運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
2014-05-07 第186回国会 衆議院 文部科学委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
平成二十六年五月七日(水曜日) 午後一時
開議
出席委員
委員長
小渕
優子君
理事
中根 一幸君
理事
丹羽
秀樹
君
理事
萩生田光一
君
理事
山本ともひろ君
理事
義家
弘介
君
理事
笠
浩史
君
理事
鈴木 望君
理事
稲津 久君 青山 周平君 池田 佳隆君
小此木八郎
君 神山 佐市君
菅野さちこ
君 木内 均君 工藤 彰三君 熊田 裕通君 小林 茂樹君
桜井
宏君 新開 裕司君
冨岡
勉君 永岡 桂子君 野中 厚君 馳 浩君
比嘉奈津美
君
福山
守君
牧島かれん
君 宮内
秀樹
君 宮川 典子君
村井
英樹
君
菊田真紀子
君 細野
豪志君
吉田 泉君 遠藤 敬君 椎木 保君 三宅 博君 中野
洋昌
君 柏倉 祐司君 井出
庸生
君 宮本 岳志君 青木 愛君 吉川 元君 山口 壯君 …………………………………
文部科学大臣政務官
冨岡
勉君
参考人
(
奈良学園大学学長
) (
学校法人奈良学園理事
) (
学校法人聖ウルスラ学院理事長
)
梶田
叡一君
参考人
(
NPO法人地方自立政策研究所理事長
) (元
埼玉
県
志木市長
)
穂坂
邦夫
君
参考人
(
名古屋大学大学院教授
)
中嶋
哲彦
君
文部科学委員会専門員
久留 正敏君
—————————————
委員
の異動 五月七日
辞任
補欠選任
菅野さちこ
君
福山
守君
桜井
宏君
牧島かれん
君 同日
辞任
補欠選任
福山
守君
菅野さちこ
君
牧島かれん
君
村井
英樹
君 同日
辞任
補欠選任
村井
英樹
君
桜井
宏君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
地方教育行政
の
組織
及び
運営
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第七六号)
地方教育行政
の
組織
の
改革
による
地方教育行政
の適正な
運営
の
確保
に関する
法律案
(
笠浩史
君外三名
提出
、
衆法
第一六号) ————◇—————
小渕優子
1
○
小渕委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
地方教育行政
の
組織
及び
運営
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
及び
笠浩史
君外三名
提出
、
地方教育行政
の
組織
の
改革
による
地方教育行政
の適正な
運営
の
確保
に関する
法律案
の両案を一括して議題といたします。 本日は、両
案審査
のため、
参考人
として、
奈良学園大学学長
、
学校法人奈良学園理事
、
学校法人聖ウルスラ学院理事長梶田叡
一君、
NPO法人地方自立政策研究所理事長
、元
埼玉
県
志木市長穂坂邦夫
君及び
名古屋大学大学院教授中嶋哲彦
君、以上三名の方々に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
をいただき、まことにありがとうございます。両案につきまして、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
をお聞かせいただき、
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
参考人各位
から一人十分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、御
発言
の際はその都度
委員長
の許可を得て御
発言
くださいますようお願いいたします。また、
参考人
から
委員
に対して
質疑
をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御了承ください。 それでは、まず
梶田参考人
にお願いいたします。
梶田叡一
2
○
梶田参考人
失礼いたします。 私は、以下の三点が非常に大事だし、そういう
方向
で
地教行法
の
改正
、審議していただきたいなということで、まず私の
立場
を申し上げておきたいと思います。
一つ
は、
地方教育行政
、これを
責任
を持って推進する主体は
合議制執行機関
である
教育委員会
、こういうことでやっていただきたい、これが第一点であります。 二点目は、これを効率よくといいますか、やはり
責任
の体制がはっきりするような形でやっていただくために、従来の
教育委員長
と
教育長
、これを一緒にして新しい
教育長
を置く、これは非常にいいことではないかというふうに思います。これが二点目であります。 三点目は、
総合教育会議
という
提案
、これは
首長
さんとそれから
教育委員会
の相互の連携を強める、これも私は非常にいいことじゃないかな、
基本
的にはですよ、後でちょっと
幾つ
か申し上げますけれども、と思っております。 この三点に
基本
的に
賛成
だという
立場
で
お話
をいたしますが、私、二十年ぐらい前に、私が今住んでおります
大阪北部
の箕面市というところの
教育委員
を二期八年やりました。
教育委員長
もやりました。こういうこともありますし、それから最近でいいますと、兵庫県と
大阪
府の
教育振興基本計画
、これを
策定
する
委員会
、
大阪
の場合は途中から
審議会
ということになりました、それの
委員長
、会長をやらせていただいて、
教育委員会
と
首長
さん、
教育振興基本計画
の場合は、やはり
都道府県
の場合、知事さんの御
意向
も伺いながら、それから、
教育長
さんを初めとして
教育委員
の御
意向
も伺いながらまとめていかなきゃいけない。十年の
見通し
の中で五年の具体的な
計画
をつくっていく、こういうこともやらせていただきましたので、そういうことを
背景
にしまして、今のような三点、非常にいいんじゃないかなと思っております。 この理由ですけれども、私は、この
地方教育行政
、
二つ
大きな原則があると思っております。
一つ
は、
政治的中立性
、
継続性
、
安定性
と言われてきたもの、これが
一つ
。もう
一つ
は、その
地域地域
の
特徴
をどうやって
教育
に反映させていくか。例えば、今の一番新しい
学習指導要領
でも、国で
義務教育
あるいは
高等学校
の、あるいは幼稚園もですが、中身の大筋は決めておりますが、やはり、
地域地域
で
工夫
できる余地を大幅にふやしております。これは両方大事だなと思っております。 この
二つ
ということを申し上げますが、特に私は
皆さん
に申し上げたいのは、
政治的中立性
、
継続性
、
安定性
という話です。
教育
というのは、ほかの
行政
と若干違うところがあります。
相手
が
子供
だということです。ということはどういうことか。一方的に
一つ
のことを教え込んで、インドクトリネーションといいますけれども、そうしたら、それで頭が固まってしまうことだってあるわけですよ、小さいときの
考え方
。やはり、小さいときから柔軟な、多様なそういう見方、
考え方
を養っていかなきゃいけない。 そして、この
子供たち
が大きくなったときに、
自分
の
責任
で判断して、そしていろいろな
選択
をする。例えば
政治
的な
選択
もする。これがなきゃいけないんですけれども、ほとんどの
首長
さんは大丈夫だと思いますけれども、
制度
というのは、とんでもない人が出たときにも歯どめになるようなことを
考え
なきゃいけませんので、このとんでもないことというのはどういうことが
考え
られるかといいますと、やはり、
自分
が属する
政治的党派
が多数を占める
方向
で一方的に何か教え込むというようなことがあっちゃいけない。ですから、
首長
さんはかかわっていただいていいんですけれども、本当にここは慎重に慎重にかかわってもらわぬといかぬわけです。 もう
一つ
は、
子供
が大きくなっていって、
自分
の
考え方
をつくっていくというのは時間がかかるんですよ。
首長
さんが四年で、あるいは八年で、あるいは長い人は十二年になるかもしれませんけれども、おやめになるとしても、その間、
子供たち
はずっと
自分
なりに
考え
をつくっていかなきゃいけない。そのときに、例えば
首長
さんが四年ごとにかわったらどうなるのか、全く違う
考え方
を
学校
で言われたらどうなるのか、これも困るわけです。これが
継続性
、
安定性
ということになります。
教育
ということがほかの
行政分野
とは若干違う。つまり、非常に
柔軟性
のある
子供
というものを
相手
にしているということ、そして、それが時間をかけて成長、発達するということ、そしてもう
一つ
言いますと、この
子供たち
が次の
時代
のいわば
主権者
になるわけですよ。
選択
するわけですよ。ここで、
子供
の
時代
に偏った
考え方
を教え込まれてしまったらとんでもないことになる。これは、私は、本当にいつでも頭の中に置いていただかなきゃいけないと思います。 ただ、こういうことを大前提にしながら、しかし、先ほどの三点はいいと思いますけれども、例えば新しい
教育長
、これは
権限
が非常に強くなります。これを任免するということを
首長
さんが直接にということになっております。これは
議会
の同意を得るということになっております。しかし、ここにもう
一つ
何か要るんじゃないか。
地方
の
政治
というのは
二元代表制
なんです。
首長
さんと
議会
が、両方が同じように
責任
を持ってやらなきゃいけない。
首長
さんの
提案
をそのままうのみにするような
人事
じゃ困るので、例えばアメリカなんかでありますように、新しい
教育長
の候補は
議会
で所信を表明して、
質疑
を受けて、その上で同意するかどうか
議会
で決めるとか、特に罷免の場合などは、やはり
議会
の方で
首長
さん側からの御主張も当然聞きながら、今度は、罷免されるということになっている
教育長
さんの弁明の場もなきゃいけないんじゃないか。そうしないと、
教育長
が
首長
さんの言うなりになっちゃうわけですよ。これが
一つ
。 もう
一つ
は
総合教育会議
。
首長
さんは
大綱
を決めるべくイニシアチブをとられるというのは、私はいいと思うんです。これはとってもいいんだけれども、余り細かいところに入り込み過ぎると、例えば、
教育
の内容あるいは
人事
、あるいは、
地域
のいろいろな文化的あるいは
教育
的なイベントというような細かいところへ入り過ぎますと、さっき申し上げたような、そういう狭い
意味
での
首長
さんの
政治色
が出過ぎることになります。ですから、ここは慎重に
考え
てもらわなきゃいけない。 それから、もう
一つ総合教育会議
ということで私がお願いしたいのは、国に
教育振興基本計画
ができております。これとの
整合性
をやはり
考え
てもらわなきゃいけない。同時に、
都道府県
あるいは
市町村
でも
教育振興基本計画
をつくっております。十年の
見通し
の中で五年どうするか、これは、
首長
さんが交代してもこれで行こうということで
有識者会議
で決めていくわけですよ。こういう
大綱
との
関係
を十分に
考え
ていただいた上で、しかし、
自分
の任期中にこういう
地域
の
特徴
を生かした
教育
をやりたいという、これは大胆に打ち出してもらったらいいんじゃないか。 こういう慎重な慎重な慎重な姿勢で、三点の私が
賛成
だと申し上げたようなことを
制度
化していただけたら、そういうふうに思っております。(
拍手
)
小渕優子
3
○
小渕委員長
ありがとうございました。 次に、
穂坂参考人
にお願いいたします。
穂坂邦夫
4
○
穂坂参考人
私は、
現場
の
立場
から
意見
を述べさせていただきたい、こう思っています。 履歴は、若干配付をしましたが、私は、県の
職員
、市の
職員
、
市会議員
、
県会議員
、
市長
というふうに、ずっと
地方
を一回りしてきました。その経験から、今の
教育委員会
が、どこが
欠陥
があるのか、あるいはどうすればよくなるのか、常にいろいろな
意味
で挑戦をしてきたつもりです。
教育委員会
とも話し合って、それがいいか悪いかは別として、四十人
学級
を下回る二十五人
程度学級
や
ホームスタディー制度
等々を初めて日本でもやりました。 そういういろいろ経験した中で、
幾つ
か
皆さん
に私の
考え方
を述べさせていただきたいと思います。 まず一点でありますが、多分いろいろな
改革
、今度はありますが、一番やはり心を砕いているといいますか大事だなと思うのは、
現場
における
政治的中立性
をどうするか、この問題だと思います。この
政治的中立性
を担保するためにいろいろな
意味
で御苦労されて、ある
意味
では曖昧なままでおかないとどうも難しい、こういう難しさがそこにつきまとっている、こんなふうに思っています。しかし、この
政治的中立性
は私は担保する必要がある、こう思っています。
二つ目
なんですが、それにはやはり
役割分担
を明確にする必要があります。例えば、国と
都道府県
と
市町村
の
役割
をどうすべきか、あるいは、今度は
首長
と
教育長
、要するに
教育委員会
との
関係
をどうすべきか。
役割分担
が不明確でありますと、いつまでたっても
実態
的には変わらない、こう思っています。 それからもう
一つ
、あえてつけ加えておくべきは、
地方
の
自主性
、
先生方
の
創意工夫
、こういうものをしっかり担保しなければこれもいけないと思っています。
公立
は私学と違いまして、
皆さん
御
承知
のように、まさに異質な
集団
です。私立は一定の試験等々を受けてきますから、同質の
集団
、こう言っても過言ではないと思うんですが、
公立
の場合には非常に異質な
集団
でありますから、これに対応するには、
現場
の
創意
や
工夫
が必要だというふうに思っています。 そこから今度は若干具体的に
お話
を申し上げたいと思うんですが、まず、
現行
における
欠陥
です。 これはもう御
承知
のように、
首長
が
実態
的にはもう
支配者
なんですね。私は、
市長
をやってそう感じております。もちろん、だからといって独走したわけではありませんが、例えば
予算査定
なんかありますと、
幾ら教育長
といっても、
法令
ではいろいろありますが、現実的には各部の部長さんと同じです。これこれこれこれを来年度したいんですけれどもよろしいですか、いや、これはちょっと待ってもらいたい、これはちょっといいんじゃないですかというような調子で、
土木部
とか
総務部
とか
教育委員会
、名前は
法令
ではいろいろありますが、
実態
的には
首長
が
支配
しているにもかかわらず、こういうふうなきちんとした
法令
になってくると、まさに
首長
はそこから除外をされている、ある
意味
では
政治責任
が全くない、こういうことになりますから、どうしても
制度
的な建前と
実態
が乖離をする。 よく
市民
からこういうことを聞かれました。
教育行政
というのは誰が
責任者
なんですか。今度もそう変わらないと思うんですが、
教育委員会
という
機関
が
責任者
だとよく答えました。おかしいんじゃないですか、あなたも随分
市長
になるときにはいろいろ公約をして出てきたじゃないですか、らち外の人がそんな
教育
の
理想論
を述べたり、これは実現しますなんて言うのはおかしいんじゃないですかというようなことも言われたことがあります。 やはり、
現行制度
の
一つ
の大きな
欠陥
の中に、
市民
にわかりづらい、
住民
にわかりづらい、こういうことがあるのではないか、こう思っています。 それではどうすればいいのかということになります。 これらにつきましては、やはり、
首長
の実質的な
支配
というものをもっと明確にした方がいい、はっきり位置づけた方がいい、こう思っています。
二つ目
なんですが、冒頭申し上げましたように、それには
政治的中立性
をどういうふうに担保するか、これが大きな問題だと思っております。 特に、
政治
的な
中立性
の担保でありますが、国は
地方
に
政治的中立性
を
法令
で義務づければいいと思うんです。
地方
には
条例
というのがあります。
国会議員
の
皆さん
には余りよくわからない
条例
だと思うんですが、
条例
というのは
地域
内の
法令
ですから、ある
意味
では、きちんと
議会
を通してきちんと決めなければいけないという、そんな
仕組み
になっております。 こういうことで、なぜ
地方
の
政治的中立性
ばかりが問われるかというと、多分、
現場
を持っていますから、
現場
の
中立性
を維持しなければいけないというのが大きな問題だと思うんです。
国会
の場合には、
政党政治
ですから、時の
政権政党
が
文部大臣
としてそれぞれ全般的な
教育行政
を担う、こういうことになっておりますが、
現場
がありませんから、
地方
の場合には
現場
があるということで、その辺が大事なのではないか、こう思っています。 最後になりますが、
役割分担
の
明確化
です。 国は、例えばさっき言ったように、
政治的中立性
をきちんと
法令
で担保するとか、あるいは
教科書検定
をしっかりやるとか、あるいは、今までは出ておりませんが、
地方
における
教育水準
の
確保
を国がきちんとそれについては監視、評価をする、そういうような
役割分担
を明確にすることであります。 特に
都道府県
、私は県の
職員
、
県会議員
もやったわけでありますが、なかなか
教育行政
というのは、特に
義務教育
については、
都道府県
は直接タッチしていないんですね、
高等学校
は別ですが。ところが、やはり
上級官庁
としてある以上、どうしても
都道府県
が介入をする。ですから、この辺の、
都道府県
はどういう
役割
、例えば補完的な
事務
に
限定
をするとか、そういうことが必要だよというふうに思っております。 特に
市町村
につきましては、さっき言ったように、
首長
の
政治的責任
をしっかり担保する、このことが大事であろうというふうに思っております。 ぜひ今回の
改正
が、
屋上屋
を重ねるようなものではなくて、やはり
住民
や
市民
にしっかり、
教育
というのは誰が
責任者
で、誰が決めて、誰が
政治的責任
をとるのかということを明確にする必要があるのではないか。 以上申し上げて、私の
意見
といたします。 どうもありがとうございました。(
拍手
)
小渕優子
5
○
小渕委員長
ありがとうございました。 次に、
中嶋参考人
にお願いいたします。
中嶋哲彦
6
○
中嶋参考人
名古屋大学
の
中嶋
と申します。よろしくお願いします。
専門
は、
教育行政学
及び
教育法学
をやっております。その
立場
から
発言
させていただきたいと思っています。 前のお二人の
参考人
の御
発言
の中で、
学習教育
というものは
自主性
が重要であってそれを
