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松原参考人 稀少がん
患者全国連絡会の
松原良昌と申します。
きょうは、このような
機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
私、血液がんを七年前に患いまして、現在再発中でございます。さらに、サルコイドーシスという肉芽腫、膠原病の一種でございますが、これを併発してございます。そういうことで、がんと
難病の二つにつきまして、共通する事項が非常に多うございますので、その辺のお話をきょうは申し上げさせていただきたいと
思います。
資料が十ページほどございますが、主に三点に絞って述べさせていただきたいと
思います。
一つ目は、今、各
参考人の皆さんがお話をされたように、
審議されています今の立法を進めていただいて、早く
成立させていただくことをまず最初に
お願いしたいと
思います。
これから私が述べる内容の
一つ目は、
希少がん
疾患というような、少数の
患者しかいない
病気につきましての
医療費助成の仕方を含めまして、その辺の話をさせていただきます。
それから、二つ目は、がん
患者、
難病患者さんもそうなんですが、非常に強い薬を使います、やはり優しい
医療を求めておりますので、この辺のお話も申し上げたいと
思います。
それから、三つ目に、特定
疾患とかになりまして治療費がただとなった場合、無駄な
医療を
患者自身もしないように、また、国が今一千兆円もの借金があると
思いますが、その中で、
医療費が非常に大きなウエートを占めざるを得ません。
患者自身も、自分である程度自立しながら、
医療費につきましても考えなければならぬということで、
日本人は生命保険が好きでございますので、生命保険を活用しまして、自分のよき治療のための、治療継続のための資金として生存
給付金が使えたらなというようなことで、これにつきましては第三者
委員会でも早期につくっていただければというふうにも考えてございます。
では、私の方から
一つずつお話をしてまいりたいと
思います。
まず、一点目でございますが、御存じのとおり、
難病に、
医療費助成があります特定
疾患というのがございます。今、五十六ですか。ところが、がんにはないんです。治療費が無料、助成していただくところは、がん
患者にはありません。がん
対策基本法というすばらしい
法律ができているんですが、これが漏れているんですね。がんは特定
疾患じゃないんです。
小児がんにつきましては
難病だというのが昭和四十七年の
難病大綱の中に盛り込まれてございますので、小児がんについては
難病指定。これは当たり前でございます。国家の宝である
子供をちゃんと治療していこう、これは大変なことでございますので、これは当たり前だと
思います。
そういうことでございまして、総
医療費の枠内での配分の難しさから、可能なところから順次
医療費助成をやっていくというようなことも大切かと
思います。
対象拡大の今回の改正法をぜひ早く通していただきたいと
思います。これが通りましたら、次はぜひ、私の
希少がん、この辺も
認定していただければというふうに思ってございます。
病気の重い軽いというのは
患者ごとにございます。したがいまして、例えば、軽度のものから重度のものまであるんですが、
予算の総枠を見た場合に、やはり重症
疾患から
認定していくということはしようがないなというふうにも考えております。
患者が国にいろいろ無理を言うだけではなかなか解決しない問題でございますので、そういう順番を決めたりというようなことも必要ではないかなと
思います。しかし、軽度の方は、助け合いをしながら少し我慢するということも必要じゃないかなというふうに思っております。
と申しますのは、
希少がんの場合は、確かな
治療法も確かなお薬もないんです。二つともないんです。どうしたらいいかということになっちゃうんですが、大体、なかなか五年生存ができないということが多いんですね。そういうことで、特定
疾患が
難病にあるということは非常に心強い。しかし、なぜがんにはないのか、こういうことを、私が納得してもだめなんです、明確に
国民に説明をしていただければ助かるなというふうに考えてございます。
