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吉川(元)委員(吉川元)
○
吉川
(元)
委員
ちょっと、非常にわかりづらい中身でありますし、またこれも次回以降少し
質疑
させていただければというふうに思います。 時間がもう余りないので、次に、お手元にお配りの資料に基づいて少し質問させていただきたいと思います。 これは、昨年九月の二十五日、中教審
大学
分科会の第三回
組織運営部会
に文科省自身が提出された資料です。一枚目は、私立
大学
の意思決定について、
理事
長、
理事会
、
学長
、
教授会
等々のうちどの機関が強い影響力を行使しているかを示したものです。 このうち
教授会
は、教学計画で四四%という数字になっています。これは、
教育研究
を進める上で教学計画は切っても切れない関係ですから、高い数字が出るのは当然なんだろうというふうに思います。 ところが、問題なのは、施設計画あるいは財務計画です。
教授会
は、施設計画についてはわずか一%しか強い影響を与えていない。そして、財務計画については、何とこれは〇%。要するに、施設や財務という経営に関する
事項
で
教授会
が影響力を行使していない、あるいは行使できない状況になっているのではないんですか。
学長
の
リーダーシップ
を発揮させる、そのためには、経営に口出しをしている
教授会
が関与してはだめだということが立法事実のはずですけれども、そのような事実は、これは文科省自身が出されたアンケートですけれども、表ですけれども、ここからは全く読み取れないんですけれども、どういうことでしょうか。
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2014-06-04 第186回国会 衆議院 文部科学委員会 第21号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十六年六月四日(水曜日) 午前九時
開議
出席委員
委員長
小渕
優子
君
理事
中根 一幸君
理事
丹羽
秀樹
君
理事
萩生田光一
君
理事
山本ともひろ君
理事
義家
弘介
君
理事
笠 浩史君
理事
鈴木 望君
理事
稲津 久君
青山
周平
君
池田
佳隆君
小此木八郎
君
大見
正君
鬼木
誠君
勝沼
栄明君
神山 佐市君
菅野さちこ
君
木内
均君 工藤 彰三君
熊田
裕通
君 小林 茂樹君 桜井 宏君 新開 裕司君
武井
俊輔
君
冨岡
勉君
中谷
真一
君
中山
展宏
君 永岡 桂子君 野中 厚君 馳 浩君
比嘉奈津美
君
星野
剛士
君
細田
健一
君
前田
一男
君
宮内
秀樹
君 宮川 典子君
八木
哲也
君
菊田真紀子
君 細野
豪志君
吉田
泉君 椎木 保君 三宅 博君 中野
洋昌
君 柏倉 祐司君 井出
庸生
君
宮本
岳志
君 青木 愛君
吉川
元君 山口 壯君 …………………………………
文部科学大臣
下村 博文君
文部科学大臣政務官
冨岡
勉君
政府参考人
(
文部科学省大臣官房長
) 戸谷 一夫君
政府参考人
(
文部科学省高等教育局長
)
吉田
大輔君
政府参考人
(
文部科学省スポーツ
・
青少年局長
) 久保 公人君
参考人
(
国立大学法人大阪大学総長
)
平野
俊夫
君
参考人
(
早稲田大学理事
) (
早稲田大学政治経済学術院教授
)
田中
愛治
君
参考人
(
名古屋大学名誉教授
)
池内
了君
文部科学委員会専門員
久留 正敏君
—————————————
委員
の異動 五月二十七日
辞任
補欠選任
宮本
岳志
君
志位
和夫
君 同月二十九日
辞任
補欠選任
志位
和夫
君
宮本
岳志
君 六月四日
辞任
補欠選任
青山
周平
君
中谷
真一
君
池田
佳隆君
中山
展宏
君
木内
均君
勝沼
栄明君
熊田
裕通
君
星野
剛士
君
比嘉奈津美
君
鬼木
誠君
宮内
秀樹
君
武井
俊輔
君 同日
辞任
補欠選任
鬼木
誠君
大見
正君
勝沼
栄明君
木内
均君
武井
俊輔
君
宮内
秀樹
君
中谷
真一
君
青山
周平
君
中山
展宏
君
前田
一男
君
星野
剛士
君
八木
哲也
君 同日
辞任
補欠選任
大見
正君
比嘉奈津美
君
前田
一男
君
池田
佳隆君
八木
哲也
君
細田
健一
君 同日
辞任
補欠選任
細田
健一
君
熊田
裕通
君
—————————————
五月三十日 首長や国の
権限
を強め
教育
への
政治支配
を強化する
地方教育行政法改正反対
に関する
請願
(
赤嶺政賢君紹介
)(第一〇五七号) 同(
笠井亮
君
紹介
)(第一〇五八号) 同(
穀田恵二
君
紹介
)(第一〇五九号) 同(
佐々木憲昭
君
紹介
)(第一〇六〇号) 同(
志位和夫
君
紹介
)(第一〇六一号) 同(
塩川鉄也
君
紹介
)(第一〇六二号) 同(
高橋千鶴子
君
紹介
)(第一〇六三号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第一〇六四号)
教育予算
の増額、
教育費
の
無償化
、
保護者負担軽減
、
教育条件
の改善に関する
請願
(
玉城デニー
君
紹介
)(第一〇七七号)
私立幼稚園教育
の充実と
発展
に関する
請願
(
吉川元
君
紹介
)(第一一〇六号)
教育費負担
の
公私間格差
をなくし、
子供たち
に行き届いた
教育
を求める
私学助成
に関する
請願
(
秋本真利
君
紹介
)(第一一四三号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
学校教育法
及び
国立大学法人法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第八〇号) ————◇—————
小渕委員長(小渕優子)
1
○
小渕委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
学校教育法
及び
国立大学法人法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 本日は、
本案審査
のため、
参考人
として、
国立大学法人大阪大学総長平野俊夫
君、
早稲田大学理事
、
早稲田大学政治経済学術院教授田中愛治
君及び
名古屋大学名誉教授池内了
君、以上三名の方々に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
をいただき、まことにありがとうございます。
本案
につきまして、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
をお聞かせいただき、
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
参考人各位
から一人十分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、御発言の際はその都度
委員長
の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、
参考人
から
委員
に対して
質疑
をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御了承ください。 それでは、まず、
平野参考人
にお願いいたします。
平野参考人(平野俊夫)
2
○
平野参考人
おはようございます。
大阪大学総長
の
平野俊夫
でございます。 本日は、
学校教育法
及び
国立大学法人法
の一部を改正する
法律案
の御
審議
に当たり、このような貴重な
機会
を頂戴し、まことにありがとうございます。まずもって、
小渕優子委員長
を初め、御列席の
衆議院文部科学委員会
の
委員
の
皆様方
に心より感謝申し上げる次第でございます。
大阪大学
は、今から十七年後の
平成
四十三年、つまり西暦二〇三一年に
創立
百周年を迎える
国立
の
研究型総合大学
でございます。
本学
の原点は、かの
緒方洪庵
が一八三八年に大阪の船場に設立した
適塾
であり、
適塾
は、
福沢諭吉
など多くの俊英を輩出し、
近代日本
の
形成
に大きく貢献いたしました。 現在、
本学
は、十一の
学部
、十六の
大学院研究科
、五つの
附置研究所
、
二つ
の
附属病院
などで
構成
され、
学部学生数
は一万五千名余りと、
東京大学
をしのいで
国立大学最大
であり、また、
外国人留学生
は約二千名、海外への
留学者
は年間一千名に上り、
大学院
生を含めて全ての
学生数
は二万四千名となっております。 このような大きな
組織
を
平成
二十三年より預かっている私が日ごろ強調していることがございます。それは、二十一
世紀
における
大学
の大きな役割でございます。それは、
グローバル社会
に、
学問
を通じて物事の本質を見きわめ、調和ある
多様性
を創造し、もって心豊かな
人類社会
の
発展
に貢献することであるということでございます。 そして、このことを着実に実践することにより、
創立
百周年の節目に当たっては、
本学
が二十一
世紀
の
世界適塾
として
世界トップテン
の
大学
に名を連ねることを目指し、日々積極的に
改革
に取り組んでいるところでございます。 本日はこのような
立場
から
お話
を申し上げたいと存じます。 私は、
大学運営
においても、
学問
を介した調和のある
多様性
が
大学ガバナンス
の
基本
であり、また、それによる
多様性
と
持続性
は、特に歴史ある
国立大学
においては
生命線
になると考えています。
多様性
とは、もとより
大学
の
多様性
であります。あるいは、
部局
の
多様性
、
学問
の
多様性
、人の
多様性
を
意味
します。
多様性
があるからこそ
持続性
が担保でき、また逆に、
持続性
があることにより
多様性
も確保できます。
大阪大学
は、二十二
世紀
に輝くという
言葉
で、
学問
の府としての
持続性
と、それと一体としての
多様性
の
重要性
を訴えています。
多様性
の
基本
は、もとより
大学
の
構成員
一人一人であります。すなわち、
個人
であり、その
集合体
である
部局
、あるいは
教授会
を
意味
するものであります。個の力の
最大化
は
大学
における
多様性
の
基本
ですが、この
現代社会
においては、
社会
から
大学
に対して、さらに、個の力の
最大化
にとどまらない、その
集合体
としての
大学
全体の
最大化
、すなわち、
組織
の力の
最大化
が強く求められているものと考えています。 一人一人の
構成員
がそれぞれ自由闊達に多様な個性を発揮しつつ
最大
のパフォーマンスを上げることは、もとより
組織
の
活力向上
に資するものであり、
組織
の
運営
をしていく上で大変重要なことであります。しかしながら、それが行き過ぎると個の
方向性
がばらばらになってしまい、その結果、
組織
全体の
方向性
が定まらないどころか、厳しいあつれきすら生じかねない状況になります。
大学
の
運営
に当たっては、
大学本部
と
部局
、
個人
の間に適度な
緊張関係
を築くことも重要であります。しかしながら、この
緊張関係
を、
対立
ではなく、前に進むための
駆動力
に変換する必要がございます。これが
大学運営
の困難さですが、あるいは、困難さではありますが、
大学運営
の真髄でもございます。 では、いかにしてこの
緊張関係
を前向きの
駆動力
に変えることができるか。そのためには、志、
理念
、
戦略
、
戦術
を明確にする必要があります。その上で、
対話
と恕の心、すなわち、相手の
立場
を思いやる心が重要であると考えています。
大阪大学
では、二〇三一年の
創立
百周年には、
世界適塾
として
世界
で
トップテン
に入る
研究型総合大学
になるということを志として掲げています。
理念
としては、
グローバル社会
に
学問
により調和ある
多様性
を創造すること、このことにより心豊かな
人類社会
の
発展
に貢献することを掲げています。そのための
戦略
として、
大阪大学未来戦略
、副題は二十二
世紀
に輝くを策定いたしました。また、
戦略
を達成するための
戦術
としては、
世界トップテン
を目指すさまざまなプログラムを策定し、実行に移しつつございます。 以上に述べましたことに留意しながら、日ごろ、
学内
のさまざまな
課題
に取り組んでいるわけでございますが、本日は時間に限りがございますので、
一つ
だけ
具体例
の
紹介
をさせていただきたく存じます。
大阪大学未来戦略
の中で、八カ条の
改革
の重点を
学内
に広く提示いたしました。その第一に掲げてありますのが、
未来戦略機構
の創設ということでございます。
未来戦略機構
と申しますのは、
本学
の
戦略的司令塔
としての機能を担いつつ、ともすれば
縦割り
になりがちな多くのいろいろな
部局
を横断するような
教育研究
を担当する
組織
であります。既に二年前にスタートいたしております。その長は、
総長
である私みずからが務めております。 この
未来戦略機構
で
部局
横断的な異
分野融合領域
のインキュベーションというものに取り組んでいるわけでございますが、それを通じて
大学
全体の力を
最大化
し、さらなる困難な
課題
に臨んでいくことで、従来の
発想
にとらわれない新たな
教育研究
上の
課題
を見出すことを可能とし、
本学
が新たな
教育研究領域
へと将来にわたり持続的に
発展
していくことにつなげていこうと考えているわけでございます。 こうした新たな取り組みに積極的にトライする中で、とりわけ、その
基盤
となる
人事給与システム
には特段の意を用いております。そうした
基盤部分
の
柔軟化
を積極的に進め、個々の
構成員
にインセンティブを付与し、
対話
を介して全学的な
合意形成
をしながら
組織改革
を進める、これが、先ほど来申し上げている、個の力と
組織
の力の
最大化
を通じて調和ある
多様性
の創造をなし遂げるための最良の方法であると私は確信いたしております。 もとより、大小を問わず、どのような
組織
であっても、
権限
と
責任
が一致している必要があります。その上で
大学運営
を円滑に進めていくためには、トップダウンとボトムアップの双方からの
発想
が不可欠であります。すなわち、両者がよい
意味
での
緊張関係
に立ちながら、それを、
対立構造
ではなく、
未来
に向けての
活力
へと転換していくことが
大学
の
発展
のためには重要だと考えているのであります。 このような
発想
を
基本
とすれば、今回の
法改正
の趣旨でございます、
学長
が、
大学
の
構成員
の
一つ
の単位である
教授会
の
意見
を聞きながら
リーダーシップ
を発揮して
大学運営
に当たるという点、さらに、
社会
の理解を得ながら
ガバナンス改革
を進めていくという点、この二点において、今回の
法案
によってさまざまな点を改めていただけるということであり、その
意味
におきまして、志を持って積極的に
未来
を切り開こうとしている
大学
を後押しいただける、
大変意義
のある御提案と考えております。 以上、必ずしも
言葉
を尽くし切れませんが、本
法案
について私の考えるところを申し述べさせていただきました。 本日は、貴重な
機会
をいただき、まことにありがとうございました。重ねて御礼を申し上げます。(拍手)
小渕委員長(小渕優子)
3
○
小渕委員長
ありがとうございました。 次に、
田中参考人
にお願いいたします。
田中参考人(田中愛治)
4
○
田中参考人
皆様
おはようございます。
早稲田大学
の
田中愛治
と申します。 本日は、
参考人
として
意見陳述
の
機会
を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
小渕委員長
、
委員会
の
皆様
、本当にありがとうございます。 恐縮ではございますが、誤解を避けるために、
意見
を陳述する前に一言お断り申し上げます。 私は、現在、
早稲田大学
の
教務部門総括
の
理事
を担当しておりまして、また、昨年は
中央教育審議会大学分科会
の
組織運営部会
の
委員
を務めておりました。しかしながら、本日私が
お話
しいたしますことは、
早稲田大学
の
理事会
の
意見
を代表するものでもございませんし、また、
中央教育審議会組織運営部会
の
意見
を代表するものでもございません。本日は一
大学人
として私
個人
の
意見
を申し述べさせていただきますことを御理解いただければと存じます。よろしくお願いいたします。 では、早速本題に入らせていただきます。
大学
の
ガバナンス
における
重要事項
ということを考えさせていただいております。
大学
の
ガバナンス
に関しましては、
重要事項
は主に三つあるというふうに存じております。 第一に、高い
教育研究
の質を保つことでございます。すぐれた
教育
を
学生
に提供し、すぐれた
人材
を世に送り出すこと、また、すぐれた
研究
を生み出して、
大学
が
社会
、また
世界
に貢献すること、これが
大学
の
一つ
重要な
使命
であるというふうに存じております。 第二には、
学生
の入学でございます。すぐれた
学生
を入学させることは各
大学
にとって重要なことでありますが、それにも増しまして、それらの
学生
に質の高い
教育
を提供し、優秀な
人材
として育成し世に送り出すこと、このことが非常に重要なことであるというふうに存じております。 しかしながら、この
二つ
の目的、第一の、すぐれた
教育研究
の質を保つということ、第二の、すぐれた
学生
を育成するということ、この
二つ
とも、すぐれた
教員
がいればこそ可能であるというふうに考えておりまして、
大学
がいかにすぐれた
教員
を
採用
してその
使命
を果たすかということが重要であるというふうに考えております。 その
意味
では、本日は
大学
の
ガバナンス
について考えさせていただきますが、特に
教員人事
に絞って
お話
を進めさせていただきたいと存じております。 私は、実は二〇一一年と二〇一三年に
アメリカ
と
イギリス
の
大学
をヒアリングし、調査いたしました。私自身が
大学院教育
は全て
アメリカ
で受けたということがございまして、
アメリカ
の
大学教育
はかなり肌で知っているつもりでございましたが、改めて二〇一一年、一三年に、
アメリカ
では
ハーバード大学
、
イエール大学
、
コロンビア大学
、
イギリス
では
オックスフォード大学
、
ケンブリッジ
大学
を訪ねまして、かなり多くの
先生方
の
お話
を伺いました。 その中で、
教員人事
に関して欧米の
トップ大学
と言われているところが
ガバナンス
というものをどのように維持しているかということを勉強させていただきました。そのことについて触れながら
お話
を進めさせていただきます。
アメリカ
の
大学
の
教員人事
の
審査過程
でございますが、
ハーバード
、
イエール
、
コロンビアとも
に、
原則
として、
教員
の
採用
は
国際公募
をしております。英語で
授業
をするということが
原則
ではございますが、全
世界
に募集を周知し、
世界じゅう
から、その公募している
分野
で教えられる方、また
研究
できる方を
採用
するということをしております。
原則
として、
教員
の
採用
は、各
学部
の
学科
でありますが、いわゆる
デパートメント
に委ねられています。もしくは、
大学院
でいえば
研究科
に委ねているということがあります。 このことに関してはもう少し深く申し上げたいと思います。 しかしながら、単に
デパートメント
にその
人事
の
裁量権
を全て委ねているのではなく、
大学
の
中央
の
執行部
、特に
教学担当
の副
学長
、
アメリカ
では
プロボスト
と呼んでおりますが、
教学担当
の副
学長
がモニターしております。もちろん一人ではなく、
プロボストオフィス
というものがあり、その
プロボスト
の下にバイス
プロボスト
がいて、また、職員もいる中でモニターするわけでありますが、それで何をモニターするかと申しますと、各
学科
の
人事選考
の
過程
が
透明性
を保っているか、また、
公平性
が保たれているかということを見ているわけでございます。 モニターする具体的な内容について申し上げますと、例えば、
公募期間
は十分に長く、
世界じゅう
に周知できているか。 例えば、非常に短い
公募期間
でございますと、その
大学
の
関係者
、もしくはその
選考委員
の
先生方
のお
弟子
さん
たち
にはすぐに周知されますが、
世界じゅう
からの応募を得ることは難しいので、二カ月とか、ある程度長い
期間
をかけて周知する必要があるということ、そういうことも
プロボストオフィス
では見るわけでございます。 また、
人事選考委員会
の
教員
の
構成
も、それが妥当なものであるかということを見るわけでございます。 例えば、
人事選考委員会
の
メンバー
である
教員
の
弟子
が応募している場合、その場合、自分の
弟子
の
審査
は、その
担当教員
は、公平な
判断
を下すに当たっては
利益相反
が生じるということになりますので、
審査過程
、その
人事選考
の
過程
から外れることが求められるということでございます。 したがいまして、その
人事選考委員会
の
メンバー
の
構成
が公正で妥当なものかということを、その
デパートメント
の中だけではなく、
大学
の
中央
の
プロボストオフィス
が見るというような、外からのチェックを入れて
公平性
、
透明性
を担保しているということがございます。
教員人事
の
構成
が、例えば性別、人種、国籍などに偏りがないか、また、
学問分野
も偏り過ぎていないかということもモニターいたします。 例えば、私は
政治学
ですが、
政治学
のある
分野
、私ですと
選挙
の分析が
専門
でございますが、
選挙研究
の者ばかりで
人事選考委員会
が
構成
されれば、どうしても狭い
分野
の見方になりますし、その
分野
を知っている人間の
弟子
を
採用
する
可能性
が高くなってしまいますが、それをもう少し広い目で見るということで、その
人事選考委員会
の
構成
が妥当で、幅があるかということもチェックするということがございます。 そのような
プロボストオフィス
のモニターというものがございます。
人事選考過程
というものが不透明または不公正であると
判断
いたしますと、
教学担当
の副
学長
、
プロボスト
からは、その
学科
にその
人事
の差し戻しを、
審査
をやり直すようにということを命じるということがあるというふうに聞いております。その回数は非常に少ないと聞いておりますが、ゼロではない、たまにそういう大なたを振るうこともあるというふうに聞いております。 しかしながら、重要なことは、同時に、各
学部
の
学科
または各
大学院
の各
研究科
の
専攻
でございますが、その
専攻
、
学科
の
専門
的な
判断
を尊重するということもございます。 例えば具体的には、
学長
や副
学長
がどの
候補者
を
採用
するようにというような指示は出さないというふうに聞いております。各
学部
の
学科
もしくは各
大学院研究科
の
専攻
が下す
学問
上の
専門
的な
判断
を尊重するということでございます。 例えば、
政治学
を担当する
学長
が、もしくは副
学長
が、
物理学
の
専門分野
のこの人の方がいいんじゃないかということは言わないということでございます。これも
大学
によって少し差がございます。 ただ、共通しておりますのは、
手続
の公正さ、
透明性
が担保されているかどうかというものを見きわめるというふうに、
大学
の
本部
と各
学部
、
研究科
との間に非常に
緊張関係
はございますが、過剰な干渉は行わないということが言われております。 しかしながら、米国の中でも
大学
間の異なる差がありまして、
イギリス
と
アメリカ
でも異なっております。例えば、
ハーバード
、
イエール
、
コロンビア
の三
大学
を比較いたしますと、
コロンビア大学
が最も
中央
集権的で、
ハーバード
が最も分権的、
イエール
がその中間のようになっています。 例えば具体的には、
コロンビア大学
では、
A候補
、
B候補
、
C候補
と最後に三人の
最終候補
が並んで面接に来た場合に、Bという者を
デパートメント
が選んだ場合に、その
推薦状
のとり方は八通であるので足りない、十五通の
推薦状
を、
物理
なら
物理
の
分野
、全米、全
世界
から集めて
推薦状
を見直して、BよりもCの方がすぐれていないかということを、
意見
を突き返すということは聞いております。ただ、これもあくまでも
最終判断
は
デパートメント
に任せるというふうなことでありますが、その
判断
が正しいかどうかという
意見
を言うということは聞いております。 しかし、
ハーバード
と
イエール
では、どの
候補者
がどの
候補者
よりもすぐれているという
判断
はしない。そこは禁欲的に、
手続
の
公平性
が妥当かどうかだけを指摘するにとどめるというふうに聞いております。 これに対しまして、
イギリス
の方はかなり分権的でございます。
オックスフォード大学
と
ケンブリッジ
、
ケンブリッジ
の方が
オックスフォード
よりも
中央
の力が強いというふうに聞いておりますが、
オックスフォード大学
ではかなり分権的でありまして、特に
社会科学部門
、ソーシャルサイエンスディビジョンでは徹底した
改革
をしております。
オックスフォード
、
ケンブリッジとも
に、二〇〇〇年のころに
大改革
をしております。
アメリカ
の
大学
は、一九三〇年に、
ヨーロッパ
の
一流大学
に追いつくという決意を固めて、一九七〇年に追い越したと言われております。一九七〇年からは、
アメリカ
の
大学
が
世界
のモデルとして
ガバナンス
の強さを示してきたと言われておりますが、九〇年から二〇〇〇年にかけて、
ヨーロッパ
の
一流大学
、特にオックスブリッジの両
大学
は
アメリカ
に追いつくということを決意し、二〇〇〇年に
大改革
をしたというふうに聞いておりますが、その結果、両
大学とも
に相当の
改革
をしております。 その中で、
オックスフォード大学
の
社会科学部門
の
改革
は非常に際立っておりまして、ここでは、
学生数
、
授業料
、
教員
の人数、
教員
の
給与
など、各
デパートメント
に
権限
を与えるということをしております。
イギリス
は非常に複雑なので、また御質問があればお答えいたしますけれども、カレッジという
縦割り
以外に
デパートメント
という
横割り
の
組織
をつくっているわけですが、その中で
デパートメント
が
研究者
の
人事
を行うわけですが、そこにおいては完全な分権をしたということです。ただ、そのままでは済まないということで、
権限
と
責任
の一致を明確にしたというふうに聞いております。各
学部
、
研究科
が
権限
を持っている
事項
においては、
責任
を担うということを明確にしたというふうに言っております。 このことに関しまして申し上げますと、
日本
の
大学
におきましても、
学長
の
リーダーシップ
を高め、
改革
を進めていく必要が非常に叫ばれておりますし、私どももそのように考えておりますが、
教授会
の
権限
を制限する、もしくは
学長
の
権限
を強めるだけではなかなか
改革
は進まないということも感じておりまして、
二つ
のことが必要だと思っております。
一つ
は、今申し上げました、各
学部
、
研究科
の
責任
と
権限
を一致させるということ。各
学部
が
権限
を持っている
事項
に関しては
責任
もとるという覚悟も必要であると同時に、
学長
と教職員が価値観を共有することが重要であるというふうに考えております。
本学
早稲田大学
では、
創立
百五十周年になります二〇三二年の早稲田の姿を描きましたワセダ・ビジョン一五〇というものを策定いたしました。これを二年前の二〇一二年に策定いたしまして、当時から見ると、二十年後の早稲田の姿というものを決めました。 その中でそのビジョンを共有することに努めまして、現在何が行われているかと申し上げますと、各
学部
長また各
研究科
の長がそれぞれの
改革
のアイデア、アクションプランを出し合いまして、
総長
や
理事
とともに協議しております。このような
意見
交換をする中で、
総長
と各
学部
長
たち
が
改革
についての価値観の共有を図るということをしております。 これが
一つ
の形での
総長
の
リーダーシップ
を強めるという努力でございますけれども、このような形で、私どもの考え、これは私
個人
の
意見
になりますけれども、
二つ
のこと、繰り返しますけれども、
大学
改革
推進のために
ガバナンス
強化が必要でございますが、その
一つ
には、各
学部
、
研究科
の
権限
と
責任
を明確にし、それを一致させること、また、
学長
と教職員の価値観の共有というものが重要であろうというふうに考えております。 そのような
意味
で、
学校教育法
及び
国立大学法人法
の一部を改正する
法案
の御
審議
に何かお役に立てば幸いでございます。 どうも失礼いたしました。(拍手)
小渕委員長(小渕優子)
5
○
小渕委員長
ありがとうございました。 次に、
池内
参考人
にお願いいたします。
池内参考人(池内了)
6
○
池内
参考人
おはようございます。
池内
です。 私は、ことしの三月まで
大学
に勤めておりまして、最後は総合
研究
大学院
大学
というところで
理事
をやっておりまして、幾つか、文部行政というのか、そういうことを直接扱う事柄が多くありました。かつ、私は、勝手に威張っておるわけですが、
国立大学
を五つ回ってきました。京大、北大、東大、阪大、名大と回ってきまして、いろいろな
大学
のいろいろなやり方、考え方、そういうのを経験してまいりました。その中で、
大学
というのはどうあるべきかということを常々考えてきたわけであります。 私は、直接、今回提案されている
学校教育法
及び
国立大学法人法
を一部改正する
法律案
がこの
委員会
の主たる議案でありますから、それに対して、的を絞って私の思うところを述べさせていただきたいと思います。 私は、今回の
法律案
、特に
学長
の役割の明確化ということですか、無論、そこに一応一番の焦点が当たるわけですが、ありていに言いまして、
学長
の
リーダーシップ
とか
ガバナンス
強化ということもいろいろ言われておりますが、要するに、
学長
の決定に少しでも影響を与えかねない
教授会
をおとなしくさせて、
学長
が今まで以上に思いどおりにできる、
運営
できる条件を整えようという意図が背後に隠れている、これはそういう印象が強いわけです。 これまでの国会
審議
の速記録なんかを見ましても、
学長
に特別な
権限
を与えるわけではないとおっしゃっている。まさに私はそうであると思っております。
権限
を与えるのではなくて、周りの条件を、
教授会
が関与できる部分を縮小した結果として、
学長
の
権限
が自由に振る舞えるような条件づくりをやろう、そういうことでありますね。 その結果としては、
教授会
がいろいろな問題に関与できなくなる、そして、
教員
は
大学
全体の
運営
に興味をなくして、個別化してばらばらになる、
大学
が一体として
教育
や
研究
あるいは地域貢献などを行う情熱を失ってしまう、その危険性が非常に高いと私は考えております。 その結果として、本当に望まれている、知的
基盤
社会
を
構成
し機能させる
人材
を養成するという、
大学
の非常に重要な
社会
的責務を全うできる条件がどんどん小さくなっていく、私はそのように非常に憂えております。
大学
は、そもそも知の共同体と言われております。インテリジェンスの共同体です。そこで自由な
研究
、
教育
、
意見
交換、それから自由な
意見
表明、これは不可欠なわけです。それが
学問
の自由あるいは
大学
の自治の根幹であり、現実に定着してきました。いろいろな形で、憲法にも「
学問
の自由」ということが明記されております。 したがって、
教育
と
研究
にかかわる問題は、
大学
を
構成
する人間誰しもがいろいろな形で
責任
を持って、かつ、
責任
を持ってやるということにやりがいを感ずるものなんですね。まさにそこが、
大学
でいろいろ学び、あるいは教え、あるいは
研究
をし、それでいろいろな地域貢献を果たしていく、そういう、
大学
を
構成
する人間のやりがいがそこにあると思います。 したがって、
大学
の自治というのは、
大学
を
構成
する人間、それは
教員
であれ、事務員であれ、院生であれ、
学生
であれ、それぞれの
立場
に応じた
責任
範囲で行うべきです。無論、いろいろな
責任
の幅があります。
学長
なら、
学長
というのは一番大きい幅が無論あるとは思います。
教授会
の自治というのも、当然ながら、非常に重要な側面をなしております。
教授会
の自治のみで全て決まるというふうなことは私は一言も申しませんし、
教授会
の自治が根幹をなすという
意味
で非常に重要であるというわけです。それは要するに、教授というのが
教育研究
の根幹にかかわることに主な
責任
を持っておるということです。それから、
教育研究
の内容をよく知っている、
学生
たち
と日常的に接している、彼らの状況をよく把握しているというわけです。 ということで、
学生
全体あるいは
大学
全体の事柄に関して最も状況を把握しやすい条件にあるのが教授である、その教授
たち
の自由な
意見
の交換こそが
大学
の自治を形づくっていく
基本
条件である、このように私は考えております。 今回の
教授会
の役割の明確化という
法案
の中で、
教授会
が、
学生
の入学、卒業及び課程の修了、学位の授与、その他
教育研究
に関する
重要事項
で
学長
が
教授会
の
意見
を聞くことが必要であると認めるものについて、
学長
が決定を行うに当たり
意見
を述べることとするというふうに改正案がなっております。ここには、
学生
の身分にかかわること、それから
教育
課程の編成にかかわること、
教員
の
研究
業績等の
審査
もこの身分にかかわることであると思うんですが、そういう事柄に関しては一切規定されていないわけです。 極論いたしますと、
リーダーシップ
ということをえらく頭に置いた
学長
さんが出たとしますと、
教授会
の
意見
を聞くことが必要であると認めなければ聞く必要がないわけです。あるいは、
学長
等の求めに応じて
意見
を述べることがある。求めがなければ
教授会
は
意見
を述べることができないわけです。 ということは、極論しますと、
教授会
は、一年に一回、三月にだけやればよろしい、卒業と入学と学位の授与だけをやればよろしい、それ以外は、
学長
が求めに応じあるいは必要に応じということを認めなければ、
教授会
がたとえあったとしても、何ら
意見
を表明することはできないわけです、
学長
に対して。 無論、そういう
学長
にはならないであろうとおっしゃるであろう。しかしながら、私自身が一番心配するのは、出発点においてはそうであったとしても、例えば、一人そういういわば変な
学長
があらわれましてそういう規定にしてしまったとすると、それを変えることは非常に難しくなる。それが当たり前のようになっていくというわけです。だから、私自身は、
権限
の濫用ではなくて、結果的に、
学長
が
権限
を強化していく状況が生まれていくというふうに思っております。 私は、
教授会
の自治という言い方をいたしますと、
教授会
自身が、今の
教育研究
にかかわること、
学生
の身分にかかわること、
教育
課程の編成にかかわること等いろいろ、これは
教育研究
に密接に関連していることですから、当然、規定するならば規定すべきであると思っております。 が、それ以外に、
学長
人事
を含めて
大学
全体にかかわる
人事
、それから予算配分とか
大学
の
運営
方針、あるいは
学部
にかかわる部長、教授の
人事
、
学部
の
授業
等について
審議
し
意見
を交わすことが非常に重要な事柄であり、それが、
大学運営
全体に目配りして、特に
教員
や
学生
の
立場
からの視点を生かしていく、
大学運営
にそういう
意見
を生かしていく。私自身は、それを明文化しておかなければ、
教授会
の
意見
が聞かれなくなって、結果的には、教授がそういう
意見
を聞かれないあるいは
意見
が
採用
されないということは、狭い
意味
での教学
事項
の議論しかできなくなって、視野の狭い
教員
になってしまうというふうに思っております。 その
意味
で、幅広い、まさに
多様性
と
平野
先生がおっしゃいましたが、
多様性
のある
大学
、それをいかにまとめ切って
ガバナンス
につなげるか、
リーダーシップ
を生かしていくかということが
学長
の腕の見せどころなんですよ。 そういうことを全部排除していって、剥ぎ取って、
学長
さん、自由におやりなさい、それでは本当の
大学
の自治あるいは
学問
の自由というのは今後守られていくかどうか、私は非常に心配でありまして、この点に非常に大きな懸念を抱いております。 以上であります。どうもありがとうございました。(拍手)
小渕委員長(小渕優子)
7
○
小渕委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の方々からの
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
小渕委員長(小渕優子)
8
○
小渕委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。神山佐市君。
神山委員(神山佐市)
9
○神山
委員
おはようございます。自由民主党の神山佐市です。よろしくお願いいたします。 各
参考人
の
皆様
には、大変お忙しい中御
出席
いただきまして、また、貴重な
お話
をお聞かせいただきましたことに、心より感謝申し上げる次第であります。 特に
平野
総長
には、自由民主党の
日本
経済再生
本部
、文部科
学部
会の合同勉強会の際にも講師としてお越しをいただきましたことに、心より感謝申し上げる次第であります。また、調和のある
多様性
の確立を基軸とした
大学
観や
ガバナンス
、
大学運営
についての御
意見
など、
日本
でも有数の
国立大学
の
学長
として、
世界トップテン
に向けたさまざまなプログラムを策定されるなど、実際に大変意欲的に
大学
改革
を進めておられる経験を踏まえた高い見地からのお考えを数多く賜り、非常に勉強になりました。 では、限られた時間でありますので、質問に入らさせていただきます。
大学
改革
においてしばしば指摘される問題として、
権限
と
責任
の一致という問題があります。例えば、
大学運営
に
責任
を負うのは法律上は
学長
とされていますが、実態としては
教授会
が意思決定を行っている場合も多く、その場合、
学長
は
責任
だけを問われることになりかねません。
大学
が
責任
ある
運営
を行っていくためには、
権限
と
責任
の一致という考え方は非常に重要であり、
教授会
についても、この観点から見直ししていくことが必要であると考えます。 言うまでもなく、
教授会
には、やはり
教育
の
専門
家として、
教育研究
についての
専門
知識を持ってきちんと本来の役割を果たしていただくことは重要だと思いますが、
権限
と
責任
の一致の観点から、
大学
の最終的な決定権者として位置づけられている
学長
と
教授会
の関係をどのように考えていくべきなのか、どうあるべきなのかなどについて、まず
平野
総長
、続いて
田中
教授、その後に
池内
教授の順番で各
参考人
の方々にお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
平野参考人(平野俊夫)
10
○
平野参考人
ただいまの御質問に答えたいと思います。 ただいま御指摘ありましたように、
大学
にかかわらず、どのような
組織
にあっても、
組織
を
運営
するときには、いわゆる
権限
と
責任
というのは一致していなければ、やはり
組織
は動きませんね。
責任
だけあって
権限
がない、あるいは
権限
だけあって
責任
ないんだったら、これはもう本当に無
責任
な
組織
の行動がとられる。そういう
意味
で、
権限
と
責任
はやはり一致するべきだと思います。
学校教育法
九十二条には、
学長
は校務をつかさどる、これは
責任
と
権限
、それと第九十三条に、
大学
に
教授会
を置かなければならない、重要
審議
