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宮沢(隆)
委員 どうもありがとうございます。
では次に、マックス・プランク学術振興協会、マックス・プランク・インスティテュート、俗にMPIと言われている組織ですが、これは表にもありますけれども、八十二の
研究機関を傘下に持つ公的
研究機関で、国家に
一つということですね、年間
予算は二千五百億円でしたか、それで、職員一万七千人、
研究者約五千五百人。これは医学のみでなく、化学、物理学、工学、人文
社会学というようなものを傘下に持っております。
私が
一つ感心したのは、徹底した評価システムがありまして、四つの評価システム、組織評価、事前評価、正規評価、拡大評価という四つの評価があります。これはおのおの非常に細かいことが書いてあったんですが、ちょっと省略させていただきます。
非常に複雑な組織形態をしていまして、
資料の三を見ていただくとわかるんですが、一番下にマックス・プランク
研究所とありますけれども、これがいわゆる八十二の
研究機関ですね。その上の方に振興協会を支える組織が書いてありまして、非常に複雑で、これもまた
説明していたら時間が全く足りないんですけれども、結局、核になるのは、真ん中に横長に書いてある評議会というところですね。その中には、科学界のみでなく、経済界、政界、報道界などの多彩な
分野から選出された評議員が構成しております。先ほどと同じ、ピアレビューをもって各
研究の内容を評価する。
私が
一つおもしろいなと思ったのは、ここの評議会の上下、矢印がありますけれども、選挙があるんですよね、きちんと。経営
会議があって、一番トップの協会長が最終的に決断するというシステムのようです。
この
二つの
研究所を挙げた理由は、御存じのように、ノーベル賞をどんどん量産している組織ですので、やはり参考にすべき組織だろうということで参考にさせていただきました。
今まで述べたことの中から、
日本が目指すべき
研究機関と
研究環境ということで、私なりに五つにまとめました。これが私が考える理想の
研究組織ということなんですが、これはちょっと
資料で出せなかったんですけれども、まず
一つは、
一つの機関でほぼ全ての科学
研究を総括するということですね。これはマックス・プランクを想定しているものです。
それから二番目は、
政府、官僚ができるだけ介入せず、
縦割りガバナンスから解放する。
予算配分は
専門家に任せ、ピアレビューによって公平かつ公正に行う。これは、やはり専門は
専門家にやらせてみたらどうかということですね。
それから三番目は、未知数でリスクがあっても、若手による斬新なアイデアに直接投資する。上司に投資して回すというのではなくて、ターゲティングして若手に直接ということですね。できるだけ経験者の介入を制限する。
このたびのSTAP細胞事件で理研の構図を見ていますと、上司がたくさんいらして、いるんだけれども、介入しているんだかしていないんだかちょっとよくわからない状況なんですが、あの辺のガバナンス、そこが非常に微妙、重要であるということですね。
それから四番目は、医学
研究だからといって、いわゆるMDだけで群れない。さまざまな
分野のPhD、工学、化学、物理等、そういう人
たちと自然に混在しながら
研究できるような環境が、やはり斬新なアイデアを生むには重要だろう。
それから五番目は、学閥をなくして
研究者の労働流動性を高めるというのが、私が考えた理想的
研究機関と
研究環境であります。
それで、今回まとめられました
日本医療研究開発機構について私の考えを述べさせていただきますが、これは恐らく、相当な苦難の中から生み出されたアイデアだろうと僕は思っています。恐らく、大分苦労されたろうと思うんですね。
したがって、私は、これはあくまで
一つの理想的
研究機構の途中経過ではないかと思っておりまして、特に今回の機構が目指したのは、いわゆる従来の
文科省、厚労省、経産省、各省の
縦割りをとにかくなくそう、それで横の流動性をよくして、それから基礎、臨床、あるいは
産業を縦に結びつけようという意図が非常によく見えています。ところが、
予算の制約もあるので、とりあえず現時点ではこの形で進めようということと理解しております。
ここで、
官房長官、途中で抜けなきゃいけないということでしたので、ちょっと先に
質問をさせていただきます。
今お話ししましたように、こういう機構全体のガバナンスと同時に、実際に
研究をやる各機関、
日本でいえば大学、理研とか生理学
研究所とかいろいろあると思うんですが、そういうところのガバナンスが極めて重要だろうと思うんですね。そのガバナンスの目的は、やはり、斬新なアイデアを生み出す若手の
研究者を大事にして、自由にしてあげるということが一番の目標だろうと思うんです。
ここのところ、いろいろな不正だとか捏造論文がどうこうとかという暗い事件ばかり起こってくるような状況では、もしかしたら、科学界のガバナンスに国家が多少介入しないと抑止力にならないんじゃないかなと最近、私、
思い始めているんですけれども、その辺を交えてちょっと御
意見を伺えればなと
思います。いかがでしょうか。