○玉木
委員 民主党の
玉木雄一郎です。
早速質問させていただきたいと思いますが、報告です。
昨日、民主党の捕鯨
対策議員協議会で、菅官房長官にお時間をいただきまして、官邸に申し入れを行ってまいりました。
林大臣にも
お願いをしておりましたけれども、調査捕鯨の
継続について、当
委員会でも
決議をし、我々民主党としても求めてまいりました。一定の方向性を出していただいたことについては大変感謝をしておりますが、きのう官房長官に申し入れをしたのは、やはり調査捕鯨の今の仕組み自体が、とった鯨を売って、その販売収入の中でやっていくという基本的な枠組みになっているんですが、先ほど石田先生からもありましたが、調査捕鯨が邪魔されたり、十分な量がとれないということで、この活動の原資となる販売収入が上がりにくくなっております。
その
意味では、これはどこかで決断をして、国家の、いわゆる
国策としての調査捕鯨という位置づけを明確にするという
意味で、国の
予算できっちり調査捕鯨の必要な財政措置をしていくということについては、そういった仕組みも含めてぜひ検討いただきたいということが一点と、あとは、この
委員会でも、私は何度か取り上げましたが、やはりシーシェパードの活動は海賊行為であるということを
国内法でも明確に位置づけて、その上で対処をしていくというこの二点を特に官房長官に申し上げましたけれども、
大臣としてもぜひそういった方向で検討いただきたいということを、まず冒頭に
お願いしておきたいと思います。
それでは本題に入りたいと思いますが、まず、
TPPであります。
いよいよ、あす、オバマ大統領が来日をいたします。正念場を迎えるわけでありますけれども、私は、そもそもオバマ政権は
交渉の相手たり得る相手なのかということを何度か
指摘いたしました。齋藤
議員からも
指摘がありましたけれども、やはりTPAの取得なく
交渉を行っていることの不安定さということは最後の最後までつきまとうわけであります。
事実、アメリカ時間の昨日でありますけれども、六十三名の
議員がフロマン代表及び農務長官に対して書簡を出しておりまして、それはどういう内容かというと、
日本が
農産物に関する
関税、非
関税障壁を撤廃しない限り、
交渉妥結をしないように確約を求める内容になっています。
彼らの文の中身を見ますと、広範なセンシティブ
品目、センシティブプロダクツについて何か例外を求めるようなことは、
日本が
TPPに、彼らはこれをインバイトと書いていますが、参加するときにしたその約束にインコンシステントと書いていますから、例外を認めることは、
日本が
TPP交渉に入ってくるときの約束と違うぞというふうに書いているわけですね。
外交
交渉権限は、合衆国憲法上、議会にあります。ですから、この議会の主なメンバーが、
日本については、この
TPP交渉に参加した前提は、そういった例外を認めないということを
日本が約束したから我々は認めたんだぞということがレターの中にも書かれてあるわけですね。
ということは、フロマン代表は非常に厳しい
交渉をしているということを言っていますけれども、そもそも、中途半端な譲歩をする、そういった譲歩の権限が彼には与えられていないという中で、そしてまた、オバマ政権もそれは同じであります。そういった中で最終局面を迎えることについては、大変な危機感を抱いております。
そこで、質問いたします。特に、
牛肉、豚肉については危ないというふうに思っております。その中で、実は、この間余り議論がされてこなかった豚肉について取り上げたいと思います。
石田
委員からも今ありましたけれども、日豪のEPAについても何か五月雨式にいろいろなことがわかってくるんですが、豚肉についてもそうです。
牛肉については、オーストラリアの間で、大変大きな
輸出国でありますから、大変な関心を呼びました。十八年等々かけて段階的に引き下げていくということが、セーフガードも絡めながら、一定の工夫の中でやったということなんです。
輸入量の少ない豚肉についても、今回、日豪では決まっておりまして、いわゆる分岐点価格以上の高価格帯の部位については、今四・三%の従価税率が課せられておりますけれども、これが二・二%、約半分になっていくというような内容が日豪の中でも決められています。
牛と同じように、豚も日豪の内容がある
程度TPPにも反映されるとすれば、こういった分岐点価格以上に適用されている四・三%が同じように半分になるというような可能性は否定できないわけですね。
そこで、最近の
報道を見ますと、豚肉については差額
関税制度を維持、このことについてはどうもアメリカと合意できそうだ、だから、何か
関税が守れるといったような
報道がいっぱいなされていますし、そういう雰囲気になっております。
ただ、
農林水産委員会のメンバーの方は御存じだと思いますが、あの複雑怪奇な差額
関税制度、特に、分岐点価格よりも低いところ、ここでは実は国境措置としての機能をほとんど
発揮していないと我々は認識をしております。
まず、伺いたいのは、差額
関税制度は仮に維持したとします。維持したとしても、基準輸入価格、そこから低い値段はいわゆる差額
関税を払わなきゃいけないというところなんですけれども、これも大幅に引き下げよと。枝肉でいうと、今大体キロ四百九円ぐらいだと思いますが、これを、一部
報道によると二桁台、つまり百円以下にしようということです。これは、率でいうと八〇%ぐらいの削減なんですね、基準輸入価格でいえば。基準輸入価格を八割ぐらい削減して、さらに、先ほど申し上げたような分岐点価格より上の、高価格の部位に対して適用される従価税率が半分になるということになると、
一体何が起こるかというと、これはほとんどゼロ
関税と一緒です。つまり、差額
関税制度は維持しますという一般的な
報道あるいは
国民の認識、何か
関税が維持されるんだなというふうに思うんですけれども、やり方によっては、豚についてはほとんど
関税がない、そういう
状況が生じ得る可能性があります。
なぜ私は豚について取り上げたかというと、今回の農政の見直しの中に、この
委員会でも何度も議論されました、
一つの大きな農政の見直しの方向性は、餌米に転換していくということです。四百五十万トン。では、牛はこのうちどれだけを予定しているかというと、極めて少ない。最大限入っても、三%や二%ですね。大きいのは、やはり豚と鳥であります。
国内の養豚農家が大きな
影響を受ければ、今我々が議論をしている、餌米に大きく寄せていくという方向性自体が、前提が大きく崩れるおそれがあるわけです。
交渉の間の話で、なかなかお答えにくい、いただけないと思いますけれども、まず、
大臣にお伺いいたします。
当
委員会での
決議もやりました。
牛肉、豚肉を初めとした重要五項目についてはしっかりとした聖域を守るということでありますけれども、単に差額
関税制度を維持することだけでは、この
決議を守ったことにならないと私は思うんです。先ほど申し上げた複雑怪奇な差額
関税制度の中で、基準輸入価格をいたずらに引き下げない。
つまり、どういうことかというと、今枝肉四百九円だとしたら、二百円台、百円台になったとしますね。幾ら安いアメリカの豚だといっても、キロ百円や二百円のものはないですよ。アメリカからの輸入豚肉のほとんどが基準輸入価格以上です。つまり、差額
関税の適用を受けない領域です。今だと四・三%、これが半分になれば二・二%の領域で全ての豚肉が輸入されるということになります。
だから、差額
関税制度が維持されて、何か二〇%とか三〇%、高い
関税が維持されているような雰囲気が出ますけれども、実は、基準輸入価格をぐっと引き下げて、分岐点価格以上の従価税率を半分にすれば、事実上、
我が国に入ってくる豚肉は二%台の、全てがですよ、全ての部位に対して二%の
関税しかかからない。
これが本当に
国会の
決議を、あるいは
自民党の
決議を守ったことになるとは私は到底思えないんです。この点について
大臣の御見解を、今現在の御見解をお聞かせください。