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泉委員 実は、ある
意味、善意の
誤解が相次いでいまして、森の
防潮堤と緑の
防潮堤は
一緒だというふうに捉えている
方々が数多くおられる。
大臣も御存じだと思いますが、昨年も
植樹を
一緒にされたあの
宮脇教授が、森の
長城プロジェクトということで、森の
防潮堤ということで、
瓦れきを集めて、
有害物質を取り除いて
盛り地をつくって、そこに木を植えて自然に近い形の
防潮堤をつくろうじゃないかという
プロジェクト、多くの市民が参加されているわけですが、それはそれですばらしい。しかし、これはあくまでどうやら森の
防潮堤ということであって、
国土交通省にお伺いしましたら、いやいや、私
たちは緑の
防潮堤です、オリジナルですというようなお話を一応
説明では受けまして、ああ、なるほど、あくまで
コンクリートの上に載っけるということが
前提ですというところがどうやら違いなのかなという気がいたします。
改めてですけれども、
防潮堤は
防潮堤として、
海側そして
陸側、今回の経験を踏まえて、
陸側もしっかりと
コンクリートで被覆をして、そしてそれをさらに洗掘を防ぐ、補強するために
盛り土をするあるいは
植樹をする、これが緑の
防潮堤であるということでよろしいですね。うなずいていただきましたので、先に進ませていただきたいと思います。
まず、
コンクリート堤防に
盛り地をするということですね。皆さんも頭で考えていただくと、確かに、
コンクリートじゃないところを
コンクリートで被覆する、当然ながら強化されるだろうなというふうにイメージできると思います。そして、その
コンクリート盤が外れないように
根固めをする、一番下に
コンクリートの塊を置いて補強する、これも当然補強されるだろうなと思います。その上に土までかぶせて、さらに樹木までかぶせれば、かぶせればかぶせるほど強くなるだろう、あるいは
破壊が防げるだろうというふうに
一般的にはイメージされるのかなというふうに思います。
ただ、私がきょう
指摘をしたいのは、
国土交通省が二〇一一年の十一月に
資料をつくっておりまして、「
河川・
海岸構造物の
復旧における
景観配慮の手引き」というのがあります。きょう
資料でお配りをさせていただいています。ちょっと
ページ数をつけていなかったので、一枚めくりまして、さっきの
岩手県の
地図の
反対側ですね。一番下に二十四ページという
数字が振ってあります。これが「
河川・
海岸構造物の
復旧における
景観配慮の手引き」、
国土交通省で
検討されてつくったものです。
ここにどう書いているかといいますと、一番下をごらんいただくと、「裏法尻部を
コンクリートで被覆する等の洗掘
対策を行った場合は、植栽は適さない。」というふうに書かれているところであります。植栽とは何か、
植樹であります。
さらには、その二十四ページと
数字が振ってあるところの上の方を見ていただくと、「具体的な配慮方法」として「土砂の安定性の
観点から、極力緩傾斜で行うことが望ましい。」「覆土を行う場合は、適度に起伏をつけ、
堤防法面との境界部が直線にならないよう配慮する。」等々が書かれております。
そして、さらに
資料の一番裏、二十七ページと振ってあるところをごらんいただきますと、なぜ
植樹や土で覆うということに気をつけなければいけないかというと、「越流により
一定の水深を超えると、樹木が漂流し、他の
施設等への
被害を増幅することがあり得ることに十分留意する必要がある。」
あるいは二十六ページに図が載っておりまして、一番上、図と私が丸で囲んだ文字がありますが、まず、土の盛り方というのは、
堤防の上から下まで斜面に土を盛るのではなく、まさに一番下の洗掘されそうなところを固めるために、緩い形で低く土を固める、これが基本であるというような絵になっております。さらに、「維持管理や越流時の流出
防止の
観点から、
堤防に近接して
高木を植栽しない」というふうにわざわざ書いてあります。その横にも、「必要に応じて、緩傾斜で覆土することを
検討する」等々書いてあるんですね。こういうふうになっているわけですね。
それで、もう一回、
資料の真ん中のページに戻っていただきます。二十四ページの横。「
植樹の樹種及び本数、将来のイメージ」というのが書かれていて、これが
太田大臣が行っていただいた岩沼
海岸の
資料ですね。昨年六月三十日の
植樹の際の
資料であります。
ここで「樹木が成長した将来のイメージ」というのが書かれていまして、まさに
堤防の上から斜面に沿って土を盛って、どちらかというと、斜面が終わったところで途切れているような状態の土の盛り方。そして、これは
確認しなければいけませんが、斜面に起伏をつけているのかどうかですね。
堤防の
コンクリートに起伏をつけているのかどうかということも含めて、
大臣にも少し、うんという懸念をしていただきたいのは、本当に
植樹をしていただいたところ、今ちょっと、成長も少し、予想したよりも、塩の
被害だとか風に当たっておくれているというような話がありますが、これはある
意味、当然のことかもしれません。海風も、そして塩も当たり前ですね、海の横ですから。
そもそも、そんなに高い木が生えるわけじゃないというところの
堤防の上の部分から
植樹をしたということが果たして本当に正しかったのかどうかということや、本当にあの斜面、今後、どんどん雨が降ったり高潮が来たりする中で、土と
堤防の間の部分に水が入ったりして、この斜面そのものがずり落ちるようなことがないのかどうかということも含めて、恐らく、
国土交通省が二〇一一年、
平成二十三年の十一月にまとめたこの
景観配慮の手引きの土の盛り方とは随分違う形で岩沼の土が盛られて、
植樹されたんではないかということが感じ取れるわけなんです。
このことについて
国交省の見解を伺いたいと思います。