をするということで書いてあるわけですけれども、この九十二条と九十三条、要するに、
大学
学長
の
責任
、
権限
と
教授会
の関係が現在のこの法文では非常に不明確である。それがまた今回によって整理されたものと考えています。 そうはいっても、先ほど来言いましたが、ほかの
参考人
の方も言われましたけれども、単に
学長
が強権を発して
リーダーシップ
だけを全面的に出したら
大学
がうまくいくかといったら、それでは決してありません。必ず、トップダウン、ボトムアップ、それの協調関係が最も
基本
であり、さらに重要なのは、
学長
の
リーダーシップ
というのは、結局、志とか
理念
を打ち出し、それをいかに
大学
構成員
一人一人、
教授会
を含めて一人一人に、その
理念
、志、そういう意識を共有するか、そこが
学長
の
リーダーシップ
なんですね。 その裏に
権限
と
責任
というのが一致しているということはあったとしても、これを直接発揮するためには、やはりあくまでも意志、志、それを
構成員
といかに共有するか、いかに全体的な
合意形成
を形づくっていけるか、これが
学長
の
リーダーシップ
であり、
大学運営
のやはり
基本
であります。 そういう
意味
で、今回の
法改正
は、そういう
学長
と
大学
構成員
の
一つ
である
教授会
、
教授会
といえども、これは
一つ
なんです。あくまでも
個人
が
一つ
の単位でありますが、その関係が整理されたというふうに私は理解しております。 それでよろしいでしょうか。
田中参考人(田中愛治)
11
○
田中参考人
どうも、ただいまの御質問にお答えさせていただきます。 私も、先ほど申し上げましたとおり、各
学部
、
研究科
の
責任
と
権限
の一致ということは重要でありますということは申し上げたとおりですが、具体的なことに踏み込みますと、例えば、ある
学部
もしくは
研究科
が
人事
採用
して
教員
を雇った、その
教員
は非常に優秀であるというふうに期待しておりましたが、期待どおりの
研究
が進んでいないですとか、もしくは
教育
指導上問題があるということが判明した場合には、
責任
をとる必要がある。その
責任
は
学長
がとるのではなく、その
研究科
なり
学部
が
責任
をとる必要があるということが
権限
と
責任
の一致ということだというふうに考えております。 例えばどういうことかといいますと、教授の身分はよほどの懲戒の理由がない限りは保障されておりますから、少々
教育
のレベルが低いでありますとか
研究
のレベルが低いということでその教授が失職するということはないというふうに考えておりますけれども、それが
一つ
の、テニュアという、
教育
と
研究
の独立を守るために重要だというふうに考えられているわけでございますが、例えば、それが
学部
、
研究科
の本来の目的にかなっていないとなれば、その
研究科
なり
学部
の
教員
の数、定数を一時的に
一つ
減らすというようなことも必要だろうと思います。 それはまさに
学長
と各
学部
、
研究科
との協議の中で価値観を共有していく中で起こってくることでございますが、すぐれた
大学
にして
世界
のトップレベルの
大学
になっていくんだという気概を各
大学
が持っている場合に、各
学部
、
研究科
ともにその価値観を共有し、そのために進むとなれば、失敗した場合には
責任
をとるということも必要であろうということでございます。 それからまた、ある
学部
が新しい
学科
をつくる、
大学本部
がこれはシミュレーション上、経営上難しいのではないかというときにどうするかというのは、最終的な
判断
は
学長
が決めることになると思いますけれども、その
判断
は非常に厳しい
判断
だと思います。どうすれば成功するのか、どうすればうまくいくのかということを詰めた上で、最後に、
権限
を行使した側が
責任
をとる必要があろうと思います。 ですから、
学部
の方である
学科
をつくり、どうしてもその
学科
に新しい
学生
が集まらないような場合には、その
学科
を閉じるということも
責任
の一環だというふうに考えておりますが、そのような覚悟を持って
大学運営
を進めるということが必要であろうというふうに考えている次第でございます。 以上です。
池内参考人(池内了)
12
○
池内
参考人
端的に言いまして、
権限
と
責任
という場合には、
権限
は、ある種の、こういうことをやりたい、やろう、こういう事柄ですよね。それを実施するという途中のプロセスが必要なんですよ。実施するためには、いろいろな
意見
を徴収する、いろいろな
意見
を
参考
事例にする、
平野
先生もおっしゃいましたが、共有する、そういうプロセスが必要なんです。そういうプロセスを経た上で、実施主体が
学長
であるならば、それはそれで
学長
が
責任
を持ってやる。 だから、
権限
を実行するためのプロセスにおいて全学的な
意見
が特に必要であると考えられる場合に、きちんとそれを共有していくシステムをつくるかということ、それを抜きにして、必要であるならばというふうなことだけで閉じてしまうというのは非常に危ないというふうに私は思っております。 以上です。
神山委員(神山佐市)
13
○神山
委員
ありがとうございました。 各
参考人
の方々でさまざまな御
意見
があることがよくわかりましたが、
権限
と
責任
の一致ということは、
大学運営
について非常に重要なポイントだと思います。 そこで、次の質問といたしまして、
大学
の
運営
全体に
責任
を負う
立場
である
学長
の選び方についてお伺いいたしたいと思います。
学長
の選び方については、教職員による
選挙
が行われる場合も多いようですが、現職の
国立大学
学長
として
平野
総長
から、
学長
選考のあるべき姿についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
平野参考人(平野俊夫)
14
○
平野参考人
御質問にお答えさせていただきたいと思います。
学長
をいかに選ぶかということですけれども、現在の
国立大学
学長
は、校務をつかさどるということで、
大学運営
について非常に
責任
と、ある
意味
では
権限
を持っておるわけであります。 そのときに、現在の法律では、
学長
は、
大学
に置かれた
学長
選考
会議
が選ぶ、その
学長
選考
会議
が
文部科学大臣
に申し出ることによって任命されるということになっております。それ以上のことは何も書いていないわけです。
大学
というのは公共のものであります。そして、その公共の
学問
の府である
大学
の
学長
、その
大学
の将来を非常に左右する
一つ
のキーパーソンであります。その
学長
を選ぶ規定がたったこれだけでは、やはり不十分ではなかろうかと私は思います。なぜ、どういう理由でその
学長
を選考
会議
が選んだのかということをやはり透明にして、世の中に、パブリックに公表する必要があるのではなかろうかと思います。 例えば、それぞれの
大学
に
大学
の
多様性
がございます。ということは、それぞれの
大学
によって、
大学
が目指す志であるとか
理念
はやはり異なるわけであります。そういう
大学
の志、
理念
、
大学
の
使命
を達成するためにどういう
学長
を選ぶべきか、どういう能力のある人を選ぶべきかということを、やはり
学長
選考
会議
が主体性を持って決めるべきである。決めたからには、その理由を世間に、
社会
に公表すべきである。そういうプロセスを得ることによって、
学長
の選考というのは今以上によいものになるだろうと思います。
神山委員(神山佐市)
15
○神山
委員
ありがとうございました。
改革
に意欲的な
学長
を後押しすることが本
法律案
の趣旨であることと理解しておりますが、
学長
選考のあり方が重要であるということが大変よくわかりました。 最後に、
参考人
の方々に、
日本
の
大学
をよりよいものにしていく上で一番重要なことは何かについて、まず
池内
教授、その次に
田中
教授、最後に
平野
総長
から御
意見
をお伺いいたします。よろしくお願いします。
池内参考人(池内了)
16
○
池内
参考人
私の案は非常に単純明快でありまして、現在、高等
教育
にかけられている国の予算はGDPに対して〇・五%であります。OECD諸国は一%以上であります。半分以下です。半分以下の予算しかかけずに、さまざまな事柄を
大学
に要求している。この点が一番問題でありまして、私は、予算を二倍にしなさい、それによって国際化もいろいろな事柄も、あるいは教職員の人もふやせるし、そういう状況が生まれる、それが
改革
の
基本
的な全くの第一歩であるというふうに僕は思っております。 以上です。
田中参考人(田中愛治)
17
○
田中参考人
大学
にとりまして
改革
に最も必要なことと申しますのは、やはり
学生
の目線に立つということでございますが、
学生
が求めている
教育
と
研究
を維持する、それを提供することだと思います。それだけの
人材
を、すなわち、私どもは私立
大学
でございますので私立の
立場
に立てば、その
授業料
に見合うだけの
教育
の質を提供することが重要だと思います。 ただ、もう一言踏み込んで申し上げれば、全国の
大学
の七三%は私立
大学
であり、全国の
大学
生の七三%は私立
大学
生でございますが、国庫予算の配分はそうはなっておりませんので、やはりその
意味
では、
日本
の
大学
の七割以上を占める私立
大学
の
教育
の質を上げていくということに関しては、それなりの予算的な措置というものも必要であるというふうに考えております。 以上でございます。
平野参考人(平野俊夫)
18
○
平野参考人
私は、やはりいま一度、
大学人
が
大学
の
使命
とは何かというのを考え直すべきだと思います。
大学
はもとより
学問
の府であり、
学問
を通じていろいろなことに貢献する、そして、
学問
を通じて
人材
育成に貢献し、国のために、
社会
のために貢献しているわけでございますが、二十一
世紀
においては、私が先ほど言いましたように、
学問
による調和ある
多様性
を創造することが非常に重要である。 つまり、この
グローバル社会
には、言語とか文化とか宗教とか政治体制とか、いろいろな
多様性
が存在します。こういう
多様性
というのは、人類が心豊かに
発展
するためには非常に不可欠なもので、もし均一なものであったら、味気ない
世界
になって、
未来
はありません。 しかしながら、この
多様性
というのはネガティブな側面も持っておる。すなわち、
多様性
があることによってコミュニケーションが障害されたり、場合によっては紛争になったりもするわけです。そのときに、
大学
はもう一度
学問
というのを見直して、
学問
というのは、芸術とかスポーツと並んで人類共通言語であります、こういう
多様性
がもたらすネガティブな側面をオーバーカムする力を持っておる。
大学人
は、今改めて二十一
世紀
に、やはりこの
グローバル社会
において
学問
を介してこの地球上に調和ある
多様性
を創造する、もって人類の
発展
に寄与するということをもう一度考える必要があるのではなかろうか。そのためには、やはり
学問
レベルを上げる。そのために
大阪大学
は
世界トップテン
になるということを言っているのであります。そういう志、
大学
の
使命
というのをやはり
大学人
は今考える、それだけで
大学
は非常によくなると私は思います。
神山委員(神山佐市)
19
○神山
委員
ありがとうございました。
学長
の
リーダーシップ
が大切だということがよくわかりました。 時間です。終わります。ありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
20
○
小渕委員長
次に、
菊田真紀子
君。
菊田委員(菊田真紀子)
21
○菊田
委員
おはようございます。民主党の
菊田真紀子
と申します。 きょうは、朝早くから三人の
参考人
の
皆様
にお運びをいただきまして、大変貴重な
お話
をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。 まず
平野参考人
は、
多様性
が非常に大切だという
お話
のもとで、
権限
と
責任
の一体化が重要ということをおっしゃいました。また、トップダウンとボトムアップのバランスが重要なんだという
お話
が大変印象に残っております。 続きまして
田中参考人
でありますけれども、実際に欧米の
トップ大学
に足を運ばれて、
教員
の
人事
がどのように行われているのか、そうしたことを具体的に事例を挙げて御説明をいただきました。大変ありがとうございます。 そして
池内
参考人
でありますけれども、
教授会
の自由な
意見
交換が
大学
の自治を高めているのであって、
学長
が結果的に
権限
を強めて、その一方で
教授会
が
大学運営
に関与できなくなっていくことへの疑念というものが示されたというふうに認識をいたしております。 今回の
学校教育法
改正におきまして、
大学
に対する国の関与が強まり、本来の自由な
大学
自治が脅かされるのではないかとの懸念が各方面から聞こえてまいります。そのような問題意識のもとで、以下、
参考人
に御
意見
を賜りたいと存じます。 まず一点目、
池内
参考人
にお聞きいたします。 現行法のもとでも
学長
には強力な
権限
が与えられており、むしろ問題は、法律上の
権限
の有無ではなく、法律と実態が乖離していることにあるのではないでしょうか。 例えば、
意見
が
対立
したときに
学長
が
教授会
を説得できないようでは、そもそも
学長
としての資質が欠けているのでありますし、また、教学に関すること、経営に関すること、何もかも
学長
一人で全部やる、全部意思決定をするということになれば、むしろ
学長
には大きな負担と、またプレッシャーと無理がかかるのではないでしょうか。 そうだとすれば、今回の改正案が成立してもなお同様の事態が続くのではないかというふうに思いますが、御
意見
を賜りたいと存じます。
池内参考人(池内了)
22
○
池内
参考人
まさに教学と経営の
事項
というのは、実は、切り離せる部分と切り離せない部分があるわけです。切り離せない部分、例えば
大学
の移転問題なんというのは、それは実質的に
学部
教育
にどのように影響を与えるか。
教育
にもえらく影響を与えるわけです。だから、両面から議論しなければならない。 今おっしゃったように、
学長
に全ての
権限
を与えていくということは、あるいは、
教授会
の
意見
を余り聞かないでスムースに決められる条件をつくっていくということは、逆に言いますと、今おっしゃったように、何らかのトラブルが発生する、あるいは不祥事が発生する、そういうような事柄に対しては全く
責任
をとれない状況を生み出していく。 むしろ、多くの人間の目が入り、多くの人間が
意見
を述べることによって、そこにどのような問題が発生するかということを明確にできる、それで一歩一歩間違いない方向を選んでいけるというプロセスが踏めるというふうに私は思っております。 したがって、今おっしゃったように、現実には
学長
が全て決められるにもかかわらず、
教授会
が足を引っ張るからとおっしゃっているのは、私は、それははっきり申しまして、
教授会
が、きちんとした
リーダーシップ
、
意見
をまとめるプロセスとしていかなることが必要であるかということをわきまえないで強引に進めようとする、あるいは自分の思いどおりに進めようとする、そういうことであると思っております。 だから、全学協議会をきちんと設定するとか、いろいろなやり方があるわけです。それを工夫するということがむしろ
学長
の
リーダーシップ
である、
ガバナンス
であるというふうに思っております。 以上です。
菊田委員(菊田真紀子)
23
○菊田
委員
ありがとうございました。 政府案には幾つかの問題が指摘をされておりますけれども、とりわけ
学校教育法
第九十三条関係の改正について、今度は
平野参考人
と
田中参考人
に御
意見
を伺いたいと思います。
教授会
は、現行法では、「
大学
には、重要な
事項
を
審議
するため、
教授会
を置かなければならない。」と規定されておりますが、改正案では、
教授会
が
意見
を述べることができるのは、
学生
の入学、卒業及び課程の修了、学位の授与についてに限定をされ、それ以外の
教育研究
に関する重要な
事項
については、
学長
が求めた場合のみ
意見
を述べることができるとされています。 これでは、
学長
が諮問しない限りは、
教授会
は、例えば
人事
や予算など、
大学
の経営に関して
意見
を述べることができないというわけでありまして、ともすれば教職員の信頼と
活力
がそがれ、
学長
は真の
リーダーシップ
を発揮することができなくなるのではないか。
大学
における意思決定の
権限
を全て
学長
に集中させることについて、これは先ほど
池内
参考人
からは御
意見
をいただきましたので、
平野参考人
と
田中参考人
にお聞きいたしたいと思います。
平野参考人(平野俊夫)
24
○
平野参考人
お答えしたいと思います。 今御質問がございましたように、この九十三条の改正というのは、先ほども言いましたけれども、これは九十二条と九十三条との関係を整理したものと私は理解しております。 それで、確かに、今御指摘のあるように、ここには、例えば、「
教育研究
に関する重要な
事項
で、
学長
が
教授会
の
意見
を聴くことが必要であると認めるもの」とかそういう書き方がしてありますが、先ほど来私が言っていますように、あくまでも
大学運営
というのは、
学長
がトップダウンで全て強権的にやったら何でもいくというものでは決してありません。それは
大学
の崩壊につながります。
学長
たるものは、
リーダーシップ
を発揮するために、先ほど言いましたように、志、
理念
をいかに全学的
意見
の合意を図るかということに努める、これが
最大
の任務であります。それが
リーダーシップ
であります。 その
リーダーシップ
を発揮するためには、
教授会
だけじゃだめですよ、
教授会
というのはあくまでも
一つ
の単位でありまして、その中には多くの
教員
がおる。その一人一人の
教員
がおり、その上に
教授会
というものがあり、その上に
部局
長
会議
、そして
大学本部
というそういうことになっているわけでございまして、
教授会
は
一つ
の代表でございますけれども、そういう
大学
構成員
の
意見
を積極的に聞くということがなければ、結局、
学長
としては失格になるわけです。
大学
経営はうまくいかない。 ということで、私はこの九十三条の改正につきましては、先ほど言いましたように、九十二条と九十三条の関係を明確にしたものである。今までだったら、この九十二条と九十三条は何かどういう関係になっているのかよくわからない状態だったんです。
大阪大学
では、現在の中でも、
学長
は校務をつかさどるということで、私が
権限
と
責任
を持って
大学運営
をしております。しかし、
教授会
というか
大学
構成員
、
教授会
だけじゃないです、
学生
も含めて、事務の人、助手の人の
意見
を全面的に聞いてやっております。それを、こういうことになると、そういう
意味
ではクリアになるんじゃないかと私は思っております。
田中参考人(田中愛治)
25
○
田中参考人
御質問にお答え申し上げます。
学校教育法
の第九十三条についての改正案を拝見しております。確かに、
教授会
の
権限
が、従来の「
大学
には、重要な
事項
を
審議
するため、
教授会
を置かなければならない。」というシンプルなものからかなり踏み込んだ内容になっているというふうには存じておりますが、ここは、
日本
の
大学
には非常に多様な
大学
がございまして、その程度も非常に異なっております。私も幾つかの私立
大学
で教鞭をとってまいりました。四つの
大学
で教えてきた経験がございますが、その中で、個々の
大学
がそれぞれ非常に違った問題を抱えております。 その
意味
で申し上げますと、
法改正
によって画一的に全ての
大学
を同じように
運営
させるということは、かえってその個々の
大学
のよさを殺してしまうことにもなろうと思いますので、ある程度の幅というものは必要だろうと思います。 それで、今回の改正の御提案を拝見しておりますけれども、
教授会
が
意見
を述べるものというので、「
学生
の入学、卒業及び課程の修了」、「学位の授与」ということが明示されておりまして、それ以外は、「
教育研究
に関する重要な
事項
」で、
学長
がそれが必要だと考えたものというふうになっておりますので、文言上は縛られている。
教授会
の決めることは
学長
が
意見
を聞かなければ決められないというふうに読めるわけでございますが、そこのところは、多分、
大学
ごとに異なる運用をすることになろうと思います。 というのは、やはり、伝統のある
大学
で、
教授会
が
教員
の
人事
について
意見
を述べるのが慣例とされているところではそれは続けると思いますし、カリキュラムについても同じようであると思いますが、しかしながら、全ての
教員人事
、全てのカリキュラムを
教授会
が決めなければならないとなりますと、
教授会
のない
組織
、例えば全学に共通した
教育
組織
、今、
早稲田大学
では、四月からグローバルエデュケーションセンターというものをつくりまして、それまでオープン
教育
センターと言った、全学の
学生
に
教育
を提供する
組織
というものを
発展
的に伸ばしてきておりますが、これらは、従来の
教授会
のある
学部
とは異なるわけであります。 そこにおけるカリキュラムや
人事
をどこかの
教授会
が発議しなければ決められないというのではやはり困ると思いますので、その
意味
では、全てのカリキュラム、
人事
が
教授会
の決定がなければならないというのも行き過ぎることもあろうと思います。 しかしながら、伝統的に
教員
の
人事
を行ってきた
学部
の
人事
、その
手続
の妥当性については、先ほど申し上げたとおり、
学長
のサイドからコメントをすることはあってよろしいと思いますけれども、
人事
の内容について、どちらがいいかということまで
学長
が決めるのは行き過ぎであろうというふうに考えますので、その
意味
では、伝統を守る場合もあろうと思います。 しかしながら、
大学
によっては、非常に規模が小さくて、一
学部
の中に同じ
専門
の先生が非常に少ないような
大学
もおありになるわけです。その場合には、その
学部
の
教授会
を超えて
人事
を行わなければならないような場合もおありになると思います。 したがいまして、その
大学
の状況によって適切な運用というものは非常に異なると考えておりますので、この
法案
の御
審議
は非常に難しいと思いますが、現在拝見しております
法案
はかなりその幅が持てるというふうにお見受けしておりますので、つまり、それをよりよく運用できるというふうにしていただければ大きな問題は起きないのではないかというふうには推測しておりますが、ここはもう少し御
審議
いただければと思っております。 以上でございます。
菊田委員(菊田真紀子)
26
○菊田
委員
私の質問時間は十時八分まででありますので、最後に一問だけ、お三人にお聞きしたいと思います。
国立大学法人法
の第二十条第三項、第二十七条第三項の関係についてでありますが、政府案は、これまで二分の一以上とされてきた経営協議会の外部
委員
を過半数とするというふうに改正しようとしておりますが、この点についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
平野参考人(平野俊夫)
27
○
平野参考人
大学
というのは公共のものでございまして、やはり、広く
社会
一般からの
意見
を取り入れるということは非常にいいことだと思います。
田中参考人(田中愛治)
28
○
田中参考人
私立
大学
の人間でございますので
国立大学法人法
の改正については少し遠慮がございますけれども、
平野
先生のおっしゃっているとおり、
社会
の
意見
を広く入れるということは重要だろうと思っております。 ですから、一
大学
の常識というものが世間の常識と異なる場合もあり得ますので、その
意味
では、このような方向というものが考えられるというふうに存じております。 以上でございます。
池内参考人(池内了)
29
○
池内
参考人
経営協議会は、私が今まで経験してきた
大学
においては、経営協議会がそんなに機能的にうまくいっているというふうには思っておりません。 やはり、外部に主な仕事を持っている人が、一年に四回とか五回とかぐらいあって、状況を聞くだけということですよね。その
意味
では、私自身は、過半数になったってそんなに変わらぬと思っているんですが、経営協議会の人々が世間の常識ということ自身は余り考える必要はない。それは、いろいろな
意見
があって、まさにいろいろな
意見
が聞ける場として機能するということで結構なんではないかと思っております。
菊田委員(菊田真紀子)
30
○菊田
委員
質問を終わります。ありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
31
○
小渕委員長
次に、三宅博君。
三宅委員(三宅博)
32
○三宅
委員
日本
維新の会の三宅博でございます。 きょうは、お三人の
先生方
、本当にどうもありがとうございます。 それでは、今から質問をさせていただきたいと思います。 今回の改正案、
大学
の
ガバナンス
といいますか、
学長
の
リーダーシップ
を確立しなくてはならない。それに対して、
学長
が余りに強大な
リーダーシップ
をとり過ぎると独裁的な
運営
に陥るんじゃないか、やはり
教授会
の牽制といいますかチェック、こういったものが必要じゃないかというふうな部分がよく指摘されるんですけれども、しかしながら、どんな
組織
でもそうなんですけれども、やはりトップの
リーダーシップ
あるいは経営方針、これが生きてこそ、
組織
というのは円滑に
運営
されるんですな。 ところが、会社でいえば、経営者が、こういうふうな方針のもとで、我が社はこの目標、目的に向かって進むんだと言っても、組合の方で、いや、そんなのだめだとかいうふうなことになってきますと、
組織
の体をなしていない。まして、
権限
と
責任
が不明確な場合、所期の目的というのは達せられるはずがないんですね。 阪大の
平野
総長
、やはり今回のこの改正案によって、今までと違う
大学
の
運営
、経営が展開されるというふうに我々はとるんですけれども、そのあたりいかがでしょうか。今現在の支障なども含めてお答えいただきたいと思います。
平野参考人(平野俊夫)
33
○
平野参考人
今御指摘がございましたように、どのような
組織
であっても、トップの経営方針というか、それが生かされなければ、どういう形態であってもその
組織
は機能しないわけであります。 そういう
意味
で、例えば
学長
の
リーダーシップ
が強くなってチェック機能が働かないという御懸念もおありでしょうが、それは今御指摘ありましたように、
大学
の場合は、企業もそうだと思いますが、やはり志、
理念
、そういう
大学
の持っている、
組織
の持っている志であるとか
理念
をいかに
構成員
全体にその意識を共有してもらうか、そこに
学長
の
リーダーシップ
というのは最も発揮されるべきだろうと思います。 今回、こういう改正によって、例えば
学長
の選考が非常に透明な形で、ある明確な
学長
選考
会議
の自主性を持って行われるというプロセスが世に公表される、その理由が公表されるということ、それはとりもなおさずどういう人を選ぶかということであって、その人がどういう志、
理念
を持ち、その
大学
にどう対応していくかということの
一つ
のよくなる方向だろうと思います。 そういう
学長
が暴走しないかということに関しては、当然、
学長
の
リーダーシップ
がうまく発揮されなければ
大学
自体が動かなくなるわけです。それは当然、
学長
そのものの評価、
責任
にかかってきて、
学長
がやめざるを得ない、それは
責任
のとり方でございますが、そういうことがございます。
大阪大学
の場合、現在そういう考え方で、私が先ほど言いましたように、
構成員
一人一人との
対話
というのを非常に重要視しております。
対話
の中で皆さんの
意見
を聞き、しかし一方で、志、
理念
をいかに共有するかということに苦心する。大きな集団でございますから、
意見
は当然全てが賛成するわけではございません。しかし、それは、そのときにやはり
学長
の
権限
と
責任
でもって、結果
責任
をもって、やはりある方向に、個の
最大化
だけではなくて、
組織
の
最大化
をいかにするかということに苦心しております。 そういう答えでよろしいでしょうか。
三宅委員(三宅博)
34
○三宅
委員
今回の改正案、これが実現されますと、
学長
の
権限
が余りにも大きくなり過ぎて、
学長
の暴走やとかあるいは独裁的な
運営
ということなんですけれども、実際そんな
可能性
はあると思いますか。そんなことできないでしょう。 そのあたり、もう一度
平野
総長
にちょっとお聞きしたいんですけれども、ありもしない仮定の話の中で、今回の改正案に対していろいろな懸念が表明されている。しかしながら、その陰で、
大学
の
権限
といいますか、こういったものが不明確で、
大学
そのものが迷走してきている部分があるんじゃないかなと私自身が思うんですけれども、いかがでしょうか。
平野参考人(平野俊夫)
35
○
平野参考人
御指摘のように、このことによって
学長
が暴走するということはあり得ないと思います。仮にそういう
学長
がおったとしたら、その
学長
はすぐにやめざるを得ない状況に陥ると思うんですね、
大学
の性格からしますと。それ以上に、それに加えて、
大学
には例えば監事という法的なポジションがあります。監事が
大学
の
運営
を常に第三者的に監視している。文部大臣に報告する、そういう機能もございますし、
学長
は現在の
国立大学法人法
でも
学長
選考
会議
が選ぶということになっていますが、その
学長
選考
会議
は、やはりふだんの
学長
、
執行部
の評価をするということもありますし、場合によっては解任できるという
権限
もあるわけです。 そういう法的なチェック機能に加えて、何回も先ほどから言っていますように、
大学
の性格上、
学長
が暴走するとその
大学
は絶対うまくいきません。できるだけ全学的な意思、志、
理念
、そういう意識の共有なくして
大学
の
ガバナンス
は成立いたしません。これはもう私が日ごろ常に実感したことでありまして、先ほど来言いましたように、九十二条でも、
学長
は校務をつかさどるということで、私には、こういう
意味
では
権限
と
責任
が、あるいは
権限
があるわけですね。 しかし、私が
権限
があるからこうしろと命令して動くものではありません。
大学
というのはやはり知の集団でありますので、私は、
多様性
というのを重視して、ボトムアップ、トップダウンの話し合い、それの相互作用、それをいかに前向きにドライビングフォースにするかということに注力しているわけでございます。
三宅委員(三宅博)
36
○三宅
委員
ありもしない
可能性
を殊さらに強調して危機をあおって、
大学
の自治あるいは
教授会
の自治が大切なんだと。それでは、その
大学
の自治あるいは
教授会
の自治が今までどのようなことをやってきたか、あるいはそれが
大学
に対してどのような影を落としてきたかという部分もちょっとお聞きしたいんです。
早稲田大学
の
田中
先生なんですけれども、
大学
の
教員
採用
の
お話
をちょっと、
アメリカ
や
イギリス
の例を挙げて
お話
をいただきました。今の
お話
をお聞きしていまして、
日本
の
大学
の
教員
採用
の問題点というのは、やはりちょっとそこに閉鎖性といいますか、そういった部分が多少、
アメリカ
あるいは
イギリス
の
お話
しいただいた例と比べますと、閉鎖性。そこには多少、
教員
の縁故とか、あるいは自分の
弟子
を引き上げるとか、そういうことが過去
日本
では常識的に行われてきた。結果的に、
大学
の競争力といいますか、こういったものが低下してきたんじゃないかな。 そういうことがないように、
アメリカ
あるいは
イギリス
の
大学
は、そこに
公平性
、公正性あるいは
透明性
、こういったものを取り入れると思うんですけれども、そのあたりいかがでしょうか。
田中参考人(田中愛治)
37
○
田中参考人
日本
の
大学
における
教員
採用
の
人事選考
の
過程
でございますけれども、本日
お話
に伺っております
大学
、
大阪大学
、名古屋
大学
、
早稲田大学
のようなところでは相当内容が変わってきているというふうに存じております。ですから、もう
世界
と戦わなければならないという覚悟を決めている
大学
は相当
公平性
、
透明性
が高くなっておりまして、それはもう過去十年ぐらい相当な
改革
が進んできているというふうに存じております。 しかしながら、まだ
改革
の余地はあるというふうに考えられまして、さらなる、例えばテニュアトラックというように、若手の
教員
を雇ったときに、五年間はお試し
期間
で仕事をしてもらって、
研究
業績、
教育
業績が非常に伸びた場合には専任の
教員
として最終的に定年までお雇いするというような制度は欧米にはあるわけですけれども、そのような制度というものが今後必要になるということもありまして、まだ十分とは言い切れませんけれども、しかしながら、先進的な
日本
の
大学
では相当の
人事
の開放性、
透明性
が高まってきていると存じております。 片や、小さな
大学
とか、またもしくは古い体質を持った
大学
では、今先生が御指摘のような縁故でありますとか自分の
弟子
を入れるというような
人事
が行われているというケースがないわけではございませんので、
改革
が必要だと思っております。 ただ、そのことが、何によってそれを打破できるのかというのは、やはり
学長
の
リーダーシップ
もございますけれども、
学長
と教職員の価値観の共有ということだと思っております。それは
平野
総長
先生もおっしゃっていたとおりですけれども、
大学
をよくするのだ、よい
教育
をし、よい
研究
をするのだということの決意を固めて、どのようにその仕組みを変えていくかということを一緒に考えるという意識がないとなかなか進まないと存じております。 いま
一つ
申し上げれば、
日本
の
大学
は非常にさまざまございまして、千人に満たない
学生数
を持っている
大学
から一万人を超える規模の
大学
、また、それも一万人、二万人の規模でありながら非常にレベルの高い
大学
と一般的な
大学
というふうに幾つも、多種多様でございますので、実は
法案
の改正するしないとは余り関係なく、
学長
が暴走する
大学
というのはあるというふうに、私自身も経験しておりますが、あるというふうに存じております。 ですけれども、そのことは、実は
学校教育法
の改正かどうかということではなく、やはり、
大学
の教職員と
学長
が
改革
に向かってその価値観を共有するか否かにかかっていると思うんです。そのことの方が重要でありまして、
学校教育法
がどうだからこうなるという短絡的な因果関係はないように私は思っております。 しかしながら、ではなぜ
学校教育法
の改正が必要かというのは、今回御提示いただいている
学校教育法
の改正案は、私も
中央
教育
審議
会の
大学
分科会
組織運営部会
の中で議論させていただいておりましたけれども、やはり、
大学人
にとって
大学
のあり方を考える非常に大きなきっかけになっております。このことは非常に重要でありまして、
法案
の改正が
一つ
の大きなきっかけとして、本当に
日本
の
大学
をどうするのかということを
大学人
一人一人が考えるきっかけになっております。 しかしながら、
法案
がこうなったから暴走するとか、こうならないから暴走しないということではないと考えておりまして、それはやはり
学長
先生の
個人
の個性とか見識にかかわる部分が大きいと思っております。 その
意味
では、
法案
の改正は重要ではございます、きっかけとして非常に大きな働きをしておりまして、
大学人
が本当に
日本
の
大学
をよくするということを考え始めたと思いますので重要でございますけれども、ここが一言足りないからこうなってしまうとか、ここがこう書いてあるからこうなってしまうというように、全ての
日本
の
大学
が同じような因果関係で結論が導かれるものではないというふうに考えておりまして、それは、
大学人
がどのような覚悟で
大学
を
運営
していくかというものの方が大きくかかわっているように存じております。 以上でございます。
三宅委員(三宅博)
38
○三宅
委員
私が平素
国立大学
を見ておりまして本当に強く感じるのは、
国立大学
は国民の血税で賄われているんだという、この部分が余り自覚されていないんじゃないかなと。
大学
の自治だ何だ、
教授会
の自治やといって、余りにもやりたい放題と言ったら言い過ぎかもわかりませんけれども、そういった部分が過ぎているんじゃないかなと思うんです。国民の血税によって
大学
というものは
運営
され、経営されていて、
教員
の人件費等もそこから出ているんだというその自覚が余りにも希薄じゃないかなと。 そういった中で、これは名古屋
大学
、
池内
先生に言っているんじゃないんですよ、
国立大学
の名古屋
大学
の
一つ
の例を挙げ、平和憲章というのを定めているんですよ、名古屋
大学
なんか。 ここは、 わが国は、軍国主義とファシズムによる侵略戦争への反省と、ヒロシマ・ナガサキの原爆被害をはじめとする悲惨な体験から、戦争と戦力を放棄し、平和のうちに生存する権利を確認して、
日本
国憲法を制定した。 わが国の
大学
は、過去の侵略戦争において、戦争を科学的な見地から批判し続けることができなかった。むしろ
大学
は、戦争を肯定する
学問
を生みだし、軍事技術の開発にも深くかかわり、さらに、多くの
学生
を戦場に送りだした。 と、極めて偏向したこういった憲章をつくっているんです。これは
国立大学
ですよ。こんなことをやっているんです。 これは許しがたい。これは事実ですよ。そういうふうな、反対に、
学長
の暴走というよりも、
教授会
と言いましたけれども、
大学
の暴走こそ我々は厳しい目でチェックしなくてはならないというふうに思うんですけれども、
平野
総長
、このあたりをちょっとお聞かせいただけたらと思います。 もうこれを最後の質問といたします。
小渕委員長(小渕優子)
39
○
小渕委員長
申し合わせの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
平野参考人(平野俊夫)
40
○
平野参考人
おっしゃるように、
大学
というのは個の力の
最大化
と
組織
の力の
最大化
。それで、
組織
の力の
最大化
というのは、やはり
社会
です。先ほど私が言いましたように、
大学
というのはもちろん
学問
の府であって、個々の
研究者
が
学問
を追求する、そのことによって科学技術の
発展
に寄与する、あるいは
人材
育成に行く。もちろん個々の
研究者
が知的好奇心でやっているという側面もございますが、やはり
社会
の中に
大学
はあるわけです。
社会
があって
大学
があるわけです。 そういう
意味
で、私は先ほど、
大阪大学
の志あるいは
理念
というのは、
学問
、
大学
が持っている
学問
という人類共通言語を介して、調和ある
多様性
を創造し、
人類社会
の
発展
に貢献するんだという、そういう
社会
の中の位置づけというのが要るんじゃないかと思うんです。 そういう
意味
で、単に
個人
、
教授会
、それだけじゃだめだと思うんです。それはもちろんそういう意思を
教授会
も含めて
構成員
がそういう価値観を共有していく、それが
大学人
の
社会
に対する責務だと思います。
三宅委員(三宅博)
41
○三宅
委員
終わります。ありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
42
○
小渕委員長
次に、稲津久君。
稲津委員(稲津久)
43
○稲津
委員
おはようございます。公明党の稲津久でございます。 きょうは
参考人
の
皆様
に大変お忙しい中お越しをいただきまして、ありがとうございました。 まず、早速質問に入らせていただきますが、これは先ほどの
意見陳述
