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中根(康)
委員 出生率というものが
政策手段として一定の目安が示されなければ、一億人という
目標はどうやって達成するんですか。
出生率がやはり
目標になるべきじゃないんですか。
出生率と一億人という数字を分けて
考えることなんてできないはずですよ。
当然、それは差別的な
考え方になってしまう、こんなものは
政府の言いぶりでどうにでも、そんな誤解を招かないようにできるわけなんですけれども、それは大前提として。
だから、言いたいのは、一億人というふうに簡単に言うけれども、二・〇七という数字を達成するということが二〇三〇年代にできなきゃだめだということも、マスコミ報道でも聞いているんですけれどもね。
では、この二・〇七というのは今まで達成したことがあるのかということでいえば、これは資料の二、三をごらんいただければわかるんですけれども、高度経済成長時代に二・〇五というのが一九七四年ぐらいにあって、これ以降、一ポイント台、一点台にずっと低迷しているわけなんですね。
だから、一億人ということを派手に打ち上げるのは、それはとても明るいニュースではあるんですけれども、では、そこに向けて、どういう政策がセットになって示されるのかということ、つまりは、
出生率を年々どうやって上げていくのかということがきちんと骨太の方針に示されるのかどうかということを
確認したいということでございますが、これは、今月の下旬にそういったものが出てくるということでございますので、それを拝見してから、改めて
議論をさせていただきたいと思います。
それで、
子どもをふやすのに、では、どうしたらいいか。いろいろな政策を総動員するという話でありますけれども、資料四というところをごらんください。
これは、正規雇用と非正規雇用の賃金の格差がはっきりとあらわれているグラフであります。例えば、二十五歳から四十歳ぐらいまでの
子どもを産むんじゃないかという年代の方をとっても、真ん中のあたりの三十四歳ぐらいのところをとっても、お給料が、正規社員の方は二十七万二千円、非正規の方は二十万円ということで、ここだけとっても七万円の格差があるわけであります。正規と非正規の賃金格差というものは明らかなわけであります。
それで、引き続き、資料五というところをごらんいただきますと、これは、正規雇用と非正規雇用の場合の配偶者のいる、いないというものを示したものでございますけれども、例えば、二十五歳から二十九歳とか、三十歳から三十四歳、どの年代をとってもそうなんですけれども、正規雇用の方の方が
結婚している率は圧倒的に、明らかに高いというわけであります。
つまりは、
日本の場合は
子どもをもうける前提がやはり
結婚ということにあると
考えると、正規雇用をふやすということが、まず経済的に安定をもたらして、そしてそのことが
結婚しやすい
状況をつくって、
子どもを産み育てる
環境を整えるということになるわけでありますので、これは
大臣自身が
経済財政諮問会議でプレゼンをなさった、問題は、未婚や晩婚、つまりは経済的
理由で
結婚できないということを解消していくということが大事だ、それを解決するのが
若者雇用
対策だということを先ほども御
答弁をされたわけでありまして、まさにそのとおりであるわけであります。
ありますが、引き続き、資料六とか七とかというところをごらんいただくと、資料六は、労働者派遣法の見直し法案なんですね。この国会で審議ができるかどうかわかりませんけれども、国会に提出をされている派遣法の見直し、私たちはこれは改悪だと申し上げているんですけれども、つまりは、派遣法の見直しによって、
若者を
結婚できない
状況にさらに追い込んでしまうのではないか、
少子化対策に逆行するのがこういった労働者保護ルールの改悪ということになるのではないかということを申し上げたいと思います。
例えば、派遣法の見直しでは、直接雇用への道が閉ざされて、生涯派遣という
状況を生み出しかねないというわけであります。
それから資料七、これは産業競争力
会議で今
議論をされていて、産業競争力
会議と
厚生労働省の
考え方が少しずれている問題なんですけれども、私たちはいわゆる残業代ゼロ制度というふうに言っております。
一番上の「
考え方」というところに書いてあるんですが、「成果に見合う処遇の確保」、つまりは成果主義、その上のところに「労働時間と報酬のリンクを切り離した、ペイ・フォー・パフォーマンスの浸透」と。つまりは、
二つ合わせると、労働時間と報酬のリンクを切り離した成果主義の導入だということであります。
これは、心配するのは、成果が上がるまで長時間労働を強いられるのではないか、あるいは、成果が上がらなければ、長時間労働の上低賃金になってしまうのではないか、こういうことであります。
こういった労働者派遣法の見直しとか、こういう残業代ゼロ制度、あるいはほかにも、解雇の金銭解決制度であるとか、解雇しやすい形での限定正社員制度の導入であるとか、この間も、有期労働契約法の見直しが、私たちは反対しましたけれども、通りましたよね。こういったことで、非正規雇用とかあるいは低賃金が
若者に押しつけられるということになる。これでは、
結婚もできないし、
子どもも産み育てることができない。
ひいては、幾ら
政府が、一億人、二〇六〇年代に維持しますということを高らかに宣言をしても、一方で、こういう労働者保護ルールの改悪で
若者に
結婚できない
状況を押しつけるということになっては、それぞれの政策が相矛盾する、アクセルとブレーキを同時に踏み込んでいるようなことになってしまいかねないということになります。
森大臣が、
経済財政諮問会議で、
若者雇用
対策が大事だというプレゼンをなさっておられるということであるならば、引き続きのプレゼンをぜひやっていただきたい。つまりは、それは、こういう
若者に低賃金と非正規雇用を押しつける雇用ルールの見直しというものはやめるべきだということをおっしゃっていただきたいと思いますけれども、
大臣、いかがでしょうか。