○伊東(信)
委員 ありがとうございます。
いろいろな分野に関して、さまざまな
取り組みを今まさにやっているところだという御
答弁だと思うんですけれども、特に医療分野に関する
産業化、幾つか、現在の現場での視察、意見をこの資料にまとめてきましたので、まずざっと
紹介させていただいて、医療分野に関する
産業の
取り組みの問題点を質疑させていただきたいと思います。
まずは、再生医療の分野での
日本の製品は、
世界における
状況におきまして、一昨年、山中教授がiPS細胞の研究にてノーベル賞をおとりになりましたけれども、まだ
日本では自家培養表皮と自家軟骨細胞の二品目しかございません。アメリカの八品目、ドイツの九品目、そして韓国でさえも七品目ございます。アジアの中でも、
日本がリードしているとは到底言えない
状況でございます。
次のページをおめくりいただきますと、これは山中
先生の弟子である青井教授が神戸大学でiPS研究所を開かれまして、そのときの再生医療に関するストラテジーをペーパーにまとめたものなんですけれども、最後、再生医療は今日の先進的医療のシンボル的なキーワードでありますが、幅広い革新的な医療の推進を可能にするような、
規制改革及び研究開発支援などの総合的
施策がなされる必要があると書いてあります。
これはどういうことかといいますと、再生医療の分野というのは原材料なんですね、材料をつくるわけで、昨年、
茂木大臣が半沢ネジのお話をされましたけれども、ねじも
一つの部品なんです。だけれども、そこで例えば車であったりとか、いろいろな製品がある。今、ハンドルの段階、ねじの段階で議論するのではなく、製品まで持っていくのにまだまだ遠い道のりがあるのではないかということです。
次のページをおめくりいただきますと、これは東京女子医科大学での
取り組みでございまして、月曜日に私は視察してまいりました。
いろいろと書いてありますけれども、ベーシックリクワイアメンツというところと、最後の、システムのTファクトリーというところを見ていただきたいんです。
これは細胞をオートメーション化して製品としてつくっていこう、そういう
取り組みなんですけれども、工場のラインでやっていくと、どこかがストップするとそこができなくなったり、もしくは、心臓であったり肝臓であったり、いろいろな臓器をつくるのに、それぞれのラインごとでつくっていくと効率が悪いので、ハブ的な組織、つまり、真ん中にロボットアームをつくって、ここのユニット、細胞を培養するところから細胞をとって、ここで試薬を渡して、次にこちらでそれをまたふやしていく、このユニットをかえることによっていろいろな
取り組みができる。そして、このユニットを今度は
世界に輸出できるように、つまり、このシステム自体も製品となってくる。これが東京女子医大の試みでございます。
そして次に、今、訪問看護というのが
厚生労働省の中で推奨されていっておりまして、経産関連でいいますと、精神疾患を持つ患者さんへの訪問看護で、一昨年か、もう一昨年か、N・フィールドという
会社が上場を果たしました。
介護の分野も株式
会社が参入しているんですけれども、訪問看護というのは普通の看護師さんに比べてどうしても
賃金が少ないということで、効率が悪いということでなかなか新規参入が入ってきません。それを、このiBowというシステムを使ってナビゲーション、つまり、それを見ながら働くことによって、熟練した看護師さんじゃなくても一・五倍の場所を回れることによって、普通の看護
事業と同じようになれるというシステムでございます。
そして、次をめくっていただきますと、ロボットスーツのHALというのがあります。
これは介護用ロボットです。これは二つの
意味合いがありまして、
一つは、ちょっと年配の方であるとか女性の方でも、このロボットスーツHALを着ることによって力が強くなるので、患者さんを運んだりするのに楽に運べるという
意味合いが
一つと、これを患者さんにつけた場合、歩いたりするのが困難な患者さんの場合、これがアシストしてくれるわけですね。つまり、この機械自体がリハビリのシステムとOTであったりPT、理学療法士である働きもあるということです。
次をめくっていただきたいんですけれども、これは大阪大学の臨床医工学融合研究教育センターがやっている
取り組みでございます。私はここの招聘准教授をやっているんですけれども、スーパー・SMEs・フォー・アドバンスト・メディカル・リサーチ・アンド・イノベーション、SMEというのは
中小企業ということです。
これはSAMRAIというんですけれども、何のことかというと、実は、これも昨年私が
指摘させていただいたんですけれども、
日本は医療の治療機器がほとんどつくられておらなくて、医療の現場で使われている治療機器というのは全部が輸入である、これは
日本の国としてはとてもまずいのではないかということで、スタンフォード大学がやっているシステムで、大阪大学の場合、医学と工学と産官で連合して医療機器をつくる人材を育てよう、そういうプロジェクトでございます。もちろん、そのために産官学全てが連携する、そういうことが書いてあります。
そして最後は、ちょっと問題になりましたけれども、これは理化学研究所の
取り組みです。
若手研究者の育成ということで、最後の、若手PIの積極採用ということで、積極的に若手、女性研究者を登用するというのが理化学研究所の
取り組みでございます。このことに関して
答弁は要りませんけれども、小保方さんという方がここでこのシステムに従って登用されて、そしてSTAP細胞というのがありました。
こういった画期的な
日本のイノベーションに関してはオール・ジャパンで本来は支援していかなければならないんですけれども、昨今のマスコミの報道は余りにもひどい。オール・ジャパンで支援する。全てが決まってから、全てがわかってからコメントするのは構いませんけれども、途中で足を引っ張るようなことは
日本の国益に反するのではないかと思っております。
ざっとお話ししましたけれども、例えば、東京女子医大の試みでは、
日本ではそのシステムが認可されるまで時間がかかったのでフランスの方からオファーがあった、そして、介護用ロボットのサイバーダインに至っては、山海教授、筑波大学は、
日本ではだめだったのでドイツからオファーがあったということです。
日本のものづくりの
技術はすばらしい、しかしながら、
日本でこういったイノベーション
産業が認識されるのにますます時間がかかるというのが、このペーパーでまとめた資料です。
さて、先ほど経産省の方にこの科学
技術イノベーションを支援する具体的計画をお聞きしたんですけれども、医療の
産業化に関する今までの資料を踏まえて、もう一度、経産省のこれからの
取り組みを教えてください。