の中でも少し
お話
しいただきました、それから、これまでの
審議
の中でも二、三ございましたけれども、一番核心的な大事なポイントですので改めてお伺いしたいと思うんですが、それは、
大学
の意思決定
過程
における
権限
と
責任
についてということでございます。
大学
の
ガバナンス
について問題提起される際には、やはり一番大きなテーマとしてこのことが言えると思うんです。
権限
と
責任
をどう明確にしていくかということになると思うんですけれども、さきの地教行法の改正のときにも長時間にわたって議論のテーマになったのは、やはり
責任
の所在、明確化、
権限
、こうしたことについても大変な議論になったところでございます。 プラスの方向に行く、あるいはマイナスの方向に行く、いろいろな議論はありますけれども、しかし、
大学
の
組織
の
ガバナンス
を考えるときに、例えば
学長
と教授の
権限
のありよう、あるいは
責任
のありようについて、中には、本来
審議
機関として位置づけられている
教授会
というところが事実上議決機関として意思決定を行っているようなケースが散見された、こんな御指摘もありました。 そういうことを踏まえた上で、
権限
と
責任
の明確化について、大変
基本
的な質問で恐縮なんですけれども、先ほどの
意見陳述
、御答弁の中でまだもう少し
お話
を明確にしておきたいこと、あるいは、再度確認ということで、
お話
しいただければと思います。
平野参考人(平野俊夫)
44
○
平野参考人
ちょっと繰り返しにもなると思いますけれども、
責任
と
権限
に関しましては、これは
大学
の問題じゃなくて、いかなる
組織
においても、
責任
と
権限
というのは一致していなければその
組織
は動かないというのが私は
基本
原則
だと思うんです。
権限
だけがあって
責任
をとらない、
責任
はあるけれども
権限
はない、これではやはり
組織
は動かないわけであります。
大学
の場合は、現在、
学長
は校務をつかさどるという九十二条により、
大学
全体の
責任
と
権限
を有しておるということと私は理解しておりますし、現実はそうなっておると思うんです。だから、この
原則
というのがやはり非常に重要であろう。その上で、
大学
を
運営
していくにはどうだということになります。 当然、
大学
というのは広いですから、
教授会
というのは
部局
教授会
と言ってもいいと思いますけれども、それは、
大学
の中にはいろいろな
専門分野
、工
学部
もあれば理
学部
もある、文
学部
もある、そういうそれぞれの
専門分野
で、
教育研究
に関して、そういう
意味
で自覚を持って、いかにすればその
専門分野
の
教育研究
がちゃんといくかというようなものも真剣にディスカッションしていただく。 ある
意味
では
責任
を持っておられるわけですけれども、ただ、
大学
全体となりますと、やはり
部局
縦割り
という
言葉
がございます。それは、
専門分野
で、文
学部
なら文
学部
、医
学部
なら医
学部
となっていますが、今、
大学
全体をいったときに、やはり異
分野
融合というか、これは従来の工
学部
でもない、医
学部
でもない、理
学部
でもない、あるいは文
学部
でもない、それを全部、例えばどうやって脳が認知するかというような問題になったとき、心理学もございますし、情報工学であるとか医学とか精神医学とかいろいろな
分野
が入る。そういう新しい
分野
を
大学
全体として
発展
させようと思えば、これはやはり
部局
の
責任
あるいは
権限
ではやっていけないわけです。それはやはり全体を見渡していかなければならない。 そういう
意味
で、先ほど
田中参考人
もおっしゃいましたけれども、
権限
と
責任
というのは、レベルはいろいろあると思うんです。ただ、
大学
全体の最終的なところに関して、やはり
大学運営
に関して
権限
と
責任
は一致すべきだと思います。
田中参考人(田中愛治)
45
○
田中参考人
御質問にお答えさせていただきます。
学部
と
研究科
の
権限
と
責任
については先ほど少し具体的な例を申し上げましたので、このたびは、
学長
の側について考えていることを申し上げます。 私立
大学
の場合は設置主体が
理事会
でございまして、
国立大学
、設置主体が国とは異なるので、若干形は異なりますが、議論の拡散を避けるために、
学長
側ということと、それから、
学部
、
研究科
の
教授会
というふうに少し単純化して
お話
をさせていただきますけれども、
学部
、
研究科
の側にも
責任
と
権限
の一致は必要でございますが、
学長
の側にも同じであろうと思っております。 例えば、卑近な例で恐縮ですが、
早稲田大学
の
総長
鎌田のもとでは、財務担当
理事
がいて、今後の財務のことを考えております。現在、
早稲田大学
は、他
大学
もそうだと思いますが、よりよい
教育
と
研究
を進めるためには、
教育研究
費の支出は膨らんでいくわけでございます。 しかしながら、二〇一一年の三・一一の東
日本
大震災、それから、その前のリーマン・ショック以降でございますけれども、経済の状況を考えると、そうやすやすと学費を上げるわけにはいかないということがございまして、学費の値上げは非常に限定的でございまして、約五千円程度の値上げに抑えてきておりました。 その
意味
で、
教育研究
費は非常に高くなりつつあるんですけれども
学生
からいただく
授業料
は抑えなければならないというジレンマの中で、どういうことを行ったかと申しますと、教職員のボーナスをカットするということを行いました。これは
学長
側の
責任
であるというふうに考えております。 それについて鎌田は、
選挙
で選ばれた
総長
でございますけれども、ことし再選を迎えるわけでございますが、それについて彼は一歩も引かないと。すなわち、教職員におもねって票を得るような政策をとらずに、
大学
の将来を考えて、二十年後の
早稲田大学
の将来、
教育研究
の質を維持するということを考えて、財務状況を考えるということをいたしました。その結果、現在
総長
候補は一人になっておりますけれども、どうなるかはまだわかりませんけれども、
候補者
の立
候補者
は一人にとどまりました。 ということで、それなりの信頼というものが得られる、すなわち、
リーダーシップ
を持つ者が
責任
を持って行うというのは
学長
の側でも必要であり、
権限
を行使するかわりに
責任
もとるという覚悟があったと思います。これは、
学部
、
研究科
においても同じような
権限
と
責任
が問われているというふうに考えております。 以上でございます。
池内参考人(池内了)
46
○
池内
参考人
私は先ほども少し申し上げましたが、
権限
には行使するプロセスというのがあるわけです。そのプロセスにおいて、どれだけ豊かにいろいろな
意見
を徴しながらその
権限
を全うしていくか。どれだけ豊かにいろいろな
意見
を加えながら、しかし、最終的には、無論、全学の
事項
に関しては
学長
が
責任
をとる。それは当然です。
学部
に関しては
学部
長がとる。 はっきりと区分けできないものに関しては、
学長
自身が、
権限
はどこまでがどこそこにあり、どこまでが
学長
にあるかということをそれぞれ明確にしていくプロセス、要するに、どれだけプロセスを明確にしていって、それで、その
権限
がどのように履行されていくかということを明らかにすることが
学長
のそれこそ
ガバナンス
でありまして、単に
ガバナンス
、
ガバナンス
ということではなくて、具体的に、ある種の事柄に対してどういう
権限
を行使していくか、それのプロセスを明確にして、お互いが協調し合って進められる体制をつくっていく、それがまさに
ガバナンス
であり、それをスムーズにやれる腕を持っているのを
リーダーシップ
と称すると私は思っております。
稲津委員(稲津久)
47
○稲津
委員
ありがとうございました。 それでは、次は、
国立大学
法人化から十年経てきて、そこで、どういうようなことが現場で起きているかということを、これは
平野
、
池内
両
参考人
に簡潔にお伺いできればなと思っていますが、経常的な予算は、
運営
費交付金として国から一括で配賦をされるようになりました。そして、この
運営
費交付金が、少なくとも私の認識ではふえていない状況にあると思います。むしろ削減されてきたと言わざるを得ない。 そうした中で、それぞれ
国立大学
法人がこの間どのような取り組みをしてきたのか、御
意見
も含めていただければと思います。
平野参考人(平野俊夫)
48
○
平野参考人
私ども、
国立大学
法人化になってちょうど十年であります。その十年のうちの最後の三年ほど
学長
を経験したわけでございますが、
国立大学
のときにどうだったかというのは私直接そういう
大学
の
運営
に関係していなかったので余り触れませんけれども、少なくとも、
国立大学
法人になって、
大学
の自由度は非常に高まったと思っています。もちろんいろいろな制約はあるにしても、その制約の中で、自由度は格段に高まったであろう。だから、いかにその
大学
を、
学長
が
リーダーシップ
を持って全学的合意を図り、もってどのような方針で引っ張っていくかというのは、
国立大学
のときに比べて格段に重要になりました。それは一点言えると思います。 もう
一つ
、先ほど
運営
交付金のことを御指摘されましたけれども、
大学
側から見ると、
運営
交付金が年々削減されていっておるということで、
国立大学
、
大学人
としては将来に対して漠然とした不安を持っているのは事実であります。 その一方で、いわゆる競争的資金がふえたというか、いろいろなプログラムが出て、
大学
として、その競争的資金を獲得すれば
運営
交付金の減った分をある程度コンペンセートできるという状態でもございますが、
運営
交付金というのはやはり、競争的ではないけれども
持続性
があります。一方、競争的資金というのは、非常に競争的で、ある
意味
で理にかなっているんですけれども
持続性
がない。
大学
というのは、先ほどから言っていますように、やはり
持続性
というのがある程度担保されていないと、百年とか五十年とかの単位で、
大学
というのは、
未来
を見通す機関としてやはり
持続性
というのがある程度担保されていなければならないと思っています。 もちろん競争的資金というのは非常に重要でありますが、できたら、やはり持続的資金である
運営
交付金の、ある水準を保っていただきたい。いつまでたっても減るんじゃなくて、ある水準でベースラインは保って、そのことによって、あとは競争的資金で各
大学
の工夫によっていろいろな方向に
発展
するということで。 そういうことで、
大学
のかじ取りというのは、
国立大学
法人になって、
国立大学
のときに比べると恐らく格段に重要になったのではないかと思います。その
意味
で、
大学
が
発展
する余地もあるし、衰退していく余地もあるということだと思います。
池内参考人(池内了)
49
○
池内
参考人
私自身は、
国立大学
が法人化されて以来、この十年間なんですが、
国立大学
は疲弊しているというのが、もうはっきりした私の観察事例であります。 この十年間で、いわゆる
運営
費交付金は一〇%削減されました。一千億円です。それは
基本
的には各
教員
の経常
研究
費として使われるのが多かったんですが、経常
研究
費がほとんどなくなる状態になったわけです。その結果として、今言われました競争的資金というものに頼らざるを得なくなっている。まさに、競争で資金をとらないと
研究
ができない状況に追い込まれている。 無論、それだけではなしに、
運営
費交付金が減った部分は、実は、文科省の
基本
方針としては、特別
運営
費交付金と言われている部分に回したり、最近はまたそこから事業費あるいは補助金という格好で、三年ないし五年ぐらいの、
改革
強化費とかグローバル何とかとかGPとか、そういう、それこそ今度は
大学
の競争的資金ですね、
大学
自身が、いろいろな
大学
が競い合ってお金をとる。これは、目的が明確に決まっている、それから、先ほど言いましたように、数年、せいぜい五年とかそれぐらいの時限的な予算である。それだと、結局のところは、そういう事柄にどんどん人を投入してやって、それで五年で打ち切りでしょう。 そういう状況で、どんどんどんどん
大学
が、僕は
大学
も悪いと思うんだけれども、文科省のお金に引きずられて、どんどんどんどんそういう格好のものに乗っていっている状況があります。その結果としては、
教員
の
研究
時間がどんどん削られていっているわけです。 無論、法人化によって
教育
をより充実させる、少人数
教育
とか、セミナーをする、あるいは地域貢献をする、いろいろな新しい事柄を
大学
はやるようになった、これは非常に結構なことです。しかしながら、先ほど言いましたように、人はふやせていない、むしろ減らされている。そして、特任教授とか特定教授とか、新しいタイプの教授、任期つきの教授をどんどんふやしていって、その分専任
教員
に負担がどんどんかかるという状況で、
教育
デューティーとか国際化のためのさまざまな活動とか、そういうことにまさに時間をとられて、結局のところ
研究
力が非常に落ちている。これは僕は否めない事実であると思います。これは
国立大学
法人化のいろいろな白書等を見ていただいても、そういう実態が明らかにあらわれております。 したがって、トップ何とかとかそういうふうにおっしゃるけれども、現実においては、
国立大学
の法人化以来、
教員
が疲弊し、より
研究
力が弱体化する傾向が私自身は目に見えているというふうに思っております。 以上です。
稲津委員(稲津久)
50
○稲津
委員
時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
51
○
小渕委員長
次に、柏倉祐司君。
柏倉委員(柏倉祐司)
52
○柏倉
委員
みんなの党の柏倉でございます。 きょうはお暑い中わざわざ国会までお越しいただきまして、まことにありがとうございます。 それでは、早速質問をさせていただきたいと思います。 まず
大阪大学
の
平野
総長
にお伺いをしたいと思うんです。
平野
先生自身、まず教授をなさっていて、それから
総長
になられたというふうに思うんですけれども、実際に、教授であったとき、
教授会
に当然お出になられていたと思うんです。そのときと、現状、
総長
になられて
大学運営
のトップに立たれたとき、ここでやはりそれぞれの
大学
の見方が違うと思うんです。そして、なおかつ、こういうとき、
総長
になられて、ここはちょっと
教授会
、教授の人
たち
とずれがあるなと、いわゆる相克が出てくると思うんです。手かせ足かせという、悪い
言葉
で言えばそういうことになるのかもしれません。この相克の部分、具体的にどこで一番お感じになったのか、まずお聞かせいただければと思います。
平野参考人(平野俊夫)
53
○
平野参考人
今御質問の点は、
大学運営
にとって非常に重要な問題であります。 先ほど来言いましたように、
大学
というのは、個の
最大化
、個というのは教授も含めて一人一人です、それと全体の
最大化
というのがあるわけです。 例えば、木を見て森を見ずという
言葉
がございますが、森の中に木が生えているときに、その木にとって非常にすばらしいことが必ずしも森全体にとっていいとは限らない。森全体にとっていいことがその木にとっていいとは限らない。当然、森全体のことを考えますと、間伐もしなければならないし、間引きもしなければならない。いろいろなことがあります。 そういう観点から、私、
大学人
としてずっと四十年ほど過ごしてきましたけれども、当然、
教員
、
学生
の
立場
、助手の
立場
、教授の
立場
、そして
部局
長の
立場
、あるいは、
本部
、
執行部
、
学長
の
立場
で、それぞれ、どこを中心に見るかというのはやはり違うんです。当然、教授あるいは一人の
教員
のときは、やはり自分自身の
学問
領域、その
学問
領域に基づいた
教育研究
、それをいかに、まあ、森の中の木をいかに立派にするか、個の力を
最大化
することにやはり意識は全力投球するわけです。 ところが、例えば、私は医
学部
長も経験いたしましたけれども、医
学部
長になりますと、医
学部
全体をいかに
最大化
するかということにやはり意識は行くわけですね。そのときに私、医
学部
長で医
学部
の
教授会
の皆さんに言ったことは、皆さんは教授としてそれぞれの
研究
室を代表しているので、それぞれの
研究
室を一生懸命しようと努力をしておる、しかし、医
学部
の
教授会
に出てこられた限り、ひとつそのことは一旦忘れてほしい、あくまでも医
学部
教授会
の
メンバー
である一人として医
学部
全体のことを考えてほしいと言っていました。 それが今度は
総長
になりますと、
学部
長に対して、
学部
長の
先生方
は、例えば医
学部
長にしても工
学部
長にしても、やはりそれぞれの
部局
はいかにすればよくなるかということを注力して考えておられるんです。私は
大学
全体ということになります。そうしますと、やはりそこで
部局
長の先生に言うのは、もちろん
先生方
は一生懸命
部局
のために働いている、それはすばらしいことである、しかし、
部局
長
会議
に出てこられた限りは、工
学部
長という肩書を忘れて、
大阪大学
の
部局
長
会議
の
メンバー
であるという意識で
大学
全体のことを考えてほしいと言っています。 これは
一つ
の例でありますが、なかなか難しいのでございますが、それが先ほど来言っている、いかに個の力の
最大化
と
組織
の力の
最大化
を図ることが重要で、その間には当然コンフリクトがあるわけです。そのコンフリクトをいかに、
対立
じゃなくて、足の引っ張り合いじゃなくて、前向きの
駆動力
に変えるか、これが
大学運営
の真髄であります。 それの
基本
は、先ほども言いましたけれども、いかに
大学人
全体がその
大学
の志、
理念
、いわゆる価値観をどれだけ共有できるか、どれだけ共有することができるかということが
学長
の
リーダーシップ
であり、
部局
長の
リーダーシップ
である。あるいは教授も、
研究
室を引っ張っていくためには教授の
リーダーシップ
がある。 そういうことで、答えになっているかどうかわかりませんが、そういうことをやることが
リーダーシップ
である、コンフリクトを乗り越えて、コンフリクトをいかに前向きに、全体のことを考えて前向きにするかということだと思います。
柏倉委員(柏倉祐司)
54
○柏倉
委員
どうもありがとうございます。 なかなか
具体例
で御説明していただくのは厳しいのかなとは思っておりましたけれども、そういったやはり
理念
を共有していくという、その中の人間関係を土台にして、しっかりと
大学人
としての一体感を醸成していくということだとは思うんですが、なかなか、やはり
大学
というのも人間対人間の
組織
で、私も
大学
に勤めていたものですから、非常にやはり難しいなと。それをこれから体現される、現状、体現はもう既にされているわけですけれども、逆に言うと、本当に非常に難しい問題を一人で背負わなきゃいけないのは、これは
学長
、
総長
なわけでございます。 それで、経営の部分や教学の部分、こういったところは、いろいろな制度
改革
も含めて、ある程度
改革
の
方向性
というのはあるんだと思うんです、選択肢というのは。ただ、私が今気になっているのは、倫理的な
判断
、これから
大学
自体が倫理的な
判断
を迫られることがあるかと思うんです。 例えば、軍事
研究
をするしない、こういった選択、実際にこれはなかなか迫られるということがないにこしたことはないんですが、これもわかりません。あと、クローンビジネス、こういったものに積極的に参加していくかどうか、これを
大学
発のベンチャーとしてやっていくのかどうか、これも非常に倫理的な要素の強い
判断
になるかと思うんです。 こういう倫理的な問題、これはやはり
学長
一人ではなかなか
判断
しづらいと思います。やはりこういう倫理的な問題に関しては、今までもそうだったと思うんですが、
教授会
や倫理
委員会
、こういったものの決断、決というのを尊重して今後もやっていくべきなのかどうか、そこに関しての御
意見
があれば伺いたいと思います。
平野参考人(平野俊夫)
55
○
平野参考人
御指摘のとおりでございまして、今御指摘された倫理的な問題、これは単に一
大学
にとどまらず国全体の問題でもあるわけです。国全体での、今、軍事とかクローンであるとかいろいろ例を言われましたけれども、生命倫理にしてもそうでございますけれども、やはり一番大きな枠組みは、もちろん物すごく大きく言えば地球上全体ということになりますけれども、
日本
の国の生命倫理、あるいはそういう軍事的なものも含めて、そういう大きな問題はやはり国のレベルだろうと思います。
大学人
は、もちろんそれぞれの
意見
がありますので、国のそういう方針に対していろいろな
意見
は当然言うべきだろうと思いますし、そういう国全体の問題と、仮に
大学
の中で、ある限られた中でそういうことがあったとして、当然、
学長
が勝手にそういうことを決めるというのは、私が何回も言っています
学長
の
リーダーシップ
の方針に反するわけでありまして、
専門
集団の全ての
意見
を当然聞いて、やはり、いかに価値観というか、
大学
の中で
合意形成
をしていくか。 これは国のレベルでも同じだと思うんです。国のレベルでいかにそういう倫理的なものの価値観を共有していくか、
合意形成
をしていくかというのは、国のレベルで重要だし、それは同じく、ちょっとスケールは小さくなっても、
大学
のレベルでも同じだと思います。
柏倉委員(柏倉祐司)
56
○柏倉
委員
ありがとうございます。 非常に難しい問題ではありますけれども、やはりどこかでそういった議論を、
大学
の中でも恐らく避けては通れないときが来るのかなと思います。そういうところをぜひ、なければないにこしたことはないんですが、
大学
の中でもその問題意識は今からもう共有していただければというふうに思います。 次は、
早稲田大学
の
田中参考人
にお伺いしたいんですが、海外で、
中央
集権的な
大学
、分権的な
大学
、その中間
大学
と、いろいろ
ガバナンス
にも種類があるということだったわけですけれども、それで一番おっしゃられたのが
責任
と
権限
の所在の明確化、これはもうほかの
委員
からも何回も質問されたと思います。 私もぜひお伺いしたいんですが、今回、
法改正
で、具体的に
学長
の
責任
が何らか明確になったとか、要は賞罰の部分で定義されたということは全くありません。その一方で、
学長
の本来あるんだと言われる
権限
はしっかりとまた明記されているわけです。これは
権限
と
責任
の所在の明確化という観点から考えればややバランスを欠いているという指摘もあるんですが、これに関する先生のお考えをお聞かせいただければと思います。
田中参考人(田中愛治)
57
○
田中参考人
今回の
学校教育法
改正の九十三条についての御質問だというふうに承りますが、確かに非常に難しいところだと思っております。
教授会
の
権限
が明示的になっているところとそうでないところがはっきりしてきたということで、その若干の違いがあるということは言えると思いますが、先ほど申し上げたとおりでございますが、実はいかに運用するかということが重要であろうと思っております。ですから、その運用をモニターするような制度というものは実は必要であろうという気がいたします。 例えば、
学長
が暴走する
大学
がないわけではないというふうに存じております、現行の法制度下でもございますので、新しいこの
法案
がもし成立したとしても同じことは起きるというふうに私は存じております、幾つかの
大学
を見てまいりましたけれども。そういうことが現実に起きるということもございますし、それから、
教授会
が非常に伝統的に頑として動かないために
大学
改革
が進みにくいということもあるというふうに、それも認識としては持っております。両方の問題があるというのはわかっておりますが、そのどちらもこの
一つ
の
法案
で見事に解決するというのは非常に難しいというふうに考えております。 やはり大事なことはチェック・アンド・バランスだと思うんですが、
学長
が
リーダーシップ
を発揮できるようにしていくということも大事でありますが、暴走があった場合には、例えばオンブズマンのようなものを置いてそれをチェックできるような機能も必要である。
教授会
がイニシアチブを発揮できるようにするところも、必要な
大学
もあるわけです。 ただ、
教授会
の
権限
が強過ぎて
学長
の
リーダーシップ
を損ねる場合もないわけではない。そのときにも、それなりの、今回の
法改正
ではそれについてはかなり改善されると思いますけれども、先ほどにも御指摘ありましたとおり、逆のことは起こらないかというのは、全く懸念がないとは言えないと思っております。ですから、杞憂ではないというふうには考えます。
日本
の
大学
にはさまざまな
大学
がございますので、
学長
が暴走する場合もあり得るとは思っております。 先ほど申し上げましたが、ただ、
法案
がこうなったから必ずこうなるということではないと思っておりまして、やはり、そうなった場合を是正するようなモニタリングのような制度、オンブズマンのようなそういう制度が必要なのではないかという気はいたしております。 以上でございます。
柏倉委員(柏倉祐司)
58
○柏倉
委員
ありがとうございます。 それでは、
池内
参考人
にお伺いしたいんですけれども、
教授会
というものによる自治というのが、非常に歴史ある、伝統あるもので大切なんだという御
意見
だったかと思います。 ある
意味
、この
法案
が出てきたのは、
教授会
では船頭多くして船山登るというところもある、やはり強力な
リーダーシップ
を持って特にグローバル化を勝ち抜いていくんだというような、目的は同じでも方法論が全く違うという
法案
になったかと思うんですね。 そこで、
教授会
が
ガバナンス
をコントロールしている現状でもそういうグローバル化にしっかりと伍していけるんだというような、そういったお考えがあるかと思うんですが、具体的なところ、一例、二例で結構です、どういったような仕掛け、工夫があればこのグローバル化に対応していけるのか、もしお考えがあればお聞かせいただければと思います。
池内参考人(池内了)
59
○
池内
参考人
グローバル化といっても、いろいろなスタイル、やり方、それから方向があるわけです。いわゆる国際化という形で外国人
教員
を雇うとか外国人の留
学生
を多くとるとか、そういう面で、時間はかかっておりますけれども、いろいろな形で、数としてはふえていっております。 しかしながら、私自身は、決定的な問題は、
日本
社会
が外国人に対して寛容ではない、そういう状況が頑としてある。 その中で、例えば私がおりました総合
研究
大学院
大学
では、もはや二八%が
外国人留学生
の比率になっております。それは、いろいろな
意味
で、各
教員
の、まさに
教授会
としての努力の積み重ねの結果であります。そのように、自由な
発想
で取り組んでいく。 それで、
日本
社会
の頑としてなかなか変わらない国際流動の壁をどう打ち破るかというのは、これはまさに一
大学
の問題でもないんだけれども、私
たち
としては、常に要求を出していくという格好で、そういうことしか言えないといえば言えないんですが、そのような形で、つまり、グローバル化というのは
学長
がひとり旗を振ってできるものではないわけですよ。
日本
社会
全体の雰囲気を変えていく、そのためには、
大学
全体が一体となって、まあ一体となってというのはちょっと言い過ぎかもしれない、
大学
全体が価値観を共有して、いろいろな形で外国人に寛容な
社会
を目指していく、つくっていく、そういうまさに根っこからの部分を強めていくということが必要で、そのためには、先ほど言いましたように、
学長
だけが旗を振っていて何にも変わらない、私はそういうふうに思っております。
柏倉委員(柏倉祐司)
60
○柏倉
委員
きょうは貴重な御
意見
をどうもありがとうございました。時間ですのでこれで終わります。
小渕委員長(小渕優子)
61
○
小渕委員長
次に、井出
庸生
君。
井出委員(井出庸生)
62
○井出
委員
結いの党、信州長野県出身の井出
庸生
と申します。 きょうは、三人の
参考人
の
皆様
、本当にありがとうございます。よろしくお願いをいたします。 冒頭私は、ちょっと荒っぽい
言葉
で言うと、
教育
、特に
大学教育
などにおいては、国はお金は出すけれども余り余計なことは口を出すな、そんなようなスタンスがいいんじゃないかなと
個人
的には思っておりまして、ちょっと荒っぽい表現ですので、きょうは忌憚のない御
意見
、御指導を賜りたいと思っておるんです。 まず、きょう既に
お話
に出ております
学長
の
責任
、
学長
の暴走。端的に伺いたいのはその罷免にかかってくるところなんですが、相対的に、
学長
と
教授会
の役割が明確化されて、これまで以上に
学長
の
リーダーシップ
が問われてくるというところは、この
法案
、賛否両論ある中で共通の認識だと思います。 これまでの、例えば先日、二十三日に下村
文部科学大臣
が
学長
の罷免について
お話
しされているところがありまして、まず、監事による監査がある、また、自己点検・評価、認証評価、また、
学長
選考
会議
による業務執行状況の評価等が可能になっている、そういう話がありました。 一方、法律を見れば、
国立大学
の話をさせていただくと、
国立大学法人法
の十七条で、業務の業績の悪化があったときに、選考
会議
の申し出を受けて
文部科学大臣
が
学長
をやめさせることができる、そういう法律に今現行なっておるんです。 まず、
田中参考人
にお伺いをしたいんです。 先ほど、オンブズマン、モニタリングのような機能が必要だという
お話
がありましたが、今回の
法改正
で、現行の、
学長
の罷免、
責任
を問うところに係る法律、そこの部分も見直す必要があるかないかということと、あと、監事ですとか認証評価、また
学長
選考
会議
といったものがちゃんと機能を果たしているかどうかというところについて、御経験を踏まえて御
意見
をお聞かせください。
田中参考人(田中愛治)
63
○
田中参考人
御質問は、
国立大学法人法
改正についての部分になるかと存じますので、私立
大学
の人間としては若干の遠慮もございますけれども。
学長
の
リーダーシップ
について、それから罷免に関してですが、現在の
法案
の罷免の条項が十分かどうかは、済みません、十分に私も検討ができておりませんので直接お答えできませんけれども、申し上げたかったのは、今回私学法の改正は一切ございませんのでそこに触れることはございませんけれども、私立
大学
におきまして、
学長
の暴走などが起こる場合があるというふうには認識しております。 また、逆もあるわけで、
学長
の
リーダーシップ
が発揮しにくいような慣習になっている
大学
もあるというふうには存じておりますが、それらについてそれなりのイニシアチブを発揮するための制度が必要だというふうに申し上げたにすぎないということで、これはまだ不勉強でございますので、今後の
課題
とさせていただければと思います。 それで、
学長
の選考についてでございますけれども、これは、例えば
アメリカ
の例などを見ながら少し
意見
を申し述べさせていただきます。
アメリカ
の
一流大学
の場合には、
総長
選挙
、いわゆる
学長
の
選挙
というものはほとんどなく、プレジデントを選ぶのは、サーチコミッティーと言われている
選考委員
会が立ち上がり、それがボード・オブ・トラスティーと言われている評議員会もしくは
理事会
の委託のもとに、サーチコミッティー、
選考委員
会が全
世界
から適任者を探す、それで、その適任者の
候補者
を絞るわけです。七人とか五人に絞りながら、それをボード・オブ・トラスティーにかけていく。最終的に
選考委員
会が一人に絞って推薦を出す。それが承認された場合にはその方が選ばれるというようなやり方になるわけであります。 このやり方と、
日本
の多くの
大学
で行われている、
学長
が教職員の
選挙
によって選ばれる場合との違いでございますけれども、現在、
日本
国内で懸念されているのは、
学長
が
改革
を進めていくときに、良薬は口に苦しというような、教職員にとっては痛みを伴うような
改革
も中にはあるわけでございますが、そのときに、
改革
がとまるのではないか、つまり、
選挙
によって
学長
が選ばれるので、再選のためには遠慮が出るのではないかという懸念があるというふうに言われていると思います。 そのことは確かにあり得ると思いますが、ただ、
大学
にもよると思いますし、さまざまな慣習というものがあるので一概には言えませんけれども、
大学
における
学長
の
選挙
というのは、ある
意味
では非常にレベルの高い知識人が有権者となって投票する
選挙
でございまして、いわゆるポピュリスト的な人気政策を打てば当選するというものではないというふうに考えております。本来、本当に将来を見据えた政策を推進する者が選ばれる、必ずそうなっているとは限りません、それが理想だと思いますけれども。 ですから、そこも、あり方も
学長
本人のやはり覚悟の問題だと思うんですが、先ほど卑近な例を出させていただきましたが、例えば
本学
の
総長
の鎌田が行っているように、相当の覚悟を持って臨むという、政策の一貫性でありますとか
理念
がはっきりしている場合には、苦い良薬であっても教職員はそれを受け入れるということがあり得るというふうに考えております。 なので、制度、どれがいいかというのはなかなか難しいと思いますが、一概に
アメリカ
の方式の選考、サーチコミッティー方式が必ずよいというわけではないようには思っております。 ただ、
選挙
における弊害というものがないわけではございませんので、そういう点については検討
課題
であろうと思いますが、何か海外の制度のこれを持ってくれば
日本
の
大学
が必ずよくなるという妙案があるわけでもないと思っておりまして、やはり重要なことは、教職員が価値観を共有する努力が必要であり、
学長
がそこで
リーダーシップ
を発揮して、苦い良薬であっても
改革
のためには進めるというようなことが必要だろうというふうには存じております。 以上でございます。
井出委員(井出庸生)
64
○井出
委員
ありがとうございます。 冒頭に
アメリカ
、
イギリス
の
大学
のことについて詳しく伺ったことも、大変これからの
参考
にさせていただきたいと思います。 同じ質問を
平野参考人
にも伺いたいのですが、これから
学長
の
リーダーシップ
が発揮できるようにしていこう、その中で、現行の監事による監査、認証評価制度、また、
学長
選考
会議
による
学長
の評価といったものがこれまで十分果たされてきているのか、これから
リーダーシップ
を強めていくのであれば、そこの
学長
に対するチェック機能というものを強める必要があるかどうか、御経験を踏まえた御
意見
をいただければと思います。
平野参考人(平野俊夫)
65
○
平野参考人
お答えしたいと思います。 今御指摘がございましたように、現在、制度的には、監事による監査、自己点検・評価、認証評価、あるいは
総長
選考
会議
による業務執行状況の評価、そして、
総長
選考
会議
による解任の申し出ということで、解任のシステムはあるんです。 今回、
学長
の選考に当たって、
学長
選考
会議
が、主体性を持って明確に、各
大学
の
使命
であるとか
理念
、あるいはどういう方向に持っていくか、そういうことを照らし合わせた上で
責任
を持って
学長
を選び、そして、
文部科学大臣
に報告するということになっておるわけです。しかも、その
過程
は全て公にしなければならないという
透明性
がある。すなわち、
学長
選考
会議
が
学長
を選ぶということに対して非常に説明
責任
が負わされているわけです。 現在の法律でも、先ほど御指摘ありましたように、
学長
選考
会議
は解任をすることができるわけです。 ということを両方考慮いたしますと、
学長
選考
会議
が今後そういう
責任
を持って、
透明性
を持って主体的に
学長
を選んでいくというプロセスが動けば、当然その裏腹に、現在でもある
学長
選考
会議
の解任というのが非常にやはり自主性を持って私はワークすると思うんです。 もちろん、こういう制度以外に、先ほど来何回も言っていますけれども、
大学
の
運営
の性格上、
学長
が暴走したときに、
構成員
一人一人がやはり動いていかないと
大学
というのは全く機能しませんので、
学長
というのは自然にやめざるを得ない
立場
に私はなると思うんです。 そういうことから、何回もディスカッションがありますように、やはり価値観をいかに共有できるか、その
リーダーシップ
がなければ、それがない
学長
というのはもう自然消滅、自然に退場ということに私はなると思います。その上でこういう法律的なものもあるということで、私は特段心配はしていません。
権限
があれば、当然
責任
がある。それは、
学長
選考
会議
がそれをするだろう、少なくとも最後のとりでというか。 そういうことでございます。
井出委員(井出庸生)
66
○井出
委員
ありがとうございます。 ちょっと重ねて伺いたいんですが、今、
学長
選考
会議
が主体性を持って、選考の説明
責任
も高まってくると。そういうプロセスが動いていけば、恐らく、任命
責任
も生じてくるから、
学長
の暴走ですとか、その解任に対しても
責任
が生じてくるという
お話
だと思うんですけれども、そうしますと、では、現行の
学長
選考
会議
の
学長
に対する任命
責任
を監視していくというところは、今回の
法改正
でその再認識にはなるかもしれないけれども、逆に捉えれば、
学長
選考
会議
の機能が少し不十分という御認識はお持ちでしょうか。
平野参考人(平野俊夫)
67
○
平野参考人
私は、先ほども御説明しましたけれども、現状で、
学長
選考
会議
の主体性が法律的に
透明性
を持ってとかいろいろなことで規定された以上、今まで以上に
学長
選考
会議
の機能というのは重要にもなりますし、今でも重要なんですけれども、やはり
学長
選考
会議
が主体性を持ってより機能していくんだろうと思っております。それは、任命だけじゃなくて解任につきましても。
井出委員(井出庸生)
68
○井出
委員
ありがとうございます。 次に
池内
参考人
にお伺いをしたいんですが、今お二方の
お話
の中で、
学長
の選考について、
田中参考人
からは、
アメリカ
式を入れること、また、
選挙
で決めていくということの一長一短の
お話
がありましたし、
平野参考人
からは、
学長
選考
会議
がより主体性を持ってという
お話
があって、これまでの
審議
の中で、
学長
選考の教職員による意向投票、これはこれからもやってもらっても構わないんだけれども、
参考
程度にしてもらわないと、意向投票イコール
学長
決定という仕組みにしてしまうと、
学長
選考
会議
をつくった
意味
がないんだ、そういう
お話
を
文部科学大臣
が私の質問での答弁の中でされているんです。 私は、
学長
選考
会議
が
学長
の資質を明確にして、
透明性
のある
選挙
を実行していけば、
大学
の教授、職員、今多くの
大学
がやっている意向投票というものを尊重することも、
一つ
、
大学
としての主体のある
学長
の選考の仕方かなと。そこを劇的に変えてしまうのは私はいささか疑問を持っておるんですが、そこについての御
意見
を
池内
参考人
に伺いたいと思います。
池内参考人(池内了)
69
○
池内
参考人
現行においても、意向投票に従わねばならないということにはなっていないわけですよね。選考
会議
で決めればいいわけです。 その決める
過程
において、意向投票の中でさまざまな
意見
が表明されている。それをどう取り入れるかということの問題であって、それで決定的に意向投票イコール
学長
選出であるということにはならない。現実に、今までの
国立大学
のいろいろなケースがそれを示しております。 私自身は、それよりも、
学長
選考
会議
、先ほど
透明性
と言われましたが、もう
一つ
必要なのは、
学長
選考
会議
で選考した結果として、例えば毎年一回ぐらい、それこそモニターする。
学長
が当初推薦理由としてこういうのを掲げたけれども、こういう状況が生かされているかどうかということを選考