尊重
すべきであるということが、
梶田参考人
から御
発言
がありました。それには全く同感であります。それから、
穂坂参考人
からは、
首長
の
権限
が強い、
実態
上の
支配
があるというふうに御
発言
なさった点についても、全くそのとおりだと思っています。ただ、それについては、結論としては
穂坂参考人
とは逆で、むしろ
教育委員会制度
の再生が必要であると
考え
ています。 それでは、レジュメを目で追っていただきながら、
発言
させていただきたいと思います。 まず、冒頭にaからeまで項目を挙げておきました。読み上げさせていただきますが、
職務権限
なき
首長
による
教育
・
教育行政
に対する
支配
の
可能性
が強まるのではないか。 具体的には、
首長主導型地方教育行政制度
、実質的には
首長—教育長制
とでもいうべき
教育行政制度
に変わってしまうことになるのではないかと思います。これは中教審の
A案
に非常に近いものである、
法案
は非常に近いものであると思っています。 それから、それによって、
教育委員会制度
は形の上では残りますが、さらなる
空洞化
が起きるのではないかと
考え
ます。
四つ目
に、
教育振興基本計画策定
の実質的な
義務化
、現在では
努力義務
ですが、実質的な
義務化
と
首長主導
型の
策定手続
、これが定着することになるのではないかと
考え
ます。 五番目に、
教育
・
教育行政
の
政治的中立性確保
に重大な懸念が生ずるのではないかと
考え
ております。 これを
一つ
ずつもう少し細かく、具体的な論点に沿って申し上げたいと思います。
一つ
は、
首長主導型地方教育行政
への転換の問題です。 現在、閣法では、第一章「総則」に一条の三、一条の四を置いて、
大綱
の
策定
及び
総合教育会議
の設置が定められています。これは、
教育委員会
による
所掌事務
の
管理
、
執行
に対して
首長
が割り込む形で
基本
的な方針を設定するというものであります。したがって、これは、現在定められている第一条の
法律
の趣旨にかなりたがうものになるのではないかと
考え
ます。現在の
法律
は、
教育委員会制度
を
基本
として、
教育委員会制度
によって
教育機関
を
管理
運営
するという
仕組み
が定められているわけで、もしも一条の三、一条の四を置くのであれば第一条も当然変えざるを得ないはずでありますが、これについてはさわらないということになっている、これは大変おかしなことだと思っています。 それから、
二つ目
の点です。
首長
の
大綱策定権
であります。
大綱策定
に当たっては、まず、国の
教育振興基本計画
を参酌させることになっています。参酌させるというのは
強制力
を持たないわけですから、それを必ずしも全て受けとめなくてもいいということではありますが、実質的には
振興基本計画
に沿って
地方教育行政
を行うことを求めているという点では、
教育事務
が
地方公共団体
の
自治事務
であるという現在の
地方自治法
の定めとの間に
矛盾
はないのかということが思われます。これはそもそも現在の
教育基本法
の
問題点
としてある、それを受け継ぐ形になるというところに問題があると思っています。 さらに、二の
二つ目
ですが、
教育事務
の
管理
、
執行
に
権限
を有していない
首長
に対して
大綱策定権
を付与するということにそもそもまた問題があると思います。 本来であれば、こういった
大綱
をつくるのであれば、あるいは
教育振興基本計画
を
策定
するというのであれば、
教育委員会
が
主導
で行うべきであります。これは、
地方教育行政法
に、
教育事務
の
管理
、
執行
は
教育委員会
に
権限
があるとされているわけですから、長にそれを移動させるということは現在の法のつくりと
矛盾
するものであるというふうに思っています。
三つ目
です。
大綱
に記載する
事項
の無
限定性
というところに大きな問題があると思っています。 これについては、お二人の
参考人
からも同じような御
意見
が出ていましたけれども、
教育
の
政治的中立性
に関して高度な配慮を要する
事項
についてまで書き込みすることができるんだということが、この間のこの
委員会
での
大臣等
の
答弁
によってなされていると思います。この点については極めて問題があるというふうに思っています。 それから二枚目に行きますが、bのところですが、
首長
と
教育委員会
との間で
協議
が調わなかった
事項
についても、
大綱
に記載できないということが明確にはされていないと思います。
首長
が書いてしまうことはやはりまだ可能であるということであります。 これも
大変矛盾
があることで、
教育事務
の
管理
、
執行権
が
教育委員会
にあるにもかかわらず、その
意向
を無視して
首長
が
大綱
にみずからの
考え
を書き込んでしまうという点は、これは仮に、
教育委員会
が
管理
、
執行権
を持っているのでそれに従わなくていいというふうに、御
答弁
はそのようになっていますけれども、記載することを許してしまうという点には大変問題があると思っています。 その
背景
には、そこの二枚目のところのcとdにありますように、
実態
としては
教育委員会
と
首長
との間の実際上の
権限
あるいは
力関係
の違いがあって、
両者
の
非対称性
があるというところに問題があると
考え
ています。 次に、
大綱
に則して、
教育行政
を行うに当たっては意を用いなければならないというように、
教育長
及び
教育委員
に対して
尊重義務
、これは訓示ということではありますけれども、課しているところに大変これも問題があるのではないかと思います。 そのうち、
調整
の結果、
両者
の
調整
が成り立った
事項
についてそれを
尊重
することを求めるのは、その
協議
、
調整
が適正に行われている限りにおいて
妥当性
はあると思いますけれども、
協議
の中、必ずしも
両者
の
合意
が成り立っていないことについても書いてよいということになっていながら、
教育長
及び
教育委員
に対してその
尊重
を求めるということについては、大変問題があるというふうに思います。 これはそこに書いていませんけれども、
協議
の結果
合意
に至らなかった
事項
を明記、どれが
協議
の結果
合意
に至らなかったかということについては、もしもこの
法案
が通るのであれば、それを明記させるということを
法案
の中に盛り込むべきであろうと思います。 それから、この
協議
の結果については
教育委員会
が拘束されないのだということについても、これは明記する必要があると思います。 また、
三つ目
に、
教育委員会
が
提案
した
事項
について、これは今、多分この
法案
の前提は、
首長
が
提案
した
事項
について
教育委員会
と
首長
との間で
協議
をするということでどうも議論が進んでいるように思いますけれども、逆に、
教育委員会
が
提案
した
事項
について、
首長
と
教育委員会
とで
協議
あるいは
調整
を行うということも当然あり得るわけで、その際には、もしも
協議
及び
調整
が整わなかった場合には、その
事項
については書けるのかどうか、あるいは
首長
は書かなければならないのか否かということについても明確にすべきであると
考え
ています。 それから、三番目に参ります。
総合教育会議
であります。 これは、表題のところに「非対称的
関係
における
協議
・
調整
」と書きました。これについては、今既にるる申し上げてきたとおりですけれども、
首長
と
教育委員会
との
関係
は必ずしも対称的な
関係
ではないというところです。これは、先ほど
穂坂参考人
もおっしゃっていたとおりであります。そのような
関係
において、対等な
関係
での
協議
、
調整
が成り立つのか否かということについて疑問を感じております。 それから、
二つ目
ですが、
総合教育会議
における
協議
、
調整
事項
の無
限定性
ということであります。これは、先ほど、
大綱
への記載
事項
の無
限定性
ということについても申し上げましたが、ここではもう
一つ
別の論点であります。 この
法案
の第一条の四第一項に、
一つ
は、
教育
、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の
大綱
の
策定
に関する
協議
が
一つ
定められていて、それとは別に、この第一号に、
教育
を行うための諸条件の整備及びその他の
地域
の実情に応じた
教育
、学術及び文化の振興を図るために重点的に講ずべき施策、これが
二つ
、施策についての
協議
が二カ所にわたって記載されています。
一つ
目は、
大綱
を
策定
するための
協議
です。では、
二つ目
は一体何なんでしょうか。これが大変疑問に感じているところです。 ここは、一番下のbに書いておきましたように、
二つ目
の、第一号の施策に関する
協議
を認めることによって、
首長
は、いつでも、どのような
事項
についても、三枚目に行きますが、
協議
という形で
教育委員会
に対して関与をすることができることになってしまうというふうに思います。 つまり、
大綱
に関する
協議
とは別に、日常的な
教育事務
の
管理
、
執行
に関しても、
首長
が
協議
という形で
教育委員会
に対して関与するということができる。もしそういうことになれば、これは
首長
が
教育行政
のキーマンになってしまうということにもなりかねません。これは、現在の
地方教育行政法
の
基本
的な原則に反するものであると
考え
ます。 そのほか、三枚目には、
首長
による
教育長
の任命にかかわる問題及び
教育委員会
内部において
教育長
の
権限
が非常に強化されてしまうという二点について書いておりますが、時間がありません。最後の点だけ申し上げたいと思いますが、
教育長
の
権限
が強まる一方で、
現行
第二十六条、閣法第二十五条における、
教育長
に対して
教育委員会
の
職務権限
の委任を
現行
のままでいくということになっています。 現在、
教育委員会
の
事務
の
管理
、
執行
は、
教育長
にかなり多くの委任を行っています。そのために、
教育委員会
の
会議
がなかなか成り立たない、
教育長
単独で行われてしまうという
実態
があります。そのような
実態
が、まさに大津の事件のようなさまざまな問題を生み出す
背景
にあると思っています。その
意味
では、
教育委員会
の合議をどのように復活させるか、再生するかということが、まさに重要な課題であると
考え
ています。 以上です。どうもありがとうございました。(
拍手
)
小渕優子
7
○
小渕委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の方々からの
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
小渕優子
8
○
小渕委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。熊田裕通君。
熊田裕通
9
○熊田
委員
自由民主党の熊田裕通でございます。 初めてこの
委員会
で質問の機会を与えていただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。
参考人
の皆様におかれましては、連休が明けてすぐの
質疑
ということで、大変お忙しい中、まげて御参加をいただき、幅広い、そしてまた、なかなか
考え
させられる、経験に基づいた
お話
をいただきまして、本当にありがとうございました。 もう既にこの
教育委員会
改革
は、私があえて申し上げるまでもなく、閉塞感のある
教育委員会
、今の現状はだめだという中で、まず、この
権限
はどこにあるのか、そして
責任
は誰が持つのかという、ここをやっていかなきゃいけない、そういう思いで今回
改正
案が出されたわけでございます。 先ほど
首長
さんにかかわる話を三
参考人
からいろいろ聞かせていただきましたが、特に私は
首長
さんにかかわる部分で
参考人
に御質問をさせていただきたいんです。 今回、内閣が
提出
した案にも、そして野党案の方にも、これは深く
首長
さんがかかわるという項目がきっちりと明記されております。
政治
のまさに
中立性
という観点から、
首長
さんが今後この
教育行政
にどうかかわっていくのか、そして、それぞれの案においてどんなところが問題なのか、そして、これはいいだろうというお認めをいただけるところがあるなら御示唆をいただきたいと思いますが、これは三
参考人
からそれぞれお聞かせをいただきたいと思います。
梶田叡一
10
○
梶田参考人
私は、
首長
さんが全体の
教育
振興ということをどういう形でやっていくかということについてかかわられるのは非常にいいことだと思うんですよ。こういうところに例えば人、金、物を回します、そういうことは非常にいいんですが、気をつけなきゃいけないのは、
教育
の内容にかかわること、
人事
にかかわること、それから、やはり、
教育
的なイベント、あるいは
教育
的な色彩を持つイベントにかかわりますと、
自分
の
政治
的なあれを宣伝広告するためにやっているんじゃないか、どうしてもそういう勘ぐりもあると思いますので、これは気をつけなきゃいけないと思います。
穂坂邦夫
11
○
穂坂参考人
私の
意見
を申し上げたいと思うんですが、やはりどうしても、今の話の中でもそうなんですが、
政治的中立性
がひっかかるわけですよね。
現場
の
政治的中立性
をどう担保するかということだけがしっかりすれば、やはり
首長
の
行政
責任
とか
政治責任
は当然問われていいわけです、今のやり方から言えば。 どうしても
法律
で書いた
理想論
と
実態
がうんと違いますから、今
委員
がおっしゃるとおり、やはり
首長
が総括的な
責任者
というのはもう免れないと思うんです、予算を全部握っているんですから。これは予算が別々であればまた別なんですが、結局、予算の
執行
を
首長
が握っているとすれば、どう
教育委員会
の
中立性
とか独立性を担保しようにもしようがないんです、実感として。 ですから、そういう
意味
では、今御
意見
がありましたように、それじゃ、
政治的中立性
をどう担保するかというと、例えば、
役割分担
を
首長
と
教育委員会
、
教育長
を含めて、それを明確にすると同時に、例えば中教審のように、要するに
地方
に中教審と同様の
委員会
をつくって、それを
法律
なりあるいは
条例
でしっかり
政治的中立性
を担保する。何かあれば
首長
にも、
教育行政
のこれはおかしいということを国が例えば正式に勧告をするとか、何でもいいと思うんです。
権限
と
役割
が明確になる、そういう
方向
でぜひこの
法律
をつくっていただかないと、またうやむやのうちになると、
屋上屋
を重ねる感じでよくないのではないか、こう思っています。
中嶋哲彦
12
○
中嶋参考人
お答えします。ありがとうございます。
首長
が
教育
にどう関与すべきかということについては、
教育
条件の整備にこれはしっかり
責任
を持っていただくということが大事だと思っています。 私は以前犬山市の
教育委員
をしていたことがあるんですが、その際には、
首長
が非常に大きなお金を
教育
のために出してくださいまして、それによって独自の少人数授業であるとか教材づくりが可能になりました。そういう
意味
で、大変重要なことだと思っています。 もう
一つ
、
教育委員会
と
首長
との間の
協議
の場を設けるということは、それとして重要なことであろうと思っています。これはやはり、
一つ
の自治体の一般
行政
と
教育行政
のそれぞれ
責任
を持っているわけですけれども、予算の配分を中心として、どのように市政を
運営
するかという点では
協議
が重要だと思います。 ただ、今回の
法案
ではそれを公の場において行うということになっていて、
首長
と
教育委員会
との間で
意見
が違ってきたときにこれをどう最終的に
調整
するかということになると、
首長
は選挙で選ばれているという
意味
では、
教育委員会
の
意見
に従って
自分
の
意見
を引っ込めるということは、なかなか引っ込みがつかないことなんじゃないかなと思います。 私が
教育委員
をしているときに、
市長
さんが
学校
選択
制を導入したいということをおっしゃったんです。それに対しては、
教育委員会
と
市長
との間で一年以上にわたって非公式の場で議論を続け、その結果、最終的にはそうではなくて、各
地域
ごとの
学校
づくりをしていこうということになったんですが、ひょっとして、これを公の場で議論すると、
首長
としてもなかなか引っ込みがつかないということはあるんじゃないか。そういう
意味
では、非公式の場での議論というのは重要だと思います。 ただ、今回出ているのは、逆に、
総合教育会議
ということで、公の場で議論するということになっています。その点ではそこに問題がある。ただ、こういう正規のものをつくるのであれば、もちろん情報はきちっと公開して
市民
が知ることができるようにするという、ちょっとジレンマがあるわけですけれども、そういうところが
法案
のいい点と
問題点
ということで申し上げておきたいと思います。 以上です。
熊田裕通
13
○熊田
委員
それぞれありがとうございました。 私は、
教育委員会
のあり方を議論される中で
一つ
不安に思うのは、今までの
制度
がよくないから民意を代表する
首長
さんの
考え方
を入れるべきだ、ある
意味
、
中立性
を担保しながら入れるべきだということは私は否定するものではないんですが、やはり、政府案はあくまでも合議制の
教育委員会
は残しながらということ、野党案はもう完全にそれもなくして
首長
さんが
権限
を持つというところが少し不安になる。 といいますのも、確かに
首長
さんは選挙で選ばれるわけであります。私も選挙で選ばれていますので、選挙で選ばれることを軽く見ているわけじゃありませんが、本当にその
首長
選挙、それぞれの選挙は
教育
問題が大きなテーマになっておるのか。ともすると、まちづくりの問題が選挙の争点になる場合もある。有権者の
皆さん
も、その人がどんな
考え方
、
教育
に対してどんな思いを持っているかということを本当にわかって投票しているわけでも私は決してないということを思うと、ある
意味
、
首長
さんに大きな
権限
を与えるということは非常に怖いなという気がするんです。 実は、実際の例を申し上げさせていただきたいと思いますが、これは決して悪口でもありませんし、実際にあった例ですので、今現在
市長
をされておられる方でありますが、あえてどなたとは申し上げません。ちなみに、私は名古屋市の選挙区でございます。これは公の席での
発言
であります。
首長
さんが挨拶をされる祝辞の中で、
子供たち
を前にして、おお、ガキンチョどもと言って、開口一番御挨拶をされました。そして、その
発言
