○大塚(拓)
委員 平成二十二年から平成二十四年にかけて法制審で要綱が取りまとめられてきた、こういうことでございます。
民主党政権下でございまして、ちょうど筆頭が戻っていらっしゃいましたけれども、民主党政権下で法制審によって検討され、答申をされたことを、政権交代がその間に挟まりましたので臨時会に
提出できなかった。そこに自民党のエッセンスを入れる期間としても半年ほど必要だったのかというふうにも思いますけれども、こうした経緯を経て今回の
改正案ができているという意味で、民主党と自民党の、ある意味、共同作業と言えるようなところもあるのかな、こんなふうに思っているところでございます。
今、短い時間軸の中での経緯をちょっと振り返ったわけですけれども、もうちょっと時間のスコープを広げて振り返ってみたいと思います。
我が国においては、長くメーンバンクによるモニタリングというものを中心としたガバナンスの原理というのが定着をしてきたところだろうというふうに思っております。戦後、財閥解体などもございましたので、そういう中で、支配
構造というものの流動化が非常に進みました。そういう中で、
株式の持ち合いということが広まりました。
こういう結果、
株主のエージェントとしての
社外取締役というものは、もちろん一部の、昔、財閥系の
企業であったところにおいては相互に役員の派遣というようなこともあったわけでございますけれども、それは、本来、
社外取締役に期待される役割とは少し違ったものであると考えるならば、
株主エージェントとしての
社外取締役というものは日本ではいなくなって、内部昇格による内部者による支配というものが確立してきた、先ほど副
大臣も御
指摘になられたところでございます。
この結果として、ガバナンスは、メーンバンクが
債権者の代表ということで
会社をモニターして、問題が起きたときには役員を送り込んで
債権の保全を図る、こういう形で機能してきたものだろうと思います。当然、
債権者代表としての
観点からのガバナンスということですから、なかなか
収益力の向上ということにはつながっていかないということもあったのかと思います。
それと、監査役という
制度があったわけでございますけれども、長く監査役がなかなか機能しないと言われる時代が続いたわけでございます。一時は、これは昔の話でございますけれども、監査役が一年を二日で暮らすいい男と言われていたという話もあるわけでございまして、そのイメージが今も残ってしまっているのかなというふうにも思います。
現在の監査役は全く違うということは、これははっきり申し上げておく必要があろうかと思います。しっかり機能しておりますし、特に内部統制メカニズムというものが整備をされてきましたので、こういったものにしっかりアクセスをしながら、現在の監査役は機能しているわけですけれども、世の中の認識としてはどうも昔のイメージが残っている、こういうことかというふうに思っております。
そういう中で、メーンバンクシステムというものが、バブルの崩壊、金融危機などを経て機能しなくなってきた。そして、持ち合いも解消され、また、グローバル化というものもこの間進展をしてきたということで、これまでとは異なるガバナンスの原理というものが日本
企業にも求められるようになってきたんだと思います。
この新しいガバナンスの要求に対して適用していくというこの過程が一連の商法、
会社法の
改正ということであったというふうに考えているところでございます。
ただ、実際には、変化した実情と
制度の間での不整合というものが起きて、それが低い
収益力につながっていたり、累次にわたる
不祥事ということにもつながってきている、こういう側面があった。そういう中で、
株主のエージェントという形で、新しいガバナンスの原理としての
社外取締役の導入の促進ということが求められてきている、必要性が浮上してきたというのが今回の
改正に至る大きなスコープでの経緯なのかなというふうに思っております。
そういう流れの中での今回の
改正案でございますけれども、ポイントは、コンプライ・オア・エクスプレーンという
ルールを導入したということが
一つの特徴となっていると思います。すなわち、
社外取締役を置かない上場
企業等には、置くことが
相当でない
理由を
株主総会で
説明することを法文に明示して、そしてまた、同時に、法
施行後二年で、必要があると認めるときには、設置
義務づけ等所要の措置を講ずるという見直し条項も附則に盛り込んでいるところでございます。
いろいろな議論がございました。これは法文で直接
義務づけをするべきだ、こういう議論も有力説として
一つあったわけでございますけれども、一方で、今回の
改正案のたてつけについて、これはコンプライ・オア・エクスプレーンという
ルールも非常に厳格に求める部分がございますので、本
改正によって事実上
義務づけに等しい
効果があるというふうに
指摘する声も世の中であるわけでございます。
こうしたことを踏まえて、
大臣に、今回の
改正案の狙い、こうしたたてつけになっていることも含めてでございますけれども、そして、これによって期待される
効果といったものを御教示いただければと思います。