
国会においても決議された、重要五品目は必ず守る、攻めるべきは攻めるとの確固たる
方針のもと、具体的な着地点を見出していくことが必要です。
昨年、
政府は、米の生産調整の
廃止を視野に入れるとともに、農地集積バンクに代表される、生産現場の構造
改革を決定いたしました。
守るべきは、
消費者に
負担を負わせて農産物の高価格を維持することではありません。重要品目の関税撤廃は断固阻止しつつも、コストを
削減し、付加価値を高め、輸出を
拡大し、農業、農村の所得を向上させることによって、
消費者と生産者との間にウイン・ウインの関係を築き、農業、農村の持続
可能性を維持することこそが、達成すべき至上命題なのであります。
食料自給率だけが
政策目標なのではありません。飢餓に苦しむ国でも、自給率の高い国はあります。それは、一つの結果なのであります。大切なのは、農地面積、農業所得、後継者の確保、農業インフラ、農産品の品質などを要素とする、自給力なのであります。
日本の農業という、抽象的なものが存在するわけではありません。何万という
地域にそれぞれの農業形態があり、誰が農業を担い、誰がどのような形で
地域を担うのか、所有と経営の分離、産業
政策と
社会政策の明確な位置づけなどをキーワードとする、今が農政の大転換を図る最後の機会であると
考えております。
農林水産業、農山漁村の
再生に向けた
総理の
考えをお述べください。
これと関連し、
総理は、
施政方針演説の中で、ことしは
地方の活性化が最重要のテーマであると述べられました。しかし、山口を選挙区とされる
総理も強く実感しておられることと
思いますが、現在進行している事態は極めて深刻であります。
増田寛也元総務大臣は、「二〇四〇年、
地方消滅。」との刺激的なタイトルを冠した最近の論文の中で、精密な分析のもとに、人口減少の大波は、まず
地方の小規模自治体を襲い、その後、
地方全体に急速に広がり、最後はすさまじい勢いで都市部をものみ込んでいく、このままいけば三十年後には、人口の
再生産力が急激に減少し、いずれ消滅が避けられない
地域が続出するおそれがあると論じておられます。
少子化による人口減少は、高齢者の増加によって、見かけ上、これまで顕在化してきませんでしたが、今後、高齢者すら減少する時期が多くの
地域で到来します。
地方の人口は、
東京を初めとする大都市に移動してきました。しかし、
東京の出生率一・〇九が全国最低であるように、大都市の人口の
再生産力は、極めて低いのが
現実です。大都市も
地方も急速に活力を失い、国家そのものが衰退していく悪夢の到来を何としても避けるために、国家として、最大の力を注ぐべきであります。
従来の発想を大きく転換し、
企業拠点の
地方展開を慫慂することなどによって
地方中核都市に資源を重点的に配分して、これを最後のとりでとし、そこから
再生を図るなどの施策もまた必要になるものと
考えます。
認識を承ります。
財政健全化について、
経済の好循環をつくり上げることにより、国、
地方の基礎的
財政収支を、二〇一〇年度との比較において、二〇一五年度までに赤字の対GDP比を半減させ、二〇二〇年度までに黒字化するとの目標が掲げられています。
しかしながら、一月二十日に
政府が発表した中長期の
経済財政試算では、二〇一五年度の基礎的
財政赤字半減目標は達成するが、二〇二〇年度の黒字化には十一・九兆円の収支改善努力が必要となることが明らかとなっております。
これを受けて、歳出歳入一体
改革の具体化を求める声もあります。二〇二〇年度の黒字化に向けてどのように取り組むか、
考えをお示しください。
我が国が
世界に誇る
年金、医療、
介護の
社会保障制度を持続可能なものとし、
社会保障が本来持つ
保険としての役割を正当に機能させることにより、真に必要な
方々に手厚い制度として、これを次の世代に引き継いでいかなければなりません。
リスクを回避できなかった人に、必要とされる手当てを十分に行うのが
保険の本質なのであって、決して、これに贈与の機能を持たせてはなりません。
総理は、増大する
社会保障費への
対応と、子育て
支援の拡充等について言及をされています。制度の適正化、
消費税という安定財源を伴う拡充等について、改めて
社会保障制度
改革への御
所見を承ります。
沖縄県の
仲井真知事が、辺野古の公有水面埋め立てについて、法律にのっとって承認をされました。