の中で、ええですか、大人の言うことは聞いちゃいかぬよ、聞いたらわしのようにはなれぬよ、こういう
発言
をされました。そして、ある場所ではこんなことを言いました。世の中には
自分
が思いどおりにならぬことがたくさんある、
自分
が間違っとったかなと思うときもたくさんある、こういうことが起きたら、これはあんたの
責任
じゃないよ、全て社会の
責任
だと
発言
をされる
首長
さんがおられるわけであります。 私は何を申し上げたいかといいますと、
教育委員会
自体の今の現状は変えなきゃならない、しかし、やはり、
政治
の
中立性
ということを担保し、そして選挙で選ばれる
首長
さん、全ての方が悪い方とは言いません、立派な方もお見えになられますが、万が一そういったことが起きた場合、多分この
委員会
の中でも、それは特別だ、そんなことはあり得ないということをおっしゃられる方もおられるかもしれませんが、
政治
に携わる者の
責任
というのは、全ての
可能性
は否定はしてはだめだと思っております。いろいろなことの
可能性
を
考え
ながら
制度
というものをつくっていかないといけないと思います。 時間がなくなってきました。どうぞ、この点について、
梶田参考人
、もし御
意見
がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
梶田叡一
14
○
梶田参考人
議員おっしゃるとおりだと思います。
熊田裕通
15
○熊田
委員
もう少し長い
答弁
が来ると思っておりまして、まだ若干時間がありますので、この
地方教育行政法
にかかわることで一点だけちょっと質問させていただきたいと思います。 我が党の
義家
委員
からも、前回の
委員会
で質問がございました。
政治
の
中立性
というのは、時の為政者からの中立、これは大事なところであると同時に、教
職員
の
政治
的行為から
子供たち
を守るという
意味
での
政治
的中立、そして、組合との
関係
の
政治
イデオロギーからの中立という観点から、この
教育委員会
改革
の後、こういったことの
改革
もする必要があるということの
発言
をされておりました。これは、我々の選挙をやりました、総選挙のときのJ—ファイルの中にもこの
改革
はうたわれております。 三人の方にお答えをしていただきたいと思うんですが、時間がございませんので、もしお許しをいただければ簡単に、この観点から、私たちは、
子供たち
を守るためには、
政治
に携わる者以外にも、やはり教
職員
の
皆さん
、そして組合、こういった
政治
関係
から
子供たち
を守るべきだというふうに思っておりますが、それぞれの
参考人
の御
意見
がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
梶田叡一
16
○
梶田参考人
おっしゃるとおりでして、やはり、
地方教育行政
の非常に大事なところは、時の権力、つまり
地方
権力、
首長
さんの権力からも距離を置かないといけないんですが、同時に、その
地域
にあるいろいろな
政治
的な動きからもやはり距離を置いて、先ほど言いましたように、
子供たち
が多様な見解、多様な事実、これに触れていって、そして
自分
なりの
考え
を練り上げていって、大きくなったときに本当に
責任
のある判断ができるようになる、こういうことが
地方教育行政
の非常に大事なところだと思います。
穂坂邦夫
17
○
穂坂参考人
三点とも、全くそのとおりだと思います。 それから、
二つ目
なんですが、
首長
の
一つ
の言動とか、それはちょっと理解できないな、そういうことは言ったことも私はありませんし、ただ、そういうものをやはり
教育行政
の中にそのまま直接入れたくないという気持ちは、私もそのとおりです。それには、やはり
地方
議会
を、
議会
にはいろいろありますが、
地方
議会
の
権限
とかそのやり方とか
意見
というのもしっかり入れれば、例えばそんなことをめちゃくちゃ
首長
がやったとすれば、それはおかしいぞと
議会
の方から当然関与して、もっと厳しく監視をすると思うんですよ。 その辺、
議会
とのかかわり合い、さっき
条例
という言葉で言いましたが、そういうこともしっかり担保していけば、私は、
政治的中立性
は担保できる、こう思っています。
中嶋哲彦
18
○
中嶋参考人
教育
の不当な
支配
の禁止というのは、これは、あらゆる者からの不当な
支配
の禁止です。したがって、あらゆる者が
政治的中立性
を担保する枠の中にいなければならないと
考え
ています。したがって、そこには教
職員
もまた、党派的な
教育
を行うことについては、法的に禁止されていると
考え
ています。 ただ、気をつけなければならないのは、ここにいらっしゃる議員の
皆さん
の
国会
における
法律
策定
もまた、
教育
の
中立性
について意を用いていただかなければならないわけで、
法律
を用いれば、あるいは
法律
に書いてあることが
教育
の
中立性
の基準であるというふうにみなすことはできないと
考え
ています。 以上です。
熊田裕通
19
○熊田
委員
ありがとうございました。これで質問を終わります。
小渕優子
20
○
小渕委員長
次に、
菊田真紀子
君。
菊田真紀子
21
○菊田
委員
民主党の
菊田真紀子
でございます。 きょうは、三人の
参考人
の方々には、それぞれのお
立場
、また経験、知見からさまざまな貴重な御
意見
をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。 まず、政府案について、御三方に御質問させていただきたいと思っております。 今回の
教育委員会制度
改革
は、
教育委員
の公募制を廃止したときからおよそ六十年ぶりの
改革
であります。私は、この
教育
改革
が目指すべきは、
一つ
は
責任
の所在を明確にすること、そして、直面するさまざまな課題や問題にすぐ対応できる
執行
、そして有効なチェックができる体制をつくること、そのために抜本的な
改革
が必要であるというふうに思っております。そしてもう
一つ
は、
教育
の向上のための
現場
主義の推進にあるというふうに
考え
ております。 ところが、政府案では、結局、現在の
教育委員会
をそのまま残し、そして、
教育委員長
と
教育長
を一本化して新
教育長
を置くことになっています。機能不全で緊急時に対応できないということがたびたび指摘をされてきたこの
教育委員会
を残したまま、果たして六十年ぶりの
教育
改革
にふさわしいのか、政府案は妥協の産物のような中身で、結局は何も変わらないのではないかというような懸念をするわけでありますが、まず、それぞれの
参考人
に見解を伺います。
梶田叡一
22
○
梶田参考人
私、
現場
主義を大事にすべきだという点で、本当にそれは賛同いたします。これは大事にしなきゃいけない。 ただ、今の
教育委員会制度
というのは、ちょうど警察
行政
だとか選挙
管理
委員会
と同じように、やはりある種、そのときの権力から距離を置いてやらなきゃいけない、そういう分野があるのではないかということでできた、そういう
合議制執行機関
ですね。このことの
意味
はきちっと見なきゃいけない。例えば、
教育委員会
をなくして
市長
部局あるいは知事部局だけでやってしまえば、よらしむべし、知らしむべからずになって、中が見えなくなるのではないかということもあると思います。 ちなみに、私、二十年前に箕面市の
教育委員
をやっていたときには、何か事が起こりますと、ゼミをやっていても、夕方、
教育委員会
から指導主事が車でばっと来られまして、途中で連れて行かれて、そして
教育委員
全部が集まって、それから
関係
の校長も来られて、そこで夕方からずっと議論して、当面何をすべきかと決めたものなんです。ですから、定例会以外に非常にたくさん会合をしておりました。
教育委員会制度
を今、何か大津のあの事件で、大津のあの処理の仕方が悪いということで、全部がそういうふうな目で見られておりますが、
都道府県
教育委員会
、それから
市町村
教育委員会
、多くのところは本当に
責任
を持ってやってきたし、迅速にも処理してきたと私は思っております。 そういう前提で、今の政府案の方で私はやっていかなきゃいけないんじゃないか、そういうふうに思います。
穂坂邦夫
23
○
穂坂参考人
私もそのとおりだと思います。 ただ、政府案と野党案、今出ていますよね。できれば、
教育
というのは、それぞれができるだけ歩み寄って、しっかり多数、多くの人たちが
合意
してほしいと思うんです。 ですから、もちろん今の政府案にも随分
欠陥
があると私は思います、
屋上屋
を重ねる危険性があるのではないか。あるいはまた、今言ったように、単独でもし
首長
だけがやるといえば、今多くの
意見
が出ているように、どうも
首長
の恣意的な姿勢が反映されちゃうんじゃないか、そういう心配があります。 ですから、どうも突き詰めてみると、やはり
責任
の所在を明確にするのが
一つ
、これは
皆さん
合意
だと思うんです。もう
一つ
は
政治
的な
中立性
、さっき三つのと言いましたが、そのとおりだと思うんです。そういう
政治
的な
中立性
をどう担保するかということで、これからしっかり議論していただいて、お互いに歩み寄っていただいてそういうものができればいいな、こう思っています。
中嶋哲彦
24
○
中嶋参考人
まず、
責任
の
明確化
というときに、
責任
という言葉は、日本語で
責任
なんですけれども、
責任
はいろいろな
意味
のある言葉だと思っています。
政治
家が、あるいは
首長
が
政治
的な
責任
を負うという
意味
で使うときの
政治責任
という言葉があると思いますが、そのほかにも、例えばアカウンタビリティー、日本語では説明
責任
と言われていますが、アカウンタビリティーという
意味
もありますし、それから、罪を犯したときの
責任
を負うというライアビリティーという
意味
もあります。 ここで私たちが今問題にしなければいけない
責任
というのは、
教育
を受ける
立場
にある
子供
の学習要求に対して適切に応答するという
意味
での
責任
、これはレスポンシビリティーといいますが、その
意味
での
責任
が求められていると思います。その
意味
では、この応答
責任
、レスポンシビリティーを適切に果たせるような
行政
制度
をどうやってつくっていくかということが課題になると思います。私は、その視点で閣法や民主党の出している案について
考え
ていきたいと思っています。 その
意味
でいうと、今回の閣法の問題というのは、
教育委員会制度
は残したものの、実質的には
首長
の
権限
を強めている、実質は
首長
の
首長
による
教育行政
でありながら、形の上では
教育委員会
による
教育行政
が行われているという形になってしまっている、オブラートに包んだような形になっています。そのことによって、かえって
責任
は不明確になるというふうに思っています。 以上です。
菊田真紀子
25
○菊田
委員
ありがとうございました。
穂坂参考人
に御質問させていただきたいと思いますけれども、二〇〇一年に
志木市長
さんに御就任をされたということで、先ほども
お話
がありましたが、全国初の二十五人
程度学級
を実施されたり、あるいは
ホームスタディー制度
、それから中三チューター
制度
の導入など、非常に先進的な
教育
制度
改革
に取り組まれたというふうに伺っております。 また、二〇〇三年には
教育委員会
の必置規制の廃止との構造
改革
特区の
提案
を行い、二〇〇五年には「
教育委員会
廃止論」という本を書かれて、その中で、戦後の
義務教育
を支えた
教育委員会制度
は明らかに歴史的使命の終えんを迎えているというふうに持論を展開されたわけであります。 上意下達の中央集権
教育
システムの中で、一
地方
の
市長
にとっては大変勇気のある主張だったというふうに思うわけでありますが、当時、周囲の受けとめはどのようなものであったか、文部科学省、県の反応、あるいは市の
教育委員会
や市
議会
、そして
市民
の反応はどのようなものであったか、御紹介をいただきたいと思います。 その上で、今回、我々民主党そして日本維新の会共同で、
教育委員会
を思い切って廃止をして、そして
首長
を
教育行政
の最高
責任者
とする案を
提出
しておりますが、この
提出
案に対する感想、そして御
意見
を伺いたいと存じます。
穂坂邦夫
26
○
穂坂参考人
一つ
目なんですが、当時
市民
の
皆さん
は、多分
市長
にはある
意味
で総体的な、
教育行政
も含めて全てという
考え方
の中で、大枠ですよ、そういう
意味
で
市長
を選んだという意識がありましたから、
市長
のやることは当然じゃないかなという、例えばうちなんかも
市民
委員会
というのをつくってそこでもいろいろ議論をいただきましたが、
首長
がやりたいんだから、
教育委員会
が同意をしてやるというのはまさにいいんじゃないか。 ただ、そのときに、間違った場合に誰が一体
責任
をとるんですかというのを言われました。例えば、二十五人
学級
も
ホームスタディー制度
も予算がかかりますから、誰が
責任
をとるんですかというふうに聞かれたときに、
首長
はやるんだけれども、
責任
は
教育委員会
という
機関
が
責任
をとるという形になるわけですよね。それはちょっとおかしいねという話は聞きました。これが一点です。
議会
はおおむね
賛成
をしてくれました。決議までしてくれました。 それから、
三つ目
なんですが、今の野党案で出ている、維新と民主党の方から出ているものですね、私はいいと思うんです。やはり一番大事なのは、
市民
、
住民
がわかりやすい
組織
体系というのが必要なんです。いろいろあるけれども、ずっと
考え
ていったらどうもよくわからないじゃ困るわけです。わかりやすい
制度
として私はいいと思います。 ただ、
一つ
やはりどうしても心配になるのは、いろいろな
意味
での
中立性
をどう担保していくか。このことを、お互いがしっかり担保すべき仕方をきっちりすれば、曖昧や
屋上屋
を重ねるような形ではなくて、もっと明確に、
市民
や
住民
にとってわかりやすい、そういう
法律
ができ上がるのではないか、あるいは
教育行政
が展開されるような形になるのではないか、こう思っています。
菊田真紀子
27
○菊田
委員
今も
政治
的中立という話がありましたけれども、先ほど
梶田参考人
からも、
政治的中立性
、
継続性
、
安定性
が非常に重要ですという
お話
がありました。その中で、先ほど
梶田参考人
は、
首長
が四年ごとにかわって、
政治
的信条が、
子供たち
に教え込まれるものが、またその選挙によって
首長
がかわることによって継続されないというような懸念を
お話
しされたわけであります。
梶田参考人
は、中教審の
委員
でもあり、また、過去には
地方教育行政
の最前線でもさまざまな経験をお持ちでありますけれども、実際そういうケースがあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
梶田叡一
28
○
梶田参考人
いろいろと固有名詞を出すと差しさわりがありますけれども、やはり例えば、一九七〇年代、京都府の知事さんが、西の文部省ということを言われて、独自にいろいろなことをやっておられた時期があります。 私は当時
大阪
に住んでおりましたが、京都でいろいろな仕事をしておりましたので、そこでのいろいろなひずみを見てきました。非常に
教育
現場
は大変でした。そして、ある
一つ
の
政治
的な信条を持っていなければ、
教育委員会
の
職員
もやれないし、また校長たちもやれない、そういう時期があったんですよ。私なんかはそういうのをすぐ思い出します。 もちろん、それほどひどいのはその後あったかどうかは知りません。だけれども、私も先ほど申し上げたように、
制度
というのは、やはり今うまくいっていても、万が一というときを
考え
てやらなきゃいけない。 これは
責任
ということで
一つ
だけ申し上げておきますが、
責任
というのは、誰かの鶴の一声で全部をやるようなのが
責任
でもなければ、迅速にというのは、それだから話が進むということではないと思うんです。民主主義というのはチェック・アンド・バランスなんですよ。国も三権分立でしょう。だから、若干手間暇がかかるんですよ。だけれども、独走しないで、いろいろなところで、予算をつける人と中身をつくる人が分かれていたらいいじゃないですかというようなことを
考え
て、これが私、大人の知恵だろう、そういうふうに思います。
菊田真紀子
29
○菊田
委員
それでは最後に、
中嶋参考人
にお伺いしたいと思います。 先ほど来
お話
がありましたが、二〇一一年に、いじめを受けて自殺した大津市の男子中学生の問題がありましたが、当時の
教育委員会
が主体的に原因の究明や再発防止に取り組まなかった、そして、
市長
にもまともな報告を上げなかったとされているわけでありますけれども、我々は、この事件を教訓とすれば、
首長
が
教育行政
の最終
責任者
となって危機に際してもリーダーシップをしっかりと発揮すべきではないかというふうに思うわけであります。
中嶋参考人
は、
首長
が
教育行政
に介入する危険性についていろいろな場面でおっしゃっておりますけれども、では、大津のような緊急の事態に
現行
の
制度
で事足りるとの御認識か。先ほど来
教育委員会制度
の再生が必要だとおっしゃっていますけれども、私は既に形骸化しているところが多いんじゃないかというふうに思いますけれども、具体的にはどのように再生したらいいのか、少しお知恵をお聞かせいただきたいと思います。
中嶋哲彦
30
○
中嶋参考人
大津の事件の場合に、恐らく
教育委員会
が十分機能しなかったというのは御指摘のとおりだと思います。 それはなぜ機能しなかったのかというところですが、これは、多くの
地方公共団体
における
教育委員会
の内部の規則で、多くの
事項
について
教育長
に対して委任を行っている、代理
執行
を認めている、あるいは専決権という形で認めているという形で、
教育委員
が、
委員
でありながら、
地域
の
教育
及び
教育行政
の
管理
運営
について情報が与えられていない、どういうことが今起きていて、
自分
の町の
教育
をどうしていくべきかということについての情報を持たない、したがって、それで動けないという状況にあると思います。
教育委員会
が五人の
委員
で構成されているというのは、そこに情報を与えていくことによって、複数の人の
考え
に基づいて
教育行政
が行えるようにする
仕組み
です。それがこの間適切に機能していないというところにあると思います。 これは、二〇〇七年の
地方教育行政法
改正
によって、
教育委員会
の
職務権限
の多くのものを
教育長
に委任できるという形の
法律
がつくられています。それによって、
教育委員会
における合議が適切に行われないという
実態
がつくられてしまっているというところがありますので、
教育長
に対する
権限