会議
としてモニターする。選考
会議
として何らかのサジェスチョンを与える。こうせいとは言えませんから、サジェスチョンを与える、そういうプロセスは考えてもいいのではないかと思いました。 つまり、選考
会議
で一方的に選考しましたということの結果を何も問わないというのは問題で、無論、選考
会議
の
委員
は経営協議会及び
教育研究
評議会の
メンバー
から選ばれておりますからそちらでやればいいというようなものだけれども、選ばれていない人もたくさんいるわけですから、やはり選考
会議
の
責任
としても、例えばそういうモニターをやっていく、そういうシステムを考えていいのではないかと私自身は思っております。 そのときに、まさにこれは意向投票でやったとおりであったかどうか、あったねとか、そういう議論も当然されることになりますから、いろいろな材料を集めるための意向投票も生かされていいし、それで選考
会議
としてきちんと
責任
をとっていくというシステムを考える必要があると私は思っています。
井出委員(井出庸生)
70
○井出
委員
時間になりましたので終わります。貴重な御
意見
をありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
71
○
小渕委員長
次に、
宮本岳志
君。
宮本委員(宮本岳志)
72
○
宮本
委員
日本
共産党の
宮本岳志
です。 きょうは、三人の
参考人
の
先生方
、まことにありがとうございます。 まず、
平野
総長
にお伺いしたいと思うんです。 実は、ことしの二月にまとめられた
中央教育審議会大学分科会
の
審議
のまとめでは、九十三条にかかわって、
教授会
が
審議
すべき重要な
事項
の具体的な内容というのは、四つ挙げられておりました。学位の授与、
学生
の身分に関する
審査
、
教育
課程の編成、
教員
の
教育研究
業績の
審査
等について、これは、
教授会
の
審議
を十分に考慮した上で
学長
が最終決定をする。 今回の
法案
九十三条では、そのうち、「
学生
の入学、卒業及び課程の修了」というのと「学位の授与」というのを明示しているほかは、今掲げられたものから抜け落ちているわけです。そしてそれは、「
教育研究
に関する重要な
事項
で、
学長
が
教授会
の
意見
を聴くことが必要であると認めるもの」というふうに落とされているわけです。 そこで、現に
総長
でいらっしゃる
平野参考人
に、「
学長
が
教授会
の
意見
を聴くことが必要であると認めるもの」、先ほどの
審議
まとめが挙げたようなものがこの中に入ってくるんだろうと思うんですけれども、
平野
さんはどういうものが必要と認めるものに入るとお考えになるでしょうか。
平野参考人(平野俊夫)
73
○
平野参考人
今御指摘がありましたように、今御指摘に挙げたものは、全て
意見
を求めるようなものだと思います。 それ以外にも、
教授会
というのは
部局
ですよね、
部局
というのはいろいろな
専門
性が違うわけです、その
部局
によって。当然、その
専門
性にかかわることは
意見
を求めないと
学長
が
判断
できるはずはないわけです。だから、一般的には、例えばいろいろな
部局
の
人事
とかそういうのも含めて、
人事
というのは、当然その
専門分野
の
教育研究
の
専門
領域の人を選ぶわけですから、それを
学長
がああせいこうせいと言うことは、能力的にもできませんし、それはやってはいけないことだと思います。 そういう
意味
で、重要であるということを認めて
意見
を聞くということの中には、いろいろな
大学運営
に関することも含めて、
大学
の志とか
理念
を追求するために全
構成員
が価値を共有しなければならない。そのためには、いろいろな
意見
を聞く。それの中に、一言でここに入っている「
教育研究
に関する重要な
事項
で、
学長
が
教授会
の
意見
を聴くことが必要である」というのも、ほとんどに入ってくると思います。そういう
合意形成
をする上で重要であります。
宮本委員(宮本岳志)
74
○
宮本
委員
ありがとうございました。 それで、次に
田中参考人
にお伺いしたいと思います。 私は、実は前回の文科大臣との
質疑
で、中教審に文科省自身が示した「外国の
大学
における
教授会
に相当する
組織
の状況」というものもお示しをして、
イギリス
や
アメリカ
でも、アカデミックな
事項
については、
教員
を主たる
構成員
とする
大学
評議会やセネトというものが決定権を持っている、とりわけ、英国の
オックスフォード大学
それから
アメリカ
のカリフォルニア
大学
バークレー校と
二つ
の
大学
を挙げて、
オックスフォード
では四千五百人から
構成
されるコングリゲーションが、
大学
の諸規定の承認やカウンシルからの提出案の修正、廃止、
学長
の承認、任命等まで行っていると具体的にお示しして、
世界
の
大学
の中に
日本
の
大学
が余り入っていない、これをふやしたいと言いながら、
世界
の名立たる欧米の
大学
が現に
教員
の参加という点ではこういう形でやっていることが
参考
にされていないじゃないか、今やろうとしていることは逆じゃないか、こういう御指摘をいたしました。 そうしたら大臣からは、非常に都合のいいところだけとっているとしか思えない、
一つ
、
二つ
の事例だけ挙げて、全てがそうであるかのように論じるべきでない、こういう答弁をいただいたので大変驚いたわけであります。 先生は、先ほど来、欧米の、とりわけ
イギリス
、
アメリカ
の
大学
の事例をたくさん
研究
されてきたことを御
紹介
ございました。欧米の
大学
では、この
教員
の意思決定の参加という点で、今私が
紹介
したような例は
一つ
、
二つ
の特殊な事例なのか、それとも一般的なのか、どうぞお聞かせいただきたいと思っております。
田中参考人(田中愛治)
75
○
田中参考人
御質問ありがとうございます。 今御質問の点、コングリゲーション、その
オックスフォード大学
の例については、私も読み聞きはしておりますが、それがどのくらい一般的であるかということについては、実は不勉強で、存じておりません。 ただ、
オックスフォード大学
が
イギリス
の中でも例外的に分権化が進んでいる、そしてまた、コングリゲーションという、多くの
教員
の参加というものが認められてきたという、そういう伝統があるということは存じております。 それが、私の見聞きしている範囲では、ある
意味
では一般的ではないように伺っております。
オックスフォード
という、
教員
のレベルが非常に高い、
世界
的に最も高いレベルの
教員
を集めているところで行われてきた、長い伝統の、九百年の伝統の中で行われてきたというふうに存じておりまして、
アメリカ
の
大学
とは非常にそこは異なっているんですね。 異なっておりますが、先ほど申し上げましたように、
アメリカ
の
大学
は、比較的トップダウン、トップダウンといっても
緊張関係
があるわけですけれども、その非常に健全な
緊張関係
が、
部局
、いわゆる
学部
や
研究科
と
学長
サイドの間にあるわけでございますけれども、それでも
アメリカ
の方が、
学長
の方が発揮するイニシアチブというものが強く出ている。
イギリス
、特に
オックスフォード
は、それが非常に分権化されているということはあると思います。 ですから、どちらをとってこれが一般的というふうに
世界
を決めるのはなかなか難しいと思いますので、
日本
には
日本
のやり方というものがあると思いますが、そのどこの部分が重要か、うまく機能した原因かというのを分析することが必要だろうと思っております。
オックスフォード
の場合は徹底的な分権化をしたわけですけれども、各
部局
に
責任
と
権限
の一致を明確にしたということで、失敗すればそこは潰れるという覚悟で自分
たち
で
運営
をしたというふうに聞いております。
オックスフォード
では潰れたカレッジも潰れた
デパートメント
も
一つ
もないというふうにおっしゃっていましたけれども、そこにはかなりの緊張した
運営
があったというふうに聞いております。 それに対して
アメリカ
の、例えば
コロンビア大学
などは、
大学
の方が相当モニターをして、失敗がないように相当注意をしているということですので、非常に対極的だと思いますが、ただ、その目的は、それぞれ
教育
と
研究
の質をいかに上げていくかということに注がれておりますので、全教職員が同じ価値観を持つということが大事だと思います。 もう一点だけ申し上げますと、
ハーバード大学
で非常に感銘を受けた
言葉
が
一つ
あります。
ハーバード大学
は、
学部
、ロースクールとかビジネススクールとかが非常に独立性が高くて、分権化している。
総長
、プレジデントの言うことは誰も聞かないが、プレジデントが何も言わなくても、
二つ
の点だけは全
教員
が一致していると言っていました。それは、
世界
でベストの
教員
を
採用
すること、それから、
世界
でベストの
学生
を集めること、入学させること、この
二つ
については、妥協はせずに、どれだけのエネルギーと時間でもかけるということ、決意を全員が持っているということを言っておりました。 そういうような価値観が共有されたところでは、例えば
オックスフォード
、
ハーバード
のようにかなり異なる制度でもうまくいくように思われますけれども、その価値観がうまく共有されていないところでは、ほんのちょっとしたことでも暴走が起こったり、それからまた停滞も起こるということがあるように思っております。 一発のお答えができなくて非常に恐縮でございますが、欧米の
大学
を見てまいりますと、やはり、どうすればよくなるかということについては徹底的に考えていると思います。それで、そのための努力を惜しまないということであろうかと思っております。
宮本委員(宮本岳志)
76
○
宮本
委員
ありがとうございます。
アメリカ
においても
イギリス
においても、そういう点では、本当に、共有するために民主的な議論が尽くされていると思うんです。だから、そういうものと比べても、私は、今回の改正案というものは、やはり、
教授会
の意欲というものをともすれば失わせることになるんじゃないかということを指摘せざるを得ないと思っております。 次に、
池内
先生にお伺いをいたします。 今日、
世界
と伍して、競争で
日本
の
大学
をとおっしゃるけれども、むしろ欧米では
教員
の参加を広げている。どうもそれが直接の狙いというか、思いではないのじゃないかと言わざるを得ないですね。私
たち
は、背景に財界や大企業の要望があるということを指摘せざるを得ないと思っているんです。
学問
の府たる
大学
を、目先の利益、成果優先、産業競争力に必要な
人材
づくりの場に変えていくのではないか、こういう危惧を私は持っているんですが、先生の御見解をお伺いしたいと思います。
池内参考人(池内了)
77
○
池内
参考人
私の考えを申し上げますと、やはり
日本
の方がいかにも底の浅い
改革
、要するに、手っ取り早くとにかく
学長
に
リーダーシップ
を発揮させるように、ややこしいものは落としましょうなんというそういう
発想
ですよね。今言われたように、
ヨーロッパ
、
アメリカ
では、それなりに
意見
を徴収していろいろな議論を尽くすということが常態になっているわけです。
日本
は非常に安っぽい議論であると僕は思っております。 その一例は、要するに、
日本
は今、
国立大学
等を初めとして
大学
は
専門
学校化しているんではないかと私は思っております。とにかく手っ取り早く企業に役立つ人間を育てよう。衆知を集めてじっくりと考えて、長い目で見て知的生産物をつくり上げていくという、そういう
大学
の本来の役割を放棄して、とにかく早く資格を取らせる、早く
専門
化させる。今、少しは揺り戻しがあって、教養部
改革
、教養部を復活させようなんという声も出始めておりますけれども、要するに、
大学
が本来つくるべき
人材
を忘れて、手っ取り早くとにかく使える人間だけをつくる。その場合は、ある
意味
では
学問
は死に絶えますよ。数年間はうまく回ったとしても、本当に根底から物事を考え
改革
する、変えていく、そういう人間をつくることができなくなるわけです。 だから、その
意味
では、今の経済界等の圧力で文科省が変えていっているのは、安直に過ぎる。もっと衆知を尽くして、より
大学
らしいものを。それで、迅速ということを常に言われますが、無論、ある一定限度の時間的な制約は課して構わないとは思いますが、その間でどれだけ衆知を尽くすかということ、それを
学長
としてやっていくか、それこそが
リーダーシップ
ではないかと私は思っております。 今、お答えになっているどうかわかりませんが、そういうことであります。
宮本委員(宮本岳志)
78
○
宮本
委員
ありがとうございます。 もちろん私どもも、
日本
の
大学
が大いに
世界
で評価されるということは必要なことだし、喜ばしいことだと思っているんです。 それで、先ほど
田中
先生が御
紹介
いただいたような、
ハーバード
、
オックスフォード
、スタンフォード、あるいはMIT、
ケンブリッジ
、カリフォルニア
大学
バークレー校、
イエール大学
、
コロンビア大学
、全て
日本
の東大よりも上の順位に、ランキングを見ても行っているわけです。 そういう点では、では、本当に
日本
がそういう立ちおくれた状態から国際的に通用する
大学
にしていくために、どういう
改革
が必要か。これは
池内
先生、どのようにお感じになりますか。
池内参考人(池内了)
79
○
池内
参考人
先ほどちょっと言いましたように、
日本
社会
全体が、いわゆる国際化に対して寛容でないということが決定的に欠陥があるというふうに思います。 しかしながら、そうは言っていてもどうしようもないので、
大学
自身がもし可能ならば、私自身は、特に外国人の
教員
とか
学生
を集めていく場合には、それなりの条件を、例えば
学生
に対しては、寮とか、生活の
基本
的な奨学金を、返さなくていいものをきちんと措置する、誰彼構わず希望者には措置する、そういう状況をつくる必要があると思います。
教員
に関しては、
教員
のしかるべき義務とともに、
学生
に対してどれだけのことを寄与できるかということをきちんと書いていただいて、それに応じて
給与
を認定する。
教員
とか
学生
とかそういう人
たち
が、気楽にと言ってはおかしいんだけれども、自分
たち
の力が発揮できる条件が整えられているということが見える
大学
でなければならない。そういうことであればどんどんふえてくると思うし、先ほど言いましたように、総研大では二六%以上になっているのは、やはり各
研究
機関がそれなりの奨学金等をきちんと措置して、学ぶ条件をまずつくってやっている。
日本
の高い物価の中で、アルバイトをしなければならない
学生
なんというのをつくらないということ、これは無論、留
学生
だけじゃなしに、
日本
の
学生
諸君全てに対して適用すべき事柄であり、私自身が先ほど言いましたように、高等
教育
に対して〇・五%しか出していないということがやはり決定的な問題であって、それはこの
委員会
としてきちんと政府に言っていただく義務があるんではないかと私は思っております。 以上です。
宮本委員(宮本岳志)
80
○
宮本
委員
時間が参りました。まことに貴重な御
意見
、ありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
81
○
小渕委員長
次に、青木愛君。
青木委員(青木愛)
82
○青木
委員
生活の党の青木と申します。 きょうは、三名の
参考人
の
皆様方
に貴重なお時間をいただきまして御
出席
をいただき、ありがとうございます。 まず私の方からは、今回の
法案
で、
学長
の
権限
が強化され、また
責任
の所在も明確になるということなんですが、今後この
学長
に求められるさらなる役割、どのようなことが期待をされていくのか。
大阪大学
の資料を拝見いたしますと、基金も創設をされておられまして、今後、
学長
が外に出て、資金繰りですとか、あるいは優秀な
人材
を集めてくるとか、具体的に
学長
に求められる役割はどういうものなのかということをお伺いをさせていただきたいと思います。 やはり、この
法案
について経済界からの意向というものが強く反映をされた形になっているというふうに私も思います。今後、この
学長
の役割とともに、産業界と
大学
の産学の連携がどのような形でより具体的に推進されていくのか、その点をまずお伺いをさせていただきたいと思います。 それぞれのお
立場
から、三名の
参考人
にぜひ伺わせていただきたいと思います。
平野参考人(平野俊夫)
83
○
平野参考人
御指摘ありがとうございます。 このことによって、先ほどから何回も言っていますけれども、
学長
の役割というのは、やはり、志あるいは
理念
、そういう価値観を全
構成員
にいかに
合意形成
というか共通認識にしていくかというのが一番大きいと思います。 今御指摘にありました、その上でどういうことが具体的にあるかと言われたときに、もちろん、そういう志、
理念
を持って
大学
をよくしていくんだという大きな目標があるとすれば、それにいきなり何かぱっと夢のようなことが実現するわけではありません。それは、その夢を実現するためには、やはり目の前の一歩一歩をやっていく必要がある。それは地道な努力です。ただし、その夢に向かってやっていくということが重要で、ばらばらに一歩一歩やっていってはいけない。 そういう中で、当然、
大学
の
使命
を果たすためには、今御指摘のあったように、例えばお金の問題もあります。それはもちろん国から
運営
交付金もいただいておりますけれども、
大学
独自のそういう自助努力もしなければならないこともあります。 それから、当然、その前に
大学
の
構成員
の意識
改革
をしていかなければならないし、それから、例えば
教育
環境にいたしましても、
世界
に開かれた
大学
になるような
教育
環境を、例えば学事暦
一つ
とりましてもそうですけれども、いろいろな
教育
環境を整えていく、そういう地道な努力、もちろんその中には、
世界
に向かって
教育
の質を高めていくということもあります。 それから、産学連携という御指摘もありましたけれども、産学連携も
大学
の
使命
の
一つ
なんです。産学連携をしたらどうということはなくて、それは、大きな
大学
の
使命
の中に、
大学
は
学問
の府であり、
人材
育成を通じて
社会
に貢献するんだ。さらに私は、二十一
世紀
においては、
学問
を介して調和ある
多様性
を
グローバル社会
に創造することによって人類の心豊かな
発展
に貢献するんだと掲げていますけれども、その一環として、当然、
社会
に向いた
大学
として社学連携も積極的に進めていかなければならないと思いますし、産学連携も
社会
還元の一環として、それをしたら
大学
というものであります。 ただし、
大学
の
基本
は、
大阪大学
は二十二
世紀
に輝くというのを掲げていますから、非常に長期的な展望に立って、単に
専門
家を育てるわけでもありません、やはり非常にアカデミックな、ベーシックな基礎
学問
を地道に追求していく、それが最も大事なことで、その中に産学連携というのも
社会
科目としてある。 とにかく、いろいろありますが、これは
学長
一人でできません。
大阪大学
の場合は、それは当然、多くの副
学長
、財務担当であるとか
研究
担当、
教育
担当、産学連携担当とか社学連携担当とか国際問題担当とか、いろいろ連携してやっている。大事なのは、目の前の
一つ
一つ
の小さなことを目標に向かって統一的にやっていくということであると思います。そのための意識
改革
と価値観の共有、それが重要だと思います。
田中参考人(田中愛治)
84
○
田中参考人
田中
でございます。 御質問の点にお答えできればと思いますが、私自身が
学長
を務めたことがございませんので限られた経験になると思いますけれども、
日本
の
大学
の場合、設置基準にかかわらず、その担うべき役割はさまざまに分かれていると思います。 大きく分けて三つだろうと思います。
世界
のトップレベルの
研究
を推進していくという、
研究
を中心とするような、また、
大学院
生、
研究者
を育てる
大学
と、それから、全国の
学生
を丁寧に
教育
していくべき役割を持つ
大学
、そして、その地域に根差して、その地域の振興に貢献する
大学
というふうにあると思います。それは設置基準にかかわらずと申し上げておりまして、
国立大学
だから地域振興で、私立
大学
だから
研究
しないということはなく、私立
大学
でも、設置形態とは別に、役割というものがあると思います。 したがいまして、
学長
もそれぞれの役割が異なると思いますが、それらの異なる役割を超えて共通する、
学長
に期待されるものというのは、
学長
のもとで仕事をしておりまして感じるのは、やはり、その
大学
の役割を明確に示してビジョンを示すことで、それは
平野
先生もおっしゃっているとおりだと思いますが、そのことをいかに教職員と共有するかというその説得力のあるビジョン、また、ぶれないということですが、大きな大局的な筋を示し、その
大学
が本来持つべき役割というものを明確に自覚、そして教職員にそれを自覚させて、それを掲げて進んでいただくということが重要だと思います。 もちろんその中には、例えば
研究
を推進していく
大学
の場合には、産学協同により
研究
を協力して進める場合もあり、また、
学生
がインターンシップやフィールドワークに行って、民間の企業やもしくは公官庁の中で仕事をさせていただくことによって
教育
が非常に伸びる場合もございますので、そういうような役割も必要で、象牙の塔といいますか、
学問
の府に閉じこもらずに、多角的な外との交流を積極的にするというのも、それぞれの役割を持つ
大学
の
学長
としてそれなりにおありになると思います。そういうことも重要だと思っています。もちろんそれは、ファンドレージングという
意味
での資金集め、寄附を集めるということも含んでいると思いますけれども。 ただ、やはり根幹は、その
大学
がどういう設置形態であれ、その
大学
が持っている目的を明確に自覚し、その方針のもとでのビジョンを教職員と共有していただくということが
最大
であろうと思います。 そのことに関しては、妥協はせずに、しっかりと筋を通していただくということが
学長
に求められるものであろうというふうに存じております。 以上でございます。
池内参考人(池内了)
85
○
池内
参考人
大学
というところは、まさしく公共財ですよね。国民自身一人一人がこういうものを持つ、あるいは、そこから生まれたものを共有する、あるいは、それを将来への糧に伸びていく、そういう公共財である。公共財であるということをさまざまな形で国民の中に溶け込ませていくというのかな、そういうのが僕は
学長
の役割であると思っています。 無論、公共財というのは
学問
に裏打ちされていて、そして、特に
大学
は、文化の基層を担う、長期的な視野に立って物事を考える、そういう先達の役割を果たす。まさに
学長
というのは、それを象徴する人間でなければならないというふうに思っております。 産学の連携に関していいますと、私自身は、むげに全面的にそれを拒否するということにはならない。しかしながら、産業界というのは、どうしても近視眼的なというか、短い時間のローテーションで物事を考える。それがまさしく産業界としての役割でもあるんでしょうが、
大学
というのは、それとは違った論理で組み合わさらなければならないというわけです。つまり、近視眼的な成果を求めない。じっくりと物事をより次の世代に生かせるような技術の展開に持っていくとか、そういうものとして産学連携というのを考えていくということは僕はあり得ると思います。その
意味
では、
大学
がイニシアチブをとるということが非常に重要なわけです。 ありていに言いまして、そんなに金をかけてやる産学連携なんていうのは、それこそ
専門
学校的にやればいいわけで、本当に知的に
基本
的な、基礎的なレベルからやる場合には、それはそんなに金はかからない。しかし、まさに知的な能力が必要である。そういうものをいかに生かしていくかということとして考えるべきであろうと。 だから、それもその
意味
では公共財なんです、
大学
が持っている知的な生産物をいかに生かしていくかという公共財で。その
一つ
の生かし方が産学連携であるかもしれないけれども、その別の生かし方は、無論、さまざまな
教育
の場、あるいは、博物館とか科学館とかそういう啓蒙の場で生かされていく、そういうものであるというふうに思っています。 だから、そういうことを
大学
が、みんなの知的
世界
が豊かになるよということを示す、象徴するのは、まさに
学長
としての非常に重要な役割ではないかと思っています。 以上です。
青木委員(青木愛)
86
○青木
委員
時間でありますので、この学教法の改正については、
国立大学
、私立
大学
、公立
大学
、一律に改正をするわけなんですが、
大学
の規模も、また
研究
内容等々、異なるわけなんですが、この一律の改正について御所見がありましたら、一言ずつ三名の
参考人
に、簡単で結構ですので、いただければ助かります。
平野参考人(平野俊夫)
87
○
平野参考人
済みません、ちょっと質問の御趣旨がよくわからないんですけれども、一律の改正についての見解ということでございますけれども、今御指摘にありましたように、第九十三条関係は、これは私立
大学
も全て含んでいるわけですね。法人法というのは、これはあくまでも
国立大学法人法
の改正ですから、当然これは
国立大学
だけでありますね。 一律の改正についてのコメントというのは、恐らく、私はよくわかりませんが、私立
大学
の場合に、
国立大学法人法
、今回の十二条に関係するようなことは、
学長
の選考ですね、ちょっと私は正確でないのでわかりませんが、多分、それぞれの私立
大学
の事情で決まっているんだろう、それが
国立大学法人法
で変えるというのは趣旨が合わないんだろう、だからこういうことになったんだろうと思うんですけれども、ちょっと済みません。
田中参考人(田中愛治)
88
○
田中参考人
今の御質問でございますけれども、設置形態が異なる、また、その設置形態を超えて役割も異なるというのが、私も申し上げたとおり、
日本
の
大学
の
多様性
でございますので、今回の
学校教育法
の改正というものが、もちろん一律に施行されてそれが適用されることでございますけれども、そのことが問題であるとは特に考えませんが、ただ、それによって予測されている事態というもの、ある
大学
では予測されている事態はある
大学
では起こらない、もしくは、予測されていない事態がある
大学
では起こるということになろうと思っておりますので、それが先ほど申し上げた、何らかの歯どめが必要であるということだろうと思っています。オンブズマンでありますとか何かのモニターのような機関が重要だろうというのは、そういうところでございます。 ただ、大事なことは、
大学
が設置形態また本来持っている役割をよく自覚しておれば、今回の
学校教育法
の改正または
国立大学法人法
の改正においてどのように自分
たち
がそれを運用していくかということについては、おのずと
大学
ごとに異なる運用の仕方が見えてくると思います。法の本来の趣旨をよく理解した上で、本来自分
たち
の
大学
の目的に沿った形で運用するということが重要だろうと存じております。 一番怖いのは、法がこうなのだからこうしなければならないという形で強引な議論をされる方が出てくれば、それが
教授会
の側であっても
学長
の側であっても同じだと思いますが、それは非常にゆがむと思いますので、本来の
大学
の持つべき
使命
に対してこの
法改正
をどのように適正に運用するかということが肝要であろうかと存じております。 以上でございます。
小渕委員長(小渕優子)
89
○
小渕委員長
池内
参考人
、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
池内参考人(池内了)
90
○
池内
参考人
私自身は、私立
大学
に網をかけるという
意味
で、非常に危険であると思っております。私立
大学
へも一般化できる、それで、現実に例えば私立
大学
では、
教授会
を議決機関として定義しているところもあるわけです。そこは法律違反になっちゃうわけですよ。 そういうふうに、まさに今言われたように、
大学
の設置形態ごとのさまざまな形態があるんだから、その
多様性
は認めるべきです。 だから、こういうふうに一律に網をかけるという格好では、私自身は非常に反対の気持ちです。
青木委員(青木愛)
91
○青木
委員
質問を終わります。大変貴重な御
意見
、ありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
92
○
小渕委員長
次に、
吉川元
君。
吉川(元)委員(吉川元)
93
○
吉川
(元)
委員
社会
民主党の
吉川元
です。 私で最後の質問ということになります。なるたけ重複しないように尋ねていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。 まず、
平野参考人
にお伺いをしたいと思います。
大阪大学未来戦略
を掲げてさまざまなプログラムを打ち出しておられ、
大学
改革
を進める
参考人
の姿勢というのは大変示唆に富んでいるというふうに思います。きょう、冒頭の
意見陳述
の中でおっしゃられた中身も、本当に大変
参考
になる
お話
であったと思います。 特に大事なことというのは
多様性
と
持続性
であり、これらは相互依存している、あるいは、トップダウンとボトムアップ、このバランスというのは大変難しいんだというふうにも言われておられますし、また、
参考人
が書かれている「
大学ガバナンス
の難しさ」の中でいいますと、
多様性
はトップダウンではなくボトムアップから生まれるので、
大学
にとってボトムアップは不可欠であるというような御
意見
も拝見をいたしました。私自身は、今回の
法改正
というのは、どちらかというとトップダウンの方に寄せているのかなという気がしております。 きょうお聞きするのはそれに関連してですけれども、現在、
大阪大学
の方では、
未来
戦略
ということで、その司令塔を担う
未来戦略機構
というものが置かれているというふうにも聞いております。これについて
教授会
というのはどのような役割を担っているのか、また、
教授会
とどういった意思疎通をされながら、また、
教授会
の役割についてどのように評価をされているのかについてお尋ねをいたします。
平野参考人(平野俊夫)
94
○
平野参考人
どうも、御指摘ありがとうございます。 今言われましたように、私も、
多様性
、
持続性
、そしてトップダウン、ボトムアップ、これの相乗効果というのは非常に重視しております。 その中で、
大学
経営をするときに、いかに個の力を
最大化
するか、その上で
組織
の
最大化
をするということを考えたときに、個の
最大化
というのは、例えば
部局
、あるいは
個人
になるんですけれども、それぞれの
縦割り
組織
でそれぞれ
最大化
しようとするわけです。
組織
の
最大化
となったときに、いろいろな
可能性
がございますけれども、例えば、
部局
を横断するような新しい
研究
分野
あるいは
教育
の仕方、そういうものを考えたときに、やはり、全体的な
組織
の
最大化
という観点から考えないと新しいものは出てこない。 そういう観点で、
未来戦略機構
というのは、従来の
部局
による
組織
縦割り
、
専門分野
縦割り
に横串を入れたわけです。
部局
を横断して、その中から新しい
部局
横断的な
教育
あるいは
研究
、新しい異
分野融合領域
を育てていこう、そういうインキュベーション機能を発揮していく。 そのときに、当然、ボトムアップ的にいろいろな
部局
の
教授会
あるいは
教員
の
メンバー
の
意見
を聞いて、それを
大学
の全体の
運営
に反映していくわけでございますけれども、こういう
部局
横断的な
分野
をインキュベーションするときには、やはり、
部局
単位あるいは
個人
レベルの
意見
を主にしておるとなかなか前に進まない。 そういう
意味
で、
未来戦略機構
というのは機構長がイコール
総長
、
学長
になっておりますけれども、トップダウン的に、
部局
横断的な、異
分野
融合的な新しい
学問
をつくろうということをトライ・アンド・エラーしようという機能を付加しております。 そういうトップダウン的な
組織
においても、当然、ここには
未来戦略機構
会議
というのがあります。これは
部局
でいいますと
教授会
に相当するものでございますが、その機構
会議
で当然いろいろな皆さんの
意見
を聞き、そして新しいことにトライするわけでありますが、皆さんが一致するというわけではありません。いろいろな
意見
を聞き、その中から、機構長の
責任
のもとに、新しい
分野
、新しい異
分野
融合的な
教育
を進めていく。 これはトライ・アンド・エラーの機構でございますので、その
意味
でインキュベーション機能と言っていますが、もしもうまくいかなければ、それはやめるわけです。うまくいけば、それをどんどん
発展
していって、また
大学
全体の合意のもとに、例えば新しい
部局
をつくるとか新しい
研究科
をつくる。そういう
未来
志向のあくまでも
未来戦略機構
、現状じゃない、
未来
を見据えた新しい領域を開拓するという
意味
で、私はこれは
大学
の中の
大学
と呼んでいるんですけれども、一応そういう試行、試み的な機関であります。
吉川(元)委員(吉川元)
95
○
吉川
(元)
委員
ありがとうございます。 続きまして、
田中参考人
の方にお伺いをしたいと思います。 先ほどの最初の
意見陳述
の中でも
お話
がございましたが、
アメリカ
や
イギリス
の
大学
の
ガバナンス
のあり方について精通をしていらっしゃる、また
研究
をされているということで、この点に関して少しお聞きをしたいというふうに思います。 先ほど、
アメリカ
の
改革
あるいは
イギリス
の
改革
ということで、それぞれ
改革
の中身、具体的に
お話
しをいただきました。それを聞いておりますと、
アメリカ
の場合は欧州に追いつけ、追い抜かれた欧州は
アメリカ
に追いつけということでの
改革
だったと。
紹介
されていた中身を聞いておりますと、分権の方向に、例えば
オックスフォード
の
社会
科学に関して言うと、各
部局
に
権限
と
責任
をという形で
改革
が行われたということですので、恐らくそれぞれにまたいろいろな特徴は少しずつ違うとは思うんですけれども、この
改革
というものは、トレンドとしてはやはり分権ということ、
部局
への
権限
と
責任
の移譲というようなことで認識すればよろしいのでしょうかというのが
一つ
目。 もう
一つ
、あわせまして、先ほどの
質疑
の中で、テニュア制度について
お話
が少しございました。これの具体的な中身と、その意図するものというのは一体どういうところにあるのかということについて少し伺いたいと思います。
田中参考人(田中愛治)
96
○
田中参考人
御質問、二点ございますので、それぞれにお答えしたいと思います。 欧米の
大学
の
ガバナンス
についてでございますが、
オックスフォード大学
の非常に徹底した分権化、特に
社会科学部門
の分権化というものが、必ずしも
世界じゅう
のトレンドというわけではないようにお見受けしております。 逆に、一九七〇年代からは、
アメリカ
の
大学
、特にトップレベルの
イエール
や
コロンビア大学
などが
世界
を引っ張ってきた、スタンフォードもそうですけれども、
ハーバード
とともに引っ張ってきた
大学
が
世界じゅう
の
大学
のモデルとなってきたと思いますので、そちらの方が、比較的トップダウンといいますか、強い
中央
の
改革
志向で
大学
を引き上げてきたということがあるので、
オックスフォード
の例を出しましたのは、必ずしも
アメリカ
型だけではないということを申し上げるために申し上げたことでございます。 ただ、それぞれの
大学
において、やはり
アメリカ
の中でも、東海岸の
ハーバード
と
コロンビア
と
イエール
を比べているだけでもかなり違いがあるということ、また、
ヨーロッパ
と
アメリカ
では相当の違いがあるということで、どれが正解というものは実はないのではないかと思っておりまして、ただ、そこでは、かなり明示的に、目的に合った形の
改革
をしている。 ですから、何が一番重要なことかというと、本当に、
大学
が持っている
使命
を果たすべく
改革
をする、例えば
世界
の
研究
と
教育
を引っ張る場合ならば、そのレベルの
教員
とそのレベルの
学生
を入れる、獲得する必要がある。そのために何が必要かということを徹底的に考えていると思うんです。そのときに
オックスフォード
は徹底的な分権をとった。それは、名声もあり、ネームバリューもあるからできたことかと思います。 そうでないところはどうしたかということになりまして、例えば私は、オハイオ・ステート・ユニバーシティーという州立
大学
に九年間おりました。修士、博士、助手もやりましたが、私が在籍している間に、私のいた
政治学
研究科
は全米の二十三位から十八位、私が卒業するとすぐに十位になり、全米の四位まで参りました。 その上がり方というものを見たときに、どういうことがあったかというのはわかっておりまして、それは、今日プリンストン
大学
にいる友人と話しても、ほとんど同じことを考えています。それは、
学長
や
プロボスト
が何を考えているかということは別として、自分
たち
の所属している
デパートメント
、
研究科
なり
学科
をどのように
世界
のレベルに引き上げていくか、どのようにすぐれた
学生
を育成して
世界
に輩出するかということを常に考えている。個々の
教員
がそう思っている。そのことについて
学長
と
学部
の
教員
が必ずしも距離が近いわけでないんですが、必ずしも
対立構造
でない。同じ方向を向いているように見えます。そんなにコミュニケーションがあるわけではなく、一心同体ではないんですが、同じ方向を向いているように見えます。それがオハイオ・ステートであってもプリンストンであっても同じように見えます。それが一九八〇年代であっても二〇一〇年代であっても同じように見えます。 そのことが非常に重要だと思っておりまして、どのようにすれば自分の
大学
が持っている
使命
を
世界
的に果たすことができるのかということを一
教員
が一人一人考えるということが、それが
学長
と共有できるかということが重要なんだろうと思っておりますので、その
意味
で分権と
中央
集権の両極端な例を申し上げたわけでございますので、
世界
のトレンドがどちらかということではないかと思います。 済みません、もう一点の御質問が……(
吉川
(元)
委員
「テニュア」と呼ぶ)テニュアトラック制度でございますね、失礼しました。 テニュアトラック制度はわかりにくい制度でございますが、
アメリカ
で
教員人事
のレベルを上げるために行われてきたことでありまして、雇ったときに、
学問
と
研究
の自由を守るためにテニュアを与えるというのが一般的であります。 それは、権力などにこびずに自分の
研究
ができないといけないからでございますけれども、ただ、いきなりテニュアを与えてしまうと間違ってしまう。若手が
採用
されたときに、思ったほどの
教育
能力がない、思ったほどの
研究
能力がないということが出るということで、
アメリカ
では、長くて七年から八年かけて見きわめるということになっています。年限が五年がいいのか七年がいいのかは議論がございますけれども、いきなり最初に、例えば専任講師とか准教授で雇ったときから定年までその
大学
にいられるというテニュアを与えないというのが、
アメリカ
の開発したテニュアトラックシステムであります。 ですけれども、そのためにはそれなりの魅力的な
研究
環境を与えて、そこで頑張った、そうすると、テニュアで
採用
された者は、五年とか七年の任期が来たときに、ほかの者との競争はないわけです。自分との競争で、自分に課せられたゴール、これだけの毎年何本の
研究
論文を出す、レフェリードジャーナルに論文を出す、これだけの本を書く、これだけの
教育
をするというそのゴールを達成していれば、テニュアが与えられて、定年まで残れるということになります。 ですから、その競争は、他との競争をもう一度やらせるのでなくて、自己との競争になるという制度でございます。それをうまく活用すると、若手の