民主党政権で迷走した普天間基地の
移設は、
仲井真知事、沖縄の多くの
方々、
与党の沖縄県選出国
会議員や、
与党の県並びに市町村議
会議員等の多くの
方々のお力により、再び一歩前に進むこととなりました。普天間基地の危険性を一日も早く除去する、その
思いを我々は形にしなければなりません。
さきの
名護市長選挙では、なぜ辺野古崎沖なのかという点について十二分に御
説明をし切れなかったことを、私は反省いたしております。
移設容認の候補が敗北し、現市長は、今後
移設を阻止する
行動をとると表明しておられます。しかし、それは、その
思いとは異なり、普天間の固定化をもたらすことにしかならないことを、私は強く危惧するものであります。
普天間基地の危険性とは、墜落の危険性であり、また、騒音の被害であります。これを解消することがそもそもの命題なのであります。
墜落の危険性と騒音被害を回避するには、滑走路を市街地から二千メートル以上離隔して造成することが必要です。音は距離の自乗に反比例する、そういう物理の
原則により、距離を二倍にすれば騒音は四分の一に、十倍にすれば百分の一になるのであります。
普天間基地の市街地との距離約二百メートルから、名護市街地と辺野古代替施設との距離二千メートルへと十倍にすることで、騒音は百分の一にまで減じられます。これは、成田の教訓を踏まえた関西空港、中部国際空港、北九州空港などの例を見てもわかるとおりであります。
よって、日米合意のV字形滑走路案は、騒音の局限化と集落の上を飛行しないことによる
事故の局限化を
実現するために、可能な限り沖合に展開することといたしております。
キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫という現在の形に、滑走路が加わり、海兵隊が一体運用できることになるからこそ、嘉手納以南の海兵隊六基地、約一千七百ヘクタールの返還が大きく前進するのであります。
この
地域において一定の抑止力を確保することは、
我が国と
アジア太平洋
地域の平和と安全に対し、
日本国として果たさねばならない
責任であります。
本土への訓練の分散移転など、従来には見られなかった
負担の早期軽減策も打ち出されており、五年での普天間基地の閉鎖状態の
実現とあわせてその着実な実施を図らねばなりませんが、それでもなお地政学的に、司令部機能、訓練機能、補給機能、運用機能の一体化の観点からも、一定の抑止力をこの
地域に確保することは、決定的に重要なのです。
平成二十五年まで
日本で唯一人口がふえ続け、成長する
アジアと距離的に近く、今後多くの土地の有効利用が見込まれる沖縄は、飛躍的な発展が期待されます。
過去沖縄が負った苦難の歴史を
考えるとき、沖縄を
日本一、
世界一豊かで幸せな島にすることは我々の
責任であります。その中で、名護市を中心とする山原
地域の
雇用と所得を増大させ、医療、福祉を
充実させていくことは、沖縄発展の大きな鍵となるものです。
以上を踏まえ、沖縄県
知事並びに
自民党沖縄県連から強い要望のありました、普天間基地の五年以内の
運用停止の
実現とオスプレイ十二機程度の県外拠点配備、キャンプ・キンザーの七年以内の全面返還、環境に関して日米
地位協定を補足する新たな
政府間協定の作成と沖縄のさらなる振興策について、
総理の、
実現に向けた
所見を承ります。
外交・安全保障
政策の司令塔となる
日本版NSCが創設され、NSS策定とあわせて、
我が国の領土、領空、
国民の生命と財産を守るための環境整備が緒につきました。
安全保障を図る上で一番大事なのは、
地域におけるバランス・オブ・パワーを維持し、抑止力を機能させることです。
日米同盟の深化は、戦争をするためではなく、戦争を引き起こさないためになされるものであります。
日本でできることは
日本で行う、これを基本として、国内法を整備し、陸海空の人員と装備の実効性を高め、ガイドラインなど必要な協定を深化させることが重要です。
昨年の
防衛大綱の決定や2プラス2の成果も踏まえ、今後どのように日米同盟を深化させていくか、お述べください。
昨年の臨時
国会において成立した特定秘密保護法により、
米国を初めとする国々、友好国との情報共有が飛躍的に進み、
我が国の安全保障に寄与することとなりますが、一方で、審議を通じ、行政の恣意や肥大化に対する懸念も多く聞かれました。