委任を、むしろ二〇〇七年の法
改正
とは逆に、もっと制限をかけて、具体的な
管理
運営
について
教育委員会
の合議によって
管理
されるという
仕組み
に変えていくことが今重要だと思っています。 以上です。
菊田真紀子
31
○菊田
委員
終わります。ありがとうございました。
小渕優子
32
○
小渕委員長
次に、鈴木望君。
鈴木望
33
○鈴木(望)
委員
参考人
で来られましたお三方の皆様方には、本当にお忙しいところ貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。また、貴重な
お話
を聞かせていただきまして、大変
参考
になりました。ありがとうございます。 今回のこの
委員会
の
法案
審議の主なテーマは、端的に言いますと、
教育委員会
をどうするのかというところではないのかなというふうに思います。
教育委員会
につきましては、もう六十年たって、
制度
が形骸化している、
制度
疲労を起こしているということが言われておりまして、私も
穂坂参考人
とともに
地方
自治体の
首長
をしておりまして、そのことは痛感をしておりました。 さきのこの
委員会
でも言わせてもらったんですけれども、
教育委員会
会議
というものが実際どの程度開催をされているのか。これは、
教育委員会
の現状に関する調査ということで、文科省が平成二十四年に調査した資料に基づいているわけですけれども、
市町村
で
教育委員会
会議
が開かれた回数、年間に十五・四回、月に一回ちょっとですね。
都道府県
では、もうちょっと多いんですけれども、二十九・八、約三十回、それでも月に二、三回、または月に一回ちょっと。一回の時間はどの程度かといいますと、
都道府県
、指定都市の場合は一・七時間。二時間もやっていないんですね。
市町村
の場合は一・六時間。これも二時間やっていません。ということは、多くても月に二、三回、一回が二時間未満、そういう
会議
で
教育委員会
が現状行われているというのが
実態
です。 そこで本当に
意味
のある決定ができるのか、また、大津事件のような事件に迅速に対応できるのか。私は、これは極めて難しいんじゃないのかなというふうに思わざるを得ないんです。 そういった
実態
があることは事実ですけれども、その
実態
についてお三方はどのように思われているのか、御
意見
を聞かせていただければと思います。
梶田叡一
34
○
梶田参考人
非常にばらばらなんですね、
教育委員会
を動かすやり方が。 文科省が調べていますが、これは正式の
教育委員会
だろうと思います。そのほかに懇談会というのを、私が昔やっていたときはよくやりました。先ほど言いましたように、事が起こって、すぐ、ゼミの途中で連れていかれてというのは、
基本
的に懇談会です、そこで大体の方針、すぐ何をやらぬといかぬのかと決めて、手を打って、その一件の大体終了したときに、後でまとめて正式の臨時
教育委員会
を開いて、報告があって了承する、こういうのがありました。 また、私のときは、月に何回か、あるいは一回ぐらいのことも多かったんですけれども、普通の
教育委員会
とは別に、
市長
、助役と
教育委員
の懇談会、懇談会といっても渋茶での懇談会ですけれども、お酒じゃなくて、がありまして、これは本当に、まさに懇談会ですから正式なあれじゃありませんので、腹を割った話が
市長
さんからいっぱいありまして、これも非常によかったと思っております。 したがって、
一つ
は、このやり方については今いろいろとあるということをぜひ頭に置いてほしいということ。もう
一つ
は、しかし、そうやって、これが足りなければ
教育委員会
をやめてしまおうという
方向
じゃなくて、これを強化するにはどうしたらいいか、これをもう少し議論しなきゃいけないんじゃないか、そういうふうに私は思います。
穂坂邦夫
35
○
穂坂参考人
今の
教育委員会
が形骸化しているというのは、全国的にはほとんどみんな形骸化していると思っているんじゃないですか。これはそのとおりだと思います。特殊なところでは、非常に熱心なところもあると思います。しかし、やはり
法律
とか
制度
というのは、普遍的に、どこでも同じようにしっかりできるというのが必要だと思うんですね。ですから、そういうふうに
改革
をしていかなければいけない、こう思っています。 それからもう
一つ
は、さっき「
教育委員会
廃止論」というのが、私、昔書いたことがあるんですが、それは本来は再生論ですよ。本屋さんが廃止論の方がいいだろうということで、そっくりその形を変えた新たな
教育委員会
でしたからそういう表現になっているんですが、内容はそうなんです。 やはり
教育委員会
というのは私は必要だと思うんですよ。ただ、例えば
教育委員会
の
職員
だって、あれは全部
首長
の
人事
なんですよね、御
承知
のように。
教育長
が決めるわけじゃないんです。だから、そういう
意味
では、日本の場合にはほかにも例があるんですが、やっていることと、
実態
と
法律
的な決めの方法とが非常に乖離をしている場合が多いんです。 やはりどう
考え
ても一番大事なのは、誰が
責任者
なのかというのを明確にすること。それからもう
一つ
は、誰が何をするかという
権限
を明確にすること。
幾つ
かの明確にすることがあると思うんです。そういうことをやはりしっかりみんなで議論すれば、必ず私は一致点というのが出ると思うんです。 最後に
一つ
だけなんですが、この
法律
ができて、またぱたっと
市民
が、ああ、わかったな、誰が
責任者
でどうで、わかったなというような、そういうものにしてほしいというのが
参考人
としての願いであります。 終わります。
中嶋哲彦
36
○
中嶋参考人
御質問にありましたように、
教育委員会
が十分な
会議
を開いていないという点については半ば同意します。 ただ、前のお二人の御
発言
にあったように、
教育委員会
の定例
会議
、あるいは正規の
会議
以外の
会議
がたくさん行われているということもまた事実でありまして、それについては数字にはあらわれてこないという点も十分注意する必要があると思っています。 なぜこういう
実態
が生まれているかということについては、先ほども
発言
させていただいていますけれども、
地方教育行政法
第二十六条の委任の規定があります。これによって
教育長
に対して大幅な
権限
委任が行われていて、したがって、
教育委員会
の
会議
を開かずに多くのことが決められているという
実態
があります。 私が犬山市で
教育委員
をしているときに、全国学力テストに不参加を
教育委員会
で決定しました。 この決定に当たっては、恐らく数十時間の時間を費やして議論しています。その際に、私の同僚の研究者が調べたところ、他の
地方公共団体
では、報告
事項
にすら上がっていない、参加することを報告すらしていない、
教育長
の専決権で決めているということがありました。これはまさに今申し上げている
教育長
に対する
権限
委任の問題であると
考え
ています。 もう
一つ
問題があります。 それは、国及び
都道府県
による
教育行政
への指導助言によって、
市町村
教育委員会
の
教育行政
が大きく枠づけられてしまっているというところにあります。そのために、
市町村
教育委員会
は、合議に基づいてみずから意思決定する余地が非常に狭く
限定
されてしまっているという点です。これは、仮に
首長
に
教育行政
権を移した場合でも、今のままであれば全く同じ問題が起きてくると思います。 以上です。
鈴木望
37
○鈴木(望)
委員
ありがとうございました。 今の話の続きがちょっとありまして、いろいろな問題が私の自治体でも起こりました。教師がうまく
学級
運営
ができなくて自殺しちゃったりとか、そんなときがいろいろあったんですけれども、それなら
教育行政
のトップ、
教育委員会
の
教育委員長
さんに、
議会
に出てきていろいろと
答弁
したり、どういうふうにしていったらいいのかというようなことを答えてもらおう、そんなことを
考え
て、
議会
が中心になって呼ぼうとしたんですけれども、そうしたら、
教育委員長
はこう言ったんです、それなら私はやめる、そんなつもりで
教育委員長
になったわけじゃないと。その
教育委員長
さんというのは立派な方ですよ。
地域
の名士なんです、識見もあるし。ただし、
自分
もちゃんと職業を持っていて、要するに、四六時中
教育行政
にかかわっていないと
議会
の追及には耐えられない、本人も周りもそう思っちゃったんですね。 一方で、
議会
の
事務
局の方も、もし
教育委員長
を
議会
に招聘して、そのためには四六時中勤務をするだとか、また、手当を出すとかというようなことも
考え
ると、今の予算体系の中じゃ無理ですよというような話になりまして、その話は結局沙汰やみになってしまったんですけれども。 私はそのときに、ああ、やはり
教育委員会制度
というのは
一つ
のフィクションだなと。今は、
教育委員
になる人も、またその
運営
も、それをチェックするはずの
議会
も、別に
教育委員会
というのはもう何も大した
役割
をしていない、できないということが暗黙の前提にあるんじゃないのかなというふうに、私はそのときにはっきり言いまして確信したんですね。 やはり、
教育行政
に
責任
を持つのは民意で選ばれた
首長
。ただし、
政治
的な
中立性
というのは当然必要ですから、
政治
的な
中立性
を担保するためには、
議会
があるじゃないですか。だから、私たちの
法案
では、
議会
に毎年
首長
が
教育
に関する
基本
方針を出して、そこでのチェックを受ける。それと、いろいろな問題に対して
意見
をやはり
住民
から言ってもらうということが重要じゃないのかなと私は思うんですけれども、
教育
監査
委員会
というような
制度
をつくって、もっと
住民
の人を入れて、
住民
から
教育行政
をチェックさせる。 チェックさえあれば、
責任
の所在を明確にして、それが
首長
であっても
政治的中立性
というのは保たれるんじゃないのかな、それが私は民主主義だというふうに思いますけれども、そういった
考え
について御
意見
がございましたら、お三方にお願いをしたいと思います。時間がありませんので、簡潔によろしくお願いいたします。
梶田叡一
38
○
梶田参考人
まず、
責任
を引き受けるというのは、時間を幾ら使うかということでもなければ、幾らお金をもらうかということでもないんですよ。
責任
はそういうことと抜きで、だから、私は、
議会
に行くのは嫌だと言ったその
委員長
さん、この人は即、それは適任にあらず、そういう判断をしなきゃいけないと思っております。 ですから、常勤にすれば
責任
が持てるとか、待遇を改善すれば
責任
を持てる、そういう話ではないということを私は大前提で
考え
なきゃいけない。 もちろん、さっきの監査ということについては、その上で、問題があればまたそういう監査の
仕組み
もつくるというのは大事かなと思います。
穂坂邦夫
39
○
穂坂参考人
御
意見
はそのとおりだと思うんですが、まず
一つ
つけ加えておきたいのは、やはり透明性が担保されないといけないと思うんですね。
首長
と
教育委員
や
教育長
が
住民
の見えないところでいろいろ話し合ってというのは、だったらわからないですから、私はむしろ透明性を高めた方がいいのではないか、こう思っています。 それから、
地方
議会
が関与するというのは、まさに大事なことだと思います。
地方
議会
が関与しないことが多くなると、一層
地方
議会
が形骸化をまた逆にしてくるんですね。ですから、
地方
議会
がある以上、やはりきちんと
地方
議会
の監視機能といいますか、そういうのを発揮してもらう。 同時に私は、国の方も
地方
に遠慮しないで、これとこれは国の
権限
だからしっかりやれ、ちゃんと守りなさいよというのは、やはりこの際きちんと、
政治的中立性
も含めて、しっかり国の
役割
、例えば
教育水準
をどう担保するかなんというのもしっかり国がやってもらった方がいいんじゃないか、こう思っています。
中嶋哲彦
40
○
中嶋参考人
二点お答えしたいと思いますが、
教育委員
あるいは
教育長
が十分
責任
を果たしていないということでしたけれども、その議論の際には、
教育委員
の任命権者である
首長
がどういう人物を
教育委員
として任命したかという
責任
が問われるというところについてもお
考え
いただきたいと思っています。
二つ目
に、
教育
監査
委員会
を設けることによって
教育行政
が適切に行われているか否かをチェックするということでしたけれども、先ほどの
委員
の御
発言
の中にもありましたように、
首長
が適切な
行政
を行っているか否かというのを
議会
がチェックするという
仕組み
があります。その上でさらにここに
教育
監査
委員会
を設けることになれば、この
教育
監査
委員会
は、
教育行政
の監査ではなくて、むしろ
学校
教育
活動や教員の活動を監査するという
役割
を果たしてしまいかねないという
意味
で、この監査
委員会
も一緒になって
教育行政
による
教育
に対する不当な
支配
を及ぼす
可能性
があると
考え
ています。 以上です。
鈴木望
41
○鈴木(望)
委員
ありがとうございました。
小渕優子
42
○
小渕委員長
次に、中野
洋昌
君。
中野洋昌
43
○中野
委員
公明党の中野
洋昌
でございます。 本日は、
梶田参考人
、また
穂坂参考人
、そして
中嶋参考人
、大変お忙しい中来ていただきまして、また、それぞれのお
立場
から、それぞれの御経験も踏まえながら大変に貴重な御
意見
をいただいております。今後の
国会
の議論にぜひとも
参考
にさせていただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 さて、まず、先ほど来、三人の
参考人
の皆様、今の政府案あるいは野党の案もございます、また、
現行
の
教育委員会制度
にどういう課題があるか等々も含めて、それぞれのお
立場
から御
意見
をいただきましたので、私の方からはもう少し掘り下げた議論をしていきたいと思います。 まず、
梶田参考人
に、先ほど
お話
しいただいた中に、合議制でやっていく、また、
教育委員長
と
教育長
を同じ新
教育長
という形でやっていく、また、
総合教育会議
を開いて
首長
と
教育委員会
の
意見
交換をしていく、この三点については評価をする、こういう御
意見
をいただきました。 私、この政府案、今、
制度
としては政府案としてあるわけでありますけれども、これから運用していくに当たっていろいろな点に気をつけていかなければ、いい
方向
にも行くし、あるいは余りよくない
方向
にも、これは運用によって大分
実態
が変わってくるんじゃないかな、こういう感想を持っております。 そこで、この運用について何点かお伺いをしたいんですけれども、まず
一つ
は、新しい
教育長
を今回、
教育委員長
、
教育長
、従来別々だったものを同じ人が
教育長
という形で新しい
制度
としてつくるわけでございますけれども、この新
教育長
制度
をうまく機能させるに当たって、やはり運用が大事になってくるかな。例えばどういう人を選んでいくかであるとか、あるいは先ほど
参考人
がおっしゃった、任命するに当たっての手続をどうしていくかとか、何点かあるというふうに思うんですけれども、新しい
教育長
制度
をうまく機能させていくためにどういう点に気をつけていけばいいか、どういう人を選んでいけばいいか、これについて
梶田参考人
にお伺いをしたいというふうに思います。
梶田叡一
44
○
梶田参考人
今回のこの政府案がそのまま進んでいく場合に、これが
制度
化されれば一番キーになるのは、新しい
教育長
さん、これをどういう人になってもらうかだと思います。まさに私は、気骨があって見識があって、そういうことでなきゃいけない。そして、
責任
感。先ほど私が申し上げましたけれども、
責任
感を持つ、ある
責任
を引き受けるということは、本当に、何時間そこに勤務しているかとか、幾らお金をもらっているかということではないと思うんです。それをちゃんと
考え
なきゃいけないなというふうに思っております。 時には、
首長
さんに公の席で、例えば
都道府県
の
議会
なんかで違う
意見
を言えるような人でなければ私は困るなと。これは、実際に
大阪
府で二年ほど前にありました。私は、非常にその
教育長
さんは偉かったなと思っておりますし、またそのときの知事さんも偉かった。普通だったら、
議会
で知事さんの
教育
の
考え方
について公に批判すれば、いろいろな形で、やめてもらうという形になりますけれども、そうでなかった。私は、
大阪
府で起こったことは、これからの
首長
さんと新しい
教育長
さんの
関係
を象徴する、非常にいいことだったな、そういうふうに思っております。
中野洋昌
45
○中野
委員
ありがとうございます。
責任
感を持った人を選ぶ、どういう人を選ぶかという任命がやはり肝になってくる、こういう
お話
であったというふうに思います。 そしてもう一点、今回新しく設けるものとして、
総合教育会議
、ここにおいて
首長
と
教育委員会
が議論をする、こういう新しい
制度
が入っておりますけれども、これについても、恐らく、どういう形の運用をするかによって、これがうまく機能したりあるいは余り機能しなかったりというふうになっていくかと思います。
梶田参考人
、この新しい
総合教育会議
、これを実際にうまくメリットを出していくためにはどのような運用をしていけばいいのかについて、少し御
意見
をいただければというふうに思います。
梶田叡一
46
○
梶田参考人
これも本当にキーになることですが、形として言いますと、今は
首長
さんと
教育委員会
メンバー、
教育委員
がつくるということになっておりますが、私はそこに、若干書き加えてありますが、学識経験者、これをやはり入れていくことが非常に大事だろう。しかも多様な
意見
をいわば代表する学識経験者、一色でなくて、これを入れていくことが大事じゃないか。
大綱
を決めていくときにはいろいろな
意見
がぶつからなきゃいけないだろう、そういうふうに思います。これも二年前の
大阪
府の場合ですけれども、
教育振興基本計画
をつくる、そういう
委員会
がつくられまして、そのときに、先ほどの維新の知事さんと、
議会
でちょっと批判をした
教育長
さん、両方から、私、
委員長
の辞令をいただいてやらせてもらいましたけれども、そこに多様な人が出ておられたので、
一つ
の
政治
党派のあるいは
政治
的なグループの主張でない、そういう、十年を見据えた五年間の具体的な
大綱
ができたと私は自負しております。 ぜひ、去年の二月か三月に府
議会
を通りました
大阪
府の
教育振興基本計画
を見ていただきますと、知事さんの持論ともちょっと距離があって、といってそれを批判する側とも距離があって、私がまとめ役で口幅ったいですけれども、バランスのとれたものができている、そういうふうに思っております。
