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樋口参考人 ありがとうございます。
私は、
NPO法人高齢社会をよくする
女性の会という全国に約八十から九十のグループがございまして、
各地で
政策提言や
地域の見守りなどをしております
団体の長として話をさせていただきます。
その前に、ちょっと私自身の、日々
消費者として考えてというよりも、実際に出会っていることを、
自己紹介を兼ねてさせていただきます。
私、八十一歳、立派な
後期高齢者でございます。いまだに
仕事をさせていただいておりますが、とはいえ、七十歳で大学を定年退職いたしましてから、昔に比べればずっと家にいる時間がふえてまいりました。そして、この間、
高齢者は狙われているということを日々痛感いたしております。
私、今や全く
高額所得者でも何でもございませんが、恐らく、
地域のPTAの名簿とか、あるいは、ある時期、一千万円以上の
所得者の氏名を公表していた時期がございましたから、そこに載っていた時期があったんじゃないかと思うのですけれども、まず、かかってくる
固定電話のうちの半分はこうした
電話でございます。
仕事の
電話は半分か四割ぐらいでございます。
どんな
電話がかかってくるかと申しますと、いわゆる
犯罪を
構成するであろうような、
詐欺につながる
電話も全部かかってきております。
オレオレ詐欺、これは二回かかってきました。さすが、うちにかかってくるのは、俺、俺ではなくて僕、僕と言っておりましたけれども。
それから、
還付金詐欺。あなたの
医療費が払い過ぎであると。これは杉並区
保険課を名乗ってやってまいりました。
比較的最近が
アポとり詐欺。千葉市
中央警察署捜査一課を名乗ってかけてまいりましたが、一般の
警察署には、
捜査一とか二とかいう数は、後で聞いたらないそうでございます。これは、あなたの
カードがと。
カードなど手元に持っていると申しましても、
ナンバーごと大きな
犯罪に巻き込まれているからそれを持って最寄りの駅まで来いということで、断りましたら、
警察車両をあなたのうちの前に横づけにしてやるぞという仰せでございまして、どうぞと言いましたが来ませんでした。
これらは、もちろん私は、
関係方面、
警察署及び私どもの地元の
警察署及び
消費生活センターなどに全て届けてはございます。
というぐあいで、まさに、もう相手様が
組織的、
ネットワークを組んで、日進月歩で攻撃をしまくっている。そこを私
たち高齢者は、御案内のように、
高齢者の
世帯形成は、今、
ひとり暮らしが二五%、そして老夫婦が三〇%、これだけで過半数を超えております。それと、私などのように、未婚の子と
高齢者が住む家庭がそろそろ二割近くと数えてまいりますと、昼間一人という
高齢者は全
高齢世帯のほとんど四分の三に達しております。
そして、
消費者教育推進法ができましてまことに結構と思いますが、なかなか体の弱った
高齢者はそうした
教育の場には出てくることができません。全く無防備に、言ってみれば、昔は
三途の川というのは本当に一またぎだったんですけれども、今は
老いてからの時間が長くなりまして、生と死の間に
老いというものがあり、この
老いというなかなか
判断力が一〇〇%とかいかない間が、
三途の川が、何か揚子江かミシシッピかというぐあいに長くなりました。
政府は、常に外国への
安全渡航情報ということをテレビなどを通して流してくださいますが、今や本当に、国の
法律制度をもって、
高齢者老いの川安全
渡航法というのをつくっていただきたいと思うぐらいでございまして、今回の
改正も、それの一部を形成する重要な要素だと思って、私ども、部分的には申し上げたいことはございますけれども、基本的に大賛成しているところでございます。
そのほか、かかってくる
電話でいえば、ほとんどが
電話勧誘。金融商品が多くて、こちらは名立たる大
企業もたくさんございます。しかし、ほかに、年ですからお墓の勧誘、女ですから和服の勧誘、このごろはなぜでしょう、結構なカニの勧誘という、さまざまなものがございます。
このごろは、買います、不用品、古本。特に、かつて、自己使用の小マンションを人に貸しておりますのですけれども、これを売れという、これは本当に、ちょっと怖いぐらいです。断りますと、なぜかと。答える必要はない、今高い値段がついていると。今は別に売る必要はないのだ、今売らないと後でほえ面かくぞということまで言われました。ちょっと恐怖を感じる、押し買いですね。その点、今回の