これを解消するため、
国会におけるチェック機能の創設に向けて
検討を進め、党や議会において、そのために鋭意努力を続けております。
総理として、
国会の関与についての
所見をお述べください。
中国や韓国は、
我が国にとって重要な隣国であり、
経済的にも文化的にも密接な相互関係が築かれています。
残念ながら、いまだ両国との首脳会談は
実現しておりませんが、それをもって政権が両国を重視していないとするのは浅薄な見方であります。
総理は、常に、対話のドアはオープンであること、
課題があるからこそ対話すべきであることを
発言しておられます。我々は、議員
外交やトラック2
外交などを可能な限り活性化させ、
我が国がいかに
地域の平和と安定を望み、そのために積極的に
行動する用意があるかを国内外に発信していくことで首脳会談への環境を整えていきたいと
考えておりますが、中韓との関係改善について
所見を承ります。
一方で、
中国による尖閣諸島領域への侵入や、国際法の概念とは大きく異なる防空識別区の設定など、現状
変更を試みる
行動を抑止するために、
我が国は、法整備と
能力の向上を急がなくてはなりません。すきがあればつけ込まれるのは、
国際社会の常識であります。
海上保安庁が有するのは海上の治安維持の権限であり、領海を悪質な態様で航行する
外国船舶に対して退去通告や臨検、拿捕はできても、自衛権に基づく強制排除
措置をとることはできません。
自衛隊に対して海警
行動や治安出動を下令しても、その本質があくまで警察権である以上、警察比例の
原則が厳格に適用され、その
行動には、おのずから制約があります。防衛出動は自衛権
行使の三要件が満たされない限り下令できないのみならず、急迫不正の武力攻撃以外の
手段で領土が侵された場合には、
対応が困難となるのではないでしょうか。ここにすき間が存在することは、かねてより指摘されております。
新たなNSCにおいて、各省庁連携のもと、早急に法を整備し、シミュレーションや訓練の積み重ねによる切れ目のない
対応策を進めるべきと
考えますが、御
見解を承ります。
冒頭、
政策に優先順位をつけることの重要性について述べました。まず復興と
経済再生に取り組み、その成果を上げることなくしては、ほかの重要な
政策を
国民の理解を得て
実現させることはできません。
しかし、それは、ほかの重要
課題を放置していいということでは決してなく、それらの
解決のために緻密で丁寧な準備を常に怠ることなく、一旦俎上に上った際には万全の体制で臨む姿勢こそが重要であります。
集団的自衛権の
行使を可能とすることは、我が自由
民主党が総選挙、
参議院選挙で
公約に掲げた重要
政策の一つです。
総理は、
施政方針演説の中で、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告を踏まえ、
対応を
検討すると述べられました。
集団的自衛権を
議論するに当たっては、国連憲章における位置づけ、
日本国憲法との関係、
我が国並びに
地域の平和と安全に与える影響、この三つの観点が必要であります。
第二次
世界大戦後、国連が創立されるに当たり、なぜわざわざ憲章に
集団的自衛権が明記されたのか。これは、拒否権を持つ大国の横暴を危惧したラテン
アメリカ諸国の提唱によるものでありました。
アメリカなどの大国が参加しなかったために機能を十分に発揮できなかった国際連盟の教訓から、大国に拒否権を与えることで国際連合は発足することとなりました。
しかし、武力攻撃による侵略
行為が行われた際に大国が拒否権を
行使すれば、安保理は適切な
措置をとることができず、侵略国の
思いのままの事態になってしまいます。武力攻撃を受けた国は、安保理が適切な
措置をとるまでの間に限って、個別的自衛権とともに、密接な関係を持つ国と共同して武力攻撃を排除する
集団的自衛権が認められたのであります。
集団的自衛権の本質が、大国とともに侵略を行う権利ではなく、大国の横暴から自国を守る権利であることを、決して忘れるべきではありません。なぜこれを、国連中心主義を唱える
我が国だけが
行使できないのか。これにつき、徹底した
議論が必要です。
憲法九条は、「
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の