中野洋昌
47
○中野
委員
ありがとうございます。
総合教育会議
、
振興基本計画
の話が少し出ました。私、最後にもう一点、
梶田参考人
に運用の点で、三点目で、実は
振興基本計画
の御自身の
策定
の御経験を踏まえて
お話
を伺おうと思っております。 と申しますのも、今回新しく、
大綱
について、全ての自治体がこれを定める、こういうことになっております。それと、
現行
でも
地方
で
教育振興基本計画
を定めることができる、こういう形になっておりまして、実際に
策定
のプロセスをおっしゃられると、知事部局であるとかあるいは
教育委員会
サイドであるとか、どちらの
意見
も聞きながら
策定
をする、こういう
お話
でございました。 その経験も踏まえて、今回新しく、
大綱
については
首長
が
総合教育会議
の中で
教育委員会
と
協議
をしながら
策定
する、こういうプロセスになってくるというふうに思いますけれども、御自身の御経験の中で苦労された点も踏まえて、先ほど少し
お話
もされましたけれども、どういう点に注意をしていけばいい
大綱
というものができていくのかというものを、少し御
意見
をいただければというふうに思います。
梶田叡一
48
○
梶田参考人
これも
政治的中立性
という点から非常に大事なことでして、国の
教育振興基本計画
、これは十年の
見通し
の中で五年間のとりあえずの
計画
をつくることになっております。これと同じ
考え方
で、
都道府県
やらあるいは一部の
市町村
はつくっているわけです。これが大事だと思うんです。 というのは、五年十年の中に、例えば
都道府県
議会
の多数派が、あるいは知事さんやら
市長
さんの支持母体が変わることもあります。変わってもこれだけは大事にしなきゃいけないよねというのをやはりきちっとやっていかないと、継続的な
教育
の発展というのはないだろうと思っております。 したがって、
委員
の選び方も、多様な人をというのはそういうこともありますが、同時に、
運営
の仕方も、
首長
さんの支持母体が変わろうと、あるいは
議会
の多数派が変わろうと、これだけは絶対にやらなきゃいけないという、そこに絞ってやはり
大綱
をつくっていかなきゃいけないんじゃないか、そういうふうに思います。
中野洋昌
49
○中野
委員
ありがとうございます。 やはり、先ほど御指摘のとおり、長いスパンの
計画
になっていくということで、ここだけはやはり変えてはいけない非常に大事な部分を議論していくのが大事なんじゃないか、こういう御指摘だったというふうに思います。 三つ質問させていただきましたけれども、しっかりと踏まえながら今後の議論をしてまいりたい、このように思います。 続きまして、
穂坂参考人
に
お話
を少し伺いたいというふうに思います。 御経歴を拝見しますと、市の役所から
地方
議員、あるいは
志木市長
もされて、さまざまな
地方
行政
の
現場
で大変御苦労されてきた、このように拝察いたしますけれども、先ほど来の
お話
の中で、やはり、国と
地方
自治体、あるいは、
地方
自治体の中でも
市町村
と
都道府県
とあるかもしれませんけれども、それぞれ
役割分担
をしっかり、
権限
を分担していくことが大事なんじゃないか、こういう御
意見
をいただきました。あるいは、
地方
の
自主性
というか、それぞれ特色を生かしてどうやってやっていくかということが大事なのではないか、こういう御
意見
もいただきました。 こうした点について、
穂坂参考人
の今までの
地方
行政
の御経験から、もう少し具体的に、どういうことをしていけばいいのか、あるいは
地方
にどういう取り組みが求められているのか、こういう点についてお伺いをしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
穂坂邦夫
50
○
穂坂参考人
具体的には、例えば、私も親族にも
教育
関係
者が多いんですが、志木市でもそうだったんですが、例えば、校長先生も一般の教員も県の
人事
です。私の同期が
教育長
をちょうどやっていた時期もあったんですが、県が全部、政令指定都市を除いては県が一〇〇%持っているわけです。ですから、何か起きても、県の
人事
ですから、市では、上申権みたいなものが
法律
には書いてあるんですが、現実的にはそんなにそれがそのまま使われるわけはないんです。全部が上申権が上がってきちゃったら、悪い先生は行くところがないですから。そういう
意味
ではこれも形骸化している。 そういう中で、やはり、
一つ
の例をとれば、
都道府県
は
都道府県
で何をするのか。それから、国も、例えば教科書の検定とかそういうのはしっかりやってもらったり、さっきも言ったように、
教育水準
をきちんとやっていない
市町村
がある、というのはなぜかというと、無償でやるわけですから、全部国の費用で
義務教育
をやれということになっていますから、そういうものを担保するかわりに、やはり国は
市町村
や
地方
に何を求めるのかというのもしっかり私は決めてもらった方がいい。 そういう
意味
で、
役割分担
がおのずからあるでしょう。
役割分担
が明確になれば、今度は逆に、
教育
現場
も、自己の創造性とかあるいは
自主性
とか、こうやらなくちゃいけないとか、いろいろな
意見
が出てくるんです。 今、ほとんど上を見て、
都道府県
に聞いたり国に聞いたりして、逆に受け身の態勢で
市町村
の
教育
の
現場
の
行政
が行われている。もっと
自主性
を醸成できるような、そういうシステムがあればいい、それには
役割分担
が明確な方がいい、こういう
意見
です。
中野洋昌
51
○中野
委員
ありがとうございます。 時間ももう迫ってまいりましたので、最後に
中嶋参考人
に一点お伺いをしたいんですけれども、今回の政府案に対して、実質的には
首長
の
権限
が大きく強まってしまうのではないかという御懸念をお持ちだ、このような御
意見
かというふうに思いますけれども、他方で、今回、
教育委員会制度
改革
をするに当たって、やはり、いじめの問題など緊急時にどうやって対応をしていくのか、あるいはしっかり
責任
を
明確化
させていくのか、こういう議論もあったかというふうに思います。
中嶋参考人
、緊急の対応であるとか
責任
が現在の
教育委員会
は不明確ではないかとかこうした指摘に対しては、では、どのような改善をしていくのがいいのか、これは最後に
中嶋参考人
に御
意見
を伺いたいというふうに思います。
中嶋哲彦
52
○
中嶋参考人
これは先ほどお答えしましたけれども、
教育委員会
の
委員
に対する情報を適切に
教育委員会
事務
局から
委員
に対して流すこと、それから、合議制の場を明確にしていくこと、設けていくこと、これが大事だと思います。 それから、閣法の一条の四第一項の第二号が今
委員
が御
発言
になったいじめに関するもので、それがここに対応するものも入っていると思います。 ただ、先ほど私は一号に問題があるというふうに申しました。一号は、どんな事柄についてもいつでも審議の対象にできる、
協議
の対象にできる、それが残っているところに問題があるということです。
中野洋昌
53
○中野
委員
ありがとうございます。大変貴重な御
意見
となりました。しっかりとこれからも議論を深めてまいりたいというふうに思いますので、以上で私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
小渕優子
54
○
小渕委員長
次に、柏倉祐司君。
柏倉祐司
55
○柏倉
委員
みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。 きょうは、ゴールデンウイーク明け、わざわざ当
委員会
までお越しいただきまして、どうもありがとうございます。
教育委員会制度
改革
、我が党はずっと以前から、
教育委員会
の存続に関しては、廃止も含めて
地方
にその
選択
権を委ねるべきだという形で、
穂坂参考人
が一番最初にお唱えになったところから実は着目してまいりました。そういった形で、きょうは、
穂坂参考人
中心で非常に申しわけないのですが、質問をさせていただきたいと思います。
穂坂参考人
にお伺いしたいんですが、きょう配られている資料でも、
教育委員会
廃止論の提唱者という形で刷り物があるかと思うんですけれども、
教育委員会
存続を含めて
地方
がこれを決定すべきだというふうに一番最初に公的に、公式におっしゃったのが
穂坂参考人
だと思います。そこのところの現状認識、要は、その御主張に変わりはないかどうか、そして、どういう形での
教育委員会制度
の
選択
、具体的にそこの当初の念頭にあったところを敷衍して御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
穂坂邦夫
56
○
穂坂参考人
それぞれ
基本
は、
地方
の
自主性
とか創造性をやはりしっかり担保しなくちゃいけない。それからもう
一つ
は、国や
都道府県
や
市町村
の
役割
をはっきりしなくちゃいけない。そういうものを合わせた上で、それぞれの
行政
責任
を明確にしなくちゃいけない。それからもう
一つ
は、
市民
、
住民
の
皆さん
にわかりやすいシステムをつくらなくちゃいけない。 そういう
意味
を合算して、
市長
のときに
教育委員会
必置規定の廃止なんかも国の構造
改革
特区に出したことがあるんですが、
教育
の場合には国家百年の計という大事なこともありますから、それらをずっと
考え
てくると、今の
教育委員会制度
、もう六十年以上たっているんですから抜本的に変えて、今指摘したような四、五点をとにかく明確にする。その上で、十年も十五年も耐えられるようなそういうものをつくっていく。できれば国にそうお願いしたいという願いも込めて、
教育委員会
再生論なんですが、名称廃止論になっちゃったんですが、そういうことでやっていったらいいのではないかというのが一点です。 それから、構造
改革
特区へ出したときは、やはり、必置規定というのは、
基本
的には全部ゼロではなくて、今のままでいいという
市町村
もあるでしょう、でも、もっと新しい
教育委員会
というものをつくりたい
市町村
もある。そういうものも両方あってもいいのではないか。 ですから、あそこは部分的にというのが構造
改革
特区の
特徴
でしたから、志木市は一回実験でやってみる、もしそれがよければそういういろいろな
制度
を競わせてもいいと思うし、あるいは、だめだったらやはりだめだよ、そういう
意見
でもいい。ですから、抜本的な、新たな
教育委員会制度
をやってもいい
市町村
、特区、そういう
意味
で出したんです。 ですから、うちでも、全部それがいいか悪いかというのは五年、十年たってみないとわからないものですから、そういうものでとりあえずやってみたらいいのではないか。
現行
は
現行
でやっている
市町村
がある、それから、新しい
教育委員会制度
をつくってみる、これが構造
改革
特区の
一つ
の
特徴
でしたから、この辺もやってもらったらどうかということで出したんです。それが真意です。
柏倉祐司
57
○柏倉
委員
あくまでも、理想形に到着するまでにいろいろな試行錯誤があって、その中で、過渡的な位置づけとして、
教育委員会
を必置するしない、それも含めて
地方
に判断してもらうというような理解でよろしいんでしょうか。
穂坂邦夫
58
○
穂坂参考人
それは、あくまでも私が出した真意は、構造
改革
特区でやる。今の現状でそれぞれ
市町村
が自由にやれといったらこれはめちゃくちゃになっちゃいますから、ある
意味
では、そういうものを申請する、うちのところでやってもらいたいというのを、あの
制度
自体が試行的な
制度
でしたから、試行的な
制度
でやってもらいたい、今でもその
考え
には変わりはありません。ばらばらでやり始めちゃうと、これはもう収拾がつかなくなっちゃうので。 例えば、全然これとは違いますが、農業
委員会
も、うちなんかは
調整
区域が
一つ
もなかったものですから、そういうものも、志木市の、ないところはないところなりの農業
行政
というのはどうあった方がいいのかということで国の方に出したものですから、その一環として、
教育委員会
も、その必置規定の廃止は、やはり構造
改革
特区、
一つ
の自治体で実験的にやるべきではないか、今でもそう思っています。ばらばらで始めたら収拾がつかなくなる、今でも思っています。
柏倉祐司
59
○柏倉
委員
ありがとうございます。 おっしゃることはよくわかりました。ある
意味
、いっせいのせで各
地域
がやりたいことをやる、これでは収拾がつかないというのはよくわかります。 ただ一方で、現状、今回政府案が出てまいりました。こういった形で、全国一律、金太郎あめで現状やってしまっていいのか。今おっしゃりました農業
委員会
の問題、
調整
区域の問題、それとやはり同じような問題も
地域地域
に、
教育
に関してもあると思うんですね。
執行
猶予という表現は悪いんですが、やはりまだ何年かは大目に見て、こういう
制度
がいいんじゃないかと
地方
地方
で何パターンかに分けて選んでもらって、それで最終的には何種類かに類型されると思うんです、収束していくと思うんですね。 そういったことを、まだ試行錯誤をやる段階ではないかというような主張、我が政党はそういう主張なんですが、そういう
考え
についてどのようにお
考え
か、お聞かせください。
穂坂邦夫
60
○
穂坂参考人
そういうふうに実験的にやってもらえればすごくいいと思います。 私も、もともと、今の
首長
制度
、これもたった
一つ
しかないものですから、
市町村
長の必置規定の廃止も出したんです。何か契約という形で、何とか憲法をクリアできないか、憲法がクリアできれば一元制だっていいじゃないかということで出した経験があります。 これはこれとして、やはり
教育委員会
の
制度
というのは大事なものが
幾つ
かあると思うんです。それをしっかり踏まえた上でやるか、あるいは、どうもここのところが危険だから当面足して二で割ったところでやろうかというのは余りよくないんじゃないかと思うんです。 だったら、今の御
意見
のように、
幾つ
かの案を用意して、手を挙げさせて、それでもってやるというのも、新しい、おもしろい試みではないか、私はこう思っています。
柏倉祐司
61
○柏倉
委員
ありがとうございます。 今回の政府案に関して、それをまたちょっとお伺いしたいんですが、一番
穂坂参考人
がおっしゃっているのは、とにかく
責任
の所在を明確にすることが
教育
改革
の一丁目一番地だ、そういう言い方をしておられます。 今回の政府案は
責任
の所在が果たして
明確化
されているかどうか、そのことに関して御
意見
があれば伺いたいと思います。
穂坂邦夫
62
○
穂坂参考人
一応、全部読ませてもらいました。確かによくできていると思うんですね、透明性もかなり高くなっていますし。 ただ、やはり心配なのは、今
お話
しのように、どこにその
責任
の所在があるのかということ。例えば
市町村
の
教育
大綱
についても、全部
教育委員会
の
事務
局がやる。
教育長
はただ参加をして、
首長主導
でやる。
首長主導
でやるといったって、
教育委員会
の傘下の
事務
局が原案をつくる、そういうふうにもうやらざるを得ないです、
現場
では。そうなると、なかなか難しいんですね。
教育長
の下に
執行
機関
として
教育委員会
の
事務
局がある。今度は逆に、多分、こういう
教育
大綱
を
市町村
でつくるといったって一般
行政
じゃできませんから、どうしても
教育長
の下で
大綱
をつくる。それで、この原案が出てきますよね、そこに
首長
が
主導
でやるという、何かそこのところがわかりづらいというのが一点。あるいは、現実とちょっと離れているんじゃないかというのが
二つ目
。それから
三つ目
は、やはり最終的に、では、その
大綱
の
責任者
は本当に
首長
なのか、あるいは
教育長
なのか。今度は
教育委員長
と
教育長
が一緒になったというのは、私はいいことだと思うんですよ。今でも誰も
責任者
はいないわけですから。
委員長
さんは単なる座長で、
教育長
さんは
事務
局長ですから、今の
立場
上は。 だから、そういう
意味
では
実態
とかけ離れているんだけれども、
法令
的にはそうなっているので、これからやる上でどうしてもやはり危惧感が残るのは、
市民
が見たときに、では、
大綱
の
責任者
は誰、
首長
だというふうに明確に言い切れるのかどうか、そこのところを私は心配しているんです。 やはりそういうことをもっと明確に打ち出す、ところが、打ち出すと今度は、さっき言ったように
中立性
という問題がそこにひっかかってきちゃうのでなかなか難しいんだ、だったら、
中立性
をどういうふうに担保するかの上で、一歩進んでどうあるべきかということを
考え
てもらいたいな、私はこう思っています。
柏倉祐司
63
○柏倉
委員
ありがとうございます。
教育委員会
がもしもなくなっても、それは
首長
のもとで部局長のように
教育長
としっかりと議論をして進めれば問題ないんだというようなお
考え
もあったかと思います。 そういったことが現実になった場合、我々として一番気にしなければいけないのは、やはりレーマンコントロールをどうやって反映していくかということだと思うんです。クローズドなサークルで
教育
というのを語り方針を決めるということでなくて、やはり民意をどうやって反映させるか。
教育委員会
をもし廃止した場合、最初の原点に立ち返っていただいたときに、どのようにレーマンコントロールを反映させていくか、そういった方策、お
考え
があれば伺わせていただきたいと思います。
穂坂邦夫
64
○
穂坂参考人
私の全く素案なんですが、「
教育委員会
廃止論」のところに書いたんですが、やはりレーマンコントロールをきかせるためには、できれば二十五、六人の人数。やはり五人ではとても無理なんですね、
首長
だけが選んでやるという形ですから。
一つ
は、二十五、六人がいいだろう。それからもう
一つ
は、では、それを選ぶのは、やはり
議会
の
一つ
の
意見
が反映できるような、そういう
制度
だっていいと思うんです。例えば、政党から推薦をしてもらうのもいいでしょう、あるいは
市民
団体から推薦してもらうのもいい。やはり多様な
意見
をそこに入れる。政党代表だって私はいいと思うんです、それは
議会
構成によって多少の変化はあると思うんですが。やはりそういうふうに
議会
が関与しているのが
三つ目
の条件です。 そういう
意味
で、二十五、六人程度、それから
議会
が関与をする、それからもう
一つ
、一番大事なことは、多様な人材から成って、さっき中教審という話をしましたが、例えば、強い監視とは言いませんが、
地方
教育
審議会
、仮称なんですが、そういう名称で、その位置づけは
条例
とかで
地方
がしっかり担保する、それから、国の方では
法令
でそういうものを
地方
に義務づける、そういう