法律ではありませんが、特商法の中に、初めは
訪問販売の押し売り的なものが対象でしたけれども、押し買いの方も対象に入れていただいて、大変私は心強く思っております。
さて、私どもの会員も、
消費者被害に遭った人は、友人の夫はインターネットをやっていてひっかかりましたし、もう本当に
被害者は数を知れずでございます。一生懸命働いて、ささやかな虎の子の蓄えを持っている程度の
高齢者までみんな狙ってくる、これはむしろ、人間の安全保障として、国家ぐるみで、私たち一人一人も気をつけると同時に、守っていただきたいテーマだと私は思っております。
さて、私どもの会でございますが、全国的に、
地域の中での見守りや、例えば、
ひとり暮らしの方がいるときには、積極的に、我々の会員はある程度勉強をしている人が多いですから、成年後見人になっている人もいますし、それに近い、もっと身近なところで、病院へ付き添ったりということをボランティアとしてやっている人がたくさんございます。
最初に申し立てがあったのは京都からでございますけれども、京都のグループの会員が、一人、親しい友人をお世話していた。ところが、要
支援二ぐらいで、ヘルパーさんが来ているんですけれども、ヘルパーさんが来ているときに倒れていたので、救急車に運び込んだのはいいんですけれども、緊急連絡者としてうちの会員が名前が書いてあったので、すぐ連絡して、すぐ行ったのです。お医者さん、病院側は、あれせい、これせい、何買ってこいということはおっしゃるんですけれども、この人は何がぐあいが悪くて倒れたんでしょうかと聞いても、
個人情報保護法があるから言えませんと。
要するに、脳出血なのか、心臓麻痺なのか、貧血で倒れたのか、それによってはちょっと、そんな細かいことは医者でないからわかりませんから言っていただかなくてもいいけれども、どこが悪くて倒れましたよぐらいのことを言ってもらいたいのに、もし親族が出てきて、その前にあんたに言ったということがわかったらえらい目に遭うから、
個人情報保護法であると言われました。
それから、これも京都の方のかなり大きな病院には、玄関の入り口に、
個人情報保護法により患者様の
情報はお伝えできませんといまだに張り紙が出ている病院があるそうでございます。
行政機関へ行きましても、ちょっとしたことでも、
個人情報保護法があるからといって断られることが多い。
個人情報保護法ができた
趣旨に私どもは反対するわけでも全くございません。インターネット時代を迎えて、大量の
個人情報の流出、プライバシーの保護というものに関して、
法律がなかったからつくってくださったんだということはよくわかっておりますけれども、にもかかわらず、皆様御案内のように、大
企業の中から何十万、何万、何千という数の
個人情報が流出しているのも御承知のとおりでございます。そして、それに対して誰がどのような責任をとったのか、私どもは知らされておりません。
個人情報保護法は、
趣旨は結構と思いますけれども、大変理念的なものであり、問題はむしろ具体的なところで起こってきてしまいますので、
個人情報保護法のあるべき姿よりも誤解の方が先行してしまって、結果としては、病院施設や
窓口、
行政機関などが何もしないことを保護する
法律になっているような嫌いがあると存じます。
これは、内閣府の調査でも、
個人情報保護法で
生活に不便を感じるという調査が、たしか半分ぐらいあったというような記憶がございます。
ということで、私どもは、京都、
東京で二回の勉強会を開きまして、その結果、もちろん、その間、内閣府や特に厚労省などは
複数回通達をお出しくださって、これはそういう
趣旨ではない、市民
生活の安全を守るためには例外の部分もちゃんと書いてあるというようなことを通達してくださっているんですけれども、一向におさまりませんでしたので、資料としてお渡ししてございますように、一昨年、
平成二十四年九月末に、
消費者庁長官と厚労省の局長さんに対しまして、私と京都の会の連名で、「
個人情報保護法の運用に関する要望書
地域の支えあいをすすめるために」という要望書を出しております。
これは、このように独居が進んでまいります、助けを必要とする、しかし助けの声が向こうからなかなか上げにくい
高齢者を抱えた
地域の中で、何よりも自立した市民同士の支え合いが必要でございますから、そのような支え合いに対して過剰反応しないように、御担当の方に通達や