希少がんにつきましてはいろいろな問題を含んでおります。例えば私の話でございますが、私は七年前に抗がん剤を打って治療しております。もちろん、髪の毛もつるっぱげになるんですが、その後四年で再発してしまいました。現在も再発中です。途中でサルコイドーシスができまして、全身に出てございますが、がんと
難病が別々になっているんですね。したがって、がんはがん、
難病は
難病という形で、これを統合して
医療政策をお進めいただけたらいいんじゃないかなというふうにも思ってございます。
では、具体的に
一つずつお話をしていきたいと
思います。資料の一からお話をさせていただきたいと
思います。
この中で、ちょっと飛びますが、資料一の後に資料二、今回私がいろいろお話をするのは、一年半前に正式に
厚労省の矢島健康局長さんに
お願いした請願書の写し。あれから一年半たっていますが、ほとんど進んでございません。これぐらいにいろいろ難しい中、
国会議員さんを初め皆さんが一生懸命御
審議いただいているということでございますが、同じことを一年半言い続けても進まないというのが実態でございます。残念なことですが、がん
患者は、その間にたくさんの方が亡くなってしまいます。そういうことで、一年半前、二〇一二年の十一月二十六日に健康局長さんにお会いして、直接
お願いしたときのものを
参考資料としてつけてございます。
その次に、資料三に「(稀少)がん
患者救済のための提言」というのがございます。
希少性ゆえに、先ほどからもよく話が出てきますが、専門の先生がいらっしゃらない。
地方に行くに従って、専門の先生、
病院をどこに行ったらいいかわからないという問題が、
希少がんの場合は起こります。
そこに、事例Aで五十九歳の女性の事例を書いてございますので、ちょっと読ませていただきますと、この女性、血液がんの
一つの多発性骨髄腫というのにかかっているんですが、自己末梢血幹細胞移植、要は、血液型が変わるという
治療法なんですね。もらった血液の、自分が今までAだったら、Oの人からもらえばOに血液型が変わってしまう、こういう非常に厳しい治療をされた方なんですが、一時は軽快、寛解の状態にいっていたんですが、新薬のベルケイド治療を開始したが、高額
医療のために治療継続がこの方はできなくなっちゃったんですね。それで通院を中断されてしまった。
血液を入れかえる、そんな厳しい治療をして、せっかく軽快までいっていたんですが、この方が多発性骨髄腫を悪化させまして、脊髄損傷を起こすんですね。脊髄損傷を起こしますと、両下肢が、足が麻痺してしまうんです。大変気の毒なことになるんです。治療を中断すると、こういう問題がたくさん起きてまいります。治療は、継続しなければいけないものが多いんですね。
そういうことで、現在この方はもちろんまだ生存されていらっしゃいますが、近年、新薬が出るたびに、費用が高い、二十万から八十万というような。私も分子標的剤をするんですが、三割
負担の場合は一回十万円、毎回持っていかないと注射していただけない。身長と体重を掛けたものですから、私の一回の分子標的剤の注射料が三十三万円ぐらいするんです。だから、三割
負担の十万円を持っていかないといけない。
そういうことで、
日本は、
皆様、
国会議員さんのおかげで、中
福祉までいっていまして、非常に恵まれてございます。しかし、
患者は小
負担で中
福祉を求めるという矛盾がずっと続いております。しかし、お金がなくて、こういうふうに治療を中断しなきゃいけないというのも実態でございます。
次のページに、またこれはたくさんございますのであれしますが、例えば
国民年金でございましたら、六十五歳で、平均でいきますと六万五千五百四十一円、六万円ちょっとぐらいしかもらえないんですね。東京に住んで、アパートを借りて、食事をして、月々一万二千円ぐらいのお金が払えないから、中断してしまわなきゃならない。こういう実態があることも事実でございます。
詳しくいきますとあれなので、この辺をずっと飛ばしますが、ぜひ
一つの方法として、例えば、今、
日本の抗がん剤とかは、海外製薬メーカーからの抗がん剤の輸入が多いんですが、
日本の製薬メーカーに比べて、海外の法人税がちょっと少ないようです、したがいまして、製薬会社からの法人税の適正な納税分で抗がん剤治療時の
医療補助に充てるとか、新しいことも御検討いただけないかなというふうに思っております。
それから、がん難民の救済ということが載っていますが、大学