役割分担
が明確になれば、別に今の
教育委員会
にこだわる必要はない、こう思っています。
柏倉祐司
65
○柏倉
委員
大変
参考
になる御
意見
をありがとうございました。 お二方には非常に申しわけないことをしまして、本当に済みませんでした。我が党としては、
穂坂参考人
からきょう御
意見
を賜ったものを、修正案等をぜひ政府案に反映させていければなというふうに
考え
ております。 時間が参りましたので、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
小渕優子
66
○
小渕委員長
次に、井出
庸生
君。
井出庸生
67
○井出
委員
結いの党、信州長野県出身の井出
庸生
と申します。 本日は、三名の
参考人
の皆様、お忙しいところを本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 私からまずお伺いをしたいのは、
教育委員会
の
制度
改革
からもう少し大きな、今の
教育
改革
の議論で
お話
を伺いたいのですが、安倍総理が
教育
再生という言葉を第一次安倍内閣のときから掲げてこられて、きょう来ていただいている三名の皆様も、かつて、
教育
再生に関する特別
委員会
にも
参考人
として来ていただいたこともあるやに聞いております。 私自身は、その
教育
再生の意図するところ、目的は何なのか、また、さきの衆議院選挙で与党自民党の掲げていた「
教育
を、取り戻す。」その目的、意図するところは何ぞやということをこれまで何度か、この
委員会
ですとか本
会議
でも伺ってきているんですが、三名の皆様の、
教育
再生、安倍総理の
教育
改革
に対する評価というものをまずお聞かせいただければと思います。それぞれよろしくお願いいたします。
梶田叡一
68
○
梶田参考人
私は、安倍総理の、
教育
を大事にしていこうという姿勢、これは高く評価したいと思います。ただし、その再生という言葉で、これはいろいろな見方がありますけれども、何か後ろ戻りの議論になっていくと困るなと思います。 ただ、非常に大事なのは、やはり日本は
教育
でやってきた国だと私は思っております。江戸
時代
に庶民にあれだけの
教育
が普及していたから明治維新から後の発展もあったわけですし、そして、明治、大正とあれだけ短い間に欧米と伍してやれる、そういう力がついたのも
教育
の力です。それがいつの間にか緩んじゃっていた、非常に緩んでいた時期があると私は思います。 それをもう一度やらなきゃいけない。例えば、科学技術の土台になるようなそういう力もつけなきゃいけないし、でなきゃ日本の国は食っていけませんから。あるいは精神性、これを安倍内閣がおっしゃっている道徳
教育
と同じようにとられては私は困るんですけれども、ちょっと違う面で申し上げておりますが、しかし、精神性ということを大事にしたそういう
教育
がなされなきゃいけないし、あるいは、今回の指導要領の改訂で伝統文化の
尊重
ということを言いました。日本は随分古くからすばらしい文化を持っているんですよ。これを次の世代にどうやって渡していくか、これも
考え
なきゃいけないし。 こういうことを
考え
ますと、今、私たち、とっても大事な
教育
の課題、つまり、次の
時代
をどういう人たちに担ってもらうかという課題を
考え
なきゃいけない時期に来ている。 これについて安倍内閣がいろいろとおっしゃってくださっているのは、その個々の具体的なことにつきましては、これは国民的な議論をやっていかなきゃいけない面があると思いますけれども、そのこと自体は私は非常に大事だなと思っております。
穂坂邦夫
69
○
穂坂参考人
やはり、いろいろな
制度
も、六十年も七十年もたてば変わってくる、あるいは劣化してくる。劣化の理由は、
子供たち
のそれぞれ
考え方
も変わってきます。それは、社会環境が大きく変化するから当たり前のことなんです。ずっと昔から同じ心というのは、もちろん道徳とかそういうものはあると思うんですが、しかし、全体的には社会環境の変化がやはり大きいんです。そういうものに対して、やはり
制度
とかそういうものは合わせたように変えていくということが私は必要だと思うんです。 だからそういう
意味
では、安倍総理がいろいろなことで言ったことが、例えば
教育委員会
の
制度
も
考え
よう、新しくしていこうということですから、せっかくこういう機会なんだから、やはりもう少しできれば議論を重ねて、多くの
国会議員
の方々が賛同できるように、そういうふうにいいところ、悪いところを積み上げていただいて、せっかく六十数年もたったものを変えるわけですから、ある
意味
では、一回変えたらそう簡単には変えられないんですよ、こういう
制度
というのは。ですから、そういう
意味
では、もっともっと議論を積み重ねて、いいところ、悪いところいろいろ挙げていただいて、政党とかそういうものに余りこだわらないでやってもらった方がいいなと、真実そう思っています。
中嶋哲彦
70
○
中嶋参考人
安倍
教育
再生をどう
考え
るかということですね。 安倍
教育
再生の議論の中には道徳
教育
などもあると思いますが、きょうのこの
教育委員会制度
改革
の議論との
関係
でいえば、道徳
教育
の強化というところとはまた違って、経済再生、そのための産業競争力強化と大変関連が深いと思っています。 産業競争力の強化を図っていくということが非常に安倍政権の大きな主課題にしていると思いますが、
教育
制度
もその一環として、戦後のこの六十数年にわたる
教育
制度
は、言ってみれば再分配型の
教育
制度
だったと思っています。つまり、再分配というのは富の再分配ですね。国で税を集め、その国費、公費によって
教育
を保障していく。それによって
教育
の機会均等を実現する。それは、できる限り平等な
教育
を国民に保障するという
意味
での、富の再分配型の
教育
制度
がこの六十年にわたって行われてきたと思います。 ただ、今
考え
られている産業競争力強化のための
教育
改革
は、それとは違って、これは私の言い方なんですけれども、資本蓄積重点型の
教育
制度
、要するに、産業競争力を強化していくためのグローバル人材や、あるいは競争力人材の育成に重点化した
教育
制度
に転換していこうとしているのではないかと思っています。 それはまさに転換でありますから、これまでの
教育
機会均等の原理、これは憲法で保障しているわけですけれども、これが今危機に立っているというふうに認識しています。
教育委員会制度
改革
もこれに極めて深く連動していると思っています。
教育委員会制度
は、戦後の再分配型の
教育
制度
を充実させていくということを使命にして生まれた
行政
機関
の
制度
だと思っています。要するに、
教育
条件整備を任務とし、国民の
教育
を受ける権利を保障するという
方向
に
方向
づけられた
行政
機関
として戦後つくられています。これを今日廃止する、あるいは
首長主導
型にするということによって、
教育委員会
がこれまで担ってきた
教育
条件の整備、機会均等、これが危機に立つんだというふうに思っています。 先ほど、主として
政治
的中立のところに力点をかけて申し上げましたけれども、
委員
に今御質問していただいた文脈からすれば、この再分配型の
教育
制度
が
教育委員会制度
改革
と非常に深く連動しているというふうに思っています。 以上です。
井出庸生
71
○井出
委員
ありがとうございます。 安倍総理の
教育
再生の中で、この
教育委員会制度
の
改革
というのも
一つ
の目玉である、そう述べられていますし、私もそうなのかなと感じておるのですが、しかしながら、そこの
教育委員会制度
のあり方を議論しようという大きな直接的なきっかけとなったのは、先ほどからも話に出てきています、あの大津のいじめの事件だったと思います。 大津のいじめの事件、あの事件で問われたものは何かといえば、お子さんが命を落としてしまうような本当に重大、深刻な事態があったときに、では、誰がその
責任
をとるのか。逆に言えば、平時、ふだんの
教育
というのは、
地域
や
学校
が裁量を持って
現場
中心でやっていけばいいのではないか、そういう思いを持っているんですが、本当にもうこういうことがこれ以上繰り返されてはいけないと思っているんです。 そういう大津のような、お子さんが命を落とすような重大事態があったときに、
責任
を持ってその対処に当たっていく、調査をしていく、再発防止に事実
関係
を明らかにしていく、その最終的な
責任
は、私はやはり自治体の長なのではないかなと。
現行
の
制度
においても、
教育委員会
、
教育委員
の任命の形式、任命
責任
というものもありますし、本当に最後の最後は、そういう非常事態は
首長
の力、裁量、能力が問われるのではないかと思うのですが、その点について
皆さん
の
考え
をそれぞれ伺いたいのですが。
梶田叡一
72
○
梶田参考人
責任
ということの
意味
を余り単純に
考え
ちゃいかぬと思うんです。大津の、いじめで自殺した、まず最初に
責任
を感じていないといけないのは担任ですよ。次は校長ですよ。
教育委員会
ですよ。そして、それを管轄する市かもしれませんね。あるいは、その上の滋賀県もそうかもしれない。文部科学省もそうかもしれない。みんなが多層的に
考え
なきゃいけないですよ。それで、これは、
一つ
のところが
責任
をとって、誰かが腹でも切れば済むという話じゃないんですよ。 ですから、大津の事件をきっかけにこういうことが進んで、議論の仕方が余りにも単純化され過ぎた。私は先ほど、
現場
主義ということをとっても大事だということを申し上げました。非常に、私は民主党の
委員
の方の御指摘に賛同いたします。 でも、これは、下手なことをすると、
現場
を全然すっぽ抜かして
首長
のところまで行かないと、結局、議論をして対応策がとれなくなっちゃうと思うんです。いろいろな問題が起こったら、まあ、担任はというのはいろいろな事情があるでしょうから、まず
学校
ですよ。
学校
というものがしっかりしなきゃ、何も結局は前進しません。 それから、もう
一つ
だけ申し上げておきますと、今の
制度
ですと、私は、調査をして、これが再発しないためにまずやるべきなのは
教育委員会
だと思っております。ただし、それがうまくいかないという、今回は、はっきり言いますと、報告も連絡も相談もどうも
教育委員会
の中でなかった、そういう報道がなされております。あるいは、連携していろいろと動くべき
教育委員会
の内部のあれもうまくいかなかったというふうに聞いております。 こういうことであれば、その上の市が、それは口を出さないといけないこともあるかもしれない、県がということもあるかもしれない。だけれども、今の
制度
ですと、
教育
のまず
責任
をとらぬといかぬのは、設置者であるところの
教育委員会
なんですよ。そこのところを忘れてどんどん上に行ってしまえば、まさに
現場
主義ということが崩れていくだろうと私は思っております。
穂坂邦夫
73
○
穂坂参考人
私は、
責任
の所在といいますか、
権限
の所在と言いかえてもいいと思うんですけれども、それをはっきりしておかなくちゃ、わからなくなっちゃうんです。担任は担任の
責任
があるでしょう。それから、
学校
は
学校
の
責任
がある。
教育委員会
の
責任
もある。
首長
の
責任
がある。そういうそれぞれ国や
都道府県
も
一つ
の同じように
責任
の所在が明確でなければ、例えば再発防止をどうしていくか、うやむやになっちゃうんですよ。 やはり
責任
上というのは、ただ腹を切らせるんじゃなくて、誰が
主導
的な
立場
に立って、これから先、二度と起きてはいけないようなことをしっかりその再発防止策をきちんとつくっていくか、対応策をどうつくるか、この辺が大事なんです。 私は病院なんかも経営していますが、例えば、病院なんかも話は同じようなんですよ。例えば、病院に行けば、何かあったら医者が
責任
をとるんです、訴訟の対象になりますから。ただ、ぐるぐる回っているうちに大変不幸なことに亡くなっちゃうと、要するに入院患者のたらい回し事件です。そのときには誰も
責任
をとらないんですよ。 と同じように、
教育
も、やはり誰かがその
権限
に応じた、そのセクション、セクションのしっかりした
責任
を明確にしておかなければ、再発防止はなかなかしっかりしたものはできない。一過性の問題で、しばらくたったらまた大津のような事件が起きてしまう。そういう危険性がある。このことを指摘しておきたいと思います。
中嶋哲彦
74
○
中嶋参考人
二点お答えしたいと思います。
一つ
は、
委員
が、
首長
が
教育行政
には最終的に
責任
を負う必要があるということをおっしゃったと思いますけれども、その根拠として、
首長
が
教育委員
を任命するということが多分あるんだろうと思います。ただ、
首長
が
教育委員
任命権を持っているということと
教育行政
に最終的に
責任
を負うということは、分けて
考え
るべきことだと思います。 というのは、
現行
の
地方教育行政法
は、
首長
と
教育委員会
をそれぞれ独立した
行政
機関
として設置しています。その上で、
教育委員
は、かつては
住民
による公選が行われていたわけですけれども、一九五六年の法
改正
で廃止されて、
住民
にかわって
首長
が任命するという形をとっただけなんですね。ですから、
首長
と
教育委員会
の間には上下
関係
はないわけです。その
意味
では、
首長
が最終的な
責任
があるということは、
現行
法上言えないと思います。 また、
二つ目
ですけれども、大津などで
教育委員会
によるいじめの隠蔽ということが問題になっているのは、
一つ
は、
教育委員会
が
学校
の
管理
権を持っていて、その
管理
権の行使の中で起きた事件を隠蔽してしまったということだろうと思うんですけれども、その構造は、
首長
に
学校
管理
権が移った場合にも全く同じように起きる
可能性
はあると思っています。 つまり、
教育委員会
だから隠蔽したのではなくて、
管理
権を持っている者は隠蔽する
可能性
があるということ、そういう権力に対する一定の不信は持つべきだと思っています。 その
意味
では、
教育委員会
の
権限
行使に関しては、先ほど
梶田参考人
がおっしゃったように、
教育委員会
の
学校
管理
の
運営
について、
子供
が死ぬというような事態に当たっては、
議会
や
首長
がそれぞれの
立場
でお互いをチェックし合うというように機能すべきであって、
権限
を
首長
に移せば問題が解決するわけではないと
考え
ています。 以上です。
井出庸生
75
○井出
委員
貴重な御
意見
ありがとうございました。今後の
参考
にさせていただきます。 どうもありがとうございました。
小渕優子
76
○
小渕委員長
次に、宮本岳志君。
宮本岳志
77
○宮本
委員
日本共産党の宮本岳志です。 きょうは、三人の
参考人
の
先生方
、本当にありがとうございます。 三人の
先生方
の
お話
を聞かせていただいて、
政治的中立性
の重要さ、これはもう議論の余地なく、お三方とも冒頭にもお述べになりました。非常に大事なことだと思うんです。 まず
梶田参考人
にお伺いしたいんですけれども、先ほど少し触れられた京都の革新府政
時代
のものについては、これは私は事実も見解も若干異にいたしますけれども、おっしゃるとおり、やはり
首長
に
権限
を集中するというのがいかがなものか、こういう問題意識は共有したいと思っております。私たちも、
首長
、
政治
家による
教育
への
政治
介入はだめだというふうに思うんです。 それで、
提出
されている政府
法案
を見ますと、確かに、
教育委員会制度
は残りますし、
教育委員会
の
職務権限
もそのままになっているわけでありますけれども、
首長
が
教育長
を任命し、
教育
施策の方針となる
大綱
を定める、こうなっております。これでは、
教育委員会
は
首長
による
政治
支配
をなかなか排せない、
教育委員会
は
首長
に従属する危険があるのではないか、私たちはそういうふうに感じております。 それで、先ほど
参考人
も、
梶田
さんも、独走を許さないチェック・アンド・バランスが必要だ、それから、
現場
主義という点では
教育委員会
があって、大事だ、やめてしまえというのではなく、それを強化するにはどうしたらいいか、こういう御
発言
がありました。 率直に、どういうふうに
教育委員会
を強化すべきだとお
考え
なのか、御
意見
をお伺いしたいと思います。
梶田叡一
78
○
梶田参考人
一つ
は、やはりもう少し
権限
を明確にしなきゃいけないと思うんです。これは、
権限
をということは、逆に言うと、
責任
範囲をということになると思うんです。これが今の議論の中で、今の
法案
の中で少し明確になってきましたけれども、もう少し、もう一歩も二歩も明確にしていかなきゃいけないんじゃないか。それが
一つ
あります。 それから、
教育委員
やら新しい
教育長
の任免ということ、これは、実質的にはそれは
首長
さんが名前を出すというのはあってもいいけれども、先ほど私申し上げたように、
議会
で所信を表明して、議員さんとのやりとりをしながら、この人が
委員
にふさわしいかどうか、あるいは新しい
教育長
にふさわしいかどうかを
議会
としてやはりきちっと見ていく。同じことで、罷免の場合もそうです。これは最小限要るんじゃないかなということを思っております。 もう
一つ
、もっと根本的になりますけれども、
教育委員
という方々を選ぶときに、かなりもっともっと広範に、その町に
関係
した人からいい人を見つけてほしいな。つまり、先ほどちょっとありました。常勤でないからとかお金が余り出ないからと言うようなそういう人はもう絶対これはいけないだろうと。そうじゃなくて、だから、本当に四六時中仕事をしている人にはなかなか頼みにくいですけれども、しかし、少し
教育
のためにボランティア的に走り回りたいというような方がおられたら、広範にやはり
考え
てほしい。 最後は、これも人の問題があると思うんですよ。私は、大津の場合も
基本
的には人の問題もあったんじゃないかな、こういうふうに思っております。
宮本岳志
79
○宮本
委員
ありがとうございます。 次に、
穂坂参考人
にお伺いしたいんです。 先ほど、現状はやっていることと建前との乖離が多い、こういう
お話
がありました。
穂坂
さんは著書などで、
義務教育
は中央集権的な
制度
だ、全ての
権限
が文科省にあると言ってよい、文科省という指揮官から
現場
の部隊にさまざまな形で指導助言が下される、しかも、指導助言は実質的に命令であり、反論はおろか、
意見
をさえ言うことができない、これらの副作用が
現場
の意思や創造性を奪い、実施主体全体を受動的機能に特化させている、こう述べておられます。 この中央集権的な部分の評価、これは私もまさにそのとおりだと思いますし、その点で見れば、今回の改定案はこの問題を真に解決するものになっていないと言わざるを得ないと思うんです。 この点で、中央の
