○大橋
参考人 皆さん、おはようございます。私は、前
刈谷市
児童生徒愛護会委員長でありまして、現在、
刈谷市立雁が音
中学校の
校長をしております大橋普支俊と申します。
本日は、このような場を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
今回
刈谷市が
携帯電話や
スマートフォン等の安全な使用について
保護者に依頼した
取り組みについて、きょうはここに呼ばれたのかなということを思いますので、その点について述べさせていただきたいと思います。
まずもって、今回、非常にスムーズに取り組めたのは、実は、
刈谷市では、この
刈谷市
児童生徒愛護会という組織は、昭和二十五年から脈々と受け継がれてきたものであります。
刈谷市市制施行と同時に、その当時の
青少年の健全育成を願い、小
学校、
中学校、
高等学校の
関係者、そしてPTAの皆さん、
児童委員の皆さん、
警察署員、司法保護司等の皆さんが、
児童生徒の校外
生活指導に、横の
連絡を密にしてその
環境を整備するとともに、積極的に
児童生徒を愛護、善導するという意味から、
刈谷市
児童生徒愛護会という命名をしまして発足をしました。
実は、十数年ぐらい前に少年
非行の低年齢化が叫ばれたときに、よく
全国的に、文科省等もたくさん言われましたけれども、
中学校と高校との連携だとか、または、最近の
犯罪から、
警察署と
教育委員会との連携とか、そういうことが叫ばれているわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、本市では、市制開始と同時にこうした連携を密にして、今では幼稚園、保育園も加えて、幼児、
児童生徒の健全育成に取り組んでおります。
また、日ごろから
学校とPTAの連携もとれておりまして、そういった
関係各位の信頼があったから今回の
取り組みがスムーズにスタートできたのではないかな、そういう
環境があったことをまず御理解ください。
それでは、今回の
取り組みの経緯でございますが、ただいま申し上げました
児童生徒愛護会の小
委員会である
中学校部会、この部会には、
刈谷市には六
中学校ございまして、そこの生徒
指導主事、それから
委員長である私、それから
刈谷警察署の少年係の係長、それから
刈谷市
教育委員会の生徒
指導の担当
指導主事という九名の者が集まって、定期的に
中学校の生徒の諸問題について協議をしているところでございます。
そんな中、実は、昨年の十月十五日のときに、六中学のどの
学校からも、いわゆる無料通話
アプリケーションソフト、
LINEを使ってのトラブルが報告されました。それまでもあったわけでございますが、だんだんふえてきまして、トラブルの内容としましては、例えばグループをつくっての
LINEのトーク、よく
子どもたちはトークというふうに呼んでいるわけですが、そこで特定の
子どもの誹謗中傷をするわけです。
例えば、この前もあったのは、同じ高校に嫌いな子が進学するというたわいのない
言葉なんです。でも、その
言葉から、お互いに、これは私のことじゃないかということでけんかが始まったり、それから、ちょっとした口論が
ネット上でだんだんエスカレートしていって、うざい、きもいとか、またはデブいとか、ちょっと差別的な用語が入るわけですが、そういうようなことが書き込まれて、
男の子の強い生徒は、先ほど言ったように、
学校とかで会ったときにけんかになったり口論になったりするわけでございますけれども、弱い女子生徒や何かは、悩んで、教室に行きたくないとか、
学校の方に行きたくないというふうな症状が出てきます。
それから、一旦悪い仲間の方に入ったが、
自分が更生しようとしていても、夜遅くメールだとかそういったもので呼び出されて、それが断り切れずにまた夜遊びをするというような事例もありました。
それから、先ほど、前の
参考人の方がおっしゃられたように、チャットやトークで見知らぬ男性から会おうというふうに言われて、会おうとしていたというようなこと。また、親子げんかをした際に、
LINEのトークで知り合った見知らぬ県外の青年の家に家出をしていたというようなこと。
それから、これも先ほどの
お話ではありませんけれども、知人の
写真掲載など、無断で私的な情報を
ネット上に流したために、どうしてそんなものを勝手に流すのというようなこと。
それから、メールやチャット、トークなどにより、
自分の
学校だけじゃなくて他校の子もそのグループに入ってきます。一番いけないのは、先ほど言ったように、グループに二十人、三十人といて、その中の一人が
IDを
掲示板に載せますと、全然見知らぬ人がそのグループに入り込んできて、成り済ました形で会話が進んでいくというようなこと。または、他校の生徒が入ってきて、
学校間のトラブル、または仲間を広げる、そういったものにもつながる、そういう原因にもなっております。
一方、そこまでの
非行ではないんですけれども、
LINEのトークやゲームがおもしろくて夜遅くまでやっていて、就寝時間がおくれて遅刻の原因になったり、
学校へ来てすぐに保健室に来て眠いよと言ったりというような症状がありました。
その一方、一部の生徒というか、しっかりやっている生徒の中では、私は本当はやりたくないんだけれども、既読スルーや未読スルーと言われる、いわゆる
LINEのトークでは、見たかどうかが瞬時に相手に判断されるわけですので、ある地区では何秒以内に返信しなさいという
自分たちのルールを決めていたりとか、そういうふうなところもあるわけでございますけれども、そういう既読スルーや未読スルーで、いわゆる外し、彼女らの
言葉を使うと、外しという
言葉をよく使うんですけれども、外しをされるのが嫌だから気になって常にそばにスマホを置いて、スマホに振り回された家庭