病院で手術をしたりしますと、大体三週間ぐらいで、言葉は悪いですが、
病院を退院しなきゃいかぬのですね。そうすると、受け皿がないんです。介護施設とかにがん
患者が行くと、非常にややこしいことになるんです。
私も、脊髄と骨盤にがんが浸潤してございます。骨が痛いんです、骨が痛い。だから、そうなりますと、介護センターなんかに行くと迷惑がかかるんです。ところが、大
病院を出された後、行くところがありません。
そういうことで、大阪で、そういう方を救済するために、そういう人を収容するサポート
病院構想というのを
成立させたい、大阪のお医者さん
たちがそういうふうに一部動いてございまして、大阪をモデル地区としていきたいなというふうに思ってございますので、この辺の御支援も
お願いしたいと
思います。
それから、二つ目でございますが、優しい治療ですね。
日本だけでなく、
世界の
医療水準がそうなんですが、がんにかかってしまいますと、基本的に治りにくい。抗がん剤を注射したりするんですが、大体三割か四割しか効かない。逆に言うと、六割から五割、効かない抗がん剤を打っているんですよね。
これは、
先生方も一生懸命やっていただいているので、
日本が悪いんじゃないんです。がんはそれだけややこしい
病気なんですが、高齢になりまして、私は今七十一歳でございますが、無理な手術や無理な抗がん剤を打つということを避けて、私は七年前に抗がん剤を打ちまして、再発中でございますが、その後、一度も、いわゆるがん治療薬を打ったことがありません。
五臓六腑を強くしまして、漢方薬を使いまして、そういう治療を続けておりまして、これは個人差がありますから、あいつが言うとったから治療せぬのだというようなことで、まねしていただくと困るんですが、自分でできるだけ頑張って、抗がん剤とかは体に毒でございますから、できるだけ使用しないという方法を私はとっております。それが漢方ということです。
それからもう
一つ、手術をした後に抗がん剤で地固め療法とかをやるんですが、抗がん剤が本当にその方に効くかどうかというのを試験することが今できるんですね。
今、お医者さん
たちがいろいろな角度で、これがいい、あれがいいというふうになるんですが、抗がん剤の試薬というのがございます。保険適用でたった二千五百円なんです。安過ぎてお医者さんが使ってくれないんですが、自分にどの抗がん剤が適して効くのかということを、効くということはわかりにくいんですが、効かないということは九五%わかる、今はそういう抗がん剤の試薬があるんです。
こういうのをぜひ使っていただきまして、体に優しい、無駄な治療になりますと
医療費もかかります、
患者負担も肉体
負担もふえます、だから、そういうことをやっていただけたらなというふうに思ってございます。
漢方につきましては、がん研有明
病院というのがそこにございますが、がん専門
病院で初めてがんに漢方を取り入れる、そういう漢方外来をちゃんと設けてございます。優しい治療ということで、そういう
病院をふやしていただけたらなというふうに思ってございます。
それから、三つ目でございますが、がん診療、
難病診療には、私、サルコイドーシスで、大学
病院で三回生検を受けています、がんでも生検を受けていますが、この病理診断をする
先生たちが非常に少ないんです。がん診療連携拠点
病院の中でも、一五%近くが、そこに、がんを判断する組織病理医がいないんです。足らないんです、少ないんです。
だから、遠隔操縦、ネットワークでそれを、今、東大
病院の中に佐々木先生が持ってきてつくろうというようなことを進めてございますが、そういうふうな形も、皆さん自分でお金を出して、一番最後の資料にございますが、
先生たちはお金を出して自分らで運営しているんですよ。本当に涙ぐましい。一番最後に、「稀少がんおよび診断が困難症例に対する
日本病理学会コンサルテーションシステムへの国の支援の
お願い」というのがありますが、まず
病気診断を確定させないと治療ができない、その診断医が少ないんです、組織診断医がですね。これは、
日本のコンサルテーションの
課題の中で、バーチャルスライドスキャナーというような、そういう設備も少ないんです。
そういうことでございますので、ぜひ生命保険の活用も含めて、
患者が自立するということを、これから
患者の方も考えますので、国の方もいろいろな形で御支援を賜りたいと
思います。
どうもありがとうございました。(拍手)