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新藤国務大臣 まさに今
委員がお話しされたようなことをどのように実現していくか、それが、日本がこれから財政を健全化するとともに国民の
行政サービスを向上できる、そのきっかけになるというふうに思っているんです。
もとより、社会保障
関係費用が一般会計の中で最も
予算が費やされている部分であって、かつ、そこは自然にふえていってしまう、そういう分野でもあります。これは、高齢化が進むにつれて、当然国民に必要な医療は提供しなくてはならない、このように思うわけであります。ですから、無駄を排することと、効率よく高度化をしていかなくてはいけないということだと思います。その
意味において、医療、介護分野におけるICTの実現というのは、極めてというよりも、死活的重要な問題だと思います。
現状の
課題については厚労省からお話がありました。それは、厚労省が認めているとおりの
課題があるんです。でも、それは、そもそもその前は個別のシステムもなかったんですから。ですから、私は、これは発展、進化するためのプロセスだと思わなければいけないと思います。
これからやるべきは、国民の健康と医療体制は国が守ります、これを覚悟を決めて、そして増大する社会保障費に対応しつつ、では国家として
運営していくためには何が必要かというのをきちんと説明すべきだと思うんですね。それには、患者さん、国民の合意が必要です。プライバシーは守りますが、でも、共有のデータをネットワーク化させることによって治療の高度化が図られるとともに、それから医療費の軽減が図られていくんだということをきちんと説明しなくてはいけないと思うんです。やるべきことはもうわかっているんです。
メディカル・メガバンク
計画、これは既に始まっています。東北でまずはやってみようということで我々は実施をいたしました。過日、石巻の診療所に私は参りまして、メディカル・メガバンクを活用している診療所、そして日赤病院との連携が図られているのを目の前で見てきました。とても有効だと思います。
要するに、仮設の診療所に来る人が、高度専門病院で受ける治療と同じ診察を受けられるんです。それは、診療データも共有しているし、薬のデータも共有しているし、そして、ネットでつながった映像によって直接患者と医師が双方で話をして、となると、その患者さんは、そもそも時間をかけて、そして交通費をかけて、それから自分のいろいろなほかの用をとめて病院に行かなくても診療が受けられるんですね。その分をお金で換算したらどのぐらいの効果が出るかと思いますね。
これはすばらしいことなんですが、実は、それは、メディカル・メガバンクに加盟する会費を払った病院しかやらないんですよ。それから、患者の同意がなければその仕組みは動かさないんですよ。ですので、これをまずは実験的にやっていますけれども、
全国に広げるんですよ、だから、それに向けて皆さんが共有できるような、そういう標準のフォーマットをつくりましょう、これに参加してくださいということを、国民的合意を得なければ、私
たちの
行政の電子化、医療における電子化というのはできないということなんです。
この医療と福祉、そして介護というのはシームレスにつながっていきます。きのう、私は、ちょうど和光市に行ってまいりました。和光市は介護の予防活動をとても強化していて、一人一人の介護のケアを
充実させました。結果として、介護の認定率が下がり、介護保険料が全県下で最低レベルになるんです。そして、適切な介護をしながら、そこから卒業できる人がふえている。それもすばらしい仕組みがあるんですけれども、それは和光の仕組みなんです。いいですねと言って、ほかの町で同じ仕組みを別のシステムでつくっていったとすれば、これはいずれ千七百通りの別々の仕組みができちゃうんですよ。
だから、一刻も早く医療と介護も含めて標準化しようではないか。そのためには何を標準化しなくてはいけないんだ。介護のケアプラン、それから訪問介護
計画です、それから通所介護
計画です、それから一人一人の患者の生活様式のチェックリストです、こういうものは最低限標準化しなければだめです。国がもし指示をしてくれるならば我々はそれに一緒に乗れるけれども、今のまま自治に任せていたならば、これは横並びでもって一緒に共有することはなかなか難しい。こういう、もう目の前の現実なんです。
きょうは、これから、夕方、財政諮問
会議がありまして、私はそのことを申し上げようと思っています。それから、厚労
大臣とも直接話をしています。厚生労働
大臣は、これを政府CIOに、我が国のICT化を進めるために、この分野はぜひ共通化をしようじゃないかということを検討してくれと。いろいろな人
たちが問題意識を持って、これを現実のものとしてやっていこうと。
あえて言うならば、ちょっと時間をいただいて恐縮なんですが、こういう大きな新しい医療のシステム、介護システムを取り入れようという
流れと、一方で、そのことを全然意識せずに、また新たに普通の病院をつくろうとしている人
たちがいるわけですよ。これから病院をつくるのに五十億、七十億かかりますよ。そういう病院をつくろうとしているのに、全く、
地域との連携だとか介護との連携とか、そういうのをほとんど意識しないで、単純に病院だけを建てかえようとしている、そういう
計画がある。
これを何としても
見直していただかないと、新しい医療
計画は、これからつくる病院にこそ新しいものを入れなきゃならないし、既存の病院もそういうシステムに参加できるような、そういう国民の合意と政府の覚悟があってICT化というのは実現できるのでありまして、私どもは、これを安倍
内閣は本気でやるんだ、どこまで
導入できるかやってみようじゃないかということに挑戦をしている、こういうことでございます。