教員
を採っても、間違いなく伸びていく。若手がお互いに競い合いながら、自分との競争に勝った者だけが残っていくということになりますので、よい
人材
が得られるという制度でございますので、以上のようなものとして御
紹介
申し上げました。 どうも失礼しました。
吉川(元)委員(吉川元)
97
○
吉川
(元)
委員
それでは、
池内
参考人
にお伺いをしたいと思います。 憲法の二十三条の「
学問
の自由と」いうのは
大学
の自治を保障するもので、その根幹を担っているというのは、やはり、
教授会
等々も含め
学内
の
大学
構成員
だというふうに考えます。 今回の改正、
教授会
を諮問機関のように位置づけてしまうということは、やはり
大学
の自治を損ねる危険性が高いのではないかという危惧を持たざるを得ません。また、
権限
が相対的に強化をされる
学長
、これがやはりどうしても、先ほども少し
お話
しがありました近視眼的なところで成果を追い求めたり、あるいは学外資金の獲得、競争資金の獲得に走ると、
研究
分野
というものが、あるいは
教育
内容というものが偏ってしまうのではないかというふうにも思っております。 といいますのも、これは、プリンストン
大学
で九〇年代半ばごろにフェルマーの最終予想というものを証明をされたアンドリュー・ワイルズさんという方がいらっしゃいますが、この方は、秘密裏に
研究
をして、数年間にわたって全く自分の
研究
を漏らさずに、しかも、まともに学会だとか国際
会議
にも参加しない。今の
日本
の
大学
の環境の中でもしこんな方がいたら多分はじかれてしまうんじゃないか。だけれども、プリンストン
大学
においてはこういう方もしっかりと包摂しながら、そして結果的には、
世紀
の難問と言われたフェルマーの最終予想を証明をしたということにもなっているというふうに思います。 そういう面でいうと、先ほど産学の
お話
もありましたが、もちろん全く否定をするわけではありませんが、やはり、その
多様性
というものを保障していくということからいうと、今回の
法案
というのは若干危惧を持っておりますが、この点についての
参考人
のお考えを。
池内参考人(池内了)
98
○
池内
参考人
まさにおっしゃるとおりでありまして、既に、
日本
の
大学
においても
分野
の偏りというのは進んでおります。特に外部資金をたくさんとれる
分野
は、
学内
資金も多く供給されてより大きくなる。それで、例えば文
学部
関係はどんどん小さくなっていく。そういう状況は既に生まれているわけです。それはまさに
日本
の知的
社会
、知的なレベルをどんどんいびつなものにしていくという状況が生まれつつあると思います。 そういうことを考えたときに、
学内
のそういうことをきちんと
意見
として出して、おかしいのではないかということを言えるようなシステムが当然必要なんです。
教授会
というのは、まさにそういう知的な連絡の場と同時に、やはり、
日本
全体の知の
世界
を担っているという誇りを持っている人
たち
の集まりですから、そういうものを単なる諮問機関、あるいはもう僕が最初に言いましたように、諮問機関どころか、全くネグレクトされてしまう危険性もあるということ自身、非常に懸念しております。 それで、先ほどのプリンストン
大学
の例もありましたが、彼は成功した部類ですが、実は
学問
の
世界
というのは、成功だけじゃなしに、失敗もあるわけです。成功だけを狙うと小さな仕事しかできません。現実に今はそういう状況になりつつあるということです。本当に大きな仕事は失敗もあるわけです。失敗も成功もある、失敗からまた何かを学んでいく、そういうことが繰り返されることによって知的
世界
が広がっていくわけで、本当にちっぽけな仕事ばかり、今は論文数はやたらにふえておりますが、私に言わせると、どうでもいい論文ばかりふえているという状況。それはまさしく
大学
自身がだんだん知的な
世界
から取り残される兆候でありまして、今度の
法改正
は、それをより一層進めてしまうというふうに懸念しております。 以上です。
吉川(元)委員(吉川元)
99
○
吉川
(元)
委員
貴重な御
意見
、ありがとうございました。 質問を終わります。
小渕委員長(小渕優子)
100
○
小渕委員長
以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人各位
に一言御礼を申し上げます。
参考人
の
皆様
におかれましては、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 午後一時から
委員会
を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後一時
開議
小渕委員長(小渕優子)
101
○
小渕委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 午前に引き続き、
内閣提出
、
学校教育法
及び
国立大学法人法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
文部科学省大臣官房長
戸谷一夫君、高等
教育
局長
吉田
大輔君及びスポーツ・
青少年局長
久保公人君の
出席
を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小渕委員長(小渕優子)
102
○
小渕委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
小渕委員長(小渕優子)
103
○
小渕委員長
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
宮内
秀樹
君。
宮内委員(宮内秀樹)
104
○
宮内
委員
自民党の
宮内
秀樹
でございます。 午後も、皆さん、しっかり頑張ってまいりましょう。 今回の
法律案
につきまして、さまざまな確認
事項
等々を中心にきょうは質問をさせていただきたいと思いますので、端的に御回答いただきましたらありがたいというふうに思います。
大学
の
ガバナンス改革
についてでございますけれども、現在の
大学
の
ガバナンス
においては、
学長
と
教授会
の関係における
権限
と
責任
の仕組みが曖昧であり不十分である、そこをしっかり整理して位置づけることが大変重要であるというふうに私は考えております。 そこでまず、
大学
の
教育研究
に関する事務全般にわたりまして、決定権は法律上誰にあるかということをお尋ねしたいと思います。 特に、現行の
学校教育法
第九十二条三項や改正法の第九十三条三項では、校務をつかさどるのように、つかさどるという用語が使われておりますけれども、これは
学長
等に決定権があることを規定している趣旨と理解してよいのか、お答えいただきたいと思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
105
○
吉田
政府参考人
お答えいたします。 そのとおりでございます。
宮内委員(宮内秀樹)
106
○
宮内
委員
ありがとうございます。 現在の
大学ガバナンス
の問題点は、
教授会
が強大な影響力を持ち、
責任
はとらないまま校務の多くを事実上決定してきたという多くの実態にそもそもの問題があったのではないかと考えております。 そこで、現行法の第九十三条の「
審議
」という文言には決定権まで含まれているのか、含まれないのか。また、改正案では「
教授会
は、」「
意見
を述べる」と規定されておりますが、この
言葉
には決定権は含まれないと理解しておりますけれども、いかがですか。お答えください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
107
○
吉田
政府参考人
お答えいたします。 現行法の「
審議
」、それから、改正法におきます「
意見
を述べる」、このいずれにつきましても、決定権は含まれないと解しております。
宮内委員(宮内秀樹)
108
○
宮内
委員
一方、懸念を申し上げましたら、
教授会
は
学長
等に求められないときには
意見
を述べることができないではないかという、そのような心配の声があるとも聞いております。
教授会
には、それぞれの
分野
の
専門
家といたしまして、
教育研究
に関する
事項
にはしっかりと役割を果たしてもらわなければいけないというふうに考えておりますけれども、
教授会
は
学長
等に求められないときには本当に
意見
を述べることができないのか、改めて確認をさせていただきます。
下村国務大臣(下村博文)
109
○下村国務大臣
学長
や
学部
長等が決定を行う際に対して、各
学問分野
における
専門
的な知見を有する
教授会
の
意見
を聞くことは重要であるというふうに思います。 現行法においては、
学長
や
学部
長等が
教授会
の
意見
を求める場合はこれに対し
教授会
が
意見
を述べるという関係が規定されていないということから、今回の改正において両者の関係を確認的に規定するものであります。 なお、
学長
等の求めがない場合の扱いについては、改正案では規定はしておりませんが、改正案第九十三条第三項では、
教授会
は、
教育研究
に関する
事項
について
審議
するとされておりまして、その結果を
学長
等に対して伝えることは、これは差し支えないことであります。
宮内委員(宮内秀樹)
110
○
宮内
委員
つまり、
教授会
に決定権があるわけではないけれども、
専門
的知見とかを生かして、自主的に
教育研究
に関する
事項
について
審議
、発信することは妨げない、こういうことを明確におっしゃっていただいたというふうに思います。
関係者
の不安を十分取り除くことができたのではないかというふうに思います。 その関連で、実は、先日、五月二十三日の本
委員会
におきましても、今回の
学校教育法
九十三条の改正と、その省令である
学校教育法
施行規則第百四十四条との関係についての御質問があった点につきまして、私からも改めてもう一度お尋ねさせていただきたいと思います。 その質問については、今回の改正で、
学生
の退学とか転学とか留学とか休学につきましては、
教授会
の
審議
も経ずに
学長
が決定できることになるのではないかという御心配のお尋ねであったかと思います。よもや、
学生
の身分を
学長
の
判断
で、独断で左右するような改正ではないというふうに考えておりますけれども、法律と省令の関係はどう整理されておりますのか、改めて確認をさせていただきます。お願いいたします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
111
○
吉田
政府参考人
お答えいたします。
学生
の退学、転学、留学、休学、それぞれ事情が違うわけでございますけれども、この中には本人の希望を尊重すべき場合などさまざまな事情があり得ることから、法律上、
教授会
が
意見
を述べることを義務づけるということはしていないことであります。 ただ、改正
法案
が成立した際には、この
学校教育法
施行規則第百四十四条の見直しを行う必要があると考えております。 ただ、退学の中ではいわゆる懲戒としての退学処分といったものもございまして、そういった場合には、
学生
に対する不利益処分という形になってまいります。これについては、
学長
が一人で決定すべきものではなくて、
教授会
ですとか、あるいは
大学
によりましては
専門
の懲戒
委員会
などを置きまして、多角的な視点から慎重に調査
審議
をするという実態もございますし、そのことについては尊重すべきであろうというふうに考えております。 このため、
学長
が
学生
の懲戒に関する適切な
手続
を定めるよう、
学校教育法
施行規則で規定することを検討してまいりたいと考えております。
宮内委員(宮内秀樹)
112
○
宮内
委員
改めて、
学長
の独断でこのようなことが決められるということがないということを徹底していただけましたらありがたいというふうに思います。 次に、
教授会
と
大学
との関係を既に規定しておる、今の内部の規則がある
大学
がたくさんあろうかと思いますけれども、今回の改正の趣旨にそのことが合わないまま内部規則がそのまま継続しては、この改正の
意味
がないのではないかというふうに思っております。 その
意味
におきまして、この
法改正
後、このような内部規則があるということについて、文部科学省はどのように御対応をされる予定でありますか、お聞かせください。
下村国務大臣(下村博文)
113
○下村国務大臣 今回の改正の趣旨は、
学長
が
大学
における最終決定権者であることを明確にするものであります。 各
大学
において、内部規則やその運用の点検を行い、この法律改正の趣旨に沿った必要な見直しが検討されなければ
意味
がないわけでありまして、文部科学省としても、施行通知等により、確実に周知徹底をしてまいりたいと考えております。
宮内委員(宮内秀樹)
114
○
宮内
委員
周知徹底、よろしくお願いをしたいと思います。今回の改正が大きなきっかけとなって、実態上、実質上、しっかりとこの改正の趣旨が伝わるようにお願いをしたいと思います。 次に、
国立大学法人法
の改正についてお尋ねをしたいと思います。 重要な役割を果たすべき
学長
が、
国立大学
法人ではいわゆる意向投票という
学内
の教職員によります
選挙
で選ばれていることが多いという実態があります。法律で定められた
学長
選考
会議
が主体的に役割を果たすべきであるというふうに考えております。 教授が多い
学部
の代表者が
学長
になるケースが多いという話をよく聞いております。本来の
学長
たらんとする才能といいますか、その能力といいますか、そういう方が
学長
になっていただかなければいけないのに、学校の中のそういう事情で選ばれてしまうということについて、私は好ましくないと思いますし、違和感を持っておるわけであります。 そこで、
学長
選考の際に意向投票が行われないように、文部科学省からもこれから求めていくべきではないかというふうに私は考えておりますけれども、御見解をお尋ねしたいと思います。
下村国務大臣(下村博文)
115
○下村国務大臣
国立大学
法人の
学長
選考は、
学内
のほか、
社会
の
意見
を
学長
選考に反映する仕組みとして設けられた
学長
選考
会議
が、その
権限
と
責任
において主体的に行うべきものであると考えます。 御指摘の、教職員による意向投票を実施するか否か、仮に実施する場合には、その結果をどのように取り扱うかにつきましては、
学長
選考
会議
の
判断
によるものではありますが、文部科学省としては、過度に
学内
の
意見
に偏るような選考方法は、
学長
選考
会議
の主体的な選考という観点からは適切でないものと考えております。 こうした考え方については、法律の施行通知等におきまして、各
国立大学
法人に周知を図っていきたいと考えます。
宮内委員(宮内秀樹)
116
○
宮内
委員
ありがとうございます。 まさに、意向投票につきましては、一律に禁止するものではないということでございますけれども、ぜひ文部科学省からは、ただいま御答弁いただきました、過度に
学内
の
意見
に偏った選考方法をするということは適当でないというような、そういう趣旨をこの際徹底させていただきたい。今も大臣の御答弁ありましたように、施行通知を出していただきまして、そういう趣旨を徹底していただければありがたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 次に、私立
大学
についてのお尋ねでございます。 私立
大学
は、それぞれの建学の精神のもとで、個性ある人間
形成
を目指すのが私立
大学
である。
国立大学
とはそもそもそのあり方が異なっているということは、私は十分理解しておるつもりでありますけれども、私立
大学
につきましても、国民の税金によって支えられているという存在であります。したがって、私立
大学
につきましても、
学長
の資質や選考方法につきまして、公明性、公正性、
透明性
、こういうこともやはり求められるのではないかというふうに思っております。 そこで、最低限の
理念
は法的に規定すべきではないかというふうに私は考えておりますけれども、その点についてお考えをお聞かせいただければと思います。
下村国務大臣(下村博文)
117
○下村国務大臣
学長
の資格については、国公私に共通のものとして
大学
設置基準に規定をされております。第十三条の二の中で規定されております。
国立大学
の
学長
の選考については、
文部科学大臣
の任命権を前提として、その選考方法を法律で規定しているのに対しまして、私立
大学
における
学長
の選考は、建学の精神に基づき、最終的な意思決定機関である
理事会
が任命権者として
責任
を持って決定するものとされております。 このため、中教審の
審議
まとめにあるように、私立
大学
においても、求めるべき
学長
像を明確に示し、
候補者
のビジョンを確認した上で決定することは重要でありまして、学校法人みずからが
学長
選考方法を再点検し、学校法人の主体的な
判断
により見直していくことを通知等で促してまいりたいと考えます。
宮内委員(宮内秀樹)
118
○
宮内
委員
ぜひこの点についても徹底を図っていただきたいと思います。 今回の改正は、ある種歴史的な改正となって、我々が思う方向の
大学ガバナンス
が徹底して、いい
大学
をつくる、グローバル
人材
を養成するという結果が出るためには、改正だけにとどまらず、これからどのような形で文部科学省が文部科学省としての役割を果たしていただくかということが大変重要なことだというふうに私は思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 さて、次に、
学部
長の件でございます。
大学
にとっての
学部
長という役割もまた大変重要であるというふうに考えております。
学部
長も
教授会
での意向投票で選出されているという実態が、これもまた多く聞かれます。 そこで、
学部
長の任命
権限
は法律上誰にあるのかということをここでもう一度明確にしておきたいと思います。 また、
学部
長の選考の透明化を図るように文部科学省からこれも新たに求めていくべきだというふうに私は考えておりますけれども、この点についてのお考えもお聞かせいただけましたらありがたいと思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
119
○
吉田
政府参考人
学部
長の任命を含めました
人事
につきましては、
学長
や
理事会
が最終決定をするということが法律上明らかにされていることを受けまして、その趣旨を施行通知等で明確にしてまいりたいと考えております。 また、
国立大学
の
学部
長は、法律上、
学長
が任命するものとされております。 文部科学省では、
国立大学
法人の
学部
長の任命は
学長
が定めるところにより行うことを省令で明記し、選考の明確化を図ってまいりたいというふうに考えております。
宮内委員(宮内秀樹)
120
○
宮内
委員
省令ではっきりと明記していただきましたらありがたいと思います。 今回の改正は、どうしても
大学
の
社会
が内向きの中で、外からの客観性が少し乏しかったんじゃないか、そういう問題意識の中で出てきたことでもあると思いますので、やはり外から見て客観的に、こういうふうに
運営
されています、こういうふうにマネージされておりますということが透明化する、そのことの
手続
が公正であり、そのとおりだな、この
人材
の、リーダーのいる学校に自分も
学生
として勉強したいというふうなことになるということが私は好ましいことだというふうに思いますので、
透明性
、公正性ということをひとつ文部科学省は強力に進めていただきたいと重ねて申し上げたいと思います。 最後に、附則についてお尋ねを申し上げたいと思います。
国立大学
は、法人化いたしましてちょうど十年を迎えております。
国立大学
法人制度全般について抜本的な見直しということがささやかれておりますし、その検討を早急に開始すべきだと私は考えております。
国立大学
にとりましては、独法になったということは大きな
改革
だったというふうに思いますので、いい点、そして、うまくいかなかった点、それらのことをこの際しっかりと検証する時期がまさに今だというふうに思っております。 特に、
学長
の選考
会議
の
構成
などにつきましては、
学長
選考
会議
の学外
委員
を過半数にすることなどの検討、このような話も出ておりますし、
国立大学
法人の
ガバナンス
の仕組みについて文部科学省としてはどういうふうにこれから取り組んでいくのかというようなことを、下村大臣のもとでぜひ検討を開始していただきたいと思いますし、特にその点について下村大臣の御所見をお伺いさせていただきまして、最後の質問とさせていただきます。お願いいたします。
下村国務大臣(下村博文)
121
○下村国務大臣 そもそも、今回の法律改正によりまして
大学
の
ガバナンス
につきましては相当程度改善するものと認識しておりますが、時代の変化の中で、
組織
運営
について制度
改革
が強く求められてきた経緯がありますので、
国立大学
についても、今後の
社会
経済情勢のさらなる変化を考慮すれば、今回の改正で
ガバナンス改革
が決着するということではなく、制度改正の実施状況等を踏まえ、今後一層の制度改善の検討が必要となるものも出てくるということも予想されるのではないかと思います。 このため、この
法案
を成立させていただければ、その後速やかに、国会における御
審議
も踏まえ、省内に有識者
会議
を設置し、
国立大学
関係者
の
意見
の聴取などを通じまして、
国立大学
法人における、法律の内容に沿った取り組みの検証を開始したいと考えております。
宮内委員(宮内秀樹)
122
○
宮内
委員
ぜひ早急に取り組みをお願いしたいと思います。端的な御答弁、ありがとうございました。 以上で終わりたいと思います。
小渕委員長(小渕優子)
123
○
小渕委員長
次に、中野
洋昌
君。
中野委員(中野洋昌)
124
○中野
委員
公明党の中野
洋昌
でございます。よろしくお願いいたします。 今回の
大学ガバナンス
の
改革
、大変に重要な議論であるというふうに思います。やはりこれからの
日本
を支えていく高等
教育
をやっていく
大学
、それを一体どのように
世界
の中でも競争力のある形にしていくか、あるいは本当に底上げを図っていくか、非常に大事な議論になってくると思いますので、しっかりと質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。 この
学校教育法
及び
国立大学法人法
の一部を改正する
法律案
、先週も議論をさせていただいて、各条文の変更についていろいろな論点で議論がなされてきたというふうに思います。私は今回は、それぞれの改正した部分についてもある程度確認的に聞かせていただきたいと思いますし、そもそも今の
大学
の、どういった
課題
があって、どういう
方向性
で変わっていくべきか、こういう点についても質問をさせていただきたいというふうに思います。 まず初めに、
教授会
、
学校教育法
第九十三条の規定についてでございます。 さまざまな
委員
の方が質問をされましたこの
教授会
の
審議
の中身、
審議
事項
について、もともとの条文は、重要な
事項
を
審議
する、これだけの条文でありましたので、今回、ある程度その役割を明確化する、このような趣旨で
審議
事項
について条文の変更があった、こういう認識でおります。 この変更された条文について、具体的に例示をされているのが、
学生
の入学、卒業あるいは課程の修了であるとか、あるいは学位の授与であるとか、
学生
の関係の話がございます。これ以外に、
教育研究
に関する重要な
事項
ということでございます。もともとの条文から、かなり限定的に記述をしているのかなという印象を受けるわけでございます。 今回こういう変更がありまして、私も、では現行の
大学
でどういう規定がなされているのかなというのを幾つも確認をさせていただきました。いろいろな国公立、私立を含めて確認をさせていただきましたけれども、現状の
教授会
に関する規定というのは、やはり
審議
事項
の中にこれ以外のことがかなり含まれている。もちろん、先週も議論になりました、例えば
教員
の
人事
に関すること、
審議
事項
としてまさに
教員
の
人事
に関することと書いてある
大学
もございますし、あるいは、似たような
意味
で
教員
の採択及び解職、こういう
人事
的なものについて
審議
をするというふうに現行の
大学
の
教授会
の規定でも書かれている例というのは多々あるわけでございます。 そこで、少し確認的な
意味
で質問なんですけれども、こうした現行の
教授会
に関する
審議
の規定について、今回こういう
法改正
がなされました、これを受けて各
大学
ではどういうふうに捉えていけばいいのかな。 今、
教授会
で議論をしている中身はあって、もちろん
大学
の経営としてうまくやっている
大学
も多々あるわけでありますので、これについて現行の規定というのを必ず変えないといけないようなものであるのか、あるいは、そこは
学長
が最終的に決定をするということであれば、そこは各
大学
の
判断
に委ねられるのか。どういう形で考えているのかということを少し確認をさせていただきたいというふうに思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
125
○
吉田
政府参考人
御指摘の、改正
法案
の
学校教育法
九十三条の構造でございますけれども、第九十三条第二項におきまして、
学生
の入学、卒業及び課程の修了等の
教育研究
に関する
重要事項
につきましては、
学長
が決定を行うに当たり
教授会
が
意見
を述べるということを規定しております。 一方、現行法では単に重要な
事項
として規定されております
教授会
の
審議
事項
については、本来その
審議
事項
として想定されていない経営に関する
事項
まで
審議
されている場合もあるとの指摘もあったところでございまして、
教授会
で
審議
すべき
事項
の内容は、これは九十三条の第三項におきまして、
教育研究
に関する
事項
という形で明確化をしたところでございます。 この点に関しましての具体的な
審議
事項
については各
大学
の実情に応じて御
判断
いただくべきものと考えておりますが、今回の改正の趣旨が、
学長
は
大学
における最終的な決定権者であるということを明確にするものであることを踏まえまして、各
大学
におきまして、内部規則やその運用の点検を行い、必要な見直しの検討がなされるものと考えております。
中野委員(中野洋昌)
126
○中野
委員
ありがとうございます。 最終的にやはり各
学長
が
判断
を、決定をするということがしっかり担保される。そして、その上でいろいろな、何を
審議
するのかというのはある程度
大学
に委ねられるというような趣旨であったかなというふうに思います。 もう一点お伺いをしたいのが、今回の
ガバナンス
の体制をしっかり整えるということで、とにかく
学長
が
リーダーシップ
を発揮できるようにすることが大事だというふうな御指摘がなされてまいりました。私は、確かに
学長
が
リーダーシップ
を発揮するということは非常に大事であるというふうに思いますし、そういった
人材
を選考していく、これが大事だなというふうに思います。 他方で、先週の議論の中では、では、経営もできる、あるいは
研究
もできる、全部ができるスーパーマンのような
学長
、そういう人がいるのかという議論もありまして、必ずしも一人で全てができるわけではないんだろうというふうに思います。 そこで、マネジメントというか、
ガバナンス
を支えるマネジメントの体制を全体としてやはり強化をしていかないと、幾ら
学長
が
リーダーシップ
を発揮しようとしたところでなかなかうまく回っていかないのではないかな、こういう危惧を持っております。 今回、
学校教育法
の中でも、総括的な
立場
で副
学長
が
学長
を補佐するという部分で、条文改正もなされております。海外の
大学
で言ういわゆる
プロボスト
のような、かなり総括的に支えるような、こういう体制もつくれるようにという趣旨だというふうに思います。 やはり、ほかの海外の
大学
の事例など午前中もいろいろな
お話
を伺いましたけれども、それだけではなくて、かなり
専門
的な
人材
群がこうしたマネジメント体制を支えているんだろうなというふうに私は思います。 例えば、よく言われるリサーチアドミニストレーターですとか、
研究
面でしっかり管理をしていくような
専門
職の方がいらっしゃったり、あるいは、そういった
採用
であるとか
運営
的な部分であっても、例えばアドミッションオフィサーがいたりですとか、いろいろな
意味
で
専門
的なことをやっていく
専門
職、高度
専門
職と呼ばれるような人
たち
がしっかり
大学
を支える、こういう体制になっていかないと、幾ら
学長
が非常に
リーダーシップ
を持った方が入られたとしても、やはりこれを支える体制をつくっていかないといけない、私はこのように思うわけでございます。 今後、国としては、こうしたマネジメント体制というか、
学長
の
リーダーシップ
を支える体制づくりというものをどのようにつくられていくおつもりなのか、お伺いをしたいというふうに思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
127
○
吉田
政府参考人
御指摘のように、
学長
が
リーダーシップ
を発揮していくためには、
学長
を補佐する体制を充実させることが必要でございます。 中教審の
審議
のまとめでは、御指摘のように、リサーチアドミニストレーターですとかアドミッションオフィサーなどの高度
専門
職の設置の提言がございまして、それに必要な制度の整備を検討する旨が記述されているところでございます。 現在、文科省では、この
審議
まとめを踏まえまして、高度
専門
職を制度として明確化するために、関係法令の見直しなどにつきまして検討を進めているところでございます。 なお、各
大学
の
判断
におきまして既に高度
専門
職を設置している場合もあります。特に、御指摘のありましたリサーチアドミニストレーターにつきましては、文部科学省としても、
大学
における
研究
マネジメント強化のために、
研究
大学
強化促進事業などの事業を通じまして、その配置の支援を行っているところでございます。 今後も引き続き、こういった取り組みを通じまして、
大学
における
ガバナンス
体制の整備を支援してまいりたいと考えております。
中野委員(中野洋昌)
128
○中野
委員
しっかりと体制づくりも含めてやっていくことがやはり大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。 先週でも、
学長
が
リーダーシップ
を発揮するようにいろいろな制度を変えていくという議論があったときに、どうしても、
学長
が暴走をするんじゃないかというふうな
お話
がるるございまして、やはりチェック体制もあわせてやっていくことが大事だろうというふうに思います。 例えば、
国立大学
法人でいきますといろいろなチェック体制がございまして、そもそも中期目標を立てているわけです。六年間、中期目標を立てて、それがどうなっているか、達成をしているかどうかというのを評価
委員会
でチェックをするという、そもそものチェック体制がございますし、監事もいる。今回、ほかの
法改正
の中でも、独法の関係の
法改正
の中でも監事機能の強化という議論もあるというふうに聞いております。 先ほど来、
権限
と
責任
を一致という議論もございました。私は、
学長
を任命する
学長
選考
会議
が、おかしいんじゃないかというときに実際に
学長
を解職することもできるというふうに伺っております。 やはり、
学長
選考
会議
が
学長
の業績評価をしっかりしていく、
責任
を持って任命もするし、どうやってちゃんと業績を上げているかというのもしっかりチェックをする。必要があれば、いろいろな形でチェック機能を働かせていく。こういう、
学長
選考
会議
における業績評価というものもしっかりと強化をしていけば、あわせて、
リーダーシップ
の議論、チェックの議論というのは非常にバランスのとれたものになるのではないかというふうに私は思いますけれども、これについてはどう取り組まれるのか、お伺いをしたいと思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
129
○
吉田
政府参考人
今回の法律改正によりまして、
学長
選考
会議
が主体性を持った選考を行うことを促進しようとしているわけでございますけれども、御指摘の、
学長
の業績評価につきまして、これは中教審の
審議
のまとめにおきましても、
学長
選考
会議
が
学長
の業務執行状況について恒常的な確認を行うことが求められております。 この点については、施行通知等において周知を図り、
大学
における取り組みを促してまいりたいと考えております。
中野委員(中野洋昌)
130
○中野
委員
続きまして、私は、
学長
の
リーダーシップ
を強化するという議論をしていく一方で、
大学
が、公共性の高い存在ですので、いかに
社会
の
意見
に応えていくのか、こういうこともあわせて体制を整備していかないといけないのではないかなというふうに思います。 地方の
大学
とか自治体でいろいろな
お話
を伺うと、やはり、
大学
が地域活性化の核になってほしい、こういう要望が大変に強うございますし、地元の
人材
育成のニーズに応えてほしい、地域に貢献をしてほしい、こういう御要望も非常に強く伺うわけでございます。 この地域であるとかあるいは地元の経済界であるとか、こうした声、学外の
意見
をしっかりと聞いていく体制というのをつくらないといけないのではないかというふうに思います。 あるいは、
大学
内においても、
教授会
で教授の方の
意見
というのは上がっていくんでしょうけれども、私が
学生
と
意見
交換をすると、
大学
そのものについて
学生
の多様な
意見
があるわけでございますので、広くいろいろな声を聞いてほしいな、こういう声もやはり上がってくるわけであります。 こうした多様な声を、
大学
の経営あるいは
運営
、こうしたものにどう取り入れていくべきなのか、あるいは今後どのように取り入れていかれるおつもりなのかという点についてお伺いをしたいというふうに思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
131
○
吉田
政府参考人
社会
の変化に各
大学
が適切に対応していくためには、
学長
が
リーダーシップ
を発揮するとともに、地域や
社会
の多様なニーズに応えた
大学運営
を行っていくことが重要であると考えております。
大学
には、幅広い
意見
を取り入れる仕組みとして、
国立大学
法人の経営協議会に学外者を加えることや、私立
大学
の場合には評議員会に卒業生を加えることなど、さまざまな仕組みが設けられておりますが、今回の改正案では、
国立大学
法人の経営協議会の学外者
委員
の割合を過半数に拡充することで、より多くの学外
委員
の参加を促進しようとしております。 また、
学生
の希望や
意見
を取り入れる点でございますが、これも、
大学
の
運営
の改善を図っていく上では大変重要なことだというふうに認識をしております。
授業
の内容や方法の改善あるいは学習環境の整備などについて、既にほとんどの
大学
では
学生
による
授業
評価やアンケート調査が行われておりますけれども、それらの結果を生かした各
大学
における主体的な取り組みをさらに期待してまいりたいというふうに考えております。
中野委員(中野洋昌)
132
○中野
委員
最後に二問、大臣にぜひお伺いをしたいというふうに思います。 今まで
学校教育法
あるいは
国立大学法人法
の法律の改正についてお伺いをしてまいりましたけれども、そもそも
大学
は、今どういう現状で、またこれからどのようになっていくべきなのか、こういう問題意識、私、
大学
の
関係者
あるいは多くの
学生
の
皆様
と
意見
交換をしていく中で感じた部分でございまして、ぜひ率直な御
意見
をお伺いしたいと思うんです。 一問目は、
大学
、
研究
という
意味
ではもちろん
大学院
という部分もあるんですけれども、
学部
の課程、
学部
段階における育成機能の強化というのはやはりやっていかないといけないと思います。これは
教育
再生実行
会議
でも、しっかりと
学生
を育てるということは提言をされておるというふうに思います。 ただ、残念なことに、昔はよく
大学
というと、何かモラトリアムの時間というか、勉強をしっかりするというよりは、いろいろ自由にやっていけばいいじゃないかという雰囲気もかなりあったのではないかというふうに思うんですけれども、
日本
の
大学
でよく言われることが、
学生
が余り勉強しないということがよく言われるわけでございます。 例えば最新の調査ですと、二〇一三年、全く勉強をしないという
学生
が一五・八%ぐらい、週で大体一時間から五時間ぐらいという
学生
が五五%ということで、要は一週間に六時間勉強しないという方が六割以上いらっしゃるという状況です。 では、例えば優秀だと言われている
東京大学
の
学生
は勉強しているのかというと、東大の
学生
も実は勉強時間が余り変わらなくて、これもちょっと調査を見ましたけれども、ゼロ時間という方が一二%、一から五時間という方が四二%ということで、やはり五割ぐらいの方は余り勉強していないという状況にある。 私は留学もしておりましたので、海外の
学生
が非常に勉強するなとは思っておりました。何で勉強するかというのをちょっと聞いたことがあって、成績がいいと就職に有利だということを聞いたことがあったもので、それで勉強しているのかなと思って聞いたら、
大学
で勉強することでしっかり力が身につく、その結果、いい会社に就職できるんじゃないか、こういうふうなことを言う方が結構いた。 これは、要は、
大学
で勉強することに非常に価値があると
学生
も思っているし、会社も思っているし、
社会
も思っている、そういういい循環なんだろうなというふうに思うんです。何とか、
日本
の中ではこれをまだまだ変えていかないといけないんじゃないかなというふうには思います。 こうした、
学部
の段階においていわゆる
学生
の勉強時間が少ないという問題、これは
学生
側の意識の問題もあるでしょうし、あるいは
授業
を改善していかないといけないという問題もあるでしょうけれども、大臣の現状の認識と、これについて今後どのように取り組まれていくのか、この
お話
をぜひお伺いできればというふうに思います。
下村国務大臣(下村博文)
133
○下村国務大臣 御指摘のように、我が国の
大学
、今、
アメリカ
に留学されたということをおっしゃっていましたが、
アメリカ
の
学生
に比べても圧倒的に
学生
の学習時間が短い。 これは私、
二つ
問題があると思っていまして、
一つ
は、やはり
大学
の制度の問題で、アドミッションポリシー、
大学
入学試験のときが評価であって、後はもう誰でも卒業できるような、全て
大学
がレジャーランドだと思いませんがそういうふうに見られているところがあって、つまり、入ることは難しいけれども、後はそのまま卒業できるというような、出口管理を含めた
大学
の
授業
のあり方そのものの問題があるというふうに思います。 これは二十三年度の新聞社の世論調査ですが、
日本
の
大学
が企業や
社会
が求める
人材
を育てることができていると思うかとの問いに対して、できているとの回答は二五%にとどまりまして、六四%の国民が、できていないというふうに回答しているんですね。 その背景には、我が国の
大学
が
社会
の変化やニーズに対応できておらず、
学生
から見ても、
大学
での学習が
社会
で役立つ必要なものと感じられていない、先ほど御指摘があったように、そういう部分があるというふうに思います。 最近は、各
大学
でも地域や産業界との連携を強化するなどさまざまな取り組みがなされ、
大学教育
の現状に対するこのような
社会
の厳しい評価を謙虚に受けとめ、一層の
改革