教育行政
、これをどう見直すべきか、
穂坂参考人
の御
意見
をお伺いしたいと思います。
穂坂邦夫
80
○
穂坂参考人
私の中央集権の定義といいますか
考え方
は、
役割分担
が不明確なんだというに尽きるんですよ。 さっきも再三言っているように、
教育
であろうと何であろうと、国のやるべき仕事、
都道府県
のやるべき仕事、
市町村
のやるべき、仕事というのは
役割
と
権限
というふうに置きかえてもらっていいと思うんですが、が
一つ
です。 それからもう
一つ
は、
教育委員会
、例えばもっと具体的に言えば、
教育長
と
首長
との
関係
、
役割分担
、こういうものがしっかりしていないと、建前では、お互いに平等な
立場
で、お互いにいろいろ話し合ってやっていきましょう、決して日本は中央集権的な
制度
ではないとは言いながら、
役割分担
が決まっていないと、やはり最終的な財源は、例えば
学校
を新しくつくるにも、例えば耐震の設計をするにも、やはり国にお伺いを立てなければいけないわけですよ。 二十五人
学級
のときに、いいというのは
教育委員会
も物すごく
賛成
している。
議会
も
賛成
している。でも、みんな心配したのは、意地悪されるんじゃないか、例えば
都道府県
からですね、
市町村
の場合には
都道府県
が一番近い直近の
上級官庁
ですから。何でそういうことが起きるのかというと、結局、先生の
人事
権は全部
都道府県
にありますから、アンダーの中で意地悪をされるんじゃないか、あるいは、今度は国に箇所づけで、例えば何かの申請をしたときに、恣意的に、おたくはどうも余り言うことを聞かないからだめだと言われるんじゃないか、そういうことを言われたんです。 ですから、そういうことを含めて言うと、やはり、分権とかよく言いますが、私は、そういう表現よりもむしろ、
役割分担
を明確にする。できるだけ
現場
の
創意
とか
自主性
とか、そういうものを大事にしてもらう。こういう
制度
が、この
教育行政
についてもそれはそうあってほしい、こう思っております。
宮本岳志
81
○宮本
委員
ありがとうございます。
教育
の
地方
分権というのは一九四八年の
教育委員会
発足当時からの大原則でありますから、私たちも、上意下達で国から
学校
現場
にあれこれ指示するようなやり方というものは大問題だというふうに思っております。 さて、
中嶋参考人
にお伺いをいたします。 現状の
教育委員会
に問題があるというのは、これはほとんどの
皆さん
の認識の一致するところであって、それをではどう改善するのかということが問題だと思うんです。
中嶋参考人
が犬山市の
教育委員
を務めておられたときの取り組みについては、先ほど、学力テストへの不参加問題、これは有名でありますけれども、このほかにもさまざまな取り組みがあったと思うんです。短い時間でありますけれども、二、三、例を挙げて御紹介いただけますでしょうか。
中嶋哲彦
82
○
中嶋参考人
犬山市は全国学力テストの不参加でマスコミで大きく報道されたわけですけれども、一九九九年ぐらいから
教育
改革
の取り組みは独自に行ってまいりました。私が
教育委員
になったのは二〇〇〇年からですが、その少し前から始まっていました。 その中では、例えば愛知県では、各
学校
の教務主任あるいは校務主任というのが、校務主任というのは愛知県だけの
制度
ですが、があるんですが、これは本来校長が選任する職なんですけれども、
都道府県
教委があらかじめ予定者を決めて
学校
に配置してしまうということをしていました。その中で、
市町村
教育委員会
が本来有している内申権、教員
人事
に関する内申権が実質存在していないような状況が生まれていました。 これに対して
教育委員会
から、これは法に照らして問題があるんだということを提起し、内申権の実質化を図るということで愛知県
教育委員会
に対して申し入れをし、それを実現しました。 これは、要するに、
地方教育行政法
が定めている
教育委員会
の
権限
が必ずしも
市町村
教育委員会
によって十分に行使されていないという問題です。 行使されていないのは、多くの場合、恐らく、
教育長
さんも
教育行政
についての
専門
性は非常に低いと思っています。つまり、
教育行政
に関する
専門
的な知識をどこで身につけているかといえば、例えば、校長先生として勤務していたときの経験、あるいは、指導主事として
教育委員会
事務
局に勤務していたときの経験に基づいていると思うからです。 今のことからいって、
教育委員会
を強化するという点では、
教育長
の
教育行政
専門
性を担保する
仕組み
を
確保
するということが
一つ
重要だと思っています。 今回の閣法の中では、
教育行政
に関する識見を有するものということになっていて、極めて曖昧な規定の仕方になっているんですけれども、例えばアメリカでは、
教育行政学
の学位を有している者を公募して
教育委員会
の
教育長
に選任するということを行っています。 それから、もう一度犬山市に戻りますが、犬山市では、少人数授業を行ったり、あるいは少人数授業を行うに当たっては、習熟度別によらない共同の学習を行ってまいりました。これは、
市町村
として、
自分
たちの町の
学校
教育
をどのように編成していくかということにかかわる問題です。
基本
的にはこれは
学校
の
自主性
に任されるべき問題であると思っていますけれども、犬山市
教育委員会
は、習熟度別ではない共同学習が重要であるということを
学校
教員に対して指導助言を行い、それに応える形で
学校
が授業
改革
を進めていったというものです。 それに対して
教育委員会
として、教員を配置するであるとか、
首長
に対して予算を請求し、
首長
から予算を獲得するというような活動をしてまいりました。 つまり、国や
都道府県
によって大きな枠組みがつくられている中で、
市町村
の
教育委員会
が自主的に
教育
をつくっていくことができるんだ、あるいは
教育行政
を
地方
自治的に行っていくことができるんだということが、必ずしも現在の
教育委員会
関係
者によって適切には理解されていない。したがって、本来みずからが有している
権限
を十分に行使していない。そのために
役割
が十分果たせていないという問題があると思います。 以上です。
宮本岳志
83
○宮本
委員
非常に貴重な
お話
、ありがとうございました。 今、そういう点では、
教育委員会
の
役割
というのはむしろ非常に大きいというふうに私も実感をいたします。 それで、この議論なんですけれども、政府案、閣法にしても、それから野党案にしても、なぜそういう改定が必要なのかという点ではまだまだ議論がわかりにくい、尽くされていないという面があるわけです。それにはやはりそれなりの理由があって、狙いがあって、では、実際にこの
教育委員会制度
の改悪によって何をやろうとしているかというのがまだまだ見えてきていないからだろうと私は思うんですよ。 先ほど
中嶋
先生は、新自由主義によるグローバル人材の育成ということにお触れになりました。もちろん、
子供たち
の間に競争を進めるためには、学力テストの結果の公表等々、
教育委員会
が抵抗しているという面もありますから、ここを取っ払って、もっと学力テストで競争させようという面がある。これは事実だと思います。 同時に、やはり愛国心
教育
というものを今進めていこうとしているんじゃないかと。先日、文部科学大臣とも、大臣が
教育
勅語が至極真っ当と御
発言
になったことをめぐって随分激しい議論をやったんですけれども、こういう面で、やはり今の政府の
教育
政策、私は不安が大きく感じられるわけですけれども、最後に
中嶋
先生の御
意見
をお伺いして、終わりたいと思います。
中嶋哲彦
84
○
中嶋参考人
今
委員
のおっしゃったとおり、愛国心
教育
であるとか、愛国心に限らず、特定の道徳を、これが国民としてあるべき姿なんだという形で国民に示すというような
教育
が行われるということは、あってはならないことだと思います。 今は
地方教育行政法
が
法案
として出ていますけれども、この後、
教育
再生推進
法案
が準備されているということを報道で知っています。それらにおいても、この愛国心と、それから、先ほど私が申し上げましたような、
教育
制度
そのものの
基本
的な新自由主義
改革
というものが準備されていると思いますので、そこに十分警戒をしなければいけないと私は思っています。 以上です。
宮本岳志
85
○宮本
委員
ありがとうございました。以上で終わります。
小渕優子
86
○
小渕委員長
次に、青木愛君。
青木愛
87
○青木
委員
生活の党の青木でございます。 きょうは、大変貴重な御
意見
を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございます。質問は重なるかと思いますが、私からは、それぞれの
参考人
に二点ずつお伺いをさせていただきたいと思います。 まず一点目でありますが、
地方教育行政
のチェック機能についてそれぞれの御
意見
を伺いたいと思います。 まず、
梶田参考人
から、先ほどの
お話
の中で、
合議制執行機関
として
教育委員会
が
地方教育行政
の
責任
を持つという
お話
がございました。またあわせて、
首長
と
議会
の
二元代表制
ということの中での
議会
の
役割
についても指摘がございました。 まず、
教育委員会
が
執行
機関
として残ったということにおいて、これは自己
責任
で
執行
するということだと思いますが、みずからの活動状況をみずから点検、評価が行えるのかどうかという点と、
議会
の
役割
といたしまして、やはり
議会
も
政治
的色合いを持つものというふうに思いますものですから、その二点について、チェック機能という観点からぜひお伺いをさせていただきたいと思います。 それから、
穂坂参考人
からは、
首長
と
教育委員会
を分けて
役割分担
を明確にという主張がございました。今申し上げたとおり、閣法ではともに
執行
機関
となっておりますので、この
教育委員会
の
役割
というものを
穂坂参考人
としてはどのように捉えていらっしゃるのか、そのチェック機能という観点からぜひお伺いをさせていただきたいのと、我が生活の党といたしますと、やはり
首長
と分けて
教育委員会
をチェック機能
機関
とする方が、そこにチェック機能を持たすということを
考え
の中に主張いたしておりまして、そして、今回出されました
衆法
の
教育
監査
委員会
、これもやはりチェック機能を果たす
機関
だというふうに思いますけれども、この
衆法
の
教育
監査
委員会
の実効性についてどのように評価をされているか、ぜひお伺いをできればというふうに思います。 そして
中嶋参考人
からは、やはり
教育委員会
の再生だという
お話
でございました。これまで適宜
改革
が進められてきたわけでございますが、平成十三年には、
住民
自治という観点から、保護者を
教育委員
に入れることになりました。また、平成十九年には、いじめ自殺の事案を受けて、やはり
改正
が行われております。そして、このたび再びいじめ事件が起こったわけでありまして、さらにどのようにこの
教育委員会
そのものの
改革
をすればこういうことが起きなくなるのか。やはり
教育委員会
のこれも自己点検、評価、これができるのかどうか。 そうした観点から、
地方教育行政
のチェック機能ということで、ぜひ三名の
参考人
に御
意見
をいただきたいと思います。
梶田叡一
88
○
梶田参考人
私は、
合議制執行機関
としての
教育委員会
、これの自己評価、自己点検、そしてそれを公表して、多くの、例えば市であれば
市民
の方、あるいは、
都道府県
であれば
都道府県
民の方の批判を仰ぐということは十分に可能だと思っております。 今、大学はやっているんですよ。大学は、毎年、自己評価、自己点検をやって、それを公表しなきゃいけなくなっております。しかも、これはお手盛りになっちゃいけませんので、かなり厳しくこういう点についてはというのはあります。 例えば、私が今おります奈良学園大学は、この三月までは奈良産業大学という名前ですが、これは惨たんたる実情です。ぜひホームページで見てください。自己評価、自己点検、どこがとんでもないことなのかというのをちゃんと公表しております。だから、これは
教育委員会
がやれないことはない。やれます。 それから、これとまた別の
意味
での、ただ、大学でも、第三者評価ということで外側から評価もいただきます。これは、
教育委員会
であればまず
議会
からいただかなきゃいけないとは思いますが、しかし、それとまた別の、例えば、今後もし
総合教育会議
というのをおつくりになるんだったら、
総合教育会議
の中で議論して、特に、
教育委員会
関係
者じゃない学識経験者と
首長
さんたちでこれを評価するというのも
一つ
あり得るかなと思ったりしております。 もちろん、それを全部公表して、それで、例えば
市町村
であれば
市町村
民の方にやはり見ていただいて、そこからまた
意見
を寄せていただくというそのフィードバックは不可欠だろう、そういうふうに思っております。
穂坂邦夫
89
○
穂坂参考人
進める当事者が同様にチェック機能を持つというのは、どだい無理だというふうに私は思っています。やはり、
議会
なら
議会
とか、あるいは、
条例
上
権限
を持たせた
市民
のそういう
審議会
とか、別物じゃなければチェック機能は難しいですよ。 例えば私も、もし
首長
でこういうような
会議
をつくってやったときに、
自分
のやったことが正しいか正しくないかとか、瑕疵はあるかないかとか、そういうものを
自分
自身でチェックするというのは、それは理論的にはできるかもわかりませんが、なかなかこれは実質的には難しいだろうな、こう思っています。
中嶋哲彦
90
○
中嶋参考人
まず、事後チェックではだめだということです。現在の
教育委員会
についての評価
制度
は、
教育委員会
の自己評価
制度
がありますけれども、それは事後チェックになっています。事後チェックは、もちろん、事後チェックの機能としてはそれとしてあるわけですけれども、問題は、
子供
や若者たちが学んでいて、その学びを保障すること、あるいは命や身体をしっかり守っていくこと、これが課題なわけですから、事後的に問題があったということを評価しても
意味
はないわけです。 そこをではどうしていくかということが課題で、そのためには、先ほどの
発言
の中で、
責任
、レスポンスということを言いましたけれども、
現場
で起きている問題に対して
教育行政
がどのように機敏にレスポンスできるかということだと思うんです。それは、トップが一人になればいいということではなくて、
教育行政
に対してレスポンスを返していくルートをたくさん用意するということだと思います。 それは、
学校
の
現場
からのレスポンスもあるし、それから、保護者、
住民
からのレスポンス、今こういう問題が起きていて、これに対処してほしいんだということが
教育行政
機関
に対して風通しよく通っていくということが重要で、それを
確保
することが課題だと思います。 先ほど
委員
が、
教育委員
に保護者を入れるというようなところが加わったということがありましたけれども、それはお一人の方が入ればそれで済むという話ですね、
法律
上は。それでは今申し上げているレスポンスはきかないと思います。ですから、多くの人たちが
教育行政
に参加できる
仕組み
、これを
考え
ていくべきだと思っています。 以上です。
青木愛
91
○青木
委員
ありがとうございます。 時間もないのですが、
梶田参考人
、
議会
の
役割
についてもう少し具体的に教えていただければというふうに思うのですが。
梶田叡一
92
○
梶田参考人
私は
地方
議会
もいろいろとあると思いますけれども、私が見ているところでは、意外と、何というか、政党色は強くないと思っているんですよ、どこでも。ですから、
住民
目線で議論しておられるところは非常に多いなと。
国会
がしていないという
意味
じゃないですよ。だけれども、私が知っている、例えば私の地元の市
議会
もそうだし、
大阪
の府議
会議
員の方々ともおつき合いしていますけれども、やはり、これがこうだというふうに決め込んでやるんじゃなくて、かなり柔軟に議論しながらお
立場
を変えていかれるというところが、少なくとも、私のおります箕面市もそうですし、
市会議員
の方々もそうだし、
大阪
の府
会議
員の方々もそうだなというふうに私は感じております。 したがって、これをもっともっと大事にして、
首長
さんも大事です、選挙で選ばれていますから、でも、
二元代表制
というのがあるということの大事さですね、やはり
議会
は
議会
できちっとした意思表示をいろいろな場合にやって、
首長
さんが独走しないように、あるいは
首長
さんを後押しするように時には後押しもせぬといかぬ、そういう形でいい緊張感をはらみながら、しかし、一度この
立場
を決めたらそれで何年間は変わらない、次の選挙まで変わらないじゃなくて、常に
議会
側は議論していただいて、いろいろなことを
考え
直していただいて、それで
首長
との対応をする、そういうことになると、
住民
の側からいうと非常に望ましいんじゃないかな、私はそういうふうに思っております。
青木愛
93
○青木
委員
ありがとうございます。 それではもう一点、三名の
参考人
にお伺いをさせていただきます。 先ほど、
穂坂参考人
から冒頭、国と
都道府県
と
市町村
の
役割分担
を明確にすべきだという強い主張がございました。実は、前回の
参考人
質疑
の際もやはり
参考人
の方々から、縦の
行政
系列の弊害という指摘がございまして、権力は曖昧性に宿るという指摘がございました。 我が党としても、やはり国と
地方
の
役割
は明確にすべきだという問題意識をこれまで持ってまいりまして、これを議論する際には教員の
人事
権と給与負担が必ず議論になるわけなんですが、実は生活の党といたしますと、教師の身分は国が保障するということと、あと、
教育水準
の維持、大ざっぱに言いますとこの二点を国の
役割
として、あとは、カリキュラムだとか
学級
編制だとかいろいろなことは
地方
に任せるという整理をしているんです。 これからもっと具体的にこの国の
役割
と
教育
の
地方
分権の整理が必要だというふうに認識をしておるところなんですけれども、この生活の党の
考え方
についての御所見をもしいただければありがたいですし、今後、この国と
都道府県
と
市町村
の
役割分担
というのを具体的にどのように捉えていらっしゃるか、ぜひ御
意見
を伺わせていただきたいと存じます。
梶田叡一
94
○
梶田参考人
おっしゃるように、国とそれから
都道府県
、
市町村
、これの
役割分担
をもう少しはっきりさせなきゃいけないだろうと思っております。 ただし、具体になると、例えば教員の
人事
権あるいは給与負担、これなんかの問題も非常に難しくて、私、中教審の
教育