生活を送っているというような声も聞かれました。
それから、トラブル等を行った生徒を
指導する際に、当然親御さんも呼んで
指導するわけでございますけれども、親御さんの方としては、使ってはいけないというふうに言っているんですけれどもなかなか聞いてくれなくて、
学校で決めてくれるとありがたいんですけれどもねというような
言葉も、実は耳にしました。
私自身が前々から思っていたのは、中学生は
携帯電話を契約できないんですよね。
保護者が契約するのであって、
携帯電話を使うのは、使用者は中学生かもしれませんけれども。
契約者と使用者の
関係を、私がよく例えるのは、車の所有者と使用者。そうした場合、車の所有者というのは車の使用者に対して、監督責任を持っていろいろなことに非常に注意をするはずですよね。ところが、
携帯電話は、お子さんに与えたら与えっ放しで、親御さんがほとんど放任しているという
状況がたくさん見られます。
そういった意味もありまして、私どもも一生懸命
指導しているわけでございますけれども、どうしても
指導が追いつかない、または私たちの
指導力不足によって徹底できないというところがございましたので、
保護者の方にぜひ協力をしてもらいたいというような気持ちから、今回の
取り組みをしたわけでございます。
それから、先ほどございましたように、
電話回線じゃなくて通信
回線を使っての
LINEでございますので、そういった意味で、iPodだとかDSだとか、そういった、
携帯とかスマホとは
関係ないところでトークをやっているという実態を、
保護者の中には知らない方も多いと思います。私も、アナログ世代でございますので、なかなかついていけていない部分が非常に多くて困っているわけでございます。
こうした実態を踏まえまして、
保護者へ強く訴えたいという気持ちから、では、どこへお願いしようかということで、PTAの方にお願いするのが一番いいのではないかなということを思いました。
刈谷市立
学校PTA
連絡協議会というものがございますけれども、これはどこの市、町にもあるかと思います。この事務局に今回のことを
お話ししましたところ、御賛同いただきましたので、ことし一月に行われました市P連情報交換会に事務局から提案していただきました。
会に参加されていた市内二十一の小
中学校のPTA会長さん、副会長さんからも御賛同をいただきましたので、市P連と、私が
委員長をしていました
刈谷市
児童生徒愛護会の連名で、本年二月に各小
中学校へ
取り組みの依頼文を送付しました。お手元にその
資料があるかと思います。
依頼文の内容は、一点目としましては、必要としていないのに、
子どもからみんな持っているとせがまれて契約する
保護者もいますので、実は
刈谷市内の中学生の所持率は五八・二%という数値を示しておりましたが、このように、持っていない
子どもも四割強の生徒がいるんだよということを
保護者に知らせながら、必要のない
携帯は持たせなくていいですよということをまず一点目に訴えました。
二点目は、これまでも言ってきましたように、契約する際に親子で約束を決めてしっかり守っていく、また、
フィルタリングサービスをしっかりかけるという依頼でございます。
三点目が、特筆するわけでございますが、先ほど言いましたように、
子どもたちの中には、本当はそれと離れたいという
子どもがいるという実態を私どもつかみましたので、夜九時以降につきましては、親御さんに
携帯を預ける、またはリビング等の
自分の勉強部屋と離れた場所で充電しておくというような
取り組みをしました。
三点目のこの九時というのは、よくマスコミで今、九時が非常にひとり歩きしているわけでございますが、私どもは、九時というのは、固定
電話で大人が知人に
電話するときに、深夜こんなに遅く
電話しては失礼だなという時間の目安で設定させていただきました。
ですから、当然、塾等で十時以降に帰ってくる生徒につきましては、その時間で親御さんが、じゃあ、今から預かるねという形で、それはそれぞれの家庭で決めていただければいいというふうな気持ちで
取り組みを始めました。
開始時期でございますけれども、依頼を受けてすぐに
保護者に通知した
学校もございましたけれども、市内としましては、本年度四月に各小
中学校でPTA総会が開催されますので、このPTA総会において
保護者の方にしっかりと依頼をしていくというような形で
取り組みを始めました。
その後、家庭訪問等もありまして、
保護者の反応といたしましては、ほとんどの家庭が賛成いただいております。
子どもに注意しやすくなったとか、これを
きっかけに家でスマホの使い方やルールづくりの
きっかけとなったというようなお声をいただいております。
保護者の方から特に強い反対
意見は聞いておりません。
また、
子どもたちの方でも、これは本校のことでございますけれども、やはり予想していたとおり、これでスマホに振り回されずに済むといった好意的な
意見も出ており、睡眠時間がふえた、または、スマホを気にせずに勉強しているので集中できるというような反応も一部ございます。
今回の
取り組みは、お願いであって、強制力のないものでございます。先ほどの
藤川先生の
お話ではありませんけれども、「
早寝早起き朝ごはん」と同じような
取り組みでございます。
携帯やスマホの使い方について、今回の
取り組みで各家庭で考えてくれますでしょうし、先ほども述べましたとおり、こうした
取り組みによって、既読スルーや未読スルーを恐れて不安になっている
子どもを一人でも二人でも救えるならば、それで今回取り組んだ価値があるのではないかなというふうに考えております。
微力ではございますけれども、今後も
子どもたちの健全育成に邁進していきたいと思います。
私からの
意見陳述はこれで終わらせていただきます。
本日はありがとうございました。(拍手)