○椎名
委員 ありがとうございます。
そうなんですね。トータルで今おっしゃっていただきました
判事九十人それから
判事補二十五人ということで、毎年大体一桁なんですよね。
判事補からなる人と比べると、やはり圧倒的に少ないわけです。
原因は種々いろいろあるかと思いますけれども、もちろん……(発言する者あり)今コメントをちょっと外からいただきましたけれども、
弁護士の給料ということを確保していくとか、お客さんが離れてしまうのをどうするという問題がもちろんあるわけですけれども、これは去年も同じお話をしたような気がしますけれども、大手
事務所のパートナーになりたてぐらいの、ちょうど十年目前後ぐらいの
弁護士というのは、
自分のお客さんを持っているわけではなくて
事務所のお客さんの仕事をしているということが非常にある、さらに言うと、専門性が高い仕事をしている
人たちがいるというところで、ぜひとも大手
事務所に直接働きかけをしたらいかがかということを
裁判所にぜひお願いしたいんですね。
今現状で、この
弁護士任官については、基本的には、適格者と
裁判所が認める優秀だと思われる
弁護士をいわば一本釣りする形を
弁護士会を通じてお願いしている、そういう方法でやられているかと思いますけれども、そうではなくて、例えば、最高
裁判所のホームページに
弁護士任官募集というリクルートページをつくるとか、それから大手
事務所に直接働きかけをしてみるとか、こういったことをやってみたらいかがかということをお願い申し上げたいというふうに思います。
何がいいかというと、私自身が先ほど一言申し上げましたけれども、やはり特に専門性というところがあるかというふうに思います。
東京地裁の知財部でも、それから知財高裁でも、こういう専門分野をやる部署というのがもちろん
裁判所の中にはありますし、東京地裁の中でも、
企業法務を扱う部署、それから倒産を扱う部署というのがございます。こういったところについて、それぞれずっと、倒産であれば申し立て側または管財人側という形で専門性を培ってきた
弁護士を
裁判所の中に入れるということで、新たな化学反応が起きるだろうと思いますし、知財
弁護士をやってきた
方々を知財部の中に入れるということで、
民間の視点でさらに専門性の高いことをしていくことができると思うんですね。
弁護士任官というと、どうもいつも
判事として十年の雇用でということを原則として考えるわけですけれども、例えば非常勤というか短期でやるという
制度設計も考えられてしかるべきだというふうに私自身は思っています。なので、ぜひ御検討いただくべきことかなというふうに私自身思っております。
もう一点ですけれども、今度は
大臣に伺いたいんですけれども、法曹三者の人材交流ということについて御所見をいただきたいなというふうに思います。
法曹一元というのは、いろいろ勉強してみましたけれども、どうやら明治以来の
弁護士会の悲願ということで、半ばスローガンみたいなところがあるんですけれども、法曹一元とは何ぞやという定義をいろいろ見てみると、要は、
判事補という
制度を廃止して、
弁護士から
判事への任官を進めていく、本来的にはそういうことを望んでいる
制度設計なんだというふうに理解をしています。
そう考えると、毎年百人ぐらい新任の
判事補を
弁護士から供給していくということになりかねないので、さすがにそれはちょっと現実的ではないと正直思います。しかし、法曹一元の理想の背景にあるのは、
裁判所のキャリアシステムに基づく官僚化というか判断の硬直化というか、そういったものを防止しようという発想に基づくものだと思います。
先ほど言及しました、昔、最高裁の
事務総局にいたと言われる瀬木比呂志先生が、
裁判所のキャリアシステムというか官僚化というところについて、おもしろい表現をしています。「日本の
裁判所の最も目立った特徴とは何か? それは、明らかに、
事務総局
中心体制であり、それに基づく、上命下服、上意下達のピラミッド型ヒエラルキーである。」そういう表現をしているわけですね。
こういうふうに、中にいた人がそんなことを表現するような、ルサンチマンみたいなところもあるかもしれないので何とも言えないんですけれども、そういうふうに表現をされる
裁判所のキャリア官僚システムみたいなところについて一定の風穴をあけていくという
意味で、やはり
民間との人材交流は非常に重要じゃないかなというふうに思っています。
話が飛んでごめんなさい。今回は、最高裁の新しい長官について、寺田逸郎先生という方が最高裁の長官になられるということですが、彼は、
法務省の赤れんがの中で、赤れんがの中という表現もよくないかと思いますが、
法務省の中で二十年ぐらいキャリアを積まれてきた、
裁判官にしてどちらかというと
法務省の中で仕事を積まれてきた方みたいですけれども、こういった形での判検交流というのは随時行われているわけです。
しかし、
民間からの人材登用のないままの判検交流というのは、かえって
行政と司法の合一化みたいなものが起きて、権力分立概念という
観点から、なかなか難しい
部分もあるんじゃないかなというふうに思っていて、むしろ、やはり
民間からの人材登用を進めていくということをぜひお願いしたいわけですけれども、
大臣の御所見をいただければというふうに思います。