に努めるということが必要であると思います。 そういう
意味
での、
大学
の、
社会
において何を学ぶような環境をつくっていくかということと、それから、アドミッションポリシーを含め、
大学教育
のやり方そのものが
グローバル社会
の中で通用するような、変化に対応した
改革
をしていかなければ、
日本
の
大学
そのものが相対的に地盤沈下してしまう、そういう状況があるのではないかと感じております。
中野委員(中野洋昌)
134
○中野
委員
大臣、率直にいろいろ御
意見
をいただきましてありがとうございます。 済みません、もう一問あったんですけれども、質問時間が終了いたしましたのでこれで最後にしようと思います。
大学
の
関係者
の方にお伺いをしても、何とか現状を変えていこうといういろいろな取り組みはなされているということはよく思いますし、実際に変わりつつある部分も多々あるんだろうなというふうには思ってはおるんです。 全く何も現状は変わっていないと言うつもりは私もなくて、やはりそれをもっともっと後押しをしていかないといけないし、国も
社会
もしっかりとそれを応援していくということが、
大学
がよくなっていくことが、やはりこれからの
日本
の、これからの
人材
を育てていく本当に大事な部分であるというふうに思いますので、私も今後もしっかりと取り組んでまいりたいという決意を最後に述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございます。
小渕委員長(小渕優子)
135
○
小渕委員長
次に、細野
豪志君
。
細野委員(細野豪志)
136
○細野
委員
本
会議
でも質問させていただきましたけれども、引き続いて質問を
法案
についてさせていただきたいと思います。 午前中の
参考人
質疑
も含めて、やはり九十三条が一番議題になっております。それは、
学長
と
教授会
の役割分担、大臣も所信の中で言っておられるように、
権限
と
責任
の一致を見て役割分担をしっかりしていくということですので、当然ここが肝になる条文になるわけです。 冒頭、まず大臣に御所見を伺いたいのは、九十三条はもともと非常に曖昧な規定になっていて、これを書きかえることには私も賛成なんです。そして、その中身として、経営に関することというのは、これは
学長
がしっかりやる、
教育研究
に関することについては、これは
教授会
は
意見
を言う、そして最終的な
判断
は
学長
がしっかりしていく、このたてつけもいいんだろうと思うんです。 ただ、ちょっと気になりますのは、この九十三条のところの
教育
に関する
事項
が非常に細かく分かれていまして、二項で三号まであり、さらには三項も加わることによって、私も条文をかなり読み込みましたけれども、正直、これはなかなかどういう
構成
になっているのか非常にわかりにくくなっている。 大臣はこの条文についても全部全てかかわられたと思うんですが、当初考えておられた、中教審の中間取りまとめに出ているような並列の書き方ではなくて、こういう複雑な形になったことについて、当初ちょっとお考えになっていたこととやや違うのではないか。いろいろな御
意見
もあったんでしょう、そんなふうにも思うんですが、九十三条のこの複雑さについて、これに至った経緯についてどのようにお考えになっていますでしょうか。これは大臣に伺います。
下村国務大臣(下村博文)
137
○下村国務大臣 御指摘のことしの二月の中教審の
審議
まとめにおきまして、
教授会
が
審議
すべき具体的内容として、
一つ
が「学位授与」、
二つ
目に「
学生
の身分に関する
審査
」、三つ目に「
教育
課程の編成」、四つ目に「
教員
の
教育研究
業績等の
審査
等」を挙げまして、こうした
事項
について、「
教授会
の
審議
を十分に考慮した上で、
学長
が最終決定を行う必要がある。」というふうにしているわけであります。 この点、改正案の第九十三条第二項におきまして、
一つ
が「学位の授与」、
二つ
目に「
学生
の入学、卒業及び課程の修了」、これを厳密化したわけでありますが、それから三つ目に、
教育研究
に関する重要な
事項
で
学長
が
教授会
の
意見
を聞くことが必要と認めるもの、これも厳密化したわけであります。このように、
学長
が決定を行うに当たり
教授会
が
意見
を述べるものというふうにしております。 つまり、中教審の
審議
のまとめ上げられた
事項
のうち、
教育
課程の編成、それから
教員
の
教育研究
業績の
審査
について、これは、各
大学
において多様な実態があることから、法律上規定せず、
大学
に対する新たな法律上の義務については限定的にしたということであります。
細野委員(細野豪志)
138
○細野
委員
今、大臣から冒頭で、中教審の中間取りまとめ、具体的な記述を御説明をいただきました。 この中教審の答申の中では、今例に挙げた四つの項目を並列で、「
教授会
の
審議
を十分に考慮した上で、
学長
が最終決定を行う必要がある。」とされていたわけです。 ところが、
法案
の中では、三項目め、すなわち「
教育
課程の編成」、四項目め、「
教員
の
教育研究
業績等の
審査
等」については、これは、
学長
が
教授会
の
意見
が必要であると認めた場合、それに限定をされた。ここが
一つ
中教審から変わったところなんですよ。 ここからは少し細かい話になるので、局長に御答弁をいただきたいんです。 ではもう一度確認をしますが、
教育
課程の編成と、そして
教員
の
教育研究
業績等の
審査
、
教員
の評価ということになるわけですが、これはこの第二項の三号の「
教育研究
に関する重要な
事項
」、ここに法文上当たる、この項目の中に入るということは間違いないですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
139
○
吉田
政府参考人
先ほど大臣の方から御答弁を申し上げたところでございますけれども、
教育
課程の編成あるいは
教員
の
教育研究
業績の
審査
につきまして、改正
法案
の九十三条二項の三号の、
学長
が
教授会
の
意見
を聞くことが必要と認めるものの中に含まれ得るということでございます。 ただ、この一号、二号と比べまして、そこのところは
大学
側、
学長
の
判断
に委ねておりますのは、例えば
学長
の指導……(細野
委員
「そこまでで結構です」と呼ぶ)はい、よろしゅうございますか。
細野委員(細野豪志)
140
○細野
委員
今、
二つ
については「重要な
事項
」に当たるというふうに確認をされました。 確認ですけれども、これは
学長
の
判断
で入るか入らないかと決まるのではなくて、今言われた課程の編成と
教育研究
業績については、法文上これは必ず当たるということでいいですね。
学長
が当たらないということは言えないということでいいですか。そこを確認させてください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
141
○
吉田
政府参考人
これは、
学長
が
教授会
に聞くことが必要と認めるものに当たり得るということでございます。
細野委員(細野豪志)
142
○細野
委員
いや、ここは大事なところなんで、当たり得るんじゃなくて、当たるんですね。つまり、
学長
なり
総長
の
判断
で、ここに書かれているとおり、聞くことが必要であるかどうかの
判断
は法文上
学長
にあるというのは理解しますよ。ただ、この「重要な
事項
」に法文上当たるのかというのは、重要な法文の解釈そのものだから、確定しておかないと、「
教育研究
に関する
事項
」という三項もありますから、これはどっちなんだということになるわけですよ。 局長の答弁は非常に重要なので、当たり得るという話ではなくて、当たるのか当たらないのかをしっかり答えてください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
143
○
吉田
政府参考人
この三号のいわゆるスコープの中には、
教育
課程の編成や
教員
の
教育研究
業績の
審査
というのは入り得るのでございます。 だけれども、法律のたてつけとしましては、三号のところで、
学長
が
教授会
の
意見
を聞くことが必要と認めるのは、そこは
学長
の
判断
を要するということでございますので、そのように御理解をいただければと思います。
細野委員(細野豪志)
144
○細野
委員
局長は私の質問を理解されていないと思います。
学長
の
判断
があるというのは認めているんですね、聞くか聞かないかは。でも、聞くか聞かないかの
判断
は
学長
に
判断
されるけれども、そもそも「重要な
事項
」に何が当たるのかということについて確定しておかないと、
学長
も
判断
できないじゃないですか。 「重要な
事項
」に当たるんだけれども、これは
学長
が自分で
判断
するから
教授会
の
意見
を聞かないのかという
判断
をするのか、もしくは、そもそも「重要な
事項
」に当たらないのか。立法の、法律のたてつけ、前提そのものなわけだから、これは
学長
の
判断
事項
じゃないんですよ、「重要な
事項
」かどうかというのは。それがどうなのかと聞いているんです。当たり得るかじゃなくて、当たるのか当たらないのか、これはどっちかで答えていただかないと、必ず混乱しますから。 局長、きっちり答えてください。大臣の政治的な
判断
は後で聞きますから。
吉田政府参考人(吉田大輔)
145
○
吉田
政府参考人
これはあくまでも
学長
の
判断
にかかるということが前提でございますけれども、中教審のまとめの中では、その「
教育研究
に関する重要な
事項
」の中に御指摘の
二つ
のことは含まれているというふうに考えております。
細野委員(細野豪志)
146
○細野
委員
いや、今の答弁はちょっとひどいと思いますよ。つまり、「
教育研究
に関する重要な
事項
」そのものが確定していないわけです。そうすると、
意見
を言う側は、それこそ、二項の三号に基づいて
意見
を言っているのか、もしくは三項に基づいて
教授会
は
意見
を言っているのか、それすら曖昧になるんじゃないですか。 先ほど自民党の方が質問されていましたけれども、二項と三項は全く
意味
合いが違いますよ。二項は「
意見
を述べるものとする。」という義務規定になっていますね。義務規定になっていますから、
意見
については、少なくとも一定の尊重する
責任
は
学長
にあるでしょう。三項は「
意見
を述べることができる。」とされていますから、これはもうそれこそ任意で
教授会
が言うわけだから、勝手に言っているとまでは言わないけれども、
参考
意見
にすぎませんよね。 つまり、二項に当たるか三項に当たるかは極めて重要で、その前提を法文として解釈そのものを確定しておかないと、
学長
も
判断
できないし、
教授会
も何を議論しているのかわからないじゃないですか。ちょっと、ここはしっかり答えてください。お願いします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
147
○
吉田
政府参考人
九十三条の二項の方は、
学長
が決定をする際に、
教育研究
に関する
重要事項
、ここで明確に書かれておりますのは、入学、卒業、課程の修了と学位の授与、それ以外の
教育研究
に関する
重要事項
ということですが、これについては、それが
教育
に関する
重要事項
に当たるかどうかは、その
判断
は
学長
に委ねられているということでございます。 だけれども、その
判断
をするに当たりまして、当然、
学長
としては、中教審の中での整理といったものを、これは踏まえていただく必要はあるだろうと思います。
細野委員(細野豪志)
148
○細野
委員
教育
課程の編成と
教員
の
教育研究
業績等の
審査
、これはもうどう考えても「重要な
事項
」ですよ。これが入らないのであれば、この二項三号なんて要らないですね。それすら恣意的に
判断
できるなんてことは、
法案
を出した側としては無
責任
だと思いますよ。 これは
委員長
、どういう部分が当たるのか、この中教審の報告書、中間取りまとめの経緯も含めてしっかり共通見解を出していただきたいと思いますので、お願いします。
下村国務大臣(下村博文)
149
○下村国務大臣 いや、これは、局長の今の答弁は、私は非常に適切な答弁だと思いますよ。恣意的ではなくて、九十三条二項の三号、「前二号に掲げるもののほか、
教育研究
に関する重要な
事項
で、
学長
が
教授会
の
意見
を聴くことが必要であると認めるもの」、この中の「
教育研究
に関する重要な
事項
」という中には、御指摘のように、
教育
課程の編成とか、それから
教員
の
教育研究
業績の
審査
、これは入ると思います。そもそも入ると思います。(細野
委員
「入るんですね」と呼ぶ)入ります、入ります。入りますが……(細野
委員
「答弁違うじゃないですか」と呼ぶ)いや、違っていないです。入りますが、
学長
が
教授会
の
意見
を聞くことが必要で、この
事項
の中で、
学長
が
教授会
の
意見
を聞くことが必要であると認めるもの、入りますが、実際に何を聞くかどうかは
学長
が決めるということでありまして、局長の答弁は、まさに法文の中でのそのとおりの答弁。
細野委員(細野豪志)
150
○細野
委員
大臣の答弁を了とします。局長は、当たるか当たらないかは
学長
の
判断
だとおっしゃったから。それは明らかに違うので……(下村国務大臣「いや、違わない」と呼ぶ)いや、違います、違います。それは明らかに違いますから、少なくとも、では、局長の答弁と大臣の答弁をしっかり確認をした上で共通見解を出してください。これは
委員会
としてお願いします。(下村国務大臣「もう一度答弁させますから」と呼ぶ)
小渕委員長(小渕優子)
151
○
小渕委員長
もう一度局長が、よろしいですか。(細野
委員
「わかりました、では局長が答弁してください」と呼ぶ)
吉田
高等
教育
局長。
吉田政府参考人(吉田大輔)
152
○
吉田
政府参考人
私の説明でちょっと誤解があったかもしれませんけれども、今大臣が整理されたとおりでございまして、
教育研究
に関するその重要な
事項
の中に、
教育
課程の編成やあるいは
教員
の
教育研究
業績の
審査
というものが入ると。だけれども、それを最終的に
教授会
が
意見
を述べるものとするかどうかということにつきましては
学長
が
判断
権を持っているということを言ったということでございます。
細野委員(細野豪志)
153
○細野
委員
そうしますと、前段で答弁をされた、当たり得るけれども、
学長
が重要かどうかを
判断
するんだという答弁は撤回するということでいいですね。
吉田政府参考人(吉田大輔)
154
○
吉田
政府参考人
当たり得るというふうに申し上げましたのは、三号の条文全体を通じまして最終的に
学長
の
判断
というものがかかってまいりますから、そこで
学長
が
判断
した結果としてどうなるかということはございますので、当たり得るというふうな言い方をしましたが……(発言する者あり)いえいえ、そういうことでございます。
細野委員(細野豪志)
155
○細野
委員
ここだけで時間をとるわけにはいかないので、大臣の答弁を了としますが、ちょっと議事録を精査してください。精査した上で、訂正するなら訂正するで、しっかりと次回にお願いしたいと思います。 では次に、具体的な、この三号のところの、なぜ
学長
が
教授会
の
意見
を聞くことが必要であると認めるものに限定したのかというところなんですが、冒頭で大臣からも概略の答弁がありましたが、もう少し具体的に伺いたい。ここから局長に聞きます。
一つ
は、
教育
課程の編成。これはもう
教育研究
の根幹です、どういう編成をするか。これを
教授会
として聞かなくていい、
専門
家の
意見
を聞かなくていいというのはどういうケースですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
156
○
吉田
政府参考人
教育
課程の編成というのは、
学部
単位で行われるものもたくさんございますけれども、
大学
として、全学的な共通の
教育
課程を組むというふうな場合がございます。そういう場合には、
教授会
という単位ではなくて、もっと広い単位にいろいろと
専門
的な見地から御
意見
を伺うというふうなことがございますので、そういったことを考慮いたしまして、今回は二項の方にはそういうものを例示していないということでございます。
細野委員(細野豪志)
157
○細野
委員
そういうプロジェクトなり
研究
部門というのはあり得ると思います。つまり、
学部
に偏らずに、もしくは
学部
に入らずに、特別に
学長
が設けていて、それについて
教授会
が横からいろいろと違う
意見
を言うというのはむしろ混乱する
可能性
があるので、そこは私もわかります。 そうしますと、逆に、それぞれの
学部
の中の具体的なカリキュラム、例えば法
学部
であればある
学科
をなくす、工
学部
であっても
学科
をなくす、いろいろな編成はあり得ますね。それについて
学長
が、もともと最終決定は
学長
なんですね、
教授会
の
意見
を聞かずにやるというのは、この条文では認めているんじゃないですか。それはどう排除するんですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
158
○
吉田
政府参考人
今回、二項の規定というのは、
学長
にある
意味
では義務づけをし、また、
教授会
に対しても
意見
を述べるということを義務づけをしている。ある
意味
では、一律にそういった仕組みをつくっていくというふうなことになります。 先ほど申し上げたような事例、全学的な教養
教育
の課程をつくっていくとかということになりますと、これはもう必ずしも
学部
単位のものでもございません。 ただ、ある特定の
学部
の
教育
課程の編成というふうなことにつきましては、これはまさに
学長
としても、
教育研究
に関する
専門
的な見地から
教授会
の
意見
を聞くということは十分あり得る話だと思いますので、そこのところは、三号の
判断
において
学長
が適切に
判断
されるものと思います。
細野委員(細野豪志)
159
○細野
委員
局長、確認ですが、
学長
の
判断
で聞き得るが、聞かなくても違法ではないわけですね。聞かなくてもいいんですね。お願いします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
160
○
吉田
政府参考人
違法か違法ではないかというレベルであれば、違法ではないと思います。
細野委員(細野豪志)
161
○細野
委員
部門
会議
で文科省の方からいろいろな話を聞いた中で、何で九十三条のようなこういう大規模な改正が必要なのかというのを、立法事実として何があるんですか、どういうことを考えているんですかと私は質問したんです。大分考えておられて、その場でややアドリブ的に、
学部
や
学科
を廃止をするようなことというのはなかなかできないんですとおっしゃった。なかなか大変でしょう、それは。そこに教授もおられるし、当然、蓄積した
研究
もあるでしょうけれども、それがこの九十三条二項の三号でできる、しかも、
学部
の
意見
を聞かずにできるということですね。どうぞ。
吉田政府参考人(吉田大輔)
162
○
吉田
政府参考人
学部
や
学科
の転換、これがもうまさにその
大学
の
教育研究
組織
そのものにかかわってくることでございますから、そういう
意味
では、
教授会
の
意見
を聞くということは重要なことだと、こう思います。 ただ、先ほど先生がおっしゃられた違法か違法でないかというレベルで考えれば、三号のところで必要と認めたにもかかわらず、
意見
を聞かずに
学長
が勝手に決めてしまった、これは違法でございますね。だけれども、そこのところの定め方によって変わってくるんだろうというふうに思います。
細野委員(細野豪志)
163
○細野
委員
ちょっと今の、皆さんもわかりにくかったと思うんですよ。 つまり、
学部
の
教授会
の
意見
を聞かずに、ちょっと端的に例を挙げましょう。例えば、ある
大学
の、私は法
学部
なので、仮に私が犠牲になったとして、法
学部
はなくなりますという
判断
を、ある
大学
の法
学部
の
教授会
の
意見
を聞かずに、この法律はできるというたてつけになっているんですかということを聞いているんです、違法でないかどうかというレベルで。べき論で答えるのはもう結構だから、できるのかできないのか、そこを答えてください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
164
○
吉田
政府参考人
九十二条の二項の三号の中で……(細野
委員
「九十三条」と呼ぶ)三号の中で、定めていないという前提でございますけれども、三号の中でその今の
学部
の廃止とかのことについては、
学長
は特に
教授会
の
意見
を聞くべき
事項
として定めていないという場合には、
学部
の
教授会
の
意見
を聞かなくとも違法ではないということでございます。
細野委員(細野豪志)
165
○細野
委員
ちょっとやや不明確ですが、
学部
の
意見
を聞かずとも廃止をできるという趣旨の答弁がありました。 大臣、ちょっとここを考えていただきたいんですけれども、私も、時代の変遷で
学部
を廃止したり
学科
を廃止したりしなきゃならないことはあると思うんです。当然、そこの人は反対するでしょう。最後の
判断
は
学長
でいいと思っている。ただし、やはり少なくともそこの
教授会
の当事者としての
意見
は聞かないと、本当の
意味
で客観的に
判断
できるかという問題があるわけです。 例えば私が勉強した法
学部
でいうならば、憲法とか刑法とか民法は人気があるわけですよ。廃止をされることはないでしょう。しかし、例えば法
学部
の中でも、例えばですよ、例として適切か適切でないかは別として、ローマ法とか、それほど人気はない。お金ももうからないし、余り企業への就職先もないかもしれないけれども、ローマ法というのは、法律の初めの根幹をなしたものだから、やはり
専門
的に残しておくべきだという
意見
がこれはあるわけですよ。 では、それを、法
学部
ではない、違う
学部
の
専門
の先生が来て、そういう前提なしに、いや、ローマ法はもう
学生
も少ないし、レベルも下がってきたしとか、何か理由をつけて廃止をするということを
判断
したとしましょう。少なくとも、そのときは
学部
の
教授会
の見解を聞いて、
社会
もそれを見きわめた上で、では、もうその
学部
長の
判断
が正しいというぐらいのところはしないと、これは、
学問
の蓄積とか、積み上げてきたものに対するある種のちょっと冒涜じゃないか。そういうことが起こり得るんじゃないかと思うんですよ。うなずいておられるので理解されると思うんですが。 すなわち、少なくともこの三号のところにそういう
学部
の存廃なんかがあるのであれば、この「
教授会
の
意見
を聴くことが必要であると認めるもの」という、
学長
が聞かなくてもいいというこういう条件をつけるのではなくて、少なくとも
意見
は聞く、要するに、重要なことについては
意見
は聞くんだ、聞いた上で最終的な
判断
は
学長
がするというのが、これは多分自民党の皆さんも公明党の皆さんも、聞いていてそうじゃないかと思われるんじゃないかと
個人
的には思いますが、これぐらいはやはりしないと、私はそんなに勉強しなかったので余り言えないけれども、この間、
大学
の先生に随分聞きました。聞きましたけれども、余り声を大にしてはおっしゃっていないけれども、真面目に
研究
している先生の中でそういうことを懸念している先生が結構いるんですよ。 大臣、ここはお考えいただきたいと思います、真面目なこれからの
学問
のために。お願いします。
下村国務大臣(下村博文)
166
○下村国務大臣 結論から言うと、細野
委員
のおっしゃるとおりだと思います。 そして、この九十三条の二項の三でありますけれども、「前二号に掲げるもののほか、
教育研究
に関する重要な
事項
で、」つまり、「
教育研究
に関する重要な
事項
」というのは、当然、
学部
の編制等は入るものであるというふうに思います。 「
学長
が
教授会
の
意見
を聴くことが必要であると認めるもの」ということで今
吉田
局長が答弁したのは、聞かなかったとしてもこの法律上は違法とはならないということを言われましたけれども、聞く必要がないと答弁したわけではそもそもないわけでありまして、当然、これは聞く必要があると思います。聞く必要がありますが、しかし、最終決定においては、これは
教授会
が決定機関ではなくて、おっしゃるとおり、
学長
が最終的には
判断
する。 しかし、利害
関係者
の方々なわけですから、当然、
教授会
の、あるいはそこの
学部
の
教授会
、今の
お話
でいえば法
学部
の
教授会
の
先生方
の
意見
を
参考
にしながら、最終的には
学長
が、大所高所に立って、将来のその
大学
のあり方はどうなのかという
判断
については
学長
がすべきことでありますが、しかし、
教授会
の話を聞かなくていいというふうには当然ならないわけでありまして、聞くことは、これは当然の話だと思います。
細野委員(細野豪志)
167
○細野
委員
大臣のお考えと私の考えが全く同じであることはわかりました。そこはよくわかりました。 ただ、大臣、そういうことができないようにしておかないと、つまり、それは
学長
さんというのは、もう
基本
的には大変に学があって、見識があって、人格者がなっておられますよ。そのことを別に疑いませんよ。しかし、これからいろいろな時代の流れがあって、この法律を改正したら、それはもう五年、十年、変えないんでしょう。五年、十年、あらゆる
大学
で変な
学長
さんが一人も出てこないという保証はないですよね。いろいろな
学長
さんが出てくる
可能性
があったときに、それでもやはりせめて
意見
は聞くということにしておかないと、大臣の思いを実現できないじゃないですか。 それを考えれば、この三号のところは、最終決定は
学長
ということはもう争いがないわけだから、少なくともそこははっきりさせましょう。それははっきりさせた上で、そういう重要な
事項
については、これは
教授会
の
意見
を述べるものとする、これは必ず
意見
を聞くということについては、
法案
にしっかり書くべきでしょう。 大臣はさっき御自身のお考えをおっしゃったわけだから、閣法なので、はいそうですというふうには言いにくいかもしれないけれども、そこは法律の中にしっかり書くべきだと私は思います。お願いします。
下村国務大臣(下村博文)
168
○下村国務大臣 それは法律のたてつけが違うわけでありまして、そういうふうな、
学長
が暴走することがあるかもしれないということの危惧だと思うんです。 そのためには、そもそも
学長
はすぐれた人物が求められるわけでありますが、一方で、その
学長
をチェックする仕組みとして、監事による監査、これは今国会で
国立大学
法人の監査機能を強化する
法案
が今出されておりまして、多分成立させていただけるのではないかと思いますが、こういう形で監事による監査が強化される。それから、自己点検・評価、また、認証評価等の評価、それから、
理事会
や
学長
選考
会議
等の
学長
選考
組織
による業務執行状況の評価。 しかし、これについては十分ではありませんから、こういうことをすることによって、
学長
の独断、偏見が結果的になされるということではない、しかし、適切な
判断
がなされるということについては十分チェックできる仕組みも同時に担保する予定であります。
細野委員(細野豪志)
169
○細野
委員
ほかの仕組みはよくわかっているんです。やはり、この
法案
そのものの、法文そのものの問題点を私は指摘をしました。
委員長
にお願いしたいんですが、私どもは
ガバナンス改革
そのものには賛成をしながら、やはり、ここの九十三の条文について懸念を持っています。具体的な修正の中身について維新の皆さんとも一緒に案を出しておりますので、
理事
同士でしっかりそこは協議をしていただいて、
委員長
は
教育
について非常に見識を持っておられるので、これは
委員会
として、国会としてしっかりと協議するようにと促していただきたいと思います。いかがでしょうか。
小渕委員長(小渕優子)
170
○
小渕委員長
承りました。
細野委員(細野豪志)
171
○細野
委員
承りましたとちゃんと議事録に残しておいてくださいね。
委員長
が承りましたと言ってくださいましたので、
理事会
でしっかりと協議していただきたいと思います。
小渕委員長(小渕優子)
172
○
小渕委員長
理事会
で協議いたします。
細野委員(細野豪志)
173
○細野
委員
さて次なんですが、もう
一つ
やはり確認をしなければならないのは、
教員
の評価なんです。これも
重要事項
に当たるという答弁、大臣がありました。残り五分ですので、また舌足らずになりますので、もうちょっと簡潔にやりとりして、それできょうは終わりたいと思うのですが、これも大臣に聞きましょう。 大臣、
教員
の評価は、よりこれは微妙な問題が含まれるわけです。さっき局長が答弁されたような、例えば
学部
に属さない特殊講義みたいなものがあって、カリキュラムがあって、そこについてのいろいろな評価を
教授会
の
意見
を聞かずに
学長
が、例えば外部の方の
意見
なんかも聞いてやるのは、あっていいと思いますよ。ただし、極めてまれですよね。ほとんどのケースは、それぞれの
学部
なり
学科
なりの中で教えておられる。当然、同じ
専門
の先生もいるでしょうし、類似の
研究
をしている人もいるでしょう。ということになれば、やはり
専門
家同士で、この
研究
はしっかり継続するに値をするかどうかとか、この教授の評価はどうかということについて議論するのが、これが村意識でやられたらいかぬのだけれども、
基本
的には、
専門
家同士で議論をするのが一番いいわけですよ。 この
教員
の評価を、そういう
専門
家同士の評価を経ずに、つまり
教授会
の評価を経ずに、それこそ
学長
が
意見
を聞かずにやるということになると、
教員
の評価だから、最終的にいろいろな、例えば極端な話、教授に値しないとかいうことの評価も含めて、条文上は
学長
が勝手にやれるんですよ。これはまた使いようによってはすさまじいことになるんですよ。これはちょっとまずいと思いませんか。 特殊な講義で、
教授会
の
意見
を聞かずに評価するというのはあっていいと思いますよ。しかし、通常のものについて
専門
外の
学長
がそれをぐっと踏み込んで
判断
するというのは、これは極めていろいろな
意味
で危ないことになる
可能性
があるというふうに思いますが、いかがですか。
下村国務大臣(下村博文)
174
○下村国務大臣 教授の評価、これは個別具体的にちょっと言っていただかないと一概には言えないと思うんです。 教授の例えば
研究
評価であれば、おっしゃるように、同じような
分野
における
専門
家、教授を含めた
判断
がなければできない部分がありますが、いわゆる一般論としての教授の評価ということであれば、それは必ずしもその
教授会
だけの評価ではなく、
学生
の評価もあるでしょうし、
社会
的な評価もあるでしょうし、トータル的にそれで最終的に
学長
がどう
判断
するかということもありますから、何の教授の評価なのかというその対象にもよる部分がありますから、必ずしも
教授会
の
意見
だけを聞けばいいというふうにもならないと思います。
細野委員(細野豪志)
175
○細野
委員
私も、
教授会
だけの
意見
を聞いて決める必要はないと思います。いろいろな
意見
を聞いた上で評価をしていただいた方がいいと思います。しかし、少なくとも
専門
家同士の
教授会
の評価は聞いた上で、
学生
であるとか、さらには外部の人間であるとか、さまざまなそういった評価を総合的にして、最終的には
学長
が
判断
をする、これが正しい姿だと思います。 この部分についてさらに議論したいことがありますので、また改めて
質疑
させていただくとして、これ以上やってもちょっと時間が短くなりますので、私の質問はきょうはここでとどめたいというふうに思います。 どうもありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
176
○
小渕委員長
次に、鈴木望君。
鈴木(望)委員(鈴木望)
177
○鈴木(望)
委員
それでは、引き続き質問をさせていただきたいと思います。 私も、やはり九十三条の条文の解釈について主に質問をさせてもらわなければいけないかなというふうに思っております。 最初に自民の
宮内
先生、また、今は細野先生が、いろいろと
宮内
先生は確認の
意味
で質問をされました。細野先生は、九十三条の具体的事例に伴って、解釈について質問をされました。私もダブりますけれども、よろしくお願いをいたします。 その前に、先週土曜日に行われましたSAYONARA
国立
競技場セレモニーに私も参加をさせていただきました。非常に感動的なセレモニーで、私もある種の感慨というか感傷に浸ったわけでありますけれども、そこで大臣も御挨拶をされました。建設当時の時代状況の話をされるなど、聴衆の皆さんの心に響くような御挨拶だったかな、すばらしい御挨拶だったなというふうに思わせていただきました。 そこで思いましたのは、
国立
競技場というのは単なる建物ではないんだな、そこでさまざまなスポーツ、イベントが行われまして、そういった国民共通の、また、参加した人はひとしおの思い出があるかと思うんですけれども、思い出であるとかそういったものの積み重ねという歴史とともに建物があるんだな、単なる建物だけじゃなくて、思い出、沿革、歴史、そういったソフトの部分と一体となって、
日本
のある
意味
では文化遺産になっているなということをしみじみ思わせていただいたわけであります。 そういう
意味
では、新しくできる競技場も、さまざまな思い出を国民とともに積み重ねていくのにふさわしい建物にしていっていただければなと思います。 それに引き続いて
国立
競技場の建てかえのことについて質問を続けようと思ったんですけれども、ちょっと質問の順番を変えさせてもらいまして、まずは、今言った
学校教育法
の関係、引き続いて九十三条の解釈等について質問をさせていただきたいというふうに思います。御容赦いただきたいと思います。 今回の学教法の焦点の
最大
のものは、
教授会
のあり方だろうというふうに思うんです。そうした場合に、
教授会
というのは、過去、
大学
の沿革からさかのぼって、どういう
意味
合いを持っていたのかということを、温故知新ではありませんけれども、振り返って考えてみるということは非常に重要じゃないのかなというふうに思うわけであります。そういった観点で質問をしていきたいというふうに思うんです。
大学
の自治は、歴史的、沿革的には、
学問
の自由と密接な関係をこれは持っていたわけであります。残念ながら、現在の
日本
の状況では、
大学
の自治が、その美名のもとに、既得権の擁護や新しい変革を拒む理由に
一つ
されているというのがあって、弊害が非常に目立ってきたのも、これも事実でございます。 しかしながら、一方で、
大学
の自治が果たしてきた役割に重要なものがあって、今後も果たしてもらわなければならない役割もまた厳然と存在する。 それは、やはり
学問
の自由を
教授会
の自治というものが守ってきたという側面にあるんじゃないのかなというふうに私自身は思っているわけでありまして、今回の改正、全体としては、維新の会としては
方向性
等については肯定的に受けとめているものでありますけれども、しかしながら、ちょっと荒っぽいんじゃないのかなと思うんです。
学問
とか
教育
とか
研究
とかというものについての
大学
の中の中核である
教授会
、その
意見
も聞かなくてもいいというような解釈もできるというのはちょっとおかしいんじゃないのかなというのが私の前提であります。 その前提のもとに、まず最初に大臣に少し聞かせていただきたいと思います。 歴史的、沿革的に、
大学
の自治は、具体的には
教授会
の自治を守ることによって
学問
の自由を守ってきたというような歴史があるんじゃないのかな、
大学
の自治ニアイコール
学問
の自由というような流れが
一つ
あって現在に至っている、そういう側面もあるんじゃないのかなというふうに私は思いますが、その点について、大臣、どのように認識しておられますでしょうか。
下村国務大臣(下村博文)
178
○下村国務大臣
大学
の自治とは、
大学
における教授その他の
研究者
の
研究
と教授の自由を内容とする
学問
の自由を保障するため、
教育研究
に関する
大学
の自主的を尊重する制度と慣行であると理解されており、
教育
基本
法第七条第二項においても、
大学
の自主性、自律性を尊重することが規定をされております。
大学
の自治について
教授会
は重要な役割を果たしております。今までの法律では、第九十三条におきまして、「
大学
には、重要な
事項
を
審議
するため、
教授会
を置かなければならない。」とありますが、これが、「
審議
」と書かれてあるのにもかかわらず、決定機関、最高決議機関のようにとられることによって、
教授会
そのものが
大学
の自治だというふうに間違った解釈をされてきた経緯がある中で、今回は、別に
学長
の
権限
が
教授会
に対して拡大というよりは、法律上の整理をするということでありまして、
教授会
は、重要な役割を果たすということはこれは変わらないわけでありますが、あくまでも
審議
機関であって、
大学
としての決定権は
学長
が有している、そういう整理をするというものであります。
鈴木(望)委員(鈴木望)
179
○鈴木(望)
委員
ありがとうございました。 私の考えとほとんど同じで、その考えをもうちょっと平たく言わせていただきますと、確かに、
大学
の自治、
教授会
の自治の美名のもとに、ある
意味
ではそれを非常に広く解釈して、いろいろなことが行われている。 私も
大学
の
教員
の一端に入っていたというようなこともありますので、その中で例として言うと、やはりいい生徒をたくさん広く集めなきゃいけない、だから、試験会場をたくさん設けて試験をやりましょうと
教授会
に諮ると、
教授会
は反対してしまう。つまり、
先生方
の負担がふえるというようなことで反対をしてしまうとか、また、基礎学力の伴っていない、
大学
の大衆化でもってそういう
学生
も入ってくるわけですが、そういう
学生
に、高校レベル、場合によっては中学レベルの英語であるとか数学をきちんともう一回勉強させる、そんなこともしなきゃいけない。そういう必要性はわかっていても、では、いざ
大学
でそういうことをやるかというと、それは自分
たち
の役割じゃない、要するに高校だとか中学校の役割だろうみたいなことを言って、そういうことを
大学
でやるというのに反対する。 でも、
大学
そのものの存在意義、またはその個別の
大学
にとってみればそういうことは非常に重要なはずで、そういうことも
教授会
の自治の美名のもとに拒絶をして、それで何の問題もないみたいな、それは事実として相当多くの
大学
でそんなことが行われているんじゃないかなと思いますが、それは確かにおかしい。 おかしいと思いますが、大臣も最初にお認めになった
教育研究
に関する
教授会
の自治というものは、これはきちんと認めていかなくてはならないと私は思うんですが、その点について今まで当局はどのように考えていたのか。ちょっと時間の関係もありますので、歴史的、沿革的に、例えば
大学
が始まってきた
ヨーロッパ
諸国の例も含めておっしゃっていただければ。 一般論で言うと何だかよくわからなくなってしまいますので、例えば、
イギリス
であるんだったら
オックスフォード
とか
ケンブリッジ
はどうだったのか、フランスだったらパリ
大学
はどうだったのか、ドイツだったらどこそこの
大学
はどうだったのか、具体的に、スタンダードだと思われる
大学
の例を引いて、その中で
教授会
というのはどういう役割を果たしてきたのか、ぜひお答えをお願いいたします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
180
○
吉田
政府参考人
教授会
が
大学
における
教育研究
に関する
事項
につきまして重要な機関であるということは、もうおっしゃるとおりでございます。歴史的には、
大学
制度といいましょうか、
大学
