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越参考人 本日は、このような場でお話をする
機会を与えていただき、ありがとうございます。
本来、内々に
大津市の御
遺族にもお
声がけをいただいておりましたが、御
遺族から、私の方で御
遺族の声を代弁してほしいということで、本日、私がここに伺わせていただきました。
きょうは、御
遺族も
傍聴席に来られて、私が
意見を述べるのを聞いていただいております。
御
遺族と私は、異なる
立場ではありますけれども、
大津市の事件、そして
大津市の
教育委員会の問題にともに携わってきた者として、また戦ってきた者として、同じ見解を有しております。すなわち、現在の
教育委員会を廃止して、
首長を
教育行政の
執行機関にするべきだと
考えております。
本日は、御
遺族からお手紙や
意見書をお預かりしてきました。
意見書については、御
遺族は全ての国
会議員の方に既にお送りになられていますので、またぜひごらんいただければと思います。
お手紙については、今回、この
委員会に
提出することが認められませんでしたので、私の方で
幾つか読ませていただきたい、代読をさせていただきたいと思います。
今回、私と
意見を同じくする
大津市の越
市長に代読をお願いいたします。
大津いじめ事件は、単なる人の問題ではありません。
制度の問題です。つまり、
教育委員会制度の
制度的な問題、構造的な欠陥が引き起こした事件だということです。
大津で
教育長が暴走し、いじめの
実態を隠蔽したのみならず、
遺族に
責任を押しつけたのも、
制度がそれを許したからです。
教育長の暴走が許され、しかも
保護者に
責任転嫁もできる、そんな
教育委員会制度に、欠陥がない、
システムに異常がないとどうして言えるのでしょうか。
学校や
教育委員会を外部からチェックできる
機能が今の
制度にはないことが問題です。
学校や
教育委員会が可視化される
制度をつくらなければ、独善的な
教育行政をしていても、それを知るゆえは
保護者にはないのです。
大津いじめ事件では、息子が亡くなった後、真相究明をするために、
学校、
教育委員会に対して、いじめの認識はなかったのか、もっと
調査を継続してほしいと訴えましたが、聞き入れられず、滋賀県警の強制捜査に入るまで、それら
学校内部で起きていた事実を明らかにする手だてはありませんでした。そして、
教育委員会に対して
首長が第三者
調査委員会の
調査を入れることで、やっと暴走にブレーキをかけることができました。
全国各地で問題となっている
教育委員会の隠蔽体質を改めさせるためには、
首長に十分な指導監督
権限を与え、そして、不都合な真実を
教育委員会がひた隠しにすることができないようにすることが必要なのです。可視化させる
制度改正が必要なのです。
御
遺族はこのように述べられています。
私と御
遺族は同じ
考えでおります。
今回、私から資料を配らせていただいておりますので、一枚のパワーポイントの資料に従って、御
遺族の御見解、お気持ちも踏まえて、私の方から、今の
制度の何が問題なのかということをお話しできればと思います。
まず、今の
教育委員会制度において、問題だと
考えられることが大きく二つあります。
一つは、
責任と
権限の所在がばらばらであること、そしてもう
一つが、
民意の反映、市民の
意見が十分に
教育行政に反映されない
制度になっていることがあります。
そのため、
教育委員会をなくして、選挙で選ばれた
首長が、市民の
意見を反映して、市民目線での
教育行政を行っていくべきだと
考えています。
まず、
責任と
権限がばらばらだということについては、特に
大津市のような中核市では三つございます。
まず
一つは、
教育委員会の中で
教育長と
教育委員長がいるということ。そして二点目が、これが一番問題ですけれども、
首長、
市長と
教育委員会の間で
権限と
責任がばらばらである。そして三点目が、県の
教育委員会、市の
教育委員会の間でも
責任と
権限がばらばらになっている。この三点がございます。
まず、一点目の、
教育委員会の中で
責任と
権限がばらばらになっている、これは、このたびの
政府案の
制度改正でも
改正されるところであります。
しかし、現状は、
教育委員会の中でも、非常勤の
教育委員長ではなくて、常勤の
教育長が
教育委員会をコントロールしているというのが
実態であります。したがって、これは現状追認にすぎないと言えます。
しかし、一番の問題は、
政府案では、
責任を明確化するということが目的であるにもかかわらず、一番大事な
首長と
教育委員会の
責任の分配、ここに手がつけられていないということであります。
私は、平成二十三年十月十一日に
大津市立の中
学校二年生がみずから命を絶たれて、そして、その次の平成二十四年一月に
市長になりました。
そして、二月に御
遺族が訴訟を提起され、七月に、大きなニュースとなり、県警の捜査が
学校や