制度
分科会というので以前分科会長もやりましたし、だから、いろいろな御
意見
をまとめる役もさせていただきました。今も
委員
として出ております。 なかなか難しいのは、例えば、給与負担をやめて
地方
に任せてしまうという議論が一時期あったんです。そうすると、とってもお金持ちのところと、それからやはり貧乏なところがあるんです。私のふるさとの山陰なんというのは本当にお金がないんです。やはり、そうしたらというところがあるでしょう。そういう問題。それからもう
一つ
、
先生方
が町には行きたがるけれども僻地には行きたがらないとか、それを、今は広域
人事
をある程度やっているからやれている。つまり、私、原理原則の問題も大分議論しました。しかし、なかなか進まないところがあります。 ということで、私のあれは、生活の党が今お持ちのそういうお
考え
は非常に大事なことですので、じっくりいろいろな点についてメリット、デメリットを詰めていっていただけたらな、そういうふうに思います。
穂坂邦夫
95
○
穂坂参考人
教育
に関しては、その三者の
役割
、
権限
と、そこに今度は、やはり
住民
に近くなくちゃいけませんから、レーマンコントロールをどういうふうに生かしていくか。それからもう
一つ
は、
地方
議会
も
教育
に非常に熱心に取り組んでもらいたいなと思うんです、
国会
と同じように。 ですから、そういう
意味
では、五つのそういういろいろな
意味
での
役割分担
が明確になって、どういうふうにチェック機能を発揮していくか。もちろんそれは、
首長
の恣意的な
政治
姿勢、そういうものもどういうふうに抑制していくか。そういうものをそれぞれきちんとやれば、できると思うんです。 特例はいっぱいあると思うんですよ。例えば、非常に過疎で、これから過疎にどんどん向かうわけですが、物すごく小さいところで、とても無理だというのもあるでしょう。しかし原則は、例えば五万とか十万とか、その程度のところをどうするかというところからスタートして、それで特殊的な例外というのは絶対あるんですよ。ですが、例外がやはり原則になっちゃいけないと思うんです。 ですから、そういうところをやはりきちんと整理をしてもらえればありがたい、こう思っています。
中嶋哲彦
96
○
中嶋参考人
国の
役割
は極めて明確であると思っています。 というのは、現在の憲法のもとにあっては、公
教育
制度
は、先ほど申し上げたように、富の再分配型の
教育
制度
です。国の
役割
は、その富の再分配としての
教育
が成り立つような条件整備をすることに国の主たる
責任
があると思っています。 その
意味
では、給与負担について、それを全額国で行うのがいいかどうかとかいうのは今はすぐお答えできませんけれども、
梶田参考人
がおっしゃったように、
地域
によって
教育
の条件が違ってしまうといけない、貧しい、比較的財政の厳しい自治体でもそれが負担できるような
仕組み
をつくっていくということが国の
責任
であると思っています。 ただ、
委員
がおっしゃった
教育水準
の維持ということにかかわっては、
教育水準
というものをどのような内容で捉えるかという問題があって、
教育
の具体的な内容についてまで、これは国が維持するんだということで内容にまでどんどん国が口出しをするということになると、これは
地域
や
学校
における自発的な
教育
改善の取り組みをかえってなえさせてしまうことになりかねませんから、そこについては国や
都道府県
は自制的であるべきだと思っています。 以上です。
青木愛
97
○青木
委員
大変
参考
になりました。貴重な御
意見
をありがとうございました。 質問を終わらせていただきます。
小渕優子
98
○
小渕委員長
次に、吉川元君。
吉川元
99
○吉川(元)
委員
社会民主党の吉川元です。 私で最後の質問者ということであります。本当に貴重な御
意見
、ありがとうございました。 まず初めに、三人の方にそれぞれお伺いをしたいということなんですけれども、今ほどこの当
委員会
の中でも議論がありました上意下達というような問題、私もこれは非常に大きな問題だろうというふうに思います。文科省から
都道府県
の
教育委員会
、そして
市町村
教育委員会
、さらにはそこから
学校
、教
職員
といったように、ともすれば中央から
学校
現場
まで縦系列で
教育行政
は
管理
統制をされているというのは、これは大きな問題だというふうに思います。 あわせまして、もう
一つ
、三人の
参考人
の方にお伺いしたいんですけれども、
地方
自治と言った場合、よく議論されるのは、自治体の
権限
の問題がよく議論されます。ただ、
地方
自治の本旨と言った場合には、団体自治と
住民
自治というこの
二つ
の両輪によって行われるというのが、これが通説といいますか、
考え方
の
基本
にあるんだろうというふうに思います。 そういう面でいいますと、
教育行政
においても、もちろん団体自治というのもありますが、あわせて、
住民
自治というものをどのように実現していくのかというのも
一つ
大きな課題ではないかというふうにも思っております。 そういう面でいいますと、
地方
に公聴会に行きました際にもコミュニティースクール等々も見させていただきましたが、こうした
住民
自治の観点から
教育委員会制度
についての御所見を伺いたいというふうに思います。
梶田叡一
100
○
梶田参考人
幾つ
かあるんですけれども、まず
住民
自治の方から参りますと、
住民
自治だから、例えば
義務教育
をそこの
住民
で話し合ってそこで決めりゃいいというわけにはなかなかいかぬと思います。いろいろな国でそういう試みはありました。でも、うまくいかないから国レベルで、例えばイギリスなんかはそうですよね、あるいはアメリカでも、カウンティーぐらいでやっていた時期もあるんです。しかし、今は全国的にナショナルカリキュラムでやっています。 つまりどういうことかというと、その国の
子供たち
が大きくなっていくときに、最低限こういうことはやはり身につけないといけないよね、それでないと、そこの社会の、全部手を結び合ってやっていくことはできないよねということがあるからです。そこで国のかかわりというのが出てくると私は思っております。 したがって、
住民
自治ということは大事ですし、あるいはその町ごとの
教育
のあり方ということを
考え
ていかなきゃいけないと思いますが、そういう
教育
ということの、つまり、次の
時代
の社会をつくるということで、ほかの
行政分野
とは違う長い
見通し
を持って、
一つ
のビジョンを持って、
責任
を持ってある成果を出さなきゃいけない、こういう中で
考え
なきゃいけないのかなということをまず第一に思います。そういう中での中央集権をできるだけやめていくということなんです。 今、国が言って
都道府県
が動いて、
市町村
が動いてというのは、私は、今の法体系ではこれは幻想だと思っています。 私が箕面の
教育委員
をしていたのは、二十年前と言ったのはこれは間違いで、多分三十年前です、一九八〇年代の半ばですけれども、そのときに、象徴的なんですが、指導要録という、
学校
が持っている学籍簿みたいなものですね、当時はこれは本人にも親にも見せなかったんです、どこでも。これを、当時の
委員長
さんが弁護士さんで、
地教行法
からいったら、こういうこともやはり
教育委員会
、地教委で話し合って、これでいいのかどうか決めなきゃいけないじゃないかと問題提起されました。勉強会、これも、定例会じゃないですよ、みんなで集まって勉強会をやりまして、そうだよねと。 当時は、
大阪
府の小中
学校
は指導要録をみんな書いていなかったんです。そういうものを書くのは選別、差別に加担することであるということで、名前を書いて、判こ
一つ
、特記
事項
なしという判こを押していたんです。これは、やはり
住民
に公にして、それでいいかどうかというのも判断してもらわぬといかぬという議論にもなりまして、指導要録を開示することにしました、全面開示を。 そうしましたら文部省から私にも電話がかかってきまして、これはやめてくれと。いけないことなんですか、それは禁じられているんですかと言ったら、いや、文部省の方針としてはそうだけれども、
地教行法
上はということで、慎重にという言い方。府教委からも電話がかかってきて、慎重にということ。そういう電話があったけれどもというので
教育委員
で話し合ってやったら、まあ、慎重にだから、慎重に
考え
て結論を出そうと。町長さんにも
意見
を求めました。町長さんも、こういう問題は最終的には
教育委員
の
責任
だということで、結論が出たら全部あれすると。それで開示しました。 それで、出して、親御さんが見て、大きくなった
子供
さんが見たら、ずっと
自分
の学籍簿というのは空欄なんですよ。これでいいのかということで、すぐにきちっと書き込むことが始まりました。そういうことがありました。 そういうときでも、
地教行法
を勉強して、二十五年前であっても、国の
意向
とか府の
意向
と違う決定をして、違う
行政
実例をつくれたんです。それはすぐ八王子だとかいろいろなところに波及しまして、それで今は指導要録は見せるのが当然だという話になりました。そういうことはいっぱい私はあると思うんです。 もう
一つ
だけ簡単に言っておきますと、今、
教育
内容を、私が
教育
課程部会長というのを中教審でやらせてもらったときに、指導要録の性格づけを変えました。今までは指導要録は標準ということになっていました。この時間数だけこの中身はきちっと教えるのが当然ですよ、余分なことを教えなさんなよというような指導もあったりしたんですよ。ところが、最低基準だということにしました。この時間数、この中身を押さえていたら、あとは
学校
で、あるいは町でいろいろと
工夫
してやっていくのが当然じゃないですかということに、そういうふうに
教育
課程部会で決めまして、初中分科会でも、そのとき、それも私は分科会長をしていたんですが、了承していただいた形で文部科学省から通知を出していただきました。 ですから、今、内容的にもそれぞれの町ごとにいろいろなことを
考え
て手は打てるんです。少しずつそういう
方向
に進んでいる。 ただ、やはり昔からの上意下達的なものはあります、これは率直に言って。だから、混乱が起きないように
一つ
ずつどうやって不要なある種の規制をなくしていくか。まさに
住民
自治と言うとおかしいけれども、
現場
で一番近いところが
工夫
をして、それで
子供
のためによかれということがやっていけるようにするか、これが私は大事なことかなと思っております。
穂坂邦夫
101
○
穂坂参考人
住民
自治だからといって、
地方
が何でも好きなことをやればいいということじゃないと思うんです。 私は、さっきも再三言っているように、
役割分担
の中でその裁量権を認めてもらえないだろうかというのが多分
地方
の願いだと思うんですよ。いや、法的には絶対そんなことないよと言っても、
首長
をやったり、何かそういう経験からいうと、やはり補助金に頼らざるを得ないというそういう部分が大変多いわけです。例えば、補助金が認められれば起債も受けられるわけです。補助金で認められなければ、自己財源で全部やらなくちゃならないんです。 だから、そういういろいろな
意味
での
仕組み
の中であることは
承知
をしながら、でも、特に
教育
なんかは、国のやるべき仕事、そういう
役割分担
を明確にした上で裁量権をそれぞれ
地方
にも認める、実施主体にも認める、そういう姿勢が一番いいのではないか、こう思っています。
中嶋哲彦
102
○
中嶋参考人
住民
自治をどう
確保
していくかという御質問だったと思います。
住民
自治の
確保
のためには、
住民
や、
住民
というのは素人ですから、素人の議論をより活発にしていくためには、
専門
家も加わった形での
教育委員会
の諮問
機関
、あるいは、もっとオープンな自由なフォーラムといいますか、そういったものを自治体の中でつくっていく。これは自治体の単位であってもいいし、
学校
の単位でもいいかもしれません。中
学校
区の単位でそういった
教育
フォーラムをつくるというようなことも必要かと思います。 そうすることで、
地方教育行政
の最終的な主権を持っている
住民
がみずから育っていくといいますか、
住民
が育つ環境をどうつくるかということが重要であろうと思っています。
委員
の御
発言
の中にコミュニティースクールということも少し出たかと思うんですけれども、コミュニティースクールも、
一つ
の、
住民
が
学校
運営
に直接参加する道としてはあり得るわけですけれども、これについてはやや懸念する点もあります。 アメリカにおいてはこういった形での
学校
運営
が
幾つ
かの形で行われていますけれども、一番問題になるのが、
学校
管理
のノウハウがどこにあるかということです。
住民
は必ずしも
学校
管理
のノウハウを持っているわけではありませんので、しばしば見られるのは、民間の
学校
管理
会社、民間の株式会社なんですけれども、民間の株式会社が
学校
の
管理
運営
を実質的に下請してしまうというようなことがあって、
住民
自治的な
学校
運営
に見えて、その実は民間会社による
学校
運営
になってしまっているというケースもありますので、そのあたりは慎重に
考え
るべきことかと思っています。 以上です。
吉川元
103
○吉川(元)
委員
次に、
中嶋参考人
の方に伺いたいというふうに思います。 先ほどの中でも、大津の事件というのを
一つ
のきっかけにして今回の議論というのはスタートしたわけですけれども、先ほどおっしゃられていたのは、〇七年の
改正
によって
教育長
に
権限
が集中をした、それが非常に大きな問題の
一つ
だったんだ、だからこそ〇七年以前の合議制に戻すべきだという
お話
がございました。 私自身も同じような問題意識を共有するわけでありますけれども、そういう面で、一番最初の
意見
陳述の際に、時間がないのでということで四のところをはしょられまして、先ほどは
教育長
の要件ということで少し
お話
しいただいたんですけれども、改めまして、今回の
改正
についてどのように
考え
ておられるのか、御説明いただければと思います。
中嶋哲彦
104
○
中嶋参考人
今回の閣法にかかわって申し上げますと、
首長
による
教育長
任命、それから
教育委員会
による
教育長
の職務の指揮監督権の削除、それから
首長
の
大綱策定権
、それから、
首長
がいつでも
協議
を申し入れることのできる
仕組み
、こういう
仕組み
になっていますので、一方では、
首長
が実質的な
教育行政
の
執行
機関
化してしまう
可能性
があり、
教育長
はその補助
機関
に近い
実態
が生まれるのではないかと
考え
ます。 その一方で、
教育委員会
内部においては、
教育長
に対して
教育委員
がその活動をチェックするこれまで根拠となってきた指揮監督権が失われてしまいますので、
教育長
が
教育委員会
内でワンマン化してしまうという
可能性
があると思っています。
教育長
のワンマン
教育行政
の
問題点
もこれまで多く指摘されてきたところで、大津事件が起きたことによって、議論が極めて単純化してしまっているというところに問題があると思っています。 以上です。
吉川元
105
○吉川(元)
委員
私も同じ問題意識を持つわけでありますが、引き続きまして、また
中嶋参考人
の方にお聞きしたいと思います。 先ほど少し他の
委員
の質問の中でも出ましたけれども、全国学力テストの参加を見送った犬山市の
教育委員
を務められていらっしゃった。まさにその当時、犬山市の方で懸念をされていたような事態というのは、今実際に残念ながら起こっているというのが実情だろうと思います。過度な競争や
学校
の序列化、そうしたことが起こっているというふうにも思っております。 これによって
学校
の序列化が行われ、また、ことしから
市町村
別、
学校
別の成績公表も
教育委員会
の判断で可能になっております。加えて、学区制の廃止や
学校
選択
制に結びつくようなそういう主張も出ておりますし、また、先ほど少し
お話
しされましたが、
公立
学校
を丸ごと民間委託、そういう検討も行われているというふうな話も聞いております。 公
教育
、とりわけ
義務教育
の課程でこうした市場化というものは果たしてどうなのか、私も非常に危惧を持っておりますが、この点について最後お聞きして、終わりたいと思います。
中嶋哲彦
106
○
中嶋参考人
二〇〇七年、全国学力テストが始まったときに犬山市がこの学力テストに参加しなかったのは、今
委員
がおまとめいただいたような理由によるものです。
一つ
は、過度の競争を進めてしまうこと、もう
一つ
は、これをきっかけとして、
学校
選択
制の導入であるとか新自由主義的な
教育
制度
への移行が主張される根拠になっていくと
考え
たからです。 このことについては、犬山市においては、何度も
学校
説明会あるいはフォーラムを開催して、
市民
あるいは保護者を中心とする人々との間で
教育委員会
は
合意
を形成してまいりました。それによって、この全国学力テストは決して犬山の
子供たち
にとっていいものではないということを
市民
や保護者が同意をしながら、参加しないことを決めたものです。そのことについては文部科学省においても御理解いただいて、犬山市が参加しないことについては何も問題を提起されなかったわけです。 ただ、犬山市が最終的に参加する経緯となったのは、
首長
がかわりまして、新たに
首長
になった人が、選挙期間中はどうも公約の中には入れていなかったんですけれども、当選した後に、
自分
が民意を代表しているんだ、
自分
は全国学力テストに参加することが必要であると
考え
るということで、
教育委員会
に対して参加を迫った。私は、任期が来たところで再任がなく、かわった。
教育委員
の人数もふやして、言ってみれば、多数派工作をとることによってみずからの主張を
教育行政
に押しつけたという経緯があります。 その点から見ても、
首長
がどういう行為を行うかによって
教育行政
がゆがめられてしまう。
住民
との間でせっかく
合意
をつくりながら、犬山流の
教育
改革
を進めてきたことが無に帰してしまうということ、このきっかけとなったのが
首長
の介入であったというふうに思っています。 以上です。
吉川元
107
○吉川(元)
委員
本当にきょうはありがとうございました。 以上で質問を終わります。
小渕優子
108
○
小渕委員長
以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人各位
に一言御礼を申し上げます。
参考人
の皆様におかれましては、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(
拍手
) 次回は、来る九日金曜日午前八時五十分
理事
会、午前九時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十二分散会