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増田参考人 全国消費生活相談員協会の
増田でございます。
本日は、
意見を述べさせていただく
機会をいただきまして、ありがとうございます。
本協会は、
全国の
消費生活センターで勤務しております
消費生活相談員を会員とする、
全国七支部の
組織でございます。会員は日々、
消費生活相談窓口で
消費生活相談を受け付けておりますし、私
どもの自主事業としまして、
行政がお休みの土日の週末相談を十五年前から開催しておりまして、今
現状、どういう
消費生活問題が起こっているのかということを把握しているというふうに考えております。
そのような中、本日は広告、
表示による
消費者被害と、
現状の景表法の限界について少しお伝えしたいというふうに考えております。
最近では、
商品、
サービスが高度
複雑化しておりますので、その
内容とか性能が非常にわかりにくくなっております。そのため、広告、
表示の影響がより一層大きく、
事業者の
責任も重くなってきているのではないかというふうに考えております。
例えば、昔の黒電話であれば、その性能というのはすぐわかるわけですけれ
ども、スマートフォンやタブレット、WiFiルーターなどの通信機器の性能は、これまでの自分たちの経験ではなかなか推測ができない。しかも、エリアの問題であるとか、それから3G、4G、LTEというような電波も
関係してくる。それから、今どこで使っているかという建物の状況、環境にも左右されるというようなことから、これは正しく本当に
表示どおり性能が備わっているのだろうかと、使っていても実感ができないというのが
実態ではないかというふうに考えているところです。
現実に、LTEエリアの問題とか、それからルーターの速さの問題で、既に
措置命令が出されているということがございます。そのような場合、
消費者の方としても、非常に有益な
サービスですので使いたいというふうに考えておりますので、広くこの
商品を購入している方がたくさんいらっしゃいます。
ところが、実際の
実態とは違っていたのではないかということが明らかになったとしても、返金してほしいというところが
現状ではなかなかままならない。実際にはWiFiルーターあるいはスマートフォンとして使えていたのではないか、であるから利得はあるんじゃないかということで、なかなか取り消しが認められないというのが
消費生活センターでの実感でございます。
それから、金融
サービスに関しましても、
現状では、CO2
取引であるとかコンテナの所有権
取引とか、非常に難しい
取引が行われております。過去にも平成電電、近未來通信などのように大型の
消費者被害がございましたけれ
ども、これにつきましては、新聞広告あるいは有名な雑誌の広告、折り込みチラシなどによって募集が繰り返され、それにより被害が拡大したというふうに考えております。
消費者としては、有名な雑誌であるとか大手の新聞であるとか、そのようなものに対する
信頼が厚いですので、そこで
信頼性が増していたのではないかというふうに推測する次第でございます。
さらに、健康
食品に関してですけれ
ども、病気がよくなるとか、病気を予防する、痩せるなどの効能、
効果を
説明してはいけないわけですけれ
ども、それらの広告があふれているのが
現状でございます。長期間使用することによって
効果があるのであるということで、大量の健康
食品を買ってしまうというケースもございます。
過去に、例えば化粧品の
措置命令を受けて処分を受けたような
事業者が、今、健康
食品で誇大広告の販売をしているというようなケースも見られておりまして、
商品が違いますと過去の
措置命令が全く生かされていないというのがございますので、このような再犯
事案とも言えるようなものも処分していただきたいというふうに考えているところです。
もう
一つ、インターネット通販の問題がございます。
インターネット通販などは、
表示、広告だけで
取引に入ります。それによって
誤認して契約してしまうということが多数ございますので、やはり今後も監視
体制を厳しくしていただきたいというふうに考えております。
地域による
不当表示に関してですけれ
ども、
消費生活センターには、レストランあるいは外食だけではなくて、スーパーなどの二重価格、おとり広告などの
情報が寄せられます。
ただ、
消費生活センターの相談員としては、これらについて
情報として記録していくわけですけれ
ども、果たしてきちんと調査してくれるのだろうか、それから、
消費者庁が
措置命令を出してくれるのだろうかというところが、非常に遠い感覚があります。これが実感だというふうに思っております。
今後、これが
都道府県の方に
権限が
付与されるということになりましたらば、速やかにそのような
措置命令が出されるということであれば、そこで期待したいというふうに考えておりますし、相談員としては、きちんと
情報収集して正しく伝えていきたいというふうに考えているところです。
一方、実際に
運用する職員がいないとか
運用する力がないということになると、
法律改正の意味がないというふうに思いますので、
実効性を持たせるために、ぜひとも
消費者庁として、
都道府県職員の方への研修、職員への相談
対応の
強化、
運用するための
支援をしていただくことと、職員増員について首長の方へ強く要請していただくことをお願いしたいと思っております。
話は違いますが、特商法によって
行政処分を行いますけれ
ども、その処分を行った後、ほかの
都道府県の方へ移って同じ被害を起こすということが繰り返されております。そのようなことがないように、
都道府県で
措置命令を出した場合は、
全国でその
情報共有を行っていただき、同種のことが行われていないかどうかということを監視する制度をつくっていただきたいというふうに考えております。
最後に、
課徴金でございますけれ
ども、ぜひとも導入していただきたいというふうに考えております。
消費者は、正しく
表示していたら
選択しなかったというふうに思います。
表示が事実でなかったのであれば返金してほしいと思っているところです。
ただ、
表示した性能がなかったとしても一定程度使用できたでしょうとか、
表示を指摘されただけなので
表示は訂正しました、今後は気をつけます、ですが返金はいたしかねます、それから、
表示だけの問題であって、
効果はあるのであるというようなことを言う
事業者もございまして、実際には、
消費者被害というのは回復されていないのが
現状でございます。
実際に利得があるケースもございますので、その利得の算定が困難であるとか、金額が小さい多数被害であるというようなことからも、なかなか個別の救済というのは難しいということはわかっておりますので、そのようなところからも、
課徴金制度をぜひとも導入していただきたいというふうに考えております。
それから、実際に備わっている性能を確かめてから広告、
表示して販売するということが通常の
事業者のあるべき姿というふうに考えておりますけれ
ども、それを不実証のまま広告、
表示するということは、
消費者から見れば、
悪質性が高いのではないかというふうに言わざるを得ません。不実証広告の場合に
課徴金の
対象から外すということはあってはならないというふうに考えております。
確かな性能を備えた
商品や有益な
サービスを提供するために尽力して、適切な
表示となるよう費用をかけて厳しく管理している
事業者が正当な
利益を得ること、これが、ひいては
消費者の
利益にもつながるというふうに考えておりますので、ぜひともよろしく御検討いただきたいというふうに考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)