教育委員会に入りました。そして、私は、県警が押収した段ボール箱十何箱という資料を、県警からコピーをもらいました。
そして、それを
市長部局で検討したところ、いじめの問題というのは、それまで
教育委員会の問題ですけれども、訴訟が起こされれば、
教育委員会を被告にすることはできない、
市長が被告になります。そういった
意味で、最終的に
権限を負うのは
市長です。その
市長に対して、
教育委員会はほとんど、県警で押収されたその資料というものを
市長にも
提出していませんでした。もちろん、御
遺族にも開示をしていませんでした。
そこで、私は、
教育委員会ではなくて、
市長のもとでもう一度
調査をやり直す必要があるだろうということで、第三者
調査委員会を立ち上げて
調査を行いました。そして、それまで明らかになっていなかった事実が明らかになりました。
このように、
教育委員会は、最終的に、今、
責任をとらないという
体制になっています。そしてまた、世論また市民の
意見というのも、選挙で選ばれる
首長とは違って、
教育委員会には届きにくい
体制になっています。これが、私は、
大津市の
教育委員会が批判された隠蔽体質を生んでいる、無
責任体制を生んでいる
制度的な要因だと思っています。
もちろん、
大津市の
教育委員会は当然悪いです。これは
大津市
教育委員会の問題でもあります。しかし、いじめの
法律が成立した後も、
全国いろいろなところで同じ問題が起こっています。アンケートを開示しない、
調査をしない、また、第三者
調査委員会を立ち上げても公平な人選がなされない。
御
遺族は今、このことについて、ほかの自治体でもさまざまな活動をされています。こういった
実態は、
大津市だけではなくてほかの自治体でも続いている。これはもはや
大津市だけの問題ではなくて
制度の問題である、そのように
考えています。
また、市の
教育委員会、県の
教育委員会、これは今回論点が少し違いますけれども、処分
権限、人事権が県の
教育委員会にあるということがございます。
これも私の経験に沿って申し上げますと、私は、この
大津のいじめの事件で大変多くの御批判を私自身受けました。そういった中で、秘書課に寄せられた電話だけでも百三十七件ほど、私に対して、
市長に対して、当該中
学校の
校長を処分すべきだ、担任を処分すべきだ、また、
教育長を処分すべきだ、そういう
意見が電話だけでも百三十七件寄せられました。
しかし、まず、
教育長を処分する
権限もありません。また、
教育委員会事務局を処分する
権限もありません。そして、
校長やまた担任を処分する
権限もありません。
特に、
校長や担任は、
大津市の
教育委員会でもなく、滋賀県の
教育委員会が処分することになります。しかし、市民の皆さんの意識としては、
大津市立の中
学校なんだから
市長が
校長を処分するだろう、
市長が何とかするべきだろう、そういう御批判また御期待が選挙で選ばれた私に寄せられていたと感じております。
最後に、
民意の反映ということについて少し述べさせていただきます。
こちらについては、いじめの事件を離れても、私は、もっと市民の
意見をその
地方自治体の
教育行政に反映すべきだ、そして、市民の
意見を聞くのは選挙であると
考えています。
地方で問題になっている、
大津市でも実際に問題になっている、
学校選択制をするのか、また中
学校で給食をするのか、そういった問題について、しっかりと市民の
意見を選挙で選ばれた
首長を通じて反映していくべきだと
考えております。
そういった中で、
政治的中立性ということが言われます。しかし、国との関係において、私は、これは矛盾がある、おかしいと思っています。国においては、今も下村大臣という立派な大臣、そして政治家が大臣をやっていらっしゃいます。なぜ
地方だけ政治家が
教育行政にかかわることができないのか。
さらに申し上げると、
地方の
教育、特に小中
学校の
教育は、指導要領で何を教えるかということが決められています。もし
政治的中立性が求められるとすれば、何を教えるか、それが一番大事です。しかし、それは国で政治家が決めています。一方で、
地方で、
大津市で勝手に、
大津市はもう国語しか教えません、そういうことはできません。教える
内容は決まっている範囲で、市民の
意見をもっともっと
地方の
教育行政に反映していくべきだと
考えております。
また、こういった
政治的中立性、それを担保するための手段として、例えば教科書選定については
地方でも独立の
委員会を設ける、また
地方にある
教育振興基本計画等で継続性を担保する、そのような手段もあると
考えております。
したがいまして、
教育委員会制度については廃止をして、
首長が
地方の
教育行政を行うべきだ、これが私の
意見であり、また
大津市のいじめ事件の御
遺族の
意見であります。
以上でございます。(
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