という仕組みが発足をいたしまして以降、
教授会
がその重要な役割を果たしてきているところでございます。 今御質問のございました
イギリス
、フランス、ドイツにおきまして、アカデミックな
事項
につきましては
教員
組織
に広範な
権限
が認められておりますけれども、その役割や
権限
は、我が国における
教授会
のあり方とは異なるところがございます。
イギリス
の場合、先ほど
オックスフォード
か
ケンブリッジ
かという話でございましたけれども、
イギリス
全般に言いますと、これは
大学
によって非常に多様でございます。
理事会
を中心として
大学運営
を行う
大学
もございますが、先ほど例にございました
オックスフォード大学
の場合、これは午前中の
参考人
の方からも御説明があったかと思いますけれども、全教職員から
構成
されるコングリゲーションと呼ばれる
組織
が
学長
の任命や
学内
規則の承認等を含めた最高議決機関とされておりまして、日常的な
運営
につきましては、監事や
学部
長、
教員
の代表者などから
構成
されるカウンシルと呼ばれるものが行っているという実態がございます。 フランスの場合、パリ
大学
という
お話
がございましたけれども、フランスの場合は、
大学
制度は少し均一化しておりますので全般的に話をさせていただきたいと存じますが、法律で
大学
の
運営
のあり方が定められておりまして、各
大学
共通という形になっております。各
大学
には、
学長
が議長を務め、
大学
の
基本
方針や予算、
人事
等に関する
重要事項
について決定権を有する管理評議会、また、
教育
課程や
教員
の資格
審査
、
学生
支援の諸方策等に関する
審議
機関である学術評議会が置かれております。いずれも主たる
構成員
は
教員
でございますが、職員や
学生
、学外者も参加をしているという実態もございます。 それからドイツでございますけれども、これは、各州の法律、各州法で
大学
の
運営
を定めておりますけれども、ベルリン自由
大学
を例にとりますと、
教育
課程の編成や
学生
の入学、卒業等については、
研究者
、
学生
、職員から
構成
される
学部
会議
において決定をしておりますが、予算や全学的な経営方針、
組織
の設置、廃止等については、
学長
部と呼ばれる
組織
や、あるいは
大学
評議会、
理事会
において決定されるなど、各機関が法律に定められたそれぞれの役割を果たしているというふうな実態にございます。
鈴木(望)委員(鈴木望)
181
○鈴木(望)
委員
ありがとうございました。 要すれば、
教育研究
に関する部分について
教授会
の果たしてきた役割は非常に重要であるということと、つまりそういう認識も、当然といえば当然だと思いますが、持っている。 と同時に、歴史的、沿革的に、今は世の中がいろいろ変わっていますので一概にどうとは言えない面もあるのかとは思いますが、そういった歴史を背負ってきた
大学
においては、
教授会
を中心とする、また、そこに職員であるとか
学生
も加わったような
組織
が、事
教育研究
に関することについては決定権も持っているところもあるし、当然、
審議
をし
意見
も言うというところもある、そういう理解でよろしいですね。
吉田政府参考人(吉田大輔)
182
○
吉田
政府参考人
それはそのとおりでございます。
鈴木(望)委員(鈴木望)
183
○鈴木(望)
委員
ありがとうございました。 それでは、法文の個別の解釈について、私も重複するところがあるかもわかりませんが、お尋ねをしていきたいと思います。 まず、現行の九十三条の「
大学
には、重要な
事項
を
審議
するため、
教授会
を置かなければならない。」この「
審議
する」というのは、決定
権限
まで含むというふうに解釈をするのかしないのか。聞かれておりましたので確認になりますけれども、お答えをお願いいたします。 そして、多分含まれていないというお答えになるかと思うんですが、含まれていない、だったら今の改正法と同じじゃないか、その解釈については。多分同じだという、私も議事録を見させてもらいまして、大臣も変わっていないと。それならなぜ法律をわざわざ変えるのか。何か困った事例が多分あったからこそそこを明確にしたということで、困った事例というのは何なのか。いろいろな事例がいっぱい出てきまして、私もいろいろな事例を言わせてもらいました。それは、狭義の
教育研究
以外のマネジメントの部分じゃなかったんだろうかなと思うんです。 それは私の質問の非常に核心的な部分ですので、そこについてきちんとお答えをいただきたいなと思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
184
○
吉田
政府参考人
現行法九十三条の「
審議
」の解釈でございますが、これは決定
権限
を含むとは考えておりません。 ただ、この「
審議
」ということにつきましてさまざまな受けとめ方があったわけでございます。この
教授会
による
審議
が、
審議
した上で決議をする、そういったことまで含んでいるんだというふうな解釈をとられる
立場
もございまして、その延長線上で、例えば、キャンパス移転ですとか予算の配分などのマネジメント、経営に関するような
事項
についてまで
教授会
が何かしらの決定権を持つというような事例が見られるということ、それはやはり
学長
の
リーダーシップ
を阻害をする要因になっているというふうに捉えられてきたというふうに思います。
鈴木(望)委員(鈴木望)
185
○鈴木(望)
委員
私の理解した言い方で言うと、
大学
の経営、マネジメントの部分について、要するにこの条文が拡大解釈をされてきたという経緯もある。昔からの経緯もあわせて考えてみますと、そういう解釈が行われてきたというのもあながちうなずけないこともないわけですけれども、解釈としては違う解釈じゃない、決定
権限
はないんだ、それは理解をいたします。 さて、今度は改正法の九十三条二項各号では、
教授会
は「
意見
を述べるものとする。」というふうに規定をしているわけでありますけれども、これは、一方の
学長
の側から見ると、必ず
意見
を聞かなければいけないということですか。確認的な
意味
も含めてお答えをいただきたいと思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
186
○
吉田
政府参考人
御指摘のように、九十三条二項は、
学長
が決定を行うに当たって
教授会
が「
意見
を述べるものとする。」というふうに規定をしておりまして、これは
学長
の側から見ますと、その二項各号に該当するものについては、必ず
教授会
の
意見
を聴取する
機会
を設けるということが
学長
に求められるということになります。
鈴木(望)委員(鈴木望)
187
○鈴木(望)
委員
ありがとうございます。必ずこの規定に基づいて義務的に
学長
は
意見
を聞くという解釈というふうに承りました。 そこで、その内容について御質問させてもらいたいと思います。 ことし二月の中教審
大学
分科会の、例もいろいろ出ております
審議
のまとめでは、
教授会
が
審議
すべき重要な
事項
の
具体例
として、この九十三条第二項のところに該当するわけですけれども、
一つ
は学位の授与、
学生
の身分に関する
審査
、
教育
課程の編成、
教員
の
教育研究
業績等の
審査
の四項目が示されておりまして、そして、これについては、「
教授会
の
審議
を十分に考慮した上で、
学長
が最終決定を行う必要がある。」というふうに書かれているわけであります。 ところが、これを受けた条文であるはずの改正
法案
九十三条の第二項では
二つ
しか書いていなくて、「
学生
の入学、卒業及び課程の修了」、それと「学位の授与」ということでありまして、もう細野
委員
がそこのおかしい点をさんざん言われましたので余り私も言うつもりもないんですけれども、
教育
課程の編成、
教員
の
教育研究
業績等の
審査
の
二つ
の項目が
法案
では抜け落ちているわけです。 これについては、本来的に言って、
教授会
の
意見
を必ず聞くべきことである。そこは、
吉田
参考人
の答弁は私はどこかおかしい、詭弁のようなところが物すごくあるなということが、私自身の感想ですよ、それが詭弁だというふうに決めつけるというわけじゃありませんけれども、思います。 私はそこの質問じゃなくて、今言った中教審の
審議
まとめで中教審が書いているわけですよ、
教育
課程の編成、
教員
の
教育研究
業績等の
審査
、この二項目をなぜ落としたのか。その点について、
法案
を作成した当局に御答弁をお願いします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
188
○
吉田
政府参考人
中教審のまとめと今回の
法案
の中身につきましては、これまでも何度か説明させていただきましたけれども、四つの項目のうち、
教育
課程の編成と
教員
の
教育研究
業績の
審査
につきましては、これは先ほど幾つかの例を申し上げました。
学長
の主導によりまして全学的な
教育
課程をつくるとかなんとかというようなことがございますので、これは各
大学
においていろいろと多様な実態が存在いたします。 九十三条の二項は、先ほど
委員
御指摘のように、ここは
学長
に一定の義務づけをしていくというものでございますので、そういう一律の義務づけに必ずしもなじまないということがございまして、今回、限定的な形で規定をさせていただいたということでございます。
鈴木(望)委員(鈴木望)
189
○鈴木(望)
委員
前回の
吉田
委員
の質問でも、答弁が、各
大学
において多様な実態があることから、法律上はあえて規定はしない、今お答えになったような御答弁をされているわけです。 私はこれがよくわからないんですよ。何がわからないかというと、多様な実態があったら、それをまとめた
教育
課程の編成というその文言をなぜ入れられないんですか。そこのところがよくわからない。
教員
の核心ともいうべき
教育研究
業績等の
審査
、
教授会
がそういうことについてきちんと
意見
を述べるということがなぜ明示できないのか。
大学
が多様だから明示できないって、納得できないんですが。 もう一度お答えをいただきたいと思います。多様な実態があるからなぜ書けないのか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
190
○
吉田
政府参考人
大学
は、非常に多様な実態がある部分がございます。 それで、
教育
課程の編成ですとか
教員
の業績
審査
ですとか、そういったものについて、
教員
サイドの
意見
というものも十分取り入れなくちゃいけないということは御指摘のとおりだと思いますけれども、ここの九十三条の二項は、先ほど申しましたように、
学長
にも一定の義務づけをするというものでございます。 その
意見
を聞く相手先が必ずしも、ある
学部
なりの
教授会
では不適当な場合もあります。そういったものについて、やはりそこは、
大学
側の自主的な
判断
の余地、そういったものをやはり設ける必要があるだろうということで、そのあたりは、必要性に応じて、三号の、
学長
が必要と認めるものの中で読み込んでいただきたいと思っております。
鈴木(望)委員(鈴木望)
191
○鈴木(望)
委員
具体的な答弁を求めれば求めるほど疑念は深まっちゃうんですね。 要するに、
教育
課程の編成、
教員
の
教育研究
業績等の
審査
、本来、当然その
大学
の
教授会
のやらなければならない事柄で、それについて最終決定
権限
は
学長
にあるにしても、そこに至るまでのプロセスは、これは
教授会
の業務そのものじゃないんでしょうか。それについて
意見
を聞かなくてもいいというような解釈ができるような法文というのは、ちょっと納得はできないと思います。私自身は納得はできません。 ただ、この問題だけ言っているわけにもいきませんし、まだ細野
委員
も引き続きというふうに言っておりますので、私はやめます。 次に……(下村国務大臣「いいですか、今」と呼ぶ)どうぞ、済みません。
下村国務大臣(下村博文)
192
○下村国務大臣 納得できないというふうにおっしゃったものですから。 具体的にこの
教育
課程の編成とか
教員
の
教育研究
業績の
審査
について、例えばでありますけれども、
学長
の主導により実験的な
教育
プログラムを策定して、そして、プログラム型の中でのプロジェクト
授業
の実施に伴う特任教授の
採用
とかいう、
大学
側が、
ガバナンス
側が何か新たな時代に対応した
大学
対応をしようと思っても、既存の
教授会
が、結果的に身分にかかわる部分については反対するということはあり得る話なわけです。 先ほど細野
委員
からは法
学部
の話が出ていましたが、これは私立
大学
なんかは、その
学部
を廃止するというよりは、その
学部
を含めた、時代に合った
学部
編制にするというのは結構やっている話でありますけれども、そうすると、時代に合わせた新
学科
なり新講座が必要なために新たな
人材
が必要だ、一方で既存の教授を全部そのままプールしていると、
大学
改革
そのものが成り立たないという部分があるわけです。 ですから、
意見
は聞くにしても、最終的には
学長
が決定権を持たないと
大学
改革
が進まないという部分もあるわけでありまして、
意見
を聞くということを否定するわけではありませんが、
学長
が最終的には決められるという
意味
での柔軟性を持たせているということが、各
大学
におけるさまざまな実態があるということで、法律上一律には規定しない、そういう趣旨であります。
鈴木(望)委員(鈴木望)
193
○鈴木(望)
委員
大臣が挙げられた例は私も理解いたします。 ただ、そういう例があるから規定しないということはちょっとおかしいんじゃないのかなと。本来的に規定すべきことは規定して、例外的に今言ったようなことがあるとしたら、それは通知なり省令なりで手当てをしていけば済む話じゃないのかなと私は思います。 また、このことについて余り議論をする時間ももうありませんので、ちょっとはしょって、もう
一つ
ぜひとも聞いておきたいところですけれども、この条文に関連して、中教審の
審議
まとめでは、
教授会
の
審議
を十分に考慮した上で
学長
が決めるというふうに書いてありまして、それが、「
意見
を述べるものとする。」と今度の改正
法案
ではなっているわけです。 私は、
教授会
の
審議
を十分に考慮してということと
意見
を述べるものというのでは、
教授会
の役割、位置づけ、重み、事実上のその果たしてきたものに対する認識が全然違うんじゃないのかな、そういうふうに思わざるを得ないんですけれども、なぜこのような規定にしたわけでしょうか。お答えをお願いします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
194
○
吉田
政府参考人
委員
御指摘のように、中教審の
審議
まとめでは、
教授会
が
審議
すべき重要な
事項
について、「
教授会
の
審議
を十分に考慮した上で、
学長
が最終決定を行う必要がある。」というふうにしております。これを今回の改正案の九十三条第二項では、
学長
が決定を行うに当たり
教授会
が
意見
を述べるものというふうな条文のつくりにしております。 これは、
学長
と
教授会
の関係を今回明確にしようというものでございまして、そこでの
教授会
の
意見
というものについては、これはやはり、必ずそれについては
教授会
の
意見
を聞くということにしているわけでございますから、
基本
的にはこれは尊重されるべきものでございまして、中教審の
審議
まとめの趣旨を反映した条文になっているというふうに考えております。
鈴木(望)委員(鈴木望)
195
○鈴木(望)
委員
それだったら、なぜ中教審の
審議
まとめの文言どおり、
教授会
の
審議
を十分に考慮してと書かないんですか。今はそういう御答弁をしたわけですね。それだったらそのとおり素直に書けばいいのに、なぜ書かないのか。もう一回ちょっと。
下村国務大臣(下村博文)
196
○下村国務大臣 今回の改正の法の趣旨というのは、先ほど申し上げましたが、現行の九十三条は、「
大学
には、重要な
事項
を
審議
するため、
教授会
を置かなければならない。」この現行の重要な
事項
の
審議
というのが、
教授会
そのものが決定機関のように扱われているという部分が大きい。しかし、法律そのものの「
審議
」というのは、決定機関まで入れているわけではないわけです。 ですから、それをこの九十三条の改正案の中でわかりやすくするために、その中教審のような書き方はやはり誤解をされる……(鈴木(望)
委員
「どういう誤解か」と呼ぶ)誤解というのは、つまり、現行の九十三条と同様のような解釈がされるような書き方ではそもそも改正する
意味
がないというふうに、これは文部科学省の中、それから与党と相談した結果、よりわかりやすい、つまり、
教授会
そのものの存在はもちろん否定しているわけではありません。
意見
をお聞きする。しかし最終決定権は
学長
にするという今回の改正案のような整理の仕方が、一番法律の趣旨にのっとったわかりやすい表現になるだろうということで、政府案として国会に提出をさせていただいているわけでございます。
鈴木(望)委員(鈴木望)
197
○鈴木(望)
委員
時間も迫ってきましたし、今言われたことは理解いたします。納得はいたしませんけれども、そういう趣旨でなってきたということは理解いたします。 あと
一つ
で終わりにしたいと思いますけれども、九十三条の第三項です。第三項の「
教育研究
に関する
事項
」とは具体的にどのようなものでしょうか。例えば
大学
の移転というようなものが入るのかどうか。もう具体的な話でいきたいと思いますが、
大学
の移転というのは、九十三条第三項に今までの議論を踏まえると該当するんじゃないのかなと思いますけれども、どうでしょうか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
198
○
吉田
政府参考人
具体的な例でお示しいただきましたけれども、
大学
の移転ということで、その
教育研究
に関する重要な側面があると思います。 そういう
意味
では、二項三号のところで、
学長
が必要と認めるものとして位置づけること……(鈴木(望)
委員
「二項三号で含まれるということですね」と呼ぶ)はい。(鈴木(望)
委員
「三項じゃない」と呼ぶ)二項三号。(鈴木(望)
委員
「二項三号ですね」と呼ぶ)はい。
鈴木(望)委員(鈴木望)
199
○鈴木(望)
委員
ちょっと時間がなくなってきましたけれども、それでは、その九十三条の第三項を、どういう事例を考えているのか。 私、ほかにもいろいろ例は持ってきているんですけれども、
学長
等の求めがないと
意見
も言えないということにこの法文のたてつけではなっておりまして、だから、具体的な事例でどういうものがあって、そういうものについては
学長
の求めがなければ
意見
が言えないというのはおかしいんじゃないのかなと。 なぜそういうことを私が思っているかといいますと、
大学
の
運営
というものは、
大学
そのものは
教育研究
する場ですから、いずれにしても、
大学
の経営側面が非常に強いものであっても、必ず何らかの格好でもって
研究
とか
教育
に結びついている。だから、どこかで線を引いて、そしてこれは経営の話だということで、
学長
の求めがなければ
意見
が言えないというような解釈であっては、私はちょっとおかしいんじゃないのかなと。 時間が来ましたので、では、私の
意見
を言わせていただいて、また次に質問させていただければというふうに思います。 終わります。
小渕委員長(小渕優子)
200
○
小渕委員長
次に、柏倉祐司君。
柏倉委員(柏倉祐司)
201
○柏倉
委員
みんなの党の柏倉です。よろしくお願いいたします。 先日の
委員会
審議
で、医者が、医
学部
の教授が総合
大学
の経営にかかわれるほど余裕があるのか、いろいろなことを考える余裕があるのか、そして、その才があるのかという疑問を呈させていただきました。早速、怒られました。そんなことはない、しっかり俺も考えてやっておると。そういう自負はあるんでしょうけれども、やはり私は、どこまでいっても餅は餅屋、経営の感覚を持ち合わせる、それを涵養するにはなかなか時間がかかるんだというふうに思いますし、本当に、
大学
の小さな、ある限られた
分野
で事をなした方とはいえども、やはり経営というのは、研ぎ澄まされた感性、感覚、経験、そういったものが必要になると思います。 ましてや
国立大学
になりますと、倒産というのは
原則
ないわけでございます。路頭に迷うという緊張感、切迫感のない中で、漫然とその椅子に座っている
可能性
もあるんじゃないかというふうに思います。もっとやはり危機感を持って、ひょっとして
大学
病院が赤字になったら自分の首は切られるんだというぐらいのそういうやはり危機感を持って、
国立大学
の人間といえども経営に臨んでほしいというふうに思います。 そこで、ちょっと、先日の
審議
で、これは
吉田
政府参考人
から発言があったことについてまずお伺いしたいんです。 私、もっと経営協議会に学外
委員
をふやすべきであるという
意見
を申し述べました。そして、
政府参考人
から、
国立大学
の今後の
運営
については、これまで以上に、
社会
や地域のニーズを的確に反映した
運営
が強く求められる、そういう観点から、経営協議会の学外
委員
が、その経験や知見を生かして、より主導的かつ積極的に経営協議会での
審議
に参画する、それを促進するべきであるということを言っておりました。だから、この経営協議会については学外
委員
の割合を過半数にしたんだということでした。 この主導的という部分についての確認なんですが、この経営協議会、これはあくまでも決定権は
学長
にあるということで、やはりあくまでこれは諮問機関としての位置づけなのか、それとも、これは多数決で決める決定機関なのか、そこの確認をまずさせてください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
202
○
吉田
政府参考人
私が主導的と申し上げましたのは、それは、経営協議会に参加していただく
委員
が、みずから率先をして、より積極的な役割を果たしていただきたい、そういう
意味
合いで申し上げたものでございます。 御質問の、経営協議会の役割といいましょうか
権限
でございますけれども、
国立大学法人法
上、経営協議会は「
国立大学
法人の経営に関する
重要事項
を
審議
する機関」とされておりまして、決定機関ではございません。 学外の有識者の
意見
を
運営
に適切に反映させつつ、経営に当たって学外の知見を積極的に活用する等の観点から経営協議会を法定している趣旨に鑑みますと、
学長
は経営協議会の
審議
を踏まえつつ意思決定を行っていくことが想定されるものの、
国立大学
法人の
運営
についての最終的な
責任
と
権限
は
学長
が有するという、その位置づけは今回も変わっておりません。
柏倉委員(柏倉祐司)
203
○柏倉
委員
あくまでも
審議
機関であるということだと思いますけれども、一番大事な、生き残りをかけた
戦略
をそこで練るわけです。自分
たち
の持っている
学問
的なツールをどうやって生かしてアウトプットを上げていくのか。
大学
病院の経営はまた別な話だと思いますけれども、そういう、自分
たち
の知財をどうやってビジネス化していくのかというところの
戦略
も、
基本
的な
戦略
もここで練り上げていくわけですね。 その練り上げる中で、
学長
が最終的に
判断
する、合意を
形成
した後に
判断
するということが前提だと思いますけれども、なかなか、私は、先ほど申し上げたとおり、
一つ
の領域で事をなしたという人でも、そういう総合的な
大学
の生き残り、この最終的な決断をここで求められるというのは、ある
意味
は非常に酷な感じもするんです。やはりここはある
意味
、経営協議会というものに一定限度の決定権も持たせるべきじゃないかというふうに思うんです。 教学は別の部分です。教学というのは、やはり
学問
の自由、いろいろな自由度を担保するという
意味
での
教授会
。ですから分権的なものが望ましいとは思うんですが、経営となりますと、やはり
一つ
目標を決めたらそこに邁進していくということが必要になるわけです。大きな
責任
が乗っかってくる。
国立大学
のオーナーというのは、これは国ですから。
学長
じゃありません。ですから、そういった、
学長
に全てを任せて経営のところもイニシアチブをとらせるというよりは、経営協議会、これにある一定限度のやはり決定権を持たせる、そういった検討もしていただきたいと思いますが、それに関する何か、政府の所見があれば聞かせてください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
204
○
吉田
政府参考人
経営協議会の
審議
事項
といたしましては、まさに
大学
の今後のことを考える中期目標、中期計画、これが非常に重要な
審議
事項
ということになります。ですから、
大学
の将来のことを考えて、さまざまな観点から、学外
委員
の方のいろいろな知見などもその中に取り込みながら
審議
をしていただくわけでございますけれども、ただ、今の
国立大学法人法
の立て方としますと、やはり
学長
が教学と経営と両方について最終的な決定権を持って
ガバナンス
を続けていくという、そういった仕組みになっておりまして、あくまでも経営協議会はそういった
学長
の決定について経営的な観点から参画をしていく、その位置づけは、それはまだ維持すべきだというふうに考えております。
柏倉委員(柏倉祐司)
205
○柏倉
委員
大学
を企業に例えてはいけないのかもしれませんけれども、やはり営業と開発があって、最終的な
戦略
をトップが決めていくということが一番合理的だと思うんです。 教学の部分が開発だとすれば、経営がもちろん経営協議会です、そういう、
大学
、
学長
の下に経営の担当者、そして教学の担当者、これが今回副
学長
という位置づけになるんだと思うんですが、そこは違うんでしょうか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
206
○
吉田
政府参考人
国立大学
の
学長
を補佐する体制といたしますと、いわゆる教学面につきましては、今回御
審議
をいただいております副
学長
というのが担当いたします。一方、経営面につきましては
理事
という役職がございまして、この両者がそれぞれ、教学と経営と両面から
学長
をサポートしていく、こういった仕組みになっております。
柏倉委員(柏倉祐司)
207
○柏倉
委員
経営の部分でもしっかりと、外部の人
たち
の
意見
がドミナントな状態で、そういう、今回
理事
が取り組むということですけれども、
大学
でずっと生きてきた人間が経営を最終的に決断する難しさ、そのリスク、それをやはり最終的にヘッジできるような仕組みに将来はしていただきたいというふうに思います。 それでは次の問題に移らせていただきます。
国立大学
のグローバル化を促進していくというその土台づくりがこの
法案
の眼目の
一つ
だというふうに思います。ただ、前回も
お話
をさせていただきましたこのグローバル化を目指す。文科省は、スーパーグローバル
大学
創成支援で、
世界
ランキング百位以内に十校、
日本
の
大学
を入れると言っています。 ただ、現状、
国立大学
といっても、東大、京大という歴史がある
大学
から、地方の、私も地方の
国立大学
出身ですからあえて言わせてもらいますけれども、やはり地方の
大学
と役割も違えば知名度も違う。そういう中で、
国立大学
の各
大学
各
大学
のミッション、これをどういうふうに国が今定義をしているのか。そして、今後、
国立大学
全体、全部の
大学
を百位以内に入れる
可能性
を持たせるということなのか、それとも、ある程度セレクティブに
可能性
を持たせていくのか。そこのところの
方向性
、これがまだ漠として見えてこないところがあります。その
方向性
、政府の見解をお願いいたします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
208
○
吉田
政府参考人
委員
御指摘のように、我が国は、急速な少子高齢化、グローバル化、あるいは新興国の台頭による競争激化など、
社会
の急激な変化に直面しておりまして、持続的に
発展
する
活力
ある
社会
を目指して、さまざまな
改革
の実施が求められております。
大学
力は国力そのものでございまして、特に
国立大学
は、
社会
から、
人材
育成、学術
研究
、産学連携などを通じて、我が国の成長と
発展
に積極的に貢献することが強く期待されているところでございます。 私どもとしては、
国立大学
につきまして、
世界
最高水準の
教育研究
の展開拠点、それから全国的な
教育研究
拠点、地域活性化の中核的拠点の
形成
など、それぞれの
大学
が有する機能の強化を図る
改革
にスピード感を持って取り組んでいく必要があるものと考えております。こうした背景を踏まえまして、各
国立大学
について、
専門分野
ごとにその強み、特色、
社会
的な役割を明らかにするミッションの再定義を進めているところでございます。 また、文部科学省におきましては、昨年十一月に策定いたしました
国立大学
改革
プランに基づきまして、
国立大学
の機能強化に取り組んでいるところでございます。第三期の中期目標
期間
が
平成
二十八年度から始まるわけでございますけれども、その中では、各
大学
の強み、特色を
最大
限に生かし、みずから改善、
発展
する仕組みを構築することによって、持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出す
国立大学
を目指していきたいというふうに考えております。
柏倉委員(柏倉祐司)
209
○柏倉
委員
今、
国立大学
は八十六、公立
大学
は八十三あるわけです。その各
大学
各
大学
に必ずミッションがあって、国が主導的な
立場
に立ってゴールへ向かって連携をしていくのか、それとも、ある程度セレクティブにやっていくのかというところの答えを聞かせてください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
210
○
吉田
政府参考人
先ほど三つの類型を申し上げました、
世界
最高水準の拠点、全国的な拠点、それから地域活性化の拠点。これはそれぞれの
大学
がその強み、特色をみずから認識をし、また、私どもともそのあたりは共通理解を深めながら、それぞれの
大学
の目指す方向といったものをこれからずっと探求していこうというものでございまして、そういう
意味
では、
一つ
の選択的な要素は、これは入ってくるというふうに思います。
柏倉委員(柏倉祐司)
211
○柏倉
委員
地域地域に根差した、小さいけれどもやはり愛されている
国立大学
というところもあるわけです。ちゃんとそのミッションを明らかにしてもらって、独自性のある
大学
づくり、校風づくりというのに邁進していけば、私は、
国立大学
ももっともっと魅力が出てきて、もっと倍率が上がって、いい
大学
になっていくんだと思います。今回は
ガバナンス
の問題ですけれども、そういう
国立大学
の最終的な
方向性
というのもしっかり見据えた
戦略
も打ち出していただきたいと思います。 もう時間がありません。ちょっと最後は簡単に質問させていただきます。 今度、
学長
の
ガバナンス
が強まるわけですが、正直言って今、
大学
は順風満帆じゃなくて、
学長
が
学部
長に訴えられてしまったり、そういう混沌とした
大学
もあるわけです。こういうところの
ガバナンス
というのは、やはり
学長
の
権限
を強めたから
ガバナンス
が保たれるのかどうか。これはやはりいろいろな諸問題があります。パワハラですとかセクハラですとか、いろいろなそういう諸問題に端を発してこういう混沌が惹起されるわけです。 今回、いわゆるハラスメントだけに絞って質問しますが、このハラスメント処理、そういったものに向けた国のガイドラインの策定もやはり必要なのではないかと思いますが、そこの政府の見解を聞かせてください。
下村国務大臣(下村博文)
212
○下村国務大臣
学長
は
大学
の
運営
全般に関して
責任
を負う
立場
であり、これはハラスメント事案の処理や防止においても同様であります。 ただいま御
審議
いただいている
法律案
においては、
学長
を補佐する体制の整備や、
学長
の
権限
と
責任
の一致を明確化することを目的とするものでありまして、これにより、ハラスメント事案に関しても、
学長
の
責任
のもと、各
大学
における相談窓口や調査、対策機関の整備など、一層適切な対応がなされるものと考えております。 仮に
学長
自身がハラスメント事案の当事者となった場合においても、相談窓口や調査、対策機関は各
大学
において中立的な
立場
で事案の対処に当たることになるというふうに考えております。
柏倉委員(柏倉祐司)
213
○柏倉
委員
答弁、ありがとうございます。 やはり人と人がやることですので、予想外のシチュエーションも生まれてきてしまう。そういう中で、中立的な
判断
ができる処理の
組織
、これがしっかりとワークできていればいいと思うんですが、現実になかなかワークしない。その中でワークするはずの人
たち
も、いろいろなしがらみの中でやっているものですから、そういった統督の部分がやはりなかなか改善できないという現状も、地域をつぶさに見ますと散見されるようでございます。 こういったハラスメント処理の迅速化、
法案
には直接の関係は薄いかもしれませんが、ぜひ政府としても前向きに御検討いただきたいという要望を述べまして、終わりにさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
214
○
小渕委員長
次に、青木愛君。
青木委員(青木愛)
215
○青木
委員
生活の党の青木でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。 まず、下村大臣に、この
大学
改革
そのものの目的についてお伺いをしたいというふうに思います。 安倍首相が五月六日、経済協力開発機構の閣僚
理事会
の基調演説の中で、経済
発展
とイノベーションのために高等
教育
改革
を行うという
立場
を明確にされました。さらに、学術
研究
を深めるのではなく、もっと
社会
のニーズを見据えた、もっと実践的な職業
教育
を行う、そうした新たな枠組みを高等
教育
に取り込みたいと考えています、そう述べられておられました。 この高等
教育
の新たな枠組みの中で、いわゆる高等
教育
段階における実践的な職業
教育
の充実ということを求められているんだろうというふうに思います。 午前中の
参考人
質疑
にもございましたけれども、手っ取り早く企業に役立つ
人材
育成を図ろうとしているのではないか、また、公立高校の
無償化
のときにも指摘をさせていただきましたが、自民党の憲法草案の中にもありましたように、いよいよ国の
発展
のために
人材
育成が行われるのではないかという危惧を私自身も持つわけでございます。 やはり
学生
の求める
学問
の
多様性
というものは確保されなければならないというふうに考えますが、産業競争力のためだけの高等
教育
改革
になりやしないかという危惧の声が上がっていることも事実でございます。 これらも踏まえて、下村大臣が、現在
大学
を取り巻く
社会
情勢と
大学
に対する
社会
の要請の変化、これをどのように認識され、どのように変わっていくべきとお考えになっているのか、下村大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
下村国務大臣(下村博文)
216
○下村国務大臣
大学
の自治そのものを否定するつもりはありませんし、これは法律で明確に書かれているものでありまして、それは当然尊重すべきものであるというふうに思います。ですから、実
社会
においてすぐにそれが実践的に役立つかどうかは別として、例えば文学
分野
とか哲学とかロシア文学とかフランス文学とか、そういうことを別に否定するつもりは全くないわけであります。 安倍総理が、五月の六日にパリで開催されたOECD閣僚
理事会
での基調講演において、
大学
改革
について、モノカルチャー型の高等
教育
では斬新な
発想
は生まれない、だからこそ
教育
改革
を進めている、学術
研究
を深めるだけでなく、もっと
社会
のニーズを見据えた、もっと実践的な職業
教育
も行う、そうした枠組みを高等
教育
に取り込みたいと述べられたわけであります。 これは、
教育
再生実行
会議
における学制
改革
についての議論を踏まえつつ、グローバル化の進展など
社会
が急激に変化する中で我が国が今後も
世界
に伍して
発展
し続けるためには、
社会
の多様な要請を的確に受けとめ、さまざまな
分野
で活躍できる
人材
の育成に
大学
が一層力を発揮すべきであるという認識のもとで発言をされたものというふうに理解しております。 先ほども御質問の中にありましたが、今の
大学
は、
学生
が勉強していないというのは、
学生
が怠けているということもあるかもしれませんが、それ以上に、
大学
側が的確なカリキュラムなりあるいは編成なりをしていないために、そもそもそれほど価値を置いていないということを
大学
側は謙虚にやはり見直すべきではないかというふうに思います。そういう中で、
大学
で勉強したことがそのまま、もちろん多様な価値観がある中で、多様なニーズがある中ですから、一方で、
社会
に役立つための部分についてもより力を入れるべきではないかということであります。 いずれにしても、
大学
の
教育研究
におきましては、量的な拡大と質的な向上をともに進めていくことが不可欠であると考えております。
青木委員(青木愛)
217
○青木
委員
ありがとうございます。 現在の
社会
経済あるいは自然環境、こうした変化に伴う、いわば地球規模の諸
課題
への対応、そのためのグローバル化あるいはイノベーションの創出というのは大変重要な視点であって、
社会
的要請に応えるための
大学
改革
そのものの必要性は、私も同じように認識をしております。 その認識の上で、この
ガバナンス改革
がどのように機能していくかということについて伺っていくわけなんですけれども、今回、全
大学
一律にこの法律を当てはめるということが果たして適切なのかどうかというところをまずお伺いさせていただきたいというふうに思います。
大学
の枠組みを定める法律は
大学
の設置者により異なり、
国立大学
法人については
国立大学法人法
、公立
大学
法人については地方独立行政法人法、また私立
大学
については私立学校法でございます。また、それぞれの
大学
の沿革や規模、
教育
内容、
研究
内容も異なる中で、
学長
の
権限
や
ガバナンス
について、
学校教育法
の改正によって一律に規定しようという趣旨は何であるか、お伺いをさせていただきます。
吉田政府参考人(吉田大輔)
218
○
吉田
政府参考人
学校教育法
は、国公私の別を問わず、全ての
大学
に適用される法律でございます。 今回この改正内容としております
学長
と
教授会
の関係を明確化すること、また、副
学長
の役割を強化すること、これは、それぞれの
大学
の
学長
が
リーダーシップ
を発揮しやすい環境の整備を目指すものでございまして、今、国公私の設置主体を問わず
大学
改革
が求められる情勢の中で、これらの推進のためには
学校教育法
の改正が必要であるというふうに考えたものでございます。
青木委員(青木愛)
219
○青木
委員
既に多様な
ガバナンス
の仕組みの中で現に動いている
大学
を一律に縛るのは問題が大きいという声も上がっていることも指摘をさせていただきながら、
法改正
に至る経過の確認として、本来省令で定めるお考えがあったというふうに伺っておりますが、省令で定める場合はどういったお考え、構想であったのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
220
○
吉田
政府参考人
一時期、省令による対応というものも検討をさせていただきましたけれども、今回、
大学
の
ガバナンス
の関係につきましては、
権限
と
