○玉木
委員 玉木雄一郎です。
篠原大先輩に引き続き、
TPPの問題をやらせていただきたいと
思います。しつこくなく、爽やかにいきたいと
思いますので、よろしくお願いいたします。
私も、TPAの問題から入りたいと
思います。
連休にワシントンに行ってまいりました。十名を超える民主党、共和党の議員と直接私は話をしてきまして、情報収集をしてまいりました。先ほど木原政務官が、米大には議会班もあって、議会の情報もとっているというふうに言いましたけれども、私が聞いたところによると、ワシントンの
アメリカ大使館の議会班は五名です。衆議院の事務局からも出向されていますし、いろいろな方が行かれています。ちなみに、中国、在ワシントンの中国大使館における議会班は十五名いると言われています。その議会との接触の濃度、そして情報収集の力、これは、中国を例に出して申しわけないんですけれども、私は十分ではないというふうに
思います。
今回、たった二日間でありますけれども、
アメリカにおける通商
交渉の最終的な決定権限のある議会、そして、そこに所属をしている議員と話をしてみると、
アメリカの真意といいますか、ある種の肌感覚の、真実の
思いというのがよくわかりました。これは一言で言うと、中間選挙まではTPAを通す気は全くありません。特に、与党民主党にその傾向が強い。共和党の所属の議員の
皆さんは、比較的自由
貿易を推進しますけれども、オバマが推進する自由
貿易には反対だという立場でありますから、ある意味、この点においては極めて一致をしている。
ただ、自動車の
分野に極めて強い
影響力のある、ある下院議員の話を聞きましたけれども、彼はこう言っていました。TPAがなくてもいい、なぜなら、自動車に関しては
日本側がかなり譲歩をする姿勢を見せているので、我々自動車関連の議員としては、今のままでも、TPAがなくても、
TPPには賛成だ、こういう情報もありました。
こういったことを総合しますと、選挙が近いので、どの国の国
会議員もそうでありますけれども、自国が何か攻められるような話については、やはり徹底的に反対するというのが、どの国の議員も偽らざる心情だと
思います。その意味では、この十一月に中間選挙を控える中で、TPAなく
交渉を行っているオバマ政権の、ある意味での
交渉資格といいますか
交渉能力といいますか
交渉権限、これについては、その背後にいる連邦議会の議員と話してみると、それは非常に強く感じることができました。
そこで
質問したいんですけれども、当
委員会でも何度かこの件は取り上げましたけれども、TPA、あるいは、かつてファストトラックと呼ばれていたものなく
アメリカが通商
交渉をした例は、ヨルダンとの例の一件だけですという話をよく聞きます。しかし、TPAなく
交渉妥結に至ったケースはヨルダンだけかもしれませんけれども、TPAなく議会が承認、批准をしたケースは実はほかにもございまして、それは米韓FTAであります。
この点をまず外務省に確認したいんですけれども、資料一をごらんいただけますか。これは、いろいろ資料をいただいて、当事務所、玉木事務所で整理したものでありますけれども、二〇〇六年に米韓FTAの
交渉を始めます。そして、二〇〇七年の四月に
交渉が妥結をし、ここには省きましたけれども、六月に署名が行われます。そして、署名が行われたその六月の末をもってこのファストトラックが切れるわけですね。
つまり、確かに、米韓FTAは、
交渉の妥結
時点、署名
時点では一括
交渉権限が政権側にありました。しかし、その直後に切れ、その後、これを見ていただくと、二〇一一年に
アメリカ側の議会で承認されますけれども、その間、四年ぐらいあるわけですね。その間に何があったかというと、ここに書いていますように、追加
交渉を行っているんですね。二〇一〇年、まさに追加
交渉が始まった年でありますけれども、この年は何があったかというと、中間選挙の年であります。中間選挙は十一月に行われますけれども、その中間選挙の前の六月ぐらいに、米韓両
政府と書いていますけれども、
アメリカ側は追加
交渉妥結に意欲を示す。そして、十二月に追加
交渉が妥結をしております。
西村副
大臣にもお答えいただきましたけれども、妥結をした後、TPAがないからといって議会から何か言われて、再
交渉を求められて、ひっくり返すことはあるのかという
質問をしたら、いや、そんなことはないですというお答えを何度もいただきましたけれども、この米韓FTAを見ていただくと、一旦
交渉を妥結した後に追加
交渉を行っています。
その中身は何かというと、この下に主なものを書いていますが、例えば自動車の
関税については、
アメリカ側、韓国側両方とも撤廃期限を延長しておりますけれども、中身をよく見ますと、
アメリカは、二・五%を即時ないし三年以内に撤廃ということを、四年間は維持して、五年目に撤廃するということになっています。韓国も、即時撤廃だったのが五年目にというふうになっていますが、八%の即時撤廃を、まず四%は即時撤廃しろということをいずれにせよ求められていて、撤廃期限だけはそれぞれ四年ぐらい猶予を持っているということであります。
次の、
日本も求められていますけれども、いわゆる
アメリカの安全
基準を満たした車がそのまま韓国にアクセスできる、
基準を満たすと認定する台数が二万五千台に拡大しています。ちなみに、二〇〇七年の
合意の約四倍だとも言われております。そして、
セーフガードも、これは
アメリカ側ですけれども、自動車
分野の
セーフガードの導入を韓国としては押し込まれているということであります。
何を申し上げたいかといいますと、まさに一括
交渉権限が切れた中で
交渉してしまうと、この米韓FTAの例を見てもわかるように、せっかく妥結をしても、議会との
関係で、その後選挙があったりいろいろなことがありますね、そうすると、最終的な権限を持っている、合衆国憲法上権限のある議会、あるいはそこに所属する議員が反対すると、もう一回やり直しを食らう可能性が極めて高いということです。
こういう不安定な中で、どこまで我々が、
交渉を加速化しましょうという中で急ぐ必要があるのかという問題点については、改めて問題を指摘したいというふうに
思います。
まず、この点について外務省に一点確認したいんですが、私が今
説明したのは、いろいろ資料を集めて我が方で整理した話ですけれども、
交渉妥結の後、議会での承認までに、米韓FTAは
内容が変わった、このことが事実かどうかだけ、まずお答えください。