研修を通してそのような考え方を広げていただきたいという要望書でございます。
次のペーパーは、京都がなぜこういう
提案をするに至ったかという具体的な事例を列挙してございます。
一番
最後は、私どもの勉強会を収録いたしました会報でございまして、「おひとりさまを
地域で支える・見送る 新しいご縁づくりもラクじゃない」といって、
二つの勉強会を収録いたしております。
というわけでございますから、私どもは、今回の
消費者安全法の一部
改正、新しい項目がつきましたことに基本的に賛成でございます。
そして、何よりもこのごろは本当に家族のいない人がふえてまいりました。先ほど
高齢者世帯の内訳を申し上げましたけれども、血縁はいるのだけれどもそばにいないという人がこれからますますふえて、最近の人口問題研究所などの推計でも、恐らく、若い人を含めて、いずれ
ひとり暮らしが四割を占めるであろうと。
これを原因分析して、これからもう少し夫婦世帯や子供さんがふえるようにするということは私どもももちろん賛成でございますが、今しなければならないのは、まずそうした世帯や特に
高齢者をどのようにさまざまな
被害から守っていくか、これは水際作戦と長期展望と両方、ぜひ政治家の先生方にはお願いしたいと思っているところでございます。
昔、ファミリーレストランというのができました。行ってみますと、ファミリーもいらしていますけれども、我々年配の
高齢者がぽつんぽつんと食べている姿も目立ち、字を変えてもらいたい。ファミリーレストランじゃなくて、ファミリーレス、ファミレスレストランという時代がやってきて、よくも悪くも、その時代をとにかくみんな一生懸命働いて生きてきた人々の老後をどのようにして見送るか、支えるかということはやはり国家社会の品格にかかわる問題だと私は心から思っております。
もちろん、そこの中を生きます私
たち高齢者一人一人が健康に気をつけ、健康寿命を延ばし、
医療費、介護費がそちらの面からも少なくなるように努力するのは当然でございますけれども、認知症になりました節はどうぞよろしくお願い申し上げます。
今回の中で、私が最も御賛成しております点は、
消費者安全確保地域協議会の
組織でございます。敵は、あえて敵はと言いますけれども、敵は日進月歩のスキルを研ぎ澄まし、しかも
ネットワークというのは彼らのためにあるのではないかと思うぐらいすばらしい
ネットワークを組んで、しかも証拠隠滅の高度テクニックを擁し、こちらも一生懸命
組織化を図る、ようやくそのような
組織ができまして、
消費生活協力団体、
消費生活協力員ができましたこと、この活用は全く大事でございまして、
地域の力をこの制度はぜひバックアップするものであってほしいと思っております。
そして、そこにかかわる人が罰則つきの守秘義務を持つのは当然のことでございまして、
個人情報保護法も随分誤解されましたけれども、それまで余りプライバシーというようなことを本格的に考えている日本人はおりませんでしたから、プライバシーが大事なんだということを広めたという
意味では、あの
法律はとても
意味があったと思っております。
そして、ぜひ、
地域の中で実力のある善意の人が
消費生活協力員に任命されてほしいと思っております。別なことのようですけれども、昨年、長野県が日本一の健康長寿県であるというときに、御担当の課長さん、お医者さんでしたけれども、理由の御説明を聞きました。
減塩と思っているけれども、もうそうではない、その効果は出尽くした。もしあるとすれば、長野県が、日本一の公民館数で、出会える場所があること。それから、今のことです。何か小さな
委員、何も内閣総理大臣から任命されるわけではないです、厚生大臣からの任命ではない、
地域の
自治体とか社会福祉
協議会とか、そういうところからの任命程度だけれども、
地域の何とか
委員という方が日本一多いんだそうでございます。
というわけで、こうした
地域の活性化というのは、そういうことが健康長寿にもつながる。
委員を務める人もその中に入って、
地域づくりの活性化につながるということを考えますと、幾つかの注文はございますものの、今度の
法律改正、特に、
住民参加、全員参加で
消費者を守ろう、
高齢者を守ろうということに賛成だと申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。(
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