責任
のあり方が明確でない、また、意思決定に時間を要し、迅速な決定ができない、
学内
の都合が先行し、十分に地域や
社会
のニーズに応えるような
大学運営
が行われていないなどの
課題
が指摘されてきたところでございます。 このような
課題
を解決するためには、現行の
学校教育法
におきましては
学長
と
教授会
の関係が不明確となっているため、
学長
は決定権を有し、
教授会
は
学長
に対して
意見
を述べる
立場
にあることを明確化する必要があったこと、また、
学長
補佐体制の強化ということで、副
学長
の
権限
の拡充を行う必要があったこと、これらが
学長
の
リーダーシップ
を確立する上で必要である、こういうふうに考えました結果、省令改正ではなく法律改正が必要であるというふうに
判断
したものでございます。
青木委員(青木愛)
221
○青木
委員
ありがとうございます。 省令改正でも済んだ
可能性
もあったということだというふうには思うんです。現行法でも徹底すればできたのかなというふうに思うのですが、
法改正
によってより
権限
と
責任
を明確化するに至ったということであります。 これは産業界といいますか経済界の意向も大分影響しているというふうにも伺っておりまして、その是非ではなくて、
法改正
に至ったことで、これがよりよい産学連携といいますか、そうした形でその取り組みの
改革
の推進が進めばよろしいわけなんでありますけれども、そこに期待をしながら、また危惧の念も抱きながらというところで質問をさせていただいているところでございます。 質問はかわりますが、今回、
法改正
に至ったその前提として、先ほども質問にございましたけれども、実際、どのような
大学
で、どのように
教授会
が関与したことで
改革
が阻まれたのか、その具体的事例を明確に教えていただきたいというふうに思います。
吉田政府参考人(吉田大輔)
222
○
吉田
政府参考人
今回の改正は、中教審の
審議
まとめにおきまして、
教授会
の
審議
事項
が
大学
の経営に関する
事項
まで広範に及んでおり、
学長
の
リーダーシップ
を阻害しているとの指摘があること、あるいは、
教授会
は法律上
審議
機関として位置づけられており、
審議
結果に対して直接
責任
を負わないものとされているにもかかわらず、事実上議決機関として意思決定を行っている場合も多いこと、こういうことなどの指摘を踏まえまして、
教授会
の役割を明確化しようとするものでございます。 文部科学省におきまして全ての
大学
、
学部
を対象として行いました調査におきまして、次のように、さまざまな
事項
について
教授会
に決定
権限
があるとの回答を得ているところでございます。 例えば、
学内
規程の制定、改廃に関しましては三七%、
学部
長や
研究科
長等の選任に関することにつきましては三七%、予算の配分、執行に関することにつきましては三三%、また、
組織
の編制に関することにつきましては一九%というような割合で
教授会
の関与が強い事例が見られるところでございます。 また、
教授会
が反対したことによりまして
学長
による
大学
経営が阻害された事例としては、具体的には、キャンパスの移転計画や
組織
再編が
教授会
の反対によって実現できなかったり、実現まで非常に長い時間を要した事例、あるいは、
学長
が希望する副
学長
や
学部
長の
人事
が
教授会
の反対によって実現できなかった事例などを承知しているところでございます。 中教審におきましては、こうしたデータ等も踏まえながら議論が行われてきておりまして、その結果に基づいて今回
法改正
をお願いしているところでございます。
青木委員(青木愛)
223
○青木
委員
ありがとうございます。 今回の
教授会
の役割の明確化ということについてでありますが、
平成
十六年の
国立大学法人法
制定の折には、この
教授会
の役割を明確化するところまでは不要だという
判断
があったかというふうに思います。それで、今回この
法改正
に至ったわけでございますが、先ほどもまた
質疑
の中でかなり詰めた議論がございましたけれども、私からも確認をさせていただきたいのは、改正案の九十三条の第二項と三項の関係でございます。 まず、第二項の「
教育研究
に関する重要な
事項
」と第三項の
学長
等がつかさどる「
教育研究
に関する
事項
」、これはそれぞれどのようなものを想定しているのか、改めてお伺いをいたします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
224
○
吉田
政府参考人
九十三条の二項のところで、入学、卒業、課程の修了と学位の授与の関係のほかに、三号では、
学長
が決定を行うに当たって、
専門
的な知見を有する
教授会
の
意見
を聞くことが必要であると認めるものというのを挙げております。具体的にこれにどういうものが当たるかということにつきましては、これはもう先ほど来の議論の中でも出てまいりましたけれども、
具体例
としては、
教育
課程の編成や
教員
の
教育研究
業績等の
審査
といったものがこれに該当するということでございます。 一方、九十三条第三項として想定される
事項
としては、九十三条二項に規定する
事項
のほか、
教育研究
に関する
事項
として、これは各
大学
が実情に応じて
判断
をされるということになりますけれども、具体的な内容としては、例えば
授業
担当科目の決定を行うことですとか、共用設備の導入に関する検討をすることですとか、あるいは指導
教員
の変更、それから留
学生
の受け入れ等々、さまざまなものがここには入ってくるだろうと思われます。
青木委員(青木愛)
225
○青木
委員
それでは、この二項に定める「
意見
を述べるものとする。」という義務的な
事項
と三項にまとめられました「
意見
を述べることができる。」という裁量的
事項
、この区分はどのような基準で検討されたのでしょうか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
226
○
吉田
政府参考人
九十三条二項は、
教育研究
に関する
重要事項
のうち、
学長
が決定を行うに当たって、
学長
が
教授会
に
意見
を聞くことが適切であると考えられる
事項
、これが二項の三号のところに入ってくるわけでございます。三項の方は、もうこれはそれ以外の
事項
というふうに切り分けすることができると思います。
青木委員(青木愛)
227
○青木
委員
そうしますと、
教育
課程の編成や
教員
の
教育研究
業績の
審査
は義務的
事項
であり、先ほどおっしゃった
授業
担当科目とか設備ですとか留
学生
等々の検討
事項
については裁量的
事項
という形になるということでよろしいんでしょうか。それぞれは重なることはないということでよろしいんでしょうか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
228
○
吉田
政府参考人
三項の方は、法律上、前項に掲げるもののほかということになっておりますので、ダブることはございません。
青木委員(青木愛)
229
○青木
委員
これは、そもそも決めておくことではなくて、
大学
側というか
学長
側というか、そちらの裁量に任せるということなんですか、それぞれの中身については。
吉田政府参考人(吉田大輔)
230
○
吉田
政府参考人
九十三条二項三号は、
学長
が必要と認めるものとなっておりますので、そこは
学長
で御
判断
をいただくということになります。 三項は、二項に掲げております
事項
以外の事柄ということでございますので、
教育研究
に関する
事項
ということではございますけれども、特に誰かがそこで決めるというものでもございません。
青木委員(青木愛)
231
○青木
委員
そうしますと、その内容については
大学
ごとに異なるということでよろしいんですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
232
○
吉田
政府参考人
そこは
大学
によって多様だと思います。
青木委員(青木愛)
233
○青木
委員
ありがとうございます。 そしてもう一点お伺いをしたいのですが、三項の、
教授会
は
学長
等がつかさどる
教育研究
に関する
事項
について
審議
しとございます。
学長
等が
意見
を求めないことについても、
教授会
の
判断
で
審議
することは認められるというふうな解釈でよろしいでしょうか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
234
○
吉田
政府参考人
大学
における
教育研究
の充実のために、
学長
等の求めの有無にかかわらず、
教授会
が
教育研究
に関する
事項
について
審議
をするということは、これまた重要なことでもございますから、
学長
等が
意見
を求めないことについても、
教授会
の
判断
で
審議
をすることは、これはもう自由でございます。
青木委員(青木愛)
235
○青木
委員
ありがとうございます。 この場合の「
審議
」というのと、現行法の「
審議
」ということの
意味
するところは同様に考えてよろしいということですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
236
○
吉田
政府参考人
審議
という
言葉
は、「くわしく事の可否を論議・検討すること。」と広辞苑では書かれてございます。現行法の「
審議
」もこのような
意味
でございまして、本来、決定権を含意するものではございません。 しかしながら、実態として、
教授会
による
審議
が決議を含むものとして運用されてきたという指摘も踏まえまして、今回の改正をお願いしているということでございます。
青木委員(青木愛)
237
○青木
委員
先ほどの
参考人
質疑
の中で、これは
田中参考人
の方から、それぞれの
大学
ごとに、この新しい法律を、その
大学
の目的に照らして運用すればよいのではないかという御答弁をいただいたのですけれども、この今の「
審議
」ということについても、
教授会
の
判断
で
審議
をすることは法律違反ではないし、それは、それぞれの
大学
がそれぞれの方針に照らしてこの法律を運用してもよいということでよろしいんでしょうか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
238
○
吉田
政府参考人
今回の九十三条の改正は、
学長
が最終決定権を有するということを前提といたしまして、
教授会
との関係を明確にしよう、こういうものでございます。
教授会
がそれぞれの
学部
等の
教育研究
において重要な役割を果たしておりますから、その
意味
では、それぞれの
大学
の
判断
によって
審議
をされることについては、これはもう自由であるということでございます。
青木委員(青木愛)
239
○青木
委員
ありがとうございます。 それでは、副
学長
の職務の明確化とともに、
学長
の補佐体制も大変強化をされるということでございます。
学長
に対するチェック機能について、私からも確認をさせていただきたいと思います。 今回の改正案で、
教授会
の
権限
の明確化、また、副
学長
にかかわる規定の整備を通じて、
学長
補佐体制が強化をされます。副
学長
は、
学長
の命を受けた補佐、特定の
個人
の
学長
を助ける
意味
合いが強過ぎて、全学の副
学長
としての機能を果たせるのかという心配の声も上がっております。 そういう
意味
においても、
学長
の業務執行に対するチェック機能について、具体的にどのように構築されるお考えかを伺わせてください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
240
○
吉田
政府参考人
学長
に対するチェックする仕組みの御質問でございますが、まず、
学長
にはすぐれた人物が求められるということがございますが、
学長
をチェックするための仕組みとしては、監事による監査や、それから
大学
の自己点検・評価、また認証評価等の評価がございます。また、
理事会
や
学長
選考
会議
等の
学長
選考
組織
による業務執行状況の評価などの仕組みが存在をしております。
中央
教育
審議
会の
審議
まとめにおきましても、
学長
の業務執行状況について、
学長
選考
組織
や監事による恒常的な確認が必要であるという提言がなされておりまして、私どもとしては、この法律改正が成立した後に、施行通知等でその趣旨を徹底してまいりたいというふうに思います。 また、こうした仕組みが十分でない場合につきましては、
学長
の任命権者である
文部科学大臣
や
理事会
が
学長
を解任することも制度的には設けられております。
青木委員(青木愛)
241
○青木
委員
ありがとうございます。 それでは、
国立大学法人法
の改正の方に移らせていただきます。
国立大学
が担う
社会
的な役割、個々の
国立大学
のあり方について、いわば文部科学省主導で、各
大学
の強み、特色、
社会
的役割、これを整理するミッションの再定義が行われました。
国立大学
の機能強化に向けた取り組みを促すように、
国立大学
法人の
運営
費交付金の配分方法等についても抜本的な見直しが図られるというふうに伺っております。 今後の方針、見通しについてお伺いをいたします。
吉田政府参考人(吉田大輔)
242
○
吉田
政府参考人
文部科学省としましては、
平成
二十五年十一月に策定いたしました
国立大学
改革
プランを踏まえまして、
平成
二十七年度までの
改革
加速
期間
において、各
大学
の強みや特色、
社会
的役割を明確にするミッションの再定義を踏まえた機能強化に取り組む
大学
に対しまして、重点支援を行うこととしております。 また、
平成
二十八年度からスタートいたします第三期中期目標
期間
における
国立大学
法人
運営
費交付金や評価のあり方につきましては、
改革
加速
期間
中における各
大学
の機能強化への取り組みの成果をもとに、
平成
二十七年度中に検討をし、見直しを進めていく予定でございます。 具体的には、各
大学
が強みや特色、
社会
経済の変化や学術
研究
の進展を踏まえて、
教育研究
組織
や
学内
資源配分を恒常的に見直す環境を
運営
費交付金の配分方法等において生み出すこと、また、新たな
改革
の実現状況を、その取り組みに応じた方法で可視化、チェックし、その結果を予算配分に反映させるPDCAサイクルを確立すること、こういったものを目指しながら、ただいま検討を進めているところでございます。
青木委員(青木愛)
243
○青木
委員
最後の質問になりますが、先ほどの
参考人
質疑
の中でも、OECDの中で
日本
が、高等
教育
の予算が対GDP比〇・五%と、平均の一%以上の半分だということの御指摘がありまして、まずは予算をふやすことがこの
改革
の第一歩ではないかという御答弁をいただいたところでございます。 現在八十六校、
国立大学
がございまして、今後、総合
大学
、単科
大学
、さまざまございますが、全国的に均衡のとれた配置、
教育
の
機会
均等を保障するという
国立大学
のこれまでの趣旨、また、その政策の方針と逆行するのではないかという危惧を持つものでございますが、その点について下村大臣の御所見をいただければと思います。
下村国務大臣(下村博文)
244
○下村国務大臣
国立大学
は、全国的な高等
教育
の
機会
均等を確保するということについて重要な役割を担うこと、これは引き続き求められているところであります。こうした役割を果たすためにも、その有する機能強化、これを自主的、自律的に取り組んでいくことが必要であると考えます。 ミッションの再定義は、各
国立大学
がこうした機能強化に取り組むための出発点として、各
大学
の強みや特色、
社会
的役割を明らかにしつつ、
社会
の要請に応えていくために行われるものでありまして、従来の政策と異なるものであるという御指摘ではありません。 また、ミッションの再定義は、
大学
の自主的、自律的な取り組みを尊重しつつ、各
国立大学
と文部科学省が意思疎通の連携を行いつつ共同して行ったものでありまして、文科省のみの
判断
ということではありません。
青木委員(青木愛)
245
○青木
委員
ありがとうございます。
社会
的要請に応えていくためには、
大学
がより一層
社会
に開かれたものとなることが必要でありますが、今回のこの法律改正は大変大きな
改革
だというふうに思っておりまして、もっともっと国民世論も踏まえた十分な
審議
が必要であることも申し述べながら、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
小渕委員長(小渕優子)
246
○
小渕委員長
次に、
吉川元
君。
吉川(元)委員(吉川元)
247
○
吉川
(元)
委員
社会
民主党の
吉川元
です。 今回の
法改正
、どう考えましても、
教授会
が実際に担っている役割を縮小して、諮問機関化することに重点を置いているように思えてなりません。 きょう午前中に行われました
参考人
質疑
、
田中参考人
の方から、諸外国の
大学
改革
について
お話
を伺いました。いわゆる
リーダーシップ
を強める
改革
もあれば、あるいは分権を強める
改革
、欧米では両方行われているという
お話
がありました。 ただ、
リーダーシップ
を強めるという、欧米、
アメリカ
の方の
大学
の
改革
の中でも、今の
日本
の現行法よりもはるかに分権的な
大学
改革
になっております。その前がどうだったのかというのは詳しくはわかりませんが。ですから、今回
リーダーシップ
ということを言われておりますけれども、国際的に見るとかなり異質な、特異な
改革
なのではないかというふうにも思っておりますし、また、多くの
教育
関係者
の方から今回の
法案
について心配する声がたくさん上がっております。ぜひしっかりとした
審議
を保障していただくように、
委員長
の方にまずお願いをしたいというふうに思います。 まず最初にお伺いするのは、文科省から
国立大学
法人に異動、これは正確に何と読むのかわかりませんが、人によっては異動官職というような言い方もされている方もいらっしゃいますが、出向に近い形だと思いますが、この実情について少しお聞きしたいと思います。 さまざまなケースがあると思いますけれども、とりあえず、文科省から直接
国立大学
法人に異動している人の数、それから、
国立大学
法人で
採用
され、その後文科省に転任、移籍した後に、再び
国立大学
法人に異動している人の数、現在はどのような状況になっているのか、教えていただきたいと思います。
戸谷政府参考人(戸谷一夫)
248
○戸谷
政府参考人
平成
二十六年四月一日現在の数字で御報告させていただきたいと思いますが、
国立大学
法人の幹部職員、課長級以上ということでございますが、文部科学省から直接
国立大学
法人に異動している者、これは前職が文科省職員で、それから
国立大学
法人にそのまま異動している者ということでございますけれども、その数につきましては、八十六
大学
で二百三十九名でございます。 このうち、先生今御指摘のございました、
国立大学
法人で一旦
採用
された後、文部科学省の職員となりまして、そこからさらに
国立大学
法人にまた異動している者というものでございますが、先ほど申し上げました数の内数で申し上げますと、八十六
大学
に対しまして二百八名ということでございます。
吉川(元)委員(吉川元)
249
○
吉川
(元)
委員
それでは、引き続いてお聞きしますが、このように文科省から
国立大学
に異動している方、異動先の
国立大学
法人ではどのようなポストにつかれているんでしょうか。
戸谷政府参考人(戸谷一夫)
250
○戸谷
政府参考人
幹部職員ということで、先ほども申し上げましたように課長級以上ということでございますが、異動先のポストといたしましては、副
学長
、
理事
、あるいは事務局が置かれているところにつきましては事務局長、さらには総務部長、財務課長等々の、ある種いわゆる事務系の管理職ポスト、そういったものが多うございます。
吉川(元)委員(吉川元)
251
○
吉川
(元)
委員
非常にたくさんの方がいわゆる
大学
の主要な、副
学長
の方もいらっしゃるという
お話
ですけれども、ついておられる。 ある方に聞いたところ、現在は少し減っているということですけれども、以前は十五人近くの方がさまざまな形で、
理事
だとか事務局長あるいは部長というようなポストについていた。結果として、
大学
の
運営
の事務に精通したプロパーの職員の方が管理職になっていくポストがそもそももうなくなっているというようなことも伺っております。 異動という名称ですけれども、異動というか出向という形ですか。出向という名称ですけれども、これは形を変えた天下りなのではないか、特にキャリアの方についていえば天下りになるのではないかというふうに思いますが、これについては大臣の方に見解を伺いたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
下村国務大臣(下村博文)
252
○下村国務大臣 文部科学省職員が
国立大学
法人の
理事
や副
学長
などに出向することについては、任命権を有する各
国立大学
法人の
学長
からの要請に基づくものであります。また、文部科学省から推薦された職員を実際に
採用
するか否か、あるいはこれらの役職員を経営協議会
委員
などに指名するか否か、これは
学長
の
判断
によって行われております。 このように、文科省からの出向者の受け入れ及びその者の
学内
での活用については
学長
の
権限
と
責任
において行われておりまして、出向者は、
大学
の職員として、
学長
の指揮監督のもと職務を遂行するものであります。したがって、文科省からの出向に当たって、
大学
の
運営
に関し国の関与を強めるとか、
大学
の自主性を損なうとかいうことはないわけであります。
吉川(元)委員(吉川元)
253
○
吉川
(元)
委員
文科省から出向で出ていく現状について、非常に強い危惧を私は抱いております。 というのは、若いうちに
人事
交流のような形で実際の
大学
の現場の事務にかかわって、
大学運営
の実情を理解した上で、文科省に戻ってその経験を生かすというのであれば、これはあり得る話だろうと思います。ただ、
大学
側が求めているというふうに言いますけれども、それは
大学
と文科省の間の力関係も恐らく反映しているかというふうに思います。 今言ったような非常に枢要なポスト、
理事
だとか事務局長だとかあるいは副
学長
といった、そういう非常に重要なポストに文科省の役人、キャリアの方がつくということは、
大学
側から言われたにしても、結果的にいえば、文科省が
大学
法人の経営や
運営
に文科省の考えを、間接的といいますか、直接的と言ってもいいかもわかりませんが、反映させるということにつながっているのではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがですか。
戸谷政府参考人(戸谷一夫)
254
○戸谷
政府参考人
このような交流
人事
につきましては、文部科学省側といたしましては、
国立大学
法人の実際の業務等の知見を文部科学省の行政に反映させることができる、それから、
大学
側におきましても、例えば
国立大学
協会におきましては、
国立大学
法人の幹部職員の
人事
交流によりましてさらに幹部職員の知見を高めていくということの意義が言われておりまして、そういった事柄につきましても、
人事
交流のルールの
一つ
ということで定められているということでございます。 ただ、いずれにいたしましても、先ほど大臣が申し上げましたように、
大学
側からの要請に基づきまして、文部科学省といたしましてはその要請を踏まえた適切な者を推薦するということでございまして、最終的には
学長
の御
判断
によりまして、私どもの職員も
大学
側で活躍させていただいているということでございます。
吉川(元)委員(吉川元)
255
○
吉川
(元)
委員
都合がいいところでは、
学長
が最終的に
判断
をしているとか学校側からの要請があるというふうに言って、他方で、
教授会
との関係においては、
教授会
がいろいろなことをやっている、勝手にやっていると。法的には、
学長
の方に、法文上は現行法でもそうなっているにもかかわらず、実態がそうなっていないから今回の
法改正
をするんだ、非常に都合のよい使い方をされているというふうにしか思えません。 今回、
法改正
でいいますと、これはまた時間があればより詳しく、後ほど、次回にでもやりたいと思いますけれども、副
学長
について、これまでは「
学長
の職務を助ける。」というふうになっております。ところが今回は、「
学長
を助け、命を受けて校務をつかさどる。」というふうなところまでになっております。 ちょっとお伺いするんですが、これまで文科省の方から副
学長
になった方がいらっしゃるというふうに言われましたけれども、今度、新しく、副
学長
はこれまで以上に大きな
権限
を、実際にはもう、例えば
学長
がいない場合であるだとか、あるいは海外に出張する場合であるとか、あるいは
学長
から依頼をされた場合には、校務をつかさどるという、ナンバーツーでありますけれども、事実上の実際の校務をつかさどるわけですから、この副
学長
についてまさか文部科学省の役人の方が天下るというようなことは、天下るといいますか出向されるというようなことはないんでしょうか。
戸谷政府参考人(戸谷一夫)
256
○戸谷
政府参考人
今先生御指摘の副
学長
でございますけれども、現時点におきましても、文部科学省から副
学長
に出向している職員につきましては二十六名おります。これは、
国立大学
全体の副
学長
が今四百九十五名おりまして、その中での五・三%ということでございます。 最前来の繰り返しで大変恐縮でございますけれども、やはり、副
学長
につきましても、各
学長
からの要請があって、適任と思われる者がいて、さらにそれを、副
学長
がその人が適切だということで
判断
があれば、このことにつきましては、今回の
法改正
後においても同様の推薦を文部科学省の方からまた行わせていただくということはあり得るというふうに考えております。
吉川(元)委員(吉川元)
257
○
吉川
(元)
委員
やはり、文科省からの天下り先を新たに
権限
を強化してつくったというふうにしか私自身は思えないんですが、ちょっとこの問題についてはまた次回、時間があれば少し
お話
を聞きたいと思います。 続いて、
教授会
の役割等々について少し質問させていただきます。
学校教育法
の改正、とりわけ
教授会
と
大学
経営に関する
事項
についての質問でありますけれども、二月に取りまとめられました中教審の
審議
まとめ、「
大学
の
ガバナンス改革
の推進について」では、「
大学
の意思決定
過程
を外部から見た場合、
権限
と
責任
の所在が不明確ではないか、
大学
として意思決定するまでに時間がかかり過ぎるのではないか、といった疑問が、
社会
の各方面から寄せられ」ている、だから
学長
の
リーダーシップ
発揮が期待されている、そういうふうに出ております。
理事会
や
理事
長が暴走して学校の
運営
に大きな支障をもたらした事例というのは、これは当
委員会
でも少し議論させていただきましたが、堀越学園という顕著な例がございます。そういう事例は、逆の事例はわかるんですけれども、しかし、
権限
と
責任
の所在が不明確なゆえに学校
運営
が抜き差しならない事態になっている事例は、余り耳にしたことがありません。
審議
まとめでは各方面と言いましたので、それをよく見ますとそのところに注意書きがあって、どうやって書いてあるかというと、経済同友会からこういう
お話
があったというふうに出ておりますが、一体それ以外にどういったところからこのような指摘がされているのか。 それから、あわせまして、前回の当
委員会
で、
吉田
局長の方から、
教授会
が、
大学
の経営に関する
事項
まで広範に
審議
しており、実質的に決定機関として運用されているなど、
学長
による
大学
改革
の取り組みを阻害している場合もあると指摘されている、そういうふうに答弁されております。これも今の質問と同じですが、どのような案件で、どのような
改革
が阻害されているのか、また、指摘されているのはどのような方なのか、具体的にお答えください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
258
○
吉田
政府参考人
お答えいたします。
教授会
を初めとした
大学運営
における
権限
と
責任
の問題については、
教授会
の
審議
事項
が
大学
の経営に関する
事項
まで広範に及んでおり、
学長
の
リーダーシップ
を阻害しているとの指摘がある、また、
教授会
は、法律上
審議
機関として位置づけられており、
審議
結果に対して直接
責任
を負わないものとされているにもかかわらず、事実上議決機関として意思決定を行っている場合も多いなどの
課題
が、
中央教育審議会大学分科会
の
審議
まとめにおいて指摘をされているところでございます。 この分科会におきましては、国公私立の
大学
関係者
はもとより、経済界出身の
委員
あるいは弁護士、公認会計士など、さまざまな階層に属する有識者に御参加いただきながら議論を行ってきたところでございまして、その
審議
まとめの内容は、参加していただきました有識者の方々の総意が反映されたものというふうにお考えいただきたいと思います。 この分科会の議論におきましては、必ずしも個々の事例について取り上げて議論したわけでもございませんが、各有識者の経験や知見を踏まえた現状認識として
教授会
の問題点が指摘されたわけでございまして、それを踏まえて取りまとめに至ったものでございます。
吉川(元)委員(吉川元)
259
○
吉川
(元)
委員
ちょっと具体的に言ってください。そこの
委員
の総意だと言いますけれども、どういう事実に基づいてそういうことを指摘して、それはもちろんまとめですからあれですけれども、この
委員
の皆さんの中でこういう議論になったというのはいいんですけれども、具体的な事例をちょっと言ってみてください。
吉田政府参考人(吉田大輔)
260
○
吉田
政府参考人
この
審議
の
過程
では、文部科学省におきまして、全ての
大学
、
学部
を対象にした調査も行いました。 その中で、さまざまな
事項
について
教授会
に決定
権限
があるというふうに回答を得たものがございます。 例えば、
学内
規程の制定、改廃に関することにつきましては三七%の
大学
において、また、
学部
長や
研究科
長等の選任に関することについては三七%、予算の配分、執行に関することについては三三%、
組織
の編制に関しては一九%というような数値が上がってきております。 また、具体的な事例ということになりますと、
教授会
が反対したことで
学長
による
大学
経営が阻害された事例としては、具体的には、キャンパスの移転計画や
組織
再編が
教授会
の反対によって実現できなかったり、実現までに非常に長い時間を要した事例ですとか、あるいは、
学長
が希望する副
学長
や
学部
長の
人事
が
教授会
の反対により実現できなかった事例、こういったものが議論の俎上には上がってきたということでございます。
吉川(元)委員(吉川元)
261
○
吉川
(元)
委員
そうしますと、今ほど、
大学
の移転について
教授会
が反対をして進まなかったという
お話
がありました。これは鈴木
委員
から先ほど質問があったと思いますけれども、
大学
の移転に関しては、九十三条の二項の三号の、ここに書いてある「重要な
事項
」に当たるというふうに答弁されておりましたが、それは間違いないですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
262
○
吉田
政府参考人
それは先ほど答弁したとおりでございます。
吉川(元)委員(吉川元)
263
○
吉川
(元)
委員
つまり、「
教育研究
に関する重要な
事項
」に当たるものに
教授会
が
意見
を言うというのは、これはごくごく当たり前の話なんじゃないんですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
264
○
吉田
政府参考人
意見
を述べるというのは、これは当然のことだと思いますが、結局、そのことについて最終的な決定権がどこにあるのか、そこのところが今回の法律改正の主眼でございます。
吉川(元)委員(吉川元)
265
○
吉川
(元)
委員
では今の
お話
に関連して、少し方向を変えてお伺いします。 先ほど、これは青木
委員
の質問に対してだと思いますけれども、九十三条二項三号と三項の関係について
お話
がございました。その際に、この
二つ
については、そこで行われる具体的な
事項
に関しては重ならないというふうに答弁をされておられましたが、これは間違いないですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
266
○
吉田
政府参考人
そのように答弁いたしました。
吉川(元)委員(吉川元)
267
○
吉川
(元)
委員
だとすれば、局長自身、
大学
の移転に関しては「
教育研究
に関する重要な
事項
」であるとしながら、ここに書かれているのは、
学長
が
教授会
の
意見
を聞くことが必要であると認めた場合というふうになっております。 今ほども言ったとおり、
学長
と
教授会
で
意見
が
対立
した場合に、
学長
は当然、「
教育研究
に関する重要な
事項
」である
大学
移転に関して、
教授会
に全く諮らないということは可能なんですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
268
○
吉田
政府参考人
「
教育研究
に関する重要な
事項
」という中には、
学部
の移転ですとかキャンパスの移転ですとかということは、これは入り得ると思います。 ただ、三号の方は、あくまでもそこの
判断
権を
学長
に委ねているという部分がございますので、先ほどの議論をまた繰り返しますけれども、
学長
が認めるものに含まれていない場合となれば、
教授会
に諮らなくても違法ではないということを先ほども申し上げたところでございます。
吉川(元)委員(吉川元)
269
○
吉川
(元)
委員
ちょっとわかりにくいんですけれども、つまり、九十三条二項第三号、ここでは、「
教育研究
に関する重要な
事項
」、これは
大学
の移転は入ると答弁されました。先ほども言ったとおり、
対立
をしているわけですから、当然
学長
側は、
教授会
に諮ったって
教授会
は反対するんだからもう諮らないというふうになることは十分考えられるわけです。 ところがもう
一つ
、局長が答弁されたのは、三項は二項三号とは重ならないと言ったんです、先ほどの答弁で。重ならないという答弁をされています。重なるんですかというふうな質問に対して、二項三号と三項の
事項
については重ならないという答弁をしています。 とすると、移転に関して
教授会
は一切どこでも
審議
ができないということにならないですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
270
○
吉田
政府参考人
キャンパスの移転という
重要事項
については、本来的には二項三号の「重要な
事項
」ということだ、こう思います。 ただ、そこのところで、仮に
学長
がその
事項
として取り上げなかった場合におきましても、三項の方は、これは、それ以外のことに関しまして、「
教育研究
に関する
事項
」について
審議
することはできますので、その中に入ってくるということは十分考えられると思います。
吉川(元)委員(吉川元)
271
○
吉川
(元)
委員
そうしますと、二項三号に基づいて
学長
が
意見
を聞く必要があると認めなかった場合には、自動的にその他の項目は全部この第三項の方に移っていくということの認識でいいんですか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
272
○
吉田
政府参考人
三項の方につきましては特に制限はございませんので、三項の
世界
で「
教育研究
に関する
事項
」について
教授会
は
審議
をするということについては、広範に認められるものだと思います。
吉川(元)委員(吉川元)
273
○
吉川
(元)
委員
ちょっと、非常にわかりづらい中身でありますし、またこれも次回以降少し
質疑
させていただければというふうに思います。 時間がもう余りないので、次に、お手元にお配りの資料に基づいて少し質問させていただきたいと思います。 これは、昨年九月の二十五日、中教審
大学
分科会の第三回
組織運営部会
に文科省自身が提出された資料です。一枚目は、私立
大学
の意思決定について、
理事
長、
理事会
、
学長
、
教授会
等々のうちどの機関が強い影響力を行使しているかを示したものです。 このうち
教授会
は、教学計画で四四%という数字になっています。これは、
教育研究
を進める上で教学計画は切っても切れない関係ですから、高い数字が出るのは当然なんだろうというふうに思います。 ところが、問題なのは、施設計画あるいは財務計画です。
教授会
は、施設計画についてはわずか一%しか強い影響を与えていない。そして、財務計画については、何とこれは〇%。要するに、施設や財務という経営に関する
事項
で
教授会
が影響力を行使していない、あるいは行使できない状況になっているのではないんですか。
学長
の
リーダーシップ
を発揮させる、そのためには、経営に口出しをしている
教授会
が関与してはだめだということが立法事実のはずですけれども、そのような事実は、これは文科省自身が出されたアンケートですけれども、表ですけれども、ここからは全く読み取れないんですけれども、どういうことでしょうか。
吉田政府参考人(吉田大輔)
274
○
吉田
政府参考人
御指摘の資料は、私立
大学
を設置する学校法人を対象として、
学内
の意思決定について最も影響力の強い機関を尋ねるアンケート調査の結果でございます。 この調査では、
委員
御指摘のように、施設計画、財務計画については
理事会
が最も影響力が強い機関として挙げられております。一方、教学計画につきましては、
委員
御指摘のように、
教授会
が四四%という形になっておりますけれども、ここでの教学計画には、
組織
再編や定員等の経営に関する
事項
も含まれるということでございまして、そういったものについての意思決定への影響が最も強い機関として
教授会
が挙がってきているわけでございますから、
審議
機関である
教授会
が経営に関する
事項
に強く関与しているという事実が上がってこようかと思います。 また、国公私立
大学
を対象といたしました私どもの調査においても、予算に関する
事項
や
学内
規程の制定、改廃に関する事柄についても
教授会
において
審議
、決定をされている実態が見られるということで、これは先ほど少し数値を挙げて御
紹介
させていただいたところでございます。 さらに、一部の
大学
におきましては、キャンパスの移転や
組織
再編など、
大学
全体の経営に関するような
事項
まで
審議
されている実態が指摘をされているということでございまして、今回、そういった事柄につきまして
学長
と
教授会
の関係の明確化を図ろうという
法改正
をお願いしているところでございます。
吉川(元)委員(吉川元)
275
○
吉川
(元)
委員
もう時間が来ましたので終わりますけれども、先ほど四四%の中には経営に関する
事項
も含まれている云々と言われましたが、
審議
まとめの中にこう書いてあります。「もっとも、
大学
の目的が
教育研究
そのものにあることから、
教育研究
に関する
事項
と経営に関する
事項
を明確に分けることは困難な面がある。」そういうふうに書いてあるわけですよ。なぜそれを、これを持ってきてそのような話になるのかというのは私は全く理解ができません。 もう時間が来ましたのでこれで終わりますが、慎重
審議
を何とぞよろしくお願いいたします。
小渕委員長(小渕優子)
276
○
小渕委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二分散会