行使は、国際紛争を
解決する
手段としては、永久にこれを放棄する」「この目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めます。
集団的自衛権を
行使不可能とする論拠として、これが、国際紛争を
解決する
手段であるとか、あるいは交戦権の
行使であるとするのは、当を得ておりません。それは、国連憲章の否定にもつながりますし、個別的自衛権
行使との整合性がとれません。憲法との関係を論理的に突き詰めて
議論することが必要であります。
尖閣の現状や、
中国の防空識別区の設定、北朝鮮情勢の変化などを
考えたとき、
我が国を含む
アジア太平洋
地域において、さきにも述べたとおり、バランス・オブ・パワー、力の均衡を維持することは絶対に必要です。
アメリカの同盟の形が従来のハブ・アンド・スポークからネットワーク型に変化を遂げようとするとき、
集団的自衛権行使不可を前提とした、
アメリカだけを唯一の同盟国とする非対称的双務関係から、
集団的自衛権行使を可能とし、多くの国々との間に新たな関係を構築することは、この
地域に確固たる力の均衡を確立し、平和の維持と紛争の回避に大きな影響を与える役割を果たすことになるものと
考えます。
これを可能とすることが、
我が国並びに
地域の平和と安全にどのように寄与するのか、その観点も
議論することが必要であります。
我が党は、長年にわたり
議論を積み重ね、一昨年末に、
集団的自衛権の
行使を可能とすることなどを内容とする国家安全保障基本法を取りまとめて、選挙に臨みました。
集団的自衛権の
行使に当たっては
国会の事前承認を必要とし、濫用防止の規定を設け、国連憲章との整合性を図るなど、多くの懸念に応え得るものと自負をいたしております。
広範かつ真摯な
議論を積み重ね、多くの
国民の理解と支持を得る努力を積み重ねることによってのみ
集団的自衛権を
行使可能とする法整備が大きな前進を見るものと
考えるものであり、我が党として最大の努力をいたしてまいります。
懇談会報告の時期もさまざまに取り沙汰をされておりますが、スケジュール感も含め、
総理の
見解をお述べください。
我が党は、結党以来、自主憲法の制定を党是とし、野党時代には、
国民主権、
平和主義、基本的人権の尊重という基本原理を継承しつつ、時代に即した草案を作成いたしました。本年は、より理解を深めるため、
国民主権の
我が国において、丁寧な
説明を行ってまいる
方針であります。
総理は、
施政方針において、
憲法改正も必ずや前に進むことができると信じている、そう述べられました。
改正に向けた
総理の
所見を承ります。
以上、幾つかの観点から
総理のお
考えをただしてまいりました。
経済、
財政、安全保障、エネルギー、医療、福祉、第一次産業、
我が国は、多くの
課題に直面しております。本来、それらは、我が党がかつて政権にあった時代に方向性を見出し、その解を
国民に向けて示すべきであったにもかかわらず、それを先送りしてきた面があったのではないかと、長くかかわってきた私は強く反省をいたしております。
政治不信が叫ばれて久しく、国政選挙における投票率は低下をいたしております。今は内閣支持率も
与党に対する支持率も高水準に推移しておりますが、これは、いまだ期待を本質とする相対的なものであるのかもしれません。政権の支持率と個々の
政策との支持率には乖離があることもまた事実です。
政治を、政権を
信頼したいとの
思いは、多くの
国民が持っているはずです。我々は、その
思いに応えなければなりません。
これを言えば嫌われるとか、票が減るとか、人気が落ちるとか、そのような理由で主権者たる
国民に対して真実を語る勇気を持たないのは
政治の自己保身であり、
国民を信じて真実を語らない
政治が、
国民から信じてもらえるはずはないのであります。
日本に残された時間は実に短い。
政策の選択肢の幅は極めて狭い。
総理が常々口にされる、この道しかないとの
思いのもと、
自民党として、国家
国民に対し、今日を築いていただいたいにしえの
方々に対し、さらには、まだ見ぬ次の世代に対し、最大の
責任感と緊張感、さらには使命感を持って、全身全霊をもって国政に臨むことを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣
総理大臣安倍晋三君登壇〕